JP5600400B2 - 研磨装置及び研磨パッドの固定方法 - Google Patents
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また、定盤との接着面に使用される粘着剤に特定の化合物を配合しておき、加熱、超音波照射あるいは紫外線照射により気体を発生させたり、架橋を生じさせたりして接着力が低下するようにした研磨パッドが知られている(特許文献3参照)。
一方、研磨パッドの固定手段として面ファスナーを単に用いる前記方法では、例えば、半導体ウェハ基板や、半導体ウェハ基板上に形成された酸化膜や微細なパターン(回路)における微小な凹凸をCMP法などを利用して平坦化する際など、より精密な平坦化が要求される場合において、研磨速度等の研磨性能が劣ることがあった。
また、大きな係合力で研磨パッドを定盤へ固定することができるとともに、研磨パッドを繰り返し脱着することができ研磨パッドの交換や固定のやり直しが容易で取り扱い性に優れ、しかも研磨パッドの固定後に優れた研磨性能を発揮することのできる研磨パッドの固定方法を提供することを目的とする。
<1> 定盤と、該定盤に面ファスナーを介して固定された研磨パッドとを有し、
前記面ファスナーが、基材及び該基材の係合させる側の面に複数のフック状係合素子を有する面ファスナー部材(a)と、基材及び該基材の係合させる側の面に複数のループ状係合素子を有する面ファスナー部材(b)とからなり、
面ファスナー部材(a)における前記複数のフック状係合素子のフック密度が15個/cm2以上300個/cm2以下であり、面ファスナー部材(b)における前記複数のループ状係合素子のループ高さが0.5mm以上3.0mm以下であり、面ファスナー部材(b)の目付け量が50g/m2以上600g/m2以下であり、面ファスナー部材(a)における前記複数のフック状係合素子のフック高さに対する面ファスナー部材(b)における前記ループ高さの割合(ループ高さ/フック高さ)が0.5以上である研磨装置である。
前記複数のフック状係合素子のフック密度が15個/cm2以上300個/cm2以下である面ファスナー部材(a)、及び、前記複数のループ状係合素子のループ高さが0.5mm以上3.0mm以下であり、目付け量が50g/m2以上600g/m2以下であり、面ファスナー部材(a)における前記複数のフック状係合素子のフック高さに対する前記ループ高さの割合(ループ高さ/フック高さ)が0.5以上である面ファスナー部材(b)のいずれかを、前記定盤における研磨パッドの固定位置に基材の係合させる側と反対側の面で固定し、
前記面ファスナー部材(a)及び面ファスナー部材(b)のうち、前記定盤に固定しなかった面ファスナー部材を、前記研磨パッドに基材の係合させる側と反対側の面で固定し、
前記面ファスナー部材(a)及び面ファスナー部材(b)を係合面で圧接し接合させることにより、前記定盤に研磨パッドを固定する研磨パッドの固定方法である。
本実施形態の研磨装置は、定盤と、該定盤に面ファスナーを介して固定された研磨パッドとを有し、前記面ファスナーが、基材及び該基材の係合させる側の面に複数のフック状係合素子を有する面ファスナー部材(a)と、基材及び該基材の係合させる側の面に複数のループ状係合素子を有する面ファスナー部材(b)とからなる。
そして、研磨パッド16は定盤14上に前記構成の面ファスナー(図示せず)により固定されている。
本実施形態で用いることのできる面ファスナーとしては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維等の繊維を製編織して得た編製または織製面ファスナー;ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体、塩化ビニル系重合体、ポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、シリコーン系樹脂、その他の熱可塑性重合体、熱硬化性重合体等の合成樹脂を成形して得た成形面ファスナー;などが挙げられる。
本実施形態に用いる面ファスナー部材における基材の厚みとしては、0.3〜3.0mmの範囲内であることが好ましい。面ファスナー部材における基材の裏面(フック状係合素子やループ状係合素子が配設されていない面)には、ホットメルト系接着剤(例えば、溶融温度が100℃以上のもの)が部分的にまたは全体に塗布されていてもよい。この場合、面ファスナー部材の基材に対してホットメルト系接着剤からなる層が部分的または全体に積層されることになる。
係合力や研磨速度の観点から、面ファスナー部材(a)におけるフック密度は15個/cm2以上260個/cm2以下であることが好ましく、20個/cm2以上100個/cm2以下であることがより好ましい。なお、前記フック密度は実施例の項目において後述する方法により測定することができる。
係合力や研磨速度の観点から、面ファスナー部材(b)におけるループ高さは、0.8mm以上2.5mm以下であることが好ましく、1.2mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。なお、前記ループ高さは実施例の項目において後述する方法により測定することができる。
係合力や研磨速度の観点から、面ファスナー部材(b)の目付け量は75g/m2以上550g/m2以下であることが好ましく、100g/m2以上300g/m2以下であることがより好ましい。なお、前記目付け量は、面ファスナー部材(b)の質量を測定し、これを面ファスナー部材(b)の基材の係合させる側の面の面積で除すことにより求めることができる。
また、面ファスナー部材(b)において、前記目付け量と前記ループ高さとの積は50(g/m2)・mm以上1,500(g/m2)・mm以下であることが好ましい。当該積がこの範囲にあると、ループ高さが適度な値となり、より高い係合力を得ることができるとともに、研磨時におけるループ状係合素子のヘタリによる研磨速度の低下をより確実に抑制することができる。
より大きな研磨速度が得られることから、上記割合は0.5以上3.0以下であることが好ましく、0.8以上2.5以下であることがより好ましい。
図2に、面ファスナー部材を固定した研磨パッド及び定盤の接合前の状態の例を示す模式的拡大図を示す。本実施形態において、研磨パッド36と定盤34との間に介在する前記面ファスナーの向きには特に制限はなく、面ファスナー部材(a)30及び面ファスナー部材(b)32のいずれを研磨パッド36あるいは定盤34に固定してもよい。
すなわち、図2(A)に示すように、面ファスナー部材(a)30における基材30aの裏面(複数のフック状係合素子30bを有しない側の面)に研磨パッド36が位置し、面ファスナー部材(b)32における基材32aの裏面(複数のループ状係合素子32bを有しない側の面)に定盤34が位置する態様でも、反対に図2(B)に示すように、面ファスナー部材(a)30における基材30aの裏面に定盤34が位置し、面ファスナー部材(b)32における基材32aの裏面に研磨パッド36が位置する態様でもどちらでもよい。
前記感圧接着剤としては、例えば、アクリレート系重合体;メタクリレート系重合体;ポリイソプレン系、ポリブタジエン系、クロロプレン系等の合成または天然ゴム;などを基剤重合体とし、該基剤重合体に粘着付与剤、粘着調整剤、架橋剤、安定剤等を配合して得られたものなどを用いることができる。
また、上記のホットメルト接着剤や感圧接着剤以外にも、2液硬化タイプのエポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル重合系接着剤、シリコーン系接着剤などにより個々の面ファスナー部材と研磨パッドまたは定盤とを固定することもできる。
本実施形態において使用される研磨パッドに特に制限はなく、研磨層1層のみからなる単層型研磨パッドや研磨層とクッション層とが積層された複層型研磨パッドを使用することができる。研磨パッドの形状としては研磨装置の種類などにもよるが、円盤状であることが好ましい。
上記シートの厚さとしては、目的とする研磨層の厚さに応じて適宜設定することができるが、1.0〜4.0mmの範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0mmの範囲内であることがより好ましく、2.0〜2.5mmの範囲内であることがさらに好ましい。
得られたシートは、必要に応じて、裁断、打ち抜き、切削等により所望の寸法、形状に加工したり、研削等により所望の厚さに加工して研磨層とすることができる。また研磨層には、必要に応じて、格子状、同心円状、螺旋状、三角格子状又は放射状等のパターンを有する溝や、貫通孔等の穴を形成してもよい。
なお、前記の複層型研磨パッドは、研磨層とクッション層とが直接接合しているものの他、接着剤や両面粘着テープ等により両層が接着されたものや、両層の間にさらに別の層が存在するものも含む。
本実施形態の研磨装置が有する定盤に特に制限はないが、面ファスナーを介して固定される研磨パッドを回転させることができることから、回転定盤であることが好ましい。当該回転は定盤駆動モーターにより行うことができる。
被研磨物となる物品に特に制限はなく、例えば、水晶、シリコン、ガラス、光学基板、電子回路基板、多層配線基板、ハードディスク、半導体ウェハ基板(ベアシリコンウェハ基板や化合物半導体ウェハ基板等)などが挙げられるが、本実施形態における研磨パッドは、半導体ウェハを研磨する用途、特に半導体ウェハ基板そのものや、半導体ウェハ基板上に形成された酸化膜や微細なパターン(回路)を研磨する用途に好ましく使用することができる。
<各測定・評価方法>
以下に、実施例または比較例において採用した、面ファスナー部材におけるフック高さ、ループ高さ及びフック密度、面ファスナー部材の目付け量、さらに研磨装置の研磨性能および係合力の各測定または評価方法を示す。
松浪硝子工業(株)製スライドガラス「Matsunami Micro Slide Glass S1127 白切放 No.2」(サイズ:76mm×26mm×1.0mm)2枚を両面粘着テープにより重ねてガラス製圧縮板(サイズ:76mm×26mm×2.0mm)を作製した。この際に76mm×2.0mmの面が平坦になるように注意した。このようなガラス製圧縮板を2つ用意した。また、面ファスナー部材より幅2mm、長さ20mmの短冊状のサンプルを切り出した。
面ファスナー部材におけるフック密度は、面ファスナー部材の係合させる側の面から1cm四方の区画を任意に選び、当該区画内に存在するフック状係合素子の数を数えることにより求めた。
面ファスナー部材の目付け量は、電子天秤(日本シイベルヘグナー(株)製「PB602」)により面ファスナー部材の質量を測定し、当該質量を面ファスナー部材の面積(基材の係合させる側の面の面積)で除すことにより求めた。
以下の実施例または比較例において記載されるように、エム・エー・ティー社製研磨装置「MAT−BC15」上に固定された研磨パッドを、(株)アライドマテリアルズ製ダイヤモンドドレッサー(#100−被覆率80%、直径10cm、質量1kg)を用い、蒸留水を150mL/分の速度で流しながらドレッサー回転数40rpmにて1時間研磨パッド表面を研削した(以下、「シーズニング」と称する)。
上記研磨装置の研磨性能の評価中における研磨パッド端部の剥がれや反り状態を目視で観察し、面ファスナー部材間の係合力を以下の基準により評価した。
○:研磨後も研磨前の係合状態が維持されていた。
△:端部の面ファスナー部材間に剥離が認められたものの研磨はできた。
×:研磨中に面ファスナー部材間が大きくずれ研磨を継続することができなかった。
数平均分子量2000のポリ(テトラメチレングリコール)[略号:PTMG2000]、数平均分子量2000のポリ(2−メチル−1,8−オクタメチレン−co−ノナメチレンアジペート)[略号:PNOA、ノナメチレン単位と2−メチル−1,8−オクタメチレン単位とのモル比:7対3]、1,4−シクロヘキサンジメタノール[略号:CHDM]、1,4−ブタンジオール[略号:BD]、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート[略号:MDI]を、PTMG2000:PNOA:CHDM:BD:MDIの質量比が20.1:8.4:5.7:14.2:51.6となるような割合で用い、かつ、それらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機(シリンダー径(単径):30mm、シリンダー長/シリンダー径(単径)=36、シリンダー温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行った。次いで、生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物を、ストランド状に水中に連続的に押出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、得られたペレットを70℃で20時間除湿乾燥することにより、熱可塑性ポリウレタンを製造した。
以下の表1、表2に記載した面ファスナー部材(a)(基材の片面に係合素子として多数のフック状係合素子のみを有する雄側面ファスナー部材)の基材の裏面(フック状係合素子を有しない側の面)に、両面テープ(積水化学工業(株)製:ダブルタックテープ#5605HG)を貼り合わせ、次いで当該両面テープを介して各面ファスナー部材(a)を、前記製造した円盤状研磨パッドの裏面(溝が形成されていない側の面)の全面に接着した。
一方、表1、表2に記載した面ファスナー部材(b)(基材の片面に係合素子として多数のループ状係合素子のみを有する雌側面ファスナー部材)の基材の裏面(ループ状係合素子を有しない側の面)に両面テープ(積水化学工業(株)製:ダブルタックテープ#5605HG)を貼り合わせ、次いで当該両面テープを介して各面ファスナー部材(b)をエム・エー・ティー社製研磨装置「MAT−BC15」の回転定盤上における研磨パッドが固定される部分の全面に固定した。
この研磨装置を用いて、上記の方法により研磨装置の研磨性能を評価するとともに、係合力の評価を行った。結果を表1、表2に示した。
これに対して、比較例1〜7においては、研磨速度が実用レベル以下であって研磨性能に劣った。また、比較例1、2および4においては係合力も十分ではなかった。なお、比較例3および5においては、研磨圧力を加えた初期段階で研磨パッドのズレが生じ、異音がしたため、試験を中止した。
12:定盤回転軸
14、34:定盤(プラテン)
16、36:研磨パッド
20:キャリアヘッド
22:キャリアヘッド回転軸
24:研磨圧力調整器
26:スラリー供給ノズル
28:研磨液(研磨スラリー)
30:面ファスナー部材(a)
32:面ファスナー部材(b)
Claims (8)
- 定盤と、該定盤に面ファスナーを介して固定された研磨パッドとを有し、
前記面ファスナーが、基材及び該基材の係合させる側の面に複数のフック状係合素子を有する面ファスナー部材(a)と、基材及び該基材の係合させる側の面に複数のループ状係合素子を有する面ファスナー部材(b)とからなり、
面ファスナー部材(a)における前記複数のフック状係合素子のフック密度が15個/cm2以上300個/cm2以下であり、面ファスナー部材(b)における前記複数のループ状係合素子のループ高さが0.5mm以上3.0mm以下であり、面ファスナー部材(b)の目付け量が50g/m2以上600g/m2以下であり、面ファスナー部材(a)における前記複数のフック状係合素子のフック高さに対する面ファスナー部材(b)における前記ループ高さの割合(ループ高さ/フック高さ)が0.5以上2.5以下である、半導体ウェハ及び半導体ウェハ基板を研磨するための研磨装置。 - 前記面ファスナー部材(a)におけるフック高さが、0.3mm以上2.0mm以下である請求項1に記載の研磨装置。
- 前記面ファスナー部材(b)の目付け量を前記面ファスナー部材(b)におけるループ高さで除した値(目付け量/ループ高さ)が、50(g/m2)/mm以上300(g/m2)/mm以下である請求項1又は2に記載の研磨装置。
- 前記面ファスナー部材(b)の目付け量と前記面ファスナー部材(b)におけるループ高さとの積が、50(g/m2)・mm以上1,500(g/m2)・mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨装置。
- 基材及び該基材の係合させる側の面に複数のフック状係合素子を有する面ファスナー部材(a)と、基材及び該基材の係合させる側の面に複数のループ状係合素子を有する面ファスナー部材(b)とから構成される面ファスナーにより、半導体ウェハ及び半導体ウェハ基板を研磨するための研磨装置の定盤に研磨パッドを固定する研磨パッドの固定方法であって、
前記複数のフック状係合素子のフック密度が15個/cm2以上300個/cm2以下である面ファスナー部材(a)、及び、前記複数のループ状係合素子のループ高さが0.5mm以上3.0mm以下であり、目付け量が50g/m2以上600g/m2以下であり、面ファスナー部材(a)における前記複数のフック状係合素子のフック高さに対する前記ループ高さの割合(ループ高さ/フック高さ)が0.5以上2.5以下である面ファスナー部材(b)のいずれかを、前記定盤における研磨パッドの固定位置に基材の係合させる側と反対側の面で固定し、
前記面ファスナー部材(a)及び面ファスナー部材(b)のうち、前記定盤に固定しなかった面ファスナー部材を、前記研磨パッドに基材の係合させる側と反対側の面で固定し、
前記面ファスナー部材(a)及び面ファスナー部材(b)を係合面で圧接し接合させることにより、前記定盤に研磨パッドを固定する研磨パッドの固定方法。 - 前記面ファスナー部材(a)におけるフック高さが、0.3mm以上2.0mm以下である請求項5に記載の研磨パッドの固定方法。
- 前記面ファスナー部材(b)の目付け量を前記面ファスナー部材(b)におけるループ高さで除した値(目付け量/ループ高さ)が、50(g/m2)/mm以上300(g/m2)/mm以下である請求項5又は6に記載の研磨パッドの固定方法。
- 前記面ファスナー部材(b)の目付け量と前記面ファスナー部材(b)におけるループ高さとの積が、50(g/m2)・mm以上1,500(g/m2)・mm以下である請求項5〜7のいずれか1項に記載の研磨パッドの固定方法。
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