JP2012063673A - 騒音源の快音化方法および快音化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】騒音源が発生する騒音信号Nとオーディオ源が発生するオーディオ信号Aを採取し、騒音信号Nの時間平均をとった騒音平均スペクトルNav(f)を求める。ホワイトノイズ等の目標雑音WのスペクトルW(f)を定める。時間軸上に複数の区間を設定し、第k番目の区間について、オーディオ信号Aの複素スペクトルA(k,f)を求め、|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|なる差分演算によって、差分区間複素スペクトルD(k,f)を算出する。このD(k,f)を時間軸に逆変換した差分区間信号D(k)を個々の区間に配置することにより差分信号Dを生成し、オーディオ信号Aと差分信号Dとをスピーカから出力すれば、人間の耳には、騒音信号Nに重ねて、オーディオ信号Aと差分信号Dとが聞こえ、目標雑音Wに近い音が聞こえる。
【選択図】図9
Description
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取段階と、
騒音信号Nの所定時間内の平均周波数分布に基づいて騒音平均スペクトルNav(f)を求める騒音平均スペクトル算出段階と、
オーディオ源が発生するオーディオ信号Aを採取するオーディオ信号採取段階と、
所定の目標雑音Wの周波数分布を示す目標雑音スペクトルW(f)を、時間的に不変な定常スペクトルとして定める目標雑音設定段階と、
時間軸上に複数の区間を設定し、第k番目(k=1,2,3... )の区間について、オーディオ信号Aの周波数分布をオーディオ区間複素スペクトルA(k,f)として求め、騒音平均スペクトルNav(f)および目標雑音スペクトルW(f)を用いて、|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|なる差分演算によって、第k番目の区間についての差分区間複素スペクトルD(k,f)を算出し(但し、|A(k,f)|はA(k,f)のノルム、|D(k,f)|はD(k,f)のノルム)、差分区間複素スペクトルD(k,f)を時間軸に逆変換した差分区間信号D(k)を求め、時間軸上で、各区間についての差分区間信号D(k)を合成することにより差分信号Dを生成する差分信号生成段階と、
オーディオ信号Aと差分信号Dとを、スピーカから、騒音信号Nに重ねて出力するオーディオ出力段階と、
を行うようにしたものである。
目標雑音設定段階で、目標雑音Wとしてホワイトノイズを用い、目標雑音スペクトルW(f)として、可聴周波数域にわたって同一のエネルギー値が定常的に維持される定常スペクトルを定めるようにしたものである。
目標雑音設定段階で、目標雑音Wとしてピンクノイズを用い、目標雑音スペクトルW(f)として、周波数fもしくは周波数fの対数値に反比例するエネルギー値が定常的に維持される定常スペクトルを定めるようにしたものである。
差分信号生成段階で、所定の観測点において得られる実際の音圧レベルを基準として、Nav(f)および|A(k,f)|を補正した差分演算を行い、
オーディオ出力段階で、差分信号Dを、観測点における音圧レベルが上記補正に応じた音圧レベルとなるように出力し、オーディオ信号Aを、観測点における音圧レベルが上記補正に応じた音圧レベル以上となるように出力するようにしたものである。
目標雑音設定段階で、目標雑音スペクトルW(f)として、時間的に不変な定常スペクトルを定め、
差分信号生成段階で、
時間軸上に複数の区間を設定し、オーディオ信号Aの第k番目(k=1,2,3... )の区間内の信号をオーディオ区間信号A(k)として抽出するステップと、
オーディオ区間信号A(k)をフーリエ変換してオーディオ区間複素スペクトルA(k,f)を求めるステップと、
目標雑音スペクトルW(f)と、騒音平均スペクトル算出段階で求めた騒音平均スペクトルNav(f)と、オーディオ区間複素スペクトルA(k,f)と、を用いて、|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|なる差分演算を行い、差分区間複素スペクトルD(k,f)を求めるステップと、
差分区間複素スペクトルD(k,f)を逆フーリエ変換して、第k番目の区間についての差分区間信号D(k)を求めるステップと、
を設定したすべての区間について行い、時間軸上で、各区間についての差分区間信号D(k)を合成することにより差分信号Dを生成するようにしたものである。
オーディオ出力段階で、オーディオ信号Aを発生させるためのオーディオ信号データAdと、差分信号Dを発生させるための差分信号データDdとに基づいて、オーディオ信号Aと差分信号Dとを重畳した重畳オーディオ信号A*を発生させるための重畳オーディオ信号データA*dを生成し、生成した重畳オーディオ信号データA*dを再生することにより、スピーカから、重畳オーディオ信号A*を出力するようにしたものである。
オーディオ出力段階で、騒音源が発生する騒音信号Nの音圧レベルを測定し、その測定結果に基づいて、スピーカから出力されるオーディオ信号Aおよび差分信号Dの音圧レベルを調整するようにしたものである。
所定の観測点において観測される、騒音源が発生する騒音信号Nの時間平均スペクトルをNav(f)、目標雑音Wのスペクトル(時間的に不変な定常スペクトル)をW(f)、時間軸上に複数の区間を設定した場合の第k番目(k=1,2,3... )の区間についてのオーディオ信号Aの複素スペクトルをA(k,f)、所定の倍率係数をG(但し、G>1)としたときに、|A*(k,f)|=(G−1)・|A(k,f)|+W(f)−Nav(f)で与えられる複素スペクトルA*(k,f)を時間軸に逆変換した第k番目の区間についての区間信号を(但し、|A*(k,f)|はA*(k,f)のノルム)、時間軸上で合成することにより得られる信号を、スピーカから、騒音信号Nに重ねて出力するようにしたものである。
オーディオ信号Aを発生させるためのオーディオ信号データAdを格納したオーディオ信号データ格納部と、
所定の差分信号Dを発生させるための差分信号データDdを格納した差分信号データ格納部と、
オーディオ信号データAdと、差分信号データDdとに基づいて、オーディオ信号Aと差分信号Dとを重畳した重畳オーディオ信号A*を発生させるための重畳オーディオ信号データA*dを生成する信号重畳部と、
重畳オーディオ信号データA*dに基づいて、重畳オーディオ信号A*を再生する重畳オーディオ信号再生部と、
重畳オーディオ信号再生部で再生された重畳オーディオ信号A*をスピーカから出力するオーディオ出力部と、
を設け、
W(f):所定の目標雑音Wの周波数分布を示す目標雑音スカラースペクトル(時間的に不変な定常スペクトル)、
A(k,f):時間軸上に設定された第k番目(k=1,2,3... )の区間についてのオーディオ信号Aの周波数分布を示すオーディオ区間複素スペクトル、
Nav(f):騒音信号Nの所定時間内の平均周波数分布を示す騒音平均スカラ−スペクトル、
D(k,f):第k番目の区間についての差分信号Dの周波数分布を示す差分区間複素スペクトル、
としたときに、式「|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|」(但し、|A(k,f)|はA(k,f)のノルム、|D(k,f)|はD(k,f)のノルム)が成り立つようにしたものである。
オーディオ信号データ格納部内に複数n通りのオーディオ信号データAdが格納されており、
差分信号データ格納部内にn通りのオーディオ信号データAdのそれぞれに対応した合計n通りの差分信号データDdが格納されており、
n通りのオーディオ信号データAdのうち、第i番目(i=1〜n)のオーディオ信号データAdを自動選択もしくは外部からの選択操作に基づいて手動選択するオーディオ信号選択部を更に設け、
信号重畳部が、第i番目(i=1〜n)のオーディオ信号データAdと、これに対応した第i番目の差分信号データDdとを重畳して、第i番目の重畳オーディオ信号データA*dを生成する処理を行い、
重畳オーディオ信号再生部が、選択された第i番目のオーディオ信号データAdに対応する第i番目の重畳オーディオ信号データA*dを再生するようにしたものである。
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取部と、
騒音信号採取部が採取した騒音信号Nの音圧レベルを検出する音圧レベル検出部と、
手動設定操作または音圧レベル検出部が検出した音圧レベルに基づいて、「信号重畳部による信号の重畳比率」もしくは「各信号再生部の再生信号レベル」またはその双方を調整する音圧レベル調整部と、
を更に設けるようにしたものである。
音圧レベル検出部が検出した音圧レベルが所定のしきい値未満である状態が所定時間継続した場合に、騒音信号採取部および音圧レベル検出部を除く構成要素の一部もしくは全部に対する電源供給を停止する休止モードへと移行し、音圧レベルが所定のしきい値を越えた場合に休止モードを解除する電源制御部を更に設けるようにしたものである。
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取部と、
予め格納している目標雑音スペクトルW(f)と、オーディオ信号データ格納部に格納されているオーディオ信号データAdと、騒音信号Nと、に基づいて差分信号データDdを作成し、これを差分信号データ格納部に格納する差分信号作成部と、
を更に設けるようにしたものである。
差分信号作成部が、
騒音信号採取部が採取した騒音信号Nの所定時間内の平均周波数分布に基づいて騒音平均スペクトルNav(f)を求める手段と、
オーディオ信号データ格納部に格納されているオーディオ信号データAdから発生するオーディオ信号Aの第k番目の区間についての周波数分布を示すオーディオ区間複素スペクトルA(k,f)を区間kの関数として求める手段と、
騒音平均スペクトルNav(f)および目標雑音スペクトルW(f)を用いて、|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|なる差分演算を行い、第k番目の区間についての差分区間複素スペクトルD(k,f)を算出する手段と、
差分区間複素スペクトルD(k,f)を時間軸に逆変換した差分区間信号D(k)を時間軸上で合成することにより得られる差分信号Dを発生させるための差分信号データDdを作成する手段と、
を有するようにしたものである。
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取部と、
騒音信号採取部が採取した騒音信号Nの音圧レベルを検出する音圧レベル検出部と、
手動設定操作または音圧レベル検出部が検出した音圧レベルに基づいて、「信号重畳部による信号の重畳比率」もしくは「各信号再生部の再生信号レベル」またはその双方を調整する音圧レベル調整部と、
を更に設けるようにしたものである。
音圧レベル検出部が検出した音圧レベルが所定のしきい値未満である状態が所定時間継続した場合に、騒音信号採取部および音圧レベル検出部を除く構成要素の一部もしくは全部に対する電源供給を停止する休止モードへと移行し、音圧レベルが所定のしきい値を越えた場合に休止モードを解除する電源制御部を更に設けるようにしたものである。
元のオーディオ信号Aに対して所定の差分信号Dを重畳することにより得られる重畳オーディオ信号A*を発生させるための重畳オーディオ信号データA*dを格納した重畳オーディオ信号データ格納部と、
重畳オーディオ信号データA*dを再生して重畳オーディオ信号A*を発生させる重畳オーディオ信号再生部と、
重畳オーディオ信号再生部で再生された重畳オーディオ信号A*をスピーカから出力するオーディオ出力部と、
を設け、
W(f):所定の目標雑音Wの周波数分布を示す目標雑音スカラースペクトル(時間的に不変な定常スペクトル)、
A(k,f):時間軸上に設定された第k番目(k=1,2,3... )の区間についてのオーディオ信号Aの周波数分布を示すオーディオ区間複素スペクトル、
Nav(f):騒音信号Nの所定時間内の平均周波数分布を示す騒音平均スカラースペクトル、
D(k,f):第k番目の区間についての差分信号Dの周波数分布を示す差分区間複素スペクトル、
としたときに、式「|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|」(但し、|A(k,f)|はA(k,f)のノルム、|D(k,f)|はD(k,f)のノルム)が成り立つようにしたものである。
重畳オーディオ信号データ格納部に、オーディオ信号Aと差分信号DとをG:1の比率(但し、G>1)で重畳することにより得られる重畳オーディオ信号A*を発生させるための重畳オーディオ信号データA*dが格納されているようにしたものである。
重畳オーディオ信号データ格納部内に複数n通りの重畳オーディオ信号データA*dが格納されており、
n通りの重畳オーディオ信号データA*dのうち、第i番目(i=1〜n)の重畳オーディオ信号データA*dを自動選択もしくは外部からの選択操作に基づいて手動選択するオーディオ信号選択部を更に設け、
重畳オーディオ信号再生部が、選択された第i番目の重畳オーディオ信号データA*dを再生するようにしたものである。
外部から与えられた新たな重畳オーディオ信号データA*dを入力して重畳オーディオ信号データ格納部に格納する機能をもった重畳オーディオ信号入力部を更に設けるようにしたものである。
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取部と、
騒音信号採取部が採取した騒音信号Nの音圧レベルを検出する音圧レベル検出部と、
手動設定操作または音圧レベル検出部が検出した音圧レベルに基づいて、重畳オーディオ信号再生部によって再生される重畳オーディオ信号A*の再生音圧レベルを調整する音圧レベル調整部と、
を更に設けるようにしたものである。
音圧レベル検出部が検出した音圧レベルが所定のしきい値未満である状態が所定時間継続した場合に、騒音信号採取部および音圧レベル検出部を除く構成要素の一部もしくは全部に対する電源供給を停止して休止モードへと移行し、音圧レベルが所定のしきい値を越えた場合に休止モードを解除する電源制御部を更に設けるようにしたものである。
騒音源に内蔵されているか、または、一部もしくは全部の構成要素を騒音源に装着するための着脱アダプタを備えているようにしたものである。
内蔵または装着の対象となる騒音源が電力によって稼働する装置であり、
この騒音源の稼働状態をモニタして待機モードへの移行制御を行う電源制御部を更に備え、
電源制御部が、騒音源が稼働停止状態にある場合には、電源制御部以外の構成要素の一部もしくは全部に対する電源供給を停止する待機モードへと移行し、騒音源が稼働状態にある場合には、待機モードを解除する制御を行うようにしたものである。
所定の観測点において観測される、騒音源が発生する騒音信号Nの時間平均スペクトルをNav(f)、目標雑音Wのスペクトル(時間的に不変な定常スペクトル)をW(f)、時間軸上に複数の区間を設定した場合の第k番目(k=1,2,3... )の区間についてのオーディオ信号Aの複素スペクトルをA(k,f)、所定の倍率係数をG(但し、G>1)としたときに、|A*(k,f)|=(G−1)・|A(k,f)|+W(f)−Nav(f)で与えられる複素スペクトルA*(k,f)を時間軸に逆変換した第k番目の区間についての区間信号を(但し、|A*(k,f)|はA*(k,f)のノルム)、時間軸上で合成することにより得られる信号を、スピーカから出力するようにしたものである。
ここでは、本発明に係る快音化装置の基本構成を説明する。本発明は、人間の脳が行う音の認識処理の心理的特性を利用して、騒音を軽減させる原理に基づくものであり、騒音とは別な音波を発生させるという点では、能動消音法(ANC:Active Noise Control)と類似した手法を採る。そこで、まず、従来から利用されている能動消音法の基本原理を図を参照して説明する。
本発明の基本原理は、上述したとおり、人間の耳80に伝達される合成音波のスペクトルを、「目標雑音信号Wのスペクトル」に近づけることにあるが、本発明では、更に快音化の効果を高めるために、音脈分凝(Auditory Stream Segregation)という心理学的な現象も利用している。ここでは、この音脈分凝という現象を簡単に説明しておく。
ここでは、図7の流れ図に基づいて、本発明に係る快音化方法の基本手順を説明する。この快音化方法は、騒音源が発生する騒音に対して快音化を図る方法であり、図示のとおり、前半の準備段階と後半の快音化段階とによって構成されている。準備段階は、差分信号D(差分信号データDd)を生成するための段階である。一方、図7後半の快音化段階は、準備段階で用意された差分信号Dをオーディオ信号Aとともにスピーカから出力することにより、特定の騒音源10が発生する騒音信号Nを快音化する段階である。
ここでは、§3で述べた基本手順に従った方法により、騒音に対する快音化が可能になる基本原理を説明する。図3に示すように、本発明に係る快音化装置からは、重畳オーディオ信号A*が音波として出力され、人間の耳80には、騒音源10からの騒音信号Nとともに、重畳オーディオ信号A*が到達することになる。ここで、重畳オーディオ信号A*は、オーディオ信号Aに差分信号Dを重畳した信号であるから、結局、人間の耳80に伝達される音波は、図10に示すように、騒音信号N、オーディオ信号A、差分信号Dの合成波ということになる。しかも、差分信号Dは、目標雑音信号W(この例ではホワイトノイズ)の周波数成分から、騒音信号Nの周波数成分とオーディオ信号Aの周波数成分とを差し引いた差分に相当する周波数成分をもった信号であるため、騒音信号N、オーディオ信号A、差分信号Dの合成波の周波数成分は、目標雑音信号Wに近似したものになる。
Z(f)=N(f)+|A*(k,f)| (1)
が成り立つ。ここで、N(f)は騒音信号Nの時間平均スペクトルであり、A*(k,f)は区間kにおける重畳オーディオ信号A*の複素スペクトルである。重畳オーディオ信号A*は、オーディオ信号Aに差分信号Dを重畳した信号であるから、その複素スペクトルA*(k,f)は、オーディオ信号AのスペクトルA(k,f)に差分信号DのスペクトルD(k,f)をスカラー的に加え合わせたものになる。すなわち、
|A*(k,f)|=|A(k,f)|+|D(k,f)| (2)
が成り立つ。
Z(f)=N(f)+|A(k,f)|+|D(k,f)| (3)
が得られる。ところで、差分区間複素スペクトルD(k,f)は、図9に示されているとおり、
|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)| (4)
なる差分演算によって求められたスペクトルである。そこで、式(4)を式(3)に代入すれば、次の式(5)が得られる。
Z(f)=N(f)+|A(k,f)|
+W(f)−Nav(f)−|A(k,f)| (5)
ここで、N(f)=Nav(f)とすれば、
Z(f)=W(f) (6)
を得る。
|A*(k,f)|=|A(k,f)|+|D(k,f)| (7)
なる式で与えられることになる。ここでは、この重畳比率を、G:1(但し、G>1)に設定した場合を考えてみよう。すなわち、オーディオ信号Aの比率が、差分信号Dの比率よりも若干大きく設定されることになる。この場合、重畳オーディオ区間複素スペクトルA*(k,f)は、
|A*(k,f)|=G・|A(k,f)|+|D(k,f)|
(但し、G>1) (8)
になる。
|A*(k,f)|
=W(f)+(G−1)・|A(k,f)|−Nav(f) (9)
が得られ、この式(9)を式(1)に代入すれば、次の式(10)が得られる。
Z(f)=W(f)+(G−1)・|A(k,f)|
+N(f)−Nav(f) (10)
ここで、N(f)=Nav(f)とすれば、
Z(f)=W(f)+(G−1)・|A(k,f)| (11)
を得る。
本発明に係る快音化装置は、図3に示すとおり、騒音源10が発生する騒音に対して快音化を図る機能を有しており、オーディオ信号供給部100とオーディオ出力部200とによって構成されている。
W(f):所定の目標雑音W(これまで述べた実施例の場合、ホワイトノイズ)の周波数分布を示す目標雑音スカラースペクトル(時間的に不変な定常スペクトル)、
A(k,f):オーディオ信号データ格納部110内にデータAdとして格納されているオーディオ信号Aの周波数分布を区間kの関数として示すオーディオ区間複素スペクトル、
Nav(f):騒音源10が発生する騒音信号Nの所定時間内の平均周波数分布を示す騒音平均スカラースペクトル、
D(k,f):差分信号Dの周波数分布を区間kの関数として示す差分区間複素スペクトル、
としたときに、式「|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|」が成り立つ。
本発明に係る快音化方法の基本手順は、既に§3において、図7の流れ図を用いて説明した。ここでは、この基本手順の中のステップS5「差分信号生成段階」のより詳細なプロセスを、図12の流れ図を用いて説明する。
H(t)=0.5−0.5・cos(2πt/T)
なるハニング関数(但し、0≦t≦T)が乗算される。このような関数で定義されるハニング窓は、図14に示すように、時間幅Tをもった区間の左右両端では0、中央位置では1をとる関数(図の上下両カーブの垂直方向の距離)である。
|A(k,f)|={Re{A(k,f)}2+Im{A(k,f)}2}1/2
|D(k,f)|={Re{D(k,f)}2+Im{D(k,f)}2}1/2
とすると、D(k,f)の実部Re{D(k,f)}および虚部Im{D(k,f)}は、
Re{D(k,f)}=Re{A(k,f)}・|D(k,f)|/|A(k,f)|
Im{D(k,f)}=Im{A(k,f)}・|D(k,f)|/|A(k,f)|
で与えられる。
ここでは、§3で述べた本発明に係る快音化方法についての変形例をいくつか述べることにする。
図7のオーディオ出力段階(ステップS6)は、実際に騒音源の快音化を図るために、オーディオ信号Aと差分信号Dとを、スピーカから、騒音信号Nに重ねて出力する段階である。図3に示す快音化装置を用いて、このオーディオ出力段階を実施する場合には、既に述べたとおり、信号重畳部120によって、オーディオ信号Aを発生させるためのオーディオ信号データAdと、差分信号Dを発生させるための差分信号データDdとに基づいて、重畳オーディオ信号データA*dを生成し、重畳オーディオ信号再生部140によって、生成した重畳オーディオ信号データA*dを再生し、最終的に、スピーカ220から、重畳オーディオ信号A*を出力すればよい。ここで、重畳オーディオ信号A*は、オーディオ信号Aと差分信号Dとを重畳した信号であるから、実質的には、スピーカ220からオーディオ信号Aと差分信号Dとが出力されたことになる。
これまで述べてきた実施形態では、図7の目標雑音設定段階(ステップS4)において、ホワイトノイズを目標雑音Wとして設定した例を示したが、本発明で用いる目標雑音Wは、ホワイトノイズに限定されるものではなく、人間の脳が不快に感じない雑音であれば、その他の雑音を用いてもかまわない。
これまで述べてきた実施形態では、図7の目標雑音設定段階(ステップS4)において設定する目標雑音スペクトルW(f)を、時間的に不変な定常スペクトルとして設定しているが、目標雑音スペクトルW(f)は、必ずしも定常スペクトルである必要はなく、時間の関数となる変動スペクトルであってもかまわない。たとえば、前述したピンクノイズは、周波数fもしくはその対数値の逆数に比例するエネルギー値をもつ雑音であるが、比例係数を変えると、スペクトルの形状(図15(c) に示すグラフの傾斜)は変化する。したがって、たとえば、目標雑音スペクトルW(k,f)として、周波数fの逆数に対する比例係数が区間kに依存して変化するようなピンクノイズスペクトルを設定することも可能である。
本発明の基本的実施形態に係る快音化装置については、既に、図3を参照しながら説明した。ここでは、この基本的実施形態に対するいくつかの変形例を図17〜図27を参照しながら説明する。なお、以下の変形例の説明では、先行して説明した実施形態と同一の構成要素については同一符号を付して説明を省略することとし、主として、新たに付加された構成要素あるいは改変された構成要素についての説明を行うことにする。
§7−1では、「オーディオ出力段階の変形例」を述べたが、ここでは、これに対応する具体的な装置構成を例示する。
図19に示す第3の変形例は、図3に示す基本的実施形態に、更に、オーディオ信号&差分信号入力部106、オーディオ信号選択部115、音圧レベル調整部125を付加し、オーディオ信号データ格納部110内に複数のオーディオ信号データAdを格納し、差分信号データ格納部130内に複数の差分信号データDdを格納したものである。図19に示すオーディオ信号供給部100Bは、上記特徴を有するデジタルユニットということになる。
図20に示す第4の変形例は、図19に示す第3の変形例に、更に、騒音信号採取部150、音圧レベル検出部160、電源制御部170、そして騒音収録マイク230を付加したものである。図20に示すオーディオ信号供給部100Cは、上記特徴を有するデジタルユニットということになる。
図22に示す第6の変形例は、図3に示す基本的実施形態に、更に、騒音信号採取部150、差分信号作成部180、そして騒音収録マイク230を付加したものである。図22に示すオーディオ信号供給部100Eは、上記特徴を有するデジタルユニットということになる。
図25に示す第9の変形例は、図3に示す基本的実施形態をより単純化したものである。すなわち、図25に示すオーディオ信号供給部100Hは、重畳オーディオ信号データ格納部190と重畳オーディオ信号再生部140とによる単純な構成をとっており、信号重畳部120や差分信号データ格納部130という構成要素は省略されている。
最後に、本発明に係る快音化方法を、3種類の騒音源について実施した具体的な実験結果を掲載しておく。いずれも、目標雑音スペクトルW(f)としてホワイトノイズスペクトルを用い、オーディオ信号Aと差分信号Dとの重畳比率を1:1に設定した場合の例を示している。
20:騒音収録マイク
30:信号遅延部
40:位相反転部
45:位相反転部
50:スピーカ
60:誤差収録マイク
70:誤差帰還部
80:人間の耳
90:演算器
100:オーディオ信号供給部(デジタルユニット)
100A〜100J:オーディオ信号供給部(デジタルユニット)
106:オーディオ信号&差分信号入力部
110:オーディオ信号データ格納部
115:オーディオ信号選択部
116:オーディオ信号入力部
120:信号重畳部
125,126:音圧レベル調整部
130:差分信号データ格納部
140:重畳オーディオ信号再生部
141:オーディオ信号再生部
142:差分信号再生部
150:騒音信号採取部
160:音圧レベル検出部
170:電源制御部
180:差分信号作成部
190:重畳オーディオ信号データ格納部
195:オーディオ信号選択部
196:重畳オーディオ信号入力部
200:オーディオ出力部(アナログユニット)
200A,200B:オーディオ出力部(アナログユニット)
210:オーディオアンプ
211:第1のオーディオアンプ
212:第2のオーディオアンプ
215:信号重畳部
220:スピーカ
221:第1のスピーカ
222:第2のスピーカ
230:騒音収録マイク
300:着脱アダプタ
A:オーディオ信号
A(k,f):オーディオ区間複素スペクトル(オーディオ信号Aの第k番目の区間の複素スペクトル)
Aav(f):オーディオ平均スペクトル(オーディオ信号Aの時間平均スペクトル)
Ad:オーディオ信号データ
A*:重畳オーディオ信号
A*(k):第k番目の重畳オーディオ区間信号
A*(k,f):重畳オーディオ区間複素スペクトル(重畳オーディオ信号A*の第k番目の区間の複素スペクトル)
A*d:重畳オーディオ信号データ
A*av(f):重畳オーディオ平均スペクトル(重畳オーディオ信号A*の時間平均スペクトル)
a(k,t):区間kから切り出したオーディオ区間信号
D:差分信号
Dd:差分信号データ
D(k):第k番目の差分区間信号
D(k,f):差分区間複素スペクトル(差分信号Dの第k番目の区間の複素スペクトル)
f:周波数
G:倍率係数(G>1)
H(t):ハニング関数
I:位相反転信号
Im{A(k,f)}:複素スペクトルA(k,f)の虚部
Im{D(k,f)}:複素スペクトルD(k,f)の虚部
i:オーディオ信号のサンプル番号
j:量子化された周波数の番号
k:区間番号
L:音波の伝搬距離
N:騒音信号
N(f):騒音スペクトル
Nav(f):騒音平均スペクトル(騒音信号Nのサンプル期間の時間平均スペクトル)
P,Q:観測点
R:残存信号
Re{A(k,f)}:複素スペクトルA(k,f)の実部
Re{D(k,f)}:複素スペクトルD(k,f)の実部
S1〜S5:流れ図の各ステップ(快音化の全体手順)
S41〜S46:流れ図の各ステップ(差分演算段階の処理)
T:区間の時間幅
t:時間
W:目標雑音信号
W(f):目標雑音スペクトル
X:音源
X(f):音源Xの時間平均スペクトル
Y:音源
Y(f):音源Yの時間平均スペクトル
Z:人間の耳に伝わる合成音波信号Z
Z(f):人間の耳に伝わる合成音波信号Zの時間平均スペクトル
Claims (27)
- 騒音源が発生する騒音に対して快音化を図る方法であって、
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取段階と、
前記騒音信号Nの所定時間内の平均周波数分布に基づいて騒音平均スペクトルNav(f)を求める騒音平均スペクトル算出段階と、
オーディオ源が発生するオーディオ信号Aを採取するオーディオ信号採取段階と、
所定の目標雑音Wの周波数分布を示す目標雑音スペクトルW(f)を、時間的に不変な定常スペクトルとして定める目標雑音設定段階と、
時間軸上に複数の区間を設定し、第k番目(k=1,2,3... )の区間について、前記オーディオ信号Aの周波数分布をオーディオ区間複素スペクトルA(k,f)として求め、前記騒音平均スペクトルNav(f)および前記目標雑音スペクトルW(f)を用いて、|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|なる差分演算によって、第k番目の区間についての差分区間複素スペクトルD(k,f)を算出し(但し、|A(k,f)|はA(k,f)のノルム、|D(k,f)|はD(k,f)のノルム)、前記差分区間複素スペクトルD(k,f)を時間軸に逆変換した差分区間信号D(k)を求め、時間軸上で、各区間についての差分区間信号D(k)を合成することにより差分信号Dを生成する差分信号生成段階と、
前記オーディオ信号Aと前記差分信号Dとを、スピーカから、前記騒音信号Nに重ねて出力するオーディオ出力段階と、
を有することを特徴とする騒音源の快音化方法。 - 請求項1に記載の快音化方法において、
目標雑音設定段階で、目標雑音Wとしてホワイトノイズを用い、目標雑音スペクトルW(f)として、可聴周波数域にわたって同一のエネルギー値が定常的に維持される定常スペクトルを定めることを特徴とする騒音源の快音化方法。 - 請求項1に記載の快音化方法において、
目標雑音設定段階で、目標雑音Wとしてピンクノイズを用い、目標雑音スペクトルW(f)として、周波数fもしくは周波数fの対数値に反比例するエネルギー値が定常的に維持される定常スペクトルを定めることを特徴とする騒音源の快音化方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の快音化方法において、
差分信号生成段階で、所定の観測点において得られる実際の音圧レベルを基準として、Nav(f)および|A(k,f)|を補正した差分演算を行い、
オーディオ出力段階で、差分信号Dを、前記観測点における音圧レベルが前記補正に応じた音圧レベルとなるように出力し、オーディオ信号Aを、前記観測点における音圧レベルが前記補正に応じた音圧レベル以上となるように出力することを特徴とする騒音源の快音化方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の快音化方法において、
目標雑音設定段階で、目標雑音スペクトルW(f)として、時間的に不変な定常スペクトルを定め、
差分信号生成段階で、
時間軸上に複数の区間を設定し、オーディオ信号Aの第k番目(k=1,2,3... )の区間内の信号をオーディオ区間信号A(k)として抽出するステップと、
前記オーディオ区間信号A(k)をフーリエ変換してオーディオ区間複素スペクトルA(k,f)を求めるステップと、
前記目標雑音スペクトルW(f)と、騒音平均スペクトル算出段階で求めた騒音平均スペクトルNav(f)と、前記オーディオ区間複素スペクトルA(k,f)と、を用いて、|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|なる差分演算を行い、差分区間複素スペクトルD(k,f)を求めるステップと、
前記差分区間複素スペクトルD(k,f)を逆フーリエ変換して、第k番目の区間についての差分区間信号D(k)を求めるステップと、
を設定したすべての区間について行い、時間軸上で、各区間についての差分区間信号D(k)を合成することにより差分信号Dを生成することを特徴とする騒音源の快音化方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の快音化方法において、
オーディオ出力段階で、オーディオ信号Aを発生させるためのオーディオ信号データAdと、差分信号Dを発生させるための差分信号データDdとに基づいて、オーディオ信号Aと差分信号Dとを重畳した重畳オーディオ信号A*を発生させるための重畳オーディオ信号データA*dを生成し、生成した重畳オーディオ信号データA*dを再生することにより、スピーカから、前記重畳オーディオ信号A*を出力することを特徴とする騒音源の快音化方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の快音化方法において、
オーディオ出力段階で、騒音源が発生する騒音信号Nの音圧レベルを測定し、その測定結果に基づいて、スピーカから出力されるオーディオ信号Aおよび差分信号Dの音圧レベルを調整することを特徴とする騒音源の快音化方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の快音化方法における騒音信号採取段階と、騒音平均スペクトル算出段階と、オーディオ信号採取段階と、目標雑音設定段階と、差分信号生成段階と、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 騒音源が発生する騒音に対して快音化を図る方法であって、
所定の観測点において観測される、騒音源が発生する騒音信号Nの時間平均スペクトルをNav(f)、目標雑音Wのスペクトル(時間的に不変な定常スペクトル)をW(f)、時間軸上に複数の区間を設定した場合の第k番目(k=1,2,3... )の区間についてのオーディオ信号Aの複素スペクトルをA(k,f)、所定の倍率係数をG(但し、G>1)としたときに、|A*(k,f)|=(G−1)・|A(k,f)|+W(f)−Nav(f)で与えられる複素スペクトルA*(k,f)を時間軸に逆変換した第k番目の区間についての区間信号を(但し、|A*(k,f)|はA*(k,f)のノルム)、時間軸上で合成することにより得られる信号を、スピーカから、前記騒音信号Nに重ねて出力することを特徴とする騒音源の快音化方法。 - 騒音源が発生する騒音に対して快音化を図る装置であって、
オーディオ信号Aを発生させるためのオーディオ信号データAdを格納したオーディオ信号データ格納部と、
所定の差分信号Dを発生させるための差分信号データDdを格納した差分信号データ格納部と、
前記オーディオ信号データAdと、前記差分信号データDdとに基づいて、前記オーディオ信号Aと前記差分信号Dとを重畳した重畳オーディオ信号A*を発生させるための重畳オーディオ信号データA*dを生成する信号重畳部と、
前記重畳オーディオ信号データA*dに基づいて、前記重畳オーディオ信号A*を再生する重畳オーディオ信号再生部と、
前記重畳オーディオ信号再生部で再生された前記重畳オーディオ信号A*をスピーカから出力するオーディオ出力部と、
を備え、
W(f):所定の目標雑音Wの周波数分布を示す目標雑音スカラースペクトル(時間的に不変な定常スペクトル)、
A(k,f):時間軸上に設定された第k番目(k=1,2,3... )の区間についての前記オーディオ信号Aの周波数分布を示すオーディオ区間複素スペクトル、
Nav(f):前記騒音信号Nの所定時間内の平均周波数分布を示す騒音平均スカラースペクトル、
D(k,f):前記第k番目の区間についての前記差分信号Dの周波数分布を示す差分区間複素スペクトル、
としたときに、式「|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|」(但し、|A(k,f)|はA(k,f)のノルム、|D(k,f)|はD(k,f)のノルム)が成り立つことを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項10に記載の快音化装置において、
オーディオ信号データ格納部内に複数n通りのオーディオ信号データAdが格納されており、
差分信号データ格納部内に前記n通りのオーディオ信号データAdのそれぞれに対応した合計n通りの差分信号データDdが格納されており、
前記n通りのオーディオ信号データAdのうち、第i番目(i=1〜n)のオーディオ信号データAdを自動選択もしくは外部からの選択操作に基づいて手動選択するオーディオ信号選択部を更に備え、
信号重畳部が、前記第i番目(i=1〜n)のオーディオ信号データAdと、これに対応した第i番目の差分信号データDdとを重畳して、第i番目の重畳オーディオ信号データA*dを生成する処理を行い、
重畳オーディオ信号再生部が、選択された前記第i番目のオーディオ信号データAdに対応する前記第i番目の重畳オーディオ信号データA*dを再生することを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項10または11に記載の快音化装置において、
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取部と、
前記騒音信号採取部が採取した騒音信号Nの音圧レベルを検出する音圧レベル検出部と、
手動設定操作または前記音圧レベル検出部が検出した音圧レベルに基づいて、「信号重畳部による信号の重畳比率」もしくは「各信号再生部の再生信号レベル」またはその双方を調整する音圧レベル調整部と、
を更に備えることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項12に記載の快音化装置において、
音圧レベル検出部が検出した音圧レベルが所定のしきい値未満である状態が所定時間継続した場合に、騒音信号採取部および音圧レベル検出部を除く構成要素の一部もしくは全部に対する電源供給を停止する休止モードへと移行し、前記音圧レベルが所定のしきい値を越えた場合に前記休止モードを解除する電源制御部を更に備えることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項10または11に記載の快音化装置において、
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取部と、
予め格納している目標雑音スペクトルW(f)と、オーディオ信号データ格納部に格納されているオーディオ信号データAdと、前記騒音信号Nと、に基づいて差分信号データDdを作成し、これを差分信号データ格納部に格納する差分信号作成部と、
を更に備えることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項14に記載の快音化装置において、
差分信号作成部が、
騒音信号採取部が採取した騒音信号Nの所定時間内の平均周波数分布に基づいて騒音平均スペクトルNav(f)を求める手段と、
オーディオ信号データ格納部に格納されているオーディオ信号データAdから発生するオーディオ信号Aの第k番目の区間についての周波数分布を示すオーディオ区間複素スペクトルA(k,f)を区間kの関数として求める手段と、
前記騒音平均スペクトルNav(f)および目標雑音スペクトルW(f)を用いて、|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|なる差分演算を行い、第k番目の区間についての差分区間複素スペクトルD(k,f)を算出する手段と、
前記差分区間複素スペクトルD(k,f)を時間軸に逆変換した差分区間信号D(k)を時間軸上で合成することにより得られる差分信号Dを発生させるための差分信号データDdを作成する手段と、
を有することを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項14または15に記載の快音化装置において、
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取部と、
前記騒音信号採取部が採取した騒音信号Nの音圧レベルを検出する音圧レベル検出部と、
手動設定操作または前記音圧レベル検出部が検出した音圧レベルに基づいて、「信号重畳部による信号の重畳比率」もしくは「各信号再生部の再生信号レベル」またはその双方を調整する音圧レベル調整部と、
を更に備えることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項16に記載の快音化装置において、
音圧レベル検出部が検出した音圧レベルが所定のしきい値未満である状態が所定時間継続した場合に、騒音信号採取部および音圧レベル検出部を除く構成要素の一部もしくは全部に対する電源供給を停止する休止モードへと移行し、前記音圧レベルが所定のしきい値を越えた場合に前記休止モードを解除する電源制御部を更に備えることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 騒音源が発生する騒音に対して快音化を図る装置であって、
元のオーディオ信号Aに対して所定の差分信号Dを重畳することにより得られる重畳オーディオ信号A*を発生させるための重畳オーディオ信号データA*dを格納した重畳オーディオ信号データ格納部と、
前記重畳オーディオ信号データA*dを再生して前記重畳オーディオ信号A*を発生させる重畳オーディオ信号再生部と、
前記重畳オーディオ信号再生部で再生された前記重畳オーディオ信号A*をスピーカから出力するオーディオ出力部と、
を備え、
W(f):所定の目標雑音Wの周波数分布を示す目標雑音スカラースペクトル(時間的に不変な定常スペクトル)、
A(k,f):時間軸上に設定された第k番目(k=1,2,3... )の区間についての前記オーディオ信号Aの周波数分布を示すオーディオ区間複素スペクトル、
Nav(f):前記騒音信号Nの所定時間内の平均周波数分布を示す騒音平均スカラースペクトル、
D(k,f):前記第k番目の区間についての前記差分信号Dの周波数分布を示す差分区間複素スペクトル、
としたときに、式「|D(k,f)|=W(f)−Nav(f)−|A(k,f)|」(但し、|A(k,f)|はA(k,f)のノルム、|D(k,f)|はD(k,f)のノルム)が成り立つことを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項18に記載の快音化装置において、
重畳オーディオ信号データ格納部に、オーディオ信号Aと差分信号DとをG:1の比率(但し、G>1)で重畳することにより得られる重畳オーディオ信号A*を発生させるための重畳オーディオ信号データA*dが格納されていることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項18または19に記載の快音化装置において、
重畳オーディオ信号データ格納部内に複数n通りの重畳オーディオ信号データA*dが格納されており、
前記n通りの重畳オーディオ信号データA*dのうち、第i番目(i=1〜n)の重畳オーディオ信号データA*dを自動選択もしくは外部からの選択操作に基づいて手動選択するオーディオ信号選択部を更に備え、
重畳オーディオ信号再生部が、選択された前記第i番目の重畳オーディオ信号データA*dを再生することを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項20に記載の快音化装置において、
外部から与えられた新たな重畳オーディオ信号データA*dを入力して重畳オーディオ信号データ格納部に格納する機能をもった重畳オーディオ信号入力部を更に備えることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項18〜21のいずれかに記載の快音化装置において、
騒音源が発生する騒音信号Nを採取する騒音信号採取部と、
前記騒音信号採取部が採取した騒音信号Nの音圧レベルを検出する音圧レベル検出部と、
手動設定操作または前記音圧レベル検出部が検出した音圧レベルに基づいて、重畳オーディオ信号再生部によって再生される重畳オーディオ信号A*の再生音圧レベルを調整する音圧レベル調整部と、
を更に備えることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項22に記載の快音化装置において、
音圧レベル検出部が検出した音圧レベルが所定のしきい値未満である状態が所定時間継続した場合に、騒音信号採取部および音圧レベル検出部を除く構成要素の一部もしくは全部に対する電源供給を停止して休止モードへと移行し、前記音圧レベルが所定のしきい値を越えた場合に前記休止モードを解除する電源制御部を更に備えることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項10〜23のいずれかに記載の快音化装置において、
騒音源に内蔵されているか、または、一部もしくは全部の構成要素を騒音源に装着するための着脱アダプタを備えていることを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項24に記載の快音化装置において、
内蔵または装着の対象となる騒音源が電力によって稼働する装置であり、
この騒音源の稼働状態をモニタして待機モードへの移行制御を行う電源制御部を更に備え、
前記電源制御部が、前記騒音源が稼働停止状態にある場合には、前記電源制御部以外の構成要素の一部もしくは全部に対する電源供給を停止する待機モードへと移行し、前記騒音源が稼働状態にある場合には、前記待機モードを解除する制御を行うことを特徴とする騒音源の快音化装置。 - 請求項10〜25のいずれかに記載の快音化装置の一部もしくは全部の構成要素が組み込まれた電気製品であって、前記快音化装置が、当該電気製品自身が発生する騒音信号Nを用いて作成された差分信号Dを用いて重畳オーディオ信号A*を発生させることを特徴とする電気製品。
- 騒音源が発生する騒音に対して快音化を図る装置であって、
所定の観測点において観測される、騒音源が発生する騒音信号Nの時間平均スペクトルをNav(f)、目標雑音Wのスペクトル(時間的に不変な定常スペクトル)をW(f)、時間軸上に複数の区間を設定した場合の第k番目(k=1,2,3... )の区間についてのオーディオ信号Aの複素スペクトルをA(k,f)、所定の倍率係数をG(但し、G>1)としたときに、|A*(k,f)|=(G−1)・|A(k,f)|+W(f)−Nav(f)で与えられる複素スペクトルA*(k,f)を時間軸に逆変換した第k番目の区間についての区間信号を(但し、|A*(k,f)|はA*(k,f)のノルム)、時間軸上で合成することにより得られる信号を、スピーカから出力することを特徴とする騒音源の快音化装置。
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