JP2012060364A - マルチモード送信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なる経路を用いて変調信号を処理する場合において、経路切り替え時に発生する信号の重複や欠損を抑圧すること。
【解決手段】ベースバンド変調部110は、変調帯域幅が異なる複数の変調方式に対応し、第1の変調信号又は第2の変調信号のうち、いずれか一方の変調信号を出力する。LPF130−1,130−2は、それぞれ、遅延量Δtd1,Δtd2を有し、第1、第2の変調信号に対して信号処理を行う。タイミング制御部160は、変調方式及び変調方式の切り替えタイミングを設定する。さらに、タイミング制御部160は、変調方式の切り替えタイミング及び遅延量Δtd1,Δtd2に基づいて、変調信号選択スイッチ120の切り替えタイミングと、信号処理遅延調整スイッチ140の切り替えタイミングとを異なるタイミングに設定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数のディジタル信号処理された信号を異なる遅延量を持つ複数の経路で信号処理する、マルチモード送信装置に関する。
現在、無線通信方式の高機能化や多様化の進展に伴い、複数の変調方式、変調帯域幅、ユーザチャネルを、同一の信号処理回路で扱う方式の検討が進められている。ディジタル信号処理回路と信号処理経路を切り替えるスイッチを組み合わせる技術も、一手法として提案されている。従来のマルチモード送信装置としては、同一の信号を変調する2つの変調部と異なる経路とアンテナを持つ複数の送信部とをセレクタで接続し、送信部の遅延量に応じて、変調部のフレームタイミングを調整するものがあった(例えば、特許文献1参照)。これにより、特許文献1に記載のマルチモード送信装置は、装置全体の遅延量を一定に保つ効果を作用として有する。図1は、前記特許文献1に記載された従来のマルチモード送信装置を示す。
図1に示す従来のマルチモード送信装置では、移動局がソフトハンドオフを行う場合に、基地局で生成された同一の信号が変調部13Aと変調部13Bとを通り、異なる経路を経て2つのアンテナから送信される。このとき、制御部11は、セレクタ14の前段に設けられたディジタル回路とセレクタ14の後段に設けられたアナログ回路とにおける信号の経路の違いによる遅延を調整する。制御部11は、クロック発生部17に対して信号遅延を見越したフレームクロックを発生させる一方、変調部13A,13Bに対して信号の経路に応じた信号供給タイミングの調整を行う。
特開2000−4195号公報(図2)
しかしながら、前記従来の構成では、セレクタの後段に設けられた各送信部は独立して動作するため、各送信部の経路間に遅延差がある場合、切り替え時に信号の重複や欠損が発生するという課題を有していた。
本発明の目的は、異なる経路を用いて信号処理する場合において、経路切り替え時に発生する信号の重複や欠損を抑圧することができるマルチモード送信装置を提供することである。
本発明のマルチモード送信装置の一つの態様は、異なる複数の変調方式に対応し、第1の変調方式に対応する第1の変調信号、又は、第2の変調方式に対応する第2の変調信号のうち、いずれか一方の変調信号を生成する変調部と、第1の遅延量を有し、前記第1の変調信号に対して信号処理を行う第1の信号処理部と、前記第1の遅延量より大きい第2の遅延量を有し、前記第2の変調方式に対して信号処理を行う第2の信号処理部と、信号処理後の前記第1の変調信号又は前記第2の変調信号を送信する送信部と、前記変調部と前記第1及び第2の信号処理部との間に設けられ、前記変調信号を前記第1又は第2の信号処理部のいずれか一方に出力する第1のスイッチと、前記第1の信号処理部及び前記第2の信号処理部と前記送信部との間に設けられ、前記信号処理後の前記第1の変調信号又は前記第2の変調信号のいずれか一方を前記送信部に出力する第2のスイッチと、前記変調部において変調信号の生成に用いる変調方式を設定し、前記第1の遅延量及び第2の遅延量に基づいて、前記第1のスイッチの切り替えタイミングを設定し、少なくとも前記第1のスイッチ切り替えタイミング及び前記第1の遅延量に基づいて、前記第1のスイッチの切り替えタイミングと異なる前記第2のスイッチの切り替えタイミングを設定する制御部と、を具備する。
この構成によれば、第1の変調信号と第2の変調信号との重複を回避することができる。さらに、遅延量が大きい第2の信号処理部を通過する経路から遅延量が小さい第1の信号処理部を通過する経路に切り替える際には、信号の欠損を回避することができる。
本発明のマルチモード送信装置の一つの態様は、異なる複数の変調方式に対応し、第1の変調方式に対応する第1の変調信号、及び、第2の変調方式に対応する第2の変調信号を並列して生成し、少なくともいずれか一方の変調信号を出力する変調部と、第1の遅延量を有し、前記第1の変調信号に対して信号処理を行う第1の信号処理部と、前記第1の遅延量より大きい第2の遅延量を有し、前記第2の変調方式に対して信号処理を行う第2の信号処理部と、信号処理後の前記第1の変調信号又は前記第2の変調信号を送信する送信部と、前記第1の信号処理部及び前記第2の信号処理部と前記送信部との間に設けられ、前記信号処理後の前記第1の変調信号又は前記第2の変調信号のいずれか一方を前記送信部に出力するスイッチと、前記変調部において変調信号の生成に用いる変調方式を設定し、前記第1の遅延量及び第2の遅延量に基づいて、前記変調部から前記第1の変調信号及び前記第2の変調信号のいずれか一方の出力から両方の出力に切り替える変調信号出力数切り替えタイミングを設定し、前記第1の遅延量及び前記第2の遅延量のいずれかと前記変調信号出力数切り替えタイミングとに基づいて、前記スイッチの切り替えタイミングを設定する制御部と、を具備する。
この構成によれば、遅延量が小さい第1の信号処理部を通過する経路から遅延量大きい第2の信号処理部を通過する経路に切り替える際にも、信号の欠損を回避することができる。
本発明によれば、異なる経路を用いて信号処理する場合において、経路切り替え時に発生する信号の重複や欠損を抑圧することができる。この結果、複数の変調方式を扱う送信変調回路の共有回路部分の割合を向上することができ、より回路利用効率の高いマルチモード送信装置を提供することができる。
従来のマルチモード送信装置の構成図 本発明の実施の形態1に係るマルチモード送信装置の構成図 実施の形態1に係るマルチモード送信装置の制御タイミング図 実施の形態1に係るマルチモード送信装置の制御タイミング図 本発明の実施の形態2に係るマルチモード送信装置の構成図 実施の形態2に係るマルチモード送信装置の制御タイミング図 実施の形態2に係るマルチモード送信装置の制御タイミング図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1に係るマルチモード送信装置の要部構成を示すブロック図である。図2に係るマルチモード送信装置100は、変調方式1及び変調方式2の変調方式に対応する。なお、本実施の形態では、変調方式1の変調帯域幅が変調方式2の変調帯域幅より広い場合を例に説明する。例えば、変調方式1がUMTS(Universal Mobile Telephone Service)変調方式であり、変調方式2がGSM(Global System for Mobile Communications)変調方式の場合、変調方式1の変調帯域幅が変調方式2の変調帯域幅より広い。
図2に示すマルチモード送信装置100は、ベースバンド変調部110と、変調信号選択スイッチ120と、信号処理部であるローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)130−1,130−2と、信号処理遅延調整スイッチ140と、無線送信処理部150と、タイミング制御部160と、を有する。
ベースバンド変調部110は、複数の変調方式(変調方式1及び変調方式2)に対応する。そして、ベースバンド変調部110は、後述のタイミング制御部160から出力される制御信号161に応じた変調方式(変調方式1又は変調方式2)を用いて、送信データを変調してベースバンド信号(I,Q信号)を生成する。そして、ベースバンド変調部110は、変調方式1を用いて送信データを変調することにより得られるベースバンド信号1、又は、変調方式2を用いて送信データを変調することにより得られるベースバンド信号2のうち、いずれか一方を変調信号選択スイッチ120に出力する。
変調信号選択スイッチ120は、後述のタイミング制御部160から出力される制御信号162に基づいて、ベースバンド信号の出力先を、後述のLPF130−1又はLPF130−2のいずれか一方に切り替える。なお、以下では、LPF130−1を通過する経路を経路1と呼び、LPF130−2を通過する経路を経路2と呼ぶ。
LPF130−1は、信号処理として、変調方式1に対応するベースバンド信号1に帯域制限を行い、帯域制限後のベースバンド信号1を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。LPF130−1は、変調方式1に対応した周波数特性を持つ。
LPF130−2は、信号処理として、変調方式2に対応するベースバンド信号2に帯域制限を行い、帯域制限後のベースバンド信号2を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。LPF130−2は、変調方式2に対応した周波数特性を持つ。
すなわち、LPF130−1とLPF130−2とは、異なる通過帯域特性を有する。そのため、LPF130−1とLPF130−2とでは、遅延量が異なる。上述したように、変調方式1の変調帯域幅が変調方式2の変調帯域幅より広い。したがって、変調方式1に対応した周波数特性を有するLPF130−1の遅延量Δtd1は、変調方式2に対応した周波数特性を有するLPF130−2の遅延量Δtd2より小さい。
信号処理遅延調整スイッチ140は、LPF130−1及びLPF130−2の後段に設けられ、制御信号163に基づいて、LPF130−1又はLPF130−2において帯域制限されたベースバンド信号1又はベースバンド信号2のいずれか一方を選択する。すなわち、信号処理遅延調整スイッチ140は、制御信号163に応じて、直交変調部151の入力元をLPF130−1又はLPF130−2のいずれか一方に切り替える。そして、信号処理遅延調整スイッチ140は、選択したLPF130−1又はLPF130−2において帯域制限されたベースバンド信号を無線送信処理部150に出力する。
無線送信処理部150は、直交変調部151と、帯域制限フィルタ(BPF:Band Pass Filter)152と、電力増幅器153と、アンテナ154と、を有する。
直交変調部151は、ベースバンド信号に対して直交変調を行って、変調信号を生成し、変調信号をRF帯にアップコンバートして送信信号を生成する。直交変調部151は、送信信号をBPF152に出力する。
BPF152は、送信信号に帯域制限を行い、帯域制限後の送信信号を電力増幅器153に出力する。
電力増幅器153は、帯域制限後の送信信号の出力パワーを所望のパワーまで増幅して、増幅後の送信信号を送信アンテナ154を介して送信する。
このように、無線送信処理部150は、信号処理遅延調整スイッチ140から出力されたベースバンド信号に対して無線送信処理を行って送信信号を生成し、送信する。
タイミング制御部160は、ベースバンド変調部110の変調方式、変調信号選択スイッチ120及び信号処理遅延調整スイッチ140を制御する。
具体的には、タイミング制御部160は、変調方式及びその切り替えタイミングを示す制御信号161をベースバンド変調部110に出力する。制御信号161については、後述する。
また、タイミング制御部160は、経路の切り替え(選択)及びその切り替え(選択)タイミングを示す制御信号162を変調信号選択スイッチ120に出力する。制御信号162については、後述する。
また、タイミング制御部160は、直交変調部151の入力元の切り替え及びその切り替えタイミングを示す制御信号163を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。制御信号163については、後述する。
以上のように構成されたマルチモード送信装置100の動作について説明する。
図3、図4は、本実施の形態に係るマルチモード送信装置100の各部の入出力信号を示す図である。図3、図4には、ベースバンド変調部110の出力、変調信号選択スイッチ120により選択される経路、信号処理遅延調整スイッチ140により選択される経路、及び、直交変調部151に入力される変調信号が示されている。上述したように、図3及び図4において、経路1は、ベースバンド信号がLPF130−1を通過する経路を示し、経路2はベースバンド信号がLPF130−2を通過する経路を示している。
なお、図3は、変調方式が変調方式1から変調方式2に変わる場合の例を示し、図4は、変調方式が変調方式2から変調方式1に変わる場合の例を示している。
以下、具体的な例として、ベースバンド変調部110の対応する変調方式をUMTS変調方式(以下、変調方式1)とGSM変調方式(以下、変調方式2)の2種類とし、LPF130−1が変調方式1に対応した周波数特性を持ち、LPF130−2が変調方式2に対応した周波数特性を持つ場合の動作について説明する。
初めに、図3を用いて、変調方式が変調方式1から変調方式2に変わる場合の制御方法について説明する。上述したように変調方式1の変調帯域幅が、変調方式2の変調帯域幅より広帯域であるため、LPF130−1の遅延量Δtd1はLPF130−2の遅延量Δtd2より小さい。
タイミング制御部160は、変調方式を変調方式1から変調方式2に切り替える場合、レベルをHighからLowに変化させた制御信号161をベースバンド変調部110に出力する。図3は、タイミング制御部160から、時刻0(以下、基準時刻という)で、レベルがHighからLowに変化する制御信号161がベースバンド変調部110に出力された例である。
ベースバンド変調部110は、制御信号161のレベルがHighからLowに変化する時刻0(基準時刻)で、変調方式を変調方式1から変調方式2に切り替える。そして、ベースバンド変調部110は、送信データに対して変調方式2を用いて変調し、ベースバンド信号2を生成し、生成したベースバンド信号2を変調信号選択スイッチ120に出力する。
ここで、ベースバンド変調部110が、時刻0で変調方式の切り替え指示を受けてから、送信データに対して変調方式2を用いて変調しベースバンド信号2を生成し、ベースバンド信号2を変調信号選択スイッチ120に出力するまでに要する時間をt1とする。つまり、ベースバンド変調部110の遅延量がt1となる。
なお、ベースバンド変調部110は、変調方式1を用いる場合には、変調方式2を用いる場合に対して、LPF130−1とLPF130−2の遅延量の差(Δtd2−Δtd1)を考慮したタイミングで、送信データを変調する。したがって、変調方式の切り替え指示を受け取る時刻0からt1だけ遅れた時刻t1に、切り替え後のベースバンド信号がベースバンド変調部110から出力される。
なお、ベースバンド変調部110は、変調方式1及び変調方式2のいずれを用いる場合にも、変調方式の切り替え指示を受け付けてから、時刻t1で異なる変調方式を用いて変調されたベースバンド信号が出力するように、変調タイミングを予め調整している。
このように、ベースバンド変調部110が、時刻0に変調方式を変調方式1から変調方式2に切り替える場合、時刻t1にベースバンド信号2が変調信号選択スイッチ120に出力される。また、時刻t1より前の時刻では、ベースバンド信号1が変調信号選択スイッチ120に出力される。
次に、タイミング制御部160は、ベースバンド信号2をLPF130−2に出力させるため、レベルをHighからLowに変化させた制御信号162を変調信号選択スイッチ120に出力する。なお、タイミング制御部160は、時刻t1でレベルがHighからLowに変化する制御信号162を変調信号選択スイッチ120に出力する。ここで、時刻t1は、上述したように、ベースバンド変調部110が、時刻0で変調方式の切り替え指示を受け取ってから変調信号選択スイッチ120の入力信号がベースバンド信号2に切り替わるまでの処理遅延分だけ遅れた時刻である。
変調信号選択スイッチ120は、制御信号162のレベルがHighからLowに変化する時刻t1で、ベースバンド信号の出力先をLPF130−1からLPF130−2に切り替える。これにより、時刻t1以降、ベースバンド信号2はLPF130−2に出力され、経路2を通過する。なお、時刻0から時刻t1までの間、ベースバンド信号1はLPF130−1に出力され、経路1を通過する。
このようにして、タイミング制御部160は、ベースバンド変調部110が変調方式の切り替え指示を受け取ってから、変調信号選択スイッチ120に入力される信号が、ベースバンド信号1からベースバンド信号2に切り替わるまでの処理遅延分だけ遅れた時刻t1で、ベースバンド変調部110の出力先を制御する。具体的には、タイミング制御部160は、ベースバンド変調部110において生成されたベースバンド信号の出力先をLPF130−1からLPF130−2に切り替える。これにより、時刻t1で、ベースバンド信号2がLPF130−2に出力されるようになる。そして、LPF130−2において、ベースバンド信号2が帯域制限される。
次に、タイミング制御部160は、帯域制限後のベースバンド信号2を直交変調部151に出力させるため、レベルをHighからLowに変化させた制御信号163を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。なお、タイミング制御部160は、時刻t2でレベルがHighからLowに変化する制御信号163を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。ここで、時刻t2は、時刻t1から遅延量Δtd1だけ経過した時刻(t2=t1+Δtd1)とする。遅延量Δtd1は、ベースバンド信号1がLPF130−1に入力してからLPF130−1から出力されるまでの時間、すなわち、信号処理部であるLPF130−1における遅延量である。
信号処理遅延調整スイッチ140は、制御信号163のレベルがHighからLowに変化する時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元をLPF130−1からLPF130−2に切り替える。すなわち、時刻t2(=t1+Δtd1)以降、LPF130−2において帯域制限されたベースバンド信号2が、直交変調部151に出力される。
なお、時刻0から時刻t2までの間、信号処理遅延調整スイッチ140は、直交変調部151の入力元をLPF130−1とする。すなわち、この間、LPF130−1において帯域制限されたベースバンド信号1が、直交変調部151に出力される。
このように、信号処理遅延調整スイッチ140は、時刻t2で直交変調部151の入力元をLPF130−1からLPF130−2に切り替える。このとき、LPF130−2において帯域制限されたベースバンド信号2が直交変調部151に到着するのは、時刻t3(=t1+Δtd2)である。ここで、Δtd2は、信号処理部であるLPF130−2の遅延量である。つまり、時刻t2から時刻t3までは、LPF130−2から直交変調部151には無信号が入力される。そして、時刻t3以降、LPF130−2から直交変調部151に帯域制限後のベースバンド信号2が入力される(図3参照)。
このように、タイミング制御部160は、LPF130−1の遅延量Δtd1に基づいた時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元を、LPF130−1からLPF130−2に切り替える。具体的には、タイミング制御部160は、LPF130−1の遅延量Δtd1に基づいた時刻t2(=t1+Δtd1)でレベルがHighからLowに変化する制御信号163を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。
そして、信号処理遅延調整スイッチ140は、変調信号選択スイッチ120の切り替え時刻t1より遅延量Δtd1だけ遅れた時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元をLPF130−1からLPF130−2に切り替える。このように、信号処理遅延調整スイッチ140は、変調方式の切り替え時刻0と、変調信号選択スイッチ120の切り替え時刻t1と、遅延量Δtd1,Δtd2のうち値が小さい遅延量Δtd1とに基づいた時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元を、切り替え後の変調方式2に対応するLPF130−2に切り替える。
これにより、変調方式が変調方式1から、変調帯域幅が変調方式1より狭い変調方式2に切り替わる場合に、直交変調部151に、ベースバンド信号1とベースバンド信号2とが重複して入力されるのを回避することができる。
なお、以上の説明では、タイミング制御部160が、時刻t2(=t1+Δtd1)でレベルがHighからLowに変化する制御信号163を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する場合について説明したが、これに限られない。上述したように、直交変調部151には、時刻t2から時刻t3までの間、無信号が入力される。そのため、タイミング制御部160が、時刻t2(=t1+Δtd1)から時刻t3までの間に、レベルがHighからLowに変化する制御信号163を信号処理遅延調整スイッチ140に出力するようにしてもよい。
信号処理遅延調整スイッチ140から出力されるベースバンド信号は、直交変調部151でRF帯の送信信号にアップコンバートされ、BPF152で帯域制限された後、電力増幅器153で所望の出力パワーまで増幅され、送信アンテナ154から送信される。
次に、図4を用いて、変調方式が変調方式2から変調方式1に変わる場合の制御方法について説明する。
タイミング制御部160は、変調方式を変調方式2から変調方式1に切り替える場合、レベルをLowからHighに変化させた制御信号161をベースバンド変調部110に出力する。図4は、タイミング制御部160から、時刻0(以下、基準時刻という)で、レベルがLowからHighに変化する制御信号161がベースバンド変調部110に出力された例である。
ベースバンド変調部110は、制御信号161のレベルがLowからHighに変化する時刻0(基準時刻)で、変調方式を変調方式2から変調方式1に切り替える。そして、ベースバンド変調部110は、送信データに対して変調方式1を用いて変調し、ベースバンド信号1を生成し、生成したベースバンド信号1を変調信号選択スイッチ120に出力する。
次に、タイミング制御部160は、ベースバンド信号1をLPF130−1に出力させるため、レベルをLowからHighに変化させた制御信号162を変調信号選択スイッチ120に出力する。なお、タイミング制御部160は、時刻t1でレベルがLowからHighに変化する制御信号162を変調信号選択スイッチ120に出力する。ここで、時刻t1は、ベースバンド変調部110からベースバンド信号1が変調信号選択スイッチ120に出力される時刻である。なお、ベースバンド変調部110は、変調方式1及び変調方式2のいずれを用いる場合にも、変調方式の切り替え指示を受け付けてから、時刻t1で異なる変調方式を用いて変調されたベースバンド信号が出力するように、変調タイミングを予め調整している。
変調信号選択スイッチ120は、制御信号162のレベルがLowからHighに変化する時刻t1で、ベースバンド信号の出力先をLPF130−2からLPF130−1に切り替える。これにより、時刻t1以降、ベースバンド信号1はLPF130−1に出力され、経路1を通過する。なお、時刻0から時刻t1までの間、ベースバンド信号2はLPF130−2に出力され、経路2を通過する。
このようにして、タイミング制御部160は、ベースバンド変調部110が変調方式の切り替え指示を受け取ってから、変調信号選択スイッチ120に入力される信号が、ベースバンド信号2からベースバンド信号1に切り替わるまでの処理遅延分だけ遅れた時刻t1で、ベースバンド変調部110の出力先を制御する。具体的には、タイミング制御部160は、ベースバンド変調部110において生成されたベースバンド信号の出力先をLPF130−2からLPF130−1に切り替える。これにより、時刻t1で、ベースバンド信号1がLPF130−1に出力されるようになる。そして、LPF130−1において、ベースバンド信号1が帯域制限される。
次に、タイミング制御部160は、帯域制限後ベースバンド信号1を直交変調部151に出力させるため、レベルをLowからHighに変化させた制御信号163を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。なお、タイミング制御部160は、時刻t2でレベルがLowからHighに変化する制御信号163を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。ここで、時刻t2は、上述したように、時刻t1から遅延量Δtd1だけ経過した時刻(t2=t1+Δtd1)とする。
信号処理遅延調整スイッチ140は、制御信号163のレベルがLowからHighに変化する時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元をLPF130−2からLPF130−1に切り替える。すなわち、時刻t2(=t1+Δtd1)以降、LPF130−1において帯域制限されたベースバンド信号1が、直交変調部151に出力される。
なお、時刻0から時刻t2までの間、信号処理遅延調整スイッチ140は、直交変調部151の入力元をLPF130−2とする。すなわち、この間、LPF130−2において帯域制限されたベースバンド信号2が、直交変調部151に出力される。
このように、信号処理遅延調整スイッチ140は、時刻t2で直交変調部151の入力元をLPF130−2からLPF130−1に切り替える。このとき、LPF130−1において帯域制限されたベースバンド信号1が直交変調部151に到着するのは、時刻t2(=t1+Δtd1)である。つまり、時刻t2以降、LPF130−1から直交変調部151にベースバンド信号1が入力される(図4参照)。
このように、タイミング制御部160は、LPF130−1の遅延量Δtd1に基づいた時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元を、LPF130−2からLPF130−1に切り替える。具体的には、タイミング制御部160は、LPF130−1の遅延量Δtd1に基づいた時刻t2(=t1+Δtd1)でレベルがLowからHighに変化する制御信号163を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。
そして、信号処理遅延調整スイッチ140は、変調信号選択スイッチ120の切り替え時刻t1より遅延量Δtd1だけ遅れた時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元をLPF130−2からLPF130−1に切り替える。このように、信号処理遅延調整スイッチ140は、変調方式の切り替え時刻0と、変調信号選択スイッチ120の切り替え時刻t1と、遅延量Δtd1,Δtd2のうち値が小さい遅延量Δtd1とに基づいた時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元を、切り替え後の変調方式1に対応するLPF130−1に切り替える。
これにより、変調方式が変調方式2から、変調帯域幅が変調方式2より広い変調方式1に切り替わる場合に、直交変調部151に、ベースバンド信号2に連続してベースバンド信号1が入力される。この結果、無信号区間が発生せず、送信信号の欠損を回避することができる。
以上のように、本実施の形態では、ベースバンド変調部110は、異なる複数の変調方式に対応し、第1の変調信号(ベースバンド信号1)、又は、第2の変調信号(ベースバンド信号2)のうち、いずれか一方の変調信号を出力する。ここで、第1の変調信号は、変調方式1に対応する変調信号であり、第2の変調信号は、変調帯域幅が第1の変調信号より狭い変調方式2に対応する変調信号である。
LPF130−1は、第1の変調信号に対して信号処理を行う。LPF130−2は、遅延量がLPF130−1の遅延量より大きく、第2の変調方式に対して信号処理を行う。無線送信処理部150は、信号処理後の第1の変調信号又は第2の変調信号を送信する。変調信号選択スイッチ120は、ベースバンド変調部110と、LPF130−1,130−2との間に設けられ、変調信号をLPF130−1,130−2のいずれか一方に出力する。
信号処理遅延調整スイッチ140は、LPF130−1,130−2と無線送信処理部150との間に設けられ、信号処理後の第1の変調信号又は第2の変調信号のいずれか一方を無線送信処理部150に出力する。
タイミング制御部160は、変調方式及び変調方式の切り替えタイミングを設定する。さらに、タイミング制御部160は、変調方式の切り替えタイミング及びLPF130−1,130−2の遅延量Δtd1,Δtd2に基づいて、遅延量が異なるLPF130−1,130−2の前段に設けられた変調信号選択スイッチ120の切り替えタイミングと、LPF130−1,130−2の後段に設けられた信号処理遅延調整スイッチ140の切り替えタイミングとを異なるタイミングに設定する。より具体的には、タイミング制御部160は、遅延量Δtd1及び遅延量Δtd2に基づいて、変調信号選択スイッチ120の切り替えタイミングを設定する。さらに、タイミング制御部160は、少なくとも第1のスイッチ切り替えタイミング及び遅延量Δtd1に基づいて、信号処理遅延調整スイッチ140の切り替えタイミングを、変調信号選択スイッチ120の切り替えタイミングと異なるタイミングに設定する。
例えば、タイミング制御部160は、変調方式を変調方式1から変調方式2に切り替える場合、変調信号選択スイッチ120の切り替えタイミングt1からLPF130−1の遅延量Δtd1以上かつLPF130−2の遅延量Δtd2未満のタイミングを、信号処理遅延調整スイッチ140の切り替えタイミングに設定する。これにより、変調方式が変調方式1から、変調帯域幅が変調方式1より狭い変調方式2に切り替わる場合に、直交変調部151に、第1の変調信号と第2の変調信号とが重複して入力されるのを回避することができる。
また、タイミング制御部160は、変調方式を変調方式2から変調方式1に切り替える場合、変調信号選択スイッチ120の切り替えタイミングからLPF130−1の遅延量Δtd1だけ経過したタイミングを信号処理遅延調整スイッチ140の切り替えタイミングに設定する。これにより、変調方式が変調方式2から、変調帯域幅が変調方式2より広い変調方式1に切り替わる場合に、直交変調部151に、第2の変調信号に連続して第1の変調信号が入力されるため、無信号区間が発生せず、送信信号の欠損を回避することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係るマルチモード送信装置200の要部構成を示すブロック図である。なお、図5の本実施の形態に係るマルチモード送信装置において、図2と共通する構成部分には、図2と同一の符号を付して説明を省略する。図5のマルチモード送信装置200は、図2のマルチモード送信装置100に対して、変調信号選択スイッチ120を削除し、ベースバンド変調部110及びタイミング制御部160に代えて、ベースバンド変調部210及びタイミング制御部220を有する。
ベースバンド変調部210は、複数の変調方式(変調方式1及び変調方式2)に対応する。そして、ベースバンド変調部210は、後述のタイミング制御部220から出力される制御信号221に応じて、送信データを変調し、ベースバンド信号(I,Q信号)を生成する。
実施の形態1では、ベースバンド変調部110は、ベースバンド信号1又はベースバンド信号2のうち、いずれか一方を出力した。これに対し、ベースバンド変調部210は、変調方式1に対応するベースバンド信号1、及び、変調方式2に対応するベースバンド信号2を並列して生成する。そして、ベースバンド変調部210は、ベースバンド信号1又はベースバンド信号2のうち、いずれか一方のみだけを出力したり、ベースバンド信号1及びベースバンド信号2の双方を出力したりする。このように、ベースバンド変調部210は、ベースバンド信号1、又は、ベースバンド信号2のうち、少なくとも一方を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。なお、ベースバンド変調部210は、変調方式1を用いて生成したベースバンド信号をLPF130−1に出力し、変調方式2に対応するベースバンド信号をLPF130−2に出力する。
タイミング制御部220は、ベースバンド変調部210の変調方式及び信号処理遅延調整スイッチ140を制御する。
具体的には、タイミング制御部220は、変調方式及びその切り替えタイミングを示す制御信号221をベースバンド変調部210に出力する。制御信号221については、後述する。
また、タイミング制御部220は、直交変調部151の入力元の切り替え及びその切り替えタイミングを示す制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。制御信号222については、後述する。
以上のように構成されたマルチモード送信装置200の動作について説明する。
図6、図7は、本実施の形態に係るマルチモード送信装置200の各部の入出力信号を示す図である。図6、図7には、ベースバンド変調部210の出力、信号処理遅延調整スイッチ140により選択される経路、及び、直交変調部151に入力される変調信号が示されている。上述したように、図6及び図7において、経路1は、ベースバンド信号がLPF130−1を通過する経路を示し、経路2はベースバンド信号がLPF130−2を通過する経路を示している。
なお、図6は、変調方式が変調方式1から変調方式2に変わる場合の例を示し、図7は、変調方式が変調方式2から変調方式1に変わる場合の例を示している。また、上述したように、図6及び図7において、経路1は、ベースバンド信号がLPF130−1を通過する経路を示し、経路2はベースバンド信号がLPF130−2を通過する経路を示している。
以下、具体的な例として、ベースバンド変調部210の対応する変調方式をUMTS変調方式(以下、変調方式1)とGSM変調方式(以下、変調方式2)の2種類とし、LPF130−1が変調方式1に対応した周波数特性を持ち、LPF130−2が変調方式2に対応した周波数特性を持つ場合の動作について説明する。
初めに、図6を用いて、変調方式が変調方式1から変調方式2に変わる場合の制御方法について説明する。上述したように変調方式1の変調帯域幅が、変調方式2の変調帯域幅より広帯域であるため、LPF130−1の遅延量Δtd1はLPF130−2の遅延量Δtd2より小さい。
タイミング制御部220は、変調方式を変調方式1から変調方式2に切り替える場合、レベルをHighからLowに変化させた制御信号221をベースバンド変調部210に出力する。図6は、タイミング制御部220からは、時刻0(以下、基準時刻という)で、レベルがHighからLowに変化する制御信号221がベースバンド変調部210に出力された例である。
ベースバンド変調部210は、時刻0(基準時刻)にレベルがHighからLowに変化する制御信号221を受け取ると、変調方式1に対応するベースバンド信号1、及び、変調方式2に対応するベースバンド信号2を並列して生成する。すなわち、ベースバンド変調部210は、時刻0(基準時刻)で変調方式の切り替え指示を受けとると、ベースバンド信号1に加えてベースバンド信号2を生成する。そして、ベースバンド変調部210は、生成したベースバンド信号1をLPF130−1に出力し、生成したベースバンド信号2をLPF130−2に出力する。
ここで、ベースバンド変調部210が、時刻0で変調方式の切り替え指示を受けてから、送信データに対して変調方式2を用いて変調しベースバンド信号2を生成し、ベースバンド信号2をLPF130−2に出力するまでに要する時間をt1とする。
なお、ベースバンド変調部210は、変調方式1を用いる場合には、変調方式2を用いる場合に対して、LPF130−1とLPF130−2の遅延量の差(Δtd2−Δtd1)を考慮したタイミングで、送信データを変調する。具体的には、ベースバンド変調部210は、変調方式1及び変調方式2のいずれを用いる場合においても、変調方式の切り替え指示を受け付けてから、時刻t1で異なる変調方式を用いて変調されたベースバンド信号が出力するように、変調タイミングを予め調整している。したがって、変調方式の切り替え指示を受け取る時刻0からt1だけ遅れた時刻t1に、切り替え後のベースバンド信号がベースバンド変調部210から出力される。
つまり、ベースバンド変調部210は、時刻t1まではベースバンド信号1のみを出力し、時刻t1以降はベースバンド信号1に加えてベースバンド信号2を出力する。このように、ベースバンド変調部210は、時刻0に変調信号の切り替え指示を受けてからt1だけ経過した時刻t1以降、出力するベースバンド信号の数を1から2に切り替える。上述したように、ベースバンド変調部210は、変調方式の切り替え指示を受け取る時刻0からt1だけ遅れた時刻t1に、切り替え後のベースバンド信号がベースバンド変調部210から出力されるよう、予め変調タイミングを調整している。
このように、変調方式の切り替えタイミング(時刻0)からt1だけ遅れた時刻t1が、ベースバンド変調部210から出力されるベースバンド信号の数(出力数)が1から2に切り替えられるタイミング(以下「変調信号出力数切り替えタイミング」ともいう)となる。したがって、変調方式の切り替えタイミングを設定することは、変調信号出力数切り替えタイミングを設定することになる。
そして、LPF130−1において、ベースバンド信号1が帯域制限され、LPF130−2において、ベースバンド信号2が帯域制限される。帯域制限されたベースバンド信号1及びベースバンド信号2は、信号処理遅延調整スイッチ140に出力される。
次に、タイミング制御部220は、帯域制限されたベースバンド信号2を直交変調部151に出力させるため、レベルをHighからLowに変化させた制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。なお、タイミング制御部220は、時刻t3でレベルがHighからLowに変化する制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。ここで、時刻t3は、時刻t1から遅延量Δtd2だけ経過した時刻(t3=t1+Δdt2)とする。遅延量Δtd2は、ベースバンド信号2がLPF130−2に入力してからLPF130−2から出力されるまでの時間、すなわち、LPF130−2における遅延量である。
信号処理遅延調整スイッチ140は、制御信号222のレベルがHighからLowに変化する時刻t3(=t1+Δtd2)で、直交変調部151の入力元をLPF130−1からLPF130−2に切り替える。すなわち、時刻t3(=t1+Δtd2)以降、LPF130−2において帯域制限されたベースバンド信号2が、直交変調部151に出力される。
なお、時刻0から時刻t3までの間、ベースバンド変調部210は、ベースバンド信号1を出力する。また、時刻0から時刻t3までの間、信号処理遅延調整スイッチ140は、直交変調部151の入力元をLPF130−1とする。すなわち、この間、LPF130−1において帯域制限されたベースバンド信号1が、直交変調部151に出力される。
このように、信号処理遅延調整スイッチ140は、時刻t3で直交変調部151の入力元をLPF130−1からLPF130−2に切り替える。このとき、LPF130−2において帯域制限されたベースバンド信号2が直交変調部151に到着するのは、時刻t3(=t1+Δtd2)である。ここで、Δtd2は、LPF130−2の遅延量である。
実施の形態1では、時刻t2から時刻t3まで、LPF130−2から直交変調部151に無信号が入力された。これに対し、本実施の形態では、時刻t1から時刻t3の間、ベースバンド変調部210は、ベースバンド信号1とベースバンド信号2の双方を出力する。そのため、時刻t3までは、LPF130−1から直交変調部151にはベースバンド信号1が入力され、時刻t3以降、LPF130−2から直交変調部151にベースバンド信号2が入力される(図6参照)。すなわち、本実施の形態では、無信号が入力される区間が発生しない。
このように、タイミング制御部220は、LPF130−2の遅延量Δtd2に基づいた時刻t3(=t1+Δtd2)で、直交変調部151の入力元を、LPF130−1からLPF130−2に切り替える。具体的には、タイミング制御部220は、LPF130−2の遅延量Δtd2に基づいた時刻t3(=t1+Δtd2)でレベルがHighからLowに変化する制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。
そして、信号処理遅延調整スイッチ140は、時刻t1より遅延量Δtd2だけ遅れた時刻t3(=t1+Δtd2)で、直交変調部151の入力元をLPF130−1からLPF130−2に切り替える。ここで、時刻t1は、変調方式の切り替え指示を受け取ってからベースバンド信号2がLPF130−2に出力される時刻である。このように、信号処理遅延調整スイッチ140は、変調方式の切り替え時刻0と、切り替え時刻t1と、遅延量Δtd1,Δtd2のうち値が大きい遅延量Δtd2とに基づいた時刻t3(=t1+Δtd2)で、直交変調部151の入力元を、切り替え後の変調方式2に対応するLPF130−2に切り替える。
これにより、変調方式が変調方式1から、変調帯域幅が変調方式1より狭い変調方式2に切り替わる場合に、直交変調部151に、ベースバンド信号1とベースバンド信号2とが重複して入力されるのを回避することができる。
信号処理遅延調整スイッチ140から出力されるベースバンド信号は、直交変調部151でRF帯の送信信号にアップコンバートされ、BPF152で帯域制限された後、電力増幅器153で所望の出力パワーまで増幅され、送信アンテナ154から送信される。
次に、図7を用いて、変調方式が変調方式2から変調方式1に変わる場合の制御方法について説明する。
タイミング制御部220は、変調方式を変調方式2から変調方式1に切り替える場合、レベルをLowからHighに変化させた制御信号221をベースバンド変調部210に出力する。図7は、タイミング制御部220からは、時刻0(基準時刻)で、レベルがLowからHighに変化する制御信号221がベースバンド変調部210に出力された例である。
ベースバンド変調部210は、時刻0(基準時刻)にレベルがLowからHighに変化する制御信号221を受け取ると、変調方式1に対応するベースバンド信号1、及び、変調方式2に対応するベースバンド信号2を並列して生成する。すなわち、ベースバンド変調部210は、時刻0(基準時刻)で変調方式の切り替え指示を受けとると、ベースバンド信号2に加えてベースバンド信号1を生成する。そして、ベースバンド変調部210は、生成したベースバンド信号1をLPF130−1に出力し、生成したベースバンド信号2をLPF130−2に出力する。そして、LPF130−1において、ベースバンド信号1が帯域制限され、LPF130−2において、ベースバンド信号2が帯域制限される。
次に、タイミング制御部220は、帯域制限されたベースバンド信号1を直交変調部151に出力させるため、レベルをLowからHighに変化させた制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。なお、タイミング制御部160は、時刻t2でレベルがLowからHighに変化する制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。ここで、時刻t2は、上述したように、時刻t1から遅延量Δtd1だけ経過した時刻(t2=t1+Δdt1)とする。
信号処理遅延調整スイッチ140は、制御信号222のレベルがLowからHighに変化する時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元をLPF130−2からLPF130−1に切り替える。すなわち、時刻t2(=t1+Δtd1)以降、LPF130−1において帯域制限されたベースバンド信号1が、直交変調部151に出力される。
なお、時刻0から時刻t2までの間、ベースバンド変調部210は、ベースバンド信号2を出力する。また、時刻0から時刻t2までの間、信号処理遅延調整スイッチ140は、直交変調部151の入力元をLPF130−2とする。すなわち、この間、LPF130−2において帯域制限されたベースバンド信号2が、直交変調部151に出力される。
このように、信号処理遅延調整スイッチ140は、時刻t2で直交変調部151の入力元をLPF130−2からLPF130−1に切り替える。このとき、LPF130−1において帯域制限されたベースバンド信号1が直交変調部151に到着するのは、時刻t2(=t1+Δtd1)である。つまり、時刻t2までは、LPF130−2から直交変調部151にはベースバンド信号2が入力され、時刻t2以降、LPF130−1から直交変調部151にベースバンド信号1が入力される(図7参照)。
このように、タイミング制御部220は、LPF130−1の遅延量Δtd1に基づいた時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元を、LPF130−2からLPF130−1に切り替える。具体的には、タイミング制御部220は、LPF130−1の遅延量Δtd1に基づいた時刻t2(=t1+Δtd1)でレベルがLowからHighに変化する制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する。
そして、信号処理遅延調整スイッチ140は、変調信号選択スイッチ120の切り替え時刻t1より遅延量Δtd1だけ遅れた時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元をLPF130−2からLPF130−1に切り替える。このように、信号処理遅延調整スイッチ140は、変調方式の切り替え時刻0と、変調信号選択スイッチ120の切り替え時刻t1と、遅延量Δtd1,Δtd2のうち値が小さい遅延量Δtd1とに基づいた時刻t2(=t1+Δtd1)で、直交変調部151の入力元を、切り替え後の変調方式1に対応するLPF130−1に切り替える。
これにより、変調方式が変調方式2から、変調帯域幅が変調方式2より広い変調方式1に切り替わる場合に、直交変調部151に、ベースバンド信号2に連続してベースバンド信号1が入力される。この結果、無信号区間が発生せず、送信信号の欠損を回避することができる。
なお、以上の説明では、タイミング制御部220が、時刻t2(=t1+Δtd1)でレベルがLowからHighに変化する制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力する場合について説明したが、これに限られない。タイミング制御部220が、時刻t2(=t1+Δtd1)から時刻t3(=t1+Δtd2)までの間に、レベルがLowからHighに変化する制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力するようにしてもよい。例えば、タイミング制御部220が、時刻t3で、レベルがLowからHighに変化する制御信号222を信号処理遅延調整スイッチ140に出力するようにすると、変調方式の切り替え方向に関わらず、切り替えタイミングを統一することができる。この結果、タイミング制御部220は、切り替え方向に関わらず、同一の制御信号222を用いることができるため、制御信号の生成に要する処理を抑えることができる。
以上のように、本実施の形態では、ベースバンド変調部210は、異なる複数の変調方式に対応し、第1の変調信号(ベースバンド信号1)、及び、第2の変調信号(ベースバンド信号2)を並列して生成し、少なくともいずれか一方の変調信号を出力する。ここで、第1の変調信号は、変調方式1に対応する変調信号であり、第2の変調信号は、変調帯域幅が第1の変調信号より狭い変調方式2に対応する変調信号である。
LPF130−1は、第1の変調信号に対して信号処理を行う。LPF130−2は、遅延量がLPF130−1の遅延量より大きく、第2の変調方式に対して信号処理を行う。無線送信処理部150は、信号処理後の第1の変調信号又は第2の変調信号を送信する。
信号処理遅延調整スイッチ140は、遅延量が異なるLPF130−1,130−2と無線送信処理部150との間に設けられ、信号処理後の第1の変調信号又は第2の変調信号のいずれか一方を無線送信処理部150出力する。
タイミング制御部220は、変調方式を設定し、LPF130−1,130−2の遅延量Δtd1,Δtd2に基づいて、変調方式の切り替えタイミングを設定する。上述したように、変調方式の切り替えタイミング(時刻0)が設定されると、ベースバンド変調部210から出力されるベースバンド信号数(出力数)を1から2に切り替えるタイミング(変調信号出力数切り替えタイミング)が設定される。具体的には、LPF130−1,130−2の遅延量Δtd1,Δtd2に基づいて、変調信号出力数切り替えタイミングが設定される。
さらに、タイミング制御部220は、信号処理遅延調整スイッチ140の切り替えタイミングを、変調方式の切り替えタイミング(すなわち、変調信号出力数切り替えタイミング)、及び、LPF130−1,130−2の遅延量Δtd1,Δtd2のいずれか一方に基づいて設定する。
例えば、タイミング制御部220は、変調方式を変調方式1から変調方式2に切り替える場合、第2変調信号がベースバンド変調部210から出力されるタイミングからLPF130−2の遅延量Δtd2だけ経過したタイミングを信号処理遅延調整スイッチ140の切り替えタイミングに設定する。これにより、変調方式が変調方式1から、変調帯域幅が変調方式1より狭い変調方式2に切り替わる場合に、直交変調部151に第1の変調信号と第2の変調信号とが重複して入力されるのを回避することができる。
また、タイミング制御部220は、変調方式を第2変調方式から第1変調方式に切り替える場合、第1変調信号がベースバンド変調部210から出力されるタイミングからLPF130−1の遅延量Δtd1以上かつLPF130−2の遅延量Δtd2以下のタイミングを信号処理遅延調整スイッチ140の切り替えタイミングに設定する。これにより、変調方式が変調方式2から、変調帯域幅が変調方式2より広い変調方式1に切り替わる場合に、直交変調部151に、第2の変調信号に連続して第2の変調信号が入力されるため、無信号区間が発生せず、送信信号の欠損を回避することができる。
なお、以上の説明では、ベースバンド変調部110,210が、ベースバンド帯で動作する場合について説明した。この場合には、第1及び第2スイッチは、ベースバンド帯の信号を扱うため、第1及び第2スイッチにおける特性劣化を抑圧することができる。
しかし、ベースバンド変調部110,210が、RF帯で動作する場合においても、本発明を適用することができる。この場合には、マルチモード送信装置100,200全体の遅延量を調整することができる。
また、以上の説明では、切り替え信号のレベルがHighからLowに変化する場合に、経路1から経路2に切り替える場合について説明したが、切り替え信号のレベルがLowからHighに変化する場合に、経路1から経路2に切り替えるようにしてもよい。
また、以上の説明では、第1の変調方式がUMTS変調であり、第2の変調方式がGSM変調である場合を例に説明したが、これに限られず、他の変調方式でもよい。また、ベースバンド変調部110,210が対応可能は変調方式を2種類としたが、3種類以上でもよい。
また、以上の説明では、LPF130−1,130−2の遅延量の差に起因して、ベースバンド信号がLPF130−1を通過する経路1とLPF130−2を通過する経路2とで遅延量に差がある場合を例に説明した。しかし、LPF130−1,130−2以外の信号処理部であっても、経路1と経路2との間で遅延量に影響を与える場合には、本発明を適用することができる。
本発明に係るマルチモード送信装置は、複数のディジタル信号処理された信号を異なる遅延量を持つ複数の経路で信号処理する、マルチモード送信装置等として有用である。
100,200 マルチモード送信装置
110,210 ベースバンド変調部
120 変調信号選択スイッチ
130−1,130−2 ローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)
140 信号処理遅延調整スイッチ
150 無線送信処理部
151 直交変調部
152 帯域制限フィルタ(BPF:Band Pass Filter)
153 電力増幅器
154 アンテナ
160,220 タイミング制御部

Claims (10)

  1. 異なる複数の変調方式に対応し、第1の変調方式に対応する第1の変調信号、又は、第2の変調方式に対応する第2の変調信号のうち、いずれか一方の変調信号を生成する変調部と、
    第1の遅延量を有し、前記第1の変調信号に対して信号処理を行う第1の信号処理部と、
    前記第1の遅延量より大きい第2の遅延量を有し、前記第2の変調方式に対して信号処理を行う第2の信号処理部と、
    信号処理後の前記第1の変調信号又は前記第2の変調信号を送信する送信部と、
    前記変調部と前記第1及び第2の信号処理部との間に設けられ、前記変調信号を前記第1又は第2の信号処理部のいずれか一方に出力する第1のスイッチと、
    前記第1の信号処理部及び前記第2の信号処理部と前記送信部との間に設けられ、前記信号処理後の前記第1の変調信号又は前記第2の変調信号のいずれか一方を前記送信部に出力する第2のスイッチと、
    前記変調部において変調信号の生成に用いる変調方式を設定し、前記第1の遅延量及び第2の遅延量に基づいて、前記第1のスイッチの切り替えタイミングを設定し、少なくとも前記第1のスイッチ切り替えタイミング及び前記第1の遅延量に基づいて、前記第1のスイッチの切り替えタイミングと異なる前記第2のスイッチの切り替えタイミングを設定する制御部と、
    を具備するマルチモード送信装置。
  2. 前記制御部は、前記変調方式を前記第1変調方式から前記第2変調方式に切り替える場合、前記第1のスイッチの切り替えタイミングから前記第1の遅延量以上かつ前記第2の遅延量未満経過したタイミングを、前記第2のスイッチの切り替えタイミングに設定する、
    請求項1に記載のマルチモード送信装置。
  3. 前記制御部は、
    前記変調方式を前記第2変調方式から前記第1変調方式に切り替える場合、前記第1のスイッチの切り替えタイミングから前記第1の遅延量経過したタイミングを、前記第2のスイッチの切り替えタイミングに設定する、
    請求項1に記載のマルチモード送信装置。
  4. 異なる複数の変調方式に対応し、第1の変調方式に対応する第1の変調信号、及び、第2の変調方式に対応する第2の変調信号を並列して生成し、少なくともいずれか一方の変調信号を出力する変調部と、
    第1の遅延量を有し、前記第1の変調信号に対して信号処理を行う第1の信号処理部と、
    前記第1の遅延量より大きい第2の遅延量を有し、前記第2の変調方式に対して信号処理を行う第2の信号処理部と、
    信号処理後の前記第1の変調信号又は前記第2の変調信号を送信する送信部と、
    前記第1の信号処理部及び前記第2の信号処理部と前記送信部との間に設けられ、前記信号処理後の前記第1の変調信号又は前記第2の変調信号のいずれか一方を前記送信部に出力するスイッチと、
    前記変調部において変調信号の生成に用いる変調方式を設定し、前記第1の遅延量及び第2の遅延量に基づいて、前記変調部から前記第1の変調信号及び前記第2の変調信号のいずれか一方の出力から両方の出力に切り替える変調信号出力数切り替えタイミングを設定し、前記第1の遅延量及び前記第2の遅延量のいずれかと前記変調信号出力数切り替えタイミングとに基づいて、前記スイッチの切り替えタイミングを設定する制御部と、
    を具備するマルチモード送信装置。
  5. 前記制御部は、
    前記変調方式を前記第1変調方式から前記第2変調方式に切り替える場合、前記変調信号出力数切り替えタイミングから前記第2の遅延量経過したタイミングを、前記スイッチの切り替えタイミングに設定する、
    請求項4に記載のマルチモード送信装置。
  6. 前記制御部は、
    前記変調方式を前記第2変調方式から前記第1変調方式に切り替える場合、前記変調信号出力数切り替えタイミングから前記第1の遅延量経過したタイミングを、前記スイッチの切り替えタイミングに設定する、
    請求項4に記載のマルチモード送信装置。
  7. 前記変調部は、ベースバンド帯域で動作する、
    請求項1又は請求項4に記載のマルチモード送信装置。
  8. 複数の前記信号処理部は、通過帯域が異なるフィルタ回路であり、
    前記第1の変調信号又は前記第2の変調信号に対して帯域制限を行う、
    請求項1又は請求項4に記載のマルチモード送信装置。
  9. 前記変調部は、無線周波数帯域で動作する、
    請求項1又は請求項4に記載のマルチモード送信装置。
  10. 前記第1の変調信号は、UMTS信号であり、前記第2の変調信号はGSM信号である、
    請求項1又は請求項4に記載のマルチモード送信装置。
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