JP2012072480A - InとSnの混合物からのInの選択的回収方法 - Google Patents

InとSnの混合物からのInの選択的回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】InとSnの混合物からInを選択的に浸出するに際し、より効率的に浸出できる方法を見出す。
【解決手段】InとSnの混合物を、有機スルホン酸で浸出することにより、InとSnの分離性を高め、Inを選択的に回収する。有機スルホン酸がメタンスルホン酸であり、酸浸出のpHが1.0から2.5で、さらに、InとSnの混合物が、ITOスクラップから作製した水酸化Inと水酸化Snの混合物であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

この発明は、InとSnの混合物からのInの選択的回収方法に関する。
ITOに代表されるInとSnの混合物からInを選択的に分離する方法に関しては、溶媒抽出や酸浸出があり、特に酸浸出は定法で、それに用いられる酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸がよく用いられる。
例えば、特開2000−169991号(特許文献1)では、ITOを塩酸で溶解し、これにアルカリを加えてpHが0.5〜4となるようにして、スズを水酸化物として除去し、次に硫化水素ガスを吹き込み銅、鉛等の有害物として除去し、次いでこの溶解液を用いて電解によってインジウムメタルを電解採取する技術がある。
この技術も精製工程が複雑であるという問題がある。
上記それぞれ酸の特徴に関しては、
塩酸は、分離性は良好だが、腐食性が強く耐食性材質の使用や排ガス対策が必要で量産設備ではコストがかかる。
硫酸は、塩酸より耐食性が弱く材質に不安は無いが分離性自体が良くないためプロセスがリターンなどで複雑になる。
硝酸は、分離性は硫酸より良いが、N系の排水処理の対応が必要であり、コスト面・環境面で問題である。
特開2000−169991号 高純度インジウムの回収方法 同和鉱業
本発明は、上記酸の問題点を解決する、InとSnの混合物からInを選択的に浸出し、回収する方法を見出すことである。
以上の課題を解決するために以下の発明をなした。
(1) InとSnの混合物からInを選択的に回収するに際し、有機スルホン酸で浸出するInの選択的回収方法。
(2) 上記(1)において、有機スルホン酸がメタンスルホン酸であるInの選択的回収方法。
(3) 上記(1)或は(2)の何れかの記載において、酸浸出のpHが1.0から2.5であるInの選択的回収方法。
(4) 上記(1)或は(3)の何れかの記載において、InとSnの混合物がITOから作製した水酸化Inと水酸化Snの混合物であることを特徴とするInの選択的回収方法。
本発明により以下の効果を得ることが出来る。
(1)有機スルホン酸で浸出することで、InとSnの分離性が良好である。
(2)この液は、上記無機酸と比較して腐食性は少ない。
(3)酸としての単価は高いが、再利用することで十分対応できる。
(4)このろ過液を用いて、高品位Inを作ることも可能である。
(5)ろ液にZnやInを投入してセメンテーション等で粗Inを回収して、その後、電解採取や電解精製で精製Inを得ることが可能である。
本発明の一態様である処理フロー
本発明の処理対象物は、InとSnの混合物である。 例えば、ITO(InとSnとの混合した酸化物)のスクラップから製造したIn水酸化物とSn水酸化物の混合物、In硫化物とSn硫化物の混合物であり、その混合比率は、0.5:9.5から3:7等の比率からなる。
有機スルホン酸が、塩酸と同等の分離能を有してかつ、設備材質の腐食に有利であることを発見した。
有機スルホン酸として、メタンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等あるが特に、メタンスルホン酸が好ましい。
メタンスルホン酸での浸出時、処理温度は室温で問題ない。もちろん高温でも同等の結果が得られる。
浸出液のpHは、1.0から2.5、好ましくは1.5から2.0が良い。pHが1.0より低いと、Snの溶解が発生して分離性が悪くなる。pHが2.5より高いと、分離性は問題ないが、Inの溶解性が下がり、ろ液中のIn量が少なくなる。
つまり、Inを全量回収するためには、ろ過澱物からのInの再回収するプロセスを追加することになり工程が煩雑になる。
以下に実施例を示すが、限定されるものではない。
pH=2.0、20℃で処理
ITOのスクラップから製造したIn水酸化物(約900g)とSn水酸化物(約100g)の混合物1kgを純水約7Lでリパルプした。 該処理物をメタンスルホン酸でpHを2.0に調整してから全量を10Lとして、酸浸出を室温(20℃)で10時間処理した。
ヌッチェ真空ろ過にて固液分離を行い、約10Lのろ過液を得た。
その液の分析をしたところ、Inは50g/L、Snは10mg/L以下、In/Sn比≧5000となり、選択的にInを溶出できた。
pH=1.0で処理
酸浸出のpHを1.0とした以外、実施例1と同様に処理した。
ろ過液の分析は、Inが50g/LでSnが10mg/L以下、In/Sn比≧5000となり、選択的にInを溶出できた。
pH=2.5で処理
酸浸出のpHを2.5とした以外、実施例1と同様に処理した。ろ過液の分析は、Inが50g/LでSnが10mg/L以下、In/Sn比≧5000となり、選択的にInを溶出できた。
浸出温度 50℃
酸浸出の温度を50℃とした以外、実施例1と同様に処理した。ろ過液の分析は、Inが50g/LでSnが10mg/L以下、In/Sn比≧5000となり、選択的にInを溶出できた。
実施例1の20℃と同じ結果となった。よって、高温にする必要は無いと思われる。
(比較例1)pH=0.5で処理
酸浸出のpHを0.5とした以外、実施例1と同様に処理した。ろ過液の分析は、Inが50g/LでSnが80mg/L、In/Sn比=625となった。ろ液にSnも溶出してしまい、分離が不十分であった。
(比較例2)pH=3.0で処理
酸浸出のpHを3.0とした以外、実施例1と同様に処理した。ろ過液の分析は、Inが30g/LでSnが10mg/L以下、In/Sn比≧3000となり、Snは分離できたが、Inの溶出量が少なく回収率が低くなった。

Claims (4)

  1. InとSnの混合物からInを選択的に回収するに際し、有機スルホン酸で浸出することを特徴とするInの選択的回収方法。
  2. 請求項(1)において、有機スルホン酸がメタンスルホン酸であることを特徴とするInの選択的回収方法。
  3. 請求項(1)或は(2)の何れかの記載において、酸浸出のpHが1.0から2.5であることを特徴とするInの選択的回収方法。
  4. 請求項(1)或は(3)の何れかの記載において、InとSnの混合物がITOから作製した水酸化Inと水酸化Snの混合物であることを特徴とするInの選択的回収方法。
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