JP2012061497A - 多電極溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶接方向に並んで互いにワイヤ16a、16b、16c先端の高さ位置を異ならせた複数の電極14a、14b、14cを備えた多電極溶接装置であって、被溶接材2の溶接開始側端部に、電極数に応じた段数で、溶接方向後方に向かうにつれ各ワイヤ16a、16b、16c先端の高さ位置に応じた高さに段階的に底上げされた形状のエンドタブ6を備えることで、各電極14a、14b、14cそれぞれが対応する段の底部8a、8b、8cにて略同時期にアークスタートさせる。
【選択図】図3
Description
例えば、先端部の姿勢が溶接方向に向く3つの電極を備えて上向き溶接を行う多電極溶接装置であって、各電極が厚板被溶接材の突合せ部内で高さを異ならせ、かつ低位の電極が先行するよう配置された構成が開示されている(特許文献1参照)。
特に上記特許文献1のような従来の多電極溶接装置では、溶接開始時にはエンドタブ上にて先行する低位の電極からアークスタートし、ある程度先行の溶接ビードを形成した後に後行する高位の電極のアークスタートを行う。
特に被溶接材がアルミニウムの厚板等である場合、各電極に太いワイヤを介して大電流を供給することになるため、電流密度が下がりアークスタート性が悪くなり、このような問題が顕著となる。
請求項2の多電極溶接装置では、請求項1において、前記タブの各段の底部の高さは、対応する電極より1つ前を先行する電極により形成される溶接ビードの上面位置と同じ高さ位置であり、前記各電極は対応する底部の溶接方向後方端からアークスタートを行うことを特徴としている。
このようにエンドタブ上にて略同時期にアークスタートを行うことで、1度に各電極のアークスタートを確認し、確実に全電極による溶接を開始することができ、被溶接材にアークスタートミス等による影響が及ぶのを防止することができる。
これらのことから、溶接の作業効率の低下を防止し、かつ被溶接材への溶接品質を確保することができる。
図1から図3を参照すると、図1には本発明の一実施形態に係る多電極溶接装置において被溶接材にエンドタブを設置した状態の上面視図、図2には図1のA−A線に沿う断面図(a)及びB−B線に沿う断面図(b)、図3にはアークスタート直後の状態(a)及び溶接初期時の状態(b)がそれぞれ示されている。
詳しくは、各底部8a、8b、8cの溶接方向長さは各電極14a、14b、14c間の間隔とほぼ同じ長さである。また、各底部8a、8b、8cの高さ位置については、第1の底部8aは被溶接材2の開先4の底部と連続するよう同じ高さ位置にあり、第2の底部8bは第1の底部8a上にて第1の電極14aの溶接により形成される第1の溶接ビード18aの上面位置と略一致する高さにあり、第3の底部8cは第2の底部8b上にて第2の電極14bの溶接により形成される第2の溶接ビード18bの上面位置と略一致する高さにある。
以下、本実施形態に係る多電極溶接装置の溶接開始時の作用を説明し、その効果について説明する。
図3(a)に示すように、溶接開始時には、溶接機10の各電極14a、14b、14cが、対応するエンドタブ6の各底部8a、8b、8cの後方端部分に各ワイヤ16a、16b、16cの先端が位置するよう設置され、当該各電極14a、14b、14cに同時に電力を供給することでアークスタートする。
溶接が進行していくと、図3(b)に示すように、第1の底部8aは被溶接材2の開先4の底部と連続していることから、第1の電極14aの溶接により形成される溶接ビード18aは第1の底部8aから被溶接材2の開先4の底部へと段差等なく滑らかに形成される。また、この先行する第1の電極14aの溶接により形成される第1の溶接ビード18aの上面と第2の底部8bとの高さ位置が略一致していることで、後行する第2の電極14bの溶接により形成される第2の溶接ビード18bは、第2の底部8bから第1の溶接ビード18aの上面に段差等なく滑らかに形成される。同じように、当該第2の溶接ビード18bの上面と第3の底部8cとの高さ位置が略一致していることで、第3の電極14cの溶接により形成される第3の溶接ビード18cも第3の底部8cから第2の溶接ビード18bの上面に段差等なく滑らかに形成される。このように、各電極14a、14b、14cは溶接開始時点から溶接条件等を変えることなく、それぞれ定常条件で溶接可能である。
一方、各電極14a、14b、14cのアークスタート時において、一部の電極でアークスタートミスをした場合は、全ての電極の電力供給を停止する。アークスタートミスをした電極に不具合等がある場合はそれを補修した後、再度アークスタートをやり直す。また、溶接初期時にアークが失火した場合等にもその時点で全て電極の溶接を停止し、エンドタブ6を切除し新しいエンドタブ6に交換して再度アークスタートをやり直す。
詳しくは、図4(a)には、走行台車12’をエンドタブ6’上にて走行させつつ、各電極14a’、14b’、14c’が当該エンドタブ6’上の所定の位置aに到達したときに順次アークスタートを行う場合が示されている。なお、図4(a)の破線は第1の電極14a’が当該エンドタブ6’上の所定の位置aに到達した状態を示している。このような場合、後行する第2の電極14b’または第3の電極14c’がアークスタートミスした場合、その時点で全電極14a’、14b’、14c’の溶接を停止させる。このときに、先行する第1の電極14a’により形成された溶接ビード18a’が被溶接材2’の開先4’内に達しており、再スタートの際アルミ板である被溶接材2の中からのスタートとなり、アークスタートミスの可能性も高く、溶け込み不足やブローが発生し溶接品質が悪化するおそれもある。また、始めから溶接をやり直すには被溶接部材2’に形成された溶接ビード18a’を除去する補修を行う必要が生じる。
また、図4(b)には、エンドタブ6”上にて各電極14a”、14b”、14c”同時にアークスタートさせる場合が示されている。このような場合、各電極14a”、14b”、14c”のワイヤ長さ等の溶接条件を電極毎に設定する必要がある。つまり、後行する電極14b”、14c”は、先行する電極14a”、14b”の溶接により形成された溶接ビード18a”、18b”位置に至った際には、ワイヤ16b”、16c”の先端位置をエンドタブ6”の底部8”から溶接ビード18a”、18b”上面に変更すべく溶接条件を変更する必要が生じる。このように状況に応じて溶接条件を変更する制御を行う必要があり、制御が煩雑となる。
例えば、上記実施形態では、溶接装置10は3つの電極14a、14b、14cを備えたものであるが、電極数はこれに限られるものではない。また、上記実施形態では、エンドタブ6に3つの底部8a、8b、8cが形成されているが、これは電極数に応じて形成されるものであり、底部の数はこれに限られるものではない。
また、上記実施形態では、各電極14a、14b、14cはトーチ部15a、15b、15cの高さ位置が異なっているが、トーチ部の高さ位置はこれに限られるものではなく、消耗電極式アーク溶接機であれば、例えば図5に示すように各電極14a'''、14b'''、14c'''のトーチ部15a'''、15b'''、15c'''の高さ位置はいずれも同一であり、ワイヤ16a'''、16b'''、16c'''の長さをそれぞれ異ならせることでワイヤ先端位置を調節する構成としても構わない。
4、8 開先
6 エンドタブ
8a、8b、8c 第1の底部、第2の底部、第3の底部
10 溶接機
12 走行台車
14a、14b、14c 第1の電極、第2の電極、第3の電極
16a、16b、16c 第1のワイヤ、第2のワイヤ、第3のワイヤ
18a、18b、18c 第1の溶接ビード、第2の溶接ビード、第3の溶接ビード
Claims (3)
- 溶接方向に並んで互いにワイヤ先端の高さ位置を異ならせた複数の電極を備えた多電極溶接装置であって、
被溶接材の溶接開始側端部に、前記電極数に応じた段数で、溶接方向後方に向かうにつれ各電極のワイヤ先端の高さ位置に応じた高さに段階的に高くなる底部を有したタブを備えたことを特徴とする多電極溶接装置。 - 前記タブの各段の底部の高さは、対応する電極より1つ前を先行する電極により形成される溶接ビードの上面位置と同じ高さ位置であり、前記先行する電極は対応する底部の溶接方向後方端からアークスタートを行うことを特徴とする請求項1記載の多電極溶接装置。
- 前記タブの最も被溶接材側の底部は、被溶接材の開先の底部と同じ高さ位置であることを特徴とする請求項1または2記載の多電極溶接装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020054309A1 (ja) * | 2018-09-12 | 2020-03-19 | 株式会社Ihi | 突き合わせ溶接台車及び突き合わせ溶接方法 |
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2010
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JPWO2020054309A1 (ja) * | 2018-09-12 | 2021-04-08 | 株式会社Ihi | 突き合わせ溶接台車及び突き合わせ溶接方法 |
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