JP2012070705A - デンプンの製造方法およびこれを利用した有用物質の製造方法 - Google Patents

デンプンの製造方法およびこれを利用した有用物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】窒素固定ラン藻のデンプン代謝を制御し、窒素固定ラン藻によるデンプンの生産性を向上させうる手段を提供する。
【解決手段】下記(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質の機能が抑制された窒素固定ラン藻を培養して前記窒素固定ラン藻にデンプンを産生させる工程を含む、デンプンの製造方法が提供される:(1)特定のアミノ酸配列からなるタンパク質;(2)前記アミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されたアミノ酸配列からなり、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質;(3)前記アミノ酸配列をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされ、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質。
【選択図】図2

Description

本発明は、デンプンの製造方法およびこれを利用した有用物質の製造方法に関する。
ラン藻は、植物と同様に光合成を行う微細藻類である。そしてその光合成能力は、単位面積あたりで比較すると植物の10倍にも達することが知られている。このため、微細藻類は食料との競合や耕作地の限界を克服できるバイオマスとして、循環型社会システムの構築に向けて、非常に注目を集めている。
これまでにバイオマスとしての利用が検討されてきた微細藻類としては、緑藻などがある。しかしながら、かような微細藻類の増殖は利用可能な窒素量の制限を受けるため、その培養の際には培地に大量の窒素源(窒素肥料など)を投入する必要がある。そして、微細藻類のバイオマスに含まれる油脂を原料としたバイオディーセルを1L生産するのに必要な窒素肥料の価格は、20円にも及ぶと試算されている。したがって、窒素源のコスト削減が、微細藻類をバイオマスとして利用する上で大きな課題となる。
一方、ラン藻のなかでも、窒素固定ラン藻(例えば、アナベナ(Anabaena))は、大気中に豊富に含まれる窒素ガスを利用して増殖することができる唯一の微細藻類である。かような窒素固定ラン藻の培養には窒素源を全く必要としないため、培養コストの大幅な削減が可能である。また、窒素源を含まない培地を使用することから、屋外の開放系での大規模培養においても独占種として培養することが可能であり、培養槽を簡便化することができる。さらに、単細胞性の微細藻類とは異なり、数百の細胞が一列に繋がったアナベナ等の窒素固定ラン藻は凝集塊を形成する性質があり、培養槽からの回収コストを抑えられるという利点もある。このように、アナベナ等の窒素固定ラン藻はバイオマスとして非常に優位性の高い微細藻類である。すなわち、アナベナ等の窒素固定ラン藻は、光合成を通じてCOを同化することでデンプンを合成し、自身の細胞内に蓄積するという性質を有している。この性質を利用すれば、窒素固定ラン藻の細胞内に蓄積されたデンプンを原料としてバイオエタノールを大量生産できる可能性があるなど、将来のエネルギー問題を解決しうる手段として、窒素固定ラン藻には非常に大きな期待が寄せられている。
とはいえ、窒素固定ラン藻におけるデンプンの細胞内蓄積量は限られている。また、デンプンの細胞内蓄積量は、様々な環境要因による影響を受ける。したがって、効率的なデンプン生産技術を確立するためには、窒素固定ラン藻のデンプン代謝を自由に制御し、最終的にはデンプンの生産性を飛躍的に向上させうる技術の開発が求められている。
本願の発明者らは従来、窒素固定ラン藻の1種であるアナベナ(Anabaena sp. strain PCC7120)を用いた研究で、アナベナにおけるヘテロシスト(異質細胞;窒素固定に特化した細胞である)の分化を制御する役割を担っている転写制御因子としてnrrA遺伝子を同定し、報告している(例えば、非特許文献1を参照)。本発明者はさらに、このnrrA遺伝子が不活化された株における窒素制御遺伝子の発現についてDNAマイクロアレイを用いた網羅的解析を行った。その結果、nrrA遺伝子の不活化によってデンプンの分解に関与する遺伝子であるglgP1の発現がmRNAレベルで低下することが判明している。よって、アナベナ等の窒素固定ラン藻においてnrrA遺伝子を欠損させることは、デンプン分解の抑制を介してデンプンの生産性の向上に寄与するものと期待されている。しかしながら、窒素固定ラン藻においてこのようなデンプン分解に関与する遺伝子の発現に影響を及ぼすことが知られているのは上述したnrrA遺伝子のみであり、他の遺伝子について同様の報告は存在しない。
ところで、各種のラン藻において発現し、RNAポリメラーゼのグループ2σ因子をコードする遺伝子として、sigE遺伝子が知られている。そして、窒素固定ラン藻ではないラン藻の1種(Synechocystis sp. PCC6803)を用いた研究で、このsigE遺伝子の変異株ではグリコーゲン代謝が低下すること、並びに、グルコース取り込み速度の低下およびグリコーゲンの細胞内レベルの上昇が見られること、が報告されている(例えば、非特許文献2を参照)。しかしながら、窒素固定ラン藻において同様の報告は存在しない。例えば、非特許文献3には、アナベナ(Anabaena sp. Strain PCC 7120)においてsigE遺伝子(当該文献では「sigF」と表記されている)を欠損させてもヘテロシスト分化には外観上顕著な影響は現れないことが報告されているが、アナベナにおけるsigE遺伝子の欠損がデンプンやグリコーゲンの代謝・分解等に影響を及ぼすといった開示は全く存在しない。
Ehira et al., NrrA, a nitrogen-responsive response regulator facilitates heterocyst development in the cyanobacterium Anabaena sp. strain PCC 7120. Molecular Microbiology 2006; 59(6): 1692-1703 Osanai et al., Positive Regulation of Sugar Catabolic Pathways in the Cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803 by the Group 2 s Factor SigE. The Journal of Biological Chemistry 2005; Vol. 280, No. 35: 30653-30659 Khudyakov et al., Identification and Inactivation of Three Group 2 Sigma Factor Genes in Anabaena sp. Strain PCC 7120. Journal of Bacteriology, Nov. 2001; 6667-6675
上述したような従来技術に鑑み、本発明は、窒素固定ラン藻のデンプン代謝を制御し、窒素固定ラン藻によるデンプンの生産性を向上させうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決することを目指して、鋭意研究を行なった。その結果、驚くべきことに、sigE遺伝子およびそれによってコードされるSigEタンパク質が、アナベナにおけるデンプンの分解を制御する転写制御因子として機能していることを見出した。そして、この知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、下記(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質の機能が抑制された窒素固定ラン藻を培養して前記窒素固定ラン藻にデンプンを産生させる工程を含む、デンプンの製造方法が提供される:
(1)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)配列番号2に示すアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されたアミノ酸配列からなり、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質;
(3)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされ、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質。
上述した製造方法において、例えば、窒素固定ラン藻は、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子を欠損している。
また、上述した製造方法において、窒素固定ラン藻では、さらに下記(4)〜(6)のいずれかに記載のタンパク質の機能が抑制されていることが好ましい:
(4)配列番号4に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(5)配列番号4に示すアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されたアミノ酸配列からなり、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質;
(6)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされ、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質。
この際、窒素固定ラン藻は、例えば、前記(4)〜(6)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子を欠損している。
本発明の好ましい実施形態において、上述した窒素固定ラン藻は、アナベナ(Anabaena)属に分類されるものである。
そして、本発明の他の形態によれば、上述したデンプンの製造方法を利用して得られたデンプンから有用物質を製造する方法もまた、提供される。すなわち、本発明の他の形態によれば、上述したデンプンの製造方法によってデンプンを製造する工程と、製造された前記デンプンを糖化してデンプンの糖化物を得る工程と、前記糖化物を原料として用いて、有用物質を得る工程とを含む、有用物質の製造方法が提供される。
この際、有用物質は、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、キシリトール、アミノ酸、乳酸、コハク酸、および水素からなる群から選択される。
本発明によれば、窒素固定ラン藻のデンプン代謝を制御し、窒素固定ラン藻によるデンプンの生産性を向上させうる手段が提供されうる。そして、本発明を利用して製造されるデンプンは、種々の有用物質の生産原料として有用である。したがって、本発明は、種々の有用物質の工業的な大量生産を安価で効率的に達成することにも資する、きわめて優位性の高いものである。
実施例において、sigE破壊株(ΔsigE)、sigE・nrrA二重破壊株(ΔsigE/nrrA)、および野生株(WT)のそれぞれについて、デンプン分解酵素をコードする遺伝子glgP1の発現量を定量比較した結果を示すグラフである。 実施例において、sigE破壊株(ΔsigE)、sigE・nrrA二重破壊株(ΔsigE/nrrA)、および野生株(WT)のそれぞれについて、デンプン含量を定量比較した結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには制限されない。
[デンプンの製造方法]
本発明の第1の形態は、デンプンの製造方法に関する。当該製造方法は、特定のタンパク質の機能が抑制された窒素固定ラン藻を培養して当該窒素固定ラン藻にデンプンを産生させる工程を含む。具体的には、上記窒素固定ラン藻においては、下記(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質の(デンプン分解を制御する転写制御因子としての)機能が抑制されている:
(1)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)配列番号2に示すアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されたアミノ酸配列からなり、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質;
(3)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされ、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質。
本発明の製造方法においてデンプンの産生源として利用される窒素固定ラン藻は、野生型の窒素固定ラン藻における上記特定のタンパク質の機能が抑制されたものである。本発明において利用される窒素固定ラン藻は、野生型のものと比較して、デンプン分解が抑制されており、その結果、野生型よりも多くのデンプンを産生しうるという特徴を有する(後述する実施例を参照)。
本明細書において、「タンパク質の機能が抑制されている」とは、当該タンパク質をコードする遺伝子がゲノムから欠損していること、当該タンパク質をコードする遺伝子の発現が阻害されていること、および、当該タンパク質の活性が低下していること、のすべての場合を包含する概念である。そして、これらのいずれかによって所定のタンパク質の機能を抑制する具体的な手法について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。
より詳細に、特定のタンパク質をコードする遺伝子をゲノムから欠損させる方法としては、特に限定されないが、相同組換えを用いた方法やトランスポゾンを用いた方法などが挙げられる。また、当該遺伝子を欠損させる場合には、当該遺伝子の全長を欠損させてもよいし、部分的に欠損させてもよい。
また、特定のタンパク質をコードする遺伝子の発現を阻害する方法としては、特に限定されないが、当該遺伝子の発現を制御しているプロモーターを欠損させる方法、当該遺伝子の発現を制御しているプロモーターを発現誘導型プロモーターに置換する方法、当該遺伝子の発現を制御しているプロモーターに突然変異を導入する方法、RNA干渉を利用して当該遺伝子の転写産物を分解する方法、および、アンチセンスRNAを利用して当該遺伝子の翻訳を阻害する方法などが挙げられる。
さらに、特定のタンパク質の活性を低下させる方法としては、当該タンパク質に特異的に結合して当該タンパク質の活性を抑制する機能を有する物質を作用させる方法などが挙げられる。当該物質としては、当該タンパク質の機能を阻害できる抗体や阻害物質などが挙げられる。
本発明の製造方法に用いられる窒素固定ラン藻は、典型的には、配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質(上記(1);SigEタンパク質)の機能が抑制されたものである。全長ゲノム配列が解読されている(GenBank: BA000019.2、6413771bpの環状DNA、文献(DNA Res. 8 (5), 205-213 (2001)))窒素固定ラン藻であるアナベナ(Anabaena sp. strain PCC 7120(別称:Nostoc sp. strain PCC 7120))において、SigEタンパク質(GenBank: BAB75948.1;RNAポリメラーゼのグループ2σ因子である)はsigE遺伝子(別称:alr4249遺伝子)によってコードされており、当該sigE遺伝子は、上記ゲノム配列の第5097964ヌクレオチドから第5099136ヌクレオチドまでの1173bpからなる。このsigE遺伝子の塩基配列を配列番号1に示し、sigE遺伝子によってコードされるSigEタンパク質のアミノ酸配列を配列番号2に示す。
なお、本発明の製造方法に用いられる窒素固定ラン藻は、下記(2)または(3)に記載のタンパク質の機能が抑制されたものであってもよい:
(2)配列番号2に示すアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されたアミノ酸配列からなり、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質;
(3)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされ、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質。
ここで、上記(2)における「複数のアミノ酸」とは、2以上のアミノ酸であれば特に制限はなく、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質の機能が抑制されるのであれば、いくつのアミノ酸であってもよい。また、1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入する部位としては、特に制限はない。
同様に、上記(3)における「複数の塩基」とは、2以上の塩基であれば特に制限はなく、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質の機能が抑制されるのであれば、いくつの塩基であってもよい。1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入する部位についてもまた、特に制限はない。
なお、窒素固定ラン藻において、上述したいずれかのタンパク質の機能が抑制されているか否かは、窒素固定ラン藻における当該タンパク質の発現量や活性を測定し、得られた測定結果を野生型におけるものと比較することにより、判定することができる。また、SigEタンパク質は、デンプン分解酵素をコードするglgP1遺伝子の発現を促進する方向に制御していることから、このglgP1遺伝子の発現量を野生型と比較することによってもまた、上述したいずれかのタンパク質の機能が抑制されているか否かを判定することができる(後述する実施例を参照)。
本発明のより好ましい実施形態においては、上述したいずれかのタンパク質の機能が抑制されている窒素固定ラン藻においては、下記(4)〜(6)のいずれかに記載のタンパク質の(デンプン分解を制御する転写制御因子としての)機能が抑制されている:
(4)配列番号4に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
(5)配列番号4に示すアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されたアミノ酸配列からなり、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質;
(6)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされ、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質。
かような実施形態でデンプンの製造に用いられる窒素固定ラン藻は、野生型のものと比較して、デンプン分解がより一層抑制されており、その結果、野生型よりも(しかも、上述したSigEタンパク質のみの機能が抑制されたものよりも)多くのデンプンを産生しうるという特徴を有する(後述する実施例を参照)。
本実施形態に用いられる窒素固定ラン藻は、典型的には、配列番号4に示すアミノ酸配列からなるタンパク質(上記(4);NrrAタンパク質)の機能が抑制されたものである。アナベナにおいて、NrrAタンパク質(GenBank: BAB76011.1;窒素応答性応答制御因子である)はnrrA遺伝子(別称:all4312遺伝子)によってコードされており、当該nrrA遺伝子は、上記ゲノム配列の第5166997ヌクレオチドから第5167767ヌクレオチドまでの771bpからなる。このnrrA遺伝子の塩基配列を配列番号3に示し、nrrA遺伝子によってコードされるNrrAタンパク質のアミノ酸配列を配列番号4に示す。
なお、本実施形態に用いられる窒素固定ラン藻は、下記(5)または(6)に記載のタンパク質の機能が抑制されたものであってもよい:
(5)配列番号4に示すアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されたアミノ酸配列からなり、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質;
(6)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされ、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質。
なお、窒素固定ラン藻において、上述したいずれかのタンパク質の機能が抑制されているか否かは、窒素固定ラン藻における当該タンパク質の発現量や活性を測定し、得られた測定結果を野生型におけるものと比較することにより、判定することができる。さらに、NrrAタンパク質もまた、デンプン分解酵素をコードするglgP1遺伝子の発現を促進する方向に制御していることから、このglgP1遺伝子の発現量を野生型と比較することによってもまた、上述したいずれかのタンパク質の機能が抑制されているか否かを判定することができる(後述する実施例を参照)。その他、当該好ましい実施形態を実施するための具体的な手法は上述したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
本発明の製造方法に用いられる窒素固定ラン藻は、特に制限されず、従来公知の任意の窒素固定ラン藻のほか、将来新たに発見・作製されることになる任意の窒素固定ラン藻が同様に用いられうる。窒素固定ラン藻の一例としては、例えば、上述したアナベナ(Anabaena sp. strain PCC 7120)のほか、Anabaena variabilis ATCC 29413,
Nostoc punctiforme ATCC 29133, Trichodesmium erythraeum IMS101, Leptolyngbya boryana UTEX 485, Cyanothece sp. ATCC 51142, Synechococcus sp. JA-3-3Abなどが挙げられる。ただし、これらの形態のみに限定されないことは上述したとおりである。
本発明のデンプンの製造方法では、上述した窒素固定ラン藻を培養する。そしてこれにより、当該窒素固定ラン藻にデンプンを産生させる。
窒素固定ラン藻を培養するための具体的な手法やその際の培養条件について特に制限はなく、後述する実施例の欄の記載、および本技術分野における技術常識を参酌して、当業者であれば適宜実施することが可能である。例えば、文献(Ehira et al., NrrA Directly Regulates Expression of hetR during Heterocyst Differentiation in the Cyanobacterium Anabaena sp. Strain PCC 7120. Journal of Bacteriology 2006; Vol. 188, No. 24: 8520-8525、特に8521頁左欄最上欄)の記載などが参照されうる。
培養条件の一例として、培地の組成は、個々の藻類によって適宜設定されうる。例えば、炭素源として有機物(例えば、酢酸、蟻酸、クエン酸等の有機酸、グルコース、マルトース等の糖類、および/または脂質)および無機塩類を含む培地を用いることができ、また、炭素源として、炭酸ガス(二酸化炭素)、炭酸塩等を用いることもできる。なお、窒素固定ラン藻は、空気中の窒素を固定することにより窒素源として利用することが可能である。このため、これら以外のラン藻の培養時に培地に添加することが必要とされる窒素源としての有機物または無機物(例えば、尿素、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、ポリペプトン等)の添加が必須ではない。したがって、工業上きわめて優位性の高い技術であるといえる。なお、窒素固定ラン藻を培養するための培地のpH、培養温度等の条件も当業者が適宜設定でき限定されないが、好ましくは、pH7〜10、培養温度15〜35℃であり、より好ましくは、pH7〜8、培養温度25〜30℃である。また、培養条件(培地組成、培養温度等を含む)としては、細胞分裂が活発に行われる条件が好ましい。
上述した培地を用い、窒素固定ラン藻は、好気的に暗所培養(従属栄養的(heterotrophic)培養)により培養されるか、光合成により独立栄養的(autotrophic)に培養されうる。さらに、従属栄養的培養(従属栄養による培養)と独立栄養的培養(光独立栄養による培養)を並行させて藻類を培養することもできる。例えば、炭素源として、有機物(有機酸、糖類および/または脂質等)を添加した培地を用い、藻類を従属栄養的に培養することができ、また、炭素源として、炭酸ガスを用い、光照射により独立栄養的に培養することもできる。場合により、上記有機物添加による従属栄養による培養と炭酸ガスと光照射による光独立栄養による培養を併存させて、培養してもよい。なお、光合成に必要な光としては、太陽光の他、電球、光ファイバー等の人工の光も利用できる。
環境への貢献、並びにデンプンおよび後述する有用物質を安価に製造するという観点から、栄養源としての有機物は、市販製品を用いることもできるが、廃液等を用いることもできる。窒素固定ラン藻によるデンプンの製造過程において、工業的に多量に排出されている有機酸廃液等を炭素源として用いることで、極めて安価にデンプンの製造を行なうことが可能である。炭素源として添加する有機酸廃液の種類や、添加方法は、限定されないが、酢酸が工業的に広く用いられ、排出量が多いことから、容易に利用することが可能な有機酸廃液の一例としては酢酸廃液が挙げられる。また、グリセリンやアルコール類の廃液も利用できる。これらの廃液は、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。さらに、炭素源として、工業的に排出される二酸化炭素(炭酸ガス)または炭酸塩を用いることもできる。いわゆる排気ガスとして、排出される炭酸ガス量は年々増加の一途をたどっており、炭酸ガスの排出削減が叫ばれているが、実施することは困難を極め、炭酸ガス排出量削減は不可能であるともいわれている。従来、大気中に放出されて拡散した低濃度の炭酸ガスを、自然条件下において、植物が利用する以外に、低減させる手法を持ち合わせてはいない。
上述の手法により製造されたデンプンと窒素固定ラン藻とを分離する形態については、特に限定はされないが、遠心分離、篩、デカンテーションまたは水流等により、デンプンおよびラン藻の細胞の粒子径および/または形等の物理的性質に基づく分離手段によりなされうる。また、分離されたデンプンを回収する手段についても特に限定はされないが、例えば、水またはアセトン等の溶媒で洗浄し、遠心分離機により、例えば、2000rpmで遠心してデンプンを回収することができる。
[有用物質の製造方法]
本発明のデンプンの製造方法によって製造されたデンプンは、デンプンの用途として従来公知の任意の用途に用いられうる。本発明の一形態において、上述のようにして製造されたデンプンは、各種の有用物質の製造に用いられうる。デンプンを原料として各種の有用物質を製造する技術自体もよく知られており、その具体的な形態について特に制限はない。
有用物質としては、例えば、エタノールが挙げられる。エタノールは、例えば、回収されたデンプンを糖化し、アルコール発酵することにより製造されうる。すなわち、本発明の一形態によれば、上述したデンプンの製造方法によってデンプンを製造する工程と、製造された当該デンプンを糖化してデンプンの糖化物(デンプンが加水分解されてなるグルコース)を得る工程と、当該糖化物を原料として用いて、エタノールを得る工程とを含む有用物質の製造方法が提供されうる。
糖化やアルコール醗酵の具体的な方法に関しては、限定されるものでないが、その一例として、糖化方法としては、酸糖化法、酵素糖化法等が挙げられ、また醗酵は、定法のアルコール酵母を用いても、アルコール生産能を有する細菌等、他の微生物を用いてもよい。
より具体的には、例えば、デンプンの糖化については、澱粉糖化酵素、例えば、マグナックス JW-101(洛東化成工業株式会社、Magnax JW-101, RAKUTO KASEI INDUSTRIAL Co.,Ltd.:α-アミラーゼ、グルコアミラーゼを含む)等を用いて生化学的に、または、デンプンの酵素糖化とアルコール醗酵とを同時並行的に行なう方式(並行発酵)で、糖化処理を行ってもよい。加えて、麹カビ等の微生物によるデンプンの酵素糖化と、アルコール醗酵とを同時並行的に行なう方式、いわゆる並行複醗酵によって、糖化処理とアルコール醗酵とを同時に行なってもよい。
アルコール醗酵後、得られたエタノールは、蒸留され、脱水されて、アルコール濃度を高めたアルコールを製造することができる。蒸留および脱水の手段は、特に限定されず、当業者が通常知られている手段より適宜選択できる。
以上、有用物質がエタノールである場合を例に挙げて、有用物質を製造するための手法を説明したが、本発明のデンプンの製造方法によって製造されたデンプンを原料として用いて製造されうる有用物質は、エタノールに限定されない。
エタノール以外にデンプンから糖化物を経て製造されうる有用物質としては、例えば、イソプロパノール、ブタノール、キシリトール、乳酸、コハク酸、および水素などが挙げられる。これらの有用物質をデンプンの糖化物(グルコース)から製造する具体的な手法についても特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。例えば、イソプロパノールの製造には、文献(Jojima et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 77:1219-1224(2008))に記載の手法が用いられうる。また、ブタノールの製造には、文献(Atsumi et al., Nature 451:86-89(2008))に記載の手法が用いられうる。さらに、キシリトールの製造には、文献(Sasaki et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 86:1057-1066(2010))に記載の手法が用いられうる。また、アミノ酸の製造には、文献(Hermann, J. Biotechnol. 104:155-172(2003))に記載の手法が用いられうる。また、乳酸の製造には、文献(Okino et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 78:449-454(2008))に記載の手法が用いられうる。さらに、コハク酸の製造には、文献(Okino et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 81:459-464(2008))に記載の手法が用いられうる。そして、水素の製造には、文献(Yoshida et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 73:67-72(2006))に記載の手法が用いられうる。
以下、実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.Anabaena sp. strain PCC 7120株(以下、「Anabaena 7120株」とも称する)の染色体DNA上のsigE遺伝子の破壊
Anabaena 7120株のゲノムDNAを鋳型として、下記の表1に示す2組のプライマーセット(sigE-5F(上流断片用フォワードプライマー)とsigE-5R(上流断片用リバースプライマー)とのセット、およびsigE-3F(下流断片用フォワードプライマー)とsigE-3R(下流断片用リバースプライマー))を用いて、ゲノムDNA上のsigE遺伝子の上流に隣接した0.8kb断片、および下流に隣接する0.9kb断片をそれぞれ調製した。
このようにして得られたsigE遺伝子の上流断片をプラスミドpBluescript II KS-(Stratagene, CA, USA)のSacI部位とBamHI部位との間に挿入し、さらに下流断片をBamHI部位とXhoI部位との間に挿入した。次に、プラスミドpDW9(Golden and Wiest、Science 242:1421-1423(1988))に由来するスペクチノマイシン(Sp)耐性カセットを、sigE遺伝子の上流断片と下流断片との間のBamHI部位に挿入した。続いて、sigE遺伝子の上流断片、Sp耐性カセット、およびsigE遺伝子の下流断片からなるDNA断片をプラスミドpRL271(Blackら、Mol Microbiol 9:77-84(1993))のSacI部位とXhoI部位との間に挿入した。このプラスミドをElhai and Wolkの方法(Methods Enzymol 167:747-754(1988))に準じて、大腸菌を用いた接合法によりAnabaena 7120株に導入し、相同組換えを利用して染色体上のsigE遺伝子を破壊した遺伝子に置き換えた。
2.PCRによるsigE遺伝子破壊の確認
上述のようにしてSp耐性カセットを導入したAnabaena 7120株を、Sp(10μg/ml)を含む寒天培地上に広げ、Sp存在下で生育するクローンを選抜した。選抜したクローンのゲノムDNAを鋳型として、上記表1に示すsigE-5FとsigE-3Rとのプライマーセットを用いてPCRを行い、増幅したDNA断片をアガロースゲル電気泳動によりサイズ分画することで、これらのクローンではsigE遺伝子が破壊されていることを確認した。
3.野生株およびsigE破壊株のデンプン分解酵素遺伝子glgP1の発現量の測定
Anabaena 7120株およびsigE破壊株のそれぞれについて、デンプン分解酵素遺伝子であるglgP1遺伝子(mRNA)の発現量を以下の手法(定量PCR法)により測定した。
最初に、菌体からRNAをPintoらの方法(BMC Mol Biol 10:79(2009))に従い調製した。次に、1μgのRNAを鋳型として、Anabaena-specific primer mix(Ehira and Ohmori、Mol Microbiol 59:1692-1703(2006))およびPrimeScript(登録商標) 1st strand cDNA Synthesis Kit(タカラバイオ)を用いて、cDNAを合成した。合成したcDNAを鋳型として、下記の表2に示すプライマーセット(RT1272-F(フォワードプライマー)とRT1272-R(リバースプライマー)とのセット)およびSYBR(登録商標)Premix Ex TaqTM(タカラバイオ)を用いて、Thermal Cycler Dice(登録商標)Real Time System(タカラバイオ)により、glgP1遺伝子の発現量を定量した。
定量結果を図1に示す。図1に示すように、sigE破壊株(ΔSigE)では、野生株(WT)と比較して、glgP1の発現量が40%低下していた。なお、図1に示すグラフの縦軸の値は、Anabaena 7120株(WT)でのglgP1遺伝子の発現量を1としたときの、glgP1遺伝子(mRNA)の発現量の相対値である。
4.野生株およびsigE破壊株のデンプン含量の測定
Anabaena 7120株およびsigE破壊株を、BG-11培地(Rippkaら、J Gen Microbiol 111:1-61(1979))を用いて、30μE/m2/s2の光条件のもと、二酸化炭素濃度1%(v/v)になるように補填した空気を通気しながら、30℃で培養した。培養には三洋電機製インキュベーターMIR-254を用い、必要に応じてSpを10μg/mlの濃度で培地に添加した。
Anabaena 7120株およびsigE破壊株を上記の条件で培養し、各々タンパク質濃度が57μg/mlおよび35μg/mlに達した時点で遠心分離により集菌した。デンプン含量は、Valladaresらの方法(J Bacteriol 189:4425-4430(2007))に従い、デンプンの酸加水分解により生成したグルコース量を指標として定量した。定量結果を図2に示す。図2に示すように、sigE破壊株(ΔSigE)では、野生株(WT)と比較して、デンプン含量が3倍以上に増加していた。
5.sigE遺伝子およびnrrA遺伝子の二重破壊株の作製
上記1.に記載したAnabaena 7120株のsigE遺伝子破壊の方法に従って、nrrA遺伝子が破壊されているDR4312S株(Ehira and Ohmori、前述)のsigE遺伝子を破壊して、sigE・nrrA二重破壊株を得た。
6.sigE・nrrA二重破壊株のデンプン分解酵素遺伝子glgP1の発現量の測定
上記5.で得たsigE・nrrA二重破壊株のglgP1遺伝子発現量を、上記3.と同様にして測定した。測定結果を図1に示す。図1に示すように、sigE・nrrA二重破壊株(ΔsigE/nrrA)では、glgP1遺伝子の発現量が、sigE破壊株(ΔsigE)よりもさらに低下し、野生株(WT)の4割にまで低下していた。
7.sigE・nrrA二重破壊株のデンプン含量の測定
上記4.と同様の方法で、sigE・nrrA二重破壊株のデンプン含量を定量した。定量結果を図2に示す。図2に示すように、sigE・nrrA二重破壊株(ΔsigE/nrrA)では、sigE破壊株(ΔsigE)よりもさらにデンプン含量が増え、野生株(WT)と比べて4倍以上にまで増加していた。
以上のことから、本発明によれば、窒素固定ラン藻のデンプン代謝を制御し、窒素固定ラン藻によるデンプンの生産性を向上させうる手段が提供されうる。そして、本発明を利用して製造されるデンプンは、種々の有用物質の生産原料として有用である。したがって、本発明は、種々の有用物質の工業的な大量生産を安価で効率的に達成することにも資する、きわめて優位性の高いものである。
〔配列番号:1〕
sigE遺伝子の塩基配列を表す。
〔配列番号:2〕
sigE遺伝子によりコードされるSigEタンパク質のアミノ酸配列を表す。
〔配列番号:3〕
nrrA遺伝子の塩基配列を表す。
〔配列番号:4〕
nrrA遺伝子によりコードされるNrrAタンパク質のアミノ酸配列を表す。
〔配列番号:5〕
sigE遺伝子の上流に隣接した領域の増幅に用いたフォワードプライマーの塩基配列を表す。
〔配列番号:6〕
sigE遺伝子の上流に隣接した領域の増幅に用いたリバースプライマーの塩基配列を表す。
〔配列番号:7〕
sigE遺伝子の下流に隣接した領域の増幅に用いたフォワードプライマーの塩基配列を表す。
〔配列番号:8〕
sigE遺伝子の下流に隣接した領域の増幅に用いたリバースプライマーの塩基配列を表す。
〔配列番号:9〕
glgP1遺伝子の発現量を定量するのに用いたフォワードプライマーの塩基配列を表す。
〔配列番号:10〕
glgP1遺伝子の発現量を定量するのに用いたリバースプライマーの塩基配列を表す。

Claims (7)

  1. 下記(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質の機能が抑制された窒素固定ラン藻を培養して前記窒素固定ラン藻にデンプンを産生させる工程を含む、デンプンの製造方法:
    (1)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (2)配列番号2に示すアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されたアミノ酸配列からなり、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質;
    (3)配列番号1に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされ、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質。
  2. 前記窒素固定ラン藻が、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子を欠損している、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記窒素固定ラン藻において、さらに下記(4)〜(6)のいずれかに記載のタンパク質の機能が抑制されている、請求項1または2に記載の製造方法:
    (4)配列番号4に示すアミノ酸配列からなるタンパク質;
    (5)配列番号4に示すアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加または挿入されたアミノ酸配列からなり、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質;
    (6)配列番号3に示す塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて1または複数の塩基が置換、欠失、付加または挿入された塩基配列からなるポリヌクレオチドによってコードされ、デンプン分解を制御する転写制御因子として機能するタンパク質。
  4. 前記窒素固定ラン藻が、前記(4)〜(6)のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子を欠損している、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記窒素固定ラン藻がアナベナ(Anabaena)属に分類される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法によってデンプンを製造する工程と、
    製造された前記デンプンを糖化してデンプンの糖化物を得る工程と、
    前記糖化物を原料として用いて、有用物質を得る工程と、
    を含む、有用物質の製造方法。
  7. 前記有用物質が、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、キシリトール、アミノ酸、乳酸、コハク酸、および水素からなる群から選択される、請求項6に記載の製造方法。
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