JP2012071386A - 研磨パッド - Google Patents

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康作 竹内
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恵寛 成瀬
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Abstract

【課題】開放型格子構造からなる研磨層が研磨スラリーによって剥離することを抑制する研磨パッドを提供する。
【解決手段】本発明の研磨パッドは、研磨層が開放型格子構造からなり、研磨層と隣接する粘着層がシリコーン系粘着剤からなるものである。また、本発明の基板の製造方法は、開放型格子構造からなる研磨層とシリコーン系粘着剤からなる粘着層とが、直接又は支持層を介して定盤に貼り合せてなる研磨装置を用いて、研磨対象物を研磨することを特徴とするものである。
【選択図】図1

Description

本発明は研磨パッドに関するものである。
従来、ガラスやシリコンウエハをはじめとする研磨対象物の研磨には、研磨パッドとしてポリウレタン含浸不織布パッドやポリウレタン発泡樹脂パッドが用いられてきた。このような従来のポリウレタン含浸不織布パッドやポリウレタン発泡樹脂パッドはパッド表面に無数の細孔が形成されており、研磨スラリー中の砥粒を保持するためのポケットの役割を果たしている。しかしながら、それらの細孔はサイズが数十〜数百μmオーダーの範囲でばらつきがあるため、研磨パッド上の任意の点における研磨スラリーの保持や研磨パッドの粘弾性がパッド面内で不均一なものであり、研磨対象物を高度に平坦化するには限界があった。そのため、従来のウレタン含浸不織布パッドやウレタン硬質樹脂パッドに比べて研磨対象物の平坦性が向上し、また、経時的にも安定して研磨できる新規な研磨パッドが望まれていた。
そのような新規な研磨パッドとして、研磨フィラメントを積層した開放型格子構造からなる研磨パッドが提案されている(特許文献1参照)。このような構造を研磨層にすることで、研磨屑を除去するのに効果的なスラリー流れを形成させて研磨スラリーの供給や研磨屑の排出を促進することができるため、スクラッチなどの欠陥がない研磨対象物を作製することが可能になる。また、研磨対象物との実接触面積が増大することで研磨レートが向上する旨が記載されており、従来のウレタン含浸不織布パッドや硬質発泡ウレタン樹脂パッドに比べて優れた研磨特性を有する研磨パッドについて検討がなされている。
この特許文献1において、研磨層となる開放型格子構造は感圧接着層をはじめとする任意の方法でサブパッド(以下、支持層ということがある)と接着剤接合することが可能である。ここで感圧接着を用いて接着する場合、粘着力や保持力に優れるとともに、安価であるアクリル系やゴム系の組成からなる粘着剤を使用することが一般的である。
しかしながら、このような組成の粘着剤は研磨スラリーに含まれる水やアルカリ成分などに対する耐性が十分ではなく、粘着剤が劣化しやすい。そのため、研磨スラリーが各研磨フィラメント層内に浸透して感圧接着層にまで達すると、粘着剤が劣化して研磨層が剥離するという課題を本発明者らは見出した。
一方で、特許文献2にはアクリル系あるいはシリコーン系粘着剤を用いることで耐スラリー性を向上させ、研磨層の剥離を抑制する思想が記載されている。このような思想であれば研磨層シートの剥離が抑制できるが、研磨層に開放型格子構造を使用する場合については記載がなく、また、特許文献2の実施例に示すようにアクリル系粘着剤を接着層に適用した場合、アクリル系粘着剤が劣化して研磨層が剥離し、経時的に不安定であるという問題があった。
このように、開放型格子構造を研磨層に有する研磨パッドにおいて、研磨対象物の平坦性に優れ、スクラッチなどの欠陥を抑制できる研磨パッドが開発されてきているものの、研磨層の耐久性の向上に関する検討は行われていなかった。
特開2009−056586号公報 特開2005−056920号公報
本発明の目的は、長時間にわたって基板を研磨した際に、開放型格子構造からなる研磨層が剥離することなく、研磨パッドとしての高い耐久性を有する研磨パッドおよび基板の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、研磨層が開放型格子構造からなり、研磨層と隣接する粘着層がシリコーン系粘着剤からなることを特徴とする研磨パッドにより達成される。また、開放型格子構造からなる研磨層とシリコーン系粘着剤からなる粘着層とが、直接又は支持層を介して定盤に貼り合せてなる研磨装置を用いて、研磨対象物を研磨することにより達成される。
本発明によれば、高い研磨性能を有しつつ、研磨耐久性にも優れた研磨パッド、及び基板の製造方法を提供することができる。
本発明の研磨層が開放型格子構造からなる研磨パッドの一例を示す正面図である。 本発明の研磨層が開放型格子構造からなる研磨パッドの一例を示す斜視図である。 本発明の研磨層が開放型格子構造からなる研磨パッドの一例を示す斜視図である。
以下、さらに詳しく本発明の研磨パッドについて説明をする。
本発明の研磨パッドは研磨層が開放型格子構造からなり、研磨層と隣接する粘着層がシリコーン系粘着剤からなるものである。
本発明の研磨パッドにより、研磨対象物を平坦に研磨する場合、研磨パッド上に研磨スラリーを供給しながら研磨パッドと研磨対象物を相対的に回転運動させて研磨が行われるが、本発明では開放型格子構造からなる研磨層と隣接する粘着層としてシリコーン系粘着剤を用いることによって、研磨中に研磨層の剥離を抑制し、耐久性を向上させることが可能になる。
次に、本発明における粘着層について説明する。
本発明の研磨パッドは、開放型格子構造からなる研磨層を粘着層に貼り合わせて作製するが、その粘着層がシリコーン系粘着剤からなることが必要である。ここで粘着層とは、研磨層を貼り合わせて固定するための粘着剤のことを指し、支持層を含む研磨パッドであれば研磨層と支持層の間に形成された接着層のことであり、支持層を含まない研磨パッドであれば研磨層と装置の定盤の間に形成された接着層のことを指す。
一般的に研磨層の接着に用いられているアクリル系あるいはゴム系粘着剤は通常、耐水性や耐薬品性に優れないため、研磨スラリーの種類や加工条件によっては、その化学的性質(例えばアルカリ性、酸性、酸化性など)によって粘着剤が劣化する。また、粘着力の低下は粘着剤の劣化だけでなく、研磨層を貼り合わせる面に空隙を有するため、粘着層との接触面積が小さくなることも研磨層と粘着層との接着性が低下し、期待される研磨特性が発揮できないばかりか、研磨層と粘着層の界面で剥離する問題があり、研磨パッドとしての耐久性を向上させる必要があった。
上記の観点から、研磨スラリーに耐性があり、研磨中でも粘着力を保持できる粘着剤を用いて研磨層を貼り合わせることが必要であるが、このような粘着剤としてはシリコーン系粘着剤が挙げられる。シリコーン系粘着剤はシリコーンゴムとシリコーンレジンを重合したポリオルガノシロキサン構造からなるため撥水性が高く、耐薬品性にも優れる。そのため、研磨スラリーが大量に粘着剤に触れても粘着力の低下は生じることがなく、研磨パッドとしての耐久性を飛躍的に向上させることができる。
研磨パッドは研磨中においてもその形態を長時間にわたって保持させる必要があるため、粘着剤が研磨スラリーに湿潤している状態での研磨層と粘着層との180°引き剥がしによる粘着力は2.0N/25mm以上であることが好ましく、5.0N/25mm以上であることがより好ましい。ここで、粘着力は長さ150mm×幅25mmの研磨パッドの小片を研磨スラリーに室温下1時間浸漬した後の研磨層と粘着層との間の剥離強力の値を粘着力とした。
一方、研磨中は研磨層と研磨対象物の間でせん断力が働くため、粘着剤が流動してずれが生じる場合がある。シリコーン系粘着剤の流動を抑制するために、JIS Z0237で規定された粘着剤の保持力は1.0mm/h以下であることが好ましく、0.5mm/h以下であることがより好ましく、0.1mm/h以下であることがさらに好ましい。ここで、保持力の測定は接触面積 長さ20mm×幅10mm、荷重4.9Nで行い、1時間後に移動した距離を計測し、保持力の値とした。
粘着剤は基材の上に形成させることができるが、その基材に制限はなく、一般的に感圧性粘着テープの基材として用いられているフィルムや不織布、または基材を用いない基材レスなど、いずれも用いることが可能であるが、研磨パッドの形態を保持する観点から、フィルム基材を使用することが好ましい。
また、フィルム基材の粘着テープを用いる場合、粘着テープの両面で粘着剤の組成が異なる、いわゆるディフェレンシャルタイプの粘着テープを用いることが可能である。このような粘着テープを用いた場合、基材を挟んで研磨層と反対側の粘着面は研磨スラリーに直接接触しないため、粘着剤が研磨スラリーに触れることによる粘着力の低下が避けられる。そのため、シリコーン系粘着剤だけでなくアクリル系やゴム系粘着剤などシリコーン系以外の組成からなる粘着剤を用いることも可能である。
次に、本発明における研磨層について説明する。
本発明において、研磨層は開放型格子構造であることが必要である。ここで、開放型格子構造とは、研磨フィラメントが複数本配列して研磨フィラメント層を形成し、その研磨フィラメント層が連続的に積層された層状の格子構造のことを指す。図1〜図3に本発明の研磨層が開放型格子構造からなる研磨パッドの一例を示す。また、研磨フィラメントとは繊維状物のことであり、それらが3次元的に構成されることで開放型格子構造を形成する。さらに、各研磨フィラメント層内の研磨フィラメントは少なくとも2本以上から構成されており、同一層内の研磨フィラメント同士は互いに平行に配置されている。
研磨層が開放型格子構造であることによって、研磨層の内部に多数の連通した空隙が形成され、これにより研磨スラリーの供給や研磨屑の排出を促進することができる。
各研磨フィラメント層間のフィラメントの角度に制限はなく、例えば、各研磨フィラメント層間を90°で積層すると、研磨層内の空隙の体積が増大して研磨屑の排出をより促進させることができるため好ましい。また、90°未満であると、研磨フィラメント同士の交点における接触面積が増大して接着性が向上するため好ましい。
研磨フィラメントが細いと研磨層の体積あたりの表面積が増加して熱放散を促進するため好ましく、研磨フィラメントの断面積が100mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがさらに好ましい。フィラメントが細すぎると研磨層全体の剛性が低下するため、断面積は0.01mm以上であることが好ましい。研磨フィラメントの断面積は任意の研磨フィラメントの断面積を10ヶ所測定し、その平均値により求める。
各研磨フィラメントの断面形状に制限はなく、円形、正方形、矩形、三角形、多角形または他の断面を有していてもよい。正方形や矩形の断面であれば、円形や三角形の断面に比べ、研磨中の接触面積を増大させることができるため、研磨フィラメント層間の接着性が向上するだけでなく研磨性能が安定するため好ましい。
研磨フィラメント層内におけるピッチ(研磨フィラメントの中心間距離)が大きいと研磨屑の排出が促進される。そのため、1.0mm以上であることが好ましく、2.0mm以上であることがより好ましい。また、ピッチが小さいと研磨層全体の剛性が増加して研磨対象物の平坦性が向上する。そのため、5.0mm以下であることが好ましく、4.0mm以下であることがより好ましい。
各研磨フィラメント層内あるいは層間でピッチが一定である必要はないが、一定の値で規則的に配置されているほうが研磨スラリーの供給や研磨屑の排出を研磨面全体で均一に制御できるため好ましい。
本発明の研磨パッドは、研磨フィラメントの幅やピッチ、そして研磨フィラメントの本数を変更することで、研磨層が研磨対象物と接触する面積の割合(接触面積率)を容易に制御できる。ここで、正方形断面の研磨フィラメントの幅をw、ピッチをpとすると、研磨層が研磨対象物に接触する面積の割合、つまり接触面積率は(w/p)で表される。対象となる研磨対象物の種類にもよるが、接触面積率は0.2〜0.8であることが好ましい。接触面積率が大きい場合は研磨フィラメントが研磨スラリーを保持しやすくなり、研磨レートを向上させることができるため、0.3以上であることが好ましい。また、接触面積率が小さい場合は研磨スラリーの供給や研磨屑の排出が促進されないため、0.7以下であることが好ましい。
上記の範囲内で研磨フィラメントの太さやピッチ、接触面積率を変更することで研磨パッド全体のせん断や曲げ、圧縮などの特性を制御することができる。本発明の研磨パッドは、パッド全体では剛性があって変形しにくく、局所的には研磨フィラメントが変形しやすい構造となる。そのため、研磨対象物の平坦性が向上し、スクラッチを抑制する優れた研磨パッドとなる。
研磨フィラメントの材料に制限はなく、たとえばポリカーボネート、ポリスルホン、ナイロン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリスチレン、アクリルポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、エポキシ、シリコーン、それらの共重合体(たとえば、ポリエーテルポリエステル共重合体)、およびそれらの混合物から作られてもよい。研磨フィラメントはセラミック、ガラス、金属、石、木材などの非ポリマー材料から作られてもよい。また、研磨フィラメントは一つまたはそれ以上の非ポリマー材料を用いたポリマーの複合体から作ることもできる。
本発明の研磨パッドは研磨層が開放型格子構造を有するため研磨屑を排出しやすい。そのため、目詰まりが発生しにくく、研磨パッドのドレッシングや洗浄の回数を減らすことができる。ドレッシングはドレッシングブラシによる方法、洗浄はジェット水流による方法を用いることが好ましい。
次に、支持層について説明する。
本発明の研磨パッドは研磨層が粘着層を介して支持層と積層されていてもよい。支持層を積層する場合、その構成は研磨層および粘着層および支持層および定盤粘着層からなる。支持層は研磨層を保持する役割であるとともにクッション層としての役割を有し、凝集した砥粒によって研磨対象物にスクラッチが生じることを抑制したり装置からの振動を吸収したりする役割を有する。
支持層を積層する研磨パッドの場合、硬い支持層を用いると研磨対象物の凸部のみを研磨して研磨対象物全体の平坦性が向上するため好ましい。シリコンなどの半導体ベアウエハやガラス(光学ガラス、フラットパネルディスプレイ用ガラス、露光に用いるガラスマスクなど)の粗研磨用として適用する場合には、支持層のアスカーA硬度が70以上であることが好ましく、80以上がより好ましく、85以上がさらに好ましい。
一方で、仕上げ研磨用として適用する場合には支持層は柔らかいほうが好ましく、アスカーA硬度が70未満であることが好ましい。これにより、スクラッチの混入を抑制し、また、研磨対象物の局所的な反りやうねりに沿って研磨パッドが変形して追従するため、研磨対象物表面の数nm〜数μm程度の微小な凹凸を除去して研磨対象物の平滑性を向上させることができる。そのため、アスカーA硬度が65以下であることがより好ましく、60以下であることがさらに好ましい。
また、半導体の酸化膜や金属膜などのCMPに用いる場合には、アスカーA硬度が60〜90の支持層であることが好ましい。これにより、研磨対象物の凹凸に追従しつつ、研磨対象物全体の平坦性を向上させることができる。
支持層の厚さが薄い場合には、マイクロゴムA硬度で支持層の硬度を評価することも可能である。この場合、マイクロゴムA硬度は70未満であることが好ましく、より好ましくは65以下であり、さらに好ましくは60以下であることがさらに好ましい。
支持層の種類は平坦なシート状のものであれば特に限定されず、フィルムや不織布、ガラス板、金属板、セラミックス板、発泡フォームなどを用いることも可能である。ガラス板や金属板は硬度が高く、表面を平坦にすることができるが、研磨層との接着性や研磨時の振動の抑制、そして定盤へ貼り付ける際の作業性に劣ることから、そのような課題がより少ないものを支持体として選択することが好ましい。
その点、ゴムシートは適度な硬度や耐薬品性を得やすく、また、比較的ゴムシート表面の硬度や平坦性が制御しやすいため、好ましく用いられる。また、定盤からの振動を吸収して研磨精度を向上させるという観点からも、ゴムシートであることが好ましい。ゴムシートの材質としては、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPT)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、シリコーンゴム(SR)、フッ素ゴム(FR)、およびウレタンゴム(UR)などが挙げられるが、機械的強度、反発弾性および耐薬品性などを考慮すると、URであることが好ましい。これらの中でも、汎用性やゴムシートの平坦性からURとNBRが好ましく用いられる。
支持層の厚さが厚いとクッション層として定盤の振動を吸収しやすくなり、厚さが薄いと研磨パッドの製造コストを低くする利点がある。そのため、支持層の厚さは0.5〜10mmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5mmであり、さらに好ましくは0.5〜2mmである。
支持層がある場合は定盤粘着層を介して研磨パッドと定盤を固定するが、定盤粘着層は研磨層と隣接する粘着層とは異なり、研磨スラリーがパッド表面から浸透することはないため、スラリーとはほとんど接触しない。そのため、粘着剤の組成に制限はなく、ゴム系やアクリル系、シリコーン系など各種組成の粘着剤を用いることが可能であるが、粘着力および保持力に優れ、汎用的に使用されるアクリル系あるいはゴム系粘着剤を用いることが好ましい。
次に、本発明の研磨パッドの製造方法について述べる。
本発明の研磨層である開放型格子構造は、研磨層サイズの樹脂の内部を切削加工することにより作製することができる。切削の方法としては、精密切削加工機を用いる方法やレーザーや流体を噴射して加工する方法など、公知の精密加工技術を採用することができる。また、予め公知の溶融紡糸などの紡糸技術により研磨フィラメントを得た後、そのフィラメント同士を接着により格子状に積層して組み上げることにより開放型格子構造を製造することができる。
本発明のシリコーン系粘着剤は、公知の重合技術により製造することができ、例えばシリコーンゴムとシリコーンレジンを重合し、ポリオルガノシロキサン構造を有するポリマーを製造することにより得ることができる。
本発明の研磨層に粘着層を積層する方法としては、開放型格子構造を得た後、直接シリコーン系粘着剤を研磨層に塗布することもできるし、予め粘着剤をフィルムなどの基材に塗布して、両面粘着テープとした後に、ラミネーターを用いて研磨層と貼り合わせて製造することができる。また、支持層と研磨層を積層する方法としては、研磨層に粘着剤を直接塗布した後に、支持層であるゴムシートなどを貼り合せることもできるし、支持層に粘着剤を直接塗布した後に、研磨層を支持層の方に貼り合わせて製造することができる。また、予め粘着剤を基材に塗布した両面粘着テープを作製した後に、研磨層と支持層を貼り合せて製造することもできる。さらに、研磨層と支持層を貼り合せたものに、定盤用の両面粘着テープを貼り合せることで、支持層がある場合の研磨パッドを製造することができる。
次に、本発明の支持体については、上述のようにゴムシートからなる樹脂板であれば硬度の選択幅が広く、また樹脂板の平坦性も良好であるので好適に用いることができる。例えば、PUゴムシートは熱硬化性のものや熱可塑性のものがあり、金型による硬化や溶融押出しによってシート状に成形することができ、シートの幅や厚みを自由に制御することができる。また、PUのハードセグメントとソフトセグメント、架橋剤の種類や配合量を変更することによって、ゴムシートの硬度を制御することが可能であり、ゴムシートの硬度としてはアスカーA硬度で30〜95の範囲で制御可能である。
本発明の研磨パッドは、半導体研磨物として、シリコーン(Si)ウエハ、アニールウエハ、エピウエハ、SOIウエハ、埋め込みウエハ、貼り合せウエハおよび再生ウエハなどの研磨だけでなく、ガリウムナイトライド(GaN)、ガリウム砒素(GaAs)、シリコンカーバイド(SiC)およびサファイアなどの化合物半導体ウエハの研磨にも用いることができる。また、半導体ウエハの研磨用のみに限らず、酸化膜や金属膜などを形成した後のCMPや素子形成後のバックグラインドの研磨に用いることも可能である。さらに、アルミディスクやガラスディスクなどのハードディスク用基板の研磨用、さらに液晶ディスプレイ用ガラス、光学ガラスおよびフォトマスクなどのガラス研磨用など種々の研磨用途に用いることができる。
以下、本発明の研磨パッドについて、実施例を用いて詳細に説明する。実施例に記載された測定は以下の方法で行った。
A.粘着剤の粘着力の測定
JIS Z0237に従い、研磨パッドを25mm×150mmに切り出し、1時間研磨スラリーに浸漬した後に研磨層と粘着層を東洋計器製テンシロン UTM−4Lを用いて300mm/minで180°引き剥がしを行い、その剥離強力を測定した。3枚の試験片の剥離強力を測定し、その平均値を粘着力とした。研磨スラリーは株式会社フジミインコーポレーテッド製“GLANZOX1302”(登録商標)を用い、濃度1%で使用した。
B.粘着剤の保持力の測定
JIS Z0237に従い、保持力を測定する側の粘着剤を接触面積 幅10mm×長さ20mmでURのゴムシート(アスカーA硬度88)に貼りあわせた。また、粘着テープの端に4.9Nの荷重を固定し、1時間後の粘着剤のずれた距離を計測した。3枚の試験片の保持力を測定し、その平均値を粘着剤の保持力とした。
C.研磨評価
研磨機は、ラップマスターSFT株式会社製の片面研磨機 “ラップマスターLM−15E”(登録商標)を用いた。研磨パッドは、実施例および比較例で作製した研磨パッドをそれぞれ用い、研磨スラリーにはコロイダルシリカの水分散体である株式会社フジミインコーポレーテッド製“GLANZOX1302”(登録商標)を用いた。研磨対象物として、4インチの単結晶シリコンのエッチトウエハを用いて研磨した。また、ウエハ1枚を10分間研磨し、新たなウエハを交換し再度研磨を行う。このような操作を連続して行い、積算で10時間研磨を行った。このときの研磨条件は、下記のとおりである。
<研磨条件>
・定盤回転数: 50rpm
・研磨圧力: 255gf/cm
・研磨時間: 10分間
・スラリー濃度: 1%
・スラリー供給量: 35mL/分。
D.研磨後の粘着力の測定
所定の時間研磨対象物を研磨した後、研磨パッドを25mm×150mmの大きさに切りとり、JIS Z0237に従って研磨層と粘着層を東洋計器製テンシロン UTM−4Lを用いて300mm/minで180°引き剥がしを行い、その剥離強力を測定した。3枚の試験片の剥離強力を測定し、その平均値を粘着力とした。
[実施例1]
断面積が1.0mmの正方形断面からなる研磨フィラメントをピッチ3.0mm、接触面積率0.5で研磨フィラメント層を形成した。このフィラメント層を5層積層して開放型格子構造からなる研磨層を作製した。
また、アスカーA硬度90、厚さ1.0mmの熱可塑性ウレタン樹脂板を支持層として用い、支持層にシリコーン系粘着テープ(保持力0.1mm/h、厚さ85μm、ポリエステルフィルム基材、支持体面はアクリル系粘着剤)を介して上記の研磨層を貼り合わせた。さらに、支持層のシリコーン系粘着テープの反対側の面に定盤粘着用のアクリル系粘着テープ(厚さ133μm、ポリエステルフィルム基材)を貼り付け、研磨パッドを作製した。この研磨パッドの小片を研磨スラリーに1時間浸漬した後に研磨層と粘着層間の180°引き剥がしによる剥離強力を測定したところ、4.5N/25mmであった。
この研磨パッドを用いて積算で10時間シリコンウエハの研磨を行ったところ、研磨層の剥離など研磨パッドの形態の変化は認められなかった。
[比較例1]
断面積が1.0mmの正方形断面からなる研磨フィラメントをピッチ3.0mm、接触面積率0.5で研磨フィラメント層を形成した。このフィラメント層を5層積層して開放型格子構造からなる研磨層を作製した。
また、アスカーA硬度90、厚さ1.0mmの熱可塑性ウレタン樹脂板を支持層として用い、支持層にアクリル系粘着テープ(保持力0.0mm/h、厚さ128μm、ポリエステルフィルム基材、支持体面はアクリル系粘着剤)を介して上記の研磨層を貼り合わせた。さらに、支持層のシリコーン系粘着テープの反対側の面に定盤粘着用のアクリル系粘着テープ(厚さ133μm、ポリエステルフィルム基材)を貼り付け、研磨パッドを作製した。この研磨パッドの小片を研磨スラリーに1時間浸漬した後に研磨層と粘着層間の180°引き剥がしによる剥離強力を測定したところ、20.1N/25mmであった。
しかしながら、この研磨パッドを用いて積算で20分間ウエハの研磨を行ったところで、研磨中に織物が剥離する箇所が確認された。
[比較例2]
断面積が1.0mmの正方形断面からなる研磨フィラメントをピッチ3.0mm、接触面積率0.5で研磨フィラメント層を形成した。このフィラメント層を5層積層して開放型格子構造からなる研磨層を作製した。
また、アスカーA硬度90、厚さ1.0mmの熱可塑性ウレタン樹脂板を支持層として用い、支持層にゴム系粘着テープ(保持力0.1mm/h、厚さ150μm、ポリエステルフィルム基材、支持体面はアクリル系粘着剤)を介して上記の研磨層を貼り合わせた。さらに、支持層のシリコーン系粘着テープの反対側の面に定盤粘着用のアクリル系粘着テープ(厚さ133μm、ポリエステルフィルム基材)を貼り付け、研磨パッドを作製した。この研磨パッドの小片を研磨スラリーに1時間浸漬した後に研磨層と粘着層間の180°引き剥がしによる剥離強力を測定したところ、20.5N/25mmであった。
しかしながら、この研磨パッドを用いて積算で30分間ウエハの研磨を行ったところで、研磨中に織物が剥離する箇所が確認された。
1:研磨フィラメント
2:粘着層
3:支持層
4:研磨面
5:開放型格子構造からなる研磨層

Claims (2)

  1. 研磨層が開放型格子構造からなり、研磨層と隣接する粘着層がシリコーン系粘着剤からなることを特徴とする研磨パッド。
  2. 開放型格子構造からなる研磨層とシリコーン系粘着剤からなる粘着層とが、直接又は支持層を介して定盤に貼り合わせてなる研磨装置を用いて、研磨対象物を研磨することを特徴とする基板の製造方法。
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