以下、発明の実施の形態例を図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2の内側に収容された遊技盤3と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、前面枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、前面枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7等を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。
また、図3に示すように、このパチンコ機Pは、背面側に、主制御処理部11と、副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fと、発射制御処理部13と、賞球払出装置14等を備えている。続いて、図1〜図4を参照して、本実施形態に係るパチンコ機Pの構成を詳しく説明していくことにする。
遊技盤3は、その盤面に遊技領域31を有しており、前面枠2に装着した後、ガラス板10から遊技領域31を観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、特別図柄表示装置17と、演出表示装置34と、スルーチャッカ21と、普通図柄表示装置22と、電動チューリップ49と、ステージ36と、第1始動入賞口(始動口)37aおよび第2始動入賞口(始動口)37bと、一般入賞口38と、アウト口39と、遊技釘(図示せず)と、風車(図示せず)と、アタッカー装置41等が設けられている。なお、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bとは上下方向に間隔を空けて設けられている。
演出表示装置34は、遊技盤3の略中央部に設けられ、第1始動入賞口37aおよび第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置34には、所定の演出態様の一部として、特別図柄表示装置17に変動表示される特別図柄と同期をとって演出図柄(所謂、ダミー図柄)が変動表示されるようになっている。
なお、この演出表示装置34には、保留球乱数が保留球乱数記憶部(メモリ)115a、115bに記憶された場合に保留表示(保留球乱数が記憶された旨の表示)を行うための表示領域が区画形成されている。つまり、この表示領域の部分が保留球表示装置34aとなっているのである。第1始動入賞口37aおよび第2始動入賞口37bに遊技球が入賞し、当該入賞により取得した特別図柄用乱数が保留球乱数として記憶されるときに主制御処理部11から出力されるコマンドを受けると、この保留球表示装置34aに所定の保留表示態様が表示される。
特別図柄表示装置17は、第1始動入賞口37aおよび第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果を表示するためのものであって、より具体的には、抽選結果を、特別図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示するものである。この特別図柄表示装置17は、本実施形態では7セグメント表示器が用いられており、演出表示装置34を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。なお、本実施形態では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づく遊技よりも、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づく遊技を優先して実行するようになっているので、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bの両方の抽選結果を同時に表示することはない。よって、2つの始動入賞口37a、37bに遊技球が入賞したことに基づく抽選の結果を1つの特別図柄表示装置17で表示している。勿論、特別図柄表示装置17を別個に2つ設けることもできることは言うまでもない。
スルーチャッカ21は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプのスルーチャッカ検知センサ46が内蔵されている。また、このスルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選の結果を表示するための普通図柄表示装置22が、特別図柄表示装置17の隣に設けられている。この普通図柄表示装置22は、本実施形態では、二つのLEDランプで構成されており、普図当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。
電動チューリップ49は、第2始動入賞口37bの入口に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、ソレノイドに通電がなされると一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、第2始動入賞口37bの入口を拡大するようになっている。そして、電動チューリップ49が開放されない限り、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することはない。また、ステージ36は、演出表示装置34の下方に配置されており、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージ36の中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には第1始動入賞口37aが配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で第1始動入賞口37aへと導かれる。
アタッカー装置41は、第1始動入賞口37aおよび第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、特図当たり(当たり)となって当たり遊技に移行した場合に所定回数(2ラウンド、または13ラウンド)開放される装置である。このアタッカー装置41は、水平な軸を中心として前後方向に開閉する板状の蓋部材を備えており、図示しないソレノイドを駆動することにより蓋部材が水平軸回りに回動する構成となっている。そして、蓋部材が開いた状態では遊技領域31の下部に設けられた大入賞口42が露呈され、その大入賞口42に遊技球を入賞させることができる構成となっている。
つまり、アタッカー装置41は、常態では蓋部材が大入賞口42を閉じているため、大入賞口42に遊技球が入賞することはないが、上記したように、当たり遊技に移行すると、蓋部材が開放されて大入賞口42が露呈されるため、遊技球を大入賞口42内に入賞させることが可能となるのである。そして、大入賞口42に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。即ち、遊技者は、大入賞口42に遊技球を入賞させることによって出玉を獲得できるのである。なお、大入賞口42は、横長な長方形の開口であり、アタッカー装置41の蓋部材は、この大入賞口42の形状とほぼ同じ形状を成している。
また、一般入賞口38に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、およびアタッカー装置41に入らなかった遊技球は、アウト口39から回収される。なお、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、大入賞口42の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ43a、43b、44、45(図4参照)が設けられている。
前面ボード6には、遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、賞球払出装置14から賞球として払い出された遊技球も収容可能となっている。また、遊技球を遊技領域31に向けて発射するための発射装置9が前面枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、その回動量に応じた発射強度で発射装置9が遊技球を遊技領域31へと発射することができるようになっている。また、図1に示すように、受皿5の側部には、遊技者が押下操作するタッチボタン60が設けられている。
主制御処理部11は、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。この主制御処理部11は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等とにより構成されている。このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
具体的には、図4に示すように、始動入賞口37a、37bに遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る電子抽選を行う特別図柄抽選処理部(特別図柄抽選手段)110と、この特別図柄抽選処理部110が判定した抽選結果に応じて特別図柄の種類を決定する特別図柄決定部120a、120bと、特別図柄の変動時間に関するコマンドである変動パターンコマンドを決定するための変動パターンコマンド決定部(特別図柄変動時間決定手段)130と、遊技モードの移行を制御する遊技モード移行制御部140と、遊技状態値とフラグ値を設定するフラグ設定部150と、特別図柄抽選処理部110による抽選結果の判定が特図当たり(当たり)となった場合にアタッカー装置41(のソレノイド)を作動させて当たり遊技に移行する当たり遊技制御部(当たり遊技制御手段)160と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う普通図柄抽選処理部(普通図柄抽選手段)170と、普通図柄の変動時間を決定する普通図柄変動時間決定部190と、電動チューリップ49の作動を制御する電動チューリップ作動制御部180とを備えて主制御処理部11は構成されている。
特別図柄抽選処理部110は、図5に示すように、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特別図柄用乱数発生部111と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る抽選を行うための第1特別図柄抽選部119aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る抽選を行うための第2特別図柄抽選部119bとを備えて構成されている。即ち、本実施形態において、特別図柄の抽選は、第1始動入賞口37aに入賞したことを契機に行うものと、第2始動入賞口37bに入賞したことを契機に行うものとの2つがある。
第1特別図柄抽選部119aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43aからの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する第1特別図柄用乱数取得部112aと、この第1特別図柄用乱数取得部112aが取得した乱数が特図当たりであるか否かを第1特別図柄高確率判定テーブル116aまたは第1特別図柄低確率判定テーブル117aを参照して決定する第1特別図柄当否判定部113aと、第1特別図柄用乱数取得部112aが乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1保留球乱数記憶部115aと、を備えている。ここで、第1特別図柄高確率判定テーブル116aは、第1特別図柄低確率判定テーブル117aよりも特図当たりとなる確率が高くなっている。
第2特別図柄抽選部119bも第1特別図柄抽選部119aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43bからの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する第2特別図柄用乱数取得部112bと、この第2特別図柄用乱数取得部112bが取得した乱数が特図当たりであるか否かを第2特別図柄高確率判定テーブル116bまたは第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照して決定する第2特別図柄当否判定部113bと、第2特別図柄用乱数取得部112bが乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2保留球乱数記憶部115bと、を備えている。ここで、第2特別図柄高確率判定テーブル116bは、第2特別図柄低確率判定テーブル117bよりも特図当たりとなる確率が高くなっている。
なお、本実施形態では、第1保留球乱数記憶部115aと第2保留球乱数記憶部115bの両方に保留球乱数が記憶されている場合には、第2保留球乱数記憶部115bに記憶されている保留球乱数の方が優先して読み出されて特図当たりであるか否かの判定が行なわれ、その判定に従って遊技が進行するような制御がなされている。つまり、特別図柄抽選処理部110によって、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づく遊技が、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づく遊技よりも優先するような処理が行なわれているのである。
一方、普通図柄抽選処理部170は、図11に示すように、普通図柄用の乱数を発生させる普通図柄用乱数発生部171と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う普通図柄抽選部177とを備えて構成されている。この普通図柄抽選部177は、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ46からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する普通図柄用乱数取得部172と、この普通図柄用乱数取得部172が取得した乱数が普図当たりであるか否かを判定テーブルを参照して決定する普通図柄当否判定部173と、普通図柄用乱数取得部172が乱数を取得したときに普通図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を普通図柄用の保留球乱数として記憶する普通図柄用保留球記憶部174と、判定テーブルとして、普図当たりに当選する確率が低い普通図柄低確率判定テーブル176と、この普通図柄低確率判定テーブル176よりも普図当たりに当選する確率が高い普通図柄高確率判定テーブル175とを備えている。なお、普通図柄用乱数発生部171は、特別図柄用乱数発生部111より発生する乱数は少ないが、乱数を発生させるための構成は同じである。
ここで、本実施形態に係るパチンコ機は、特別図柄抽選処理部110の抽選確率と普通図柄抽選処理部170の抽選確率のうち少なくとも一方が異なる遊技状態が4つ設定されている。第1の遊技状態は、特別図柄抽選処理部110による抽選に当選する確率が低確率、かつ、普通図柄抽選処理部170による抽選に当選する確率が低確率である遊技状態、即ち、第1特別図柄当否判定部113aが第1特別図柄低確率判定テーブル117aを参照して当否を判定し、第2特別図柄当否判定部113bが第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照して当否を判定し、普通図柄当否判定部173が普通図柄低確率判定テーブル176を参照して当否を判定する遊技状態である。以下、第1の遊技状態のことを「通常モード」と言うことにする。
第2の遊技状態は、特別図柄抽選処理部110による抽選に当選する確率が低確率、かつ、普通図柄抽選処理部170による抽選に当選する確率が高確率である遊技状態、即ち、第1特別図柄当否判定部113aが第1特別図柄低確率判定テーブル117aを参照して当否を判定し、第2特別図柄当否判定部113bが第2特別図柄低確率判定テーブル117bを参照して当否を判定し、普通図柄当否判定部173が普通図柄高確率判定テーブル175を参照して当否を判定する遊技状態である。以下、第2の遊技状態のことを「時短モード」と言うことにする。なお、時短モードは通常モードに比べて、普図当たりに当選する確率が高いという点で遊技者に有利なモードである。
第3の遊技状態は、特別図柄抽選処理部110による抽選に当選する確率が高確率、かつ、普通図柄抽選処理部170による抽選に当選する確率が高確率である遊技状態、即ち、第1特別図柄当否判定部113aが第1特別図柄高確率判定テーブル116aを参照して当否を判定し、第2特別図柄当否判定部113bが第2特別図柄高確率判定テーブル116bを参照して当否を判定し、普通図柄当否判定部173が普通図柄高確率判定テーブル175を参照して当否を判定する遊技状態である。以下、第3の遊技状態のことを「確変モード1」と言うことにする。なお、確変モード1は通常モードに比べて、特図当たりおよび普図当たりに当選する確率が高いという点で遊技者に有利なモードであり、時短モードに比べて、特図当たりに当選する確率が高いという点で遊技者に有利なモードである。
第4の遊技状態は、特別図柄抽選処理部110による抽選に当選する確率が高確率、かつ、普通図柄抽選処理部170による抽選に当選する確率が低確率である遊技状態、即ち、第1特別図柄当否判定部113aが第1特別図柄高確率判定テーブル116aを参照して当否を判定し、第2特別図柄当否判定部113bが第2特別図柄高確率判定テーブル116bを参照して当否を判定し、普通図柄当否判定部173が普通図柄低確率判定テーブル176を参照して当否を判定する遊技状態である。以下、第4の遊技状態のことを「確変モード2」と言うことにする。なお、本実施形態では、ゲームの仕様上、確変モード2に移行することはないが、プログラムの汎用性を持たせるために、確変モード2という遊技状態を識別できるようにしている。
次に、本実施形態では、後述するように通常当たりA、通常当たりB、確変当たりA、確変当たりBの4種類の特図当たり(当たり)が設けられているが、それぞれの当たりに当選する確率は、第1特別図柄抽選部119aによる電子抽選と第2特別図柄電子抽選部119bによる電子抽選とで同じである。そして、この特図当たりの種類を決定するのが第1特別図柄決定部120aおよび第2特別図柄決定部120bである。つまり、第1特別図柄抽選部119aおよび第2特別図柄抽選部119bでは、取得した乱数が特図当たりであるか否かを判定するだけであり、特図当たりの種類が何であるかの決定は、第1特別図柄決定部120aおよび第2特別図柄決定部120bが行っている。
第1特別図柄決定部120aは、第1特別図柄抽選部119aによる抽選結果が特図当たりであった場合に、その特図当たりに対応する特別図柄の種類を決定している。具体的には、第1特別図柄決定部120aは、通常当たりA、通常当たりB、確変当たりA、および確変当たりBの何れかを決定する。第2特別図柄決定部120bについても同様である。
「通常当たりA」に当選すると、その通常当たりAに基づく当たり遊技が終了した後に、遊技状態が、30回の遊技に限って時短モードとなる(30回の時短モードが提供される)。一方、「通常当たりB」に当選すると、その通常当たりBに基づく当たり遊技が終了した後に、遊技状態が、100回の遊技に限って時短モードとなる(100回の時短モードが提供される)。
「確変当たりA」に当選すると、その確変当たりAに基づく当たり遊技が終了した後に、遊技状態が30回の遊技に限って確変モード1となる(30回の確変モードが提供される)。一方、「確変当たりB」に当選すると、その確変当たりBに基づく当たり遊技が終了した後に、遊技状態が100回の遊技に限って確変モード1となる(100回の確変モードが提供される)。このように、本実施形態は、確変モードの回数が制限された、所謂「ST機」と称されるタイプのパチンコ機である。なお、以下の説明において、確変モードの回数を、単に「ST回数」ということにする。
ここで、仮にST回数と時短回数とが異なる回数であると、どちらか少ない方の回数まで遊技者は遊技を行えば、それ以降の遊技状態(電動チューリップ49の開閉動作の頻度など)から、先ほど当選した特図当たりが通常当たりと確変当たりの何れであったかを知ることができてしまう。ところが、本実施形態では、ST回数と時短回数とを同じ回数(30回、100回)に設定しているため、通常当たり後の演出表示装置34上での表示と確変当たり後の演出表示装置34上での表示を共通にしておけば、通常当たりと確変当たりの何れに当選したかが遊技者に知られることはない。そのため、遊技者は、所定の回数の遊技が行われている間、確変モードであることを期待しながら遊技を楽しむことができるのである。
次に、変動パターンコマンド決定部(特別図柄変動時間決定手段)130は、遊技を開始するのに際して、特別図柄表示装置17に表示する特別図柄の変動時間を決定するためのものであって、図6に示すように、変動パターンコマンドの決定に用いられる変動パターン用乱数を発生させる変動パターン用乱数発生部131と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づいて変動パターンコマンドを決定するための第1変動パターンコマンド決定部130aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づいて変動パターンコマンドを決定するための第2変動パターンコマンド決定部130bと、遊技状態値とフラグ値とからオフセット値を求めるオフセット値演算部135とを備えて構成されている。
変動パターン用乱数発生部131は、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(0〜5まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成するものである。
第1変動パターンコマンド決定部130aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、変動パターン用乱数発生部131により発生した変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第1変動パターン用乱数取得部132aと、この第1変動パターン用乱数取得部132aが取得した乱数を上限4個まで記憶する第1変動パターン用乱数記憶部133aと、変動パターン用乱数と変動パターンNo.とが対応づけられたテーブルが複数記憶された第1変動パターンコマンドテーブル134aと、を備えている。なお、変動パターンコマンド決定部130aは、第1始動入賞口37aに遊技球が1個入賞すると、第1特別図柄抽選部119aと同様に、その入賞につき1つの変動パターン用乱数を取得する。
第2変動パターンコマンド決定部130bも第1変動パターンコマンド決定部130aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、変動パターン用乱数発生部131により発生した変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第2変動パターン用乱数取得部132bと、この第2変動パターン用乱数取得部132bが取得した乱数を上限4個まで記憶する第2変動パターン用乱数記憶部133bと、変動パターン用乱数と変動パターンNo.とが対応づけられたテーブルが複数記憶された第2変動パターンコマンドテーブル134bと、を備えている。なお、変動パターンコマンド決定部130bは、第2始動入賞口37bに遊技球が1個入賞すると、第2特別図柄抽選部119bと同様に、その入賞につき1つの変動パターン用乱数を取得する。
第1変動パターンコマンドテーブル134aには、図7に示すように、第1特別図柄抽選部119aによる抽選で特図当たりに当選した場合に参照される変動時間テーブル1A(134a−1)と、第1特別図柄抽選部119bによる抽選でハズレとなった場合に参照される変動時間テーブル2A〜2H(134a−2、−3、・・・−9)との合計9つのテーブルが記憶されており、それぞれのテーブルは、変動パターン用乱数と変動パターンNo.が予め対応づけられた構成となっている。つまり、変動パターン用乱数が決まると、その変動パターン用乱数から変動パターンNo.(変動パターンコマンド)が自ずと決まり、その変動パターンNo.(番号)に対応する変動時間が決まるようになっている。なお、詳しくは後述するが、変動時間テーブル1A、2A〜2Hは、それぞれオフセット値と対応付けられている。
次に、各変動時間テーブル1A、2A〜2Hに記憶されている変動時間について説明する。まず、変動時間テーブル1A(134a−1)は、変動パターン用乱数0に変動時間30秒の変動パターンNo.1が対応付けられ、変動パターン用乱数1に変動時間45秒の変動パターンNo.2が対応付けられ、変動パターン用乱数2に変動時間60秒の変動パターンNo.3が対応付けられ、変動パターン用乱数3に変動時間90秒の変動パターンNo.4が対応付けられ、変動パターン用乱数4に変動時間120秒の変動パターンNo.5が対応付けられ、変動パターン用乱数5に変動時間120秒の変動パターンNo.6が対応付けられた構成となっている。この変動時間テーブル1Aに記憶されている変動時間の平均は、77.5秒である。
変動時間テーブル2A(134a−2)は、変動パターン用乱数0に変動時間10秒の変動パターンNo.7が対応付けられ、変動パターン用乱数1に変動時間10秒の変動パターンNo.8が対応付けられ、変動パターン用乱数2に変動時間10秒の変動パターンNo.9が対応付けられ、変動パターン用乱数3に変動時間30秒の変動パターンNo.10が対応付けられ、変動パターン用乱数4に変動時間45秒の変動パターンNo.11が対応付けられ、変動パターン用乱数5に変動時間60秒の変動パターンNo.12が対応付けられた構成となっている。この変動時間テーブル2Aに記憶されている変動時間の平均は、27.5秒である。
変動時間テーブル2B(134a−3)は、変動パターン用乱数0に変動時間30秒の変動パターンNo.13が対応付けられ、変動パターン用乱数1に変動時間45秒の変動パターンNo.14が対応付けられ、変動パターン用乱数2に変動時間60秒の変動パターンNo.15が対応付けられ、変動パターン用乱数3に変動時間60秒の変動パターンNo.16が対応付けられ、変動パターン用乱数4に変動時間90秒の変動パターンNo.17が対応付けられ、変動パターン用乱数5に変動時間120秒の変動パターンNo.18が対応付けられた構成となっている。この変動時間テーブル2Bに記憶されている変動時間の平均は、67.5秒である。
変動時間テーブル2E(134a−6)は、変動パターン用乱数0に変動時間2秒の変動パターンNo.31が対応付けられ、変動パターン用乱数1に変動時間2秒の変動パターンNo.32が対応付けられ、変動パターン用乱数2に変動時間5秒の変動パターンNo.33が対応付けられ、変動パターン用乱数3に変動時間5秒の変動パターンNo.34が対応付けられ、変動パターン用乱数4に変動時間10秒の変動パターンNo.35が対応付けられ、変動パターン用乱数5に変動時間30秒の変動パターンNo.36が対応付けられた構成となっている。この変動時間テーブル2Eに記憶されている変動時間の平均は、9秒である。
変動時間テーブル2G(134a−8)は、変動パターン用乱数0に変動時間2秒の変動パターンNo.43が対応付けられ、変動パターン用乱数1に変動時間2秒の変動パターンNo.44が対応付けられ、変動パターン用乱数2に変動時間2秒の変動パターンNo.45が対応付けられ、変動パターン用乱数3に変動時間5秒の変動パターンNo.46が対応付けられ、変動パターン用乱数4に変動時間5秒の変動パターンNo.47が対応付けられ、変動パターン用乱数5に変動時間5秒の変動パターンNo.48が対応付けられた構成となっている。この変動時間テーブル2Gに記憶されている変動時間の平均は、3.5秒である。
なお、変動時間テーブル2C(134a−4)は、変動パターンNo.が異なる点以外は変動時間テーブル2B(134a−3)と構成が同じであり、変動テーブル2D(134a−5)は、変動パターンNo.が異なる点以外は変動時間テーブル2A(134a−2)と構成が同じであり、変動時間テーブル2F(134a−7)は、変動パターンNo.が異なる点以外は変動時間テーブル2E(134a−6)と構成が同じであり、変動時間テーブル2H(134a−9)は、変動パターンNo.が異なる点以外は変動時間テーブル2G(134a−8)と構成が同じであるため、説明は省略する。
ここで、変動時間テーブルに記憶されている変動時間の平均を比較すると、変動時間の平均時間が一番長いものは、変動時間テーブル1Aであり、次に、変動時間テーブル2B、2C、次に、変動時間テーブル2A、2D、次に、変動時間テーブル2E、2Fと続いて、一番短いものが、変動時間テーブル2G、2Hである。そのため、例えば、変動時間テーブル2G、2Hを参照して変動時間が決定される遊技区間では、1回の遊技での特別図柄の変動時間は、平均3.5秒と非常に短くなる。これに対して、変動時間テーブル2B、2Cを参照して変動時間が決定される遊技区間では、1回の遊技での特別図柄の変動時間は、平均67.5秒と長い。よって、何れの変動時間テーブルを参照して変動時間を決定するかによって、変動時間の特徴が遊技者にはっきりと認識させることができる。
オフセット値演算部135は、変動パターンコマンドを決定するに際して、後述するフラグ設定部150が設定した遊技状態値とフラグ値とを合算してオフセット値を求めている。ここで、オフセット値演算部135が求めるオフセット値の詳細を説明する前に、遊技状態値とフラグ値について説明する。
遊技状態値は、複数の遊技状態のそれぞれに予め対応付けられた数値であり、具体的には、図8に示すように、遊技状態値0は、遊技状態が通常モードであることを識別するための数値であり、遊技状態値1は、遊技状態が時短モードであることを識別するための数値であり、遊技状態値2は、遊技状態が確変モード1であることを識別するための数値であり、遊技状態値3は、遊技状態が確変モード2であることを識別するための数値である。
一方、フラグ値は、変動時間を変更するための条件として設定された複数の遊技条件のそれぞれに予め対応付けられた数値であり、具体的には、図9に示すように、フラグ値0は、「ST回数または時短回数の残り回数が10回以内であること」の遊技条件を達成していることを示す数値であり、フラグ値3は、「当たり遊技終了後20回転以内(ST30回または時短30回の場合)」の遊技条件を達成していることを示す数値であり、フラグ値5は、「当たり遊技終了後90回転以内(ST100回または時短100回の場合)」の遊技条件を達成していることを示す数値である。
続いて、オフセット値演算部135が求めるオフセット値について、図10を参照して説明する。オフセット値演算部135は、0、1、2、3の4つの遊技状態値のうちの1つと、0、3、5の3つのフラグ値のうちの1つとを合算することにより、0〜7の合計8つのオフセット値を求めている。具体的には、オフセット値演算部135は、遊技状態値0とフラグ値0を合算してオフセット値0を、遊技状態値1とフラグ値0を合算してオフセット値1を、遊技状態値2とフラグ値0を合算してオフセット値2を、遊技状態値3とフラグ値0を合算してオフセット値3を、遊技状態値1とフラグ値3を合算してオフセット値4を、遊技状態値2とフラグ値3を合算してオフセット値5を、遊技状態値1とフラグ値5を合算してオフセット値6を、遊技状態値2とフラグ値5を合算してオフセット値7を算出している。
ここで、本実施形態に係るパチンコ機は、通常モードにおいて変動時間を意図的に変化させるゲーム仕様にはなっていない。また、上述したように本実施形態に係るパチンコ機は、確変モード2に移行することはないゲーム仕様である。そのため、通常モードと確変モード2については、同一の遊技モードを当たり遊技終了後の遊技回数に応じて区別する必要がない。そこで、本実施形態では、オフセット値演算部135は、遊技状態値0とフラグ値3の合算、遊技状態値3とフラグ値3の合算、遊技状態値0とフラグ値5の合算、遊技状態値3とフラグ値5の合算を行わないようにしている。
これにより、4つのオフセット値が最初から算出されないこととなるので、その4つのオフセット値に対応する4つの変動時間テーブルが不要となる。従って、4つの変動時間テーブルに相当するデータ容量を削減することができる。仮に、1つの変動時間テーブルのデータが2バイトであるとすると、2x4=8バイト分のデータ容量の削減が図れることになる。
なお、本実施形態では、ある1つの遊技状態値とある1つのフラグ値とからオフセット値演算部135により求められたオフセット値と同じ値を、別の1つの遊技状態値と別の1つのフラグ値とから求めることができないように、遊技状態値は、0、1、2、3の値が選択され、フラグ値は、0、3、5の値が選択されている。これにより、オフセット値が0から7まで重複することなく算出されるのである。
また、図10に示すように、各オフセット値には、変動時間テーブル1A、2A〜2Hが予め対応付けられている。具体的には、特別図柄抽選処理部110による抽選でハズレの場合には、オフセット値0に対して変動時間テーブル2A(134a−2)が対応付けられており、オフセット値1に対して変動時間テーブル2B(134a−3)が対応付けられており、オフセット値2に対して変動時間テーブル2C(134a−4)が対応付けられており、オフセット値3に対して変動時間テーブル2D(134a−5)が対応付けられており、オフセット値4に対して変動時間テーブル2E(134a−6)が対応付けられており、オフセット値5に対して変動時間テーブル2F(134a−7)が対応付けられており、オフセット値6に対して変動時間テーブル2G(134a−8)が対応付けられており、オフセット値7に対して変動時間テーブル2H(134a−9)が対応付けられている。一方、特別図柄抽選処理部110による抽選で特図当たりに当選した場合には、全てのオフセット値に対して、変動時間テーブル1A(134a−1)が対応付けられている。
そのため、本実施形態では、同じ時短モード(遊技状態値1)でも、オフセット値1、オフセット値4、オフセット値6の3つのオフセット値がオフセット値演算部135によって求められ、同じ確変モード1(遊技状態値2)でも、オフセット値2、オフセット値5、オフセット値7の3つのオフセット値がオフセット値演算部135によって求められることとなる。そして、それぞれのオフセット値に対して、記憶されている変動時間の構成が互いに異なる変動時間テーブルが対応付けられているから、同じ遊技状態であっても、変動時間を意図的に変化させることができるのである。
具体的には、同じ時短モードにおいて、オフセット値1に対応する変動時間テーブル2Bの平均変動時間は67.5秒であり、オフセット値4に対応する変動時間テーブル2Eの平均変動時間は9秒であり、オフセット値6に対応する変動時間テーブル2Gは3.5秒であるので、参照する変動時間テーブルを変えることによって、時短モードでの変動時間を意図的に短くしたり、あるいは長くしたりといったことができるようになっている。これは、確変モード1についても同様である。
なお、第2変動パターンコマンドテーブル134bの構成は、第1変動パターンコマンドテーブル134aと同じであり、オフセット値と各テーブルとの対応関係も同じであるため、図示およびここでの説明は省略する。また、本実施形態例では、変動パターン用乱数を0〜5までの6個、変動パターンNo.を当たり用としてNo.1〜No.6、ハズレ用としてNo.7〜No.54までとしているが、変動パターン用乱数の数や変動パターンNo.の数は適宜設定すれば良い。
図4に戻って、当たり遊技制御部160は、特別図柄抽選処理部110による電子抽選の結果が特図当たりとなった場合に、アタッカー装置41を作動して、当たり遊技を提供するためのものである。本実施形態の当たり遊技は、通常当たりA、通常当たりB、確変当たりA、確変当たりBの何れの特図当たりに当選しても、ラウンド遊技が13回連続して行なわれる構成となっている。ここで、ラウンド遊技とは、アタッカー装置41が少なくとも1回開閉し、アタッカー装置41の開放中に大入賞口42に遊技球が所定個数入賞するか、ラウンド遊技の開始から所定時間経過するかの何れかの終了条件が成立すると終了となる遊技である。このラウンド遊技ではアタッカー装置41が最大で30秒間開放されるので、遊技者は多くの賞球を獲得することができる。
遊技モード移行制御部140は、確変当たりAに当選した場合には、当たり遊技が終了してから上限30回(ST30回)の遊技回数だけ、遊技モードを確変モード1に移行し、確変当たりBに当選した場合には、当たり遊技が終了してから上限100回(ST100回)の遊技回数だけ、遊技モードを確変モード1に移行する。さらに、遊技モード移行制御部140は、通常当たりAに当選した場合には、当たり遊技が終了してから上限30回の遊技回数だけ、遊技モードを時短モードに移行し、通常当たりBに当選した場合には、当たり遊技が終了してから上限100回の遊技回数だけ時短モードに移行する。そして、確変モード1および時短モードにおいて所定の遊技回数の遊技が終了すると、遊技モード移行制御部140は次の遊技での遊技モードを通常モードに戻す。勿論、通常モードでの遊技において、特別図柄抽選処理部110による抽選でハズレとなった場合には、遊技モード移行制御部140は、次の遊技での遊技モードを通常モードのまま維持することは言うまでもない。
フラグ設定部150は、1回の遊技が終了する毎に、特別図柄抽選処理部110の抽選結果と、現在の遊技モードと、遊技回数とから、次の遊技における遊技状態値とフラグ値を設定している。例えば、遊技開始時点の遊技モードが通常モードで、かつ、特別図柄抽選処理部110による抽選でハズレの場合には、次の遊技モードも通常モードであるため、フラグ設定部150は、今回の遊技の終了時点で、次の遊技のために遊技状態値0とフラグ値0を設定する。
一方、今回の遊技が通常当たりAに当選したとすると、次回の遊技は時短モード1での1回目の遊技となるので、当たり遊技終了の時点で、フラグ設定部150は、遊技状態値1とフラグ値3を設定する。同様に、今回の遊技が確変当たりBに当選したとすると、次回の遊技は確変モード1での1回目の遊技となるので、当たり遊技終了の時点で、フラグ設定部150は、遊技状態値2とフラグ値5を設定する。
また、今回の遊技が、30回の時短モード中の遊技であって、かつ、当たり遊技終了後19回目の遊技である場合(もちろん、ハズレの場合)には、次の遊技は、まだ20回目であるため、「当たり遊技終了後20回転以内(時短30回)」(図9参照)の遊技条件が成立する。よって、フラグ設定部150は、今回の遊技の終了時点で、次の遊技のために遊技状態値1とフラグ値3を設定する。これに対して、今回の遊技が、30回の時短モード中の遊技であって、かつ、当たり遊技終了後20回目の遊技である場合(もちろん、ハズレの場合)には、次の遊技は、21回目であるため、「時短回数の残り回数が10回以内」(図9参照)の遊技条件が成立する。よって、フラグ設定部150は、今回の遊技の終了時点で、次の遊技のために遊技状態値1とフラグ値0を設定する。
同様に、今回の遊技が、ST100回の確変モード1中の遊技であって、かつ、当たり遊技終了後89回目の遊技である場合(もちろん、ハズレの場合)には、次の遊技は、まだ90回目であるため、「当たり遊技終了後90回転以内(ST100回)」(図9参照)の遊技条件が成立する。よって、フラグ設定部150は、今回の遊技の終了時点で、次の遊技のために遊技状態値2とフラグ値5を設定する。これに対して、今回の遊技が、100回の確変1モード中の遊技であって、かつ、当たり遊技終了後90回目の遊技である場合(もちろん、ハズレの場合)には、次の遊技は、91回目であるため、「ST回数の残り回数が10回以内」(図9参照)の遊技条件が成立する。よって、フラグ設定部150は、今回の遊技の終了時点で、次の遊技のために遊技状態値2とフラグ値0を設定する。
このように、ST回数または時短回数の残り回数が10回以内の場合にはフラグ値が0に設定されることによって、同じ遊技状態値であっても変動時間が長いテーブルNoを参照して変動時間が決定される(図10参照)ため、遊技者は、ST中または時短モード中に残り10回の遊技がいきなり変動時間の長いものとなって、もしかしたら当たりであるかもしれないと期待しながら遊技を楽しむことができるのである。
普通図柄変動時間決定部190は、図12に示すように、普図変動パターンコマンドの決定に用いられる普図変動パターン用乱数を発生させる変動パターン用乱数発生部191と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に、普図変動パターン用乱数発生部191により発生した普図変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する普図変動パターン用乱数取得部192と、この普図変動パターン用乱数取得部192が取得した乱数を上限4個まで記憶する普図変動パターン用乱数記憶部193と、普図変動パターン用乱数と変動パターンNo.とが対応づけられたテーブルが複数記憶された普図変動パターンコマンドテーブル194と、を備えている。なお、普通図柄変動時間決定部190は、スルーチャッカ21を遊技球が1個通過すると、その通過につき1つの普図変動パターン用乱数を取得する。
普図変動パターン用乱数発生部191は、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(0〜4まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成するものである。
普図変動パターンコマンドテーブル194には、図示しないが、2つの普図変動テーブルが記憶されており、それぞれのテーブルは、普図変動パターン用乱数と変動パターンNo.が予め対応づけられた構成となっている。つまり、普図変動パターン用乱数が決まると、その普図変動パターン用乱数から変動パターンNo.(普図変動パターンコマンド)が自ずと決まり、その変動パターンNo.に対応する変動時間が決まるようになっている。
次に、電動チューリップ作動制御部180は、普通図柄抽選処理部170による電子抽選で普図当たりに当選した旨のコマンドに基づいて、電動チューリップ49のソレノイドに通電して開閉するよう制御している。ここで、普通図柄高確率判定テーブル175が参照されている遊技では、普通図柄抽選部177による電子抽選に当選する確率が高いため、普通図柄低確率判定テーブル176が参照されている遊技を参照する場合に比べて、電動チューリップ49が頻繁に開くため、遊技者は、遊技球をあまり減らすことなく遊技を行うことができる。
なお、電動チューリップ作動制御部180は、普通図柄高確率判定テーブル175が参照される遊技状態では、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間2.9秒で2回開放するよう制御し、普通図柄低確率判定テーブル176が参照される遊技状態では、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間0.2秒で1回開放するよう制御している。
このように構成された主制御処理部11は、第1始動入賞口37aに入賞したことを契機に行われる遊技の開始に際して、第1変動パターンコマンド決定部130aで決定された変動パターンコマンドを演出制御処理部12aに送信すると共に、第1特別図柄抽選部119aによる抽選に当選した場合には第1特別図柄決定部120aで決定された特別図柄の種類に関するコマンドも演出制御処理部12aに送信している。
同様に、主制御処理部11は、第2始動入賞口37bに入賞したことを契機に行われる遊技の開始に際して、第2変動パターンコマンド決定部130bで決定された変動パターンを演出制御処理部12aに送信すると共に、第2特別図柄抽選部119bによる抽選に当選した場合には第2特別図柄決定部120bで決定された特別図柄の種類に関するコマンドも演出制御処理部12aに送信している。なお、以下の説明において、変動パターンコマンドと特別図柄の種類に関するコマンドを含めて、「遊技コマンド」と言う場合があることを、ここで予め断っておく。
続いて、主制御処理部11からの指令(コマンド)を受けて各種装置を制御する副制御処理部について説明する。副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、払出制御処理部12e、および普通図柄表示制御部12fは、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられており、主制御処理部11が生成した処理情報に従って、演出表示装置34やスピーカ20、その他の演出装置(LED装置など)などの制御を行う装置である。
演出制御処理部12aは、図13に示すように、演出態様を決定するための演出態様決定部210と、この演出態様決定部210が決定した演出態様を演出表示装置34に表示するよう制御する演出表示制御部220と、複数種類の演出態様が記憶される演出態様記憶部260と、を備えて構成されている。
演出態様記憶部260には、遊技コマンドと複数種類の演出態様とが予め対応付けられて記憶された演出態様テーブル261が保存されている。よって、主制御処理部11から遊技コマンドが演出制御処理部12aに入力されると、演出態様決定部210は、そのコマンドに対応する演出態様を、演出態様テーブル261を参照して決定し、演出表示制御部220は、演出態様決定部210が決定した演出パターンを演出表示装置34に表示するように表示の制御を行う。なお、演出態様が表示される時間、即ち、演出時間は、入力された遊技コマンドの変動時間と一致するようになっている。
特別図柄表示制御部12bは、主制御処理部11の特別図柄決定部120a、120bが決定した特別図柄の種類に関するコマンドと、変動パターンコマンド決定部130が決定した変動パターンコマンド、即ち、遊技コマンドに基づき、特別図柄表示装置17に特別図柄を所定の時間だけ変動させた後に停止させる態様で表示する。例えば、変動パターンNo.23の入力に基づいて、特別図柄表示制御部12bは、特別図柄を90秒の間、特別図柄表示装置17に変動表示させた後に、ハズレを示す態様で停止表示させるように、特別図柄に係る表示を制御する。
普通図柄表示制御部12fは、普通図柄抽選処理部170による普通図柄に係る抽選結果のコマンドと普通図柄変動時間決定部190が決定した普通図柄の変動時間のコマンドとを受け、それらのコマンドに基づいて普通図柄表示装置22に普通図柄を所定の時間だけ変動させた後に停止させる態様で表示するよう制御している。なお、普通図柄表示制御部12fは、上記した特別図柄表示制御部12bによる表示制御と比べて表示する図柄の対象が相違するものの、表示制御の基本構成はほぼ同じである。また、ランプ制御処理部12cは、主制御処理部11からコマンドを受けて各種ランプや電飾の点灯制御を行うものである。
払出制御処理部12eは、CRユニットからの信号を受けて遊技球を遊技者に貸し出すように賞球払出装置14を制御する他、主制御処理部11からの払出指令を受けて、所定個数の賞球を遊技者に対して払い出すように賞球払出装置14を制御する。この賞球払出装置14は、遊技球を1個ずつ保持する切欠きが形成されたスプロケット(図示せず)と、このスプロケットを回転させるモータ(図示せず)とを備えて構成されている。そして、モータの回転を制御することにより、必要な数だけ賞球を払い出すことができるようになっている。具体的には、始動入賞口検知センサ43a、43b、一般入賞口検知センサ44、大入賞口検知センサ45等が遊技球の通過を検知したら、賞球払出装置14は主制御処理部11を経由して受けたコマンドに基づき遊技球を払い出す。
発射制御処理部13は、ハンドル7の回動量に応じて、発射装置9に対する作動の制御を行う装置である。より具体的に言うと、発射装置9に対して通電させたり、通電を停止したり、あるいは、通電電流を変化させるといった制御処理を行う。なお、この発射制御処理部13は、払出制御処理部12eと接続されており、CRユニットが接続されていない場合に発射停止信号が受信されるようになっている。
次に、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pの遊技処理の手順について図14を参照して説明するが、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bのどちらの始動入賞口に遊技球が入賞しても遊技処理の手順は同じであるため、以下では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合について説明することとする。
図14に示すように、遊技球が第1始動入賞口37aに入賞したか否かを主制御処理部11は判断する(ステップS1)。入賞した場合(ステップS1でYes)には、第1特別図柄用乱数取得部112aは特別図柄用乱数を取得し、第1変動パターン用乱数取得部132aは変動パターン用乱数を取得する(ステップS2)。特別図柄が変動中の場合(ステップS3でYes)には、特別図柄抽選処理部110は、ステップS2で取得した特別図柄用乱数を第1保留球乱数記憶部115aに記憶し、変動パターン用乱数を第1変動パターン用乱数記憶部133aに記憶する(ステップS4)。そして、ステップS3の手前まで戻って、今回の入賞に係る遊技の順番が来るまで待機する。
特別図柄が変動中でなく、今回の入賞に係る遊技の処理を進めることができる場合(ステップS3でNo)には、ステップS5に進んで当たり判定処理を行う。つまり、取得した特別図柄用乱数が特図当たりであるか否かを第1特別図柄当否判定部113aが判断する。次いで、ステップS6に進んで、特別図柄決定処理を行う。具体的には、ステップS5での当たり判定処理の結果、特図当たりと判定された場合には、第1特別図柄決定部120aがその特図当たりに対する特別図柄の種類を決定する。即ち、今回の遊技での特図当たりが通常当たりA、通常当たりB、確変当たりA、確変当たりBの何れであるかをこのステップS7で決定する。
次いで、ステップS7で変動パターンコマンド決定処理を行う。この変動パターンコマンド決定処理では、まず、オフセット値演算部135が現在設定されている遊技状態値とフラグ値とを合算してオフセット値を算出する。そして、第1変動パターンコマンド決定部130aは、算出されたオフセット値とステップS5の当たり判定処理の結果とに基づいて参照する変動時間テーブルを選択し、そのテーブルを参照して、取得した変動パターン用乱数に対応する変動パターンNo.を決定する。
例えば、当たり判定処理の結果がハズレの場合であって、今回の遊技で設定されている遊技状態値が2、フラグ値が3のときは、オフセット値は2+3=5となる(図10参照)ので、第1変動パターンコマンド決定部130aは、オフセット値5に対応する変動時間テーブル2Fを参照して変動パターンNo.(変動時間)を決定する。このとき、変動パターン用乱数が2であれば、変動パターンNo.39(5秒)が決定されることになる。
次いで、ステップS8にて、演出態様決定処理を行う。この処理は、主制御処理部11からコマンドを受けた演出制御処理部12aが行うものであって、具体的には、このステップS8では、演出態様テーブル261を参照して遊技コマンドに対応する演出パターンを決定する。次いで、ステップS10で、特別図柄の変動が開始され、演出表示制御部220が演出表示装置34にステップS8で決定された演出パターンを表示する。
次いで、停止図柄の組合せが特図当たりとなる組合せで確定している場合(ステップS11でYes)には、ステップS12に進んで、当たり遊技が行なわれる。次いで、ステップS13で、フラグ設定部150が、当たり判定処理の結果、現在の遊技モード、および遊技回数に基づいて次の遊技における遊技状態値とフラグ値を設定する。次いで、ステップS14に進み、遊技モード移行制御部140は、必要に応じて遊技モードを、通常モード、時短モード、確変モード1に移行する処理を行う。
なお、ステップS1でNoの場合は遊技が行われることなく終了となり、ステップS11でNoの場合は、ステップS12を飛ばして、ステップS13に進む(つまり、当たり遊技は提供されない)。
以上、説明したように、本実施形態に係るパチンコ機によれば、オフセット値の数だけ変動時間テーブルを設けておけば済むので、遊技状態値とフラグ値の組合せの全てに対応した変動時間テーブルを設けておくことに比べて、データ容量を削減することができる。例えば、上記の実施の形態例では、遊技状態値が4つ、フラグ値が3つ設定されているため、1つの変動時間テーブルの容量が2バイトであると仮定すると、全ての組合せの分だけ変動時間テーブルを設けるためには、2バイトx12テーブル=24バイトの容量が必要となるところ、本実施形態に係るパチンコ機では、オフセット値が8種類なので、データ容量が、2バイトx8テーブル=16バイトで済む。
しかも、本実施形態に係るパチンコ機によれば、少ないデータ容量にも拘わらず、時短モードや確変モード1での遊技において、残り遊技回数が10回になる前と後で、変動時間を意図的に変化させることができるため、遊技の趣向性が高まる。
なお、上記した実施形態では、ゲームの仕様上、確変モード2に移行することはないにも拘わらず、プログラムの汎用性を持たせるために、確変モード2に対応する遊技状態値3とフラグ値0との合算によりオフセット値3を算出できるようにしておき、そのオフセット値3に対応する変動時間テーブル2D(134a−5)を予め用意する構成としたが、オフセット値3が不要であれば、変動時間テーブル2Dを削除することもできる。そうすると、より一層データ容量の削減が可能である。
また、上記した実施形態では、遊技条件として「遊技回数」を用いてフラグ値を設定する構成としたが、この構成に代えて、あるいはこの構成に加えて、別の遊技条件を用いてフラグ値を設定するようにしても良い。例えば、同一の遊技状態において、保留球乱数記憶部に記憶されている保留球乱数の記憶個数を遊技条件に用いても良い。つまり、保留記憶数が何個以上あるか否かによって、変動時間を意図的に変化させることもできる。また、大当たり回数が何回以上であるか否かを遊技条件として用い、同じ遊技状態であっても、大当たり回数如何で変動時間が意図的に変化するようにすることもできる。