JP2012063933A - Rfidタグ - Google Patents

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Abstract

【課題】個々のRFIDタグを使用することのできる期間を従来より長くする。
【解決手段】RFIDタグ1の本体100の内部に、ICチップ11A,11Bおよびアンテナコイル12A,12Bがそれぞれ配備された一対の基板10A,10Bを磁性体プレート13を挟んで対向配備する。各基板10A,10Bは、アンテナコイル12A,12Bを含む面を磁性体プレート13に対向する方向とは反対に向け、互いに電気的に遮断される。このタグ1の基板10Aに対向する面をリーダライタからの電磁波を受ける表面として機能させると、磁性体プレート13の存在によりアンテナコイル12Aに生じた磁束Gが基板10Bに作用するのが防止され、ICチップ11Aのみがリーダライタと交信する。ICチップ11Aのメモリの書き込み回数が規定値に達すると、タグ1の表と裏との関係を逆転させて、アンテナコイル12BおよびICチップ11Bを動作させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、製造現場や物流現場などにおいて、管理対象の物品や物品を支持する物体(コンテナ、パレットなど)に取り付けられて使用されるRFIDタグ(以下、単に「タグ」という場合もある。)に関する。
電磁誘導の原理を利用したRFIDシステムに使用されるRFIDタグには、アンテナコイルや、不揮発性メモリおよび制御回路を含むICチップが組み込まれる。
一般的なタグでは、アンテナコイルやICチップは1つずつ設けられるが、目的に応じて、この一般的な構成を変更したものもある。
たとえば、特許文献1には、短距離用のアンテナを有するタグに長距離用のアンテナを有するタグを着脱可能に装着し、後者のタグを装着するか否かによってタグの交信距離を変更することが記載されている。
また、特許文献2には、ループアンテナが形成されたICカードの裏面に設けられたスライド用穴にICチップが装着された板状部材を装着し、板状部材をスライド移動させてICチップとループアンテナとの接続・非接続を切り替えることによって、読み取りの可否を利用者が容易に切り替えできるようにすることが記載されている。
特開2009−301158号公報 特開2007−233979号公報
パッシブ方式のRFIDシステムが普及したことに伴い、タグのICチップには、EEPROMやFeRAMなど、電源によるバックアップが不要で安価なメモリ素子が組み込まれるようになった。しかしながら、これらのメモリ素子には、データの書き換えを繰り返すにつれてデータを保持する機能が劣化する、という欠点があるため、メモリを提供するメーカでは、書き換えが可能な回数に上限を設け、上限値以内の書き換えに限定してメモリの性能を保証するようにしている。
このような事情に鑑み、RFIDシステムを導入している現場でも、タグの書き換え回数または使用時間が一定の基準値に達したときに、RFIDタグを新しいものに交換するようにしている。しかし、タグの本体は堅固に形成されており、メモリの寿命が近づいても、十分に使用することが可能であるので、タグを丸ごと廃棄するのは資源を無駄にすることになる。また、タグを丸ごと交換すると、ユーザの費用負担も嵩む。
特に、FA(ファクトリーオートメーション)用の製造ラインなど、メモリの信頼性が強く求められる現場では、書き換え回数を交換の指標とし、交換の時期を判定するための基準値をメーカが設定する上限値より低い値に設定するため、書き換えの頻度が高いタグではすぐに交換の時期が到来してしまう。このため、現場では、交換に備えて多数のタグをストックする必要があり、費用負担は多大なものとなる。また、タグを交換する必要が生じたときに交換用のタグの在庫が不足していると、システムを動かすことができなくなり、処理に支障が生じるおそれがある。
本発明は上記の問題に着目し、個々のRFIDタグを使用することができる期間を従来よりも長くすることによって、RFIDタグに要する費用を削減すると共に、RFIDタグの保守管理を容易にすることを課題とする。
本発明は、メモリおよび制御回路を含むICチップとアンテナコイルとが本体の内部に組み込まれ、制御回路に、アンテナコイルを介して外部のリーダライタと交信する機能と、この交信によりリーダライタから受信したコマンドに基づきメモリに対する情報の読み書き処理を実行する機能とが設けられた構成のRFIDタグに適用される。
本発明によるRFIDタグの本体の内部には、磁性を有するプレートを挟んでICチップおよびアンテナコイルが搭載された一対の基板が対向配備される。これらの基板は、それぞれのアンテナコイルを含む面を前記プレートに対向する方向とは反対に向け、かつ互いに電気的に遮断された状態で配備される。
上記構成のRFIDタグでは、本体の各面のうち、一方の基板のアンテナコイルに対向する面をリーダライタからの電磁波を受ける前面として機能させ、他方の基板のアンテナコイルに対向する面を物品の方を向く背面として機能させることができる。このようにすれば、前面側の基板のアンテナコイルがリーダライタからの電磁波を受信したときに、このアンテナコイルに磁束が生じ、この磁束により生じた起電力により前面側の基板のICチップが起動する。起動したICチップは、アンテナコイルを介してリーダライタと交信し、リーダライタからのコマンドに応じてメモリに対する情報の読み書き処理を実行する。
一方、前面側の基板と背面側の基板との間には、磁性を有するプレートが設けられるため、前面側の基板のアンテナコイルに生じた磁束が背面側の基板に作用するのが防止される。したがって、背面側の基板のICチップはリーダライタからの電磁波には反応せず、前面側の基板のICチップのメモリのみを対象として、読み書き処理を行うことができる。
このように、リーダライタとの交信の都度、前面側の基板のメモリのみを対象にした読み書き処理が実施された結果、このメモリの寿命が近づいて取り換えが必要な時期になると、ユーザはタグを一度取り外し、前面と背面との関係を逆転させてタグを付け直す。この処理により、これまで動いていなかった基板のアンテナコイルに起電力が生じ、当該基板のICチップを動作させることが可能になる。よって、読み書き処理の対象のメモリを切り替えることができる。
上記のように、本発明によれば、1個分のタグに相当する回路が搭載された基板を2枚本体内に組み込み、一方の基板を所定期間使用した後に他方の基板に使用を切り替えることができる。よって、従来の約2倍の期間、1つのタグを使用することが可能になる。
上記のタグの好ましい実施形態では、本体の外周部のプレートの厚み部分に対応する箇所に開口部が設けられ、磁性を有するプレートは、この開口部を介して本体への挿脱が可能に配備される。この構成によれば、タグ内で基板を切り替える時期が来たときにプレートを本体から抜き出すと、双方の基板のアンテナコイルがリーダライタからの電磁波を受信できる状態となる。これにより、これまで動いていなかった裏側の基板のICチップもリーダライタと交信して、読み書き処理を実行できる状態となる。
よって、リーダライタは、これまで読み書き処理を行っていたICチップから当該チップ内のメモリに書き込まれている全情報を読み出し、読み出した情報を、これから動作させるICチップに送信してその内部のメモリに書き込ませることにより、各ICチップ間での情報を整合させることができる。
タグ全体を交換する従来の方法でも、リーダライタを介して古いタグの情報を新しいタグに移し換えることが可能であるが、新・旧のタグがリーダライタの交信領域に含まれるように注意する必要がある。また、新・旧のタグの対応関係を取り違えないように注意する必要もあるなど、作業者に負担がかかる。
これに対し、上記の実施形態によれば、タグの本体からプレートを引き抜くだけで、各ICチップをリーダライタと交信させることが可能になるので、情報を転送する作業を容易に行うことができる。また、各ICチップは同じ本体に組み込まれているので、対応関係の取り違えが生じるおそれもない。
また上記の実施形態によれば、情報の転送が終了した後にプレートを開口部から本体に挿入すれば、以後は再び、表側の基板のICチップのみを動かすことができる。したがって、使用する必要がなくなって裏側に配置されたICチップがリーダライタからのコマンドに応答するのを防ぐことができ、交信対象の前面側のICチップと安定した交信を行うことが可能になる。
本発明によれば、メモリの寿命が近づいても、RFIDタグを丸ごと取り換える必要がないので、タグの交換に要するコストを削減することができる。また、交換用のタグの在庫管理の負担が軽減されるので、RFIDタグの保守を容易に行うことが可能になる。
RFIDシステムの構成を示すブロック図である。 RFIDタグの第1の構成例および使用方法を示す図である。 RFIDタグの第2の構成例および使用方法を示す図である。 RFIDタグの第3の構成例および使用方法を示す図である。 RFIDタグの第4の構成例を示す図である。 第4のRFIDタグの使用による変化を示す図である。 RFIDタグの第5の構成例を示す図である。 第5のRFIDタグの使用による変化を示す図である。 RFIDタグの第6の構成例を示す図である。
図1は、本発明が適用されるRFIDシステムの構成例を示す。
このRFIDシステムは、電磁誘導の原理を利用してパッシブ方式の交信を行うもので、物品に取り付けられるRFIDタグ1と、このRFIDタグ1に対する読み書き処理を行うためのリーダライタ2と、上位機器3(パーソナルコンピュータ、PLCなど。)とにより構成される。
リーダライタ2には、アンテナ部20と制御部21とが含まれる。制御部21は、上位機器3からのコマンドを受けて、このコマンドをアンテナ部20からRFIDタグ1に転送する。また、アンテナ部20がコマンドを実行したRFIDタグ1から受信した応答情報は、アンテナ部20から制御部21へと出力され、さらに制御部21から上位機器3へと出力される。
上記のRFIDタグ1は、たとえば工場の生産ラインで搬送されるパレットに取り付けられる。この場合には、パレットが搬送される間に、上位機器3の管理下でリーダライタ2とRFIDタグ1との間で交信が行われ、部品の管理に関する情報の読み出しや書き込みが行われる。
図2は、上記のRFIDタグ1の第1の構成例を、その使用方法とともに示す。
この実施例のRFIDタグ1は、2枚の基板10A,10Bおよびフェライトを原料とする磁性体プレート13を樹脂により封止した構成のもので、薄型の円盤状または直方体状に成形された封止樹脂がタグ1の本体100となる。なお、図2中の200は、タグ1が取り付けられる物品(たとえば前述したパレット)である。
基板10Aの一方の面には、ICチップ11Aおよびアンテナコイル12Aが配備される。基板10Bでも同様に、一方の面にICチップ11Bおよびアンテナコイル12Bが配備される。以下では、基板10A,10BのICチップ11A,11Bやアンテナコイル12A,12Bが搭載される面を当該基板の表面と言い、その反対にある面を当該基板の裏面と言う。
図2では、アンテナコイル12A,12Bを大きく表しているが、実際のアンテナコイル12A,12Bは、基板10A,10Bの表面への印刷パターンとして形成される。基板10A,10Bの表面には、アンテナコイル12A,12BをICチップ11A,11Bに接続するための回路パターンも形成される。
各ICチップ11A,11Bには、CPUを含む制御回路、EEPROM,FeRAMなどの不揮発性メモリ、通信用の回路などが組み込まれる。
各基板10A,10Bは、磁性体プレート13を挟んで本体10の厚み方向に沿って対向配備される。磁性体プレート13および基板10A,10Bの形状や大きさは、ほぼ同じに設定されている。また、基板10A,10Bは、いずれも表面を磁性体プレート13に対向する方向とは反対に向けて配備される。さらに、基板10A,10Bは、互いに電気的に遮断されている。
なお、この実施例では、磁性体プレート13を各基板10A,10Bの裏面に接触させた状態にしているが、これに限らず、各基板10A,10Bと磁性体プレート13との間にある程度の間隙を設けてもよい。
この実施例のRFIDタグ1では、図2(1)に示すように、一方の基板10Bに対向する面を物品200に接触させて当該物品200に取り付けられる。これにより、基板10Aに対向する面がリーダライタ2からの電磁波を受ける前面として機能する。よって、リーダライタ2のアンテナ部21の交信領域にRFIDタグ1が入ると、基板10Aのアンテナコイル12Aに磁束Gが生じ、その磁束Gによる起電力によりICチップ11Aが起動する。起動したICチップ11Aは、アンテナコイル12Aを介してリーダライタ2からのコマンドを受け付け、そのコマンドを実行すると共にリーダライタ2に応答情報を返送する。この一連の処理が繰り返されることにより、適宜、ICチップ11A内のメモリの情報が書き換えられる。
図2(1)中に破線で示すように、基板10Aのアンテナコイル11Aに生じた磁束Gは、基板10Aの前方の空間と磁性体プレート13との間でループを描く状態となり、基板10Bには磁束Gの作用は及ばない。また基板10Bの裏面全体が磁性体プレート13により覆われるので、リーダライタ2からの電磁波が基板10Bのアンテナコイル11Bに直接作用するおそれもない。よって、基板10Bの表面が物品200の方を向いている間にICチップ11Bが動作することはなく、このICチップ11Bのメモリは初期状態のまま維持される。
この実施例では、上記の取り付け状態によるタグ1の使用を続けた結果、ICチップ11Aのメモリの書き換え回数が予め定められた基準値に達すると、一旦、タグ1を物品200から取り外し、図2(2)に示すように、前面、背面の関係を逆転させて、再度、タグ1を物品200に取り付ける。これにより、これまではリーダライタ2からの電磁波に反応しなかった基板10Bのアンテナコイル12Bに磁束Gが生じ、この磁束Gによる起電力によりICチップ11Bが起動してリーダライタ2と交信する。一方、基板10Aのアンテナコイル12Aには、もはや磁束Gは作用しないので、ICチップ11Aがリーダライタ2からのコマンドに応答することはなくなる。よって、リーダライタ2は、基板10BのICチップ11Bのみを対象にして安定した交信を行うことができ、読み書き処理の精度を確保することができる。
なお、ICチップ10Aのメモリの書き換え回数が基準値に達したかどうかを判別するには、たとえば、ICチップ10Aのメモリに通算の書き換え回数を書き込むようにし、ICチップ10Aがリーダライタ2からのコマンドに応じて情報を書き換える際に、書き換え回数を更新すると共に、保守点検の際に、上位機器3よりリーダライタ2を介して書き換え回数の読み出しを命じるコマンドをタグ1に送信すればよい。タグ1からの応答情報は、リーダライタ2から上位機器3に送信されるので、上位機器3において、書き換え回数が基準値に達したかどうかを判断し、基準値に達している場合に警報を出力することができる。ユーザは、この警報により、使用するICチップを切り替える必要のあるタグ1を認識することができる。
リーダライタ2の交信の対象がICチップ10Bに切り替えられた後も、そのメモリの書き換え回数が基準値に達したか否かを、上記と同様の方法で判断することができる。ICチップ10Bのメモリの書き換え回数が基準値に達した場合には、ユーザは、タグ1を新しいものに交換する必要がある。
図2の構成のRFIDタグ1によれば、2枚の基板10A,10Bの基板10Aのみを先に使用し、その後に他方の基板10Bを使用することができるので、1つのタグ1を従来の約2倍の期間使用することができる。1個分のタグの製作に要するコストを比較すると、上記実施例のタグ1の製作コストは、基板を1枚のみ含む従来型のタグを製作する場合よりも高くなるが、従来型のタグを2個製作する場合よりも製作の効率を向上することができる。また本体10を形成する樹脂の量も減るので、トータルの費用を削減することができる。また、1つのRFIDタグを長い期間使用することができるので、取替用のタグを多数ストックする必要がなくなり、現場での保守管理が容易になる。
図3は、RFIDタグの第2の構成例を、その使用方法と共に示す。
この実施例のRFIDタグ1Sにも、図2の例と同じ構成の基板10A,10Bおよび磁性体プレート13が組み込まれる。ただし、磁性体プレート13は、樹脂で固定されずに、本体100の中央部に形成されたスリット孔14に挿脱可能に配備される。このスリット孔14の両端は本体100の外周面で開口されると共に、各開口部がそれぞれ扉15,16により塞がれる。
各基板10A,10Bは、スリット孔14を挟んで本体100の厚み方向に沿って対向し、かつそれぞれの裏面をスリット孔14に対向させた状態で、本体100の内部に封止される。
この実施例のタグ1Sでも、図3(1)に示すように、基板10Bに対向する面を物品200に接触させて、当該物品200に取り付けることにより、基板10Aに対向する面をリーダライタ2からの電磁波を受ける前面として機能させる。これにより、基板10AのICチップ11Aのみがリーダライタ2と交信し、ICチップ11Aのメモリに対する読み書き処理が実施される。
また、この実施例でも、ICチップ11Aのメモリの書き換え回数が基準値に達すると、図3(3)に示すように、タグ1Sを一度取り外し、前面、背面の関係を逆転させて付け直すが、その前に、これまで使用していたICチップ11A内のメモリに書き込まれている情報を他方のICチップ11Bのメモリに転送するようにしている。
情報を転送する際には、図3(2)に示すように、磁性体プレート13を本体100から抜き取ることによって、基板10Aのアンテナコイル12Aに生じた磁束が基板10Bのアンテナコイル12Bにも及ぶようにする。これにより双方の基板10A,10BのICチップ11A,11Bがリーダライタ2からのコマンドに応答できる状態となる。
この状態下で、作業者が上位機器3に対して情報の転送を指示する操作を行うと、上位機器3からリーダライタ2に転送処理の指令が出力され、これを受けたリーダライタ2がICチップ11A,11Bと順に交信することにより、ICチップ11Aから情報を読み出し、これをICチップ11Bに書き込ませる。なお、ICチップ11A,11Bに対する交信処理は1回に限らず、情報量が多い場合には、複数サイクルにわたる交信処理を行うこともできる。
RFIDタグ1Sの本体10から磁性体シート13を取り出す方法として、この実施例では、各扉15,16を開いて一方の開口部に治具を挿入し、この治具により磁性体プレート13を他方の開口部へと押し出すようにしている。ただしこの方法に限らず、たとえば磁性体プレート13の端縁に小さな穴を形成し、この穴に係合可能な治具を溝部14に挿入し、上記端縁の穴に治具を引っ掛けて磁性体プレート13を引き出すこともできる。
2個のICチップを切り替えて使用できるように構成されたRFIDタグに関して、さらに4つの実施例を説明する。
図4に示す第3のRFIDタグ1Xでは、本体が厚み部分で二分され、一方の半体101がタグ1Xの回路を支持する支持部となり、他方の図示しない半体が回路を被覆するための蓋部として機能する。
支持部101の内部には、アンテナコイル12のパターンが形成された基板110(以下、「コイル基板110」という。)が、その表面を支持部101の開口部に露出させた状態で固定される。コイル基板110のアンテナコイル12の形成範囲の内側には、矩形状の凹部(図示せず。)が形成され、その凹部にICチップ11Aが搭載された小基板17A(以下、「IC搭載基板17A」という。)が着脱可能に装着される。このIC搭載基板17Aの両端縁には、それぞれ接続用の端子(図示せず。)が設けられ、コイル基板110の凹部の壁部にも、IC搭載基板17aの各端子に対応する一対の端子が設けられる。また、コイル基板110のアンテナコイル12の両端部と凹部内の各端子との間には接続用のパターン111,112が形成され、IC搭載基板17Aの両端縁の端子とICチップ11Aとの間にも、接続用のパターン171,172が形成される。
上記構成によれば、コイル基板110の凹部にIC搭載基板17aを装着することによって、各端子や接続用のパターン111,112,171,172を介してIC搭載基板17A上のICチップ11Aとコイル基板110上のアンテナコイル110とを電気接続することができる。また、IC搭載基板17Aを取り外し、図4(2)に示すように、同じ構成の他のIC搭載基板17Bを装着することもできる。
上記構成のタグ1Xは、蓋部を閉じた状態で、支持部101の背面を物品に取り付けた状態で使用される。このタグ1Xがリーダライタ2の交信領域に入り、リーダライタ2からの電磁波がアンテナコイル12に作用して起電力が発生すると、ICチップ11Aが起動する。起動したICチップ11Aはリーダライタ2と交信して、リーダライタ2からのコマンドに応じた読み書き処理を実行する。
この状態で毎回の交信処理が繰り返された結果、ICチップ11A内のメモリの書き換え回数が基準値に達すると、作業者は、タグ1Xの蓋部を開けてIC搭載基板17Aを取り外し、新しいIC搭載基板17Bを装着する。この後は、蓋部を閉めて、新しいIC搭載基板17BのICチップ11Bをリーダライタ2と交信させることができる。
上記の構成によれば、タグ1Xの本体やアンテナコイル12を変更することなく、IC搭載基板17Aを取り替えるだけで良いので、本体やコイル基板110を、損傷が生じない限り使用することが可能になる。
図5は、第4のRFIDタグ1Yの構成を示す。図5(1)では、タグ1Yの本体102を厚み方向に沿って切断した面を正面として、図5(2)は、図5(1)中のコイル基板120の表面に沿う面を正面として、それぞれRFIDタグ1Yの内部構成を示す。
この実施例のタグ1Yの本体102の中央部には、直方体状の空洞部103が形成される。本体102の前面の中央部には、空洞部103に連なるように開口部が形成されるが、この開口部は軟質製樹脂105により塞がれる。
本体102の厚み部分の中央位置には、円盤状のコイル基板120が本体102の前面および背面に平行な姿勢で固定される。このコイル基板120の表面には、外周縁に沿ってアンテナコイル12のパターンが形成される。また、コイル基板120の中央部には、空洞部103に応じた矩形状の穴123が形成され、この穴123の対向関係にある2辺にそれぞれ穴123の内部へと延びる接続片121,122が連続形成されている。
本体102の空洞部103には、一対のIC搭載基板18A,18Bを含む可動部104が配備される。この可動部104には、IC搭載基板18A,18Bをそれぞれの裏面側で連結する連結部材106、IC搭載基板18A,18Bの表面を覆う被覆樹脂107A,107B、および各被覆部材107A,107Bから突出する突き当て部材108A,108Bが含まれる。
コイル基板120の接続片121,122の両面には、アンテナコイル12に対する接続用の端子が設けられる。IC搭載基板18A,18Bの接続片121,122に対応する箇所にも、上記の端子に対応する端子が設けられる。
IC搭載基板18A,18Bは連結部材106を介して連結されているが、基板18A,18Bの間は電気的に遮断されている。
なお、図5では、各IC搭載基板18A,18Bに搭載されているICチップを符号11A,11Bにより示しているが、これらのICチップ11A,11Bは実際には被覆樹脂107A,107Bにより隠された状態にある(図6〜図8も同じ。)。
各被覆樹脂107A,107Bは、それぞれ複数のコイルバネ109を介して、空洞部103に支持される。
各IC搭載基板18A,18Bを繋ぐ連結部材106は、コイル基板120の接続片121,122の間に位置づけられる。また、図5(2)に示すように、この例の連結部材106は、接続片121,122の並び方向に直交する方向の幅がIC搭載基板18A,18Bよりも長く設定されている。この連結部材106の短辺側の各側面は、それぞれ板バネ131,132により空洞部103の壁面に支持される。
図6では、図5(1)と同じ方向からタグの内部構成を示した図(上段)と、連結部材106の長辺側の側面を正面としてタグの内部構成を示した図(下段)とを用いて、タグ1Yの使用方法を示す。
まず、図6(3)を参照して、タグ1Yの構成に関する説明を補足する。この実施例の本体102の空洞部103の下面(裏面側の面)とIC搭載基板18Bを被覆する被覆樹脂107Bとの間には保持用のピン133が設けられる。
初期状態のタグ1Yでは、可動部104は、このピン133により上方(前面側)へと持ち上げられる。また、各板バネ131,132は、空洞部103の壁面の連結部材106より高い位置に一端が固定され、他端が連結部材106の短辺側の側面に接触した状態となる。可動部104は、ピン133および板バネ131,132、ならびに各被覆樹脂107A,107Bを支持するコイルバネ109によって、突き当て部材108Aを軟質性樹脂105に突き当てた状態で固定される。
この固定状態にあるとき、図6(1)に示すように、IC搭載基板18Bの裏面とコイル基板120の接続片121,122とが接触し、IC搭載基板18Aはコイル基板120から離れた状態となる。これにより、アンテナコイル12はIC搭載基板18Bのみに接続され、アンテナコイル12とICチップ11Bとが導通した状態となる。
上記のタグ1Yは、軟質性樹脂105を含む面をリーダライタ2に対向させる前面として物品に取り付けられる。よって、このタグ1Yがリーダライタ2の交信領域に入り、リーダライタ2からの電磁波によりアンテナコイル12に起電力が生じると、IC搭載基板18BのICチップ11Bが起動する。一方、IC搭載基板18Aはアンテナコイル12に接続されていない状態にあるので、ICチップ11Aは起動しない。
よって、リーダライタ2からのコマンドには、ICチップ11Bのみが応答して、その内部のメモリに対する読み書き処理が実施される。
ICチップ11Bのメモリへの情報書き込み回数が予め定められた基準値に達すると、現場の作業者は、本体102の前面の開口部を塞ぐ軟質性樹脂105を押し込む操作を行う。この操作による押圧力は、樹脂105およびその下の突き当て部材108Aを介して可動部104全体に及ぶ。
可動部104は、保持用のピン133により背面側への移動が規制されているが、このピン133は、比較的脆い材質の材料(セラミックなど)により構成されているため、上記の押圧力を強めることによりピン133が破壊される。ピン133が破壊されると、可動部104は本体102の背面側に変位し、これに伴って、連結部材106の側面に接触していた板バネ131,132の自由端が表側(図中の上方)に変位し、最終的に、図6(4)に示すように、連結部材106の上面の両端部に板バネ131,132の自由端が接触する状態になる。この結果、可動部104は、裏面側の突き当て部材108Bが空洞部103の面に当接する状態で固定される。
このとき、図6(2)に示すように、IC搭載基板18Bはコイル基板120から離れ、替わって、IC搭載基板18Aがコイル基板120の各接続片121,122に接触した状態となる。よって、以後は、IC搭載基板18AのICチップ11Aがリーダライタ2からのコマンドに応答し、このICチップ11A内のメモリの情報に対する読み書き処理が実施される。
上記のとおり、RFIDタグ1Yでは、本体102の前面の開口部を塞ぐ軟質製樹脂105を、動作させるICチップを切り替えるためのスイッチとして機能させることができる。よって、RFIDタグ1Yを物品200に取り付けたまま、容易に交信対象のICチップを切り替えることができる。
次に、図7に示す第5のタグ1Y´は、上記のタグ1Yの変形例である。よって、タグ1Yと共通の構成を同じ符号により示し、タグ1Yとは異なる構成に絞って説明する。
タグ1Yでは、各IC搭載基板18A,18BのICチップ11A,11Bが搭載されていない裏面を連結部材106に連結したが、この実施例では、ICチップ11A,11Bが搭載された面を覆う被覆樹脂107A,107Bを連結部材106に連結する。この連結により本体102の前面にIC搭載基板18Aの裏面が対向し、裏面にIC搭載基板18Bの裏面が対向する状態となる。
IC搭載基板18Aの裏面には突き当て部材108が設けられる。一方、IC搭載基板18Bの裏面と空洞部103の下面との間にはコイルバネ109が配備される。
可動部104の連結部材106は、IC搭載基板18A,18Bよりも小さく形成される。また、可動部104を両側位置で支持する手段として、この実施例では、板バネ131,132に代えて、ラッチ機構151,152が設けられる。
この実施例では、コイル基板120に接続片121,122を設けずに、代わりに、アンテナコイル12の端縁に接続された一対の接続部材141,142が配備される。接続部材141,142は、コ字状の導電部材であって、それぞれの短片をIC搭載基板18A,18Bの裏面に対向させた状態で、可変部104の両側位置に固定される。IC搭載基板18A,18Bの接続部材141,142に対向する箇所には、それぞれ接続用の端子(図示せず。)が設けられる。
以下、図8を参照して、タグ1Y´の構成を補足しつつ、その使用方法を説明する。
この実施例のタグ1Y´のラッチ機構151,152は、一端部にV字状の切り込みが形成された可動片153とこれを支持するバネ154とにより構成される。可動片153の切り込みのない方の端部は空洞部103の壁面に固定される。切り込みが形成された方の端部も、バネ154を介して空洞部103の壁面の上記の固定位置より下方に取り付けられる。
初期状態のタグ1Y´では、図8(3)に示すように、IC搭載基板18B側の被覆樹脂107Bの側面がラッチ機構151,152により支持され、これにより可動部104は、IC搭載基板18A側の突き当て部材108Aを軟質性樹脂105に当接させた状態で支持される。このとき、図8(1)に示すように、各接続部材141,142の表面側の短片p1,p2とIC搭載基板18Aとが接触した状態となり、これにより、アンテナコイル12とIC搭載基板18Aとが導通した状態となる。よって、リーダライタ2からの電磁波によりアンテナコイル12が作動して起電力が生じると、IC搭載基板18AのICチップ11Aが起動し、リーダライタ2からのコマンドに応答する。
上記の交信が繰り返し実施された結果、ICチップ11Aのメモリの書き換え回数が規定値に達すると、作業者は軟質性樹脂105を押し込む操作を行う。この操作による押圧力は軟質性樹脂105およびその下の突き当て部材108Aを介して可動部104全体に伝わり、可動部104は裏面側へと変位する。この変位に伴ってラッチ機構151,152の各可動片153,154が回転し、図8(4)に示すように、被覆樹脂107Bの表側の上部の端縁部に可動片153,154の切り込み部が係合して、可動部104の変位した状態が固定される。このとき、図8(2)に示すように、IC搭載基板18Aは接続部材141,142から離れ、代わりに、IC搭載基板18Bが接続部材141,142の短片q1,q2に接触する状態になる。これによりアンテナコイル12への接続が、IC搭載基板18AからIC搭載基板18Bに切り替えられ、リーダライタ2からのコマンドにはICチップ11Bが応答するようになる。
図9は、RFIDタグの第6の構成例を示す。これまでの実施例のRFIDタグが機械的にアンテナコイルとICチップとの接続を切り替えるものであったのに対し、この実施例のRFIDタグ1Zは、ソフトウェアにより接続を切り替える。
具体的に、この実施例のRFIDタグ1Zの本体160には、1枚の基板162が導入される。この基板162には、一対のICチップ11A,11B、アンテナコイル12、および各ICチップ11A,11Bとアンテナコイル12との接続を切り替えるための制御用のICチップ161(以下、「切替制御用IC161」という。)が配備される。なお、これらの構成は、基板162の片面に集中させてもよいが、電気的な接続関係が確保できるのであれば、基板162の両面に分けて配置してもよい。
初期状態の切り替え制御用IC161は、ICチップ11Aとアンテナコイル12との接続経路を導通させる一方、ICチップ11Bとアンテナコイル12との接続経路を遮断する。リーダライタ2からの電磁波によりアンテナコイル12に起電力が生じると、まず切替制御用IC161が起動し、ついでICチップ11Aが起動する。これにより、ICチップ11Aは、リーダライタ2と交信し、リーダライタ2からのコマンドに応じてメモリに対する読み書き処理を実行する。
切替制御用IC161も、リーダライタ2と交信する機能を備えるが、通常のコマンドには反応せず、アンテナコイル12に対する接続の切替を指示する特別のコマンドにのみ反応する。このコマンドがリーダライタ2から送信されると、切替制御用IC161は、ICチップ11Aとアンテナコイル2との接続経路を遮断し、代わりにICチップ11Bとアンテナコイル12との接続経路を導通させる。これにより、以後は、ICチップ12Bがリーダライタ2と交信するようになる。
なお、リーダライタ2からRFIDタグ1にアンテナコイル12に対する接続の切替を指示するコマンドを送信するには、たとえば、上位機器3に対して、作業者が接続の切替を指示する操作を行い、この操作を受けた上位機器3からリーダライタ2に切替を指示するコマンドを送り、これをリーダライタ2がRFIDタグに転送する。または、ICチップ11Aにメモリの書き換えを指示する交信を行う都度、ICチップ11Aから書き換え回数を含む応答情報を送信し、上位機器3において、その応答情報に含まれる書き換え回数と基準値とを照合し、書き換え回数が基準値に達したと判断したときに切替を指示するコマンドを送信してもよい。
上記構成のRFIDタグ1Zによれば、本体の取り付け状態を変更することなく、アンテナコイル12に対する各ICチップ11A,11Bの接続状態を切り替えることができる。なお、RFIDタグ1Zの本体160に切替用のスイッチを設けることが可能であれば、このスイッチを切り替えることにより、リーダライタ2と交信を行うICチップを切り替えてもよい。
図9に示した構成のRFIDタグ1Zによれば、アンテナコイル12に対する接続を容易に切り替えることができる。したがって、このRFIDタグ1Zに関しては、各ICチップにそれぞれ異なる種類のメモリを組み込み、タグ1Zが使用される環境に応じて、アンテナコイルに接続するICチップを切り替えるようにしてもよい。
たとえば、FeRAMとEEPROMとでは、FeRAMの方が書き換えが可能な回数が多いが、高温に対してはEEPROMの方が耐久性が高いので、通常の環境では、FeRAMを含むICチップの方をアンテナコイルに接続し、高温の環境下で使用する場合にはEEPROMを含むICチップの方をアンテナコイルに接続することができる。
なお、ICチップが1つしか設けられないRFIDタグでも、図9の構成を適用してアンテナコイルとICチップとの接続状態を切り替えるようにすれば、たとえば、RFIDタグがICチップの情報を読み取られたくないエリアを通過する場合などに、一時的にICチップとアンテナコイルとの接続を遮断することができる。
加えて、図2および図3に示した実施例のRFIDタグ1,1Sでも、表と裏との関係を逆転させるだけで交信対象のICチップを変更することができるので、同様に、各ICチップ11A,11Bにそれぞれ異なる種類のメモリを組み込み、タグ1,1Sが使用される環境に応じて、交信対象のICチップを切り替えるようにしてもよい。
1,1S RFIDタグ
2 リーダライタ
10A,10B 基板
11A,11B ICチップ
12A,12B アンテナコイル
13 磁性体プレート
14 スリット孔
100 本体

Claims (2)

  1. メモリおよび制御回路を含むICチップとアンテナコイルとが本体の内部に組み込まれ、前記制御回路に、前記アンテナコイルを介して外部のリーダライタと交信する機能と、この交信によりリーダライタから受信したコマンドに基づき前記メモリに対する情報の読み書き処理を実行する機能とが設けられているRFIDタグであって、
    前記本体の内部には、磁性を有するプレートを挟んでICチップおよびアンテナコイルが搭載された一対の基板が対向配備され、
    各基板は、それぞれのアンテナコイルを含む面を前記プレートに対向する方向とは反対に向け、かつ互いに電気的に遮断された状態で配備される、RFIDタグ。
  2. 前記本体の外周部の前記プレートの厚み部分に対応する箇所に開口部が設けられ、前記プレートは、この開口部を介して本体への挿脱が可能に配備される、請求項1に記載されたRFIDタグ。
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