JP2012059746A - ファイバレーザ及びレーザ加工機 - Google Patents

ファイバレーザ及びレーザ加工機 Download PDF

Info

Publication number
JP2012059746A
JP2012059746A JP2010198640A JP2010198640A JP2012059746A JP 2012059746 A JP2012059746 A JP 2012059746A JP 2010198640 A JP2010198640 A JP 2010198640A JP 2010198640 A JP2010198640 A JP 2010198640A JP 2012059746 A JP2012059746 A JP 2012059746A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
light
detection
fiber laser
excitation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010198640A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Sakamoto
真一 阪本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP2010198640A priority Critical patent/JP2012059746A/ja
Publication of JP2012059746A publication Critical patent/JP2012059746A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lasers (AREA)

Abstract

【課題】増幅された出力光又は入力される信号光の損失を可能な限り排除しつつ、利得を監視する。
【解決手段】入射されるパルス光の導波方向に延在し、Ybが添加されたコア部3a、導波方向に延在してコア部3aの周囲を取り囲む第1クラッド部3b、及び導波方向に延在して第1クラッド部3bの周囲を取り囲む第2クラッド部3cを有するPA‐Yb3と、PA‐Yb3のコア部3aから第1クラッド部3bに漏れ出したYbの自然放出光を取り出す検出用ファイバ6と、検出用ファイバ6に光学的に接続され、導波された自然放出光の強度を検出するPD11と、を備え、PA‐Yb3の第1クラッド部3bと検出用ファイバ6のコア部6aとが、光学的に接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、利得を監視することが可能なファイバ型光増幅器(以下、単にファイバレーザと称する)及び当該ファイバレーザを備えたレーザ加工機に関するものである。
近年、コア部に希土類元素を添加した希土類添加光ファイバを増幅媒体としたファイバレーザの開発が積極的に進められている。このファイバレーザは、光の誘導放出を利用して光を増幅する光増幅器の1つである。
ここで、基底準位E1と励起準位E2とからなる2準位系(E1<E2であり、これらの準位の縮退度は等しいものとする)について考える。
このような2準位系では、共鳴吸収の強さは、基底準位E1に存在する電子の電子数(n1)に比例し、自然放出又は誘導放出の強さは、励起準位E2に存在する電子の電子数(n2)に比例する。
したがって、自然放出光の強度を検出することにより、増幅媒体における電子のエネルギーの分布状態(例えば、熱平衡状態や反転分布状態など)の様子を検知することができる。
反転分布状態では、誘導放出による光の増幅が可能となる。例えば、単位長さ当たりの利得をg、増幅媒体の長さがlの場合、光がこの増幅媒体を通過するとき、光の強度はexp(gl)倍とされる。すなわち、この増幅媒体の利得は、G=exp(gl)で与えられる。
この増幅媒体の単位長さ当たりの利得gは、利得飽和していない場合、励起準位E2に存在する電子の電子数n2に比例するため、自然放出光の強度と利得gとの間には、正の相関関係があり、自然放出光の強度を検出することにより、増幅媒体の利得gを監視することが可能であることがわかる。
このような光の誘導放出を利用した装置として光増幅器がある。励起準位E2に存在する電子数n2は、励起光の強度と外部から入力される信号光の強度により変動する。励起光の強度が高いと、電子は基底準位E1から励起準位E2に励起され、信号光強度が高くなると励起準位E2の電子は誘導放出により基底準位E1に遷移する。すなわち、励起光強度が一定の場合でも、信号光強度が高くなると、励起される電子数に対し、誘導放出によって消費される電子数が大きくなり、励起準位E2に存在する電子数n2が減少し利得が減少する。逆に、信号光強度が一定の場合でも、励起光強度が高くなると、誘導放出によって消費される電子数より、励起される電子数が大きくなり、励起準位E2に存在する電子数n2が増大し利得が増大する。したがって、利得は、励起光の強度、及び入力される信号光強度によって変動してしまう。
次に、ファイバレーザの場合を説明する。ファイバレーザは、増幅媒体である増幅用光ファイバの一端に高反射ファイバグレーティング(以下、単にFGと称する)を形成し、他端に低反射FGを形成して帰還回路としたファブリ・ペロー型共振器の一種であると考えられる。
ファブリ・ペロー型共振器の帰還率をβ(0<β<1)とすれば、その利得は、G/(1−Gβ)で与えられる。このとき、増幅媒体が反転分布状態でないときは、g<0、すなわち、光が吸収されてG<1となり、一方、増幅媒体が反転分布状態となり、光が増幅されるようになると、G≧1となる。さらに、G≧1/βのときレーザ発振が起こる。
過渡的にG≧1/βになったレーザ発振器において、励起準位E2に励起された電子のエネルギーは、G=1/βになるようにレーザ光に変換されるため、励起状態(励起準位E2に存在する電子数n2)が変動すると利得が変化して出力されるレーザ光の強度が変動する。
一般に、出力されるレーザ光の出力パワーを安定化させるために、出力されたレーザ光の出力パワーを監視し、励起光強度にフィードバックをかけて出力パワーを安定化させる方法が知られている。このような方法では、レーザ光が出力していない励起開始直後(過渡状態)の出力パワーを制御することができない。
このような過渡状態にある利得を監視するために、増幅媒体の反転分布状態と相関のある自然放出光の強度を検出し、検出された自然放出光の強度に応じて励起光源に供給する電流を制御するフィードバック回路を形成する構成が知られている。この構成によれば、励起開始直後の出力パワーも制御することが可能となる。
このようなフィードバック回路に関する従来技術として特許文献1及び2に開示された光増幅器がある。
特許文献1に開示された光増幅器では、希土類添加光ファイバの出力側に出力された増幅光から自然放出光を分離して検出し、その検出結果に応じて励起光源に供給する電流をフィードバック制御することにより、利得を安定化している。
一方、特許文献2に開示された光増幅器では、希土類添加光ファイバの入力側に戻ってきた反射光から自然放出光を分離して検出し、この検出結果に応じて励起光源に供給する電流をフィードバック制御することにより、利得を安定化している。
特開平5−226754号公報(1993年9月3日公開) 特開平5−283787号公報(1993年10月29日公開)
しかしながら、上記の特許文献1に開示された光増幅器では、出力光から自然放出光を分離しているので、増幅された出力光の分離損失が大きいという問題点がある。
また、特許文献2に開示された光増幅器では、信号光と励起光とを合波してから希土類添加光ファイバに入力し、入力側に戻ってきた反射光から自然放出光を分離する構成なので、自然放出光を検出するラインを必ず信号光が入力されるラインに接続する必要があり、入力される信号光の接続損失が大きくなってしまうという問題点がある。
すなわち、以上の特許文献1及び2に開示された光増幅器における利得の監視方法では、増幅された出力光又は入力される信号光のいずれかの損失が大きくなってしまうという問題点がある。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、増幅された出力光又は入力される信号光の損失を可能な限り排除しつつ、利得を監視することが可能なファイバレーザ及び該ファイバレーザを備えたレーザ加工機を提供することにある。
本発明のファイバレーザは、前記課題を解決するために、入射される光の導波方向に延在し、希土類元素が添加されたコア部、前記導波方向に延在して前記コア部の周囲を取り囲むクラッド部、及び前記導波方向に延在して前記クラッド部の周囲を取り囲む、少なくとも1層の他のクラッド部を有する増幅用ファイバと、前記増幅用ファイバの前記コア部に添加された前記希土類元素を励起する励起光を発する励起光源と、前記増幅用ファイバの前記コア部から前記クラッド部に漏れ出した前記希土類元素の自然放出光を取り出す検出用ファイバと、前記検出用ファイバに光学的に接続され、導波された前記自然放出光の強度を検出する検出部と、を備えたファイバレーザであって、前記増幅用ファイバの前記クラッド部と前記検出用ファイバのコア部とが、光学的に接続されていることを特徴とする。
前記構成によれば、本発明のファイバレーザは、増幅用ファイバ、励起光源、検出用ファイバ、及び検出部を備える。
増幅用ファイバは、入射される光の導波方向に延在し、希土類元素が添加されたコア部、導波方向に延在してコア部の周囲を取り囲むクラッド部、及び導波方向に延在してクラッド部の周囲を取り囲む、少なくとも1層の他のクラッド部を有する。
これにより、コア部とクラッド部との界面に適切な屈折率差(又は実効屈折率差)を設けることにより、増幅光をコア部に閉じ込めることができる。また、クラッド部と他のクラッド部との界面に適切な屈折率差(又は実効屈折率差)を設けることにより、励起光をクラッド部に閉じ込めることができる。
励起光源は、増幅用ファイバのコア部に添加された希土類元素を励起する励起光を発生する。
検出用ファイバは、増幅用ファイバのコア部からクラッド部に漏れ出した希土類元素の自然放出光を取り出すものである。
検出部は、検出用ファイバに光学的に接続され、導波された自然放出光の強度を検出するものである。
これにより、増幅用ファイバのコア部からクラッド部に漏れ出した自然放出光を、検出用ファイバを介して検出できる。
また、増幅用ファイバのクラッド部と検出用ファイバのコア部とは、光学的に接続されている。
これにより、励起光源から発生する励起光を増幅用ファイバのクラッド部から入射させて、増幅用ファイバのコア部に添加された希土類元素を励起し、反転分布状態を形成させることができる。さらに、増幅用ファイバのクラッド部には、コア部に添加された希土類元素からの自然放出光が漏れ出すが、この漏れ出した光は、光学的に接続された検出用ファイバのコア部に入力され、この検出用ファイバを導波させることができる。
ここで、前記構成によれば、特許文献1に記載された光増幅器のように、増幅用ファイバの出力光(増幅光と自然放出光との合波)から自然放出光を分離する必要がないので、増幅された出力光が損失することはない。
また、増幅用ファイバのコア部から信号光を入力するような場合でも、特許文献2に記載された光増幅器のように、自然放出光を検出するラインを、信号光が入力されるラインに接続する必要はないので、入力される信号光の接続損失が大きくなってしまうこともない。
さらに、自然放出光の強度は、増幅用ファイバのコア部に添加された希土類元素の電子の励起状態を反映しているので、自然放出光の強度を検出することにより増幅用ファイバの利得を監視することができる。
以上より、増幅された出力光又は入力される信号光の損失を可能な限り排除しつつ、利得を監視することができる。
また、本発明のファイバレーザは、前記構成に加えて、前記励起光源が発する励起光の強度を制御する光強度制御部を備え、前記光強度制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記励起光源が発する励起光の強度を制御することが好ましい。
前記構成によれば、増幅用ファイバのコア部からクラッド部へ漏れ出した光には、自然放出光が含まれており、増幅用ファイバの自然放出光の強度は、利得を一定としたときにほぼ一定となる。
よって、この自然放出光を検出し、その検出結果に応じて励起光源が発する励起光の強度を制御する光強度制御部によりフィードバック回路を形成し、自然放出光の強度が一定となるように制御することによって、利得を安定化することができる。
ところで、増幅用ファイバにおいて反転分布状態が形成された場合、利得は、最初は、経過時間に応じて上昇するが、ある程度時間が経過すると、一定となる(利得飽和)。
上述したように、一般に、出力されるレーザ光の出力パワーを安定化させるために、出力されたレーザ光の出力パワーを監視し、フィードバックをかけて出力パワーを安定化させる手法が採用されることが多いが、このような手法では、励起開始直後から利得飽和まで(過渡状態)の出力パワーを制御することができない。
しかしながら、前記構成によれば、自然放出光の強度に応じて励起光源から発生する励起光の強度をフィードバック制御できるので、励起開始直後から利得飽和までの任意の大きさで利得を安定化することができ、過渡状態の出力パワーを制御することも可能となる。
また、本発明のファイバレーザは、前記構成に加えて、前記励起光源から発した励起光を導波する励起用ファイバと、前記励起用ファイバにおける励起光の出力側の端面を、前記増幅用ファイバの前記クラッド部における励起光の入力側の端面の一部に光学的に接続する光結合部と、を備え、前記光結合部において、前記検出用ファイバの自然放出光の入力側の端面が、前記増幅用ファイバの前記励起光の入力側の端面の他の部分に光学的に接続されていることが好ましい。
前記構成において、光結合部としては、例えば、信号用ファイバを増幅用ファイバのコア部に接続し、かつ、励起用ファイバを増幅用ファイバのクラッド部に接続するために用いられている従来のポンプコンバイナを利用することができる。この際、検出用ファイバは、ポンプコンバイナに設けられている励起用ファイバの接続用ポートに接続すればよい。これにより、新たな光学素子を付加することなく増幅用ファイバのクラッド部と検出部とを、検出用ファイバを介して光学的に接続することができる。すなわち、増幅用ファイバのコア部からクラッド部に漏れ出した自然放出光を極めて簡潔な構成で検出することができる。
また、その他、光結合部は、例えば、増幅用ファイバのクラッド部の光を選択的に取り出すカプラ構造であっても良い。なお、光結合部は、増幅用ファイバの一端に設けられていても良いし、増幅用ファイバの一端から他端までのいずれの位置に設けられていても良い。
また、本発明のファイバレーザは、前記構成に加えて、前記検出用ファイバがシングルモードファイバであることが好ましい。
上述した光結合部を、例えば、ポンプコンバイナとした場合、(接続用)ポートには、励起光源の光を高効率で増幅用ファイバのクラッド部に接続するために、マルチモードの大口径コアを有するファイバが用いられる。しかしながら、検出用ファイバが接続されるポートには、以下で説明するファイバカプラや、ファイバブラッグレーティング等の波長分離素子を効率的に用いるために、シングルモードファイバを検出用ファイバとして接続することが好ましい。これにより、検出部による自然放出光の検出精度をさらに高めることができる。
また、本発明のファイバレーザは、前記構成に加えて、前記検出用ファイバの一部に、前記自然放出光の長波長側の光の前記検出部への導波を抑制する波長選択素子が設けられていても良いし、前記検出部と前記検出用ファイバとの間に、前記自然放出光の長波長側の光の前記検出部への導波を抑制する波長選択素子が設けられていても良い。
前記構成によれば、自然放出光を長波長側と短波長側とで選択的に分離することができるので、検出部による自然放出光の検出精度をより高めることができる。
また、本発明のファイバレーザは、前記構成に加えて、前記波長選択素子は、前記自然放出光の長波長側の光の前記検出部への導波を抑制するポートを備えたファイバカプラであっても良い。
前記構成によれば、自然放出光の波長帯域における光を、ファイバレーザの発振波長の短波側と長波側とに分離することができる。
なお、電子は、フェルミ‐ディラック分布に従い、エネルギーの低い所、すなわち長波長側の準位から電子の存在確率が高くなっていくことが知られている。すなわち、長波長側から飽和し、短波長側は飽和しにくい傾向にある。したがって、ファイバレーザの発振波長に対応する励起準位の利得状態の検出精度を高めるためには、ファイバレーザの発振波長よりも短波長側の光を検出することが好ましい。
また、本発明のファイバレーザは、前記構成に加えて、前記検出用ファイバの一部に、前記自然放出光の長波長側の光を反射するファイバブラッググレーティングが形成されていても良いし、前記検出部と前記検出用ファイバとが、前記自然放出光の長波長側の光を反射するファイバブラッググレーティングが形成された光ファイバを介して光学的に接続されていても良い。
前記構成によれば、自然放出光の波長帯域における光のうち、ファイバレーザの発振波長の短波側の光をより多く検出部で検出することができる。
また、本発明のファイバレーザは、前記構成に加えて、前記増幅用ファイバにおいて増幅されるパルス信号光を発する信号光光源を備え、前記光強度制御部は、前記パルス信号光を構成する各パルスのピークパワーが一定となるように前記励起光の強度の制御を行っても良い。
前記構成によれば、信号光光源から発生する信号光の強度及び周期などを適宜調整することにより、増幅用ファイバの出力光の振幅及び振動数などを調整することができるので、増幅用ファイバからの出力光がパルス信号光である場合に、各パルス光のピークパワーを一定に保つことが可能となる。
また、信号光光源から発生した信号光を増幅用ファイバのコア部に結合させる構成では、信号光光源からの信号光が増幅用ファイバに入ってこない場合、増幅用ファイバで大量のエネルギーが蓄積された後に自己発振してしまい、光路上に設けられた光学素子を破壊してしまう可能性があるが、前記構成によれば、フィードバック制御により、励起光の強度を調整することが可能であるため、上述した自己発振を抑制することも可能である。
なお、必要に応じて、信号光光源を、連続発振可能な光源とし、増幅用ファイバの出力光を連続波(CW:Continuous Wave)としても良い。
また、本発明のファイバレーザは、前記構成に加えて、前記信号光光源は、光共振器を含んでおり、前記光共振器から一周期間に散逸する光エネルギーに対する、前記光共振器に蓄えられる光エネルギーの比である振幅増大係数の高低を切り替える光スイッチ素子が設けられていても良い。
光共振器及び増幅用ファイバの振幅増大係数(Q値:Quality factor)が低いと、強い反転分布状態が形成されるまでレーザ発振しない。
よって、前記構成によれば、光スイッチ素子のQ値を低くして強い反転分布状態を形成しておき(励起エネルギーを蓄積しておき)、光スイッチ素子を高いQ値に切り替えることで、一気に光を放出させて大きな出力パワーの出力光を発生させることができる。
なお、Qスイッチ動作を任意のタイミングで行う場合、利得のばらつきが生じ、光出力がばらつく可能性があるが、前記構成によれば、利得を一定に保つことが可能であるので、安定な光出力を得ることが可能である。
また、信号光光源から発生した信号光を増幅用ファイバのコア部に結合させる構成では、増幅用ファイバにおける励起開始直後の利得上昇に過渡状態が存在し、信号光が増幅されない時間(タイムラグ)が存在するため、信号光光源のみならず、増幅用ファイバにおいても光スイッチ素子を設けるなどにより反転蓄積時間を調整して安定状態にすることが好ましい。
また、本発明のレーザ加工機は、前記構成に加えて、前記ファイバレーザを光源としていることが好ましい。
ここで、コア部に希土類元素が添加された増幅用ファイバは、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザと比較して、微細加工化、小型化、及び高効率化に優れる。よって、前記構成によれば、YAGレーザを備えたレーザ加工機よりも微細加工化、小型化、高効率、及び安定性に優れるレーザ加工機を提供することができる。
本発明のファイバレーザは、以上のように、入射される光の導波方向に延在し、希土類元素が添加されたコア部、前記導波方向に延在して前記コア部の周囲を取り囲むクラッド部、及び前記導波方向に延在して前記クラッド部の周囲を取り囲む、少なくとも1層の他のクラッド部を有する増幅用ファイバと、前記増幅用ファイバの前記コア部に添加された前記希土類元素を励起する励起光を発する励起光源と、前記増幅用ファイバの前記コア部から前記クラッド部に漏れ出した前記希土類元素の自然放出光を取り出す検出用ファイバと、前記検出用ファイバに光学的に接続され、導波された前記自然放出光の強度を検出する検出部と、を備えたファイバレーザであって、前記増幅用ファイバの前記クラッド部と前記検出用ファイバのコア部とが、光学的に接続されているものである。
それゆえ、増幅された出力光又は入力される信号光の損失を可能な限り排除しつつ、利得を監視することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態であるファイバレーザ(レーザ加工機)の構成を示すブロック図である。 本発明の他の実施形態であるファイバレーザ(レーザ加工機)の構成を示すブロック図である。 前記ファイバレーザに関し、光結合部の一実施形態であるポンプコンバイナの一例の構造の詳細を示す斜視図である。 図3に示す前記ポンプコンバイナのA−A断面図である。 (a)は、前記ポンプコンバイナに関し、接続用ポートで測定した光スペクトラムを示すグラフであり、(b)は、検出用ポートで測定した光スペクトラムを示すグラフである。
本発明の一実施形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、次の通りである。
〔1.ファイバレーザ1aについて〕
まず、図1及び3に基づき、本発明の一実施形態であるファイバレーザ1a(レーザ加工機101a)の構成について説明する。図1は、ファイバレーザ1aの構成を示すブロック図である。また、図3は、図1に示すファイバレーザ1aにおけるポンプコンバイナ2の構造の詳細を示す斜視図である。
図1に示すように、ファイバレーザ1aは、光結合部の一実施形態であるポンプコンバイナ(光結合部)2、PA‐Yb(増幅用ファイバ)3、励起用ファイバ4、信号用ファイバ5A、検出用ファイバ6、MO(信号光光源)7、アイソレータ8、BPF(波長選択素子)9、合計7台のLD(励起光源)10、PD(検出部)11、A/D変換器12、電源13、制御部(光強度制御部)14、記憶部15、及び接続配線16〜18を備える。
なお、図1では、LD10については、煩雑さを避けるため、4台のLD10のみを記載し、残りの3台のLD10は省略している。
また、本実施形態のファイバレーザ1aでは、パルス光源(信号光光源)としてのMO(Master Oscillator)部としてMO7、及びPA(Power Amplifier)部としてPA‐Yb3を含むいわゆるMOPA構造を採用している。
MO7は、出力パワー1W以下のパルス光(信号光)を発生する。パルス光の繰返し周期は、5kHz〜100kHzの範囲で可変となっている。なお、パルス光のパルス幅は、本実施形態では、20nsであるが、これに限られない。例えば、繰返し周期が20kHzのときパルス幅は、57nsである。
すなわち、MO7から発生する信号光の振幅及び振動数などを適宜調整することにより、PA‐Yb3の出力光の振幅及び振動数などを調整することができる。
また、MO7は、図示しない励起光源と光共振器とを含む構成となっており、光共振器の共振方向の一端側には、光共振器の振幅増大係数(Q値:Quality factor)の高低を切り替えるQスイッチ素子(光スイッチ素子)が設けられている。
ここで、Q値は、光共振器から一周期間に散逸する光エネルギーに対する、光共振器に蓄えられる光エネルギーの比である。より具体的には、発振ピークでの発振周波数をω0、光エネルギーが、低周波数側で発振ピークの半値となる周波数をω1、高周波数側で半値となる周波数をω2とすると、Q≒ω0/(ω2−ω1)で与えられる。
光共振器のQ値が低いと、光共振器の増幅媒体に強い反転分布状態が形成されるまでレーザ発振しない。よって、Q値を低くして強い反転分布状態を形成しておき(励起エネルギーを蓄積しておき)、Qスイッチ素子(光スイッチ素子)を高いQ値に切り替えることで、一気に光を放出させて大きな出力パワーのパルス光を発生させることができる。
このようなQスイッチ動作により、PA‐Yb3に入力されるパルス光の出力を大きくすることができる。
なお、Qスイッチ素子としては、光共振器の共振方向の一端側に可飽和吸収体や光変調器を設ける場合を例示することができるが、Qスイッチ素子は、このような構成に限られない。
アイソレータ8は、共振器外部の反射点からのPA‐Yb3を導波するパルス光(又は増幅されたパルス光)の反射光が、戻り光となり信号用ファイバ5Aを介してMO7に到達し、MO7を破損することを防止するものである。
次に、PA‐Yb3は、入射されるパルス光の導波方向に延在するコア部3a、導波方向に延在してコア部3aの周囲を取り囲む第1クラッド部(クラッド部)3b、及び第1クラッド部3bの周囲を取り囲む第2クラッド部(他のクラッド部)3cを有するダブルクラッドファイバである。なお、PA‐Yb3は、本実施形態では、2層のクラッド部を有するダブルクラッドファイバを採用したが、クラッド部は、少なくとも1層であれば良く、3層以上であっても良い。また、本実施形態のPA‐Yb3の長さは、約15mである。
PA‐Yb3によれば、コア部3aと第1クラッド部3bとの界面に適切な屈折率差(又は実効屈折率差)を設けることにより、パルス光をコア部3aに閉じ込めることができる。また、第1クラッド部3bと第2クラッド部3cとの界面に適切な屈折率差(又は実効屈折率差)を設けることにより、LD10からの励起光を第1クラッド部3bに閉じ込めることができる。また、本構成によれば、コア部3aに添加されているYbの自然放出光(波長1000nm〜1100nm程度)の一部は、コア部3aから第1クラッド部3bに漏れ、その一部は、第1クラッド部3bを長さ方向に導波する。
PA‐Yb3のコア部3aは、コア径20μmであり、石英(SiO;二酸化珪素)にイットリビウムYb(希土類元素)を添加している。また、第1クラッド部3bのクラッド径は、400μm程度であり、コア部3a−第1クラッド部3bの比屈折率差は、0.1%程度である。また、第2クラッド部3cのクラッド径は、1200μm程度であり、第2クラッド部3cの屈折率は、第1クラッド部3bよりも低ければ良く、その値は、任意である。
なお、コア部3aに添加する希土類元素は、1060nm帯のレーザ出力を得る場合にはYbが好ましいが、コア部3aに添加する希土類元素は、Ybに限られず、反転分布を形成するものであれば、レーザ出力波長等に応じてEr(エルビウム)、Nd(ネオジウム)及びPr(プラセオジウム)等であっても良い。
特に、Ybは、ホストである石英に高濃度で添加でき、アップコンバージョン等の発光阻害要因も少ないため、様々な希土類元素のなかでも最も高出力化が可能な元素である。このため、PA‐Yb3は、様々な増幅用ファイバの中でも切断や溶接等の高出力を必要とする材料加工用途のレーザ加工機(例えば、レーザ加工機101a)用のレーザ光源に最も適している。
イットリビウムイオンYb3+は、1000nm帯に励起準位5/2→基底準位7/2遷移を有し、Yb3+の増幅過程は、基底準位7/2及び励起準位5/2の2準位のみが関わる3準位系である。
したがって、PA‐Yb3のイットリビウムイオンYb3+は、吸収面積の大きい波長900nm〜980nm程度の励起光で励起準位5/2を励起され、誘導放出により放出断面積の大きい波長1000nm〜1100nmで励起電子を基底準位7/2にエネルギーを放出させることでパルス光を増幅又は発振させる。なお、本実施形態では、PA‐Yb3の発振波長は、1064nm程度である。
このため、PA‐Yb3を増幅媒体としたファイバレーザは、発振波長をYAGレーザ(発振波長:1064nm)と等しくできるため、広く利用されているYAGレーザでの知見や技術、部品等をそのまま応用できるという利点がある。
光結合部の一実施形態であるポンプコンバイナ2は、図3に示すように、励起用ファイバ4、信号用ファイバ5A、及び検出用ファイバ6のそれぞれが、PA‐Yb3へのブリッジファイバ(接続部)22で部分的に一体化された構造となっている。本実施形態において、励起光を導入する励起用ファイバ4と増幅用ファイバであるPA‐Yb3との光学的な接続箇所を光結合部としている。なお、ポンプコンバイナ2の構造の詳細については、後述する。
励起用ファイバ4は、LD10の出力光(励起光)の、出力側の端面を、PA‐Yb3の第1クラッド部3bにおける、LD10の出力光の、入力側の端面の一部に光学的に接続し、LD10の出力光を第1クラッド部3bに導入させる。励起用ファイバ4のコア部4aのコア径は、105μm程度であり、クラッド部4bのクラッド径は、125μm程度であり、コア部4a‐クラッド部4b間の比屈折率差は、0.55%程度である。
一方、信号用ファイバ5Aは、PA‐Yb3のコア部3aとMO7とを光学的に接続し、MO7の出力光(信号光)をコア部3aに導入させる。信号用ファイバ5Aのコア部5aのコア径は、20μm程度であり、クラッド部5bクラッド径は、400μm程度であり、コア部5a−クラッド部5b間の比屈折率差は、0.1%である。
LD10は、PA‐Ybのコア部3aに添加されたYbを励起する波長915nmの励起光を発生する。LD10は、例えば、半導体レーザである。PA‐Yb3へ入力させる励起光パワーを35Wとするため、出力パワー5WのLD10を7台使用している。なお、LD10の台数は、本実施形態のポンプコンバイナ2のポート数が8であるため7台としたが、ファイバレーザ1aに要求されるパワーの仕様に応じて、LD10は、6台以下であっても良い。また、ポンプコンバイナ2のポート数が、8より多い場合には、LD10をポンプコンバイナ2のポート数−1台設ける構成としても良い。
これにより、LD10が出力する励起光は、PA‐Yb3の第1クラッド部3bから入射されてPA‐Yb3のコア部3aに添加されたYbを励起させる。Ybは、励起により反転分布状態となり、PA‐Yb3のコア部3aに入射されるパルス光(信号光)を誘導放出により増幅してパルス光(パルス信号光)Lとして出力する。
検出用ファイバ6は、自然放出光の入力側である一方の端面をポンプコンバイナ2の空きポートに接続させる。検出用ファイバ6の他方の端面は、PD11に光学的に接続される。このポンプコンバイナ2の空きポート(励起光源が接続されていないポート)は、PA‐Yb3の第1クラッド部3bに光学的に接続されているので、PA‐Yb3のコア部3aから第1クラッド部3bに漏れ出した自然放出光は、PD11に導かれる。すなわち、PA‐Yb3の第1クラッド部3bには、コア部3aに添加されたYbからの自然放出光が漏れ出すが、この漏れ出した光は、光学的に接続された検出用ファイバ6のコア部6aに入力され、この検出用ファイバ6を導波させることができる。
PD11は、この自然放出光を受光して、強度に応じた検出電圧(又は検出電流)を出力する。PD11は、例えば、フォトダイオードであるが、自然放出光を受けて、その強度に応じた電流もしくは電圧信号を出力する素子であれば、フォトダイオード以外の光電素子であってもよい。
なお、検出用ファイバ6のコア部6aのコア径は、10μm程度であり、クラッド部6bのクラッド径は、125μm程度であり、コア部6a−クラッド部6b間の比屈折率差は、0.1%程度である。これにより、PA‐Yb3のコア部3aから第1クラッド部3bに漏れ出した自然放出光を、検出用ファイバ6を介して検出できる。
また、検出用ファイバ6は、シングルモードファイバであることが好ましい。
例えば、ポンプコンバイナ2の(接続用)ポートには、LD10の光を高効率でPA‐Yb3の第1クラッド部3bに接続するために、マルチモードの大口径コアを有するファイバが用いられる。しかしながら、検出用ファイバ6が接続されるポートには、以下で説明するWDMカプラや、ファイバブラッグレーティング等の波長分離素子を効率的に用いるために、シングルモードファイバを検出用ファイバ6として接続することが好ましい。これにより、PD11による自然放出光の検出精度をさらに高めることができる。
なお、図1に示すように、検出用ファイバ6と、PD11との間に所定の波長のみ選択的に通過させる波長分離素子であるBPF9を設けることが好ましい。
本実施形態では、BPF9としてファイバカプラ方式のWDMカプラを用いている。本実施形態のWDMカプラは、自然放出光の波長帯域(1000nm〜1100nm)における波長1030nm(第1波長)の光に対する透過率が高く、自然放出光の波長帯域における第1波長より長波長の波長1060nm(第2波長)の光に対する透過率が低い第1導波路(1030nmポート)と、波長1060nmの光に対する透過率が高く、波長1030nmの光に対する透過率が低い第2導波路(1060nmポート)とを有する。このWDMカプラの波長1060nmの光と、波長1030nmの光との分岐比は、20dB程度である。
これにより、自然放出光(波長帯域:1000nm〜1100nm)のうち、ファイバレーザ1aの発振波長(信号光:波長1060nm近傍の光)より長波長側の光を抑制して、ファイバレーザ1aの発振波長より、短波長の波長1030nm近傍の光のみ選択的にPD11に受光させることができる。
ここで、自然放出光のうち、ファイバレーザ1aの発振波長より短波長の自然放出光のみをPD11で受光することの、メリットについて説明する。電子の存在確率はフェルミ‐ディラック分布に従うため、励起エネルギー準位のうち、エネルギーの低い所、すなわち長波長側の準位(低エネルギー側)から占められることが知られている。すなわち、励起によって、長波長側の励起準位は飽和(準位が占められる)しやすいため、自然放出光のうち、この飽和しやすい準位に対応する長波長側の自然放出光の強度は、所定の励起レベルを越えると飽和してしまう。一方、短波長側の励起準位(高エネルギー側の準位)は飽和(準位が占められる)しにくい。このため、増幅媒体の発振波長に対応する利得は、自然放出光の長波長側の強度より短波長側の強度に強く相関がある。したがって、利得状態の検出感度を高めるためには、ファイバレーザ1aの発振波長よりも短波長側の光を検出することが好ましい。なお、BPF9は、自然放出光をのうち、短波長側の波長帯域の光を選択的に分離できる波長分離素子であれば、どのような素子であっても良い。
本実施形態では、ファイバレーザ1aの発振波長は、1064nmであるから、WDMカプラの第1導波路(1030nmポート)側をPD11に接続する。
ところで、WDMカプラは、割合は小さいものの、第1導波路から検出される光には、第1波長近傍の光だけでなく、第2波長近傍の光も含まれ、第2導波路から検出される光には、第2波長近傍の光だけでなく、第1波長近傍の光も含まれる。
そこで、本実施形態のファイバレーザ1aでは、さらにファイバカプラの第1導波路に波長1060nmの光を反射するファイバブラッググレーティング(以下、単に「ブラックグレーティング」という)が接続されていることが好ましい。
なお、ブラッググレーティングは、波長1060nmの光を−20dB程度反射するように形成される。
これにより、第1導波路から出力される波長1060nm帯の光の割合をより小さくすることができる。自然放出光のうち、利得に相関が高い帯域の自然放出光のみを選択的に検出できるので利得の検出感度をさらに高めることができる。具体的には、波長1060nm帯の光と、波長1030nm帯の光との分岐比は、40dB程度となる。
A/D変換器12は、検出電圧(又は検出電流)のようなアナログ信号をデジタルデータ(以下、検出データと称する)に変換して、制御部14に入力する。
電源13は、制御部14から出力される制御信号に基づいて、7台のLD10に電流を供給し、LD10の光出力を制御する。
接続配線16は、LD10と電源13とを接続する配線であり、接続配線17は、電源13と制御部14とを接続する配線である。また、接続配線18は、PD11と制御部14と接続する配線であり、PD11は、A/D変換器12を介して制御部14に接続されている。
制御部14は、電源制御部(光強度制御部)14a、及び比較部14bから構成される。比較部14bは、PD11から取得した検出データと記憶部15に記録されている基準値データとを比較し、比較結果に応じた信号を電源制御部14aに出力する。電源制御部14aは、比較部14bから取得した信号に基づき、電源13に制御信号を出力する。
記憶部15は、PA‐Yb3の利得とPD11が受光する自然放出光強度との関係を記憶する。ここで、PA‐Yb3の利得は、LD10の出力光パワーの関数であり、LD10の出力光パワーは、電源13の出力電流の関数である。基準値は、所定の信号光入力の場合に所定の光出力パワーが得られる励起状態とさせるためのLD10の駆動電流を基準電流とし、その励起状態においてPD11が受光する自然放出光強度を基準光量として予め定められる。
次に、ファイバレーザ1aの動作について説明する。PD11は、PA‐Yb3の自然放出光強度を観測して、その強度に応じた信号をA/D変換器12に出力する。A/D12は、入力信号を検出データに変換して、制御部14に出力する。制御部14は、検出データが、記憶部15が記憶している基準光量よりも小さい場合には、電源13に基準電流よりも大きい電流を7台のLD10に供給するように指示し、検出データが基準光量に近づくようにフィードバック制御する。
一方、制御部14は、検出データが、記憶部15が記憶している基準光量よりも大きい場合には、電源13に基準電流よりも小さい電流を7台のLD10に供給するように指示し、検出データが基準光量に近づくようにフィードバック制御する。
これにより、制御部14は、PD11が検出する自然放出光強度が所定の強度となるようにフィードバック制御するので、PA‐Yb3の利得を所定の値に制御することができる。
例えば、MO7から発生する信号光の強度及び周期などを適宜調整することにより、PA‐Yb3の出力光の振幅及び振動数などを調整することができるので、PA‐Yb3からの出力光がパルス信号光である場合に、各パルス光の強度(積分エネルギー)を一定に保つことが可能となる。
以上より、PA‐Yb3の利得(出力パワー)が安定化した各パルス光のレーザ発振が可能となる。すなわち、ファイバレーザ1aから出力される各パルス光の強度、及びピークパワーを一定に保つことが可能となる。
また、MO7から発生した信号光をPA‐Yb3のコア部3aに結合させる構成では、MO7からの信号光がPA‐Yb3に入ってこない場合、PA‐Yb3で大量のエネルギーが蓄積された後に自己発振してしまい、光路上に設けられた光学素子を破壊してしまう可能性があるが、上述したフィードバック制御により、LD10の強度を調整することが可能であるため、上述した自己発振を抑制することも可能である。
なお、必要に応じて、MO7を、連続発振可能な光源とし、PA‐Yb3の出力光を連続波(CW:Continuous Wave)としても良い。
以上のような、ファイバレーザ1aによれば、特許文献1に記載された光増幅器のように、PA‐Yb3の出力光(増幅されたパルス光と自然放出光との合波)から自然放出光を分離する必要がなく、自然放出光を検知できるので、増幅されたパルス光が損失することはない。
また、特許文献2に記載された光増幅器のように、自然放出光を検出する検出用ファイバ6を、パルス光が入力される信号用ファイバ5Aに接続する必要はないので、入力されるパルス光の接続損失が大きくなってしまうこともない。
以上より、増幅されたパルス光の損失を可能な限り排除しつつ、利得を制御することができる。
また、MOPA構造のファイバレーザでは、MOからのパルス光がPA‐Yb3に入ってこない場合に、励起を継続してしまうと、PA‐Yb3の利得が大きくなりすぎて自己発振してしまい、光路上に設けられた光学素子を破壊してしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態のファイバレーザ1aによれば、フィードバック制御により、PA‐Yb3の利得を所定のレベルに制御できるので、上述した自己発振を抑制することも可能である。
また、以上のように、本実施形態のファイバレーザ1aは、PA‐Yb3を用いているので、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザと比較して光軸調整が原理的に不要であり、耐候及び耐埃性が高い。
さらに、PA‐Yb3は、直径が最大でも数百μmであり、所望の出力まで増幅するには数mの長さを使用するため、YAGレーザの増幅媒体である結晶ロッド(数mmφ×数cm長)に比べて増幅媒体の比表面積が非常に大きい。このため、冷却効率が高く、冷却機構を簡素化できるので、装置を小型化でき可搬性が高いほか、レーザ出力パワーの制限要因である熱レンズ効果の影響を実用上無視できるという利点もある。
また、ファイバレーザ1aでは、PA‐Yb3、励起用ファイバ4、及び信号用ファイバ5Aをすべてシングルモードタイプとすることで、完全単一横モード(LP01)でのレーザ発振が可能である。また、発振モードと、出力光をレンズでどこまで集光できるかを表すビーム品質(M)とは密接な関係があり、完全なLP01単一横モード発振のPA‐Yb3では、ビーム品質の理論的限界であるM=1の出力光を得ることができる。したがって、ファイバレーザ1aは、究極の微細レーザ光源といえ、この点からも微細化の要求の高いレーザマーキング等に最適である。
また、本実施形態のファイバレーザ1aは、後で説明するようにポンプコンバイナ2の励起用ポート(P1〜P8)の空きポートを検出用ポートP8としているので、特許文献1及び2に記載された光増幅器と比較して回路構成が簡単になる。
以上より、ファイバレーザ1aは、各パルスや過渡状態での安定性に優れるので、ファイバレーザ1aをレーザ加工機101aとして用いれば、過渡状態での安定性に優れるレーザ加工機101aとなる。
以上、本発明の実施形態に係るファイバレーザ1aの動作について、励起光強度が変化して利得が変動する場合について説明したが、励起光強度が一定であっても、信号光によっても励起状態が変化して利得が変わる場合がある。例えば、励起が一定の状態で強い信号光が入射されると、強い誘導放出が起こり、一時的に励起準位にある電子の数が減少して、利得も一時的に減少する。このような場合であっても、本発明の実施形態に係るファイバレーザ1aでは、過渡的な励起準位にある電子の数が減少、すなわち、自然放出光の減少を検知して、一時的に励起光強度を増やし、利得を所定レベルに保つように制御することができる。
このような信号光(共振器内のレーザ光)の強度変動による利得の変動の補償をする機能は、MOPA方式のファイバレーザにおいて、MO部7が連続光出力をし、PA部がQスイッチ素子を備えるQスイッチレーザにおいて、パルス間のピーク強度を安定化する構成において特に有用である。
また、Qスイッチ素子のスイッチングを制御するスイッチング制御部が、制御部14における制御信号に基づいてスイッチングを制御する構成も好ましい。この場合、Qスイッチ発振は、PA‐Yb3の利得が所定の値となった場合のみ起こすことができるので、出力光パルス強度のばらつきを抑制することができる。
〔2.ファイバレーザ1bについて〕
まず、図2及び3に基づき、本発明の他の実施形態であるファイバレーザ1b(レーザ加工機101b)の構成について説明する。図2は、ファイバレーザ1bの構成を示すブロック図である。また、図3は、図2に示すファイバレーザ1bにおけるポンプコンバイナ2の構造の詳細を示す斜視図である。
なお、本実施形態のファイバレーザ1bは、以下で説明する構成以外は、上述したファイバレーザ1aと同じである。
本実施形態のファイバレーザ1bは、MOPA構造ではなく、PA部のみのファイバレーザとなっている点が異なっている。すなわち、MO7、信号用ファイバ5A、及びアイソレータ8が存在していない。代わりとして、ON−OFF状態を制御するSW(光スイッチ素子)19を有している。
なお、SW19は、PA‐Yb3の出射端側に、PA‐Yb3から一周期間に散逸する光エネルギーに対する、PA‐Yb3に蓄えられる光エネルギーの比である振幅増大係数の高低を切り替える光スイッチ素子(Qスイッチ素子)である。
本実施形態のファイバレーザ1bは、上述したファイバレーザ1aにおいて信号用ファイバ5Aが、FBG‐PA‐Yb(増幅用ファイバ)5Bで置換された構造となっている。なお、FBG‐PA‐Yb5Bは、上述した信号用ファイバ5Aと同一構成の光ファイバであっても良く、PA‐Yb3を構成する光ファイバの励起光の入力側が延長された増幅用ファイバの一部であっても良く、その場合は、PA‐Yb3と同一構成の光ファイバとなる。
また、ファイバレーザ1bのFBG‐PA‐Yb5Bの一端側(図2の左側)には、高反射ファイバグレーティング(FG‐a)が形成されており、ファイバレーザ1bのPA‐Yb3の出力端部側(図2の右側)には、低反射ファイバグレーティング(FG‐b)が形成されており、FBG‐PA‐Yb5B及びPA‐Yb3で単一のファイバレーザ共振器を構成している。
なお、FBG‐PA‐Yb5Bと、PA‐Yb3との接続状態は、図3及び4に示すとおりであり、ファイバレーザ1aの信号用ファイバ5Aと、PA‐Yb3との接続状態と同様である。
ところで、ファイバレーザ1bの立ち上げ時、すなわち、LD10の立ち上げ時には、FBG‐PA‐Yb5B及びPA‐Yb3(増幅用ファイバ)において反転分布状態が形成され始めると、経過時間に応じて利得が上昇するが、ある程度時間が経過すると、一般に一定となる(利得飽和)ため、ファイバレーザ1bの定常状態での利得は、利得飽和以下である。
上述したように、出力されるレーザ光の出力パワーを安定化させるために、出力されたレーザ光の出力パワーを監視し、フィードバックをかけて出力パワーを安定化させる方法が知られているが、このような方法では、レーザ光が出力されていない励起開始直後の利得状態が制御されておらず、過渡状態では出力パワーが弱くなってしまう。
しかしながら、本実施形態のファイバレーザ1bによれば、自然放出光の強度に応じて励起光の強度をフィードバック制御できるので、利得飽和までの任意の利得状態とすることができる。これにより、出力光パワーのばらつきを抑制したパルス光Lのレーザ発振が可能となる。すなわち、ファイバレーザ1bから出力される各パルス光Lの強度を一定に保つことが可能となる。
また、本実施形態のファイバレーザ1bによれば、パルス発振光出力直後等、何らかの原因により励起状態(励起準位にある電子数)が過渡的に変化した場合であっても、自然放出光の強度が所定の強度になるように励起光強度を制御するので、パルス発振間の強度のばらつきを抑制することができる。
また、本実施形態のファイバレーザ1bにおいても、Qスイッチ素子のスイッチングを制御するスイッチング制御部が、制御部14における制御信号に基づいてスイッチングを制御する構成も好ましい。この場合、Qスイッチ発振は、PA‐Yb3の利得が所定の値となった場合のみ起こすことができるので、出力光パルス強度のばらつきを抑制することができる。
また、本実施形態のファイバレーザ1bは、ポンプコンバイナ2の励起用ポート(P1〜P8)の空きポートを検出用ポートP8としているので、特許文献1及び2に記載された光増幅器と比較して回路構成が簡単になる。
さらに、ファイバレーザ1bは、微細加工化、小型化、及び高効率化に優れるので、ファイバレーザ1bをレーザ加工機101bとして用いれば、YAGレーザを備えたレーザ加工機よりも微細加工化、小型化、及び高効率化に優れるレーザ加工機101bとなる。なお、その他の作用効果などについては、ファイバレーザ1aと同様である。
〔3.光結合部の構成〕
次に、図3及び4に基づき、ファイバレーザ1a及びファイバレーザ1bにおける光結合部の一例であるポンプコンバイナ2について説明する。図4は、図3に示すポンプコンバイナ2のキャピラリ21におけるA−A断面図である。
図3に示すように、ポンプコンバイナ2は、パルス光(光)の導波方向に延在する中心の信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)、パルス光の導波方向に延在し、信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)を取り囲む、複数の励起用ファイバ4、及び1本の検出用ファイバ6、並びに、キャピラリ21及びブリッジファイバ22を備える。
キャピラリ21は、励起用ファイバ4、信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)、及び検出用ファイバ6が挿入される複数の貫通孔(細孔)を有する多孔石英管であり、図4に示すように、キャピラリ21の中心に設けた1個の空孔を取り囲む配置で8個の空孔が設けられている断面構造を有する。また、キャピラリ21は、石英やドーパントが添加された石英などから構成される。
キャピラリ21の中心の空孔には、信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)が嵌挿され、これをMO7からのパルス光を導光する接続用ポートP0としている。
また、接続用ポートP0の周囲に配置された8個の空孔のうち、7つの空孔には、励起用ファイバ4が嵌挿され、パルス光を増幅するための励起光を導波する励起用ポートP1〜P7としている。また、接続用ポートP0の周囲に配置された8個の空孔のうち、1つの空孔には、検出用ファイバ6が嵌挿され、自然放出光を検出する検出用ポートP8としている。
上述した1本の信号用ファイバ5Aを接続用ポートP0に、7本の励起用ファイバ4を励起用ポートP1〜P7に、1本の検出用ファイバ6を検出用ポートP8に嵌挿し、キャピラリ21を加熱することで、キャピラリ21と各ファイバ間の空隙を収縮及び溶融一体化している。
このような、キャピラリ21を用いることにより、励起用ポートP1〜P7の変形を抑制し、励起光の損失の低減を図ることができる。
ブリッジファイバ22は、断面の中心軸に沿って、コア部22aが延在しており、中心軸に沿う方向に延在し、コア部22aの周囲を取り囲む光閉じ込め導波路部23、中心軸に沿う方向に延在し、光閉じ込め導波路部23の周囲を取り囲む第1クラッド部22b、中心軸に沿う方向に延在し、第1クラッド部22bの周囲を取り囲む第2クラッド部22cを備える。
ブリッジファイバ22の断面の外径は、手前側から奥側(図3の左下側から右上側)に進むにつれてテーパ状に縮径されており、コア部22aのコア径、第1クラッド部22bのクラッド径、及び第2クラッド部22cのクラッド径は、ファイバ融着端部24の奥側の端面で、それぞれコア部3aのコア径、第1クラッド部3bのクラッド径、及び第2クラッド部3cのクラッド径と同一となり、コア部22aとコア部3aとが一致するようにファイバ融着端部24とPA‐Yb3とが融着されている。
また、光閉じ込め導波路部23は、手前側の端面からファイバ融着端部24の奥側の端面まで、テーパ状に縮径されてコア部22aの周囲を取り囲むように形成されている。
光閉じ込め導波路部23の屈折率は、第1クラッド部22bの屈折率よりも高く、コア部22aの屈折率よりも低くなっていれば良い。
次に、キャピラリ21は、信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)のコア部5aとブリッジファイバ22のコア部22aとが一致するように接続され、励起用ファイバ4及び検出用ファイバ6は、それぞれ、ブリッジファイバ22の第1クラッド部22bに接続されて、キャピラリ融着端部25にてブリッジファイバ22と融着されている。
以上のポンプコンバイナ2によれば、キャピラリ21を介してブリッジファイバ22に入射されたパルス光は、ファイバ外径が縮径されるにつれてシングルモードを維持しつつモードフィールド径(MFD)を拡大しながら導波する。また、最終的にブリッジファイバ22を導波するパルス光のMFDが、PA‐Yb3のMFDとほぼ同程度となったところでPA‐Yb3と溶融接続される。このように、MFDが、導波方向に徐々にマッチングされることにより、ポンプコンバイナ2でのパルス光及び励起光の挿入損失の低減を図っている。より具体的には、上述したファイバレーザ1aでは、パルス光の挿入損失が2.1dB、励起光の挿入損失が、0.18dBである。
本実施形態のポンプコンバイナ2では、反射光が励起用ファイバ4又は検出用ファイバ6に入射することを回避する構成としてブリッジファイバ22に光閉じ込め導波路部23を設けている。
なお、ブリッジファイバ22において、反射光が励起用ファイバ4又は検出用ファイバ6に入射することを回避する構成としては、次の形態a及びbがある。
形態a:キャピラリ21の屈折率が信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)のクラッド部5b(又は検出用ファイバ6のクラッド部6b)の屈折率よりも低い形態。
この場合、キャピラリ21が信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)に対して光の閉じ込め効果を有することになる。このため、キャピラリ21の屈折率と、励起用ファイバ4のクラッド部4b(又は検出用ファイバ6のクラッド部6b)の屈折率との大小関係は任意であり、キャピラリ21が励起用ファイバ4のクラッド部4b(又は検出用ファイバ6のクラッド部6b)より屈折率が高くても、低くても、あるいは同じでも良い。
この形態では、キャピラリ21が光閉じ込め導波路の機能を果たすため、ブリッジファイバ22の光閉じ込め導波路部23と合わせると、光閉じ込め導波路がPA‐Yb3との接続部から、励起用ファイバ4、信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)、及び検出用ファイバ6のそれぞれが分離するキャピラリ融着端部25まで連続的に形成されたものとなる。
形態b:キャピラリ21の屈折率が信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)のクラッド部5bの屈折率と同じであり、励起用ファイバ4のクラッド部4b(又は検出用ファイバ6のクラッド部6b)がキャピラリ21の屈折率よりも低い形態。
この場合、励起用ファイバ4のクラッド部4b(又は検出用ファイバ6のクラッド部6b)が信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)及びキャピラリ21に対して光の閉じ込め効果を有することになる。
この形態では、キャピラリ21とブリッジファイバ22との間で接続損失が発生すると、反射光がキャピラリ21に結合する可能性があるが、励起用ファイバ4のクラッド部4b(又は検出用ファイバ6のクラッド部6b)がキャピラリ21に対して光の閉じ込め効果を有するので、光が励起用ファイバ4(又は検出用ファイバ6)に結合することを抑制することができる。
前記形態a、及びbのいずれの構成においても、ブリッジファイバ22に設けた光閉じ込め導波路部23の直径(外径)は、信号用ファイバ5A(FBG‐PA‐Yb5B)の外径(クラッド径)よりも小さいことが望ましい。仮に、光閉じ込め導波路部23の直径の方が大きいと、光閉じ込め導波路部23内に閉じこめられた反射光(不要光)がキャピラリ融着端部25で励起用ファイバ4又は検出用ファイバ6に結合するからである。
なお、本実施形態のポンプコンバイナ2では、光閉じ込め導波路部23の直径は、30μm程度である。
本実施形態のポンプコンバイナ2において、ブリッジファイバ22のコア部22aの周囲に光閉じ込め導波路部23を設けたことによって、励起用ファイバ4からの励起光を効率的にPA‐Yb3のコア部3aに集めることが可能となる。PA‐Yb3による光増幅の場合、第1クラッド部3bに均一に分布する励起光を効率的にコア部3aで吸収するのは、非常に重要である。この励起光をコア部3aに集めることが可能であれば(吸収はコア部3aでしか起こらないので)効率的に励起光を吸収することが可能となる。
なお、以上の構成では、光閉じ込め導波路部23は、ブリッジファイバ22のみに設けられている。よって、PA‐Yb3のコア部3aから第1クラッド部3bに漏れた自然放出光は、ブリッジファイバ22の第1クラッド部22bを介して、検出用ファイバ6に入射する。
よって、本実施形態のポンプコンバイナ2によれば、外部の反射点からの反射光がPA‐Yb3を介して、励起用ファイバ4又は検出用ファイバ6に到達することを回避しつつ、検出用ファイバ6から自然放出光を精度良く検出することができる。
なお、ポンプコンバイナは、本実施形態のポンプコンバイナ2のような構造のものに限られない。例えば、信号用ファイバ5A又はFBG‐PA‐Yb5BをPA‐Yb3のコア部3aに接続し、かつ、励起用ファイバ4をPA‐Yb3の第1クラッド部3bに接続するために用いられている従来のポンプコンバイナを利用することができる。この際、検出用ファイバ6は、ポンプコンバイナに設けられている励起用ファイバ4の接続用ポート(励起用ポート)に接続すれば良い。
更に光結合部としてはポンプコンバイナに限られるものではなく、PA−Yb3の第1クラッド部3bの光を選択的に取り出す機能を有するカプラ構造であっても良い。これにより、新たな光学素子を付加することなく第1クラッド部3bとPD11とを光学的に接続することができる。すなわち、PA‐Yb3のコア部3aから第1クラッド部3bに漏れ出した自然放出光を極めて簡潔な構成で検出することができる。
〔4.検出部からの検出結果について〕
次に、図5に基づき、上述したファイバレーザ1aのポンプコンバイナ2の接続用ポートP0、及び検出用ポートP8(又は励起用ポートP1〜P7)における光スペクトラムの測定結果について説明する。
図5(a)は、接続用ポートP0で測定した光スペクトラムを示すグラフであり、図5(b)は、検出用ポートP8(又は励起用ポートP1〜P7)で測定した光スペクトラムを示すグラフである。
図5(a)に示すグラフでは、自然放出光の波長帯域の1000nm〜1100nmのうち、約1000nm〜1030nmの範囲では、雑音がひどく、ほとんど自然放出光が検出されていないのに対し、図5(b)に示すように本実施形態に係るファイバレーザでは、約1000nm〜1030nmの範囲で必要な強度の自然放出光を検出して、制御に用いることができる。
自然放出光強度は前述のように、励起準位にある電子数に比例する。フェルミ-ディラック分布より、長波側のエネルギー準位から占有されるため、図5(a)及び(b)の場合、1030nm付近のエネルギー準位には電子が十分存在しておらず、誘導放出される割合よりも吸収される割合が大きい状態であると考えられる。そして、接続用ポート、検出用ポート(又は接続用ポート)共に自然放出光が出力される。
ポンプコンバイナ2の接続用ポートP0を導波する自然放出光はコアの希土類添加領域を導波するため、1030nm付近の自然放出光は再吸収される確率が高いが、ポンプコンバイナ2の検出用ポートP8(又は接続用ポートP1〜P7)を導波する自然放出光は希土類添加領域を導波する割合が低いため、1030nm付近の自然放出光は再吸収されにくく、発振波長の短波側の自然放出光の検出強度が高くなる。
以上の結果は、上記特許文献1及び2のように、ファイバ型光増幅器のコア部から自然放出光を検出する構成よりも、本実施形態のファイバレーザ1aの検出用ポートP8から自然放出光を検出する構成の方が、検出感度が高い(より弱い励起状態であっても自然放出光を検知することができる)ことを示している。
最後に、ファイバレーザ1a及びファイバレーザ1bの各ブロック、特に、制御部14(電源制御部14a及び比較部14b)は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、ファイバレーザ1a及びファイバレーザ1bは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。
そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるファイバレーザ1a及びファイバレーザ1bの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記ファイバレーザ1aに供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU<micro processing unit>)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO(magneto-optic)/MD(magnetic disk)/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(Erasable Programmable ROM)/EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組合せて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、利得の安定性が要求される光増幅器に適用することができる。例えば、光通信システムにおけるブースタアンプ、インラインアンプ及びプリアンプ等の各種増幅器や、表面改質加工、溶接加工、及び除去加工機能を有するレーザ加工機用のレーザ光源等に広く適用することができる。
1a,1b ファイバレーザ
2 ポンプコンバイナ(光結合部)
3 PA‐Yb(増幅用ファイバ)
3a コア部
3b 第1クラッド部(クラッド部)
3c 第2クラッド部(他のクラッド部)
4 励起用ファイバ
4a コア部
4b クラッド部
5A 信号用ファイバ
5B FBG‐PA‐Yb(増幅用ファイバ)
5a コア部
5b クラッド部
6 検出用ファイバ
6a コア部
6b クラッド部
7 MO(信号光光源)
8 アイソレータ
9 BPF(波長選択素子)
10 LD(励起光源)
11 PD(検出部)
12 A/D変換器
13 電源
14 制御部(光強度制御部)
14a 電源制御部(光強度制御部)
14b 比較部
15 記憶部
16〜18 接続配線
21 キャピラリ
22 ブリッジファイバ
22a コア部
22b 第1クラッド部
22c 第2クラッド部
23 光閉じ込め導波路部
24 ファイバ融着端部
25 キャピラリ融着端部
101a,101b レーザ加工機
L パルス光(パルス信号光)
P0 接続用ポート
P1〜P7 励起用ポート
P8 検出用ポート

Claims (12)

  1. 入射される光の導波方向に延在し、希土類元素が添加されたコア部、前記導波方向に延在して前記コア部の周囲を取り囲むクラッド部、及び前記導波方向に延在して前記クラッド部の周囲を取り囲む、少なくとも1層の他のクラッド部を有する増幅用ファイバと、
    前記増幅用ファイバの前記コア部に添加された前記希土類元素を励起する励起光を発する励起光源と、
    前記増幅用ファイバの前記コア部から前記クラッド部に漏れ出した前記希土類元素の自然放出光を取り出す検出用ファイバと、
    前記検出用ファイバに光学的に接続され、導波された前記自然放出光の強度を検出する検出部と、
    を備えたファイバレーザであって、
    前記増幅用ファイバの前記クラッド部と前記検出用ファイバのコア部とが、光学的に接続されていることを特徴とするファイバレーザ。
  2. 請求項1に記載のファイバレーザであって、
    前記励起光源が発する励起光の強度を制御する光強度制御部を備え、
    前記光強度制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記励起光源が発する励起光の強度を制御することを特徴とするファイバレーザ。
  3. 請求項1又は2に記載のファイバレーザであって、
    前記励起光源から発した励起光を導波する励起用ファイバと、
    前記励起用ファイバにおける励起光の出力側の端面を、前記増幅用ファイバの前記クラッド部における励起光の入力側の端面の一部に光学的に接続する光結合部と、
    を備え、
    前記光結合部において、前記検出用ファイバの自然放出光の入力側の端面が、前記増幅用ファイバの前記励起光の入力側の端面の他の部分に光学的に接続されていることを特徴とするファイバレーザ。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載のファイバレーザであって、
    前記検出用ファイバがシングルモードファイバであることを特徴とするファイバレーザ。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載のファイバレーザであって、
    前記検出用ファイバの一部に、前記自然放出光の長波長側の光の前記検出部への導波を抑制する波長選択素子が設けられていることを特徴とするファイバレーザ。
  6. 請求項1から4までのいずれか1項に記載のファイバレーザであって、
    前記検出部と前記検出用ファイバとの間に、前記自然放出光の長波長側の光の前記検出部への導波を抑制する波長選択素子が設けられていることを特徴とするファイバレーザ。
  7. 請求項5又は6に記載のファイバレーザであって、
    前記波長選択素子は、前記自然放出光の長波長側の光の前記検出部への導波を抑制するポートを備えたファイバカプラであることを特徴とするファイバレーザ。
  8. 請求項1から4までのいずれか1項に記載のファイバレーザであって、
    前記検出用ファイバの一部に、前記自然放出光の長波長側の光を反射するファイバブラッググレーティングが形成されていることを特徴とするファイバレーザ。
  9. 請求項1から4までのいずれか1項に記載のファイバレーザであって、
    前記検出部と前記検出用ファイバとが、前記自然放出光の長波長側の光を反射するファイバブラッググレーティングが形成された光ファイバを介して光学的に接続されていることを特徴とするファイバレーザ。
  10. 請求項2に記載のファイバレーザであって、
    前記増幅用ファイバにおいて増幅されるパルス信号光を発する信号光光源を備え、
    前記光強度制御部は、前記パルス信号光を構成する各パルスのピークパワーが一定となるように前記励起光の強度の制御を行うことを特徴とするファイバレーザ。
  11. 請求項10に記載のファイバレーザであって、
    前記信号光光源は、光共振器を含んでおり、前記光共振器から一周期間に散逸する光エネルギーに対する、前記光共振器に蓄えられる光エネルギーの比である振幅増大係数の高低を切り替える光スイッチ素子が設けられていることを特徴とするファイバレーザ。
  12. 請求項1から11までのいずれかに記載のファイバレーザを光源としていることを特徴とするレーザ加工機。
JP2010198640A 2010-09-06 2010-09-06 ファイバレーザ及びレーザ加工機 Pending JP2012059746A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010198640A JP2012059746A (ja) 2010-09-06 2010-09-06 ファイバレーザ及びレーザ加工機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010198640A JP2012059746A (ja) 2010-09-06 2010-09-06 ファイバレーザ及びレーザ加工機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012059746A true JP2012059746A (ja) 2012-03-22

Family

ID=46056553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010198640A Pending JP2012059746A (ja) 2010-09-06 2010-09-06 ファイバレーザ及びレーザ加工機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012059746A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013239672A (ja) * 2012-05-17 2013-11-28 Panasonic Corp ファイバレーザ発振器
WO2014024526A1 (ja) * 2012-08-08 2014-02-13 株式会社フジクラ ファイバレーザ装置
JP2014192469A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Furukawa Electric Co Ltd:The ファイバ構造および光ファイバ接続構造
JP2015149369A (ja) * 2014-02-05 2015-08-20 株式会社フジクラ ファイバレーザ装置
JP2018129452A (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 古河電気工業株式会社 光ファイバレーザ装置およびその制御方法
JP2021082748A (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 株式会社フジクラ レーザ装置

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05226754A (ja) * 1992-02-10 1993-09-03 Fujitsu Ltd 光増幅器
JPH05283787A (ja) * 1992-03-31 1993-10-29 Anritsu Corp 光増幅器
JPH07115240A (ja) * 1993-10-15 1995-05-02 Mitsubishi Electric Corp 光ファイバ増幅器
JPH11251669A (ja) * 1998-03-02 1999-09-17 Nec Corp 光増幅器の利得制御方法および光増幅器
JP2007042981A (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Fujikura Ltd 光ファイバレーザ、光ファイバ増幅器、mopa方式光ファイバレーザ
JP2007096041A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Sumitomo Electric Ind Ltd レーザ光源
JP2008010804A (ja) * 2006-05-30 2008-01-17 Fujikura Ltd マルチポートカプラ、光増幅器及びファイバレーザ
JP2009212441A (ja) * 2008-03-06 2009-09-17 Fujikura Ltd ポンプコンバイナ

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05226754A (ja) * 1992-02-10 1993-09-03 Fujitsu Ltd 光増幅器
JPH05283787A (ja) * 1992-03-31 1993-10-29 Anritsu Corp 光増幅器
JPH07115240A (ja) * 1993-10-15 1995-05-02 Mitsubishi Electric Corp 光ファイバ増幅器
JPH11251669A (ja) * 1998-03-02 1999-09-17 Nec Corp 光増幅器の利得制御方法および光増幅器
JP2007042981A (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Fujikura Ltd 光ファイバレーザ、光ファイバ増幅器、mopa方式光ファイバレーザ
JP2007096041A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Sumitomo Electric Ind Ltd レーザ光源
JP2008010804A (ja) * 2006-05-30 2008-01-17 Fujikura Ltd マルチポートカプラ、光増幅器及びファイバレーザ
JP2009212441A (ja) * 2008-03-06 2009-09-17 Fujikura Ltd ポンプコンバイナ

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013239672A (ja) * 2012-05-17 2013-11-28 Panasonic Corp ファイバレーザ発振器
WO2014024526A1 (ja) * 2012-08-08 2014-02-13 株式会社フジクラ ファイバレーザ装置
JP2014036078A (ja) * 2012-08-08 2014-02-24 Fujikura Ltd ファイバレーザ装置
EP2871727A4 (en) * 2012-08-08 2016-04-06 Fujikura Ltd FIBER LASER DEVICE
JP2014192469A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Furukawa Electric Co Ltd:The ファイバ構造および光ファイバ接続構造
JP2015149369A (ja) * 2014-02-05 2015-08-20 株式会社フジクラ ファイバレーザ装置
JP2018129452A (ja) * 2017-02-10 2018-08-16 古河電気工業株式会社 光ファイバレーザ装置およびその制御方法
JP2021082748A (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 株式会社フジクラ レーザ装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5185929B2 (ja) ファイバレーザ
JP5680170B1 (ja) ファイバレーザ装置
US7557986B2 (en) High power fiber amplifier
US8295314B2 (en) Fiber laser having superior resistance to reflection light
JP6328872B2 (ja) 大モード面積光導波路デバイス
JP5529589B2 (ja) ファイバ出力安定化装置
JP6058669B2 (ja) 約974〜1030nmの波長範囲において高輝度ローノイズ出力を備えたハイパワーファイバーポンプ光源
JP2012059746A (ja) ファイバレーザ及びレーザ加工機
JP2010500742A (ja) 帯域外利得が低下したファイバ増幅器およびファイバレーザ
JP2014033098A (ja) ファイバレーザ装置
JP4910328B2 (ja) 光増幅装置およびレーザ光源装置
JP6294486B2 (ja) 超高出力単一モードファイバーレーザーシステム
JP5662770B2 (ja) ファイバレーザ装置
JP2013510436A (ja) ドープされたファイバを実装する光源、当該光源用ファイバ、および、当該ファイバの製造方法
US20080130100A1 (en) High-efficiency, high-reliability fiber amplifier using engineered passband of photonic bandgap optical fiber
JP2011054913A (ja) ファイバレーザ装置
JPH09148660A (ja) 半導体レーザ装置および光増幅装置
JP5398804B2 (ja) ファイバレーザ装置
JP6276969B2 (ja) 増幅用光ファイバのストークス光検出方法、及び、これを用いたファイバレーザ装置
JP5014640B2 (ja) マルチモードファイバ、光増幅器及びファイバレーザ
JP2018174206A (ja) レーザ装置
JP4869738B2 (ja) ファイバレーザの出力安定化方法及びファイバレーザ
JP2732931B2 (ja) 光ファイバ増幅器
JP2665572B2 (ja) 能動媒質からなる光導波路を含む光源とその製造方法
JP3369888B2 (ja) 光ファイバレーザ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130611

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140902

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150106