JP2012065853A - 睡眠段階判定装置及び睡眠段階判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被験者にとって身体的及び心的負担を何ら負うことなく、且つ、安価であって被験者が日常的に使用でき、国際睡眠深度判定基準との整合をとりながら睡眠段階を高精度に判定することができる睡眠段階判定装置を提供する。
【解決手段】 睡眠段階判定部12は、無侵襲且つ無拘束で検出した被験者の生体信号の強度の分散値と、その保持時間とに基づいて、覚醒段階を判定し、分散値が所定条件を満たす区間について、当該分散値を用いて推定されたδ波成分の比率と、このδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間とに基づいて、深いノンレム睡眠段階を判定し、自律神経成分の交感神経成分若しくは副交感神経成分を示すパラメータ及び/又は分散値に対して、長期移動平均処理を行って得られたデータと、短期移動平均処理を行って得られたデータとの差分値に基づいて、レム睡眠段階を判定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生体信号検出手段から検出した生体信号から睡眠段階を判定する睡眠段階判定装置及び睡眠段階判定方法に関し、特に取り扱いが容易で日常的に使用可能である睡眠段階判定装置及び睡眠段階判定方法に関する。
睡眠は健康のバロメータであるといわれ、快適な睡眠をして気分のよい目覚めができれば、目覚めた際に颯爽とした気分となり健康を実感することは、日常において多く経験する。一方、不眠症や不眠傾向にある場合や、深夜労働等のために昼夜の生活が逆転した睡眠を強いられる場合等においては、その目覚めの後の気分は芳しくないことが多い。すなわち、意識的であるか無意識的であるかにかかわらず、睡眠の状態がその後の覚醒時の気分や行動に影響を及ぼし、ひいては覚醒後の活動の質を定めることになる。
このように、睡眠は、人間の身体活動及び心的活動に重要な影響を及ぼす要素であり、良好な睡眠をとることができれば身体的及び心的に健康的な日常活動が保証されるといってよい。快適な睡眠をとることができれば心的には安定した状態となり、また、精神的に安定していれば快適な睡眠をとることができることが知られている。したがって、個人の健康状態について調べる際に、睡眠をその判定指標とすることが多く、睡眠と健康とが密接に関連していることはよく知られているところである。健康と睡眠の深さ及びその質が翌日の気分や気力と密接に関連しており、精神的なストレスや体調が不良である場合には、眠りの深さや睡眠段階の推移パターンに変化が起こり、快適な睡眠が得られない。
健康な睡眠では、入眠した後にレム睡眠段階とノンレム睡眠段階とが所定間隔で繰り返し現れるが、体調を崩しているときや、精神的なストレスがかかっているときには、そのリズムが乱れることが知られている。したがって、夜間の睡眠中の睡眠段階とその発生パターンとを監視することにより、被験者の精神的なストレスや体調の不良を知ることが可能となる。
特に高齢者は、眠りが浅い等の睡眠の不調を訴える人が多く、睡眠の質が問題となる。睡眠の質を知るためには睡眠段階の推移を知ることによって改善する対処法や措置を見出すことが可能となる。
従来から、睡眠段階を知る方法としては、睡眠深度の国際判定基準である睡眠ポリソムノグラフ(PSG)を用いる方法が一般的である。PSGを用いる方法では、睡眠中の脳神経系の活動を、脳波、表面筋電位、眼球運動等から推定することにより、睡眠に関する多くの情報を得ることができる。
しかしながら、PSGを用いる方法では、被験者の顔や身体に多くの電極を装着して測定を行うために、被験者に多くの違和感を与えてしまい、自然な睡眠を得ることが困難であり、さらに、電極の装着も多くの時間を要して極めて煩わしいという問題がある。また、PSGを用いる方法では、第1夜効果として通常の睡眠と異なる環境下で測定された1日目のデータは採用できない上、被験者がそのような環境に慣れるまでに数日から1週間の日時を要するという問題がある。したがって、被験者に与えられる身体的及び肉体的な負担が非常に大きなものとなることから日常的に連続使用することは困難であり、せいぜい数日間にわたる測定が限界である。さらに、この測定は、病院等の特定の施設において取り扱いに習熟した専門家が実施する必要があり、測定に使用する機器も高価であることから、必要とする費用が多額となる。したがって、PSGは、被験者が病院や在宅にて恒常的に使用するには実用的でなく、ましてや日常の健康管理に使用することは困難であるため、睡眠障害に対して有効な治療法となり得る一方で、そのような患者等に適用すること自体が困難であるという矛盾を備えている。
そこで、PSGを用いずに、容易に睡眠段階を把握するための方法が提案されている。例えば、腕時計型の振動強度測定装置を被験者の腕に装着し、その加速度を測定することによって睡眠段階を判定する方法がある。しかしながら、被験者の健康管理用途のためには、少なくとも覚醒/レム睡眠段階、浅いノンレム睡眠段階、及び、深いノンレム睡眠段階という3段階の睡眠段階を把握する必要があるが、この方法においては、覚醒及び睡眠という2段階しか把握することができない。
これに対して、特許文献1には、予め設定された時間の窓関数を用いて、心拍数や脈拍数等の生体情報の時系列の時間変化の増減傾向を表すトレンド曲線を算出し、このトレンド曲線に基づいて睡眠状態を判定する睡眠状態判定方法が開示されている。この方法は、覚醒段階、レム睡眠段階、浅いノンレム睡眠段階、及び、深いノンレム睡眠段階の4段階の睡眠段階を判定することができることから、健康管理に用いることは可能である。
また、本願発明者も、特許文献2乃至特許文献5等において、睡眠段階を把握する技術を開示している。具体的には、特許文献2には、検出した生体信号を所定の範囲に入るようにゲイン制御を行い、このゲイン値に反比例する信号強度を算出し、この信号強度のばらつきを示す信号強度分散値又はこの信号強度分散値から導出される値を指標値として睡眠段階を判定する技術が開示されている。また、特許文献3には、検出した心拍信号から心拍強度信号を算出し、算出した心拍強度信号の一定時間内のデータの分散値を算出し、この分散値の値から交感神経の活動を把握する技術が開示されている。さらに、特許文献4には、検出した心拍信号のR−R間隔の信号を高速フーリエ変換して求めたパラメータと、心拍信号から算出した信号強度の分散との少なくともいずれか一方を用いて脳波の周波数解析によるδ波成分比率を求め、求めた脳波のδ波成分比率を用いて睡眠段階を判定する技術が開示されている。さらにまた、特許文献5には、心拍信号のR−R間隔の信号を高速フーリエ変換して求めたパワースペクトル密度の極大値から睡眠段階を判定する技術が開示されている。
特開2001−61820号公報 特許第4483862号公報 特開2008−73478号公報 特開2009−297474号公報 特許第3831918号公報
社会が複雑化・高度化するにつれて、その状況に対応しようとすることによって起きるストレスが原因で不眠症を訴える人が増加している。現在、不眠症及び不眠の傾向が顕著な人は国民の約20〜30%存在するといわれており、社会構造の変化及び経済活動における競争激化の影響で、24時間就業による交代勤務等のストレスを受けやすい勤務態勢が増加し、睡眠に起因する身体的及び心的不調はますます増加すると考えられる。
このような背景のもと、PSGによる国際睡眠深度判定基準と整合をとりながらも、無拘束で計測が可能な技術が待望されている。ここで、PSGによる睡眠段階は、図18に示すように、脳波、眼球運動、筋電図等に基づいて、上述した覚醒段階、レム睡眠段階、浅いノンレム睡眠段階、及び、深いノンレム睡眠段階にわけられるが、浅いノンレム睡眠段階及び深いノンレム睡眠段階は、それぞれ、さらに2段階にわけられる。健康成人の安定した睡眠においては、覚醒段階が1〜3%、第1のノンレム睡眠段階が数%、第2のノンレム睡眠段階が50%、第3及び第4のノンレム睡眠段階が20〜30%、レム睡眠段階が20〜30%の比率であり、レム睡眠が約90分周期で現れることが目安として知られている。
上述した特許文献1乃至特許文献4をはじめとする従来の技術においては、このような複数段階からなるノンレム睡眠段階を含めて国際睡眠深度判定基準と整合をとった睡眠段階判定を行うものはなかった。例えば、特許文献4に記載された技術においては、覚醒段階、レム睡眠段階、浅いノンレム睡眠段階、及び、深いノンレム睡眠段階については判定しているものの、第1及び第2のノンレム睡眠段階の識別と、第3及び第4のノンレム睡眠段階の識別とを行ってはいない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、被験者にとって身体的及び心的負担を何ら負うことなく、且つ、安価であって被験者が日常的に使用でき、国際睡眠深度判定基準との整合をとりながら睡眠段階を高精度に判定することができる睡眠段階判定装置及び睡眠段階判定方法を提供することを目的とする。
本願発明者は、各睡眠段階における生体信号の挙動について研究を行った結果、各睡眠段階において生体信号が特徴的な挙動を示すことを見出し、さらに、そのような信号の処理方法についても新規な方法を考案し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上述した目的を達成する本発明にかかる睡眠段階判定装置は、被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段によって検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度のデータについて算出された所定時間のデータのばらつきを示す分散値と、その保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が覚醒段階であるか否かを判定する覚醒段階判定手段と、前記分散値が所定条件を満たす区間について、当該分散値を用いて推定された脳波成分のうちδ波成分の比率と、このδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が深いノンレム睡眠段階であるか否かを判定する深いノンレム睡眠段階判定手段と、前記生体信号のピーク間隔に基づいて検出された自律神経成分の交感神経成分若しくは副交感神経成分を示すパラメータ及び/又は前記分散値と、脳波成分のうちθ波成分の比率との関係を利用し、前記交感神経成分若しくは副交感神経成分を示すパラメータ及び/又は前記分散値に対して、長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行い、長期移動平均処理によって得られたデータと、短期移動平均処理によって得られたデータとの差分値に基づいて、前記被験者の睡眠段階がレム睡眠段階であるか否かを判定するレム睡眠段階判定手段と、前記覚醒段階判定手段によって覚醒段階であると判定された区間のデータと、前記深いノンレム睡眠段階判定手段によって深いノンレム睡眠段階であると判定された区間のデータと、前記レム睡眠段階判定手段によってレム睡眠段階であると判定された区間のデータとを全睡眠時間のデータから差し引いた残りの区間を浅いノンレム睡眠段階の区間であると判定する浅いノンレム睡眠段階判定手段とを備えることを特徴としている。
また、上述した目的を達成する本発明にかかる睡眠段階判定方法は、所定の生体信号検出手段によって被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出工程と、信号処理を行うプロセッサが、前記生体信号検出工程にて検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度のデータについて算出された所定時間のデータのばらつきを示す分散値と、その保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が覚醒段階であるか否かを判定し、覚醒段階であると判定した区間のデータを記憶装置に記憶させる覚醒段階判定工程と、前記プロセッサが、前記分散値が所定条件を満たす区間について、当該分散値を用いて推定された脳波成分のうちδ波成分の比率と、このδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が深いノンレム睡眠段階であるか否かを判定し、深いノンレム睡眠段階であると判定した区間のデータを前記記憶装置に記憶させる深いノンレム睡眠段階判定工程と、前記プロセッサが、前記生体信号のピーク間隔に基づいて検出された自律神経成分の交感神経成分若しくは副交感神経成分を示すパラメータ及び/又は前記分散値と、脳波成分のうちθ波成分の比率との関係を利用し、前記交感神経成分若しくは副交感神経成分を示すパラメータ及び/又は前記分散値に対して、長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行い、長期移動平均処理によって得られたデータと、短期移動平均処理によって得られたデータとの差分値に基づいて、前記被験者の睡眠段階がレム睡眠段階であるか否かを判定し、レム睡眠段階であると判定した区間のデータを前記記憶装置に記憶させるレム睡眠段階判定工程と、前記覚醒段階判定工程にて覚醒段階であると判定された区間のデータと、前記深いノンレム睡眠段階判定工程にて深いノンレム睡眠段階であると判定された区間のデータと、前記レム睡眠段階判定工程にてレム睡眠段階であると判定された区間のデータとを前記記憶装置から読み出し、読み出したデータを全睡眠時間のデータから差し引いた残りの区間を浅いノンレム睡眠段階の区間であると判定し、浅いノンレム睡眠段階であると判定した区間のデータを前記記憶装置に記憶させる浅いノンレム睡眠段階判定工程とを備えることを特徴としている。
このような本発明にかかる睡眠段階判定装置及び睡眠段階判定方法は、無侵襲且つ無拘束で検出した生体信号に基づいて求めた生体信号強度の分散値や自律神経成分を示すパラメータを用いて、国際睡眠深度判定基準との整合をとりながら、覚醒段階、レム睡眠段階、浅いノンレム睡眠段階、及び、深いノンレム睡眠段階について自動的に判定する。
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかる睡眠段階判定装置は、被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段によって検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度を算出する生体信号強度算出手段と、前記生体信号強度算出手段によって算出された生体信号強度のデータについて、所定時間のデータのばらつきを示す分散値を算出する分散値算出手段と、前記分散値算出手段によって算出された分散値と、その保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が覚醒段階であるか否かを判定する覚醒段階判定手段とを備えることを特徴としている。
このような本発明にかかる睡眠段階判定装置は、無侵襲且つ無拘束で検出した生体信号に基づいて求めた生体信号強度の分散値と、その保持時間とを用いて覚醒段階の判定を自動的に行うことから、保持時間を用いずにデータの値のみを用いて睡眠段階を判定する手法に比べて、国際睡眠深度判定基準との整合をとりながら、覚醒段階の判定精度を格段に向上させることができる。
さらにまた、上述した目的を達成する本発明にかかる睡眠段階判定装置は、被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段によって検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度を算出する生体信号強度算出手段と、前記生体信号強度算出手段によって算出された生体信号強度のデータについて、所定時間のデータのばらつきを示す分散値を算出する分散値算出手段と、前記分散値算出手段によって算出された分散値を用いて脳波成分のうちδ波成分の比率を推定する脳波成分比率推定手段と、前記分散値算出手段によって算出された分散値が所定条件を満たす区間について、前記脳波成分比率推定手段によって推定されたδ波成分の比率と、このδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が深いノンレム睡眠段階であるか否かを判定する深いノンレム睡眠段階判定手段とを備えることを特徴としている。
このような本発明にかかる睡眠段階判定装置は、無侵襲且つ無拘束で検出した生体信号に基づいて求めた生体信号強度の分散値によって推定したδ波成分の比率と、そのδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間とを用いて深いノンレム睡眠段階の判定を自動的に行うことから、保持時間を用いずにデータの値のみを用いて睡眠段階を判定する手法に比べて、国際睡眠深度判定基準との整合をとりながら、深いノンレム睡眠段階の判定精度を格段に向上させることができる。
また、上述した目的を達成する本発明にかかる睡眠段階判定装置は、被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段によって検出された生体信号から検出したピーク間隔信号のパワースペクトル密度から、自律神経成分の交感神経成分又は副交感神経成分を示すパラメータを検出するパラメータ検出手段と、前記パラメータ検出手段によって検出された自律神経成分の交感神経成分又は副交感神経成分を示すパラメータと、脳波成分のうちθ波成分の比率との関係を利用し、前記交感神経成分又は副交感神経成分を示すパラメータに対して、長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行い、長期移動平均処理によって得られたデータと、短期移動平均処理によって得られたデータとの差分値に基づいて、前記被験者の睡眠段階がレム睡眠段階であるか否かを判定するレム睡眠段階判定手段とを備えることを特徴としている。
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかる睡眠段階判定装置は、被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、前記生体信号検出手段によって検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度を算出する生体信号強度算出手段と、前記生体信号強度算出手段によって算出された生体信号強度のデータについて、所定時間のデータのばらつきを示す分散値を算出する分散値算出手段と、前記分散値算出手段によって算出された分散値と、脳波成分のうちθ波成分の比率との関係を利用し、前記分散値に対して、長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行い、長期移動平均処理によって得られたデータと、短期移動平均処理によって得られたデータとの差分値に基づいて、前記被験者の睡眠段階がレム睡眠段階であるか否かを判定するレム睡眠段階判定手段とを備えることを特徴としている。
このような本発明にかかる睡眠段階判定装置は、無侵襲且つ無拘束で検出した生体信号に基づいて求めた生体信号強度の分散値や自律神経成分を示すパラメータの長期移動平均値及び短期移動平均値の差分値を用いてレム睡眠段階の判定を自動的に行うという、従来には全く存在しなかった手法を用いることから、国際睡眠深度判定基準との整合をとりながら、レム睡眠段階の判定精度を格段に向上させることができる。
本発明においては、無侵襲且つ無拘束で生体信号を検出することから、被験者にとって身体的及び心的負担を何ら負うことなく、且つ、安価であって被験者が日常的に使用でき、国際睡眠深度判定基準との整合をとりながら睡眠段階を高精度に判定することができる。
本発明の実施の形態として示す睡眠段階判定装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態として示す睡眠段階判定装置の構成を示す図であり、図1において矢視方向からみたときの一部断面図である。 交感神経が優位な場合におけるパワースペクトル密度の例を示す図である。 副交感神経が優位な場合におけるパワースペクトル密度の例を示す図である。 本発明の実施の形態として示す睡眠段階判定装置において、睡眠段階を判定する際の一連の手順を示すフローチャートであり、特に覚醒段階を判定する際の処理について説明する図である。 本発明の実施の形態として示す睡眠段階判定装置において、睡眠段階を判定する際の一連の手順を示すフローチャートであり、特に深いノンレム睡眠段階を判定する際の処理について説明する図である。 本発明の実施の形態として示す睡眠段階判定装置において、睡眠段階を判定する際の一連の手順を示すフローチャートであり、特に自律神経成分に基づいてレム睡眠段階を判定する際の処理について説明する図である。 本発明の実施の形態として示す睡眠段階判定装置において、睡眠段階を判定する際の一連の手順を示すフローチャートであり、特に心拍強度の分散値に基づいてレム睡眠段階を判定する際の処理について説明する図である。 本発明の実施の形態として示す睡眠段階判定装置において、睡眠段階を判定する際の一連の手順を示すフローチャートであり、特に浅いノンレム睡眠段階を判定する際の処理について説明する図である。 (a)は心拍強度の時系列データを示し、(b)は心拍強度の分散値の時系列データを示し、(c)はδ波成分比率の時系列データを示し、(d)はPSGによる国際睡眠深度判定結果を示す図である。 (a)は心拍強度の時系列データを示し、(b)はLF値の時系列データを示し、(c)は交感神経成分比率LFR及び心拍強度の分散値の時系列データに対して移動平均処理を施して得られた時系列データを示し、(d)は副交感神経成分比率HFR及び心拍強度の分散値の時系列データに対して移動平均処理を施して得られた時系列データを示す図である。 (a)は心拍強度の分散値に基づいて求めた交感神経成分相当のLF値の時系列データに対して長期移動平均処理及び短期移動平均処理を施して得られた時系列データを示し、(b)はθ波成分比率及び心拍強度の分散値の時系列データを示し、(c)はPSGによる国際睡眠深度判定結果を示す図である。 (a)は交感神経成分比率LFRの時系列データに対して長期移動平均処理及び短期移動平均処理を施して得られた時系列データを示し、(b)はθ波成分比率及び心拍強度の分散値の時系列データを示し、(c)はPSGによる国際睡眠深度判定結果を示す図である。 (a)は副交感神経成分比率HFRの時系列データに対して長期移動平均処理及び短期移動平均処理を施して得られた時系列データを示し、(b)はθ波成分比率及び心拍強度の分散値の時系列データを示し、(c)はPSGによる国際睡眠深度判定結果を示す図である。 (a)は心拍強度の分散値の時系列データに対して長期移動平均処理及び短期移動平均処理を施して得られた時系列データを示し、(b)はθ波成分比率及び心拍強度の分散値の時系列データを示し、(c)はPSGによる国際睡眠深度判定結果を示す図である。 (a)はθ波成分比率及び心拍強度の分散値の時系列データを示し、(b)はPSGによる国際睡眠深度判定結果を示す図である。 他の生体信号検出部の構成を示す図である。 PSGによる国際睡眠深度判定基準の内容を示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施の形態は、睡眠段階を判定する睡眠段階判定装置である。特に、この睡眠段階判定装置は、睡眠ポリソムノグラフ(PSG)による国際睡眠深度判定基準と整合をとりながら睡眠段階を高精度に判定するものである。
図1に、本発明の実施の形態として示す睡眠段階判定装置の処理をブロックとして表した構成を示し、図2に、図1において矢視方向からみたときの一部断面図を示している。すなわち、睡眠段階判定装置は、被験者の生体信号を検出する生体信号検出部1と、この生体信号検出部1によって検出された生体信号を増幅する信号増幅部2と、この信号増幅部2によって増幅された生体信号に対してフィルタリング処理を施すフィルタ部3と、このフィルタ部3を通過した心拍信号及び/又は呼吸信号からピーク間隔信号を検出するピーク間隔信号検出部4と、このピーク間隔信号検出部4によって検出されたピーク間隔信号のパワースペクトル密度を算出するパワースペクトル密度算出部5と、このパワースペクトル密度算出部5によって算出されたパワースペクトル密度から後述するHF値及びLF値を検出するHF/LF値検出部6と、このHF/LF値検出部6によって検出されたHF値及びLF値に基づく指標値や分散値算出部10によって算出された心拍強度及び/又は呼吸強度の分散値の移動平均処理を行う移動平均処理部7と、フィルタ部3を通過した心拍信号及び/又は呼吸信号に対して自動的に利得制御を行う自動利得制御部8と、心拍信号及び/又は呼吸信号の強度を算出する信号強度算出部9と、この信号強度算出部9によって算出された心拍強度及び/又は呼吸強度の分散値を算出する分散値算出部10と、この分散値算出部10によって算出された心拍強度及び/又は呼吸強度の分散値に基づいて脳波成分の比率を推定する脳波成分比率推定部11と、移動平均処理部7によって求められた移動平均値及び/又は脳波成分比率推定部11によって推定された脳波成分比率、さらには、分散値算出部10によって算出された心拍強度及び/又は呼吸強度の分散値に基づいて被験者の睡眠段階を判定する睡眠段階判定部12とを備える。なお、これら各部のうち、少なくとも、ピーク間隔信号検出部4、パワースペクトル密度算出部5、HF/LF値検出部6、移動平均処理部7、信号強度算出部9、分散値算出部10、脳波成分比率推定部11、及び、睡眠段階判定部12は、例えば、信号処理を行うコンピュータにおけるCPU(Central Processing Unit)やメモリ等のハードウェアを用いて実行可能なプログラムとして実装したり、コンピュータに装着可能な拡張ボードに搭載されたDSP(Digital
Processing Unit)等の専用プロセッサを用いて実装したりすることができる。
生体信号検出部1は、被験者の微細な生体信号を検出する無侵襲且つ無拘束センサである。具体的には、生体信号検出部1は、圧力検出チューブ1aと、この圧力検出チューブ1aの内部に収容されている空気の微小な圧力変動を検出するセンサである微差圧センサ1bとから構成され、無侵襲且つ無拘束な生体信号の検出手段を構成している。
圧力検出チューブ1aとしては、生体信号の圧力変動範囲に対応して内部の圧力が変動するように適度な弾力を有するものを使用する。また、圧力検出チューブ1aとしては、圧力変化を適切な応答速度で微差圧センサ1bに伝達するために、チューブの中空部の容積を適切に選択する必要がある。圧力検出チューブ1aが適度な弾性と中空部容積とを同時に満足できない場合には、圧力検出チューブ1aの中空部に適切な太さの芯線をチューブ長さ全体にわたって装填し、中空部の容積を適切にとることができる。
このような圧力検出チューブ1aは、寝台21上に敷設された硬質シート22上に配置される。睡眠段階判定装置においては、硬質シート22上に弾性を有するクッションシート23が敷設されており、圧力検出チューブ1aの上に被験者が横臥することになる。なお、圧力検出チューブ1aは、クッションシート23等に組み込んだ構成とすることにより、圧力検出チューブ1aの位置を安定させる構造としてもよい。
微差圧センサ1bは、微小な圧力の変動を検出するセンサである。本実施の形態においては、微差圧センサ1bとして、低周波用のコンデンサマイクロフォンタイプのものを使用するが、これに限定されるものではなく、適切な分解能とダイナミックレンジとを有するものであればよい。本実施の形態において使用した低周波用のコンデンサマイクロフォンは、一般の音響用マイクロフォンが低周波領域に対して配慮されていないのに引き替え、受圧面の後方にチャンバーを設けることによって低周波領域の特性を大幅に向上させたものであり、圧力検出チューブ1a内の微小圧力変動を検出するのに好適なものである。また、このコンデンサマイクロフォンは、微小な差圧を計測するのに優れており、0.2Paの分解能と約50Paのダイナミックレンジとを有し、通常使用されるセラミックを利用した微差圧センサと比較して数倍の性能を持つものであり、生体信号が体表面に通して圧力検出チューブ1aに加えた微小な圧力を検出するのに好適なものである。また、周波数特性は、0.1Hz〜20Hzの間で略平坦な出力値を示し、心拍及び呼吸等の微小な生体信号を検出するのに適している。
本実施の形態においては、一方が被験者の胸部の部位の生体信号を検出し、他方が被験者の臀部の部位を検出するように、2組の圧力検出チューブ1aが設けられており、被験者の就寝の姿勢にかかわらず生体信号を検出するように構成されている。なお、睡眠段階判定装置においては、胸部の部位又は臀部の部位の一方のみに圧力検出チューブ1aを配置する構成としてもよい。このような生体信号検出部1によって検出された生体信号は、信号増幅部2に供給される。睡眠段階判定装置は、このような無侵襲且つ無拘束で生体信号を検出する構成とすることにより、日常生活において容易に使用することができ、特に高齢者の介護等への使用に極めて好適である。
信号増幅部2は、後の処理工程で処理できるように生体信号検出部1によって検出された信号を増幅し、さらに、明らかに異常なレベルの信号を除去する等して適切な信号整形処理を行う。この信号増幅部2によって増幅された生体信号は、フィルタ部3に供給される。
フィルタ部3は、信号増幅部2によって増幅された生体信号から不要な信号をバンドパスフィルタ等によって除去することにより、心拍信号及び呼吸信号を抽出する。すなわち、生体信号検出部1によって検出された生体信号は、人体から発する様々な振動が混ざり合った信号であり、その中に心拍信号や呼吸信号をはじめとして寝返りを示す体動信号等の様々な信号が含まれている。このうち、心拍信号は、心臓のポンプ機能に基づく圧力の変化(すなわち血圧)が振動となって生体信号に含まれるものである。また、呼吸信号は、肺の動きに基づく体動の変化が振動となって生体信号に含まれるものである。睡眠段階判定装置においては、これをフィルタ部3によって抽出することにより、心拍信号及び呼吸信号として認識する。このフィルタ部3を通過した心拍信号及び呼吸信号は、それぞれ、ピーク間隔信号演算部4及び自動利得制御部8に供給される。
ピーク間隔信号検出部4は、フィルタ部3を通過した心拍信号及び/又は呼吸信号からピーク間隔信号を検出する。このピーク間隔信号は、心拍信号及び/又は呼吸信号の強さがピークとなる付近の波形(R波)の間隔を変数とする信号であり、心拍変動解析においては、R波の隣り合うピークの間隔を表すR−R間隔信号としてよく使用されるものである。ピーク間隔信号検出部4によって検出されたピーク間隔信号は、パワースペクトル密度算出部5に供給される。
パワースペクトル密度算出部5は、ピーク間隔信号検出部4によって検出されたピーク間隔信号に対して高速フーリエ変換等の周波数解析を施し、パワースペクトル密度を算出する。図3及び図4に、ピーク間隔信号から求めたパワースペクトル密度の例を示す。なお、図3は、交感神経系が優位な場合におけるパワースペクトル密度を示し、図4は、副交感神経が優位な場合におけるパワースペクトル密度を示している。これらからわかるように、パワースペクトル密度は、自律神経系の状態によって異なる様相を示す。すなわち、パワースペクトル密度において、略0.05Hz〜0.15Hzの帯域と、略0.2Hz〜0.35Hzの帯域とに顕著な極大値が現れる。ここで、略0.05Hz〜0.15Hzの帯域おける極大値をLF値と称し、略0.2Hz〜0.35Hzの帯域における極大値をHF値と称する。これらHF値及びLF値は、自律神経の活動状況を示すパラメータであり、LF値が大きく且つHF値が小さい場合には、交感神経系が活発で緊張時であることを示し、LF値が小さく且つHF値が大きい場合には、副交感神経系が活発であることを示している。睡眠中は心拍数が減少するが、これは緊張時に活発となる交感神経系活動が低下し、弛緩時に活発となる副交感神経系活動が増加することによるものである。すなわち、睡眠の深さの状態によってHF値及びLF値は顕著に変動することになる。パワースペクトル密度算出部5は、算出したパワースペクトル密度をHF/LF値検出部6に供給する。
HF/LF値検出部6は、パワースペクトル密度算出部5によって算出されたパワースペクトル密度から、上述したHF値及びLF値を検出する。HF/LF値検出部6は、検出したHF値及びLF値を移動平均処理部7に供給する。
移動平均処理部7は、HF/LF値検出部6によって検出された自律神経成分の交感神経成分を示すパラメータであるLF値及び/又は副交感神経成分を示すパラメータであるHF値の移動平均処理、又は、交感神経成分比率LFR(=LF×100/(LF+HF))及び/又は副交感神経成分比率HFR(=HF×100/(LF+HF))の移動平均処理を行い、これら指標値の時系列データの平滑化を行う。また、移動平均処理部7は、分散値算出部10によって算出された心拍強度及び/又は呼吸強度の分散値HIDの移動平均処理を行い、これら分散値HIDの時系列データの平滑化を行う。このとき、移動平均処理部7は、後述するように、例えば1800点といった長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、例えば200点といった短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行う。移動平均処理部7は、移動平均処理を行って得られた時系列データを睡眠段階判定部12に供給する。
自動利得制御部8は、フィルタ部3の出力が所定の信号レベルの範囲内に入るように自動的に利得制御を行ういわゆるAGC回路である。この自動利得制御部8による利得制御は、例えば信号のピーク値が所定の上限閾値を超えた場合に出力信号の振幅が小さくなるように利得を設定するとともに、ピーク値が所定の下限閾値を下回った場合に振幅が大きくなるように利得を設定している。自動利得制御部8は、このような利得制御を行った際の利得の値(係数)を信号強度算出部9に供給する。
信号強度算出部9は、自動利得制御部8において心拍信号及び/又は呼吸信号に対して施した利得制御の係数に基づいて、心拍信号及び/又は呼吸信号の強度を算出する。上述した自動利得制御部8から得られる利得の値は、信号の大きさが大きいときには小さく、また、信号の大きさが小さいときは大きく設定されることから、利得の値とは反比例の関係で信号強度が表されることになる。信号強度算出部9は、算出した心拍信号及び/又は呼吸信号の強度について個人差をなくして一般化するために、正規化して百分率表現値とした上で、分散値算出部10に供給する。
分散値算出部10は、信号強度算出部9によって算出された信号強度のデータについて、所定時間のデータのばらつきを示す分散値HIDを算出する。なお、本実施の形態においては、ある時点において、その時点までの一定時間内にサンプリングしたデータのばらつきを示す指標を分散値と称するものとすると、そのデータの標準偏差を分散値として採用している。具体的には、分散値算出部10は、信号強度のデータが1秒毎に測定されているものとすると、一連の信号強度のデータのうち、例えば100秒間のデータの分散値を算出する。この場合、ある時点から遡及して100秒間のデータ、すなわち、100個の信号強度データの分散値を算出し、その後、次の1秒後から遡及して100秒間のデータの分散値を算出する、といった処理を繰り返し行う。この結果、分散値算出部10は、信号強度のばらつき(分散値)についての1秒間隔の時系列データを得ることができる。分散値算出部10は、このようにして得られた時系列データを移動平均処理部7、脳波成分比率推定部11及び睡眠段階判定部12に供給する。
脳波成分比率推定部11は、分散値算出部10によって算出された信号強度の分散値HIDを用いて脳波成分、すなわち、α波成分、β波成分、θ波成分、δ波成分の比率を推定する。なお、例えばδ波成分比率とは、
δ波成分比率=δ波成分×100/(α波成分+β波成分+θ波成分+δ波成分)
として表される脳波全体に対するδ波成分の比率(百分率)である。また、θ波成分比率とは、
θ波成分比率=θ波成分×100/(α波成分+θ波成分)
として表されるθ波成分の比率(百分率)である。なお、脳波成分比率推定部11による脳波成分の比率推定は、逐次的に行うものではなく、後述するように、深いノンレム睡眠段階の判定に用いる判定基準としての比率と分散値HIDとを対応付けするために測定開始時に行うものである。脳波成分比率推定部11は、推定した脳波成分比率を睡眠段階判定部12に供給する。
睡眠段階判定部12は、移動平均処理部7によって求められた移動平均値の時系列データ及び/又は第2の脳波成分比率推定部11から供給された脳波成分比率の時系列データ、さらには、心拍強度の分散値HIDの時系列データに基づいて、睡眠中の被験者の睡眠段階、すなわち、覚醒段階、レム睡眠段階、第1のノンレム睡眠段階及び第2のノンレム睡眠段階(浅いノンレム睡眠段階)、並びに、第3のノンレム睡眠段階及び第4のノンレム睡眠段階(深いノンレム睡眠段階)の6段階の種別を判定し、本発明による手法とPSGによる国際睡眠深度判定基準とを関連付ける。なお、体動がある場合には、信号が大きく振れ且つその信号強度の分散値HIDも大きくなる。そこで、睡眠段階判定部12は、このような異常値の影響を除去するため、所定値を超える信号強度の分散値HIDをその所定値で置換する等の異常値処理を行う。そして、睡眠段階判定部12は、上述したHF値及びLF値や分散値HIDの時系列データ等とともに、判定した睡眠段階情報を出力し、図示しない表示装置に表示させたり、印刷装置によって印刷させたり、記憶装置にデータとして記憶させたりする。なお、この睡眠段階判定部12による処理は、後に詳述するものとする。
このような睡眠段階判定装置は、図5に示すような一連の手順にしたがって、睡眠段階を判定する。なお、以下では、生体信号のうち心拍信号に基づいて処理を行うものとして説明する。
まず、睡眠段階判定装置においては、図5に示すように、ステップS1において、心拍強度信号を取り込む。すなわち、睡眠段階判定装置においては、生体信号検出部1によって検出された生体信号を信号増幅部2によって増幅し、フィルタ部3によって不要な信号をバンドパスフィルタ等によって除去して心拍信号と体動信号とを検出する。なお、体動信号は心拍信号と比較して大きい信号であることから、心拍信号は体動信号に内包された信号となる。体動信号は覚醒及び浅い睡眠時に発生し、特に覚醒時は頻発する場合が多いことから、睡眠段階装置においては、このような現象をも利用して睡眠段階の判定を行う。
睡眠段階判定装置においては、各睡眠段階を判定するために異なる手法を用いる。
まず、覚醒段階の判定について説明する。
睡眠段階判定装置においては、覚醒段階の判定のために、体動信号を含む心拍強度の分散値HIDとその保持時間とを用いる。なお、以下において、保持時間とは、ある値が所定条件を時間的に連続して満たす場合の時間を意味する。
具体的には、睡眠段階判定装置においては、ステップS1にて検出した心拍信号に対して自動利得制御部8によって利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、信号強度(振幅)を所定の範囲に制限する。これにより、睡眠段階判定装置においては、心拍信号に含まれる体動信号が異常に大きな値として検出・排除されることになり、データの信頼性が向上する効果がある。そして、睡眠段階判定装置においては、信号強度算出部9により、自動利得制御部8によって心拍信号に適用された利得の値を用いて心拍信号の強度を算出する。このとき、心拍強度信号のデータは、1秒毎にサンプリングされ、図10(a)に示すような心拍強度の時系列データが得られる。ここでは、利得の逆数と比例する関数を設定し、信号強度としている。なお、図10(a)の心拍強度は、所定強度によって正規化したものである。
続いて、睡眠段階判定装置においては、ステップS2において、分散値算出部10によって心拍強度の分散値HIDを算出する。具体的には、分散値算出部10は、各時点から遡及して100秒間のデータの分散値(標準偏差)を算出する。これにより、図10(b)に示すような心拍強度の分散値HIDの時系列データが得られる。なお、図10(b)に示す心拍強度の分散値HIDの単位は、想定される最大の心拍強度の分散値を基準とする百分率である。
そして、睡眠段階判定装置においては、ステップS3乃至ステップS5において、睡眠段階判定部12によって覚醒段階であるか否かの判定を行う。すなわち、睡眠段階判定部12は、心拍強度の分散値HIDの時系列データのうち、分散値HIDが所定値以上である区間であってその保持時間が所定時間以上である区間を覚醒段階であると判定する。具体的には、睡眠段階判定部12は、分散値HIDが7.5%以上である区間であってその保持時間が40秒以上である区間を覚醒段階であると判定する。また、覚醒段階であると判定した区間が断続的に発生する場合には、連続した覚醒段階としてもよい蓋然性が高いことから、睡眠段階判定部12は、その発生の間隔が例えば300秒といった所定時間以内の場合には、前回の覚醒から今回の覚醒までの間の区間についても連続した覚醒段階であると判定する。
したがって、睡眠段階判定部12は、図10(a)及び図10(b)に示すデータが得られた場合には、A〜Dの時点については覚醒段階とは判定せず、E〜Hの時点については覚醒段階であると判定する。実際に、E〜Hの時点は、中途覚醒であり、図10(c)に示すように、脳波のδ波成分も低位であり、脳波波形の目視検査によって覚醒段階であることを確認している。なお、脳波全体に対するδ波成分比率(=δ波成分×100/(α波成分+β波成分+θ波成分+δ波成分))は、覚醒段階では略0%であるとされるが、図10(c)に示した例からは、周波数解析を行った結果、合成波等のノイズが検出されていることがわかる。
睡眠段階判定装置においては、このようにして覚醒段階であるか否かの判定を行うことができる。特に、睡眠段階の判定のために保持時間という概念を用いることは新規であり、保持時間を用いずにデータの値のみを用いて睡眠段階を判定する従来の手法に比べて格段に精度を向上させることができる。このような覚醒段階の判定結果は、図10(d)に示すように、PSGによる国際睡眠深度判定結果と略一致しており、裏付けがとれるものである。睡眠段階判定装置においては、覚醒段階でないと判定した場合には、他の睡眠段階であると判定し、図6中ステップS6以降の処理、具体的には、深いノンレム睡眠段階の判定を行うことになる。
つぎに、第3のノンレム睡眠段階及び第4のノンレム睡眠段階(深いノンレム睡眠段階)の判定について説明する。
PSGによる判定方法をはじめとし、脳波の周波数解析による0.5Hz〜3.5Hz程度のδ波成分の検出をともなう方法においては、δ波成分以外の合成波の影響により、自動的な周波数解析のみでは誤検出してしまう場合が多く、最終的は目視による波形判定を行う必要がある、という問題がある。
これに対して、睡眠段階判定装置においては、以下に示すδ波成分の出現及び消滅についての特徴を利用する。
PSGによる国際睡眠深度判定基準においては、δ波成分比率に基づいて睡眠深度を決定するが、本発明による手法との関係をみると、本願発明者による実験の結果、δ波成分比率と心拍強度の分散値HIDとは略反比例することがわかっている。また、δ波成分比率が20%以上の場合には、上述したように深い睡眠であると判定するが、これは、約2.7%以下の心拍強度の分散値HIDに相当する。
さらに、本願発明者は、覚醒段階から深いノンレム睡眠段階へと至る過程におけるδ波成分は、中途覚醒段階、レム睡眠段階、浅いノンレム睡眠段階(第1のノンレム睡眠段階)等がない安定した睡眠状態が所定時間持続した後に増大することによって出現することを確認している。一方、δ波成分は、中途覚醒段階、レム睡眠段階、浅いノンレム睡眠段階等があると、瞬時に減少することも本願発明者によって確認されている。
さらにまた、深い睡眠時におけるδ波成分比率(20%以上)の挙動について、睡眠期間の前半(約3時間)と後半とにわけると、前半では、深い睡眠(第3及び第4のノンレム睡眠段階)のδ波成分がピークに到達するまでには心拍強度の分散値HIDが約3.5%以下であり且つその保持時間Taが約850秒程度であるのに対して、後半では、δ波成分がピークに到達するまでには心拍強度の分散値HIDが約3.5%以下であり且つその保持時間Tbが約2800秒程度と長くなる。深いノンレム睡眠段階になるためには、この保持時間Ta,Tb間にそれぞれ覚醒段階やレム睡眠段階等がないことが必要であり、そのためには、覚醒段階及びレム睡眠段階に相当する心拍強度の分散値HIDが約3.5%以上である区間があった場合にはその保持時間が20秒以下の短い区間であることが必要である。
そこで、睡眠段階判定装置においては、図6中ステップS6において、脳波成分比率推定部11により、先に図5中ステップS2にて算出した分散値HIDの時系列データから、
P1=定数a/分散値HID
を用いてδ波成分の比率(推定値P1)を算出する。
また、睡眠段階判定装置においては、ステップS7において、睡眠段階判定部12により、先にステップS2にて算出した分散値HIDの時系列データから、分散値HIDが約3.5%未満である区間又は3.5%以上であってその保持時間が20秒以下である区間を特定し、ステップS8において、そのような区間についてδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間Ta,Tbを算出する。
そして、睡眠段階判定装置においては、ステップS9において、睡眠段階判定部12により、入眠から3時間未満であると判定した場合には、ステップS10において、δ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間Taが所定時間以上、すなわち、850秒以上であって、δ波成分比率が所定値以上(20%以上)、すなわち、心拍強度の分散値HIDが所定値以下(2.7%以下)であるか否かを判定し、この条件を満たす場合には、ステップS12において、その保持時間Ta以前から現在までの区間を深いノンレム睡眠段階であると判定する。また、睡眠段階判定装置においては、ステップS9において、睡眠段階判定部12により、入眠から3時間以降であると判定した場合には、ステップS11において、δ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間Tbが所定時間以上、すなわち、2800秒以上であって、心拍強度の分散値HIDが所定値以下(2.7%以下)であるか否かを判定し、この条件を満たす場合には、ステップS12において、その保持時間Tb以前から現在までの区間を深いノンレム睡眠段階であると判定する。
図10に示すデータを例にとると、区間A〜Bは1951秒であり、区間B〜Cは1575秒であり、区間C〜Dは1680秒であり、区間E〜Fは961秒であり、区間F〜Gは2644秒であり、区間G〜Hは1918秒である。ここで、961秒の区間E〜Fには、分散値HIDが3.5%以下となる区間が存在するが、その時間が200秒程度であり、真のδ波成分比率が20%以上になるための時間に達しないことから、深いノンレム睡眠段階とは判定しない。
睡眠段階判定装置においては、このようにして深いノンレム睡眠段階であるか否かの判定を行うことができる。
さらに、睡眠段階判定装置においては、深いノンレム睡眠段階であると判定した場合には、第3及び第4のノンレム睡眠段階の識別を行う。PSGによる国際睡眠深度判定基準においては、δ波成分比率が20%〜50%の場合には、第3のノンレム睡眠段階と判定するが、これは、約2.7%〜1.8%の心拍強度の分散値に相当する。そこで、睡眠段階判定装置においては、ステップS13において、睡眠段階判定部12により、心拍強度の分散値HIDが1.8%<HID≦2.7%であると判定した場合には、ステップS14において、第3のノンレム睡眠段階であると判定する一方で、ステップS15において、心拍強度の分散値HIDがHID≦1.8%であると判定した場合には、ステップS16において、第4のノンレム睡眠段階であると判定する。
睡眠段階判定装置においては、このようにしてPSGによる国際睡眠深度判定基準における第3及び第4のノンレム睡眠段階を識別することができる。PSGによる判定においては、δ波成分比率が20%という下限値の識別が困難であり、現実には目視による判定が行われているが、睡眠段階判定装置においては、自動的に第3及び第4のノンレム睡眠段階を高精度に識別することができる。睡眠段階判定装置においては、深いノンレム睡眠段階でないと判定した場合には、他の睡眠段階であると判定し、図7中ステップS17以降の処理又は図8中ステップS21以降の処理、具体的には、レム睡眠段階の判定を行うことになる。
つぎに、レム睡眠段階の判定について説明する。
睡眠段階判定装置においては、レム睡眠段階の判定手法として、以下の2つの手法のいずれか又は双方を採用する。
まず、レム睡眠段階判定のための第1の手法は、睡眠と自律神経成分との関係に基づいて求めるものである。
この場合、睡眠段階判定装置においては、図7中ステップS17において、ピーク間隔信号検出部4により、先にステップS1にて検出した心拍信号のピーク間隔(R−R間隔)を検出した後、パワースペクトル密度算出部5により、心拍信号のパワースペクトル密度を算出し、先に図3及び図4に示したようなパワースペクトル密度を得る。そして、睡眠段階判定装置においては、HF/LF値検出部6により、自律神経成分の交感神経成分を示すパラメータであるLF値(0.05Hz〜0.15Hz)と、自律神経成分の副交感神経成分を示すパラメータであるHF値(0.2Hz〜0.35Hz)とを検出する。
ここで、レム睡眠段階においては、θ波成分比率(=θ波成分×100/(α波成分+θ波成分))が急増して極大値を有することが知られているが、自律神経成分の交感神経成分を示すパラメータであるLF値や、交感神経成分比率LFR(=LF×100/(LF+HF))も同様の傾向で極大値を有することから、本願発明者は、この極大値近傍の区間がレム睡眠段階であることを見出した。一方、自律神経成分の交感神経成分を示すパラメータであるHF値や、副交感神経成分比率HFR(=HF×100/(LF+HF))は極小値をとることから、本願発明者は、この極小値近傍の区間もレム睡眠段階であることを見出した。
そこで、睡眠段階判定装置においては、このようなレム睡眠段階の判定のためにθ波成分比率と自律神経成分との関係を用いる。すなわち、睡眠段階判定装置においては、ステップS18において、移動平均処理部7により、HF値及び/又はLF値、又は、HFR値及び/又はLFR値に対して移動平均処理を行う。このとき、移動平均処理部7は、例えば1800点といった長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、例えば200点といった短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行う。
なお、図11(a)乃至図11(c)に示すように、上述した心拍強度の分散値HIDと、自律神経成分の交感神経成分を示すパラメータであるLF値や交感神経成分比率LFRとの相互相関値は、約0.75程度と極めて高い。なお、図11(c)においては、心拍強度の分散値HID及び交感神経成分比率LFRを、ともに、所定個数のデータ毎に移動平均処理を行って得られたデータを示している。そのため、睡眠段階判定装置においては、心拍強度の分散値HIDに基づいてLF値を簡便に推定するようにしてもよい。
そして、睡眠段階判定装置においては、図7中ステップS19において、睡眠段階判定部12により、長期移動平均処理によって得られた時系列データと、短期移動平均処理によって得られた時系列データとの差分をとり、この差分値の時系列データの極大値又は極小値近傍を特定することにより、ステップS20において、レム睡眠段階の区間を特定する。
例えば、心拍強度の分散値HIDに基づいて求めた交感神経成分相当のLF値に基づいてレム睡眠段階の区間の判定を行う場合には、図12(a)及び図12(b)に示すように、また、交感神経成分比率LFRに基づいてレム睡眠区間の判定を行う場合には、図13(a)及び図13(b)に示すように、長期移動平均処理による時系列データが所定値以上(例えば70%以上)である場合には、その時系列データの極大値近傍の区間であって、(短期移動平均処理による時系列データ)−(長期移動平均処理による時系列データ)が正値である区間にレム睡眠段階が含まれる。一方、副交感神経成分相当のHF値や副交感神経成分比率HFRは、図11(d)に示すように、LF値やLFR値と略反比例の関係にある。そのため、副交感神経成分相当のHF値や副交感神経成分比率HFRに基づいてレム睡眠区間の判定を行う場合には、図14(a)及び図14(b)に示すように、長期移動平均処理による時系列データが所定値以上(例えば20%以上)である場合には、その時系列データの極小値近傍の区間であって、(短期移動平均処理による時系列データ)−(長期移動平均処理による時系列データ)が負値である区間にレム睡眠段階が現れ、長期移動平均処理による時系列データが所定値未満(例えば20%未満)である場合には、(短期移動平均処理による時系列データ)−(長期移動平均処理による時系列データ)が負値である区間にレム睡眠段階が現れる。なお、図12乃至図14に示す例のいずれの場合にも、60秒程度のごく短時間だけレム睡眠段階が発生している区間Cについては無視してもよい。
ここで、このようにして特定されたレム睡眠段階の区間には、深い睡眠段階は存在しないものの、覚醒段階及び浅いノンレム睡眠段階に相当する成分が含まれることがある。そこで、睡眠段階判定部12は、このような区間を除く処理を行う。具体的には、睡眠段階判定部12は、覚醒段階については、上述したように、心拍信号から算出した心拍強度の分散値HIDが7.5%以上である区間であってその保持時間が40秒以上である区間を除く。また、睡眠段階判定部12は、浅いノンレム睡眠段階については、分散値HIDが極端に小さい所定値以下(例えば約3.5%以下)の区間を浅いノンレム睡眠段階(第2のノンレム睡眠段階)に相当すると判定し、これを除く。
睡眠段階判定装置においては、このようにして自律神経成分の関係に基づいてレム睡眠であるか否かの判定を行うことができる。特に、レム睡眠段階の判定のために長期移動平均処理によるデータと短期移動平均処理によるデータとの差分を用いることは新規であり、単純に移動平均処理を行って睡眠段階を判定する従来の手法に比べて格段に精度を向上させることができる。このようなレム睡眠段階の判定結果は、図12(c)、図13(c)及び図14(c)に示すように、PSGによる国際睡眠深度判定結果と略一致している。睡眠段階判定装置においては、レム睡眠段階でないと判定した場合には、他の睡眠段階であると判定し、図9中ステップS24以降の処理、具体的には、浅いノンレム睡眠段階の判定を行うことになる。
また、レム睡眠段階判定のための第2の手法は、睡眠と心拍強度の分散値HIDとの関係に基づいて求めるものである。この手法は、最も簡便にレム睡眠段階の判定を行うことができるものである。
レム睡眠段階においては、上述したように、θ波成分比率(=θ波成分×100/(α波成分+θ波成分))が急増して極大値を有することが知られているが、心拍強度の分散値HIDも同様の傾向で極大値を有することから、本願発明者は、この極大値近傍の区間がレム睡眠段階であることを見出した。
そこで、睡眠段階判定装置においては、レム睡眠段階の判定のためにθ波成分比率と心拍強度の分散値HIDとの関係を用いる。すなわち、睡眠段階判定装置においては、図8中ステップS21において、移動平均処理部7により、先に図5中ステップS2にて算出した心拍強度の分散値HIDに対して移動平均処理を行う。このとき、移動平均処理部7は、例えば1800点といった長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、例えば200点といった短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行う。
そして、睡眠段階判定装置においては、ステップS22において、睡眠段階判定部12により、長期移動平均処理によって得られた時系列データと、短期移動平均処理によって得られた時系列データとの差分をとり、この差分値の時系列データの極大値近傍を特定することにより、ステップS23において、レム睡眠段階の区間を特定する。
例えば、図15(a)及び図15(b)に示すように、睡眠期間の後半における体動が多い場合等、心拍強度の分散値HIDの長期移動平均の値が所定値以上(例えば5%以上)である場合には、(短期移動平均処理による時系列データ)−(長期移動平均処理による時系列データ)が正値である区間にレム睡眠段階が含まれる。また、心拍強度の分散値HIDの長期移動平均の値が所定範囲(例えば3.5%〜5%)である場合には、体動が少ない浅いノンレム睡眠段階が支配的な区間であり、レム睡眠段階は、この長期移動平均処理によって得られた時系列データの極大値近傍の区間であって、(短期移動平均処理による時系列データ)−(長期移動平均処理による時系列データ)が正値である区間にレム睡眠段階が含まれる。さらに、心拍強度の分散値HIDの長期移動平均の値が所定値以下(例えば3.5%以下)である場合には、深いノンレム睡眠段階に相当し、レム睡眠段階とは判定しない。なお、レム睡眠段階の前後には中途覚醒段階が混在することが多く、中途覚醒段階は、θ波成分よりもα波成分が優位となってθ波成分が急減するが、心拍強度の分散値HIDは、中途覚醒による体動を含めて増大することが多い。また、θ波成分は、中途覚醒及び短時間のレム睡眠段階においては中途覚醒の影響によって隠れてしまうことがあるが、一般的には、この影響はごく僅かであることを確認している。なお、図15には、θ波成分が隠れてしまった場合について示している。すなわち、図15(b)における時点Cに示すθ波成分は検出できないが、心拍強度の分散値HIDによる方式では、図15(a)に示すようにレム睡眠段階であることを検出し、同様にPSGによる判定でも、図15(c)に示すようにレム睡眠段であることを検出している。このことから、心拍強度の分散値HIDは、レム睡眠段階の検出能に優れていることがわかる。
さらに、睡眠段階判定部12は、上述したように、覚醒段階及び浅いノンレム睡眠段階に相当する成分を除くために、覚醒段階については、分散値HIDが7.5%以上である区間であってその保持時間が40秒以上である区間を除き、浅いノンレム睡眠段階については、分散値HIDが極端に小さい所定値以下(例えば約3.5%以下)の区間を浅いノンレム睡眠段階に相当すると判定し、これを除く。
睡眠段階判定装置においては、このようにして心拍強度の分散値HIDの関係に基づいてレム睡眠であるか否かの判定を行うことができる。このようなレム睡眠段階の判定結果は、図15(c)に示すように、PSGによる国際睡眠深度判定結果と略一致している。睡眠段階判定装置においては、レム睡眠段階でないと判定した場合には、他の睡眠段階であると判定し、図9中ステップS24以降の処理、具体的には、浅いノンレム睡眠段階の判定を行うことになる。
最後に、第1のノンレム睡眠段階及び第2のノンレム睡眠段階(浅いノンレム睡眠段階)の判定について説明する。
睡眠段階判定装置においては、上述したように、覚醒段階、深いノンレム睡眠段階、及び、レム睡眠段階の区間を判定すると、これらの情報をメモリ等の記憶装置に保持しておく。そして、睡眠段階判定装置においては、図9中ステップS24において、睡眠判定部12により、これらの覚醒段階、深いノンレム睡眠段階、及び、レム睡眠段階の区間のデータを記憶装置から読み出し、読み出したデータを全睡眠時間の時系列データから差し引いた残りの区間を浅いノンレム睡眠段階の区間であると判定し、その期間及び時刻を特定する。
そして、睡眠段階判定装置においては、浅いノンレム睡眠段階を2区分にわけ、第1及び第2のノンレム睡眠段階の識別を行う。PSGによる国際睡眠深度判定基準において、第1のノンレム睡眠段階ではα波成分が優位であり、第2のノンレム睡眠段階ではθ波成分が優位である。睡眠段階判定装置においては、この優位性をθ波成分比率(=θ波成分×100/(α波成分+θ波成分))を用いて判定し、第1及び第2のノンレム睡眠段階の識別を行う。具体的には、睡眠段階判定装置においては、図16(a)に示すように、θ波成分比率と心拍強度の分散値HIDとが所定の関係にあることから、θ波成分比率が50%を超えて支配的となる時点、すなわち、心拍強度の分散値HIDに換算したとき3.5%となる時点を第1及び第2のノンレム睡眠段階の境界として定義する。
そこで、睡眠段階判定装置においては、ステップS25において、睡眠段階判定部12により、心拍強度の分散値HIDが2.7%<HID≦3.5%であると判定した場合と、心拍強度の分散値HIDがHID≦2.7%であって深い睡眠段階でない場合には、ステップS26において、第2のノンレム睡眠段階であると判定する一方で、ステップS27において、心拍強度の分散値HIDが3.5%<HID≦7.5%であると判定した場合には、ステップS28において、その区間のうちレム睡眠段階の区間を除いた区間を第1のノンレム睡眠段階であると判定する。
睡眠段階判定装置においては、このようにしてPSGによる国際睡眠深度判定基準における第1及び第2のノンレム睡眠段階を識別することができる。このような第1及び第2のノンレム睡眠段階の判定結果は、図16(b)に示すように、PSGによる国際睡眠深度判定結果と略一致している。
睡眠段階判定装置においては、図5乃至図9に示したような一連の手順にしたがって、覚醒段階、レム睡眠段階、第1及び第2のノンレム睡眠段階、及び、第3及び第4のノンレム睡眠段階について自動的且つ高精度に判定することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態として示す睡眠段階判定装置においては、国際睡眠深度判定基準との整合をとりながら睡眠段階を高精度に判定することができる。また、睡眠段階判定装置においては、被験者に電極を装着したりする必要がないことから、被験者にとって身体的及び心的負担を何ら負うことなく、且つ、安価に被験者が睡眠段階を日常的に判定することができる。したがって、睡眠段階判定装置においては、被験者の健康管理にとって重要なデータとなり得る就寝中の睡眠段階の推移を容易に且つ高精度に入手することが可能となり、健康管理に大いに貢献することができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上述した実施の形態では、心拍信号を検出する方法として、被験者の身体の下に敷設した無拘束の生体信号検出部1によって得られた生体信号から心拍信号を抽出する方法を示したが、本発明は、継続的に心拍信号又は心拍信号と同等の信号が得られる検出手段であれば適用可能である。例えば、本発明は、手首や上腕部等の身体に装着するタイプの心拍計や脈拍計であってデータを連続的に記録することが可能なものであれば生体信号検出部1として適用可能である。
また、生体信号検出部1としては、上述した中空チューブを用いる代わりに、図17に示すようなエアマット式の検出手段を用いてもよい。すなわち、図17に示す生体信号検出部30は、内部に空気を封入したエアマット30aの一端にエアチューブ30bが接続され、さらに、このエアチューブ30bに微差圧センサ30cが接続されて構成される。なお、微差圧センサ30cは、中空チューブを用いた生体信号検出部1の場合において説明したものと同様のものを用いることができる。
さらに、上述した実施の形態では、心拍信号に基づく処理を中心に説明したが、本発明は、呼吸信号に基づいて呼吸強度の分散値やピーク間隔信号を求め、各睡眠段階の判定に用いるようにしてもよく、心拍信号による判定と呼吸信号による判定との論理積によって最終的な睡眠段階の判定を行うようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、心拍強度のばらつきを示す分散値として標準偏差を採用したが、本発明は、例えば、分散、偏差平方和、所定範囲等の統計量を採用してもよい。
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
1,30 生体信号検出部
1a 圧力検出チューブ
1b,30c 微差圧センサ
2 信号増幅部
3 フィルタ部
4 ピーク間隔信号検出部
5 パワースペクトル密度算出部
6 HF/LF値検出部
7 移動平均処理部
8 自動利得制御部
9 心拍強度算出部
10 分散値算出部
11 脳波成分比率推定部
12 睡眠段階判定部
21 寝台
22 硬質シート
23 クッションシート
30a エアマット
30b エアチューブ

Claims (16)

  1. 被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、
    前記生体信号検出手段によって検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度のデータについて算出された所定時間のデータのばらつきを示す分散値と、その保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が覚醒段階であるか否かを判定する覚醒段階判定手段と、
    前記分散値が所定条件を満たす区間について、当該分散値を用いて推定された脳波成分のうちδ波成分の比率と、このδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が深いノンレム睡眠段階であるか否かを判定する深いノンレム睡眠段階判定手段と、
    前記生体信号のピーク間隔に基づいて検出された自律神経成分の交感神経成分若しくは副交感神経成分を示すパラメータ及び/又は前記分散値と、脳波成分のうちθ波成分の比率との関係を利用し、前記交感神経成分若しくは副交感神経成分を示すパラメータ及び/又は前記分散値に対して、長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行い、長期移動平均処理によって得られたデータと、短期移動平均処理によって得られたデータとの差分値に基づいて、前記被験者の睡眠段階がレム睡眠段階であるか否かを判定するレム睡眠段階判定手段と、
    前記覚醒段階判定手段によって覚醒段階であると判定された区間のデータと、前記深いノンレム睡眠段階判定手段によって深いノンレム睡眠段階であると判定された区間のデータと、前記レム睡眠段階判定手段によってレム睡眠段階であると判定された区間のデータとを全睡眠時間のデータから差し引いた残りの区間を浅いノンレム睡眠段階の区間であると判定する浅いノンレム睡眠段階判定手段とを備えること
    を特徴とする睡眠段階判定装置。
  2. 前記覚醒段階判定手段は、前記分散値が第1の所定値以上である区間であってその保持時間が第1の所定時間以上である区間を覚醒段階であると判定すること
    を特徴とする請求項1記載の睡眠段階判定装置。
  3. 前記覚醒段階判定手段は、覚醒段階であると判定した区間が断続的に発生する場合には、その発生の間隔が第2の所定時間以内の場合には、前回の覚醒から今回の覚醒までの間の区間についても連続した覚醒段階であると判定すること
    を特徴とする請求項2記載の睡眠段階判定装置。
  4. 前記深いノンレム睡眠段階判定手段は、前記分散値の範囲に基づいて、深いノンレム睡眠段階であると判定した区間を、睡眠ポリソムノグラフによる国際睡眠深度判定基準における第3のノンレム睡眠段階及び第4のノンレム睡眠段階に合うように2つの区分にわけて識別すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項記載の睡眠段階判定装置。
  5. 前記深いノンレム睡眠段階判定手段は、前記分散値が第2の所定値未満である区間又は前記第2の所定値以上であってその保持時間が第3の所定時間以下である区間を特定し、特定した区間についてδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間を算出すること
    を特徴とする請求項4記載の睡眠段階判定装置。
  6. 前記深いノンレム睡眠段階判定手段は、入眠から第4の所定時間未満である場合には、δ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間が第5の所定時間以上であって前記分散値が第3の所定値以下である場合に、当該保持時間以前から現在までの区間を深いノンレム睡眠段階であると判定し、入眠から前記第4の所定時間以降である場合には、δ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間が前記第4の所定時間よりも長い第6の所定時間以上であって前記分散値が前記第3の所定値以下である場合に、当該保持時間以前から現在までの区間を深いノンレム睡眠段階であると判定すること
    を特徴とする請求項5記載の睡眠段階判定装置。
  7. 前記レム睡眠段階判定手段は、前記交感神経成分を示すパラメータに基づいてレム睡眠段階の区間の判定を行う場合には、長期移動平均処理によって得られたデータにおいて第4の所定値以上の極大値近傍の区間であって、(短期移動平均処理によるデータ)−(長期移動平均処理によるデータ)が正値である区間にレム睡眠段階が含まれると判定すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項記載の睡眠段階判定装置。
  8. 前記レム睡眠段階判定手段は、前記副交感神経成分を示すパラメータに基づいてレム睡眠段階の区間の判定を行う場合には、長期移動平均処理によって得られたデータが第5の所定値以上である場合には、そのデータの極小値近傍の区間であって、(短期移動平均処理によるデータ)−(長期移動平均処理によるデータ)が負値である区間にレム睡眠段階が含まれると判定し、長期移動平均処理によって得られたデータが前記第5の所定値未満である場合には、(短期移動平均処理によるデータ)−(長期移動平均処理によるデータ)が負値である区間にレム睡眠段階が含まれると判定すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項記載の睡眠段階判定装置。
  9. 前記レム睡眠段階判定手段は、前記分散値に基づいてレム睡眠段階の区間の判定を行う場合には、長期移動平均処理によって得られたデータが第6の所定値以上である場合には、(短期移動平均処理によるデータ)−(長期移動平均処理によるデータ)が正値である区間にレム睡眠段階が含まれると判定し、長期移動平均処理によって得られたデータが前記第6の所定値未満であって第7の所定値以上である場合には、そのデータの極大値近傍の区間であって、(短期移動平均処理によるデータ)−(長期移動平均処理によるデータ)が正値である区間にレム睡眠段階が含まれると判定し、長期移動平均処理によって得られたデータが前記第7の所定値以下である場合には、レム睡眠段階とは判定しないこと
    を特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項記載の睡眠段階判定装置。
  10. 前記レム睡眠段階判定手段は、レム睡眠段階であると判定した区間のうち、前記覚醒段階判定手段によって覚醒段階であると判定された区間と前記分散値が第8の所定値以下の区間とがある場合には、他の睡眠段階に相当すると判定して当該区間のデータを除くこと
    を特徴とする請求項7乃至請求項9のうちいずれか1項記載の睡眠段階判定装置。
  11. 前記浅いノンレム睡眠段階判定手段は、前記分散値の範囲に基づいて、浅いノンレム睡眠段階であると判定した区間を、睡眠ポリソムノグラフによる国際睡眠深度判定基準における第1のノンレム睡眠段階及び第2のノンレム睡眠段階に合うように2つの区分にわけて識別すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項10のうちいずれか1項記載の睡眠段階判定装置。
  12. 被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、
    前記生体信号検出手段によって検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度を算出する生体信号強度算出手段と、
    前記生体信号強度算出手段によって算出された生体信号強度のデータについて、所定時間のデータのばらつきを示す分散値を算出する分散値算出手段と、
    前記分散値算出手段によって算出された分散値と、その保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が覚醒段階であるか否かを判定する覚醒段階判定手段とを備えること
    を特徴とする睡眠段階判定装置。
  13. 被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、
    前記生体信号検出手段によって検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度を算出する生体信号強度算出手段と、
    前記生体信号強度算出手段によって算出された生体信号強度のデータについて、所定時間のデータのばらつきを示す分散値を算出する分散値算出手段と、
    前記分散値算出手段によって算出された分散値を用いて脳波成分のうちδ波成分の比率を推定する脳波成分比率推定手段と、
    前記分散値算出手段によって算出された分散値が所定条件を満たす区間について、前記脳波成分比率推定手段によって推定されたδ波成分の比率と、このδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が深いノンレム睡眠段階であるか否かを判定する深いノンレム睡眠段階判定手段とを備えること
    を特徴とする睡眠段階判定装置。
  14. 被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、
    前記生体信号検出手段によって検出された生体信号から検出したピーク間隔信号のパワースペクトル密度から、自律神経成分の交感神経成分又は副交感神経成分を示すパラメータを検出するパラメータ検出手段と、
    前記パラメータ検出手段によって検出された自律神経成分の交感神経成分又は副交感神経成分を示すパラメータと、脳波成分のうちθ波成分の比率との関係を利用し、前記交感神経成分又は副交感神経成分を示すパラメータに対して、長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行い、長期移動平均処理によって得られたデータと、短期移動平均処理によって得られたデータとの差分値に基づいて、前記被験者の睡眠段階がレム睡眠段階であるか否かを判定するレム睡眠段階判定手段とを備えること
    を特徴とする睡眠段階判定装置。
  15. 被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出手段と、
    前記生体信号検出手段によって検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度を算出する生体信号強度算出手段と、
    前記生体信号強度算出手段によって算出された生体信号強度のデータについて、所定時間のデータのばらつきを示す分散値を算出する分散値算出手段と、
    前記分散値算出手段によって算出された分散値と、脳波成分のうちθ波成分の比率との関係を利用し、前記分散値に対して、長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行い、長期移動平均処理によって得られたデータと、短期移動平均処理によって得られたデータとの差分値に基づいて、前記被験者の睡眠段階がレム睡眠段階であるか否かを判定するレム睡眠段階判定手段とを備えること
    を特徴とする睡眠段階判定装置。
  16. 所定の生体信号検出手段によって被験者の生体信号を無侵襲且つ無拘束で検出する生体信号検出工程と、
    信号処理を行うプロセッサが、前記生体信号検出工程にて検出された生体信号に対して利得制御を行うことによってピーク値を一定に制御し、そのときの利得の値を用いて算出した生体信号の強度のデータについて算出された所定時間のデータのばらつきを示す分散値と、その保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が覚醒段階であるか否かを判定し、覚醒段階であると判定した区間のデータを記憶装置に記憶させる覚醒段階判定工程と、
    前記プロセッサが、前記分散値が所定条件を満たす区間について、当該分散値を用いて推定された脳波成分のうちδ波成分の比率と、このδ波成分の比率がピークに到達するまでの保持時間とに基づいて、前記被験者の睡眠段階が深いノンレム睡眠段階であるか否かを判定し、深いノンレム睡眠段階であると判定した区間のデータを前記記憶装置に記憶させる深いノンレム睡眠段階判定工程と、
    前記プロセッサが、前記生体信号のピーク間隔に基づいて検出された自律神経成分の交感神経成分若しくは副交感神経成分を示すパラメータ及び/又は前記分散値と、脳波成分のうちθ波成分の比率との関係を利用し、前記交感神経成分若しくは副交感神経成分を示すパラメータ及び/又は前記分散値に対して、長期間のデータ毎に移動平均処理を行う長期移動平均処理と、短期間のデータ毎に移動平均処理を行う短期移動平均処理とを行い、長期移動平均処理によって得られたデータと、短期移動平均処理によって得られたデータとの差分値に基づいて、前記被験者の睡眠段階がレム睡眠段階であるか否かを判定し、レム睡眠段階であると判定した区間のデータを前記記憶装置に記憶させるレム睡眠段階判定工程と、
    前記覚醒段階判定工程にて覚醒段階であると判定された区間のデータと、前記深いノンレム睡眠段階判定工程にて深いノンレム睡眠段階であると判定された区間のデータと、前記レム睡眠段階判定工程にてレム睡眠段階であると判定された区間のデータとを前記記憶装置から読み出し、読み出したデータを全睡眠時間のデータから差し引いた残りの区間を浅いノンレム睡眠段階の区間であると判定し、浅いノンレム睡眠段階であると判定した区間のデータを前記記憶装置に記憶させる浅いノンレム睡眠段階判定工程とを備えること
    を特徴とする睡眠段階判定方法。
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