JP2012068201A - 欠陥検査方法及び検査装置 - Google Patents

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【課題】比較的大きなサイズの欠陥を高感度で検出できると共に、高さ又は深さの変化量が1nm又はそれ以下の微細な欠陥も検出できる検査装置を実現する。
【解決手段】照明光源1からの照明ビームを被検査基板21に向けて投射する対物レンズ20と、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、基板の表面で反射したサブビーム同士を合成し、基板表面の高さ又は深さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系16と、出射した干渉ビームを受光する光検出手段28と有する。微分干渉光学系のリターデーション量は、mを零又は正の整数とした場合に、第1と第2のサブビームとの間に(2m+1)π又はその近傍の位相差が形成されるように設定し、前記光検出手段から出力される出力信号のバックグランドの輝度レベルがほぼ零となる検査状態において基板表面を照明ビームにより走査する。
【選択図】図1

Description

本発明は欠陥検査方法、特に基板表面に形成された高さ又は深さの変化量が数nmレベルの微細な欠陥を検出できる欠陥検査方法及び検査装置に関するものである。
デバイスの微細化に伴い、各種半導体基板の検査において微細な欠陥を検出できる検査装置の開発が強く要請されている。微細な欠陥を検出できる検査装置として、微分干渉光学系を有する顕微鏡が既知である(例えば、特許文献1参照)。微分干渉顕微鏡は、試料表面の高さないし深さの変化を検査光の位相差として検出するため、十数nm程度の微細な表面高さ又は表面深さの変化を輝度情報として検出することができる。微分干渉顕微鏡では、一般的には、良好な検出感度を得るためリターデーション量がπ/2に設定され、微分干渉光学系から出射するサブビーム間にπ/2又はその奇数倍の位相差が与えられている。
さらに、微細な欠陥を検出する検査装置として、微分干渉光学系と共焦点光学系とが組み合わされた検査装置も既知である(例えば、特許文献2参照)。この既知の検査装置では、レーザ光源から出射したレーザビームを回折格子によりマルチビームに変換し、マルチビームを微分干渉光学系を介して試料表面に投射している。試料表面で反射したマルチビームは、微分干渉光学系により合成され、試料表面の高さに対応した位相差を含む干渉ビームが光検出器に入射している。微分干渉光学系が搭載された共焦点走査装置は、微分干渉光学系の特性に加えて、共焦点走査装置の特性が付加されるので、フレアー光による影響が軽減され、一層高い解像度で欠陥を検出することが可能である。
特開2002−287327号公報 特開2001−27611号公報
フォトマスクの分野においては、マスク基板やマスクブランクスに形成されるなだらかに変化する欠陥が問題となっており、製品の歩留りを改善するため、高さが1nm程度で幅が10μm程度のなだらかに変化する欠陥を検出できることが要請されている。また、炭化珪素基板(SiC基板)の検査において、潜傷と称せられている研磨工程(CMP工程)で発生する欠陥の検出も要請されている。この潜傷は、深さが数nm程度の線状の加工欠陥であり、あるいは、深さが数nmの加工変質層を伴う欠陥であり、デバイスの製造の歩留りに影響する。さらに、シリコン基板や炭化珪素基板及びこれらの基板に形成されたエピタキシャル層に存する結晶欠陥は、基板表面において高さ或いは深さがなだらか変化する微小な凹凸欠陥の場合も多い。従って、半導体デバイスを製造する際、高さ又は深さの変化量が数nm以下の微細な欠陥を検出することが強く要請されている。
一方、従来の微分干渉光学系が搭載された共焦点走査装置では、微分干渉光学系のリターデーション量がπ/2に設定され、明視野照明が行われるため、欠陥の部位から発生する反射光(欠陥光)が光学的ノイズや電気的なノイズに埋もれてしまい、高さ又は深さの変化量が1nm又はそれ以下の微細な欠陥を輝度情報として検出することが困難であった。特に、高さ又は深さ変化量が1nm又はそれ以下で緩やかに変化する欠陥を検出することは極めて困難であった。
別の検査装置として、レーザ散乱方式の検査装置が既知である。レーザ散乱方式の検査装置では、検出器は、試料から出射した散乱光だけが入射するように配置され、暗視野照明が行われている。従って、微小な欠陥や異物が検出されている。しかしながら、各種基板のうねり等の基板表面が緩やかに変化する欠陥の場合、散乱光が発生せず、或いは僅かな散乱光しか発生しないため、基板表面が緩やかに変化する微細な欠陥を検出しにくい欠点がある。
本発明の目的は、高さ又は深さの変化が1nm程度の微細な欠陥、特に欠陥の部位の表面高さ又は表面深さが緩やかに変化する欠陥を検出できる検査装置検査方法を実現することにある。
本発明の別の目的は、比較的大きなサイズの欠陥や縦横比(アスペクト比)の大きな欠陥を高感度で検出できると共に、高さ又は深さの変化量が1nm又はそれ以下の微細な欠陥も検出できる検査装置を実現することにある。
本発明による検査方法は、照明ビームを発生する照明光源と、検査すべき基板を支持するステージと、前記照明ビームをステージ上に配置した基板に向けて投射する対物レンズと、前記照明光源と対物レンズとの間の光路中に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、基板の表面で反射したサブビーム同士を合成し、基板表面の高さ又は深さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系と、前記微分干渉光学系から出射した干渉ビームを受光する光検出手段と、前記光検出手段に接続した信号処理装置とを有する検査装置を用いて基板を検査する検査方法であって、
前記微分干渉光学系のリターデーション量を、mを零又は正の整数とした場合に、第1のサブビームと第2のサブビームとの間に(2m+1)π又はその近傍の位相差が形成されるように設定し、前記光検出手段から出力される出力信号のバックグランドの輝度レベルがほぼ零となる検査状態を形成する工程と、
前記バックグラウンドの輝度レベルがほぼ零となる検査状態において、前記照明ビームとステージ上の基板とを相対移動させ、基板表面を照明ビームにより走査する工程とを有することを特徴とする。
本発明では、微分干渉光学系が搭載された検査装置を用いて微細な欠陥の検査を行う。微分干渉光学系は、基板表面の凹凸変化を検査光の位相差として検出するため、微細な欠陥や表面高さが緩やかに変化する欠陥の検出に好適である。一方、表面高さの変化が1nm程度の場合、欠陥を走査した際にサブビーム間に導入される位相差が微小であり、欠陥を輝度変化として検出する場合電気的ノイズや光学ノイズの影響を受け易い問題がある。特に、微分干渉光学系を用いて検査する場合明視野照明が行われるため、微小な欠陥光の輝度変化が光学的ノイズや電気的ノイズに埋もれてしまう。この問題点を解決する方法として、照明光の強度を一層高くする方法が考えられる。すなわち、照明光の強度を高く設定すれば、光検出器の熱雑音等の電気的なノイズの強度は変化しないが、欠陥部分を走査することにより発生する輝度変化の振幅は一層大きくなり、微小な位相差に起因する輝度変化を検出することが可能になる。しかしながら、明視野照明の場合、照明光の強度を高くすると、バックグラウンドの輝度も同時に高くなり、光検出器が飽和する不都合が発生する。従って、照明光の強度を高くするためには限界がある。
そこで、本発明では、背景光の輝度レベルがほぼ零となり、暗視野照明と同様な検査状態を形成する。背景光の輝度レベルがほぼ零となる検査状態においては、照明ビームの強度を相当高く設定しても、光検出器が飽和しないので、微小な位相差欠陥を輝度変化として検出することが可能になる。背景光の輝度レベルを零にすることは、微分干渉光学系(ノマルスキープリズム)のリターデーション量をπ又はその奇数倍に設定することにより形成される。そして、暗視野照明と同様な検査状態を形成すれば、電気的なノイズの影響が大幅に軽減された検査状態が設定される。この結果、表面高さ又は深さの変化量が1nm程度であっても、欠陥部分を走査することにより導入される位相差を背景光から明瞭に識別される輝度変化として検出することが可能になる。これにより、シリコン基板や炭化珪素基板或いはマスク基板やマスクブラクス等の各種基板の検査において、高さ又は深さの変化量が1nm又はそれ以下の微小な欠陥並びにアスペクト比が小さく緩やかに変化する欠陥を検出すること可能になる。
照明光量を増大する方法として、照明光源から放出される照明ビームの強度を高くする方法だけでなく、光検出手段として積分効果を有するTDIセンサを用いることにより同様な効果が達成される。TDIセンサは、その積分効果により相当高い検出感度が得られるので、照明ビームの強度をあまり高くすることなく、微弱な欠陥光を背景光から区別して検出することが可能である。すなわち、TDIセンサの高い検出感度を利用することにより、微分干渉光学系のリターデーション量をπに設定することによる光量低下の問題が解決される。この場合、ステージの移動速度を低速度に切り換えることができれば、一層有益である。
本発明による検査装置は、照明ビームを発生する照明光源と、
検査すべき基板を支持するステージと、
前記照明ビームをステージ上に配置した基板に向けて投射する対物レンズと、
前記照明光源と対物レンズとの間の光路中に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、基板の表面で反射したサブビーム同士を合成し、基板表面の高さ又は深さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系と、
前記微分干渉光学系から出射した干渉ビームを受光する光検出手段と、
前記光検出手段に接続した信号処理装置とを有し、
前記微分干渉光学系のリターデーション量は、mを零又は正の整数とした場合に、第1のサブビームと第2のサブビームとの間に(2m+1)π又はその近傍の位相差が形成されるように設定され、前記光検出手段から出力される出力信号のバックグランドの輝度レベルがほぼ零となる検査状態で欠陥検査が行われることを特徴とする。
微分干渉光学系が搭載された検査装置の場合、微分干渉光学系のリターデーション量をπ又はその近傍に設定することにより、背景光の輝度レベルがほぼ零となる暗視野照明と同様な検査状態を形成することが可能である。
本発明による別の検査装置は、照明ビームを発生する照明光源と、
検査すべき基板を支持するステージと、
前記照明ビームをステージ上に配置した基板に向けて投射する対物レンズと、
前記照明光源と対物レンズとの間の光路中に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、基板の表面で反射したサブビーム同士を合成し、基板表面の高さ又は深さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系と、
前記微分干渉光学系から出射した干渉ビームを受光する光検出手段と、
前記光検出手段に接続された信号処理装置と、
前記照明光源から出射し基板に入射する照明光の強度を制御する照明強度制御手段とを具え、
前記微分干渉光学系は、前記サブビーム間に第1の位相差を与える第1のリターデーションモードと、第1の位相差よりも大きい位相差である第2の位相差を与える第2のリターデーションモードとの間で切り換え可能に構成され、
前記基板に入射する照明ビームの照明強度は、第1の照明強度と、第1の照明強度よりも高い照明強度の第2の照明強度との間で切り換え可能に設定され、
前記微分干渉光学系が第1のリターデーションモードに設定された場合基板に投射される照明ビームの照明強度は第1の照明強度に設定され、微分干渉光学系が第2のリターデーションモードに設定された場合前記照明ビームの照明強度は第2の照明強度に設定されることを特徴とする。
シリコン基板や炭化珪素基板、エピタキシャル層が形成されたシリコン又は炭化珪素基板、或いはマスク基板やマスクブラクス等の各種基板の検査においては、高さが数10〜数100nm程度の比較的大きな欠陥やアスペクト比の大きい欠陥を高い検出感度で検出できることが要求されると共に、高さ又は深さの変化量が1nm又はそれ以下の微小な欠陥或いはアスペクト比が小さく緩やかに変化する欠陥を検出することも要求されている。このような要求に対応するため、本発明では、明視野照明と背景の信号レベルがほぼ零となる照明状態との2種類の照明状態を形成し、欠陥検査の目的や検出すべき欠陥の特性に応じて照明方法を切り換える。すなわち、比較的サイズの大きい欠陥やアスペクト比の大きな欠陥の検査を目的とする場合明視野照明で検査を行い、高さ又は深さの変化量が1nm程度の微細な欠陥や表面高さが緩やかに変化する欠陥の検査を目的とする場合バックグラウンドの信号レベルがほぼ零となる照明状態により検査を行う。この照明方法の切り換えは、微分干渉光学系のリターデーション量を切り換えることにより行うことができ、微分干渉光学系のリターデーション量をπ/2に設定した場合明視野照明が行われ、リターデーション量がπ又はその近傍に設定された場合バックグラウンドの信号レベルがほぼ零となる検査状態が形成される。
明視野照明の場合、光検出手段からの出力信号が飽和しない範囲で使用する制約があるため、照明光量を増大するには制限がある。一方、背景信号レベルがほぼ零の場合、光検出手段に入射する干渉光の強度は極めて小さいため、照明光量を相当増大することが可能であると共に、増幅器のゲインを高くすることも可能である。照明光源から放出される照明ビームの強度を相当高く設定すれば、光検出手段からの出力信号が飽和することなく、反射光に導入される微小な位相差を輝度情報として検出することが可能になる。すなわち、欠陥の高さが1nm程度の場合、反射光に導入される位相差は、1°又はそれ未満である。しかし、照明光量を増大することにより、或いは照明光量の増大と共に増幅器のゲインも増大することにより、微小な位相差であっても輝度情報として検出することができる。
尚、反射光に導入される微小な位相差を輝度情報として検出する方法として、光検出手段のゲインを高くする方法と照明光源の光量を増大する方法の2つの方法のいずれかを採用することができ、或いは2つの方法を組み合わすことも可能である。さらに、検査装置として、微分干渉光学系が搭載された共焦点走査装置を用いれば、フレアー光等の迷光が大幅に軽減されるため、一層高い分解能で欠陥を検出することが可能になる。
本発明による検査装置は、照明ビームを発生する照明光源と、
第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向に移動可能であって、検査すべき基板を支持するステージと、
前記照明ビームをステージ上に配置した基板に向けて投射する対物レンズと、
前記照明光源と対物レンズとの間の光路中に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、基板の表面で反射したサブビーム同士を合成し、基板表面の高さ又は深さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系と、
前記微分干渉光学系から出射した干渉ビームを受光するTDIセンサと、
前記TDIセンサに接続された信号処理装置とを具え、
前記微分干渉光学系は、前記サブビーム間に第1の位相差を与える第1のリターデーションモードと、第1の位相差よりも大きい位相差である第2の位相差を与える第2のリターデーションモードとの間で切り換え可能に構成されていることを特徴とする検査装置。
本発明では、微分干渉光学系のリターデーション量をπ又はその近傍に設定し、背景光の輝度がほぼ零となる検査状態に設定して欠陥検査が行われるので、照明光量が増大された検査状態で欠陥検査することができ、表面高さ又は深さが1nm程度の微小な欠陥を輝度情報として検出することが可能となる。
さらに、微分干渉光学系のリターデーション量を切り換えることにより明視野照明と背景光の輝度がほぼ零となる2種類の照明方法を行うことができるので、大きなサイズの欠陥やアスペクト比の大きな欠陥を高感度で検出できると共に、表面高さの変化量が1nm程度の微細な欠陥や表面高さが緩やかに変化する欠陥も検出することが可能である。
本発明による検査装置の一例を示す図である。 リターデーション量と欠陥信号強度との関係を示すグラフである。 微分干渉光学系のリターデーション量がπ/2に設定された場合の光検出手段の出力信号を示す模式図である。 微分干渉光学系のリターデーション量がπに設定された場合の光検出手段の出力信号を示す模式図である。 欠陥検出手段の一例を示す図である。 検査モードの切り換えを説明する図である。 本発明による検査装置の変形例を示す図である。 本発明による検査装置の別の変形例を示す図である。 本発明による検査装置の別の変形例を示す図である。
図1は本発明による検査装置の一例を示す線図である。本例では、検査すべき基板としてエピタキシャル層が形成された炭化珪素基板(SiC基板)を用いる。勿論、本発明は、エピタキシャル層が形成されていないシリコン基板や炭化珪素基板、マスク基板、マスクブランクス等の各種基板について欠陥検査を行うことができる。検査装置として、微分干渉光学系を有する共焦点走査装置を用い、共焦点走査装置により炭化珪素基板の全面を走査して基板全面の共焦点微分干渉画像を撮像する。得られた共焦点微分干渉画像について種々の画像処理を行って欠陥及びその座標(アドレス)を検出する。本例による検査装置は2つの検査モードを有し、第1の検査モードにおいてサイズの大きい欠陥やアスペクト比の大きな欠陥を高感度で検出し、第2の検査モードにおいては高さ又は深さの変化量が1nm程度の微細な欠陥を検出する。尚、検査モードを切り換える必要がない場合、微分干渉光学系のリターデーション量を(2m+1)π又はその近傍に固定し、第2の検査モードだけで動作する検査装置として実施することも可能である。
図1を参照するに、照明光源1として、水銀ランプを用いる。尚、キセノンランプやレーザ光源等の種々の照明光源も用いることができる。本例では、照明光源1は、検査中一定の強度の照明ビームを放出する。照明光源1から出射した照明ビームは、複数の光ファイバが積層された光ファイババンドル2に入射し、光ファイバを伝搬し、NDフィルタ3に入射する。NDフィルタ3は、回転角度に応じて出射する照明光の光量を制御する光減衰器として作用し、後述する微分干渉光学系のリターデーション量(リターデーションモード)に応じて第1又は第2の照明強度の照明ビームを選択的に出射させる。ここで、微分干渉光学系が第1のリターデーションモードに設定された場合、NDフィルタ3は、第1の照明強度の照明ビームを出射させ、微分干渉光学系が第2のリターデーションモードに設定された場合第2の照明強度の照明ビームを出射させる。一例として、第1の照明強度を1とした場合、第2の照明強度は第1の照明光量の32倍に設定する。NDフィルタ3はモータ4に連結され、モータ4は信号処理装置5により制御する。従って、信号処理装置5の制御のもとで、NDフィルタ3から第1及び第2の照明強度の照明ビームが出射する。NDフィルタ3から出射した照明ビームは波長選択フィルタ6に入射する。波長選択フィルタ6は、入射した照明ビームから緑の波長光(e線:波長546nm)を出射させる。
波長選択フィルタフィルタ6から出射した照明ビームは、集束性レンズ7により平行ビームに変換されてスリット8に入射する。スリット8は、集束性レンズ7の瞳位置に配置され、第1の方向(紙面と直交する方向)に延在する細長い開口部を有する。ここで、第1の方向をX方向と称する。スリット8の開口部の幅は、例えば10〜20μmに設定する。従って、スリット8から第1の方向に延在する細長いライン状の照明ビームが出射する。スリット8から出射したライン状の照明ビームは、偏光子9に入射し、単一の振動面を持つ偏光した光に変換される。このライン状の偏光ビームは、ビームスプリッタとして機能するハーフミラー10で反射し、リレーレンズ11を経て走査装置として機能する振動ミラー12に入射する。
振動ミラー12には、駆動回路13が接続され、駆動回路13は信号処理装置5から供給される制御信号に基づき振動ミラーを駆動する。振動ミラー12は、入射するライン状の光ビームを第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)に周期的に偏向する。信号処理装置5は、振動ミラーの角度情報に基づいて、光ビームのY方向の位置情報を検出する。振動ミラーの走査速度は、後述する微分干渉光学系のリターデーション量(リターデーションモード)に応じて、第1の走査速度と第1の走査速度よりも低速な第2の走査速度との間で切り換えられる。尚、振動ミラーは、基板を支持するステージを照明ビームに対して相対移動させて基板表面を照明ビームにより走査する場合、必ずしも必要ではない。
振動ミラー12から出射したライン状の光ビームは、リレーレンズ14及び15を経て微分干渉光学系に入射する。本例では、微分干渉光学系としてノマルスキープリズム16を用いる。ノマルスキープリズムに入射したライン状の照明ビームは、振動面が互いに直交する2本のサブビームに変換される。ノマルスキープリズム16は、mを零又は正の整数とした場合に、2本のサブビーム間に(2m+1)×π/2又はその近傍の位相差を与える第1のリターデーションモードと、(2m+1)×π又はその近傍の位相差を与える第2のリターデーションモードとの間で選択的に切り換えられる。すなわち、ノマルスキープリズム16は、サイズの大きな欠陥やアスペクト比の大きな欠陥の検査を目的とする第1の検査モードにおいて第1のリターデーションモードに設定され、高さの変化量が1nm程度の微細な欠陥の検査を目的とする第2の検査モードにおいて第2のリターデーションモードに設定する。第1のリターデーションモードの場合明視野照明となり、第2のリターデーションモードの場合暗視野照明となる。尚、第2のリターデーションモードにおける2本のサブビーム間の位相差は、例えば、175°〜185°の範囲に設定される。
リターデーションモードが切り換えられるように構成するため、ノマルスキープリズム16はアクチュエータ17に連結する。アクチュエータ17には、モータ18及び駆動回路19が接続される。アクチュエータ17は、モータ18を介して信号処理装置5からの制御信号により制御され、アクチュエータの駆動によりノマルスキープリズム16の光路中への挿入量が制御される。ノマルスキープリズム16の光路中への挿入量は選択的に制御され、ノマルスキープリズムは、第1のリターデーションモードと第2のリターデーションモードとの間で選択的に切り換えられる。
ノマルスキープリズム16から出射した2本のサブビームは対物レンズ20に入射し、集束性のライン状光ビームとして検査されるべき基板21上に投射される。従って、基板21の表面は、第1の方向(X方向)に延在するライン状の2本のサブビームにより、第2の方向(Y方向)に走査される。
対物レンズ20にはモータ22及びモータ駆動回路23が接続され、モータを駆動することにより光軸方向に沿って変位することが可能である。また、対物レンズ20には位置センサ24が連結され、対物レンズの光軸方向の位置が検出され、その位置情報は信号処理装置5に供給される。従って、対物レンズ20を光軸方向にそって移動させながら共焦点画像を撮像することにより、基板表面の3次元画像を撮像することができる。
欠陥検査される基板21は、ステージ25上載置する。ステージ25は、X方向及びX方向と直交するY方向に移動可能なXYステージにより構成されると共に、対物レンズの光軸と直交する面内で回転可能なステージとする。ステージのX方向及びY方向の位置情報は、位置センサ(図示せず)により検出され、ステージの位置情報が信号処理装置5に供給される。また、ステージ25の回転角もセンサ(図示せず)により検出され、信号処理装置5に供給される。基板21の全面を走査して欠陥を検出する場合、振動ミラー12を静止状態に維持し、ステージ25をY方向及びX方向にジッグザッグ状に移動させて基板21の全面を走査することができる。或いは、ステージ25を第1の方向に連続的に移動させ、振動ミラー12による第2の方向の走査と組み合わすことにより、基板の全面について欠陥検査を行うこともできる。さらに、振動ミラーによる走査とステージ移動とを組み合わせたステップアンドリピートにより基板全面を走査するが可能である。尚、ステージ移動により基板の表面を走査する場合、ステージの移動方向とステップバンチングの延在方向とが平行になるように設定することが望ましい。また、検出された欠陥のアドレスを用いてレビューする場合、欠陥の座標情報に基づいてステージをX及びY方向に移動させて欠陥を視野内に位置させ、振動ミラーを第2の方向にスキャンすることにより欠陥及びその付近の共焦点微分干渉画像を撮像することができる。
基板21の表面で反射した2本の反射ビームは、対物レンズ20により集光され、ノマルスキープリズム16に入射する。2本の反射サブビームは、ノマルスキープリズムにより合成され、基板表面の高さ変化を位相差情報として含む干渉ビームが形成される。例えば、基板21面に表面高さが数nm程度変化する凹状又は凸状の欠陥が存在する場合、基板表面に入射した2本のサブビームのうち1本のサブが欠陥上を走査し、他方のサブビームは正常な表面部分を走査するので、2本のサブビーム間には欠陥の高さに応じた位相差が導入される。また、エピタキシャル層表面にステップバンチングが形成されている場合、高さが1nm程度のステップバンチングを線状の高輝度画像又は低輝度画像として検出することが可能である。この結果、ノマルスキープリズム16から出射する干渉ビームは、結晶欠陥に起因して基板の表面に出現した数nm程度の凹凸変化やステップバンチングによる段差を位相差情報として含むことになる。
ノマルスキープリズム16から出射した干渉ビームは、元の光路を反対方向に伝搬し、リレーレンズ15及び14を経て振動ミラー12に入射し、振動ミラーによりデスキャンされる。振動ミラー12から出射した干渉ビームは、結像レンズとして作用するレンズ11を透過し、ハーフミラー10を透過し、検光子26に入射する。検光子26は、偏光子9に対して直交ニコルの関係に配置する。従って、ノマルスキープリズム16において合成された偏光以外の光は遮断され、微分干渉画像を構成する光だけが検光子26を透過する。
検光子26を透過したライン状の干渉ビームは、ポジショナ27を経てリニアイメージセンサ28に入射する。リニアイメージセンサ28は、第1の方向と対応する方向に配列された複数の受光素子を有し、入射したライン状の干渉ビームを受光する。リニアイメージセンサの各受光素子は、干渉ビームに含まれる位相差情報を輝度情報に変換する。従って、各種基板の表面又はエピタキシャル層の表面に形成された数nm程度の凹凸形状の欠陥及びステップバンチングは輝度画像として検出される。リニアイメージセンサのライン状に配列された受光素子列は、枠により入射開口が制限されているから、各受光素子の前面にピンホールが配置されているものとほぼ同等である。従って、基板表面からの反射光をリニアイメージセンサにより受光することにより、微分干渉光学系を有する共焦点光学系が構成される。
リニアイメージセンサの各受光素子に蓄積された電荷は、信号処理装置5から供給される読出制御信号により順次読み出され、基板表面の1次元画像信号として出力される。リニアイメージセンサの読出速度は、第1の読出速度と第1の読出速度よりも低速の第2の読出速度との間で切り換えられ、微分干渉光学系が第1のリターデーションモードに設定されている場合、第1の読出速度で読み出し動作が行われ、微分干渉光学系が第2のリターデーションモードに設定されている場合低速の第2の読出速度で読み出し動作が行われる。
リニアイメージセンサから出力される画像信号は、増幅器29で増幅される。増幅器29のゲインは、微分干渉光学系のリターデーションモードに応じて切り換え可能に設定することができる。すなわち、増幅器29のゲインは、第1のリターデーションモードにおいて第1のゲインに設定し、第2のリターデーションモードの場合第1のゲインよりも高い増幅度の第2のゲインに設定することができる。増幅器から出力された信号は、カメラリンクを介して信号処理装置5に供給される。信号処理装置5は、画像処理ボードを有し、受け取った1次元画像信号、振動ミラーの位置情報、及びステージの位置情報等を用いて基板表面の2次元画像を生成する。また、生成された2次元画像についてフィルタリング処理、2値化処理及び閾値比較処理を含む種々の画像処理を行って欠陥を検出すると共にその座標を取得する。ステップバンチングについては、格子欠陥等の他の欠陥から区別して検出することができる。
SiC基板は、可視光の波長域において透明である。このため、SiC基板の表面を光ビームにより走査すると、入射した光ビームがSiC基板の内部を透過し、SiC基板の裏面で反射した反射光が検出器に入射し、解像度が低下する不都合がある。このため、微分干渉顕微鏡によりSiC基板を撮像する場合及びレーザ散乱方式により欠陥を検出する場合共に解像度が低く、欠陥検出の精度が低下する欠点がある。これに対して、本発明による共焦点型の検査装置では、リニアイメージセンサの前面にピンホールが配置されたものとほぼ等価な構成を有するので、SiC基板を透過し裏面で反射した光は、光路から外れリニアイメージセンサの受光素子に入射せず、SiC基板の表面で反射した反射光だけがリニアイメージセンサに入射する。この結果、本発明による検査装置を用いることにより、一般的な微分干渉顕微鏡により得られる微分干渉画像よりも高い解像度の共焦点微分干渉画像を撮像することができ、一層高い検出精度で欠陥検出を行うことが可能である。
微分干渉光学系は、試料表面に形成された数nm程度の微少な凹凸を位相差として検出するので、刃状転位欠陥や基底面内転位等のSiC基板に存在する結晶欠陥に起因してエピタキシャル層表面に1nm程度の凹凸が形成されている場合、これらの凹凸を輝度画像として検出することが可能である。さらに、突起欠陥や凹状欠陥に関して、微分干渉画像上において、上向きの斜面及び下向きの斜面は低輝度画像又は高輝度画像として検出されるので、撮像された微分干渉画像に表示された明暗の輝度変化に基づいて凹状欠陥であるか又は凸状欠陥であるかも判別することが可能である。従って、撮像された明暗の微分干渉画像に基づいて、ピット欠陥であるか又はバンプ欠陥であるかも容易に判別することができる。
さらに、SiC基板上に形成されたエピタキシャル層のように、エピタキシャル層がステップフロー方式により形成される場合、エピタキシャル層の表面にステップバンチングと称される段差欠陥が形成される場合がある。このステップバンチングは、オリフラと直交する方向に延在し、高さが数nm〜数10nm程度の線状の段差欠陥である。従って、エピタキシャル層表面の共焦点微分干渉画像を撮像することにより、低度輝度(暗い)又は高輝度(明るい)の線状の輝度画像として検出される。エピタキシャル層に格子欠陥とステップバンチングとの両方が形成されている場合、共焦点微分干渉画像上においては、点状の又は特有の形状の輝度画像と線状の輝度画像とが混在した形態として検出される。このような場合、ステップバンチングの発生頻度が高い場合、結晶欠陥の検査が困難になるおそれがある。このような不都合を回避するため、基板を支持するステージ23を回転させ、ステップバンチングの延在方向と微分干渉光学系のシャーリング方向とが一致するように設定する。この場合、ステップバンチングが光学的に消去された状態に設定されるので、ステップバンチングが検出されない状態で欠陥検査を行うことができる。尚、微分干渉光学系のシャリング方向をステップバンチングの延在方向と一致するように設定することにより、ステップバンチングが光学的に消去された状態に設定することが可能である。
次に、微分干渉光学系(ノマルスキープリズム)のリターデーション量(2本のサブビーム間に形成される位相差)について説明する。図2は、微分干渉光学系のリターデーション量と光検出手段から出力される画像信号の輝度値との関係を示すグラフである。横軸はリターデーション量を示し、縦軸は輝度値を示す。リターデーション量が零の場合、すなわち、微分干渉光学系から出射する2本のサブビーム間に位相差が零の場合、光検出手段から出力される画像信号は最大輝度値を示す。リターデーション量が増加するにしたがって光検出手段から出力される画像信号の輝度値は低下し、リターデーション量がπの場合輝度値は零となる。リターデーション量がπ或いはその近傍の場合、リターデーション量に対する輝度値の変化量が比較的小さい。一方、リターデーション量がπ/2の場合、リターデーション量に対する輝度値の変化量は大きなものとなる。このため、微分干渉光学系の一般的な使用方法として、微分干渉光学系のリターデーション量はπ/2に設定されている。
図3は、微分干渉光学系のリターデーション量がπ/2に設定されている場合の光検出手段から出力される背景信号及び欠陥信号と輝度値との関係を模式的に示すグラフである。横軸は検査される基板の位置を示し、縦軸は輝度値を示す。ここで、背景信号とは、検査される基板の正常な部位を走査した際に光検出手段から出力される輝度信号を示し、欠陥信号は基板に存在する欠陥部分を走査した際に光検出手段から出力される輝度信号を示す。微分干渉光学系が搭載された共焦点走査装置において、リターデーション量がπ/2の場合、明視野照明が行われる。従って、光検出手段には、微分干渉光学系から出射する干渉光の輝度情報に加えて、ショットノイズ等の光学的なノイズ光が光検出手段に入射する。さらに、光学的なノイズに加えて、熱雑音等の受光器の電気的なノイズも重畳される。従って、基板の正常な部位を走査した際に光検出器から出力される背景信号は、π/2の位相差の干渉光による輝度情報に光学的なノイズ及び電気的なノイズが重畳された輝度信号である。
一方のサブビームが基板表面の凹状又は凸状の欠陥を走査すると、2本のサブビーム間にはπ/2の位相差に加えて欠陥による位相差が導入され、光検出器から、背景信号の振幅よりも大きな振幅の欠陥信号が出力される。図3(A)は、一例として走査ビームが表面高さ又は深さが数10nmの比較的大きな欠陥を走査した場合の欠陥信号及び背景信号を示し、図3(B)は表面高さ又は深さが1nm程度の微小な欠陥を走査した場合の欠陥信号及び背景信号を示す。深さ又は高さが比較的大きな欠陥を走査した場合、2本のサブビーム間に比較的大きな位相差が導入されるため、図3(A)に示すように、光検出器から背景信号の振幅よりも大きな振幅の欠陥信号が出力される。これにより、光検出手段から出力される輝度信号に基づいて欠陥が検出される。これに対して、欠陥の表面高さ又は深さ比較的小さい場合、図3(B)に示すように、欠陥に起因して干渉光に導入される位相差が小さいため、位相差に起因する輝度値の変化量が小さい。この結果、欠陥信号の振幅が光学的ノイズ成分や電気的ノイズ成分に埋もれてしまい、輝度信号から欠陥を検出することは困難である。
図4はリターデーション量をπの近傍に設定した場合の背景信号及び欠陥信号と輝度値との関係を模式的に示す図である。図4(A)は、リターデーション量をπ/2に設定した場合と同一の照明条件における背景信号及び欠陥信号と輝度値との関係を示し、図4(B)は照明光量を約30倍に設定すると共に増幅器のゲインを高い増幅度のゲインに設定した場合の背景信号の輝度値と欠陥信号の輝度値との関係を示す。リターデーション量をπの近傍に設定した場合、2本のサブビームは互いに干渉し合い、背景光の輝度がほぼ零となる検査状態が形成される。従って、光検出手段から出力される背景信号は、干渉光による輝度成分はほとんど存在せず、光学的ノイズによる輝度成分と電気的ノイズによる輝度成分だけである。また、光学的ノイズによる輝度成分は明視野照明の場合よりもはるかに減少する。従って、光検出手段からの出力信号は、電気的なノイズ成分がほとんどを占め、背景信号の振幅は相当小さくなる。
一方、欠陥の部位を走査した場合、干渉光は欠陥に起因する位相差を含むため、欠陥による位相差の輝度成分が発生する。しかしながら、図2に示すように、リターデーション量がπ又はその近傍に設定されている場合、欠陥により導入される位相差に対する輝度の変化量が小さい。このため、図4(A)に示すように、欠陥信号は、その振幅が小さいため、光学的ノイズ成分及び電気的ノイズ成分に埋もれてしまう。従って、欠陥を輝度信号として検出することは困難である。
図4(B)は、増幅器のゲインを増幅度の高い第2のゲインに設定すると共に照明光量を約30倍の強度に増大した場合の背景信号の輝度と欠陥信号の輝度との関係を模式的に示す。リターデーション量がπの場合背景光の輝度が零となる検査状態となり、光検出手段に入射する反射光の光量が大幅に減少するため、基板に入射する照明ビームの強度を相当高くすることが可能である。また、増幅器のゲインも高く設定することが可能である。増幅器の増幅度が高くなると、光検出手段からの出力信号に含まれるわずかな振幅変化が顕著になるので、欠陥の部位を走査することにより導入される位相差に起因する輝度の変化が判別可能になる。さらに、基板に投射される照明ビームの光量を増大することにより、欠陥信号の輝度値が相対的に増大するため、欠陥部位の走査により導入される位相差に起因する輝度値の変化を電気的ノイズから一層明瞭に識別することが可能になる。よって、図4(B)に示すように、光検出器から、欠陥による位相差に起因する輝度が強調された欠陥信号が識別される態様で出力する。このように、照明光量を増大することにより、表面高さの変化が1nm程度の微小な欠陥による欠陥信号を背景信号から区別して検出することが可能になる。
増幅器のゲインに関して、微分干渉光光学系のリターデーション量がπ/2に設定された明視野照明状態で検査を行う場合低い増幅度の第1のゲインに設定し、リターデーション量がπ又はその近傍に設定された検査状態で検査を行う場合、第1のゲインよりも高い増幅度の第2のゲインに設定する。このように、微分干渉光学系のリターデーション量に応じて、光検出器に接続された増幅器のゲインを切り換えることにより、輝度変化が小さい場合であっても輝度変化が明瞭に検出されるので、リターデーション量がπに設定された検査状態で欠陥検査する際有益である。
次に、微分干渉光学系のリターデーション量を切り換えて欠陥検査を行う意義について説明する。例えば異物付着により形成される欠陥のように、アスペクト比の大きい欠陥の場合、リターデーション量をπ/2に設定して検査すると、良好な検出感度が得られる。一方、このような欠陥をリターデーション量がπ又はその近傍に設定し、照明光量を増大して検査すると、欠陥により導入される位相差が大きいため、光検出器のゲインが飽和する可能性があり、逆に検出感度が低下する不具合が発生する。従って、大きいサイズの欠陥やアスペクト比の大きい欠陥の検出を主目的とする場合、微分干渉光学系のリターデーション量をπ/2に設定して検査を行うことが好ましい。これに対して、表面の高さ又は深さの変化量が1nm程度の微細な欠陥の場合、リターデーション量がπ/2に設定された場合、輝度変化として検出することが困難である。一方、リターデーション量をπ又はその近傍に設定した場合、このように微小な欠陥であっても、照明光量を増大することにより輝度情報として検出することが可能である。従って、欠陥検査の目的に応じて、微分干渉光学系のリターデーション量を切り換えることにより、効率よく欠陥検査を行うことが可能になる。
図5は信号処理装置5に含まれる欠陥検出手段の一例を示す図である。リニアイメージセンサ28から出力され、増幅器29により増幅された1次元画像信号は、A/D変換器30によりデジタル信号に変換され、信号処理装置5に供給される。また、基板を支持するステージ25の位置を示すステージ位置信号(デジタル信号)及び振動ミラー位置信号も信号処理装置5に供給する。本例では、信号処理装置5は、コンピュータにより実行されるソフトウェアで構成される。
信号処理装置5に入力した1次元画像信号は、2次元画像生成手段31に送られて2次元画像、すなわち2次元共焦点微分干渉画像が形成される。この2次元画像信号は画像メモリ32に供給され、SiC基板の全面の共焦点微分干渉画像が蓄積される。2次元画像生成手段31により形成された2次元画像信号は欠陥検出手段33に供給される。欠陥検出手段33には、ステージ位置信号及びリニアイメージセンサの各受光素子の位置情報も供給される。欠陥検出手段33は、フィルタリング手段、2値化手段及び閾値比較手段を含み、入力した2次元画像について画像処理を行って欠陥を検出する。同時に、ステージ位置信号及びリニアイメージセンサの各受光素子の位置情報等の各種位置信号を用いて、検出された欠陥の座標も取得する。検出された欠陥の座標は、欠陥メモリ34に記憶する。
SiC基板に形成された欠陥を観察する場合、制御手段の制御のもとで、欠陥メモリ32に記憶されている欠陥座標情報を用いて画像メモリ32にアクセスし、指定された欠陥を含む所定のサイズの画像を取り出し、SiC基板の欠陥画像として出力し、モニタ上に表示することができる。
次に、検査モードの設定について説明する。図6は本発明による検査装置の検査モード設定を説明するための図である。例えばアスペクト比の大きな欠陥の検査を目的するとする場合、操作者は、第1の検査モードに設定する。第1の検査モードに設定されると、信号処理装置に含まれる制御手段40は、ノマルスキープリズムをリターデーション量がπ/2の第1のリターデーションモードに設定する。すなわち、制御手段40は、リターデーションモード設定信号を駆動回路19に供給し、モータ18の回転量を制御することによりノマルスキープリズム16のリターデーション量を(2m+1)×π/2に設定する。また、照明光量設定信号をモータ4に供給し、NDフィルタ3を、第1の照明強度の照明ビームが出射するように設定する。さらに、ゲイン設定信号を発生し、増幅器29を第1のゲインに設定する。さらに、制御手段は、走査速度設定信号を発生し、振動ミラー12の走査速度を第1の走査速度に設定する。さらに、リニアイメージセンサ28の読出速度を設定するための読出速度設定信号を発生して、リニアイメージセンサ28の読出速度を第1の読出速度に設定する。そして、第1の検査モードで欠陥検査が行われる。
次に、高さの変化量が1nm程度の微小な欠陥や表面高さが緩やかに変化する欠陥の検査を目的するとする場合、操作者は、第2の検査モードを選択する。制御手段40にはモード設定信号が供給され、制御手段40は、ノマルスキープリズムをリターデーション量が(2m+1)×πの第1のリターデーションモードに切り換える。すなわち、制御手段40は、リターデーションモード設定信号を駆動回路19に供給し、モータ18の回転量を制御することによりノマルスキープリズム16のリターデーション量を(2m+1)×πに設定する。また、照明光量設定信号をモータ4に供給し、NDフィルタ3を、高い照明強度の第2の照明強度の照明ビームが出射するように設定する。さらに、ゲイン設定信号を発生し、増幅器29をより高いゲインの第2のゲインに設定する。さらに、制御手段は、走査速度設定信号を発生し、振動ミラー12の走査速度を第2の走査速度に設定する。さらに、リニアイメージセンサ28の読出速度を設定するための読出速度設定信号を発生して、リニアイメージセンサ28の読出速度をより低速の第2の読出速度に設定する。そして、第2の検査モードで欠陥検査が行われる。
尚、微分干渉光学系のリターデーション量が(2m+1)πに設定された場合に、照明光源から放出される照明ビームの光量を増大するだけで欠陥信号が検出される場合、すなわち、背景信号から区別されるだけの振幅の欠陥信号が検出される場合、照明光源の光量制御だけが行われる。一方、照明光源の光量制御だけでは欠陥信号を明確に検出できない場合、照明光源の光量制御に加えて、光検出手段のゲイン制御や走査手段の走査速度制御等の他の制御を併せて行うことができる。例えば、リニアイメージセンサは入射光により発生した電荷を積分する効果を有するため、微分干渉光学系が第2のリターデーションモードに切り換えられた際、走査手段の走査速度に対応して電荷の読出速度を低く設定することにより、等価的に照明光源の光量を増大させる効果が達成される。従って、照明光源の光量を増大すると共に走査手段の走査速度を低速に設定することにより、照明光源の光量の増大量を比較的低くする利点が達成される。
図7は本発明による検査装置の変形例を示す図である。図1で用いた構成要素と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。本例では、光減衰器として、1/2波長板と偏光ビームスプリッタとの組み合わせを用いる。照明光源1から放出された照明ビームは、光ファイバ2を介して偏光板50に入射し、直線偏光した光に変換する。直線偏光した照明光は、1/2波長板51を経て偏光ビームスプリッタ52に入射し、特定の偏光成分光が出射する。1/2波長板51にはモータ4が連結され、モータ4を駆動することにより1/2波長板は光軸を中心にして回転する。偏光板50の偏光面と偏光ビームスプリッタ52の偏光面とを一致するように配置する。偏光板の光学軸と1/2波長板の光学軸とが一致する場合、偏光ビームスプリッタから最大光量の照明光が出射し、その位置から1/2波長板を回転することにより出射する照明光量が減少する。従って、モータを回転駆動することにより、偏光ビームスプリッタ52から出射する照明光の強度が制御される。従って、モータ4を回転制御することにより、検査モードに応じて、第1の照明強度の照明ビームと第1の照明強度よりも高い第2照明強度の照明ビームを選択的に発生させることができる。
さらに、本例では、対物レンズと微分干渉光学系とが一体化された2つ光学装置を用いる。この光学装置は、対物レンズ54と第1のノマルスキープリズム55aとが一体化された第1の光学素子56aと、同一の対物レンズ54と第2のノマルスキープリズム55bとが一体化された第2の光学装置56bとを有する。これら2つの光学装置はフレーム57により一体的に構成する。対物レンズは同一の対物レンズを用い、第1のノマルスキープリズム55aのリターデーション量はπ/2に設定され、第2のノマルスキープリズム55bのリターデーション量はπに設定する。フレーム57にアクチュエータ58を連結し、アクチュエータはモータ59により駆動する。そして、アクチュエータ58を駆動することにより、第1の光学装置56aと第2の光学装置56bは選択的に光路中に配置される。よって、リターデーション量がπ/2の第1のリターデーションモードで検査する場合、第1の光学装置56aが光路中に配置されるように設定され、リターデーション量がπの第2のリターデーションモードで検査する場合、第2の光学装置56bが光路中に配置されるように設定される。
図8は本発明による検査装置の別の変形例を示す。本例では、第1の方向に沿って配列された複数の走査ビームを用いてSiC基板表面を走査する検査装置について説明する。照明光源としてレーザ光源60を用いる。レーザ光源60から出射した照明ビームは、光減衰器であるNDフィルタ61に入射する。NDフィルタ61はモータ62に連結する。NDフィルタ61は、モータ62の回転駆動により、設定された検査モード、すなわちリターデーションモードに応じて、第1及び第2の照明強度の照明ビームを出射させる。尚、NDフィルタの代りに、1/2波長板と偏光ビームスプリッタとの組み合わせを用いることも可能である。NDフィルタ61から出射した照明ビームは、回折格子63に入射し、第1の方向にそって配列された複数の光ビーム(マルチビーム)に変換される。このマルチビームは、第1及び第2のリレーレンズ64及び65を経て偏光ビームスプリッタ66に入射し、偏光ビームスプリッタ66を透過して振動ミラー67に入射する。振動ミラー67は、入射した複数の光ビームを第1の方向と直交する第2の方向にそって所定の走査速度で走査する。振動ミラー67で反射した複数の光ビームは、第3及び第4のリレーレンズ68及び69並びに1/4波長板70を経てノマルスキープリズム71に入射する。ノマルスキープリズム71に入射した各光ビームは、振動面が互いに直交する2本のサブビームに変換される。前述したように、ノマルスキープリズム71は、mを零又は正の整数とした場合に、2本のサブビーム間に(2m+1)×π/2又はその近傍の位相差を与える第1のリターデーションモードと、(2m+1)×π又はその近傍の位相差を与える第2のリターデーションモードとの間で選択的に切り換えられる。
ノマルスキープリズム71から出射した2本のサブビームは、対物レンズ72に入射する。対物レンズ72は、入射したサブビームを集束し、ステージ75上に配置された検査すべき炭化珪素基板74に向けて投射する。従って、SiC基板74の表面は、第1の方向にそって配列された2列のサブビームにより、光ビームの配列方向と直交する第2の方向に走査される。ステージ75はXYステージにより構成され、第1の方向に沿って一定の速度で移動する。よって、炭化珪素基板74の全面がマルチビームにより走査されることになる。
SiC基板74の表面で反射したサブビームは、対物レンズ72により集光され、ノマルスキープリズム71に入射する。ノマルスキープリズムにおいて、互いに関連する反射ビーム同士が合成され、SiC基板表面の高さ変化を位相差として含む複数の干渉ビームが発生する。これら複数の干渉ビームは、1/4波長板70、第4及び第3のリレーレンズ69及び68を経て振動ミラー67に入射する。そして、振動ミラーによりデスキャンされて偏光ビームスプリッタ66に入射する。入射した複数の干渉ビームは、1/4波長板を2回通過しているので、偏光ビームスプリッタの偏光面で反射し、結像レンズ75を介してリニアイメージセンサ76に入射する。リニアイメージセンサ76は、複数のフォトダイオードが第1の方向と対応する方向にライン状に配列された1次元ラインセンサで構成する。そして、各干渉ビームは、対応するフォトダイオードにそれぞれ入射する。各フォトダイオードに蓄積された電荷は、信号処理装置77から供給される駆動信号により順次読み出され、信号処理装置77に供給される。信号処理装置において、前述したように、欠陥検査が行われる。
図9は本発明による検査装置の別の変形例を示す。本例では、TDI(Time Delayed Integration)センサの積分効果を利用した検査装置について述べる。TDIセンサは、積分効果を有するので、高感度で試料像を撮像することができ、低輝度の欠陥光を検出するのに好適である。従って、TDIセンサを利用することにより、第2のリターデーションモードにおいて、照明光量を増大することなく微弱な欠陥光を検出することが可能である。或いは、照明光源の照明光量を僅かに増大するだけで欠陥光を検出することが可能になる。尚、本例では、微分干渉光学系のリターデーション量が(2m+1)×π/2の第1のリターデーションモードと、リターデーション量が(2m+1)πの第2のリターデーションモードとの間で切り換え可能な構成について説明するが、リターデーション量が(2m+1)πの単一のモードで動作する場合にも適用される。図1で用いた構成要素と同一の構成要素には同一符号を付して説明する。
図9を参照するに、照明光源1として水銀ランプを用いる。別の照明光源として、例えば紫外域のレーザ光を放出するレーザ光源を用いることができ、第4高調波(266nm)又は第5高調波(213nm)の紫外光を発生する固体レーザを用いることができる。SiC基板は、紫外光に対して不透明であるから、SiC基板の検査において、照明ビームとして紫外光を用いれば、基板裏面からの反射光による影響が無い状態で検査される利点が達成される。
照明光源1から放出された照明ビームは、光ファイバ2を介してNDフィルタ3に入射する。NDフィルタ3は光軸を中心にして回転可能に配置する。従って、NDフィルタの回転量を制御することにより、第1及び第2のリターデーションモード間において照明ビームの強度が制御される。NDフィルタ3から出射した照明ビームは、波長選択フィルタ6に入射し、特定の波長光の照明ビームが出射する。波長選択フィルタから出射した照明ビームは、集束性レンズ80、視野絞り81、偏光子9及びリレーレンズ82を経てハーフミラー10に入射する。ハーフミラー10で反射した照明ビームは、ノマルスキープリズム16に入射し、所定のリターデーション量の第1及び第2のサブビームに変換され、対物レンズ20に入射する。対物レンズ20は、視野絞り81の開口像を検査されるべき基板21上に投影する。従って、基板21上には所定の面積の照明エリアが形成される。
前述したように、ノマルスキープリズム16は、モータ18の駆動により第1のリターデーションモード(位相差:π/2)と第2のリターデーションモード(位相差:π)との間で選択的に切り換えられる。尚、リターデーション量が(2m+1)πの単一の検査モードで検査することも可能である。
基板21はXYステージ25上に配置する。XYステージ25は、X方向を主走査方向とし、Y方向を副走査方向としてジッグザッグ状に移動する。従って、基板21の全面は照明ビームにより2次元的走査される。基板表面からの2本の反射ビームは、対物レンズにより集光され、ノマルスキープリズム16に入射する。2本の反射ビームは、ノマルスキープリズムにより合成され、基板表面の凹凸に対応した位相差を含む干渉ビームが出射する。干渉ビームは、ハーフミラーを透過し、検光子26及び結像レンズ83を介してTDIセンサ84に入射する。TDIセンサ84は、ステージ25の移動と同期して電荷転送を行い、基板21の画像信号を出力する。出力された画像信号は信号処理装置85に供給され、前述した欠陥検出処理が行われる。
上述した実施例では、検査モードの切り換えに応じて基板に入射する照明ビームの強度を切り換える方式を採用したが、照明ビームの強度を一定に維持し、ステージ25のスキャン速度を切り換えることにより、第2の検査モードにおいて高感度の欠陥検出を行うことも可能である。すなわち、TDIセンサは積分効果を有するので、ステージのスキャン速度を低速度に切り換えることにより、照明光量を増大する場合と同等の効果を得ることができる。その実施例を以下に説明する。第1の検査モード(リターデーション量:π/2)で検査を行う場合、ステージ25の移動速度を高速の第1の移動速度に設定すると共にTDIセンサの転送速度を高速の第1の転送速度に設定する。第2の検査モード(リターデーション量:π)で検査を行う場合、ステージの移動速度を第1の移動速度よりも低速な第2の移動速度に設定し、TDIセンサの転送速度は第1の転送速度よりも低速な第2の転送速度に設定する。或いは、第2の検査モードにおいてだけTDI動作を行わせ、第1の検査モードにおいてはTDI動作を行わず通常のCCDセンサとして使用することも可能である。このように構成すれば、照明光源から出射し基板に入射する照明ビームの強度を切り換えることなく、リターデーション量の切り換えに対応して微小な輝度変化を検出することができる。
本発明は上述した実施例だけに限定されず種々の変形や変更が可能である。例えば、上述した実施例では、微分干渉光学系としてノマルスキープリズムを用いたが、ロッションプリズムやウオルストンプリズム等の他の微分干渉光学系を用いることも可能である。
ノマルスキープリズムは、リターデーション量の切り換えると共に、シャーリング量を可変に設定することも可能である。シャーリング量を切り換えることにより、SiC基板の検査において、シャーリング方向をステップバンチングの延在方向と同一の方向に設定し又はステップバンチングの延在方向と直交する方向に設定することが可能である。すなわち、シャーリング方向をステップバンチングの延在方向と同一の方向に設定すれば、ステップバンチングが光学的に検出されない状態を形成することが可能になり、ステップバンチングの延在方向と直交する方向に設定すれば、ステップバンチングを高い感度で検出することが可能になる。
また、リターデーションをπ/2に設定した場合、表面高さが緩やかに変化する欠陥を検出しにくいが、比較的大きな欠陥を検出できると共にそのコントラストの変化に基づいて凹状欠陥か凸状欠陥かの判別が可能である。この性質を利用して、例えば欠陥を、リターデーション量がπのみで検出できる欠陥、凸状欠陥又は凹状欠陥に分類することも可能である。
1 照明光源
2 光ファイバ
3 NDフィルタ
4,18,22 モータ
5 信号処理装置
6 フィルタ
7 集束性レンズ
8 スリット
9 偏光子
10 ハーフミラー
11 リレーレンズ
12 振動ミラー
13,19,23 駆動回路
14,15 リレーレンズ
16 ノマルスキープリズム
17 アクチュエータ
20 対物レンズ
21 SiC基板
24 位置センサ
25 ステージ
26 検光子
27 ポジショナ
28 リニアイメージセンサ
29 増幅器

Claims (15)

  1. 照明ビームを発生する照明光源と、検査すべき基板を支持するステージと、前記照明ビームをステージ上に配置した基板に向けて投射する対物レンズと、前記照明光源と対物レンズとの間の光路中に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、基板の表面で反射したサブビーム同士を合成し、基板表面の高さ又は深さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系と、前記微分干渉光学系から出射した干渉ビームを受光する光検出手段と、前記光検出手段に接続した信号処理装置とを有する検査装置を用いて基板を検査する検査方法であって、
    前記微分干渉光学系のリターデーション量を、mを零又は正の整数とした場合に、第1のサブビームと第2のサブビームとの間に(2m+1)π又はその近傍の位相差が形成されるように設定し、前記光検出手段から出力される出力信号のバックグランドの輝度レベルがほぼ零となる検査状態を形成する工程と、
    前記バックグラウンドの輝度レベルがほぼ零となる検査状態において、前記照明ビームとステージ上の基板とを相対移動させ、基板表面を照明ビームにより走査する工程とを有することを特徴とする検査方法。
  2. 請求項1に記載の検査方法において、前記検査装置は、基板に入射する照明光の光量を調整する光量調整手段を有し、基板の特性に応じて基板に投射される照明光量を調整する工程を含むことを特徴とする検査方法。
  3. 請求項2に記載の検査方法において、前記光検出手段として光積分効果を有するTDIセンサを用い、TDIセンサの光積分効果を利用して、基板上の欠陥部分を走査した際に発生する微弱な欠陥光を検出することを特徴とする検査方法。
  4. 照明ビームを発生する照明光源と、
    検査すべき基板を支持するステージと、
    前記照明ビームをステージ上に配置した基板に向けて投射する対物レンズと、
    前記照明光源と対物レンズとの間の光路中に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、基板の表面で反射したサブビーム同士を合成し、基板表面の高さ又は深さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系と、
    前記微分干渉光学系から出射した干渉ビームを受光する光検出手段と、
    前記光検出手段に接続した信号処理装置とを有し、
    前記微分干渉光学系のリターデーション量は、mを零又は正の整数とした場合に、第1のサブビームと第2のサブビームとの間に(2m+1)π又はその近傍の位相差が形成されるように設定され、前記光検出手段から出力される出力信号のバックグランドの輝度レベルがほぼ零となる検査状態で欠陥検査が行われることを特徴とする検査装置。
  5. 請求項4に記載の検査装置において、前記基板を支持するステージはX方向及びX方向と直交するY方向に移動可能なステージにより構成され、前記光検出手段は光積分効果を有するTDIセンサにより構成され、TDIセンサの光積分効果を利用して、基板上の欠陥部分を走査した際に発生する微弱な欠陥光を検出することを特徴とする検査装置。
  6. 照明ビームを発生する照明光源と、
    検査すべき基板を支持するステージと、
    前記照明ビームをステージ上に配置した基板に向けて投射する対物レンズと、
    前記照明光源と対物レンズとの間の光路中に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、基板の表面で反射したサブビーム同士を合成し、基板表面の高さ又は深さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系と、
    前記微分干渉光学系から出射した干渉ビームを受光する光検出手段と、
    前記光検出手段に接続された信号処理装置と、
    前記照明光源から出射し基板に入射する照明光の強度を制御する照明強度制御手段とを具え、
    前記微分干渉光学系は、前記サブビーム間に第1の位相差を与える第1のリターデーションモードと、第1の位相差よりも大きい位相差である第2の位相差を与える第2のリターデーションモードとの間で切り換え可能に構成され、
    前記基板に入射する照明ビームの照明強度は、第1の照明強度と、第1の照明強度よりも高い照明強度の第2の照明強度との間で切り換え可能に設定され、
    前記微分干渉光学系が第1のリターデーションモードに設定された場合基板に投射される照明ビームの照明強度は第1の照明強度に設定され、微分干渉光学系が第2のリターデーションモードに設定された場合前記照明ビームの照明強度は第2の照明強度に設定されることを特徴とする検査装置。
  7. 請求項6に記載の検査装置において、mを零又は正の整数とした場合に、前記第1のリターデーションモードにおいて第1のサブビームと第2のサブビームとの間に(2m+1)π/2又はその近傍の位相差が導入され、第2のリターデーションモードにおいて第1のサブビームと第2のサブビームとの間に(2m+1)π又はその近傍の位相差が導入されることを特徴とする検査装置。
  8. 請求項6又は7に記載の検査装置において、前記光検出手段は、複数の受光素子がライン状に配列されたラインセンサ又はTDIセンサにより構成されていることを特徴とする検査装置。
  9. 請求項8に記載の検査装置において、前記照明光源は、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在するライン状の照明ビームを発生し、ステージ上に配置された基板はライン状の照明ビームにより走査され、前記光検出手段は、複数の受光素子がライン状に配列されたラインセンサにより構成されていることを特徴とする検査装置。
  10. 請求項8に記載の検査装置において、前記照明光源は、前記第1の方向と直交する第2の方向にそってライン状に配列された複数の照明ビームを発生し、ステージ上に配置された基板は複数の照明ビームにより走査され、前記光検出手段は、複数の受光素子がライン状に配列されたラインセンサにより構成されていることを特徴とする検査装置。
  11. 請求項6に記載の検査装置において、前記微分干渉光光学系と対物レンズとが一体的に結合された第1及び第2の光学装置を有し、第1の光学装置の微分干渉光学系のリターデーション量は(2m+1)×π/2又はその近傍に設定され、第2の光学装置の微分干渉光学系のリターデーション量は(2m+1)×π又はその近傍に設定され、第1又は第2の光学装置が選択的に光路中に挿入されることを特徴とする検査装置。
  12. 照明ビームを発生する照明光源と、
    第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向に移動可能であって、検査すべき基板を支持するステージと、
    前記照明ビームをステージ上に配置した基板に向けて投射する対物レンズと、
    前記照明光源と対物レンズとの間の光路中に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、基板の表面で反射したサブビーム同士を合成し、基板表面の高さ又は深さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系と、
    前記微分干渉光学系から出射した干渉ビームを受光するTDIセンサと、
    前記TDIセンサに接続された信号処理装置とを具え、
    前記微分干渉光学系は、前記サブビーム間に第1の位相差を与える第1のリターデーションモードと、第1の位相差よりも大きい位相差である第2の位相差を与える第2のリターデーションモードとの間で切り換え可能に構成されていることを特徴とする検査装置。
  13. 請求項12に記載の検査装置において、さらに、前記照明光源から出射し基板に入射する照明光の強度を制御する照明強度制御手段を有し、前記基板に入射する照明ビームの照明強度は、第1の照明強度と、第1の照明強度よりも高い照明強度の第2の照明強度との間で切り換え可能に設定され、
    前記微分干渉光学系が第1のリターデーションモードに設定された場合基板に投射される照明ビームの照明強度は第1の照明強度に設定され、微分干渉光学系が第2のリターデーションモードに設定された場合前記照明ビームの照明強度は第2の照明強度に設定されることを特徴とする検査装置。
  14. 請求項12又は13に記載の検査装置において、前記ステージの移動速度は第1の移動速度と第1の移動速度よりも低速度の第2の移動速度との間で切り換え可能に構成され、
    前記ステージは、前記微分干渉光学系が第1のリターデーションモードに設定された場合第1の移動速度で移動し、微分干渉光学系が第2のリターデーションモードに設定された場合第2の移動速度で移動することを特徴とする検査装置。
  15. 請求項12又は13に記載の検査装置において、前記TDIセンサは、TDI動作を行う第1の検出モードと、TDI動作を行うことなく受光素子に蓄積された電荷を読み出す第2の検出モードとの間で切り換え可能に構成され、
    前記TDIセンサは、前記微分干渉光学系が第1のリターデーションモードに設定された場合第1の検出モードで動作し、微分干渉光学系が第2のリターデーションモードに設定された場合第2の検出モードで動作することを特徴とすることを特徴とする検査装置。
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