以下、図面を参照して、複数の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態以降において、既に説明された実施形態と同様若しくは類似の構成については、既に説明された実施形態と同様の符号を用いることがあり、また、説明を省略することがある。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る工作機械1の要部の構成を模式的に示す斜視図である。
工作機械1は、中ぐり盤と同様の構成を有しつつ、フライス削りにも重点をおいた、いわゆる中ぐりフライス盤により構成されている。工作機械1は、第1工具101等の種々の工具により被加工物111に対して切削加工を行う。第1工具101は、例えば、エンドミルである。
工作機械1は、工作機械本体3(狭義の工作機械)と、工作機械本体3に着脱され、第1工具101を保持する作業ユニット5とを有している。
工作機械本体3は、いわゆるテーブル形横中ぐり盤により構成されており、ベッド7と、ベッド7に対してz軸方向に移動可能なサドル9と、サドル9に対してx軸方向に移動可能なテーブル11とを有している。テーブル11は、y軸に平行な軸回りに回転可能な旋回テーブル13を含んでいる。被加工物111は、旋回テーブル13上に設置される。
また、工作機械本体3は、ベッド7に対して固定的に設けられたコラム15と、コラム15に対してy軸方向に移動可能な主軸頭17とを有している。作業ユニット5は、主軸頭17に装着されている。
そして、工作機械1は、サドル9、テーブル11及び主軸頭17の移動により、被加工物111に対して第1工具101を3軸方向に移動させつつ、被加工物111を切削加工することが可能である。
図2は、作業ユニット5を第1の使用態様で示す側面図である。
作業ユニット5は、主軸頭17に着脱されるヘッドユニット19と、ヘッドユニット19に着脱され、第1工具101を保持する第1工具ホルダ21とを有している。ヘッドユニット19は、主軸頭17に着脱される拡張部23と、拡張部23に着脱され、第1工具ホルダ21を保持するヘッド部25と、拡張部23から延びる電線27とを有している。
拡張部23は、主軸37(図4参照)の回転が伝達されることにより発電する発電機29を有している。ヘッド部25は、いわゆるアングルヘッドを構成しており、第1工具ホルダ21を主軸37に傾斜する方向に保持する。第1工具ホルダ21は、電線27を介して発電機29から供給された電力により駆動される電動機31を有している。電動機31は、主軸の回転速度に対して変速(増速又は減速)された回転速度で駆動され、その回転は、第1工具101に伝達される。
このように、作業ユニット5は、工作機械本体3の主軸37の回転軸に対して第1工具101の回転軸が交差するように第1工具101を保持するアングルヘッドとして機能する。また、作業ユニット5は、第1の使用態様では、主軸37の回転を変速して第1工具101に伝達する変速装置として機能する。
図3は、作業ユニット5を第2の使用態様で示す側面図である。
第2の使用態様においては、拡張部23に代えて、ヘッド部25が主軸頭17に装着される。また、第1工具ホルダ21に代えて、第2工具ホルダ105がヘッド部25に装着される。第2工具ホルダ105は、第2工具103を保持している。
拡張部23は、主軸37の回転を機械的に第2工具ホルダ105に伝達する伝達機構33を有している。第2工具ホルダ105は、一般的な工具ホルダ若しくはこれに類するものであり、第2工具103を保持し、第2工具103とともに回転する。なお、第2工具103は、例えば、エンドミルである。また、第2工具103は、第1工具101と異なる工具であってもよいし、同一の工具であってもよい。
このように、作業ユニット5は、第2の使用態様においても、第1の使用態様と同様に、アングルヘッドとして機能する。また、作業ユニット5は、第2の使用態様においては、主軸37の回転を、そのままの回転速度で、又は、第1の使用態様とは異なる変速比で変速(増速又は減速)して、第2工具103に伝達する装置として機能する。
なお、第1工具101及び第1工具ホルダ21の組み合わせ、並びに、第2工具103及び第2工具ホルダ105の組み合わせは、広い意味では工具であり、本願では、これらを工具と呼ぶことがあるものとする。
以下、各部の詳細について説明する。
図4は、主軸37及び主軸頭17を含む主軸部35の模式的な断面図である。
主軸部35は、いわゆるクイル構造を有しており、主軸37と、主軸37を軸支するクイル39と、クイル39を支持する支持部材41とを備えている。
主軸37は、工作機械本体3の有する主軸モータ43(図1)の回転が伝達されることにより、z軸に平行な軸回りに回転する。なお、主軸モータ43は、図1に示すように、主軸頭17に設けられていてもよいし、ベッド7等に設けられ、伝達機構によりその回転が主軸頭17まで伝達されてもよい。
主軸37の先端には、周知の工具着脱部が設けられている。例えば、主軸37には、その軸方向に開口し、工具ホルダ等のテーパシャンクが挿入されるテーパ穴37hが形成されている。また、特に図示しないが、主軸37内には、テーパシャンクから突出するプルスタッドを引き込みつつ保持するコレット式若しくはボール式の着脱装置が設けられている。
図4においては、主軸37に、工具に代えて、キー部材45が取り付けられている。キー部材45は、主軸37の回転を作業ユニット5に伝達するためのものである。キー部材45は、工具ホルダ等と同様に、テーパシャンク45a及びプルスタッド45bを有するとともに、これらから作業ユニット5側に突出する第1キー部45cを有している。第1キー部45cは、主軸37(z軸)の方向に見た形状が矩形等の非円形に設定され、作業ユニット5に設けられたキー溝に嵌合する。そして、第1キー部45cは、主軸37と共に回転することにより、主軸37の回転を作業ユニット5に伝達する。
クイル39は、概ね円筒状に形成され、主軸37を収容している。クイル39は、ボールベアリング等の軸受47を介して主軸37を軸回りに回転可能に支持するとともに、軸方向(z軸方向)においては移動不可能に主軸37を支持している。また、クイル39は、軸方向において移動可能に支持部材41に支持され、不図示のボールネジ機構などの駆動装置により駆動される。主軸37は、クイル39とともに軸方向に駆動される。ただし、本実施形態では、作業ユニット5が装着された状態においては、クイル39の軸方向への移動機構は利用されない。
支持部材41は、例えば、概ね円筒状に形成され、特に図示しないが、スプラインなどを介してクイル39を回転不可能且つ軸方向に移動可能に支持している。なお、支持部材41は、実際には、円筒状の部材、その端面に配置される環状の部材等の複数の部材から構成されるが、図4では、便宜上、これらの部材の区別をせずに、ハッチングしている。また、支持部材41は、クイル39等を介して、主軸37を回転可能に軸支している部材と捉えることができる。
図5は、拡張部23を示す側面図である。
拡張部23は、上述した発電機29と、発電機29を収容する拡張ケース49とを有している。
拡張ケース49は、例えば、概ね、外径が一定の筒状に形成されている。拡張ケース49の主軸部35側(図5の紙面右側)の端面は開口しており、主軸部35の先端側の一部を収容可能な第1収容部49aが形成されている。第1収容部49aの開口側の端部は拡径しており、第1嵌合穴49vが形成されている。
図2に示すように、拡張ケース49を主軸部35に装着するときには、支持部材41の先端から突出する第1嵌合部41w(図4)が第1嵌合穴49vに嵌合する。そして、主軸部35の、第1嵌合部41wよりも突出した部分は、第1収容部49aの第1嵌合穴49vよりも奥側に収容される。すなわち、本実施形態においては、クイル39及び主軸37の先端が収容され、また、主軸37の先端に装着されているキー部材45も収容される。
図5に示すように、拡張ケース49の主軸部35側の端部の外周には、z軸方向に貫通する孔部が形成された第1被固定部49bが設けられている。第1被固定部49bは、外周側の複数位置(例えば4箇所)に形成されている。図2に示すように、第1被固定部49bの孔部に挿通されたボルト51が支持部材41の端面に形成された第1雌ねじ部41e(図4)に螺合されることにより、拡張ケース49は主軸部35に固定される。
なお、第1収容部49aの主軸37の軸方向に直交する断面の形状は適宜に設定されてよい。また、第1嵌合穴49v及び第1嵌合部41wの主軸37の軸方向に直交する断面の形状は、円形であってもよいし、拡張ケース49の主軸37回りの回転を規制可能に非円形であってもよい。また、拡張ケース49の主軸37回りの取付位置を適宜な角度毎に変更可能に、第1被固定部49bの位置、並びに、第1嵌合部41w及び第1嵌合穴49vの形状が設定されてもよい。第1嵌合部41w及び第1嵌合穴49vは省略されてもよい。
発電機29は、拡張ケース49に固定され、界磁及び電機子の一方を構成するステータ29aと、ステータ29aに対して主軸37と同軸的に回転可能であり、界磁及び電機子の他方を構成するロータ29bとを有している。
なお、発電機29は、ステータ29a及びロータ29bを収容するケースを有して構成され、拡張ケース49に収容されてもよいし、ステータ29a及びロータ29bが直接的に拡張ケース49に取り付けられて構成されてもよい。発電機29は、直流発電機であってもよいし、交流発電機であってもよい。発電機29は、同期機、誘導機等の適宜な形式とされてよい。
ロータ29bの主軸部35側の端部には、軸芯位置において第1キー溝29cが形成されている。第1キー溝29cの主軸37の軸方向に直交する断面の形状は、キー部材45の第1キー部45cの断面形状と同一である。そして、図2に示すように、拡張部23が主軸部35に装着されると、キー部材45の第1キー部45c(図4)が第1キー溝29cに嵌合する。これにより、主軸37の回転は、ロータ29bに伝達可能となる。
図6は、ヘッド部25を示す側面図である。
ヘッド部25は、上述した伝達機構33と、伝達機構33を収容するヘッドケース53と、ヘッドケース53に軸支され、伝達機構33の回転が伝達される工具保持部54とを有している。
ヘッドケース53は、拡張部23又は主軸部35に着脱される基端ケース55と、基端ケース55に連結された先端ケース57とを有している。
基端ケース55は、例えば、概ね、先端側(先端ケース57側)に縮径する筒状に形成されている。基端ケース55の拡張部23又は主軸部35側(図6の紙面右側)部分は、拡張ケース49の主軸部35側部分と同様の構成となっている。すなわち、基端ケース55には、拡張ケース49の第1収容部49a、第1嵌合穴49v及び第1被固定部49bに対応する、第2収容部55a、第2嵌合穴55v及び第2被固定部55bが形成されている。
そして、図3に示すように、ヘッド部25が拡張部23に代えて主軸部35に装着されるときには、拡張部23と同様に、第1嵌合部41w(図4)が第2嵌合穴55vに嵌合し、主軸部35の、第1嵌合部41wよりも突出した部分は、第2収容部55aの第2嵌合穴55vよりも奥側に収容される。そして、第2被固定部55bの孔部に挿通されたボルト51が第1雌ねじ部41e(図4)に螺合されることにより、基端ケース55は支持部材41に固定される。
ヘッド部25の拡張部23への装着も、ヘッド部25の主軸部35への装着と同様に行われる。具体的には、図5に示すように、拡張ケース49のヘッド部25側(図5の紙面左側)の端面には、主軸部35の第1嵌合部41w及び第1雌ねじ部41eに対応する、第2嵌合部49w及び第2雌ねじ部49eが形成されている。そして、図2に示すように、第2嵌合部49wが第2嵌合穴55vに嵌合され、第2被固定部55bの孔部に挿通されたボルト51が第2雌ねじ部49eに螺合されることにより、基端ケース55は拡張ケース49に固定される。
なお、第2収容部55a、第2嵌合穴55v及び第2嵌合部49wの形状、並びに、第2雌ねじ部49eの位置が適宜に設定されてよいこと、第2嵌合穴55v及び第2嵌合部49wが省略されてよいことは、第1収容部49a、第1嵌合穴49v、第1嵌合部41w及び第1雌ねじ部41eと同様である。
図2に示すように、ヘッド部25が拡張部23に装着されたときには、基端ケース55の第2収容部55a(図6)には、拡張ケース49の、基端ケース55に当接する端面から突出する突出部49f(図5)が収容される。図5に示すように、発電機29は、少なくとも一部が突出部49fに収容されるように配置されている。このような発電機29の配置により、第2収容部55aが有効利用され、作業ユニット5の小型化が図られる。
図6に示す先端ケース57は、例えば、概ね、直方体状に形成されている。先端ケース57の基端ケース55側の面は、特に図示しないが、先端ケース57及び基端ケース55の内部同士が連通されるように開口している。また、先端ケース57の基端ケース55側の面に直交する面は、工具保持部54を露出させるように開口している。このように、先端ケース57は、開口方向が互いに交差する開口を2つ有しており、アングルヘッドを実現している。
先端ケース57は、主軸37の軸線回りの位置を調整可能に基端ケース55に連結されている。例えば、基端ケース55の先端ケース57側には、基端側連結部55gが設けられ、先端ケース57の基端ケース55側には、先端側連結部57gが設けられている。基端側連結部55g及び先端側連結部57gは、主軸37の軸方向に直交する端面同士を互いに当接させた状態で、これらに挿通されたボルト(不図示)がナット59と螺合することにより、互いに固定されている。基端側連結部55g及び先端側連結部57gの一方においては、ボルトが挿通される孔部は、主軸37の軸線を中心とする円弧状に形成されており、ボルトの移動を許容している。そして、ボルト及びナット59の締結を緩めることにより、先端ケース57の基端ケース55に対する主軸37の軸線回りの位置を調整可能である。
伝達機構33は、例えば、ヘッド部25が主軸部35に装着されたときに主軸37の回転が入力される入力部材61と、入力部材61の回転が伝達される第1傘歯車63と、第1傘歯車63と噛み合う第2傘歯車65とを有している。
入力部材61は、主軸37と同軸的に回転可能に第2収容部55aに配置されている。また、入力部材61には、その軸芯位置において、発電機29の第1キー溝29cと同様の第2キー溝61cが形成されている。そして、図3に示すように、ヘッド部25が拡張部23に代えて主軸部35に装着されると、キー部材45の第1キー部45c(図4)は第2キー溝61cに嵌合する。これにより、主軸37の回転は入力部材61に入力される。
一方、図2に示すように、ヘッド部25が拡張部23に装着された場合には、拡張ケース49の突出部49fから突出する第2キー部49c(図5)が第2キー溝61cに嵌合する。第2キー部49cは、第1キー部45cと同様の形状のものであり、また、突出部49fに固定されており、回転不可能である。従って、ヘッド部25が拡張部23に装着されると、入力部材61の回転は第2キー部49cによって規制され、ひいては、伝達機構33全体の回転も規制される。
図6に示す第1傘歯車63は、主軸37に平行な軸回りに回転可能に先端ケース57内に配置されている。第1傘歯車63は、例えば、不図示の軸部材により入力部材61と同軸的に連結されており、入力部材61と一体的に回転する。ただし、第1傘歯車63は、適宜な歯車機構を介して入力部材61の回転が伝達されてもよい。
第2傘歯車65は、第1傘歯車63の回転軸に交差する軸回り(本実施形態では直交する軸回り)に回転可能に先端ケース57内に配置されている。第1傘歯車63及び第2傘歯車65は、例えば、歯数が同一に設定されている。従って、主軸37の回転は、そのままの回転速度で第2傘歯車65に伝達される。
工具保持部54は、例えば、第2傘歯車65に対して同軸的に連結されており、第2傘歯車65と一体的に回転可能である。工具保持部54には、図2に示すように、第1の使用態様においては、第1工具ホルダ21が装着され、図3に示すように、第2の使用態様においては、第2工具ホルダ105が装着される。なお、工具保持部54には、ホルダを介さずに、直接的に狭義の工具(刃具等)が装着されてもよい。
図6に示すように、工具保持部54には、例えば、第1工具ホルダ21又は第2工具ホルダ105を装着するためのテーパ穴54hが形成されている。テーパ穴54h内には、第2傘歯車65に固定された第3キー部66が突出している。テーパ穴54hの周囲の複数箇所(例えば2箇所)には工具保持部54の先端側へ突出する係止部54kが設けられている。
図7は、第1工具ホルダ21を示す側面図である。
第1工具ホルダ21は、上述した電動機31と、電動機31を保持し、ヘッド部25に着脱可能な基体67と、基体67に軸支され、第1工具101を保持する工具装着部69とを有している。
基体67は、例えば、電動機31を保持するホルダケース67aと、ホルダケース67aに固定されるとともに、ヘッド部25に着脱可能なシャンク67bと、シャンク67bの根元に設けられ、自動工具交換装置(ATC)により把持される把持部67dとを有している。
ホルダケース67aは、例えば、概ね筒状に形成され、電動機31を保持している。シャンク67bは、例えば、テーパシャンク状に形成されており、また、軸芯には、軸方向に見て非円形の第3キー溝67cが形成されている。把持部67dは、フランジ状に形成されるとともに、外周面にはV溝が形成されている。
第1工具ホルダ21は、図2に示すように、シャンク67bが工具保持部54のテーパ穴54h(図6)に挿入されることにより、ヘッド部25に装着される。このとき、工具保持部54の第3キー部66(図6)は、第3キー溝67cに嵌合される。また、工具保持部54の係止部54k(図6)は、把持部67dに形成された係止溝67k(図2)に挿入される。シャンク67b及びテーパ穴54hの摩擦、第3キー部66及び第3キー溝67cの係合、並びに、係止部54k及び係止溝67kの係合により、基体67の工具保持部54に対するその軸回りの回転は規制される。
電動機31は、ホルダケース67aに固定され、界磁及び電機子の一方を構成するステータ31aと、ステータ31aに対して工具保持部54(図6)と同軸的に回転可能であり、界磁及び電機子の他方を構成するロータ31bとを有している。
なお、電動機31は、ステータ31a及びロータ31bを収容するケースを有して構成され、ホルダケース67aに収容されてもよいし、ステータ31a及びロータ31bが直接的にホルダケース67aに取り付けられて構成されてもよい。電動機31は、直流電動機であってもよいし、交流電動機であってもよい。電動機31は、同期機、誘導機等の適宜な形式とされてよい。
工具装着部69は、電動機31と同軸的に回転可能にホルダケース67aにボールベアリング等の軸受を介して軸支されている。工具装着部69の先端には、公知のチャックが設けられており、第1工具101を同軸的に装着可能となっている。なお、チャックは、テーパシャンク用のものであってもよいし、ストレートシャンク用のものであってもよい。
図2に示す電線27は、少なくとも一部が、導体を絶縁体により被覆したケーブル27aにより構成されている。ケーブル27aは、拡張ケース49から延び出て、拡張ケース49及びヘッドケース53の外部において引き回され、第1工具ホルダ21に到達している。なお、ケーブル27aは、直接的に発電機29及び電動機31に接続されていてもよいし、拡張ケース49及び基体67の少なくとも一方において外部に露出するコネクタが設けられ、当該コネクタに接続されていてもよい。
図3に示す第2工具ホルダ105は、上述のように一般的な工具ホルダ若しくはこれに類するものである。ただし、シャンク105bには、第1工具ホルダ21の第3キー溝67c(図7)と同様の第4キー溝105cが形成されている。また、把持部105dには、第1工具ホルダ21の係止溝67k(図2)と同様の係止溝105kが形成されている。
そして、第2工具ホルダ105は、シャンク105bが工具保持部54のテーパ穴54h(図6)に挿入されることによりヘッド部25に装着される。このとき、第1工具ホルダ21と同様に、工具保持部54の第3キー部66(図6)は、第4キー溝105cに挿入され、工具保持部54の係止部54k(図6)は、係止溝105kに挿入される。シャンク105b及びテーパ穴54hの摩擦、第3キー部66及び第4キー溝105cの係合、並びに、係止部54k及び係止溝105kの係合により、第2工具ホルダ105は、工具保持部54と一体的に回転可能となる。
以上の構成を有する工作機械1の作用の概要は、実施形態の説明の冒頭において図2及び図3を参照して説明したとおりである。すなわち、工作機械1においては、図3に示す、主軸37の回転を機械的に第2工具103に伝達する第2の使用態様(図3)の加工が行われるとともに、拡張部23及び第1工具ホルダ21の装着により、図2に示す、主軸37の回転を電気的に且つ第2の使用態様とは異なる変速比で第1工具101に伝達する第1の使用態様の加工が行われる。
図2に示す第1の使用態様において、電動機31は、発電機29から供給される電力に応じた回転数で回転する。発電機29及び電動機31の構成、及び、これらの間の電力の制御方法は適宜に行われてよく、また、変速比は適宜に設定されてよい。
好適には、発電機29は、3相同期発電機により構成され、また、電動機31は、3相誘導電動機により構成されるとともに3相同期発電機から直接的に供給される電力により駆動される。この場合、主軸37の回転数に対する第1工具101の回転数の比は、電動機31の極数に対する発電機29の極数によって設定される。
なお、その他、発電機29と電動機31との間に、インバータ、コンバータ、トランス等を含む電源回路を設けることにより、直流又は交流の発電機29の電力を任意の周波数の交流電圧に変換して交流の電動機31に供給してもよいし、直流又は交流の発電機29の電力を任意の電圧の直流電圧に変換して直流の電動機31に供給してもよい。
第2の使用態様における主軸モータ43の使用条件の一例を示すと、出力:1〜20kW、トルク:500〜600N・m、回転数20〜400rpmである。発電機29及び電動機31により増速機が構成されると仮定した場合の電動機31の使用条件の一例を示すと、出力0.05〜0.25kW、トルク:6〜12N・m、回転数5000〜30000rpmである。電動機31の回転数30000rpmは、例えば、主軸37の最高回転数3000rpmにおいて得られる。
以上の実施形態によれば、ヘッドユニット19は、拡張部23、ヘッド部25及び電線27を有する。拡張部23は、主軸37及び主軸37を軸支する支持部材41を含む主軸部35に着脱可能である。また、拡張部23は、主軸37の回転により発電する発電機29を有する。ヘッド部25は、拡張部23に着脱可能であるとともに拡張部23に代えて主軸部35に着脱可能である。また、ヘッド部25は、種々の工具を着脱可能な工具保持部54と、主軸部35に装着されたときに主軸37の回転を工具保持部54に機械的に伝達する伝達機構33とを有する。電線27は、発電機29の発電した電力をヘッド部25に装着された第1工具ホルダ21に供給可能である。
従って、ヘッド部25は、図2及び図3を参照して説明したように、主軸37の回転により発電を行って作業(加工)を行う第1の使用態様と、主軸37の回転を機械的に伝達して作業を行う第2の使用態様との双方に兼用される。すなわち、1台のヘッド部25により、2種類の作業が可能となる。その結果、2種の作業に対応してアングルヘッド又はユニバーサルヘッドを2台用意する必要がなくなり、コスト削減が期待される。
拡張部23は、発電機29を保持し、支持部材41に着脱可能な拡張ケース49を有する。ヘッド部25は、工具保持部54及び伝達機構33を保持し、拡張ケース49に着脱可能であるとともに拡張ケース49に代えて支持部材41に着脱可能なヘッドケース53を有する。
従って、強固に第1工具ホルダ21を保持したり、拡張部23及びヘッド部25の着脱の機構を簡素化したりすることが容易化される。例えば、主軸に取り付けられるシャンクを含む回転部材と、当該回転部材を軸支し、回り止めがなされるケースと、当該ケースに軸支され、回転部材の回転が伝達される工具保持部とを有するヘッドでは、工具保持部に加えられた負荷は、ケース及び回転部材を介して主軸に支持される。一方、実施形態では、工具保持部54に加えられた負荷は、ケースのみを介して支持部材41に支持される。その結果、工具保持部54を強固に保持することが可能であり、拡張部23の追加によって作業ユニット5が長くなる第1の使用態様においても好適に工具保持部54を保持できる。
拡張部23は、主軸部35に設けられた第1雌ねじ部41eに着脱可能な第1被固定部49bを有することにより、主軸部35に着脱可能である。ヘッド部25は、拡張部23に設けられた第2雌ねじ部49eに着脱可能な第2被固定部55bを有することにより、拡張部23に着脱可能であるとともに、第2被固定部55bが第1雌ねじ部41eに対して着脱可能であることにより、拡張部23に代えて主軸部35に着脱可能である。
従って、第1雌ねじ部41eは、拡張部23の主軸部35に対する着脱と、ヘッド部25の主軸部35に対する着脱とに兼用されるとともに、第2被固定部55bは、ヘッド部25の拡張部23に対する着脱と、ヘッド部25の主軸部35に対する着脱とに兼用される。その結果、主軸部35及びヘッド部25の構成が簡素化される。
第1固定部(第1雌ねじ部41e)と第1被固定部49bとの着脱、第2固定部(第2雌ねじ部49e)と第2被固定部55bとの着脱、及び、第1固定部と第2被固定部55bとの着脱は、ボルト51によりなされる。
従って、簡便な構成で拡張部23及びヘッド部25の着脱を行うことができる。例えば、シャンク及び着脱装置により着脱する場合に比較して、構成が簡素である。また、そのような場合に比較して、ヘッド部25及び拡張部23の小型化を図り、拡張部23を追加したときの作業ユニット5の長さを短くすることもできる。
拡張部23は、主軸部35に装着されたときに主軸部35の先端の一部を収容する第1収容部49aを有する。ヘッド部25は、主軸部35に装着されたときに主軸部35の前記一部を収容する第2収容部55aを有する。発電機29は、拡張部23において、ヘッド部25が拡張部23に装着されたときに少なくとも一部が第2収容部55aに収容される位置に配置されている。
従って、図3に示す第2の使用態様においてヘッド部25を主軸部35に装着するために必要となる第2収容部55aを有効利用して、図2に示す第1の使用態様における作業ユニット5全体としての小型化を図ることができる。また、作業ユニット5が短くなることにより、強度的にも有利となる。
拡張部23は、ヘッド部25が拡張部23に装着されたときに伝達機構33に当接して当該伝達機構33の回転を規制する第2キー部49cを有する。
従って、伝達機構33において不要な回転が生じることを抑制し、振動を低減することができる。また、伝達機構33の回転が規制されることにより、工具保持部54の回転も規制されるから、第2キー部49cは、第1工具ホルダ21及び第1工具101が被加工物111から受ける回転方向の反力を支持することにも寄与する。
実施形態のヘッドユニット19及び第1工具ホルダ21を含む作業ユニット5において、第1工具ホルダ21は、工具保持部54に着脱可能である。
従って、第1工具ホルダ21をヘッド部25のヘッドケース53に着脱する場合に比較して、第1工具ホルダ21を着脱するための機構を新たに設ける必要性がなく、ヘッド部25の構成が簡素化される。
第1工具ホルダ21は、ヘッド部25に着脱可能な基体67と、基体67に保持された電動機31と、回転して使用される第1工具101を保持可能であり、基体67に軸支され、電動機31により回転される工具装着部69とを有している。
従って、作業ユニット5は、第1の使用態様において、第2の使用態様とは異なる回転数で第1工具101を回転させる作業を行うことができる。また、第1の使用態様においては、第1傘歯車63及び第2傘歯車65等の駆動は不要であり、これらの振動を第1工具101に伝達させることなく、高速高精度な加工を行うことが可能である。
なお、以上の実施形態において、工作機械1は本発明の産業機械の一例であり、第1工具ホルダ21は本発明の電気機器の一例であり、第1雌ねじ部41eは本発明の第1固定部の一例であり、第2雌ねじ部49eは本発明の第2固定部の一例であり、第2キー部49cは本発明の規制部の一例である。
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態の作業ユニット205を第1の使用態様で示す側面図である。
第2の実施形態は、第1工具ホルダ21に代えて電動工具221(電気機器の一例)が設けられている点、及び、電動工具221を着脱するための第3雌ねじ部253eがヘッド部225のヘッドケース253に設けられている点のみが第1の実施形態と相違する。
電動工具221は、電動機31(図9)と、電動機31を保持する基体267と、基体267に回転可能に保持された第1工具101とを有している。
基体216のヘッド部225側の端部の外周には、ヘッド部225の工具保持部54の軸方向に貫通する孔部が形成された第3被固定部267bが設けられている。第3被固定部267bは、外周側の複数位置(例えば4箇所)に形成されている。電動工具221は、第3被固定部267bに挿通されたボルト251が第3雌ねじ部225eに螺合されることにより、ヘッド部225に固定される。なお、工具保持部54は、基体267がヘッド部225に装着されると、基体267に収容される。
図9(a)は、図8のIXa−IXa線における断面図である。また、図9(b)は、図9(a)に示される構成において着脱される部分を示す断面図である。なお、図9では、基体267等において、実際には複数の部材からなる部分について単一のハッチングを付している。
電動工具221では、第1工具101の着脱方式は、カートリッジ方式とされており、第1工具101を含むカートリッジ工具151が交換される。具体的には、以下のとおりである。
カートリッジ工具151は、例えば、第1工具101と、第1工具101を保持する工具装着部153と、工具装着部153をボールベアリング等の軸受155を介して保持し、基体267に着脱されるカートリッジ157とを有している。なお、工具装着部153は、軸受155及びカートリッジ157を介して基体267に軸支されていると捉えることができる。
工具装着部153は、例えば、概ね断面円形の軸状に形成され、先端には第1工具101が固定されている。第1工具101は、工具装着部153に対して着脱不可能に固定されていてもよいし、公知のチャックを用いて着脱可能に固定されていてもよい。工具装着部153の後端には、第5キー溝153cが形成されている。第5キー溝153cは、工具装着部153の軸方向に見て非円形に形成されている。
カートリッジ157は、軸受155と共に、工具装着部153を覆う筒状体を構成している。また、カートリッジ157は、基体267の先端に当接するフランジ157aを有している。フランジ157aには、工具装着部153の軸方向に貫通する孔部157bが複数形成されている。
カートリッジ工具151は、カートリッジ157が基体267に挿入され、フランジ157aの孔部157bに挿入されたボルト159が、基体267に形成された第4雌ねじ部267eに螺合されることにより、基体267に装着される。
このとき、工具装着部153の第5キー溝153cには、電動機31の出力軸31dの先端に形成されたキー部31cが嵌合する。これにより、電動機31の回転は、工具装着部153に伝達可能となる。
以上の第2実施形態によれば、ヘッドユニット219の構成は第1の実施形態と同様であることから、第1の実施形態と同様の効果が奏される。すなわち、1台のヘッド部225により、2種の作業(加工)が可能である。
電動工具221は、ヘッドケース253に着脱可能である。従って、電動工具221に工具のシャンク状の部材を設ける必要はなく、電動工具221の構成の簡素化若しくは設計の自由度が向上する。また、電動工具221は、ヘッド部225の工具保持部54を介すことなくヘッドケース253に支持されることから、強固に支持されやすい。
工具装着部153は、基体267に着脱可能である。従って、工具装着部153を軸支する軸受155等の交換も行うことができる。電動機31が主軸37よりも高速回転されることにより、工具装着部153は、作業ユニット205内の他の部分に比較して高速で回転し、摩耗が激しくなる。そのような事情に応じたメンテナンスが可能となる。
<第3の実施形態>
図10は、第3の実施形態のヘッド部325を示す側面図である。
ヘッド部325は、いわゆるユニバーサルヘッドとして構成されている点が第1の実施形態のヘッド部25と相違する。その他の部分は、第1若しくは第2の実施形態と同様である。
ヘッド部325のヘッドケース353は、第1の実施形態と同様の基端ケース55と、基端ケース55に連結された先端ケース357とを有している。
先端ケース357は、基端ケース55に連結された第1ケース部材358Aと、第1ケース部材358Aに連結された第2ケース部材358Bとを有している。
第1ケース部材358Aは、第1の実施形態の先端ケース57と同様の構成により、主軸37の軸線回り(z軸に平行な軸回り)の位置を調整可能に基端ケース55に連結されている。
第2ケース部材358Bは、主軸37に直交する軸AX回りの位置を調整可能に第1ケース部材358Aに連結されている。当該連結方法は、公知の適宜な方法により実現されてよく、例えば、第1の実施形態の先端ケース57の基端ケース55に対する位置調整方法と同様に、ボルト等を用いて実現される。
第2ケース部材358Bは、主軸37の回転が伝達される第1傘歯車363と、第1傘歯車363に噛み合う第2傘歯車364と、第2傘歯車364に噛み合い、工具保持部54が連結される第3傘歯車365とを収容している。第1傘歯車363は基端ケース55に軸支され、第2傘歯車364及び第3傘歯車365は第2ケース部材358Bに軸支されている。これらの傘歯車により、主軸37の回転の伝達と、工具保持部54の軸AX回りの位置調整とが両立される。
以上の第3の実施形態において示したように、ヘッド部は、ユニバーサルヘッドであってもよい。また、第1及び第3の実施形態から理解されるように、拡張部23及び第1工具ホルダ21(又は電動工具221)は、複数種類のヘッド部に対して共通に利用されてよい。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
産業用機械は工作機械に限定されない。産業用機械は、ティーチングシステムによって動作が規定される産業用ロボットも含むものとする。また、産業用機械が工作機械である場合において、工作機械は、中ぐり盤に限定されず、フライス盤やボール盤であってもよい。工作機械は、NC化されていてもよいし、NC化されていなくてもよい。また、工作機械は、ATCを有していてもよいし、ATCを有していなくてもよい。
ヘッド部が拡張部に装着されているときにヘッド部に装着可能な電気機器は、工具ホルダ及び電動工具等の被加工物の加工に係るものに限定されない。例えば、電気機器は、対象物の温度若しくは強度を測定する計測機器でもよいし、対象物の組立若しくは分解を行う装置であってもよい。また、電気機器が被加工物の加工に係るものである場合、電気機器は、切削加工に係るものに限定されない。例えば、電気機器は、電極に電圧を印加して放電加工を行うものであってもよいし、砥石を回転させて研磨を行うものであってもよい。
ヘッド部が(拡張部を介さずに)主軸部に装着されているときにヘッド部に装着可能な工具は、被加工物の加工に係るものに限定されず、例えば、ドライバーであってもよい。また、工具が被加工物の加工に係るものである場合において、工具は、切削に係るものに限定されず、例えば、砥石であってもよい。このように、工具は、主軸の回転が伝達されて使用されるものであればよい。
拡張部及びヘッド部は、ケースの着脱により主軸部等に着脱されるものに限定されない。例えば、第1の実施形態において言及したように、拡張部又はヘッド部は、これらの有する回転部材に設けられたシャンクが着脱装置に着脱されることにより、主軸部等に着脱されてもよい。なお、この場合においても、第2の使用態様において、第1の使用態様において利用される固定部及び被固定部の一部を利用することができる。
また、拡張部及びヘッド部がケースの着脱により主軸部等に着脱される場合おいて、ケースの着脱はボルトによりなされるものに限定されない。例えば、着脱は、適宜なロック機構によりなされてもよい。
ヘッド部は、アングルヘッド又はユニバーサルヘッドに限定されず、主軸と同一方向に工具を保持するものであってもよい。この場合であっても、例えば、特殊な工具を装着するために特殊なチャックを有するヘッドを2種の作業に利用することができるという効果を奏する。
ヘッド部の伝達機構は、歯車装置に限定されない。例えば、伝達機構は、単なる軸部材であってもよいし、プーリ・ベルト機構であってもよい。
電線は、拡張部の外部に延び出るケーブルに限定されない。例えば、拡張部及びヘッド部の内部にそれぞれ内部電線を設けるとともに、拡張部とヘッド部との間、及び、ヘッド部と電気機器との間に、それぞれの内部電線を接続するコネクタを設けてもよい。
第1収容部及び第2収容部は、本発明の必須の要件ではない。また、発電機の配置も第1収容部に一部が配置される必要はない。これらは、主軸部の構成等に応じて適宜に設計されてよい。
ヘッド部の伝達機構の回転を規制する規制部は、伝達機構に係合するものに限定されない。例えば、摩擦により伝達機構の回転を規制するものであってもよい。また、係合により回転を規制する場合においても、規制部はキー部に限定されず、例えば、ラッチ機構であってもよい。