JP2012064537A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2012064537A
JP2012064537A JP2010209836A JP2010209836A JP2012064537A JP 2012064537 A JP2012064537 A JP 2012064537A JP 2010209836 A JP2010209836 A JP 2010209836A JP 2010209836 A JP2010209836 A JP 2010209836A JP 2012064537 A JP2012064537 A JP 2012064537A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
layer
electrode active
active material
average particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010209836A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5585834B2 (ja
Inventor
Hiromoto Awano
宏基 粟野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2010209836A priority Critical patent/JP5585834B2/ja
Publication of JP2012064537A publication Critical patent/JP2012064537A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5585834B2 publication Critical patent/JP5585834B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

【課題】正極において対極側の電子抵抗を低下させて正極の厚さ方向における電子の動きを円滑にすると共に、正極の厚さ方向においてリチウムイオンの動きを円滑にして正極活物質の利用率の向上を実現し得るリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】本発明によって提供されるリチウムイオン二次電池において、正極64は、正極集電体62と、正極活物質70,75A,75Bと導電材71,76とを含む正極活物質層66とを備えている。正極活物質層は、集電体に近接する近接層68と、該近接層よりも対極側に離れる方向に形成された対極側層74とを少なくとも含む積層構造である。ここで、正極活物質と導電材のそれぞれの形状及び/又は平均粒径は、近接層と対極側層との間で相互に異なっており、それによって近接層の電子抵抗よりも対極側層の電子抵抗のほうが小さくなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。より詳細には該電池の正極の構造に関する。
リチウムイオンが正極と負極との間を行き来することにより充電及び放電するリチウムイオン二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られることからパソコン及び携帯端末の電源、特に車両搭載用電源に好ましく用いられるものとして重要性が高まっている。
一般に、リチウムイオン二次電池の正極は、正極集電体と該集電体上に形成された正極活物質層とによって構成されている。ここで、正極活物質層は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出し得る正極活物質と補助成分として導電材等とを含んでいる。
ところで、このような構成のリチウムイオン二次電池において、正極中の正極活物質層の厚みは、充放電の際のリチウムイオン及び電子の動きに大きく関与している。即ち、リチウムイオンは正極集電体に近い部分においてその動きが阻害される傾向にあり、他方、電子は正極集電体から遠い部分(ここでは負極に近い部分)においてその動きが阻害される傾向にある。この傾向は特に低温域(例えば−30℃程度)で顕著に現れる。このような問題に対応すべく、従来技術として、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、集電体側の導電化材の濃度に比べて、対極側の導電化材の濃度を高くすることによって電極体のレート特性及びサイクル特性を向上させようとする技術が記載されている。
特開2009−064714号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、電極層の厚さ方向における電子の動きが阻害されることは低減され得るものの、電極層の厚さ方向におけるリチウムイオンの動きは依然阻害される傾向にあるため、電極活物質の利用率が低下してしまい電極層中での局所的な電極活物質の劣化等によりレート特性及びサイクル特性が低下する虞がある。
そこで、本発明は、上述した従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、正極において対極側の電子抵抗を低下させて正極の厚さ方向における電子の動きを円滑にすると共に、正極の厚さ方向においてリチウムイオンの動きを円滑にして正極活物質の利用率の向上を実現し得るリチウムイオン二次電池を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により、正極と負極とを備えるリチウムイオン二次電池が提供される。即ちここで開示されるリチウムイオン二次電池では、上記正極は、正極集電体と、該集電体上に形成された少なくとも正極活物質と導電材とを含む正極活物質層とを備えている。上記正極活物質層は、上記集電体に近接する近接層と、該近接層よりも対極側に離れる方向に形成された対極側層とを少なくとも含む積層構造である。ここで、上記正極活物質と上記導電材のそれぞれの形状及び/又は平均粒径は、上記近接層と上記対極側層との間で相互に異なっており、それによって上記近接層の電子抵抗よりも上記対極側層の電子抵抗のほうが小さくなっていることを特徴とする。
ここで、本明細書において「平均粒径」とは、レーザー回折方式或いは光散乱方式等に基づく粒度分布測定装置によって測定される粒度分布におけるD50(メジアン径)をいう。
本発明によって提供されるリチウムイオン二次電池は、正極活物質と導電材のそれぞれの形状及び/又は平均粒径が正極活物質層中の近接層と対極側層との間で相互に異なっており、それによって該近接層の電子抵抗よりも該対極側層の電子抵抗のほうが小さい。
このように、近接層と対極側層との層間で導電材の形状及び/又は平均粒径を相互に異ならせて対極側層の電子抵抗を小さくすることによって、電池の充放電の際に対極側層での電子の動きをスムーズにすることができる。また、近接層と対極側層との層間で正極活物質の形状及び/又は平均粒径を相互に異ならせることによって、近接層と対極側層とのいずれか一方の層は他方の層と比べて正極活物質がより緻密に充填される。このため、正極(正極活物質層)の厚さ方向においてリチウムイオンの動きを円滑にして正極活物質の利用率の向上を実現し得る。
従って、本発明によると、正極活物質層において対極側層の電子抵抗を低下させて正極活物質層(正極)の厚さ方向における電子の動きを円滑にすると共に、正極活物質層(正極)の厚さ方向においてリチウムイオンの動きを円滑にして正極活物質の利用率の向上を実現し、レート特性とサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の好適な一態様では、上記近接層は、所定の平均粒径を有する粒状の導電材を含んでおり、上記対極側層は、該近接層に含まれる粒状の導電材とは異なる繊維状又はチューブ状の導電材を含んでいることを特徴とする。
かかる構成によると、上記形状の導電材によって対極側層に好適な電子経路が形成されるため、対極側層での電子抵抗を近接層に比べて低減することができる。これにより、電池の充放電の際に正極活物質層の厚さ方向における電子の動きを円滑にすることできる。なお、「繊維状又はチューブ状の導電材」とは、導電材のアスペクト比(例えば平均長さ/平均直径)が5以上であるものをいう。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の好適な一態様では、上記近接層は、所定の平均粒径を有する1種類の導電材を含んでおり、上記対極側層は、平均粒径が相互に異なる2種類又はそれ以上の導電材を含んでいることを特徴とする。
かかる構成によると、対極側層は近接層に比べて導電材が緻密に充填されて形成されたものであるため、対極側層は近接層に比べて導電性に優れ、対極側層での電子抵抗を低減することができる。これにより、電池の充放電の際に正極活物質層の厚さ方向における電子の動きを円滑にすることできる。
好ましくは、上記対極側層に含まれる2種類又はそれ以上の導電材のうちの1種類は、上記近接層に含まれる導電材と同じである。かかる構成によると、対極側層は近接層に比べて導電材がより緻密に充填されて形成されたものであるため、上記効果がよりよく発揮され得る。特に、上記対極側層において、上記2種類又はそれ以上の導電材のうち平均粒径が最も大きい導電材の該平均粒径は、上記2種類又はそれ以上の導電材のうち平均粒径が最も小さい導電材の該平均粒径の4倍以上であることが好ましい。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の好適な一態様では、上記近接層は、所定の平均粒径を有する1種類の正極活物質を含んでおり、上記対極側層は、平均粒径が相互に異なる2種類又はそれ以上の正極活物質を含んでいることを特徴とする。
かかる構成によると、対極側層は近接層に比べて正極活物質が緻密に充填されて形成されたものであるため、電池の放電の際にはリチウムイオンがより正極集電体側(即ち近接層側)に移動しやすくなり、一方、電池の充電の際には近接層側のリチウムイオンがより対極側(即ち対極側層側)に移動しやすくなる。
好ましくは、上記対極側層に含まれる2種類又はそれ以上の正極活物質のうちの1種類は、上記近接層に含まれる正極活物質と同じである。かかる構成によると、対極側層は近接層に比べて正極活物質がより緻密に充填されて形成されたものであるため、上記効果がよりよく発揮され得る。特に、上記対極側層において、上記2種類又はそれ以上の正極活物質のうち平均粒径が最も大きい正極活物質の該平均粒径は、上記2種類又はそれ以上の正極活物質のうち平均粒径が最も小さい正極活物質の該平均粒径の4倍以上であることが好ましい。
上記近接層に含まれている単位体積当たりの正極活物質量と、上記対極側層に含まれている単位体積当たりの正極活物質量とはほぼ同じであることを特徴とする。ここで、「ほぼ同じ」とは、近接層に含まれている単位体積当たりの正極活物質量をAとし、対極側層に含まれている単位体積当たりの正極活物質量をBとした場合に、A/B(或いはB/A)が0.9〜1.1の範囲内にあることをいう。
かかる構成によると、各層における単位体積当たりの正極活物質の量がほぼ同じであるため、電池の充放電の際に、正極活物質層の厚さ方向において(各層間において)正極活物質の利用率のバラツキが抑制されて正極活物質を効率的に使用することができる。
一実施形態に係る正極集電体上に形成された正極活物質層を示す模式図である。 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図2中のIII‐III線に沿う断面図である。 他の一実施形態に係る正極集電体上に形成された正極活物質層を示す模式図である。 本発明に係るリチウムイオン二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明によって提供されるリチウムイオン二次電池は、上述の通り正極集電体上に形成された正極活物質層であって、該正極活物質層中の近接層と対極側層との間で正極活物質と導電材のそれぞれの形状及び/又は平均粒径が異なっていることによって近接層の電子抵抗よりも対極側層の電子抵抗のほうが小さくなっていることで特徴づけられる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池に備えられる正極は、本発明を特徴づける正極活物質層を備える他は従来と同様の構成をとり得る。かかる正極は、正極集電体と、該集電体上に形成された正極活物質層とを備えている。
上記正極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池の正極に用いられている集電体と同様、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極の正極活物質層は、上記正極集電体に近接する近接層と、該近接層よりも対極側(ここでは負極側)に離れる方向に形成された対極側層とを少なくとも含む複数の層(典型的には2層〜5層)からなる積層構造である。正極集電体の表面に形成された近接層と対極側層とを少なくとも含む正極活物質層は、少なくとも正極活物質と、導電材とを含んでいる。さらに必要に応じて、正極活物質層は結着材(バインダ)等を含有してもよい。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極で用いられる正極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な材料であって、リチウム元素と一種または二種以上の遷移金属元素を含むリチウム含有化合物(例えばリチウム遷移金属複合酸化物)が挙げられる。例えば、コバルトリチウム複合酸化物(LiCoO)、ニッケルリチウム複合酸化物(LiNiO)、マンガンリチウム複合酸化物(LiMn)、あるいは、ニッケル・コバルト系のLiNiCo1−x(0<x<1)、コバルト・マンガン系のLiCoMn1−x(0<x<1)、ニッケル・マンガン系のLiNiMn1−x(0<x<1)やLiNiMn2−x(0<x<2)で表わされるような、遷移金属元素を2種含むいわゆる二元系リチウム含有複合酸化物、或いは、遷移金属元素を3種含むニッケル・コバルト・マンガン系のような三元系リチウム含有複合酸化物でもよい。
また、一般式がLiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素;例えばLiFePO、LiMnPO)で表記されるオリビン型リン酸リチウムを上記正極活物質として用いてもよい。
正極活物質は、平均粒径が1μmより大きい(典型的には凡そ1μm〜15μm(例えば凡そ2μm〜10μm)ものが好ましい。平均粒径が1μmよりも小さすぎる場合には、取り扱いが困難であると共に正極活物質層中で正極活物質が過剰に密集してしまいリチウムインの動きを阻害する虞がある。
ここで開示される正極活物質層において、近接層は、上述したような平均粒径を有する1種類の正極活物質を含んでおり、対極側層は、上述したような平均粒径が相互に異なる2種類又はそれ以上の正極活物質を含んでいることが好ましい。このとき、対極側層において、平均粒径が最も小さい正極活物質を平均粒径が最も大きい正極活物質と同じかそれよりも多い割合(質量比)で含むことが好ましい。例えば、平均粒径が最も大きい正極活物質100質量部に対して、平均粒径が最も小さい正極活物質を凡そ100〜150質量部の割合で含むことができる。上記のような割合であることにより、対極側層において正極活物質がより緻密に充填される。
さらに、対極側層に含まれている平均粒径が相互に異なる2種類又はそれ以上の正極活物質のうちの1種類は、近接層に含まれている正極活物質と同じであることが好ましい。特に、対極側層に含まれている2種類又はそれ以上の正極活物質のうち平均粒径が最も大きい正極活物質と、近接層に含まれている正極活物質とが同じであることが好ましい。この場合、対極側層は近接層に比べて正極活物質がより緻密に充填される。
また、対極側層に含まれている2種類又はそれ以上の正極活物質のうち平均粒径が最も大きい正極活物質の平均粒径D1と、該対極側層に含まれている2種類又はそれ以上の正極活物質のうち平均粒径が最も小さい正極活物質の平均粒径D2との倍率(即ちD1/D2)は、凡そ4倍以上であること(典型的には5倍又はそれ以上、例えば凡そ4〜6倍程度)が好ましい。D1/D2が4倍以上であると、正極活物質がより緻密に充填され得る。
さらにまた、近接層に含まれている単位体積当たりの正極活物質量A(質量基準)と、対極側層に含まれている単位体積当たりの正極活物質量B(質量基準)とはほぼ同じであることが好ましい。即ち、A/B或いはB/Aが0.9〜1.1の範囲内である、特に好ましくはA/Bが1.0である。A/B或いはB/Aが0.9よりも小さすぎる場合及び1.1よりも大きすぎる場合には、各層において正極活物質の利用率のバラツキが発生して、レート特性等が低下する虞がある。
また、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極で用いられる導電材としては、正極活物質層の導電性を高めることが可能な炭素質の材料であれば特に制限なく使用することができる。好適な具体例として、繊維状炭素材料(カーボンファイバー)、チューブ状炭素材料(カーボンナノチューブ)、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック)やグラファイト等の粒状炭素材料を用いることができる。これらのうち一種又は二種以上を併用してもよい。
繊維状炭素材料及びチューブ状炭素材料は、平均直径が凡そ0.25μm〜0.75μm(例えば0.4μm〜0.6μm)であり、平均長さが凡そ2.5μm〜7.5μm(例えば4μm〜6μm)であって、アスペクト比(平均長さ/平均直径)が5以上(好ましくは10以上)のものが好ましい。かかる炭素材料は、正極活物質層において好適な電子の経路を形成することができるため該正極活物質層の導電性を向上させることができる。また、粒状炭素材料は、平均粒径が凡そ0.01μm〜1μm(典型的には凡そ0.1μm〜0.5μm)の範囲内にあるものが好ましい。なお、正極活物質層における導電材の含有量は、例えば凡そ0.1〜30質量%(好ましくは5〜20質量%)であることが好ましい。導電材の含有量が上記範囲内にある場合には、正極活物質層において、十分な導電経路(導電パス)を確保することができる。
ここで開示される正極活物質層において、近接層は、上述したような平均粒径を有する1種類の粒状炭素材料或いは上述したような平均粒径が相互に異なる2種類又はそれ以上の粒状炭素材料を導電材として含んでおり、対極側層は、近接層に含まれる粒状炭素材料と異なる形状である繊維状炭素材料又はチューブ状繊維材料を導電材として含んでいることが好ましい。なお、対極側層にさらに粒状炭素材料が含まれていてもよい。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極で用いられる結着材(バインダ)としては、例えば、上記正極活物質層を形成する組成物として水系のペースト状組成物(ペースト状組成物にはスラリー状組成物及びインク状組成物が包含される。以下、ペースト状組成物を単に「ペースト」という。)を用いる場合には、水に溶解または分散するポリマー材料を好ましく採用し得る。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。あるいは、溶剤系のペーストを用いる場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の、有機溶媒(非水溶媒)に溶解するポリマー材料を用いることができる。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着材として用いられる他に、上記組成物の増粘剤その他の添加剤として使用されることもあり得る。
ここで、「水系の液状組成物」とは、活物質の分散媒として水または水を主体とする混合溶媒を用いた組成物を指す概念である。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。「溶剤系の液状組成物」とは、活物質の分散媒が主として有機溶媒である組成物を指す概念である。有機溶媒としては、例えば、N‐メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。
以下、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の正極の好適な実施形態の一つとして、近接層と対極側層との2つの層からなる正極活物質層を備える正極を例にして説明するが、本発明の適用対象をかかる正極に限定することを意図したものではない。
図1は、上記のように作製された正極活物質層66を備えるシート状の正極(正極シート)64を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る正極活物質層66は、正極集電体62に近接する層であって該集電体62上に形成された近接層68と、該近接層68よりも対極側(ここでは負極側)に離れる方向に形成された層であって、該近接層68上に形成された対極側層74とを含む積層構造である。
近接層68は、上述した正極活物質70と、粒状炭素材料からなる導電材71と、結着材(図示せず)とを少なくとも含んでいる。一方、対極側層74は、上述した正極活物質であって相互に平均粒径の異なる正極活物質75A,75B(75Aの平均粒径>75Bの平均粒径)と、繊維状炭素材料からなる導電材76と、結着材(図示せず)とを少なくとも含んでいる。
本実施形態に係る正極シート64では、対極側層74は相互に平均粒径の異なる正極活物質75A,75Bを混在して含んでいるため、近接層68に比べて対極側層74の方がより緻密に正極活物質75A,75Bが充填された状態となっている。これにより、リチウムイオン二次電池の充放電の際に、リチウムイオンの移動性を向上して正極全体での正極活物質の利用効率の向上を実現することができる。
また、対極側層74には繊維状の導電材76が含まれているため、粒状の導電材71を含む近接層68に比べて対極側層74の電子抵抗の低下が実現される。これにより、リチウムイオン二次電池の充放電の際に、電子の移動性を向上させることができる。以上より、上記正極シート64を用いて構築したリチウムイオン二次電池は、レート特性とサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池となる。
次に、本実施形態に係る正極活物質層66を備える正極64を形成する方法について説明する。
上述した平均粒径を有する1種類の正極活物質70と、上述した平均粒径を有する1種類の粒状の導電材71と、有機溶媒に対して可溶性である結着材等を有機溶媒に分散させてなる近接層形成用ペーストを調製する。調製した該ペーストをシート状の正極集電体62に塗布し、乾燥させて近接層68を形成した後、必要に応じて圧縮(プレス)する。次いで、上述した平均粒径が相互に異なる2種類の正極活物質75A,75Bと、繊維状の導電材76と、有機溶媒に対して可溶性である結着材等を有機溶媒に分散させてなる対極側層形成用ペーストを調製する。調製した該ペーストを上記近接層68上に塗布し、乾燥させて対極側層74を形成した後、必要に応じて圧縮(プレス)する。これにより、正極集電体62と、該正極集電体62上に形成された近接層68と対極側層74とを含む正極活物質層66とを備えるシート状の正極64を作製することができる。このとき、近接層68と対極側層74との厚みの比が、凡そ50:50〜40:60程度となるようにペーストの塗布量を調節してプレスすることが適当である。
なお、上記ペーストを塗布する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の適当な塗布装置を使用することにより、正極集電体に該ペーストを好適に塗布することができる。また、溶媒を乾燥するにあたっては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、および電子線を、単独または組み合わせにて用いることにより良好に乾燥し得る。さらに、圧縮方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。
なお、以下の実施形態は車載用の電池として、シート状の正極(正極シート)とシート状の負極(負極シート)とセパレータシートとを有する捲回電極体を備えたリチウムイオン二次電池の製造に適用した例であるが、かかる捲回電極体を備える電池に本発明の適用を限定するものではない。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の負極について説明する。ここで開示されるリチウムイオン二次電池用の負極は、従来と同様の構成をとり得る。かかる負極を構成する負極集電体としては、例えば、銅材やニッケル材或いはそれらを主体とする合金材を用いることが好ましい。負極集電体の形状は、正極の形状と同様であり得る。本実施形態に係る負極集電体の形状はシート状である。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の負極で用いられる負極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出可能な材料であればよく、例えば、黒鉛(グラファイト)等のカーボン材料、リチウム・チタン酸化物(LiTi12)等の酸化物材料、スズ、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)等の金属若しくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料、等が挙げられる。典型例として、黒鉛等から成る粉末状の炭素材量が挙げられる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の負極(負極活物質層)には、上記負極活物質の他に、上記正極活物質層に配合され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有させることができる。そのような材料として、上記の正極活物質層の構成材料として列挙したような結着材として機能し得る各種の材料を同様に使用し得る。
そして、上記負極活物質と結着材等とを従来と同様の適当な溶媒(水、有機溶媒等)に分散させてなるペースト(負極活物質層形成用ペースト)を調製する。該調製した該負極活物質層形成用ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥させた後、圧縮(プレス)することによって、負極集電体と該負極集電体上に形成された負極活物質層とを備えるシート状の負極を作製することができる。
以下、上記正極シート及び上記負極シートを用いて構築されるリチウムイオン二次電池の一形態を図面を参照しつつ説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。即ち、本実施形態に係る正極シートが採用される限りにおいて、構築されるリチウムイオン二次電池の形状(外形やサイズ)には特に制限はない。以下の実施形態では、捲回電極体および電解液を角型形状の電池ケースに収容した構成のリチウムイオン二次電池を例にして説明する。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図2は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す斜視図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う縦断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)の電池ケース15を備える。このケース(外容器)15は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体30と、その開口部20を塞ぐ蓋体25とを備える。ケース15の上面(すなわち蓋体25)には、捲回電極体50の正極シート64と電気的に接続する正極端子60および該電極体の負極シート84と電気的に接続する負極端子80が設けられている。また、蓋体25には、従来のリチウムイオン二次電池のケースと同様に、電池異常の際にケース15内部で発生したガスをケース15の外部に排出するための安全弁40が設けられている。ケース15の内部には、正極シート64および負極シート84を計二枚のセパレータシート90とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体50が収容される。
上記積層の際には、図3に示すように、正極シート64の正極活物質層非形成部分(即ち正極活物質層66が形成されずに正極集電体62が露出した部分)と負極シート84の負極活物質層非形成部分(即ち負極活物質層86が形成されずに負極集電体82が露出した部分)とがセパレータシート90の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート64と負極シート84とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体50の捲回方向に対する横方向において、正極シート64および負極シート84の電極活物質層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート64の正極活物質層形成部分と負極シート84の負極活物質層形成部分と二枚のセパレータシート90とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分に正極端子60を接合して、上記扁平形状に形成された捲回電極体50の正極シート64と正極端子60とを電気的に接続する。同様に負極側はみ出し部分に負極端子80を接合して、負極シート84と負極端子80とを電気的に接続する。なお、正負極端子60,80と正負極集電体62,82とは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
そして、ケース本体30の上端開口部20から該本体30内に上記作製した捲回電極体50を収容するとともに適当な電解質を含む電解液をケース本体30内に配置(注液)する。
正負極シート64,84間に使用されるセパレータシート90の好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。なお、電解質として固体電解質もしくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(すなわちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
また、電解質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水系の電解質(典型的には電解液)と同様のものを特に限定なく使用することができる。例えば、適当量(例えば濃度1M)のLiPF等のリチウム塩をジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)に溶解してなる非水電解液を使用することができる。
その後、上記開口部20を蓋体25との溶接等により封止し、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の組み立てが完成する。ケース15の封止プロセスや電解質の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。このようにして本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の構築が完成する。
上述した第1実施形態に係る正極シートでは、粒状炭素材料からなる導電材を含む近接層及び繊維状炭素材料からなる導電材を含む対極側層を積層させた構造であったが、かかる形態に限定されない。以下、第2実施形態に係る正極活物質層を備える正極の好適な例を説明する。
本実施形態に係る正極活物質層では、近接層は、上述したような平均粒径を有する1種類の粒状炭素材料を導電材として含んでおり、対極側層は、上述したような平均粒径が相互に異なる2種類又はそれ以上の粒状炭素材料を導電材として含んでいる。このとき、対極側層において、平均粒径が最も小さい導電材を平均粒径が最も大きい導電材と同じかそれよりも多い割合(質量比)で含むことが好ましい。例えば、平均粒径が最も大きい導電材100質量部に対して、平均粒径が最も小さい導電材を凡そ100〜150質量部の割合で含むことができる。上記のような割合であることにより、対極側層において導電材がより緻密に充填される。
さらに、対極側層に含まれている平均粒径が相互に異なる2種類又はそれ以上の導電材のうちの1種類は、近接層に含まれている導電材と同じであることが好ましい。特に、対極側層に含まれている2種類又はそれ以上の導電材のうち平均粒径が最も大きい導電材と、近接層に含まれている導電材とが同じであることが好ましい。この場合、対極側層は近接層に比べて導電材がより緻密に充填される。
また、対極側層に含まれている2種類又はそれ以上の導電材のうち平均粒径が最も大きい導電材の平均粒径D3と、該対極側層に含まれている2種類又はそれ以上の導電材のうち平均粒径が最も小さい導電材の平均粒径D4との倍率(即ちD3/D4)は、凡そ4倍以上であること(典型的には5倍又はそれ以上、例えば凡そ4〜6倍程度)が好ましい。D1/D2が4倍以上であると、導電材がより緻密に充填され得る。
以下、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の正極の好適な例の一つとして、近接層と対極側層との2つの層からなる正極活物質層を備える正極について説明するが、本発明の適用対象をかかる正極に限定することを意図したものではない。図4は、本実施形態を特徴付ける正極活物質層166を備える正極164を模式的に示す図である。図4に示すように、本実施形態に係る正極活物質層166は、正極集電体162に近接する層であって該集電体162上に形成された近接層168と、該近接層168よりも対極側(ここでは負極側)に離れる方向に形成された層であって、該近接層168上に形成された対極側層174とを含む積層構造である。
近接層168は、上述した正極活物質170と、粒状炭素材料からなる導電材171と、結着材(図示せず)とを少なくとも含んでいる。一方、対極側層174は、上述した正極活物質であって相互に平均粒径の異なる正極活物質175A,175B(175Aの平均粒径>175Bの平均粒径)と、上述した粒状炭素材料からなる導電材であって相互に平均粒径の異なる導電材176A,176B(176Aの平均粒径>176Bの平均粒径)と、結着材(図示せず)とを少なくとも含んでいる。
本実施形態に係る正極シート164では、対極側層174は相互に平均粒径の異なる正極活物質175A,175Bを混在して含んでいるため、近接層168に比べて対極側層174の方がより緻密に正極活物質175A,175Bが充填された状態となっている。これにより、リチウムイオン二次電池の充放電の際に、リチウムイオンの移動性を向上して正極全体での正極活物質の利用効率の向上を実現することができる。
また、対極側層174には相互に平均粒径の異なる粒状の導電材176Aが,176Bが含まれているため、粒状の1種類の導電材171を含む近接層168に比べて対極側層174の電子抵抗の低下が実現される。これにより、リチウムイオン二次電池の充放電の際に、電子の移動性を向上させることができる。以上より、上記正極シート164を用いて構築したリチウムイオン二次電池は、レート特性とサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池となる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[実施例1]
結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5g溶解したNMP125mL中に、正極活物質としての光散乱法に基づいて得られる平均粒径が10μmのコバルト酸リチウム85gと、導電材としての平均粒径が0.5μmのカーボンブラック10gとを導入し、均一に混合するまで混錬して近接層形成用ペーストAを調製した。
また、結着材としてのPVDFを5g溶解したNMP125mL中に、正極活物質としての平均粒径が10μmのコバルト酸リチウム42.5g及び平均粒径が2μmのコバルト酸リチウム42.5gと、導電材としての平均直径0.5μm、平均長さ5μmのカーボンナノチューブ10gとを導入し、均一に混合するまで混錬して対極側層形成用ペーストBを調製した。
そして、ペーストAを厚さ15μmのアルミニウム集電体上に塗布量5mg/cmで片面塗布した後、乾燥させた。続いて、該塗布物の上にペーストBを塗布量5mg/cmで塗布した後、乾燥させた。このとき、ペーストAとペーストBの塗布量を合計で10mg/cmとした。乾燥後、該塗布物をプレスして、正極活物質層(近接層及び対極側層の積層構造)の厚さ70μm、正極活物質層の密度2.5g/cmとした電極を得た。最後にこの電極を直径16mmとなるように切り出して正極を作製した。
上記作製した正極と、直径19mm、厚み35μmの金属リチウムからなる負極を用いてCR2032型コインセル(リチウムイオン二次電池)を作製した。なお、セパレータとしては、ポリプロピレン製多孔質セパレータを使用した。電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との3:7(体積比)混合溶媒に支持塩として1mol/LのLiPFを溶解させた組成の非水電解液を使用した。
[実施例2]
結着材としてのPVDFを5g溶解したNMP125mL中に、正極活物質としての平均粒径が10μmのコバルト酸リチウム42.5g及び平均粒径が2μmのコバルト酸リチウム42.5gと、導電材としての平均粒径0.5μmのカーボンブラック5g及び平均粒径0.1μmのカーボンブラック5gとを導入し、均一に混合するまで混錬して対極側層形成用ペーストCを調製した。
そして、上記ペーストAを厚さ15μmのアルミニウム集電体上に塗布量5mg/cmで片面塗布した後、乾燥させた。続いて、該塗布物の上にペーストCを塗布量5mg/cmで塗布した後、乾燥させた。乾燥後、該塗布物をプレスして、正極活物質層(近接層及び対極側層の積層構造)の厚さ70μm、正極活物質層の密度2.5g/cmとした電極を得た。最後にこの電極を直径16mmとなるように切り出して正極を作製した。
得られた正極を用いた他は実施例1と同様にして、実施例2に係るコインセルを作製した。
[比較例1]
結着材としてのPVDFを5g溶解したNMP125mL中に、正極活物質としての平均粒径が10μmのコバルト酸リチウム90gと、導電材としての平均粒径0.5μmのカーボンブラック5gとを導入し、均一に混合するまで混錬してペーストDを調製した。
また、結着材としてのPVDFを5g溶解したNMP125mL中に、正極活物質としての平均粒径が10μmのコバルト酸リチウム87gと、導電材としての平均粒径0.5μmのカーボンブラック8gとを導入し、均一に混合するまで混錬してペーストEを調製した。
さらに、結着材としてのPVDFを5g溶解したNMP125mL中に、正極活物質としての平均粒径が10μmのコバルト酸リチウム85gと、導電材としての平均粒径0.5μmのカーボンブラック10gとを導入し、均一に混合するまで混錬してペーストFを調製した。
そして、上記ペーストDを厚さ15μmのアルミニウム集電体上に塗布量3.33mg/cmで片面塗布した後、乾燥させた。続いて、該ペーストDからなる塗布物の上にペーストEを塗布量3.33mg/cmで塗布した後、乾燥させた。さらに、該ペーストEからなる塗布物の上にペーストFを塗布量3.33mg/cmで塗布した後、乾燥させた。このとき、ペーストD及びペーストE及びペーストFの塗布量を合計で10mg/cmとした。乾燥後、該塗布物をプレスして、正極活物質層(3層の積層構造)の厚さ70μm、正極活物質層の密度2.5g/cmとした電極を得た。最後にこの電極を直径16mmとなるように切り出して正極を作製した。
得られた正極を用いた他は実施例1と同様にして、比較例1に係るコインセルを作製した。
[比較例2]
正極作製の際に、上記調製したペーストFのみを用いて、アルミニウム集電体上に塗布量10mg/cmで片面塗布した他は実施例1と同様にして、比較例2に係るコインセルを作製した。
<放電レート特性評価試験>
上記のように作製した実施例1,2及び比較例1,2の各コインセルに対して、適当なコンディショニング処理(温度25℃にて、10分の1Cの充電レートで4.1Vまで定電流定電圧で充電する操作と、10分の1Cの放電レートで3.0Vまで定電流定電圧放電させる操作を3回繰り返す初期充放電処理)を行い、その後、放電レート特性を測定した。ここで放電レート特性は、充電レート1Cで上限電圧4.1Vまで2.5時間CCCV充電(定電流定電圧充電)を行い、その後放電レート3分の1Cで3.0VまでCC放電(定電流放電)を行った。そして、放電レートを1C,3C,5C,10C,20C,40Cと変化させて上記CCCV充電とCC放電とを繰り返した。放電レート3分の1Cにおける放電容量に対する放電レート40Cにおける放電容量の比率(40C放電容量/3分の1Cの放電容量×100)[%]である放電レート特性を求めた。その結果を表1に示す。
<充放電サイクル試験>
上記レート特性評価試験を行った後、実施例1,2及び比較例1,2の各コインセルに対して、充放電を500サイクル繰り返し、500サイクル後の放電容量維持率[%]を求めた。1サイクルの充放電条件は、測定温度60℃において、2Cで上限電圧4.1Vまで2時間CCCV充電を行い、その後2Cで下限電圧3.0VまでCC放電を行った。そして、1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量から放電容量維持率[%]を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 2012064537
表1に示すように、実施例1及び実施例2に係るコインセルは、1層からなる比較例2に係るコインセルと比較して、放電レート特性及び放電容量維持率が大きく上昇していることが確認された。また、実施例1及び実施例2に係るコインセルは、同一形状及び同一平均粒径の正極活物質及び導電材を使用して各層毎に導電材の濃度を変えた3層からなる比較例1に係るコインセルと比較しても、放電レート特性及び放電容量維持率が向上していることが確認された。特に、対極側層に繊維状の導電材を含んでいる実施例1に係るコインセルは放電レート特性及び放電容量維持率に優れていることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
上記近接層と上記対極側層とが相対的に上記条件を具備している限りにおいて、例えば、上記近接層と上記対極側層の間に他の層を形成したり、対極側層よりも対極側或いは近接層よりも集電体側に他の層を形成してもよい。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、放電レート特性及びサイクル特性に優れることから、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。従って本発明は、図5に模式的に示すように、かかるリチウムイオン二次電池10(典型的には当該電池10を複数個直列接続してなる組電池)を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料自動車のような電動機を備える自動車)100を提供する。
10 リチウムイオン二次電池
15 電池ケース
20 開口部
25 蓋体
30 ケース本体
40 安全弁
50 捲回電極体
60 正極端子
62 正極集電体
64 正極シート(正極)
66 正極活物質層
68 近接層
70 正極活物質
71 導電材(粒状炭素材料)
74 対極側層
75A,75B 正極活物質
76 導電材(繊維状炭素材料)
80 負極端子
82 負極集電体
84 負極シート(負極)
86 負極活物質層
90 セパレータシート
100 車両(自動車)
164 正極シート(正極)
166 正極活物質層
168 近接層
170 正極活物質
171 導電材(粒状炭素材料)
174 対極側層
175A,175B 正極活物質
176A,176B 導電材(粒状炭素材料)

Claims (9)

  1. 正極と負極とを備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、正極集電体と、該集電体上に形成された少なくとも正極活物質と導電材とを含む正極活物質層とを備えており、
    前記正極活物質層は、前記集電体に近接する近接層と、該近接層よりも対極側に離れる方向に形成された対極側層とを少なくとも含む積層構造であり、
    ここで、前記正極活物質と前記導電材のそれぞれの形状及び/又は平均粒径は、前記近接層と前記対極側層との間で相互に異なっており、それによって前記近接層の電子抵抗よりも前記対極側層の電子抵抗のほうが小さくなっていることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記近接層は、所定の平均粒径を有する粒状の導電材を含んでおり、前記対極側層は、該近接層に含まれる粒状の導電材とは異なる繊維状又はチューブ状の導電材を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記近接層は、所定の平均粒径を有する1種類の導電材を含んでおり、前記対極側層は、平均粒径が相互に異なる2種類又はそれ以上の導電材を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記対極側層に含まれる2種類又はそれ以上の導電材のうちの1種類は、前記近接層に含まれる導電材と同じであることを特徴とする、請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記対極側層において、前記2種類又はそれ以上の導電材のうち平均粒径が最も大きい導電材の該平均粒径は、前記2種類又はそれ以上の導電材のうち平均粒径が最も小さい導電材の該平均粒径の4倍以上であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記近接層は、所定の平均粒径を有する1種類の正極活物質を含んでおり、前記対極側層は、平均粒径が相互に異なる2種類又はそれ以上の正極活物質を含んでいることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記対極側層に含まれる2種類又はそれ以上の正極活物質のうちの1種類は、前記近接層に含まれる正極活物質と同じであることを特徴とする、請求項6に記載のリチウムイオン二次電池。
  8. 前記対極側層において、前記2種類又はそれ以上の正極活物質のうち平均粒径が最も大きい正極活物質の該平均粒径は、前記2種類又はそれ以上の正極活物質のうち平均粒径が最も小さい正極活物質の該平均粒径の4倍以上であることを特徴とする、請求項6又は7に記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 前記近接層に含まれている単位体積当たりの正極活物質量と前記対極側層に含まれている単位体積当たりの正極活物質量とはほぼ同じであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。

JP2010209836A 2010-09-17 2010-09-17 リチウムイオン二次電池 Active JP5585834B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010209836A JP5585834B2 (ja) 2010-09-17 2010-09-17 リチウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010209836A JP5585834B2 (ja) 2010-09-17 2010-09-17 リチウムイオン二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012064537A true JP2012064537A (ja) 2012-03-29
JP5585834B2 JP5585834B2 (ja) 2014-09-10

Family

ID=46060020

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010209836A Active JP5585834B2 (ja) 2010-09-17 2010-09-17 リチウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5585834B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20140162118A1 (en) * 2012-12-10 2014-06-12 Industrial Technology Research Institute Electrode structure of lithium ion battery
KR101545886B1 (ko) * 2012-04-18 2015-08-20 주식회사 엘지화학 다층구조 전극 및 그 제조방법
WO2015147234A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 帝人株式会社 繊維状炭素を含む非水電解質二次電池用電極合剤層、それを含む非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池
WO2019004704A1 (ko) * 2017-06-27 2019-01-03 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 양극 및 그의 제조방법
CN110495035A (zh) * 2017-03-31 2019-11-22 株式会社村田制作所 锂离子二次电池
CN111200159A (zh) * 2018-11-16 2020-05-26 宁德时代新能源科技股份有限公司 一种电池
WO2023234676A1 (ko) * 2022-05-31 2023-12-07 주식회사 엘지에너지솔루션 전고체 전지용 양극, 이의 제조 방법 및 상기 양극을 포함하는 전고체 전지

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003017037A (ja) * 2001-07-02 2003-01-17 Sony Corp 非水電解質二次電池及びその製造方法
JP2007035488A (ja) * 2005-07-28 2007-02-08 Sanyo Electric Co Ltd 非水電解質電池
JP2008293875A (ja) * 2007-05-28 2008-12-04 Nec Tokin Corp 非水電解液二次電池用正極およびそれを用いた非水電解液二次電池
JP2009004181A (ja) * 2007-06-20 2009-01-08 Nissan Motor Co Ltd 電池用電極
JP2009026599A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Toyota Motor Corp 正電極板、リチウムイオン二次電池、車両、および、電池搭載機器

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003017037A (ja) * 2001-07-02 2003-01-17 Sony Corp 非水電解質二次電池及びその製造方法
JP2007035488A (ja) * 2005-07-28 2007-02-08 Sanyo Electric Co Ltd 非水電解質電池
JP2008293875A (ja) * 2007-05-28 2008-12-04 Nec Tokin Corp 非水電解液二次電池用正極およびそれを用いた非水電解液二次電池
JP2009004181A (ja) * 2007-06-20 2009-01-08 Nissan Motor Co Ltd 電池用電極
JP2009026599A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Toyota Motor Corp 正電極板、リチウムイオン二次電池、車両、および、電池搭載機器

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101545886B1 (ko) * 2012-04-18 2015-08-20 주식회사 엘지화학 다층구조 전극 및 그 제조방법
US10122011B2 (en) 2012-04-18 2018-11-06 Lg Chem, Ltd. Multi layered electrode and method of manufacturing the same
US20140162118A1 (en) * 2012-12-10 2014-06-12 Industrial Technology Research Institute Electrode structure of lithium ion battery
WO2015147234A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 帝人株式会社 繊維状炭素を含む非水電解質二次電池用電極合剤層、それを含む非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池
JPWO2015147234A1 (ja) * 2014-03-28 2017-04-13 帝人株式会社 繊維状炭素を含む非水電解質二次電池用電極合剤層、それを含む非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池
US11205773B2 (en) 2014-03-28 2021-12-21 Teijin Limited Fibrous carbon-containing electrode mixture layer for nonaqueous electrolyte secondary batteries, electrode for nonaqueous electrolyte secondary batteries comprising same, and nonaqueous electrolyte secondary battery
CN110495035A (zh) * 2017-03-31 2019-11-22 株式会社村田制作所 锂离子二次电池
CN110495035B (zh) * 2017-03-31 2022-07-08 株式会社村田制作所 锂离子二次电池
CN110073524A (zh) * 2017-06-27 2019-07-30 株式会社Lg化学 用于锂二次电池的正极及其制造方法
KR20190001566A (ko) * 2017-06-27 2019-01-04 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 양극 및 그의 제조방법
EP3573146A4 (en) * 2017-06-27 2020-05-06 LG Chem, Ltd. CATHODE FOR A LITHIUM SECONDARY BATTERY AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF
KR102267603B1 (ko) * 2017-06-27 2021-07-19 주식회사 엘지에너지솔루션 리튬 이차전지용 양극 및 그의 제조방법
WO2019004704A1 (ko) * 2017-06-27 2019-01-03 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 양극 및 그의 제조방법
US11374212B2 (en) 2017-06-27 2022-06-28 Lg Energy Solution, Ltd. Multilayer positive electrode for lithium secondary battery and method for manufacturing the same
CN110073524B (zh) * 2017-06-27 2022-10-04 株式会社Lg新能源 用于锂二次电池的正极及其制造方法
CN111200159A (zh) * 2018-11-16 2020-05-26 宁德时代新能源科技股份有限公司 一种电池
CN111200159B (zh) * 2018-11-16 2021-03-23 宁德时代新能源科技股份有限公司 一种电池
US11264611B2 (en) 2018-11-16 2022-03-01 Contemporary Amperex Technology Co., Limited Battery
WO2023234676A1 (ko) * 2022-05-31 2023-12-07 주식회사 엘지에너지솔루션 전고체 전지용 양극, 이의 제조 방법 및 상기 양극을 포함하는 전고체 전지

Also Published As

Publication number Publication date
JP5585834B2 (ja) 2014-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10522816B2 (en) Lithium secondary battery
JP5229598B2 (ja) リチウム二次電池及びその製造方法
JP6098878B2 (ja) 非水電解液二次電池
KR101477873B1 (ko) 비수전해액형 리튬 이온 2차 전지
JP5773209B2 (ja) リチウム二次電池
JP5311157B2 (ja) リチウム二次電池
JP5585834B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5696904B2 (ja) リチウムイオン二次電池およびその製造方法
CN107078280A (zh) 非水电解质二次电池
JP2010282873A (ja) リチウム二次電池およびその製造方法
WO2012017537A1 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5904373B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP5831769B2 (ja) リチウムイオン二次電池及びその製造方法
JP5397715B2 (ja) リチウム二次電池
JP2013062089A (ja) リチウムイオン二次電池
KR101980422B1 (ko) 비수 전해액 이차 전지
JP2013069579A (ja) リチウムイオン二次電池とその製造方法
JP2012256544A (ja) 二次電池用電極の製造方法
JP2012156061A (ja) 二次電池とその製造方法
WO2012001814A1 (ja) リチウム二次電池
JP2021018893A (ja) 非水電解質二次電池
WO2022138451A1 (ja) 電極、非水電解質電池及び電池パック
JP5532330B2 (ja) リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
JP5418828B2 (ja) リチウム二次電池とその製造方法
JP2012043658A (ja) リチウムイオン二次電池とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130516

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140626

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140709

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5585834

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151