「和文入力問題の解決」
本発明は、携帯入力端末に使用する従来のテンキー型よりさらにキー数を削減した3行3列の9キー型のローマナイズによるアルファベット使用入力鍵盤による和文入力において一つのキーに子音と母音、あるいは子音とそれ以外の子音の二つの字母の入力を担わせることにより、キー数を一挙に2倍とすることによって、キー数の不足を解決する。
本発明の基本は、携帯入力端末において、子音と母音あるいは連続した二つの子音と母音とのあいだに自動的な交替関係を設定する点にある。
こうした方式を取る際に、もっとも合理的なのは子音鍵盤と母音鍵盤のあいだに、自動的な交替関係を設定することである。
しかし、母音数と子音数は隔絶しており、子音鍵盤と母音鍵盤のあいだに、全面的な自動的交替関係を設定することは不可能である。
そこで本発明においては、まず、a、i、u、e、o、の5個のキーと一定の子音とのあいだに自動的な交替関係を設定する。
この場合、ローマナイズの過程で、a、i、u、e、o、の5個のキーが一定の子音と結びつけば、a、i、u、e、o、の5個の母音そのものの入力が不可能となる。
そこで、本発明においては、自身では形式上子音でありながら音価を持たないで、a、i、u、e、o、の5個の母音をそのままの音価で入力するためのキー、本発明で言う子音符を設定する。
また、仮名における ん を入力するためには、一般的な方法では、nキーを2度続けて押し下げることになるが、本発明においては、後に説明するように、nキーは、子音と母音あるいは連続した二つの子音と母音とのあいだに自動的な交替関係を設定する鍵盤に属することになるので、子音であるnキーを2度続けて押し下げる方式は取りえない。
そこで、特定のキーに、形式上子音でありながら音価を持たない子音符と結びつく形式上母音に属するキー、本発明で言う鼻音符を設定して ん を入力する。
さらにこの形式上母音に属する鼻音符を、さきに設定した形式上子音に属する子音符と同じハードキーに置くことによって、自動的な交替関係に入るキーを、a、i、u、e、o、の5個のキーから、さらに1個増やすことができる。
以上によって、鼻音符とa、i、u、e、o、の5個のキーをあわせた合計6個のキーと、子音符となんらかの5個の子音キーをあわせた合計6個のキーとのあいだに自動的な交替関係を設定することが、可能となった。
次に問題になるのは、本発明の基本は、子音と母音の間に自動的な交替関係を設定して、9個のキーを2倍に使うことによって、18個のキーと同じ働きをさせるのであるが、ローマナイズによるアルファベット使用入力鍵盤による和文入力において、最低限必要な子音は、k、s、t、n、h、m、y、r、w、g、z、d、b、p、の14個であり、これにさきほど設定したa、i、u、e、o、の5個のキーと子音符、母音符を加えると、合計21個となり、9個のハードキーに、それぞれ二つの字母を設定することによって得られる18個のキーの枠を大きく超えてしまうことである。
本発明は、この困難を解決するために、kとg、sとz、tとd、hとbをそれぞれ同一のキーに設定し、このkg、sz、td、hbの4個のキーを、普通に押し下げると清音が、少し長めに押し下げると濁音が入力されるように設定する。
本発明においては、全体として3行3列の鍵盤において、kg、sz、td、hbの4個のキーにnキーと子音符を加えて、これらを五十音順にならべた、子音符、kg、sz、td、n、hbの2行3列6個のキーと、鼻音符にa、i、u、e、o、の5個のキーを加えて五十音順にならべた2行3列6個のキーとの間に、1対1の全面的な(鍵盤全体にとっては部分的な)自動交替鍵盤を設定してこれを子音母音自動交代鍵盤と称するが、この段階で、未設定の字母は、m、y、r、w、p、の5個の字母であり、全体として3行3列の鍵盤のなかで、.これまでにすでに2行3列が字母設定済みなのであるから、残りの1行3列の鍵盤に、このm、y、r、w、p、の5個の字母を設定すればよいということになる。
残された困難の第一は、仮名における促音の っ を入力するためには、一般的な方法では、tキーを2度続けて押し下げることになるが、本発明においては、子音であるtdキーは本発明においては、母音uを入力するキーとのあいだに自動的な交替関係を設定しているので、子音であるtdキーを2度続けて押し下げる方式は取りえないということである。
そこで、本発明においては、全体で3行3列の字母入力鍵盤のなかで、子音と母音が1対1で自動的に交代する2行3列のキーを除いた1行3列の鍵盤に、このm、y、r、w、p、の5個の字母を設定し、のこりの1符号として、直前に入力した普通の大きさの字体の平仮名、片仮名、漢字をそれぞれ小型の字体に変換し、小型の字体の平仮名、片仮名、漢字をそれぞれ普通の字体に変換する機能を持った、本発明において文字大小符キーとよぶキーを設定して、つ を っ に変換することによって、この問題を解決することにする。
本発明においては、さらに、この文字大小符を、つ の場合だけではなく、一般的にすでに入力された平仮名、漢字あるいは片仮名等の字母の直後に引き続いて押し下げられると、これらのすでに入力された普通の字体の字母を小型の字体に、小型の字体の字母を普通の字体に変換させる作用をもつものとして設定する。
またこの場合、この文字大小符を、それがすでに入力された平仮名、漢字あるいは片仮名等の字母群をカーソル等によって指定した後に押し下げられると、これらのすでに入力された普通の字体の字母群を小型の字体に、小型の字母群を普通の字体に変化させる作用を持つものとして設定する。
残された困難の第二は、このm、y、r、w、p、の5個の字母は、kg、sz、td、n、hbの5個のキーとは違って、直接にa、i、u、e、o、の5個のキーとの間に、1対1の全面的な自動的な交替関係を設定することができないという問題である。
そこで、本発明においては、この1行3列の鍵盤において、1度キーを押し下げると、m、y、r、の3個の字母が入力され、連続2度押し下げられると、文字大小符とw、p、の2個の字母が入力されるように設定する。
より具体的に説明すれば、次のようになる。
本発明においては、最初の和文入力画面すなわち和文ローマナイズによる和文入力画面が呼び出された場合、あるいはそこから他の入力画面に入ったのちに、ふたたび入力種切替キーを押し下げて入るアルファベットのローマナイズによる和文平仮名入力の場面においては、図1(a)に示される、子音符と五十音順にならべられた、kg、sz、td、n、hbの5個の子音字母および、五十音順にならべられたm、y、r、の3個の子音字母からなる3行3列の子音鍵盤が呼び出される。
この子音鍵盤のいずれかのキーを押し下げると、、そのキーが担当する子音字母(子音符を含む)が入力されると同時に、図1(b)の上部2行に示されるように、自動的に、鼻音符および、それに続いて五十音順にならべられたa、i、u、e、o、の5個のキーからなる2行3列の母音鍵盤が呼び出される。
ついで、この母音鍵盤のいずれかのキーを押し下げると、この母音キーは先ほどの子音キーと結びついて、ある平仮名の入力が完成し、また自動的に最初の3行3列の子音鍵盤が呼び出される。
たとえば、最初に入った入力画面において、子音鍵盤のkgキーがやや長く押し下げられると、gが入力されると同時に鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後同じキーが押し下げられると、このキーは母音鍵盤のaキーとして、あわせて が の字が入力されると同時に再び自動的に子音鍵盤にもどる。
ここで、さらに、子音鍵盤の子音符キーが押し下げられると、子音符キーが入力されると同時に鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後同じキーが押し下げられると、このキーは母音鍵盤の鼻音キーとして、あわせて ん の字が入力されると同時に再び自動的に子音鍵盤にもどる。
つづいて、子音鍵盤のkgキーが普通に押し下げられると、kが入力されると同時に鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後同じキーが押し下げられると、このキーは母音鍵盤のaキーとして認識され、あわせて が の字が入力されると同時に再び自動的に子音鍵盤にもどる。
以上によって、3行3列の和文入力鍵盤を用いて、合計6タッチで、平仮名の がんか が入力される。
これをさらに漢字変換すれば、たとえば眼科という入力が実現するが、以上の入力に要するタッチ数は、普通のパソコンで、いわゆるqwertyボードを用いて入力する場合のタッチ数とまったく同数である。
次の問題は、この2行3列の子音母音が1対1で自動的に交替する鍵盤と残された1行3列の純粋に子音のみからなる鍵盤との交代関係をどのように設定するのかと言う問題である。
そこで、最初に入った入力画面において、純粋の子音鍵盤のmキーを押し下げると、mが入力されると同時にこの場合も2行3列の子音母音自動交替鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後たとえばこの母音鍵盤のaキーが押し下げられると、このmキーは母音鍵盤のaキーとあわせて ま の字が入力されると同時母音鍵盤は再び自動的に子音鍵盤にもどるように設定する。
ここで、さらに、子音鍵盤の子音符キーが押し下げられると、子音符キーが入力されると同時に鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後同じキーが押し下げられると、このキーは母音鍵盤の鼻音キーとして、あわせて ん の字が入力されると同時に再び自動的に子音鍵盤にもどる。
つづいて、純粋の子音鍵盤のmキーを2度連続して押し下げると、図1(b)の第3行に示されるように、このmキーはpキーに変化して、pが入力されると同時に、この場合も2行3列の子音母音自動交替鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後たとえばこの母音鍵盤のaキーが押し下げられると、このmキーは母音鍵盤のaキーとあわせて ぱ の字が入力されると同時に再び自動的に子音鍵盤にもどるように設定する。
さらに、子音鍵盤の子音符キーが押し下げられると、子音符キーが入力されると同時に鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後母音鍵盤のiキーが押し下げられると、このキーは母音鍵盤のiキーとして、あわせて い の字が入力されると同時に再び自動的に子音鍵盤にもどる。
以上によって、3行3列の和文入力鍵盤を用いて、合計8タッチで、平仮名の まんぱい が入力される。
これをさらに漢字変換すれば、たとえば満杯という入力が実現するが、以上の入力に要するタッチ数は、普通のパソコンで、いわゆるqwertyボードを用いて入力する場合のタッチ数より子音符の入力に要する1タッチが多いだけで、その他の部分はまったく同数である。
もう一つの問題は、こ拗音の入力の設定をどうするのかと言う問題である。
この問題に対しては、yキーが1行3列の純粋の子音鍵盤に置かれていて、子音母音の強制的な1対1の交替関係から離れているという事情を利用して通常のパソコンの場合と同様に入力する方法と、すでに説明した促音の入力の場合と同様に、一旦通常の方法によって入力した や ゆ よ を、文字大小符を用いて小型の字体に変えるという二つの方法が考えられる。
第一の場合には、たとえば子音鍵盤のszキーがやや長く押し下げられると、 zが入力されるが、ここで純粋子音鍵盤に属するyキーが押し下げられると、拗音のzyを表す子音群が入力されると同時に鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後この母音鍵盤のoキーが押し下げられると、あわせて じょ の字が入力されると同時に鍵盤は再び自動的に子音鍵盤にもどる。
つづいて、子音鍵盤の子音符キーが押し下げられると、子音符キーが入力されると同時に鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後この母音鍵盤のuキーが押し下げられると、あわせて う の字が入力されると同時に再び自動的に子音鍵盤にもどる。
つづいて、たとえば子音鍵盤のszキーが普通に押し下げられると、sが入力されると同時に鍵盤は自動的に母音鍵盤に変化し、その後この母音鍵盤のiキーが押し下げられると、あわせて し の字が入力されると同時に鍵盤は再び自動的に子音鍵盤にもどる。
以上によって、平仮名の じょうし の5文字が入力され、これをさらに漢字変換すれば、たとえば上司という入力が実現するが、この場合も以上の入力に要するタッチ数は、普通のパソコンで、いわゆるqwertyボードを用いて入力する場合のタッチ数より子音符の入力に要する1タッチが多いだけで、その他の部分はまったく同数である。
拗音入力に、純粋の子音鍵盤を2度連続して押し下げて入力するpが関係する場合は、たとえば、最初に入った入力画面において純粋子音鍵盤のrキーが2度連続して押し下げられると、このrキーがpキーに変化してpが入力されると同時に子音母音自動交代鍵盤は母音鍵盤に変化するが、さらに続いて純粋子音鍵盤のyキーが入力されると、この場合のyキーは子音と母音の交代に中立的で、拗音のpyを表す子音群が入力されるとともに鍵盤は母音鍵盤のままにとどまり、その後たとえばこの母音鍵盤のoキーが押し下げられると、あわせて ぴょ の字が入力されると同時に再び自動的に子音鍵盤にもどる。
以上によって、平仮名の ぴょ の2文字が入力されるが、この場合も以上の入力に要するタッチ数4は、普通のパソコンで、いわゆるqwertyボードを用いて入力する場合のタッチ数よりpの入力に要する1タッチが多いだけで、その他の部分はまったく同数である。
先に触れた促音の入力の問題を、ぴょっと と入力する場合を取り上げて今一度一層系統的に説明すると、前記の ぴょ の入力に続けて、子音母音自動交替鍵盤でtdキーを普通に押し下げてtを入力し、続いて自動的に母音鍵盤に変化した同じキーを続けて押し下げると、このキーは自動的に出現する母音鍵盤のuキーとなって、あわせて ぴょつ と入力される。
ここで純粋の子音鍵盤のmのキーを連続して2度押し下げると、このキーは文字大小キーに変化して、その直前に入力された つ を、 っ に変換するが、この文字大小キーは子音と母音の交替には中立的で、先に つ の母音部分が入力されたのを受けて子音鍵盤となった状況がそのまま継続する。
この子音鍵盤で、tdキーを普通に押し下げてtを入力し、続いて母音鍵盤に交替した子音母音自動交替鍵盤のoキーを押し下げて、平仮名の と を入力する。
こうして、 っと と入力するのには、本発明の場合には合計6度のキーの押し下げが必要であり、パソコンの場合の3度と比較すると、キーの押し下げ数は倍になる。
以上によって、例外的に押し下げ数の多くなる促音や文字大小符を使って入力する拗音の場合を除いて、本発明のキーの押し下げ数は、パソコンの場合と同様である。
以上のような、携帯入力端末に使用する3行3列の9キー型のローマナイズによるアルファベット使用入力鍵盤による和文入力において、一つのキーに子音と母音、あるいは子音とそれ以外の子音の二つの字母の入力を担わせる自動交代入力システムをここで再び図示すれば、図1のようになる。
すなわち、図1(a)の3行3列の9キー型のハードキーの上から第1行目の左から第1列目のキーを子音符キーとし、第2列目のキーをkgキーとし、第3列目のキーをszキーとし、第2行目の第1列のキーをtdキーとし、第2列目のキーをnキーとし、第3列目のキーをhbキーとし、第3行目の第1列のキーをmキーとし、第2列目のキーをyキーとし、第3列目のキーをrキーとするように設定した鍵盤が、和文入力において、最初にはいる鍵盤となる。
これに対して、図1(b)に示す3行3列の9キーのハードキーの上から第1行目の左から第1列のキーを鼻音符とし、第2列のキーをaキーとし、第3列のキーをiキーとし、第2行第1列のキーをuキーとし、第2列のキーをeキーとし、第3列のキーをoキーとする2行3列合計6個のキーが、母音キーとして子音キーと交代関係に入る。
さらに、図1(b)の文字大小符、wキー、pキーの合計3個のキーについて言えば、図1(a)の第三行目の第1列のキーのmキーをさらに連続して押し下げれば、子音と母音の交代に中立的な文字大小符が入力され、第2列目のキーのyキーをさらに連続して押し下げれば、再び子音キーであるwキーが入力され、第3列目のキーのrキーをさらに連続して押し下げれば、再び子音キーであるpキーが入力される。
これらの3個のキーのなかで、子音と母音の交代に中立的な文字大小符以外のwキー、pキーの2個のキーが、図(a)の子音鍵盤とともに、図1(a)の2行3列合計6個の母音キーと自動的な交代関係に入る。
以上の場合において、図1(b)のyキーは、その直前に母音が入力された場合は子音のy音として、そのあとに入力された母音と結びついて や ゆ よ となり、子音キーと母音キーの交代が実現するが、その直前に子音が入力された場合はこの子音を拗音化する符号として、そのあとに入力された母音と結びついて ゃ ゅ ょ となり、この場合は文字大小符同様、子音と母音の自動的交代システムに対して中立的である。
ローマ字に馴染まない使用者層のために、本発明においては、図2のように、これらの子音キーにaを加えてローマナイズして、aキーを、あキーとし、iキーを、いキーとし、uキーを、うキーとし、eキーを、えキーとし、oキーを、おキーとし、kgキーを、かがキーとし、szキーを、さざキーとし、tdキーを、ただキーとし、nキーを、なきーとし、hbキーを、はばキーとし、mキーを、まキーとし、yキーを、やキーとし、rキーを、らキーとし、wキーを、わキーとし、pキーを、ぱキーとするように表記した鍵盤をも用意する。
本発明の子音母音の交代システムをもっとも簡単に説明すれば以下のようになる。
文字大小符と拗音化符号としてのyキーの場合を除いて、子音鍵盤のいずれかのキーが有効に押し下げられると、当該の子音が入力されると同時に、自動的に2行3列の母音鍵盤が呼び出される。
2行3列の母音鍵盤のいずれか一つのキーが押し下げられると、この母音が入力されると同時に、この2行3列の母音鍵盤が2行3列の子音鍵盤に変化する。
「英文入力問題の解決」
以上の説明のように、和文入力に当たっての本発明の基本は、子音と母音の規則的交替というシステムを通じて、和文入力に必要なハードキーの数を半減する点にある。
このシステムは、現実に和文の中に存在している子音と母音のほぼ規則的な交替という現象に注目して、これを形式的に徹底することによって、構築されている。
これに対して、英文にはそのような現象は存在していないので、英文入力において英文入力に必要なキー数を半減するためには、手動によって鍵盤の切替を行うほか無い。
そこで、本発明は別に設けた鍵盤切替キーを手動によって押し下げることによって、英文入力に必要なハードキーの数を半減する。
すなわち、本発明の英文入力においては、携帯入力端末に使用する3行3列の9キー型の英文入力鍵盤において、アルファベット26字母を、二つの鍵盤に振り分けて、その一方の、英文入力に入った最初に出現する鍵盤を、英文入力表鍵盤とし、この鍵盤を用いた入力中に、鍵盤切替キーを押し下げることによって、もう一方の英文入力裏鍵盤が呼び出されるように設定した携帯入力端末を提唱する。
さらに、この鍵盤切替キーを押し下げることによって呼び出された英文入力裏鍵盤による入力がなされたあと、自動的に鍵盤がもとの英文入力表鍵盤にもどるように設定する。
このような、方式を取ることによって、本発明は、従来の一つのキーに3個あるいは4個のアルファベット字母を配置した鍵盤を採用する携帯入力端末の入力に際して、キーの押し下げ数が多く、かつ押し下げ数がキーによって不均等であるという欠陥を克服し、リズミカルで高速の英文入力を追求するのである。
しかし、アルファベットは26個あり、一つのキーに二つの字母の入力を受け持たせて、これを鍵盤切替キーを手動によって押し下げることによって切り替えたとしても、最大限18個のキーを提供できるだけであり、アルファベット26字母に対応するシステムは作りえない。
この困難に対して、本発明は英文単語の綴りにおける字母の相補的配置という状況を利用して、一つのハードキーに複数の字母の入力を受け持たせてこれらを2個のヴァーチャルな鍵盤に振り分けてそれらを手動によって交代させるという方法を採用することによって、この困難を克服する。
すなわち、本発明は上記の英文単語の綴りに見られる相補性を利用して、ckq、hiy、gj、sxz、uvwの14個5組の英文字母を、それぞれひとつのキーに設定した携帯入力端末を提唱するのであるが、この相補性の検証は後述することにして、ここではその結果だけを示すことにする。
この発明によって、英文入力に必要なキー数を、26個から17個に減らすことができる。
従って、本発明の基本的要素の一つは、3行3列のテンキー型の英文入力の場合の入力鍵盤において、ひとつのキーに設定される複数のアルファベット字母がワンタッチで同時に入力される仕組みを設定する点にある。
この、ひとつのキーに設定される複数のアルファベット字母がワンタッチで同時に入力される仕組みは、単に、3行3列の9キー型の英文入力の場合の入力鍵盤においてのみ意味を持つわけではなく、一般にこれとは異なったキー配置を持った鍵盤、あるいはこれよりキー数の多い鍵盤、あるいは少ない鍵盤においても重要な働きを示す。、
第二の問題は、本発明においては、全ての英文字母を英文入力表鍵盤と英文入力裏鍵盤に振り分けるが、前者から後者に入るためには、鍵盤切替キーを押し下げる必要が生じることである。
したがって、この鍵盤切替キーを押し下げる回数を如何にして減らすかが、重要な問題となる。
本発明は、英語の文章のなかで、相対的に頻用される字母を英文入力表鍵盤に集中し、英語の文章のなかで、相対的に出現度の低い字母を英文入力裏鍵盤に置くことによって、鍵盤切替キーを押し下げる必要が生じる場合を減らすことにする。
この場合、いずれの字母が英語の文章のなかで相対的に頻用されるについての検証もまた後述において行うことにして、ここではその結果だけを示すことにする。
このように、英文の単語綴りにおける字母の相補性と、英文における字母の頻出度の相違という二つの要素に基づいて、本発明においては、3行3列の9キー型の携帯入力端末の英文入力表鍵盤に設定されるアルファベット字母、あるいはアルファベット字母の組み合わせを、a、e、hiy、n、o、r、sxz、t、uvwの9組とした携帯入力端末を提唱する。
この発明は、入力鍵盤の形態や鍵数とは関係なく、限られた鍵数の制約を緩和する作用を持っている。
このa、e、hiy、n、o、r、sxz、t、uvwの9組のアルファベット字母、あるいはアルファベット字母の組み合わせを、どのように具体的に配列するのかは重要な問題であるが、本発明においては、英語圏においてもっとも普遍的なアルファベットの順に配置する。
より具体的には、図3(a)に示すように、この英文入力表鍵盤すなわち本発明に言う英文入力表鍵盤英語型に設定されるa、e、hiy、n、o、r、sxz、t、uvwの9個の字母あるいは字母の組み合わせを、3行3列の9キー型の鍵盤において、図3(a)に示すように、基本的にアルファベットの順にならべた持つ携帯入力端末、すなわち、3行3列の9キー鍵盤の9個のキーの第1行第1列にa、第2列にe、第3列にhiy、第2行第1列にn、第2列にo、第3列にr、第3行第1列にsxz、第2列にt、第3列にuvw、のキーを配置する携帯入力端末を提唱する。
この本発明における英文入力表鍵盤と組み合わせられる3行3列の英文入力裏鍵盤すなわち本発明に言う英文入力裏鍵盤英語型は、したがって、アルファベット26字母の中から、英文入力表鍵盤に設定されるa、e、hiy、n、o、r、sxz、t、uvwの9組の字母あるいは字母の組み合わせを差し引いた、b、ckq、d、f、gj、l、m、p、の8組の字母あるいは字母の組み合わせとすることになる。
こうして、3行3列の9キーに対して8組の字母あるいは字母の組み合わせを配置するので、1個のキーが余るが、本発明においては、この余った1個のキーに、文字大小符を配置する。
本発明においては、この英文入力の場合の文字大小符キーを、それを押し下げると、その直前に入力された、あるいは入力後さらに確定された英文小文字を大文字に、英文大文字を小文字に転換するように設定する。
この文字大小符キーは、さらに、すでに入力された文章や単語の一部を指定した後にそれが押し下げられた場合は、指定された文章や単語全体について、英文小文字を大文字に、英文大文字を小文字に転換するように設定する。
こうして、さきに設定された英文入力表鍵盤すなわち本発明に言う英文入力表鍵盤英語型と組み合わせる、3行3列の英文入力裏鍵盤すなわち本発明に言う英文入力裏鍵盤英語型は、b、ckq、d、f、gj、l、m、pの8組11個の字母あるいは字母の組み合わせを載せた8個のキーに、文字大小符キーを加えた9個のキーによって構成される。
より具体的には、この英文入力裏鍵盤すなわち本発明に言う英文入力裏鍵盤英語型に設定されるb、ckq、d、f、gj、l、m、p8組11個の字母あるいは字母の組み合わせを、基本的にアルファベットの順にならべた3行3列の9キー型の鍵盤を持つ携帯入力端末、すなわち、図3(b)に示すように、3行3列の9キー鍵盤の9個のキーの第1行第1列にb、第2列にckq、第3列にd、第2行第1列にf、第2列にgj、第3列にl、第3行第1列に文字大小符、第2列にm、第3列にp、のキーを配置した携帯入力端末を提唱する。
本発明においては、また日本人の使用を考慮して、最大限に五十音順を重視したキー配置の携帯入力端末をも提唱する。
この携帯入力端末においては、五十音順を尊重するために、本発明に言う英文入力表鍵盤英語型に設定されるa、e、hiy、n、o、r、sxz、t、uvwの9個の字母あるいは字母の組み合わせからrを裏鍵盤にまわし、裏鍵盤からckqを入れて、3行3列の9キー型の鍵盤において、基本的に五十音の順にならべた鍵盤すなわち本発明に言う英文入力表鍵盤和文対応型の鍵盤を持つ携帯入力端末を提唱する。
この鍵盤においては、a、ckq、e、hiy、n、o、sxz、t、uvwの9個の字母あるいは字母の組み合わせを、図4(a)に示すように、3行3列の9キー鍵盤の9個のキーの第1行第1列にa、第2列にhiy、第3列にuvw、第2行第1列にe、第2列にo、第3列にckq、第3行第1列にsxz、第2列にt、第3列にn、のキーを配置する携帯入力端末を提唱して、これを英文入力表鍵盤和文対応型と称する。
この英文入力表鍵盤和文対応型と組み合わせられる英文入力裏鍵盤和文対応型は、したがって、英文入力裏鍵盤英文型のb、ckq、d、f、gj、l、m、p、の8組の字母あるいは字母の組み合わせから、ckqを取り去り、代わりにrを加えたものとなる。
本発明においては、この英文入力裏鍵盤すなわち本発明に言う英文入力裏鍵盤和文対応型に設定されるb、d、f、gj、l、m、p、rの8組9個の字母あるいは字母の組み合わせを、基本的に五十音の順にならべた3行3列の9キー型の鍵盤を持つ携帯入力端末、すなわち、図4(b)に示すように、3行3列のテンキーの9個のキーの第1行第1列にm、第2列にl、第3列にr、第2行第1列にgj、第2列にd、第3列にb、第3行第1列に文字大小符、第2列にp、第3列にf、のキーを配置した携帯入力端末を提唱する。
「候補文字入力問題の解決」
すでに、発明が解決しようとする課題の部分で述べたように、テンキー型の携帯入力端末における和文入力のシステムを、一般的なパソコンの入力方式と比較した場合の大きな特徴は、携帯電話の場合にもっとも特徴的に示されるように、すでに入力された字母から、あるいはすでに入力された文脈から、あるいは入力時の時間的、空間的、社会的環境から、きわめて多数の入力候補文字が画面のディスプレー上に表示され、入力者はこの入力候補文字から、必要とされる文字を選ぶシステムが発達していることである。
すでに述べたように、これはきわめて重要な技術的発展であるが、実際にこの候補文字を選択する場合には、符号入力の場合と同様に、この候補文字の一覧を、カーソルによって捜し求めるという操作、すなわち字母入力における鍵盤操作とは異質でやや不安定、かつ一般的に操作回数の多い方法を取らざるを得ない点に問題がある。
そこで、本発明においては、のちに提示する符号入力の場合と同様の方式、すなわち画面のディスプレー上に現実の鍵盤と同じ形で表示された入力候補群の中から、このヴァーチャルな鍵盤に対応する現実の鍵盤のキーを押し下げることによって、必要な候補を選ぶ方式を、この場合にも採用することにより、この困難を克服する。
すなわち、携帯入力端末における和文や英文の入力中に、すでに入力された字母や文脈に基づいて、あるいは入力時の時間や環境によって、予測されあるいは推測されてディスプレーの画面に表示される候補文字を、3行3列の現実の鍵盤に対応する形で表示させ、シフトキーを押し下げたのちに、画面に表示される選ばれた候補文字の位置に対応する現実の鍵盤のキーを押し下げると、当該候補文字が入力されるように設定する。
以上の従来の方式に対応する和文入力の場合の候補文字の配列を図7として示すが、それだけではなく、本発明が始めて提示する英文入力における相補性のある字母をふくむ単語に対する複数の候補単語入力の手続きにおいても同様に候補の単語群を3行3列の現実の鍵盤の形態に対応した形でディスプレーの画面に表示させ、シフトキーを押し下げたのちに、画面に表示された選ばれた候補文字の位置に対応する現実の鍵盤のキーを押し下げると、当該候補文字が入力されるように設定する。
ここで、まずシフトキーを押し下るのは、符号入力の場合には、のちに触れるように、鍵盤切替キーを押し下げた時点ですでに字母を入力する鍵盤を離れて符号を入力する鍵盤に入るのに対して、候補文字の選択の場合は、候補文字は和文や英文の入力中に参考として画面に示される段階にあるので、この和文や英文の入力中の状態を脱して、候補文字の選択と入力という新しい段階に入るための手続きとして、シフトキーを押し下るのである。
この画面の候補文字と鍵盤の対応という発明は、これとは異なった形態をもつ鍵盤の入力端末、あるいはこれより多いキー数や少ないキー数をもった鍵盤の入力端末の場合にも適用される。
こうして当該候補文字が入力されるとただちに通常の入力状況にもどるように設定する。
前記の場合において、画面に期待される候補文字が見つからなかった場合にはさらにもう1度、鍵盤切替キーを押し下げると、さらに新しい候補文字を配置した画面が出現し、この時点で前記と同様の操作を行うことによって、選ばれた候補文字が入力されるように設定し、必要に応じて以上の操作を繰り返して、選ばれた候補文字を入力し、入力した時点で、ただちに通常の入力状況にもどるように設定する。
「特に英文字母入力に関連する候補文字入力の問題」
以上は、候補文字入力問題の一般的な問題であり、和文入力の場合の問題は、これによって解決されるが、本発明におけるように、複数の字母を1個のキーに割り当てることによって構成される英文鍵盤の実際の運用において問題となるのは、このような鍵盤においては、字母入力が直接には、直ちに単語の確定に結びつかないという困難である。
たとえば、従来のパソコンあるいは携帯端末で、youと入力すれば、ただちにyouという単語が確定できたが、本発明においてyouと入力すれば、you、yov、yow、iou、iov、iow、hou、hov、howの9通りの綴りが同時に入力されることになる。
そこで、本発明においては、あらかじめ携帯端末の本体に英語辞書を登録しておき、ここで入力された綴りと引き当て、英単語として成立する綴りを選び出すように設定する。
この場合には、you以外に、yow(苦痛、驚きの間投詞)、how、の2単語が英単語として成立する綴りとして選び出される。
そこで、本体は、入力時の場面や文法、文脈に基づいて、もっともふさわしい単語を選択し、これを、これまで入力してきた本文の続きとしてディスプレー画面に表示し、残りの2単語を3行3列の鍵盤に対応する形でディスプレーの画面に表示する。
この場合、3行3列の入力鍵盤とは異なった形態をもつ鍵盤、あるいはこれより多いキー数や少ないキー数をもった鍵盤を持つ入力端末において、入力時の場面や文法、文脈に基づいて、もっともふさわしい単語を選択し、これを、これまで入力してきた本文の続きとしてディスプレー画面に表示し、残りの2単語をそれぞれの鍵盤の形態に対応する形でディスプレーの画面に表示することも同質の発明として、本発明にふくまれる。
前記の場合において、もし文脈からの判断として主語の位置に置かれるとする判断が、その他の判断に対して優位であれば、この場合は、youが本文の続きに入力され、その他のyow(苦痛、驚きの間投詞)、how、の2単語が3行3列の鍵盤に対応する形でディスプレーの画面に表示される。
入力者が、この判断に同意する場合は、単にスペースキーを押し下げるか、決定キーを押し下げるかすることによって、このyouの本文の続きとしての入力が確定される。
もし、入力者が、この判断に同意しない場合は、3行3列の鍵盤に対応する形でディスプレーの画面に表示されたyow(苦痛、驚きの間投詞)、how、の2単語の中から適当な単語を選び、まずシフトキーを押し下げたのちに、この単語が表示された位置に対応する現実の鍵盤のキーを押し下げることによって、この単語が入力され、決定される。
この場合、直ちにこの単語が表示された位置に対応する現実の鍵盤のキーを押し下げることなく、まずシフトキーを押し下げるのは、この時点は本文の入力がなされる位相にあるので、この位相から離れて、ディスプレーの画面に表示された単語の中から適当な単語を選ぶ位相に入る為である。
ほとんどありえないことではあるが、もし前記の場合において、ディスプレーの画面に表示されたヴァーチャルな鍵盤のなかに期待される候補文字あるいは単語が見つからなかった場合には、引き続き連続して鍵盤切替キーを押し下げると、その度にさらに新しい候補文字あるいは単語を配置した画面が出現するように設定する。
もし前記の場合のすでに鍵盤切替キーを押し下げている時点において、目的とする候補文字あるいは単語が見いだされれば、その時点ですでに字母入力の次元を離れているので、これまでとは異なり、シフトキーを押し下げることなく、ディスプレー上に表示された選ぶべき候補の文字あるいは単語の位置に対応する鍵盤上のキーを押し下げると、その文字あるいは単語が入力されると同時に、その入力が確定するように設定する。
3行3列の入力鍵盤とは異なった形態をもつ鍵盤、あるいはこれより多いキー数や少ないキー数をもった鍵盤においても、同様の場合において、ディスプレーの画面に表示されたなかに期待される候補文字あるいは単語が見つからなかった場合には、引き続き連続して鍵盤切替キーを押し下げると、その度にさらに新しい候補文字あるいは単語を配置した画面が出現し、この時点で前記の場合と同様に、まずシフトキーを押し下げた後に、ディスプレー上に表示された選ぶべき候補の文字あるいは単語の位置に対応する現実の鍵盤上のキーを押し下げると、その文字あるいは単語が入力されると同時に、その入力が確定するように設定する。
以上の場合において、当該候補文字あるいは単語の入力が決定されるとただちにそれまでに行われていた通常の入力状況にもどるように設定する。
同様の場合において、3行3列の入力鍵盤とは異なった形態をもつ鍵盤、あるいはこれより多いキー数や少ないキー数をもった鍵盤においても、当該候補文字あるいは単語が入力されるとただちにそれまでに行われていた通常の入力状況にもどるように設定する。
もう一度、問題を詳しく観察するために、もう少し引き当ての対象となる綴りが多くなる場合として、たとえば、この3行3列の9キー型の鍵盤を持つ携帯入力端末において、inventionと入力する場合について説明すると次のようになる。
まず、invenionのiについては、h、i、yの3個の字母が同時に入力され、ついで、nはそのまま、vはu、v、wの3個の字母が同時に入力され、eはそのまま、nもそのまま、iはh、i、yの3個の字母が同時に入力され、oはそのまま、nもそのまま入力される。
したがって、入力される綴りは、hn、in、yn、の3個の組み合わせ、ven、uen、wen、の3個の組み合わせ、tion、thon、tyon、の3個の組み合わせをそれぞれ組み合わせた27通りの綴りとなる。
それらを、以下に示すと、hnvention、hnventhon、hnventyon、hnuention、hnuenthon、hnuentyon、hnwention、hnwenthon、hnwentyon、invention、inventhon、inventyon、inuention、inuenthon、inuentyon、inwention、inwenthon、inwentyon、ynventyon、ynventhon、ynventyon、ynuention、ynuenthon、ynuentyon、ynwention、ynwenthon、ynwentyon、の27個の綴りである。
これらの綴りを携帯入力端末にあらかじめ登録してある辞書と引き当てると、これらの27通りの綴りの中で、英単語として成立するのは、inventionという綴りだけであることが分かり、inventionという単語が正しく入力される。
複数の入力候補が出現する例として、たとえば、fortyという単語を入力する場合がある。
この場合は、複数の入力がなされるのは、yという綴りだけであり、forty、forth、fortiの3個の綴りを携帯入力端末にあらかじめ登録してある辞書と引き当てると、これらの3通りの綴りの中で、英単語として成立するのは、forty、forthという2個のつづりであることが分かるが、入力中の綴りとしてはfortiという場合もありうるので、この2個の単語と一個の未完成の綴りが入力候補となる。
たとえば、入力時の場面や文脈に基づいて、fortyの方が有力な候補であると判断される場合には、このfortyの方が本文の続きとして表示され、forthとfortiの方は、3行3列の鍵盤に対応する形でディスプレーの画面に表示される。
すなわち、forthの方は、ディスプレーの画面に表示される3行3列の鍵盤の最上端、最左端に表示され、fortiの方はその右の列、すなわち3行3列の鍵盤の第1行第2列に表示される。
ここで、入力者がたとえばfortyの方を選ぶ場合は、そのままスペースキーあるいは決定キーを押し下げるとfortyが入力され、確定される。
ここで、入力者がforthの方を選ぶ場合は、まずシフトキーを押し下げてから、ディスプレーの画面に表示される3行3列の鍵盤の最上端、最左端に対応する現実の鍵盤の最上端、最左端のキーを押し下げれば、forthが入力され、確定される。
本発明における、英文中での字母の出現率や、それに依拠する本方式による入力のタッチ数を検証する場合に、このような英文におけるアルファベット字母の出現頻度を確認するために、ほぼスタンダードな英語と見なしうるものとして、インターネット上のアメリカ合衆国憲法、およびそれに関連する行事の紹介の英文をアトランダムに集成して、そこでのアルファベット字母の出現頻度を検討している。
ここでは、まずこのアメリカ合衆国憲法の前文の出だしの部分を取り上げて、実際に本発明がどの程度の実用性を持つものかを試験的に簡単に検証する。
アメリカ合衆国憲法の前文の出だしの部分は、We the people of the United States,in order to form a more perfect Union,establish justiceで始まっている。
このなかで、1個のキーに複数の字母が設定されている単語は、We、the、the、United、States、in、perfect、Union、establish、justiceの10個である。
Weの場合は、we、ve、ueの3個の綴りが同時に入力され、このなかで英語として成立するweのみが本文として仮入力され、入力者がスペースキーを打てばそのまま確定するので、一般的な入力の場合と基本的に同一である。
theの場合はthe、tye(海運の述語でヤードを上げ下げする鎖)、tie(結ぶ)の3個の綴りが同時に英語として成立するが、文脈や使用頻度からtheが本文として仮入力され、tieとtyeが画面のディスプレーに表示され、入力者がスペースキーを打ってそのまま確定された場合は、一般的な入力の場合と基本的に同一であり、tieが本文の続きとして仮入力された場合は、シフトキーを押してヴァーチャルな入力画面からこれを選択するので、一般的な入力の場合より1個余分にキーが押し下げられる。
Unitedの場合は、united、vnited、wnitedの3個の綴りが同時に入力され、このなかで英語として成立するunitedのみが本文として仮入力され、入力者がスペースキーを打てばそのまま確定するので、一般的な入力の場合と基本的に同一である。
Statesの場合は、states、xtates、ztates、statex、statez、xtatex、xtatez、ztatex、ztatezの9個の綴りが同時に入力され、このなかで英語として成立するstatesのみが本文として仮入力され、入力者がスペースキーを打てばそのまま確定するので、一般的な入力の場合と基本的に同一である。
inの場合は、in、yn、hnの3個の綴りが同時に入力され、このなかで英語として成立するinのみが本文として仮入力され、入力者がスペースキーを打てばそのまま確定するので、一般的な入力の場合と基本的に同一である。
perfectの場合は、perfect、perfekt、perfeqtの3個の綴りが同時に入力され、このなかで英語として成立するperfectのみが本文として仮入力され、入力者がスペースキーを打てばそのまま確定するので、一般的な入力の場合と基本的に同一である。
Unionの場合は、union、ynion、hnion、unyon、unhon、ynyon、ynhon、hnyon、hnhonの9個の綴りが同時に入力され、このなかで英語として成立するunionのみが本文として仮入力され、入力者がスペースキーを打てばそのまま確定するので、一般的な入力の場合と基本的に同一である。
establishの場合は、esで3種類、tabliで3種類、sで3種類、hで3種類の綴りが成立し、これらを掛け合わせた、establisy、establisiから始まって、合計81通りの綴りが入力される。
この81通りの綴りを全て書き出すのは煩瑣を極める。
そこで、まずtablの部分を含む単語が幾通り存在するかを、同じ合衆国憲法関係の文献をはじめとする文献によって検索してみる。
その結果は、tablの部分を含む単語として存在するのは、table、establish、notable、comfortable、profitable、suitable等の限られた単語であり、さらにtabli、tably、tablhまで広げて検索すると、tablhを含む単語は存在せず、tabliを含む単語はestablishのみ、tablyを含む単語は、notably、comfortably、profitably、suitablyに限られる。
これらの、establish以外の単語は、語頭にes、ex、ezのいずれかの綴りを持つという条件に適合せず、また語尾に、sh、sy、si、xh、xy、xi、zh、zy、ziのいずれかの綴りを持つという条件に適合しない。
したがって、本発明の方法によって、establishを入力した場合は、81通りの綴りが可能性として存在するが、実際にこのなかで英語として成立するestablishのみが本文として仮入力され、入力者がスペースキーを打てばそのまま確定するので、一般的な入力の場合と基本的に同一である。
justiceの場合は、jで2種類、uで3種類、sで3種類、iで3種類、cで3種類の綴りが成立し、これらを掛け合わせた、合計162通りの綴りが入力される。
この162通りの綴りを全て書き出すのは一層煩瑣を極める。
そこで、このjusticeの綴りを、その入力を受け持つキーごとに、jg−uvw−sxz−t−hiy−ckq−eと分解して、まず最初の、jg−uvw−sxz−tの部分の入力で単語が特定できるか否かを検証する。
この、jg−uvw−sxz−tの4個の要素を組み合わせると、2×3×3×1で、18通りの組み合わせが成立する。
それらは、just、juxt、juzt、jvst、jvxt、jvzt、、jwst、jwxt、jwzt、gust、guxt、guzt、gvst、gvxt、gvzt、、gwst、gwxt、gwzt、の18種類の綴りである。
これらの同時に入力される18種類の綴りのなかで英語として成立するのは、just、juxta(近いという意味の連結形)、gust(好み、味覚),のみである。
これらの3個の綴りのなかで、juxtaは、tのあとにaではなくhiyが入力されるので、この段階で消え去り、gustはそのあとにくる3字母としては、aveを要求して、gustave(男子の名)となる以外の綴りはありえないので、これも失格である。
こうして、実際にはjusticeが本文として仮入力され、入力者がスペースキーを打てばそのまま確定するので、一般的な入力の場合と基本的に同一である。
以上によって、この9キーの入力キーによって、普通のパソコンとあまり変わらない形で英文が入力できることが明らかになった。
ただ、このような状況は、英文字母の英語単語綴りにおける相補性を基礎にしているので、このような相補性を持たないカタカナ綴りの日本語の単語を、このシステムで入力する際には大きな困難が起こる。
たとえば、(Mrs.)Yoshiko Ishiiという綴りを、このまま姓名ともに一気に入力した場合は、3×3×3×3×3×3×3×3×3×3=59049通りの綴りが出現し、そのなかの相当数の綴りが実際に日本語中に存在するであろうと予想される。
そこで、このような困難を避けるために、このシステムによって外来語、とりわけ印欧語系以外の外来語を入力する際には、これらの、hiy、sxz、uvw、ckq等のキーを押し下げた場合は、適当にその入力の途中で、ディスプレーの画面に表示された入力候補の文字あるいは単語を確定することにする。
たとえば、(Mrs.)Yoshiko Ishiiという綴りを入力する際には、yosが入力された段階で、9通りの綴りが、本文の続き、あるいはそれとは別の位置のディスプレーの画面に表示されるので、この段階で所定の手続に従って、選ぶべき綴りを確定する。
続いて、hi、ko、is、hi、iと区切って入力すれば、これだけの綴りを入力するのに、一般的なパソコンに比べて、1回の入力に対して、シフトキーを1度、字母キーを1度、合計2度の押し下げが、6回余分に繰り返されることになる。
すなわちこの場合には、12個の字母の入力に対して、一般的なパソコンに比べて、6回多いキーの余分な押し下げが必要となるが、このような場面はあまり多くは出現しない。
「符号入力問題の解決」
次の問題は、本発明の和文入力、英文入力ともに、その9キーには、句読点や括弧あるいはコンマやピリオド等の、符号が含まれていないという点である。
この点に関しては、本発明は、入力候補文字の選択、決定の場合と同様に、画面のディスプレー上にヴァーチャルな符号入力鍵盤を設定することによって解決する。
すなわち、画面のディスプレー上に呼び出されたヴァーチャルな符号入力鍵盤において、必要とされるキーを探し出し、それに対応する位置にある現実のきーを押し下げることによって、必要な符号を入力するのである。
この問題を従来の方式との対比によって、より具体的に説明すれば、以下のようになる。
先に発明の解決すべき課題の提示として触れたように、9キー型あるいは従来のテンキー型の携帯入力端末における符号入力の困難は、すでに五十音の字母や五十音を表すアルファベット字母、あるいは英文入力のためのアルファベット26字母の表記で埋め尽くされた鍵盤には、符号を表記する十分な余地が無く、必然的に画面のディスプレーに符号を表示して、この符号あるいは符号一覧を、カーソルによって捜し求めるという操作、すなわち字母入力における鍵盤操作とは異質でやや不安定、かつ一般的に操作回数の多い方法を取らざるを得ない点にある。
本発明はこの点について、和文入力鍵盤や英文入力鍵盤等の字母入力鍵盤とは別に、符号鍵盤すなわちもっぱら符号を入力するためのヴァーチャルな鍵盤を設定し、別に設けた鍵盤切替キーを押し下げて、この符号鍵盤に入ることによって、上記の問題を解決する。
この場合、現実のハードキーにはすでにアルファベット字母、平仮名字母、数字等が表記されているので、ここで設定された符号を現実のハードキーに表記することはできないので、本発明においては、入力候補文字の選択、決定の場合と同様に、画面のディスプレー上に、ヴァーチャルな符号鍵盤を表示することになる。
一般的な携帯入力端末の場合には、この画面のディスプレー上に表示された符号を、カーソルキーによってたどって確定する方式が取られているが、この方式では字母入力の場合のように直接にキーを押し下げて入力する方式に比して、入力操作が不安定であり、画面のディスプレー上に表示された当該符号にたどり着くまでのジョグキー等の押し下げ回数は相当に多くなるのが普通である。
そこで本発明においては、この画面のディスプレー上に表示された符号鍵盤と現実の鍵盤とを対応させ、この画面のディスプレー上に表示された符号鍵盤のなかの必要とされるキーに対応する位置にある現実のキーを押し下げることによって、必要とされるきーが入力されるように設定する。
この発明によって、和文、英文あるいは数字の入力中に、鍵盤切替キーを一度押し下げるだけで、3行3列計9個の符号から必要な符号を選択して入力することが可能となり、さらに鍵盤切替キーを連続してN度押し下げることにより、9個のN倍の符号を選択対象とすることが可能となり、符号入力操作が大幅に合理化される。
以上の場合に注意を促しておきたいことは、英文、和文等の字母入力中に候補文字を選択する場合には、その初発の段階においてシフトキーを押し下げたのちにヴァーチャルな鍵盤に対応する吟実のキーを押し下げるという動作があり、この段階で対象が見つからない場合にはじめて鍵盤切替キーを押し下げるので、字母入力中に直ちに鍵盤切替キーを押し下げて入る符号入力とは操作方法が異なっているので、両者の間には混乱が生じないという点である。
以上に示したのは、本発明における符号入力問題の解決の骨格部分であるが、その内容をより具体的に説明すると、以下のようになる。
本発明における3行3列の9キー型の携帯入力端末において、和文入力中、英文入力中、数字入力中それぞれの場合に、符号入力が必要とされる場面において、それぞれの字母が入力決定された後に鍵盤切替キーを所定の回数連続して押し下げることによって、その押し下げ回数に従って必要な符号鍵盤が呼び出されるように設定する。
まず、本発明における3行3列の9キー型の携帯入力端末において、和文入力中に、前記の鍵盤切替キーを1度押し下げることによって入る符号鍵盤の内容を、基本的に和文入力においてのみ使用する符号を載せたものとし、これを和文符号基本鍵盤と称するが、その内容は、、(読点)、。(句点)、「」、『』、々、〃、ゝ、*、#の9個の符号からなるものとする。
この和文符号基本鍵盤は、図8に示すように、3行3列の9キーの第1行第1列に、、(読点)、第2列に。(句点)、第3列に々、第2行第1列に「」、第2列に『』、第3列に〃、第3行第1列に*、第2列にゝ、、第3列に#を設定する。
本発明における3行3列の9キー型の携帯入力端末における数字入力ならびに数字符号の入力においては、字母入力に使用する3行3列の9キーでは、9個の数字しか入力できないという困難があるので、本発明においては、図5に示すように、字母入力の場合にシフトキーとして用いるキーを、数字入力の場合には数字の0を入力することにするが、これは、数字入力そのものにおいては、キーの押し下げがそのまま確定された入力となるので、この場合にはシフトキーの設定が不要となるからであり、数字入力中に鍵盤切替キーを押し下げて符号入力の次元に入って後は、そのヴァーチャルな鍵盤は3行3列の9キー型となり、シフトキーの昨日は復活する。
3行3列の9キー型の携帯入力端末において、上記の鍵盤を用いた数字入力中に、鍵盤切替キーを1度押し下げることによって入る符号鍵盤すなわち本発明に言う数字基本符号鍵盤の内容を、f(x)、f’(x)、∴、∵、∫、∬、∂、*、#、の9個の符号からなるものとし、図9に示すように、3行3列の9キーの第1行第1列にf(x)を、第2列にf’(x)を、第3列に∴を、第2行第2列に∫を、第2列に∬を、第3列に∵を、第3行第1列に*を、第2に∂を、第3列に#を設定する。
本発明における3行3列の9キー型の携帯入力端末において、和文入力中、数字入力中それぞれの場合に、符号入力が必要とされる場面において、鍵盤切替キーを2度連続して押し下げることによって呼び出される符号鍵盤から4回あるいはそれ以上の回数を押し下げて呼び出される符号鍵盤までの鍵盤、ならびに英文入力中に鍵盤切替キーを1度押し下げることによって呼び出される符号鍵盤から3回あるいはそれ以上の回数を押し下げて呼び出される符号鍵盤までの鍵盤の内容を、入力種にかかわり無く、同一の内容とする。
前記において、和文入力中、数字入力中の過程において、それぞれの場合に、鍵盤切替キーを連続2度押し下げることによって入る符号鍵盤、および英文入力中に鍵盤切替キーを1度押し下げることによって呼び出される鍵盤、すなわち本発明に言う符号第1鍵盤の内容を、和文入力、英文入力、数字入力全ての場合に同一の、英文の基本符号とインターネット関係の符号からなるものとする。
前記の本発明に言う符号第1鍵盤の内容を、具体的には、,(コンマ)、.(ピリオド)、:(コロン)、;(セミコロン)、/(スラッシュ)、‐(ハイフン)、?(疑問符)、@、!(感嘆符)の合計9個の符号とし、図10に示すように、3行3列の9キーの第1行第1列に,(コンマ)を、第2列に.(ピリオド)を、第3列に/(スラッシュ)を、第2行第2列に:(コロン)を、第2列に;(セミコロン)を、第3列に‐(ハイフン)を、第3行第1列に?(疑問符)を、第2列に@を、第3列に!(感嘆符)を設定する。
前記において、和文入力中、数字入力中の過程において、それぞれの場合に、鍵盤切替キーを連続3度押し下げることによって入る符号鍵盤、および英文入力中に鍵盤切替キーを連続2度押し下げることによって呼び出される鍵盤、すなわち本発明に言う符号第2鍵盤の内容を、和文入力、英文入力、数字入力全ての場合に同一の、括弧符号を中心とする符号を主とするものとする。
前記の本発明に言う符号第2鍵盤の内容を、具体的には、‘’、“”、()、{}、[]、<>、【】、《》、・(ナカグロ)の9個の符号とし、図11に示すように、3行3列の9キーの第1行第1列に‘’を、第2列に“”を、第3列に()を、第2行第1列に{}を、第2列に[]を、第3列に<>を、第3行第1列に【】を、第2列に《》を、第3列に・(ナカグロ)を設定する。
前記において、和文入力中、数字入力中の過程において、それぞれの場合に、鍵盤切替キーを連続4度押し下げることによって入る符号鍵盤、および英文入力中に鍵盤切替キーを連続3度押し下げることによって呼び出される鍵盤、すなわち本発明に言う符号第3鍵盤の内容を、和文入力、英文入力、数字入力全ての場合に同一の、基本的な数学符号を中心とするものとする。
前記の本発明に言う符号第3鍵盤の内容を、具体的には、+、−、±、×、÷、≡、=、≒、≠、の9個の符号とし、図12に示すように3行3列の9キーの第1行第1列に+を、第2列に−を、第3列に±を、第2行第1列に×を、第2列に÷を、第3列に≡を、第3行第1列に=を、第2列に≒を、第3列に≠を、設定する。
以上全ての3行3列の9キー型の携帯入力端末において呼び出される符号鍵盤すなわち和文基本符号鍵盤と数字入力基本符鍵盤および、符号第1鍵盤から符号第3鍵盤までの和文入力、英文入力、数字入力の3種の入力種に共通する符号鍵盤において、それが呼び出された際に、3行3列の9キー型の鍵盤に対応した形態をもって、ディスプレーの画面上に表示されるように設定する。
本発明によって、一般に、3行3列の入力鍵盤とは異なった形態をもつ鍵盤、あるいはこれより多いキー数や少ないキー数をもった鍵盤においても、それぞれの符号鍵盤を、それが呼び出された際に、それぞれの現実の鍵盤に対応した形態をもって、ディスプレーの画面上に表示されるように設定することができるようになった。
以上において、ディスプレーの画面上に表示される符号鍵盤が、半透明で入力画面にかぶさる形で、あるいは不透明で入力画面のいずれか適当な部位(たとえば画面の下部)に置かれる形で、ディスプレーの画面上に表示されるように設定する。
本発明によって、一般に、3行3列の入力鍵盤とは異なった形態をもつ鍵盤、あるいはこれより多いキー数や少ないキー数をもった鍵盤においても、それぞれの符号鍵盤が、それぞれの鍵盤に対応した形態をもって、半透明で入力画面にかぶさる形で、あるいは不透明で入力画面のいずれか適当な部位(たとえば画面の下部)に置かれる形で、ディスプレーの画面上に表示されるように設定することができるようになった。
以上において、画面に表示された諸符号のなかで現在入力対象として必要とされる符号の位置に対応した位置にある現実の鍵盤上のキーを押しさげると、その符号が入力されるように設定する。
本発明によって、一般に、3行3列の入力鍵盤とは異なった形態をもつ鍵盤、あるいはこれより多いキー数や少ないキー数をもった鍵盤においても、画面に表示された諸符号のなかで現在入力対象として必要とされる符号の位置に対応した位置にある現実の鍵盤上のキーを押しさげると、その符号が入力されるように設定することができるようになった。
以上において、符号の位置に対応した位置にある現実の鍵盤上のキーを押し下げて、その符号が入力されると直ちに元の入力中の設定に戻るように設定する。
本発明によって、一般に、3行3列の入力鍵盤とは異なった形態をもつ鍵盤、あるいはこれより多いキー数や少ないキー数をもった鍵盤においても、符号の位置に対応した位置にある現実の鍵盤上のキーを押し下げて、その符号が入力されると直ちに元の入力中の設定に戻るように設定することができるようになった。
「和文入力の場合」
以上のような本発明によって、和文入力の場合に、3行3列の9個のキーにパソコンの場合の26個の字母入力キーとそれ以外の相当数の符号キーを合わせたものに近い入力機能を持たせることが可能となった。
より具体的に言えば、たとえば、「発明の効果 和文入力の場合」と平仮名で入力する場合に、普通の英文字母26文字を設定した、いわゆるqwertyボードを使用したパソコンの場合には、「h、a、t、u、m、e、i、n、o、k、o、u、k、a w、a、b、u、n、n、n、y、u、u、r、y、o、k、u、n、o、b、a、a、i」となって、ここで読点で区切られた字数の回数、すなわち35度のキーの押し下げによって、この文章は入力される。
これに対して、この「発明の効果 和文入力の場合」と平仮名で入力する場合に、本発明による3行3列の9個のキーをもつ鍵盤の場合には、「h、a、t、u、m、e、子音符i、n、o、k、o、子音符、u、k、a w2、a、b、u、子音符、鼻音符、n、y、u、r、y、o、k、u、n、o、b、a、子音符、a、子音符i」となって、ここで読点で区切られた字数の回数にwを呼び出すための1度のキーの押し下げの追加を足して、39度のキーの押し下げによって、この文章は入力される。
すなわち、本発明による3行3列の9キーを用いた携帯入力端末は、キー数が3倍以上の一般のパソコンに対して、39÷35=1.1143の計算で、わずか一割強のキーの押し下げ数で同じ内容の入力が可能である。
また、本発明の場合には、子音用の鍵盤も母音用の鍵盤もともに五十音順の配列を取っているので、すくなくとも日本人にとっては、いわゆるqwertyボードを使用する場合よりは抵抗感が無くて近づきやすく、また入力の際の神経の疲労が軽減される。
「英文入力の場合」
本発明の英文入力における第一の特徴は、アルファベットに関して、17個の字母あるいは字母の組み合わせの所在を把握するだけでよいので、通常のアルファベット入力に比して、入力方法の習得が簡単であり、ただ1度の鍵盤切替によって、全ての英文字母が呼び出せるため、通常のテンキーの場合のキー配置に比して、入力速度が格段に速いという点にある。
より具体的に言えば、たとえば、「the effect of the invention in the case of English input」とアルファベットで入力する場合に、普通の英文字母26文字を設定した、いわゆるqwertyボードを使用したパソコンの場合には、両者に共通するスペースキーの入力を除き、EnglishのEの大文字化の手数を加えれば、字母の個数46に1を加えて、47度のキーの押し下げによって、この文章は入力される。
これに対して、本発明による3行3列の9個のキーをもつ9キー鍵盤の場合には、この「the effect of the invention in the case of English input」とアルファベットで入力する場合には、1字母を入力するのに必要なキーの押し下げ数を字母の後ろの括弧のなかに入れて示すと、まったく入力候補鍵盤への参照が無かったばあいには、
「t(1)h(1)e(1)e(1)f(2)f(2)e(1)c(2)t(1)o(1)f(2)
t(1)h(1)e(1)i(1)n(1)v(1)e(1)n(1)t(1)i(1)o(1)n(1)i(1)n(1)t(1)h(1)e(1)c(2)a(1)s(1)e(1)o(1)f(2)E(1)n(1)g(2)l(2)i(1)s(1)h(1)i(1)n(1)p(2)u(1)t(1)」となって、合計55度のキーの押し下げによって、この文章は入力される。
そして、実際にも、effectに対してeffeqt、effekt、caseに対してqase、kaseという綴りは成立せず、inventionについてもすでに触れたようにこれに代わる綴りは成立せず、ofの場合はもともと1字母1キーで入力され、Englishの場合はEnglに代わるEnjlの綴りは成立せず、Englという綴りが成立した以上、その後にはishが続くことになり、inputの場合には、inpに代わるhnpやynpの綴りが無く、inpの後にvtやwtの綴りが続くことも無いので、これらの単語はまったく入力候補鍵盤への参照なしに入力されるので、実際にはtheの場合にthe、tye、tieの3単語から1単語を選択する場合にシフトキーを1度、余分に押し下げる可能性が残り、最大限合計56度のキーの押し下げによって、この文章は入力される。
なお、ここでは、Englishの場合の大文字があり、これは通常のパソコンの場合はシフトキーを押し下げながら入力するので2度のキーの押し下げが必要となり、実際の入力行為としては普通の2度のキーの押し下げより心理的負担は大きいが、とりあえずこれを2度のキーの押し下げとすると、本発明の場合は入力後に鍵盤切替キーを押し下げて英文入力裏鍵盤に入り、さらにそこで文字大小符を押し下げるので、2度の余分なキーの押し下げが必要となり、合計のキー押し下げ数は、57度となる。
これは、通常のパソコンの場合の47度の123パーセント強となり、本発明による3行3列の9個のキーをもついわゆるテンキー鍵盤の場合には、通常のパソコンの場合の2割増しほどの押し下げ数で同様の内容の入力が可能となる。
この割合は、本発明に言う英文入力表鍵盤に設定されたアルファベット字母と英文入力裏鍵盤に設定されたアルファベット字母の英語の文章中での出現率の比率によって規定されており、この点の詳細については、英文入力の原理的な説明の部分で詳しくデータを示すが、ここで挙げた比率はより大量のデータによって検証した場合もほぼ同様である。
従来の携帯端末の入力方式との比較においては、英文入力における本発明の優位性は和文入力の場合のそれ以上に明瞭であるが、その点は後述に譲るとして、ただ一つ、従来の入力方法では、五十音を基礎とする和文入力と、1キーに3個乃至4個のアルファベット字母を設定した英文入力方式の間には、まったく操作上の共通性が無かったのに対して、本発明の場合には同一鍵盤中のキーの入力は、すべて1度のキーの押し下げによってなされるので、和文入力と英文入力が、その操作上、一定の共通性をもつに至ったことを指摘したい。
上記の共通性は、従来の方式に比して、日本人が英語を入力し、欧米人が日本語を入力する際の心理的抵抗を著しく低減するものと予想される。
「符号入力の場合」
符号鍵盤による符号入力の状況をまとめれば、次のようになる。
まず、和文入力鍵盤と数字入力鍵盤においては、字母入力決定後に鍵盤切替キーを1度押し下げて呼び出されるところの和文基本符号鍵盤と数字基本符号鍵盤はともに9個の符号を提供し、画面に表示された諸符号のなかで現在入力対象として必要とされる符号の位置に対応した位置にある現実の鍵盤上のキーを押しさげると、その符号が入力される。
すなわち、和文基本符号鍵盤と数字基本符号鍵盤においては、9個の符号が2度のキーの押し下げによって入力される。
ついで、和文入力鍵盤と数字入力鍵盤においては、鍵盤切替キーを2度連続して押し下げて呼び出され、英文入力鍵盤においては、鍵盤切替キーを1度押し下げて呼び出される符号第1鍵盤もまた9個の符号を提供し、画面に表示された諸符号のなかで現在入力対象として必要とされる符号の位置に対応した位置にある現実の鍵盤上のキーを押しさげると、その符号が入力される。
すなわち、符号第1鍵盤においては、9個の符号が3度のキーの押し下げによって入力される。
ついで、和文入力鍵盤と数字入力鍵盤においては、鍵盤切替キーを3度連続して押し下げて呼び出され、英文入力鍵盤においては鍵盤切替キーを2度押し下げて呼び出される符号第2鍵盤もまた9個の符号を提供し、画面に表示された諸符号のなかで現在入力対象として必要とされる符号の位置に対応した位置にある現実の鍵盤上のキーを押しさげると、その符号が入力される。
すなわち、符号第2鍵盤においては、9個の符号が4度のキーの押し下げによって入力される。
ついで、和文入力鍵盤と数字入力鍵盤においては、鍵盤切替キーを4度連続して押し下げて呼び出され、英文入力鍵盤においては鍵盤切替キーを3度連続して押し下げて呼び出される符号第3鍵盤もまた9個の符号を提供し、画面に表示された諸符号のなかで現在入力対象として必要とされる符号の位置に対応した位置にある現実の鍵盤上のキーを押しさげると、その符号が入力される。
すなわち、符号第3鍵盤においては、9個の符号が5度のキーの押し下げによって入力される。
こうして、本発明の和文入力鍵盤と数字入力鍵盤においては、2度のキーの押し下げで、和文入力と数字入力に必要な基本的符号が9個入力され、3度のキーの押し下げで、和文入力と数字入力に必要な符号がさらに9個入力され、4度のキーの押し下げで、和文入力と数字入力に必要な符号がさらに9個入力され、5度のキーの押し下げで、和文入力と数字入力に必要な符号がさらに9個入力される。
すなわち、36個の符号が、9×(2+3+4+5)=126の式のように、合計126度のキーの押し下げで入力され、1個の符号は平均3.5度のキーの押し下げで入力される。
これに対して、従来の携帯入力端末における符号入力は、携帯電話を典型として、一旦符号入力に入り、そこから再び問題の符号の並べられたディスプレー上の画面を探し、さらにそこで数回のカーソルキーの操作によって、目的の符号にたどり着くという煩瑣な手続きを必要としていた。
今、仮に携帯電話の符号呼び出し画面を、縦4個、横10個の形を取っているとして、カーソルによって、必要な符号にまで到達し、さらに決定キーを押し下げてこれを入力するまでの、カーソルと決定キーの押し下げ回数の平均を求めると、それは次のような考え方によって計算できる。
すなわち、画面の最左端、最上端の符号は、決定キーを1度押し下げることによって入力できるが、その右のキーと下のキーの入力にはカーソルを1度動かしたのちに決定キーを1度押し下げることが必要であり、合計の押し下げ回数は2度となり、さらに画面の最左端、最上端の符号から2個右のキーと2個下のキーの入力にはカーソルを2度動かしたのちに決定キーを1度押し下げることが必要であり、合計の押し下げ回数は3度となり、さらに画面の最左端、最上端の符号から3個右のキーと3個下のキーの入力にはカーソルを3度動かしたのちに決定キーを1度押し下げることが必要であり、合計の押し下げ回数は4度となる
上記の場合、たとえば最左端、最上端の符号から3個右のキーと3個下のキーを結んだ線上にあるキーの入力には、最上端の符号から3個右のキーと3個下のキーに至る場合と同様に、カーソルキーの押し下げ回数と決定キーの押し下げ回数の合計は4度となる。
上記の場合の最上端の符号から3個右のキーと3個下のキーを結んだ線上にあるキーから1個右のキーの入力には、さらにもう1度カーソルを動かす必要があるので、カーソルキーの押し下げ回数と決定キーの押し下げ回数の合計は5度となる。
上記の場合の最上端の符号から3個右のキーと3個下のキーを結んだ線上にあるキーから2個右のキーの入力には、さらにもう1度カーソルを動かす必要があるので、カーソルキーの押し下げ回数と決定キーの押し下げ回数の合計は5度となる。
この過程を繰り返して、最上端の符号から3個右のキーと3個下のキーを結んだ線上にあるキーから6個右のキーすなわち鍵盤の最右端、最上端のキーの入力に至って、カーソルキーの押し下げ回数と決定キーの押し下げ回数の合計は10度となる。
ここから、押し下げるべきキーの数は漸減して、残された3個のキーの入力には、カーソルキーの押し下げ回数と決定キーの押し下げ回数の合計は11度となり、残された2個のキーの入力には、カーソルキーの押し下げ回数と決定キーの押し下げ回数の合計は12度となり、最後の鍵盤の最右端、最下端のキーの入力には、カーソルキーの押し下げ回数と決定キーの押し下げ回数の合計は13度となる。
以上によって、この鍵盤のキーの総押し下げ数は、1、2、3、4かける4、5かける4、6かける4、7かける4、8かける4、9かける4、10かける4、11かける3、12かける2、13かける1を合計した数、すなわち272度となる。
この合計272度のキーの押し下げ回数を、キーの総数の40で割った、6.8というのが、一般的な携帯電話の場合の、40個の符号の呼び出しに必要な平均的なキーの押し下げ数である。
これを本発明における和文符号と数字符号で、36個の符号が平均3.5度のキーの押し下げで入力する場合と比較すると、本発明の場合の方がより簡便であると言える。
これを本発明における英文符号の場合と比較すると、本発明における英文符号では、呼び出される最初の符号鍵盤が、符号第1鍵盤であり、これはこれを本発明における和文符号と数字符号の呼び出しに比較すると、同じ符号を呼び出すのに、1度づつキーの押し下げ数がずれるけれども、1個の鍵盤を呼び出すためのキーの押し下げ数は数字入力や和文入力の場合と同様である。
すなわち、本発明における英文符号では、27個の符号が、9×(3+4+5)=108の式のように、合計108度のキーの押し下げで入力され、1個の符号は平均3度のキーの押し下げで入力され、さらにここで符号第4鍵盤を設定すれば、9×(3+4+5+6)=162の式のように、36個の符号が、合計162度のキーの押し下げで入力され、1個の符号は平均4.5度のキーの押し下げで入力される。
また、英文符号の場合に符号第5鍵盤を設定すれば、9×(3+4+5+6+7)=225の式のように、45個の符号が、合計225度のキーの押し下げで入力され、1個の符号は平均5度のキーの押し下げで入力されるので、この場合でも一般的な携帯端末に勝っている。
そして、実際の使用において、本発明がもっとも勝れているのは、これらの9個づつの符号を載せた鍵盤が、ディスプレーの画面に現実の鍵盤と同様の形態で表示されるため、利用に習熟すれば、キーの所在が直覚的に捉えられ、きわめて迅速で着実な入力が可能になることである。
以上は、本発明と従来の一般的な携帯端末との比較である。
本発明における符号入力システムには、さらに、従来の一般的なパソコンの場合と比較して優位に立つ部分がある。
それはまず、鍵盤切替キーを押し下げて新しい符号入力鍵盤を呼び出すたびに、その3行3列の鍵盤がディスペレーの画面上に表示されるために、およそ48個のキーからなる鍵盤上で必要な符号を探す必要のあるパソコンの場合に比して、入力者の心理的疲労が軽減される効果があるということである。
また、本発明においては、鍵盤切替キーを5度以上連続して押し下げることにより、1度の押し下げごとに9個の符号が呼び出せるので、多くの種類の符号が必要となった場合は、本発明の方式のほうが、一般的なパソコンの場合より、優れていると言える。
「候補文字入力の場合」
繰り返すことになるが、小型携帯端末とりわけ携帯電話において著しく発達した技術に、候補文字を予測変換、推測変換して提示選択する方式があり、本来小型で制約の多い携帯入力端末の入力操作を大幅に合理化しており、候補文字入力の場合には、一般的に言って、携帯電話を典型とする携帯入力端末の方がパソコンの場合よりも一層周到な候補文字の提供に成功していると言える。
これは、携帯電話を典型とする携帯入力端末の入力操作がパソコンに比して著しく困難であることから、その困難の軽減手段として発達してきたものと評価できるようである。
しかし、この周到にして多数提供される候補文字の実際の入力に当たっては、やはり画面に表示された複数の候補文字を探しあて、数度のカーソルキーの押し下げによって、この候補文字に到達するという手続きが要求されるうえ、最初に提供された候補文字の一覧の中に必要な文字が見出されない場合には、さらに1度のカーソルキーの押し下げ毎に1個の候補文字が提供される形で、必要な候補文字を探索する必要があるので、最初に提供された候補文字の一覧の中に必要な文字が見出されない場合には、手続きが極めて煩瑣になる。
この方式では、キーボードによる入力と異質のキー操作が要求されるだけではなく、カーソルが目的の字句に達するまでジョグキーを連続して押し下げながらディスプレーを注視する必要があり、入力時の神経の疲労の一因となっている。
一般的な方式の場合には、もっとも早く候補文字を入力できる場合でも、カーソルを1度押し下げて候補を選び、これを決定キーの押し下げによって確定するが、本発明の場合には、ディスプレーの画面に表示される候補文字を現実の鍵盤と対応する形で配置し、必要とされる候補文字に対応した現実の鍵盤のキーを押下げることにより、候補文字を入力するので、シフトキーの押し下げを含めて、キーの2度の押し下げによって9項目の候補文字のいずれをも入力することができる。
さらに、候補文字が最初のディスプレーの画面に表示されなかった場合は、本発明ではもう1度鍵盤切替キーを押下げることにより、さらに9個の新しい候補文字を表示できるが、従来の方式では製品の仕組みによってそれぞれ差があるが、通常の方式では、同じ9個の候補文字を探すためには、最初の画面の最後の候補の次までカーソルを移動させて、やっと新しい候補文字が一個見つかることになるので、一般的に新しく最小限1度、最大限9度程度のキーの押し下げが必要となる。
以下、本発明では続いて連続して鍵盤切替キーを押し下げるという同様の手続きを繰り返すことで1度のキーの押し下げ毎に、さらに1セット9個の新しい候補文字を提示して入力することが可能になり、候補文字が簡単に見つからない場合ほど、本発明の優位性は高まる。
また、本発明の英文入力の場合においては、1個のハードキーに複数の字母をわりあてるため、1度の入力で確定的な結果を齎しえず、いくつかの候補の単語の中から適当な単語を選ぶことになるので、この場合の入力には、ディスプレーの画面に複数の候補単語を表示することが必要になるが、その際にも、この上記の方式を採用することにより、複数の候補単語の中から必要な単語を選択することが容易に実現する。
以上の、候補文字の入力は携帯入力端末がパソコンに対して優位を誇る分野であり、本発明ではその長所を生かしながら改良することにより、従来のパソコンと従来の携帯入力端末の双方に対して優越する新しい入力方式を提示することに成功した。
「総合的効果」
本発明は、和文入力、英文入力、符号入力、候補文字入力の全ての面に亘って、従来の携帯入力端末の入力水準を高めることに成功したが、最後に強調して置きたいのは、これらの全ての面で、複数の鍵盤を用意して、それらを鍵盤の自動的あるいは手動的な切替によって呼び出し、中でも符号入力、候補文字入力の場合のように現実の鍵盤にそれらを表示できない場合に、それをヴァーチャルな鍵盤としてディスプレーの画面に表示することにより、画面上の鍵盤と現実の鍵盤との対応性に基づいてそれらを容易に入力することを可能にし、そこからこれらの四つの入力方式の間に、一定の調和性を齎すことに成功したことである。
パソコン入力の場合には、多数のキーの存在によって実質的に実現していたこのような入力方式相互の間の調和性の携帯入力端末の場合における欠如、すなわち、五十音方式を取る和文入力、一個のキーに3個乃至4個のアルファベット字母を割り振る英語入力、もっぱらディスプレーの画面上のカーソル移動にたよる符号入力、候補文字入力というそれぞれ異質の3種の入力方式を備えた携帯入力端末の場合における一種の不安定性が、本発明によって払拭されたのである。
以上によって、本発明は3行3列の9個のキーをもつ9キー型の入力端末の入力速度を大幅に高めるとともに、一層安定した、ほぼ現行のパソコンに近い操作性を獲得することに成功した。
「発明についての若干の敷衍的説明」
本発明においては、3行3列の鍵盤について、その9個のキー部分に全体としてどのような字母、数字入力機能を与えるのかを中心的な課題とする。
本発明は、和文入力の場合には、子音キーと母音キーの自動的交代出現と合理的なキー配置という方法によって、小型鍵盤に対しても大型鍵盤と同等の入力機能を保障しようとするものである。
本発明は、英文入力の場合に、二つの鍵盤を鍵盤切替キーによって切り替えること、およびこの二つの鍵盤のなかの最初に入る的な鍵盤に出現頻度の高い字母を集めることによって、小型鍵盤に対しても大型鍵盤と同等の入力機能を保障しようとするものである。
本発明はまた、英文つづりの特性を利用して、この二つの鍵盤に割り当てられる個々のキーに複数の字母を配置することにより、より高い機能と操作性を備えた鍵盤を提供する。
本発明は和文入力の高度な設計とそれに対応する英文入力方式や符号入力方式の高度な設計を目指すものであり、カーソル移動や画面スクロールあるいは入力決定等の的設計は現行の方式に準拠してジョグダイヤルや十字キー等のデバイスによって行う。
「英文入力問題の場合」
すでに触れたように、現在一般的に使用されている携帯電話等の小型入力鍵盤における英文入力に際しての最大の問題は、ひとつのキーにabcの場合のように3個の字母を割り当てるものから、pqrsの場合のように4個の字母を割り当てるものまで、一つの字母の入力に3回から4回のキーの押し下げが必要であることである。
さらに、そこでは3回のキーの押し下げと4回のキーの押し下げが、混在することからくる入力リズムの狂いの問題がある。
このような携帯電話等の小型入力端末における英文入力方式に共通する困難の基本的原因は、いわゆるテンキーにおける最大限12個のハードキーにアルファベット26文字を配置しなければならないという制約に起因している。
しかし、アルファベット26文字の英語単語の綴りに対する関係は、その字母としての歴史と関連して一様ではない。
すなわち、アルファベット26文字中、gとj、cとkとq、sとxとz、uとvとwとhとiとyの5組14個の子音字母は、綴り字に対する関係において、原則的に互いに相補的な関係にある。
たとえばkあるいはqを含む任意のある英単語の綴りにおいて、原則としてそのなかにkが使われる部分をqに置き換えた単語は存在せず、逆にqが使われる部分にkが使われた単語も存在しない。
こうして、keyという単語が存在すれば、qeyという単語は存在せず、questionという単語が存在すれば、kuestionという単語は存在しない。
これは、たとえばフランス語、ドイツ語をも含めて、印欧語系における字母表記においては、q+uがkと等価の子音扱いになるためである。
これほど明確ではないが、同様の関係がこのcとkとqの間、およびgとjの間、sとxとzの間、uとvとwの間、hとiとyの計5組14個の字母においても原則的に成立する。
「cとkの間」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのkに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのcに始まる単語と対照した結果、このkをcに書き換えても成立する単語は39語であった。
それらは、アルファベット順に記すと以下のようになる。
Kaaba、kabob、kaftan、kalends、kapok、karakul、karat、Kasbah、Kelt、Khi、klaxon、kleptmania、kola、Kopeck、Korea、kraal、Kurd、KB、KC、kg、km、ko、Kr、KS、kt、KY、kart、Kent、kid、kinder、kip、kit、kite、klan、kook、kosher、kraft、krone。
上記単語中、KaabaからKurdまでの18語がc、kいずれの表記を用いても同じ実体を表すものであり、KBからKYまでの9語が略語であり、kartからkroneまでの12語が異なった実体を指す単語である。
上記単語中、固有名詞すなわち大文字始まることによって、書き換えても成立する単語との相互識別が可能な単語がcに始まる単語に1個(Cid→kid)、kに始まる単語に1個(clan→klan)計2個ある。
したがって、略語のように本来一字一字入力すべき語と、KaabaとCaabaのようにまったく同じ実体を二様に表記することが許されている場合を除いて、入力に本当に困難が起きるのは、kartからkroneまでの12語の中から2語を差し引いた10語ということになる。
これらの単語は、上記の一覧表からわかるように、固有名詞を除いてその大部分が日常あまり使用されない語彙である。
したがって登録された単語と入力された単語を引き当てるという操作の対象となる単語は、少数である上に、これらの単語が入力の対象となる事態そのものの出現の可能性も高くは無い。
そして、これらの単語の入力が必要な場合には、たとえばkartとcart、kroneとcroneの二語を画面に表示して、そのいずれかを選ぶことになる。
次に問題になるのは、cとkが単語の語中に出現する場合である。
実際には、kは、語頭に出現する以外は、work、talk、back、clerk、ask、monk、link、lack、drank等のようにその前にr、l、c、s、n等の子音を前に持って、語尾に出現するか、あるいはtook、seek、look、book、hook等のように母音が重なって表記される後に語尾に出現するか、その変形としてのseak、speak等の形で語尾に出現するのが通例であり、そうでない場合は、make、take、woke、like、duke等のようにake、oke、ike、uke等の特定の字母との組み合わせの綴りのなかで語中に出現する。
これに対して、cは語頭を除いては語中に出現するのが通例であり、語尾に出現する場合は、picnic、critic、pragmaticあるいはmaniac、manic等の形で、特定の母音に続いて出現し、これらの場合にこのcをkに書き換えた単語は存在しない。
またkが語中で、make、take、woke、like、duke等のようにake、oke、ike、uke等の特定の字母との組み合わせの綴りのなかで出現する場合との対比で、ace、ice、uce、ece、oceの各綴りを持つ場合をそれぞれ検討すると、trace、place、lace、face、pace、terrace race、menaceのようにaceを含む綴りに於いてfake(偽者) とlakeとrake(熊手)を見出すのと、uceを含む場合のproduce、duceの場合にduce(イタリア語の首領)に対応するduke(公爵)がある場合のみであり、iceを含む場合のnotice、practice、price、rice、license、service、office、reticence、choice、eceを含む場合のpiece、receive、necessary、perceive、recent、oceを含む場合のprocess、proceed、ocean等の場合にはまったくこうしたケースは見られない。
こうして、cとkは、語中においても一般的に相補的な分布をとり、上記の例外とlikeとlice(louse=虱の複数形)のような語形変化との関連できわめて稀に混同が起こるだけである。
以上によって、cとkを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、cとkにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
「cとqの間」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのqに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのcに始まる単語と対照した結果、このqをcに書き換えても成立する単語は4語であった。
それらは、アルファベット順に記すとQB、qr、qv、Queという4個の略語のみであった。
上記単語中、Queは大文字固有名詞のQuebecの略語であり、cueという普通名詞に対応しており、容易に区別できる。
次に問題になるのは、cとqが単語の語中に出現する場合である。
この場合、qは語頭、語中いずれの場合にも、que、qua、quo、quiのように、その後ろにqを持ち、さらにその後ろに別の母音を従える形で出現するのが通例であり、また従って、語尾にqが出現することも無い。
これに対してcは、evacuate、cuisine、cuirass、conspicuous等のきわめて少数のラテン語由来の単語に、同様の綴りがあるのみであって、これらの単語の場合に、そのなかのcをqに置き換えた単語も存在しない。
したがってcとqを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、cとqにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
「kとqの間」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのqに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのkに始まる単語と対照した結果、このqをkに書き換えても成立する単語はQatarとKatarの場合の1語のみであった。
そしてこの場合、このQatarとKatarはともにアラビア半島のカタールを表しており、二つの表記の双方が通用している。
次に問題になるのは、kとqが単語の語中に出現する場合である。
実際には、先に述べたように、kは語頭に出現する以外は、work、talk、back、clerk、ask、monk、link、lack、drank等のようにその前にr、l、c、s、n等の子音を前に持って、語尾に出現するのが通例であり、そうでない場合は、make、take、woke、like、duke等のようにake、oke、ike、uke等の特定の字母との組み合わせの綴りのなかで出現するか、took、seek、look、book、hook等のように母音が重なって表記される後か、その変形としてseak、speak等の形で出現する。
これに対して、qは語頭、語中いずれの場合にも、que、qua、quo、quiのように、その後ろにqを持ち、さらにその後ろに別の母音を従える形で出現するのが通例であり、上記のkを含む単語とは、まったく異なった形を持つ。
したがって、kとqを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、kとqにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤と実質上同じ働きを実現することが可能となる。
「gとjの間」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのjに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのgに始まる単語と対照した結果、このjをgに書き換えても成立する単語は35語であった。
それらは、アルファベット順に記すと以下のようになる。
Jag、jaile、Jal、jam、James、jangle、jape、jar、Jas、jaunt、jay、jeep、Jer、jerry、jest、jet、jib、jig、jiggle、jill、jiet、jink、jive、job、jock、joggle、jolly、josh、jot、Joy、jumbo、Jun、junk、just、jut。
上記36単語中、固有名詞すなわち大文字始まることによって、書き換えても成立する単語との相互識別が可能な単語がjに始まる単語に5個(Jal,James,Jas,Jer,Jun)、gに始まる単語に1個(jerry→Gerry)計6個ある。
これらの単語は、上記の一覧表からわかるように、固有名詞を除いてその大部分が日常あまり使用されない語彙である。
これらの単語の中で固有名詞すなわち大文字から始まることによって、書き換えても成立する単語との相互識別が可能な単語を除いた日常的に使用される単語、たとえば、job,joy,just等のjに始まる単語に対応するgに始まる単語はそれぞれ、gob,goy,gust等の非日常的な語彙であり、逆にgape,get,give,got,gun等のgに始まる日常的に使用される単語に対応するjに始まる単語はそれぞれ、jape,jet,jive,jot等の非日常的な語彙である。
したがって語頭の場合には、単語登録の機能により、入力時に使用頻度の高い単語を選択すべき第一候補として画面に表示し、とくに選択行為を行わない限り、この単語が選択されるように設定することにより、jとgを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、jとgにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
次に問題になるのは、gとjが単語の語中や語尾に出現する場合である。
jが語中に出現する場合は、subject、object、project、reject、traject等のように定型的にその後ろにectの綴りを従えて出現するのが通例であり、このjをgに置き換えることはできないし、adjust、major、conjure等の少数の例外の場合においても、そこでのjをgに置き換えた単語は存在しない。
さらに、jが語尾に出現する例は、本来の英語には皆無と言ってよい。
以上によって、gとjを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、gとjにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
「sとxの間」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのxに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのsに始まる単語と対照した結果、このsをxに書き換えても成立する単語は12語であった。
それらは、アルファベット順に記すと、Xe,Xi,Xian,Xiang,Xiangtan,Xing,Xining,XL,Xn,XR,XT,XXのようになる。
ただし、これらの単語のうちXe,Xiはそれぞれギリシャ語のクセノンとクシーの略であり、Xian,Xiang,Xiangtan、Xiningはそれぞれ中国の地名のローマナイズであるとともに、双方の表記がともに通用している。
さらに上記8単語中、固有名詞すなわち大文字で始まることによって、書き換えて成立した単語との相互識別が可能な単語がxに始まる単語に1個(Xing)あり、またピリオドの有無や単語中の大文字と小文字の相違から識別可能な場合が、XLとXn、XTの3例がある。
したがって、入力時に識別不可能な単語は、XR(ex rightsすなわち新株特権落ち)とSR(すなわちSwissairの国際航空略称)およびXS(extra small)とSS(ナチスの親衛隊)の2単語のみである。
したがって語頭の場合には、単語登録の機能により、入力時の文脈にふさわしい単語を選択すべき候補として画面に表示し、とくに選択行為を行わない限り、この単語が選択されるように設定することにより、sとxを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、sとxにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんど同じ働きを実現することが可能となる。
次に問題になるのは、sとxが単語の語中に出現する場合である。
実際には、xは語頭に出現する以外は、大部分の場合、exact、exaggerate、exalt、examine、example、exegesis、exercise、exert、extend、experience、expose、explicate、explicit、expect、exhaust、express、explain、extraordinary等のようにその前に、その前に置かれたeと組み合わせられて語中に位置することになるのであり、実際にはexが一つの単位となって語頭に出現すると考えた方がよい。
そして、このような場合に、そこでのxをsに置き換えて成立する単語は存在しない。
それ以外で問題になるのは、box、six、sex等の語尾にxが来る場合であるが、いずれもそこでxをsに置き換えて成立する語は無い。
唯一の問題は、text、contextの場合に、そこでxをsに置き換えてtest、contestの語が成立することである。
この点については、textとtest、contextとcontestが当該行文中でどちらがふさわしいかを、単語登録の機能との引き当てによって推測し、より可能性の高い方を行文に提示し、そうでない方を入力候補として画面のディスプレーに表示して選択することになる。
以上によって、xとsを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、xとsにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤と実質上同じ働きを実現することが可能となる。
「sとzの間」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのzに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのsに始まる単語と対照した結果、このsをzに書き換えても成立する単語は27語であった。
それらは、アルファベット順に記すと、sap、seal、sech、see、seg、sen、Sen.、sen、sen.、sing、Sion、sip、sit、Sn、s.n.、sn.、Sola、sone、Soo、sool、S.P.G.、Sr、sr、sr.、Sr.、SR、Sulu、suluのようになる。
しかし、これらの単語のなかの、つづりは同一であって大文字と小文字、あるいはピリオドの有無等の相違によるものがいくつかある。
たとえば、Zenは綴りの上ではsen、Sen、sen、senの4単語に対応するが、実際には完全に対応するのはSenの1語のみであり、同様にZnは綴りの上ではSn、s.n.、snの3単語に対応するが、実際には完全に対応するのはSnの1語のみであり、Zrは綴りの上ではSr、sr、sr.、Sr.、SRの5単語に対応するが、実際には完全に対応するのはSrの1語のみであり、Zuluは綴りの上ではSulu、suluの2単語に対応するが、実際には完全に対応するのはSuluの1語のみであり、ZPGとS.P.Gはピリオドの有無によって識別される。
さらに、ZechとSech、ZEGとseg、Zolaとsola、zooとSooの4組の単語も、大文字と小文字の区別によって識別されるし、ZionとSionは実体は同一である。
したがって、識別不可能な単語は12個であり、さらにこれらの単語のなかで、see、sing、sitの3単語は常用語であり、それらに対応するzing、zit、zeeは稀用語、zoneは常用語であり、これに対応するsoneは稀用語であって、いずれもあらかじめ登録した単語の重要性にしたがって、まず常用語の方を入力候補として提示することによってほとんどの場合に問題は起こらない。
こうして、現実に識別不可能な単語は12個であり、それらの単語のなかでやや使用度数の高い単語は、zeal(熱心)、seal(印章、あざらし)、zone(地帯)の3例のみであって、このうち、zone(地帯)とsone(感覚上の音の大きさの単位)では使用度が大きく異なるので、実際にはzeal(熱心)とseal(印章、あざらし)の場合のみが問題となるが、この場合も3語の出現のシチュエーションは大きく異なるので、これも単語をシチュエーションに応じて差等をつけた入力候補として扱う和文においてすでに一般化している技術を英文の場合にも適用することによって、ほぼ解決可能である。
次に問題になるのは、sとzが、語中あるいは語尾に来る場合である。
このうち、語尾の場合はsが動詞や名詞の変化の中で多用されるが、逆にzが語尾に現れる場合はきわめて稀に固有名詞の場合、それも英語にとっては外国語である諸語の語尾に現れるのみであり、ほとんど無視してよい。
次に語中にzの字母が現れる場合については、きわめて少数のamaze、citizen、doze、dozen、horizon、gazetteer、magazine等の一般的な綴りの場合と、authorize、characterize、criticize、downsize、emphasize、industrialize、memorize、monopolize、organize、proselytize、realize、synthesize、revitalize、urbanize、そしてanalyzeのようにこのizeがiyeとなっている場合などの名詞を動詞化する定型的な用法の2種がある。
前者の場合はきわめて少数であって、doze(居眠り)とdose(薬の投与量)以外には、これらの諸単語中のzをsに置き換えた単語が存在しないことは容易に確認できる。
後者の場合については、このizeに対応する綴りであるiseを含む単語は、exercise、surprise、precise、promise、raise、supervise、treatise等のきわめて少数の例があるが、これらの単語のizeの部分とiseの部分を交換して成立する単語が無いことも容易に確認できる。
以上によって、単語登録の機能により、入力時に使用頻度の高い単語を選択すべき第一候補として画面に表示し、とくに選択行為を行わない限り、この単語が選択されるように設定することにより、sとzを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、sとzにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
「xとzの間」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのxに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのzに始まる単語と対照した結果、このxをzに書き換えても成立する単語は、X−axisとZ−axis、xenoとZeno、Xingとzing、ZnとXn、XSとZ.S.の5語であった。
このうち、xenoと対応するZenoは大文字で始まり、Xingに対応するzingは小文字で始まり、XSに対応するZ.S.にはピリオドがあり、実際に混同が起こるのは、X−axisに対応するZ−axisとXn(Christian)に対応するZn(亜鉛)の2例に止まる。
すなわち、X−axisに対応するZ−axisの場合は、2例の入力候補の中から選択することが必要となるが、Xn(Christian)に対応するZn(亜鉛)の場合は、単語登録による引き当ての場合の場面選択の機能によって容易に識別が可能である。
次に問題になるのは、単語の語中におけるxとzの間に相補関係が成り立つのか否かという点である。
実際にxが語中に現れる場合を検討すると、その大部分が、先に見たように、exact、exaggerate、exalt、examine、example等々のeとxが結びついて語頭にくる場合であり、これは実際には語頭に近い形である。
上記のこれらの例でそこでのxをzに変えても成立する単語、すなわちexをezに変えて成立する単語はまったく無い。
次に問題になるのは、単語の語尾におけるxとzの間に相補関係が成り立つのか否かという点である。
単語の語尾におけるxが現れる例は、tax、six、sex、mix、fix等の例であるが、先に見たように、そもそも語尾にzが現れること自体が少なく、これらの単語の場合にも、sayの三人称単数形をのsaysをsezと略記する以外にはxをzに変えても成立する単語は無い。
以上によって、単語登録の機能により、入力時に使用頻度の高い単語を選択すべき第一候補として画面に表示し、とくに選択行為を行わない限り、この単語が選択されるように設定することにより、xとzを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、xとzにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
「子音と半母音および母音の表記における相補性」
以上、子音と子音の間の綴り字における相補性を問題にしたが、同様の相補的な関係は、子音と半母音および母音の間にも成立する。
このような関係が典型的に現れるのは、子音vと半母音wと母音uの間、および子音hと半母音yと母音iの間である。
「子音vと半母音wの場合」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのvに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのwに始まる単語と対照した結果、このvをwに書き換えても成立する単語は次項に記す41語であった。
Va、VA、Vac、vain、vale、van、vane、vantage、var、vary、vas、vase、vast、vat、VAT、vb、veal、veep、veil、veld、Ven、vend、vent、ver、vert、vest、Vet、vex、VF、vile、vin、vine、vino、vis、vise、viz、volley、vow、VP、VS、vv。
上記36単語中、固有名詞すなわち大文字から始まることによって、書き換えても成立する単語との相互識別が可能な単語がvに始まる単語に1個(Ven)、wに始まる単語に5個(Wac.WAC→vac、Wan→van、Weil→veil、Wex→vex、WV、WW、W.W.→vv)あり、さらにそれ以外に本来省略語として、単字の入力の必要なものが計6個(Va、VA、VF、VP、VS)ある。
また以上の大文字から始まる例を除いたこれらの単語は、上記の一覧表からわかるように、その大部分が日常あまり使用されない語彙である。
さらに、これらの単語の中で日常的に使用する単語、たとえば、vain、vary、vase、vast、volly等のvに始まる単語に対応するwに始まる単語はそれぞれ、wain、wary、wase、wast、wolly等の非日常的な語彙であり、逆にwent、west、wet、win、wine、wise等のwに始まる日常的に使用される単語に対応するvに始まる単語はそれぞれ、vent、vest、vet、vin、vine、vise等の非日常的な語彙あるいは明らかに相対的に使用頻度が低い語彙である。
したがってvとwがそれぞれ語頭に来る場合には、単語登録の機能により、入力時に使用頻度の高い単語を選択すべき候補として画面に表示し、とくに選択行為を行わない限り、この単語が選択されるように設定することにより、vとwを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、vとwにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
次に問題になるのは、単語の語中あるいは語尾におけるvとwの間に相補関係が成り立つのか否かという点である。
通例では、英文においてvが語尾に来る場合は、原則として無いので、この点での混同は生じない。
実際にvが語中に現れる場合を検討すると、その大部分が定型的な形、あるいはそれとよく似た形で現れる。
もっとも典型的なのは、active、activity、passive、passivityのように、語尾がiveで終わって形容詞、ivityで終わって名詞となるものである。
この語形のwを含む単語と比較すると、iveに代わってiwe、ivityに代わってiwityとなる綴りを持つ単語は皆無である。
同様に、このiとeを入れ替えたevident、previous、review等のeviの綴りを含む単語に対応するewiの綴りを含む単語もまた皆無である。
同様に、vの前後に母音を持つ綴りに対してそれと同じ母音がwの前後にある場合を検討すると、love、doveの場合のoveに対するoweの綴りが、owe(負っている)そのもの以外に、flower、power、however、shower等の場合に現れるほか、followed、follower、bestowed等の語形変化に伴って現れ、あるいは、even、eleven、ever等の際のeveに対するeweが、reviewed、interviewed等の形で、語形変化にともなって現れる等の例がある。
この他、have、saveの場合のaveに対するaweがawe(怖れる)そのもの以外には見当たらず、aviに対するawiがdrawingの場合のように語形変化に伴って出現する。
以上のような、vの前後に母音を持つ場合とは異なり、university、over、cover、never、conversation等の場合のように、verの綴りを定型的に持つ単語に対するwerの綴りは、were、power、answer、lower等の場合に出現する。
以上の例においては、部分的な綴りの共通性を見たが、これらの部分的な綴りの共通性は共通の単語を生み出すまでには至っていない。
部分的な綴りの共通性が共通の単語を生み出すまでに至った例としては、verとwerの対応の場合のlow、lowerとlove、loverの場合に出現するが、これも本来綴りの違う単語が、語形変化によって同一綴りを持つことになった例である。
こうした定型的な綴りの比較とは別に、直接的にvとwを入れ替えても成立する単語としては、westとvest(チョッキ)の例があり、本来綴りの違う単語が、語形変化によって同一綴りを持つことになった例としては、moveとwove(weaveの過去形)vent(孔)とwent(goの過去形)等の例がある。
こうして、vとwがそれぞれ語中に来る場合は、語形変化によって共通の単語が生み出されるのが通例であり、その数も多くは無い。
したがって、単語登録の機能により、入力時に使用頻度の高い単語を選択すべき候補として画面に表示し、とくに選択行為を行わない限り、この単語が選択されるように設定することにより、vとwを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、vとwにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
「半母音wと母音uの間」
先に、vとwが英文綴りにおいて相補的な関係にあることについて述べたが、半母音wと母音u、子音vと母音uについてもほぼ同様な相補関係が成立する。
まず、半母音wと母音uの場合について見ても、一つの単語において、その綴りの中のwとuを置き換えて成立する単語は原則的に存在しない。
これは、wとuの音価が本来同じであり、それが子音として扱われる場合、すなわちwが語尾に来る場合と語頭に来てその後に母音あるいはh(what、which、where、who、when、why、whether、while、white等)とr(wrestle、wrap、wrist、write、wrong等)という特定の子音を要求する場合および語中に来てその後ろに母音を持つ場合にwと表記され、それが母音として扱われる場合、すなわちそれが語中や語頭に来てその後に子音を要求する場合にuと表記されるからである。
きわめて例外的に、down、dawn、powder等の後ろにnやdを持つ少数の場合や、grow−th等のここでハイフンを入れて示すよう、その前後に他の言葉があってそのために語中に位置してその後ろに子音を持つようになった合成語の場合に母音的扱いのwが存在するがあるが、そうした語彙にあっても、そのなかのwをuに置き換えた単語は存在しない。
「子音vと母音uの間」
次に、子音vと母音uの場合について見ても、一つの単語において、その綴りの中のvとuを置き換えて成立する単語は原則的に存在しない。
これは、wとuと同様に、vとuの音価が本来同じであり、それが子音として扱われる場合、すなわちvがveの形で語尾に来る場合と語頭や語中に来て、その後に母音を要求する場合にvと表記され、語頭や語中に置かれてその後ろに子音を要求する場合にuと記されるからである。
この場合、例外的に、suit、recruit等の場合、true、continue、issue等の場合、request、equivocal、等の場合、gradual等の場合、continuous等の場合など、定型的にuがその後ろに母音表記を求める場合があるが、そうした語彙にあっても、そのなかのuをvに置き換えた単語は存在しない。
「子音hと半母音yの間」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのyに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのhに始まる単語と対照した結果、このyをhに書き換えても成立する単語は次項に記す、略号綴り7語に普通の単語31語を加えた38語であった。
YA、YAG、yb、YB、Yid、Yo、Yob、yr、yah、Yale、yam、yammer、yank、yap、yard、yarrow、yaw、ye、year、yearn、yeats、yell、yelp、yen、yep、yester、yet、yew、yip、yipe、yippie、yoicks、yoke、your、yowl、yoyo、yummy、yup。
これらの、略号綴り7語の中で、yから始まる略語のなかで3語が大文字で始まることで、hに始まる略語と区別可能である。
一方、これらの31語の単語の中で、yから始まる略語のなかで3語が大文字で始まることで、hに始まる略語と区別可能であり、逆にhに始まる略語3語がそれが大文字で始まることでyから始まる略語と区別することが可能である。
これらの31語の単語の多くは稀見の単語であり、yから始まる略語のなかではyearとhear、yourとhourの双方が日常的な語彙であるが、互いに品詞が異なっており、hで始まる単語のなかではhelpとyelp、hipとyipのhで始まる単語が日常的な語彙であるとともに、後者に対して頻出度が大きく勝っており、いずれの場合も単語登録とその引き当ての機能によって、多くの場合に適当な単語を選ぶことが可能である。
次に、単語の語尾の場合は、先に触れたようにhが語尾に来る例はah、yah、yeah、oh等きわめて少数の例しかないので、混同の機会はほとんど無い。
単語の語中の場合は、yが語中に出現する例はきわめて少なく、loyal、portrayal、mystical等の場合にも、そこでのyをhに代えて成立する語はほとんど無い。
例外的に、たとえばforth、fifth等の序数は、forty、fiftyの基数のyをhに変えて成立する。
同様に、pathとpaty(末広がりの紋)等の少数の例外はある。
したがって、単語登録の機能により、入力時に使用頻度の高い単語を選択すべき候補として画面に表示し、とくに選択行為を行わない限り、この単語が選択されるように設定することにより、yとhを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、yとhにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
「半母音yと母音iの間」
半母音wと母音uの間の関係と同様に、、一つの単語において、その綴りの中の半母音yと母音iを置き換えて成立する単語は原則的に存在しない。
これは、yとiの音価が本来同じであり、それが子音として扱われる場合、すなわちyが語尾に来る場合と語頭に来てその後に母音を要求する場合にyと表記され、それが母音として扱われる場合、すなわちiが語中に来る場合と語頭に来てその後に子音を要求する場合にiと表記されるからである。
きわめて例外的に、type、metaphysical、dynasty、loyal、anonymous、system、analysisやそれから派生した語彙などの語中に母音的扱いのyが存在するがあるが、そうした語彙にあっても、styleとstile(框)のような少数の例外を除いて、そのなかのyをiに置き換えた単語すなわち、tipe、metaphisical、dinasty、loial、anonimous、sistem、analisis等の語は存在しない。
「子音hと母音iの間」
講談社パックス英和辞典(1992、68000項目収録)のすべてのhに始まる単語を、大型辞書研究社リーダーズ英和辞典(1984、26万項目収録)のすべてのiに始まる単語と対照した結果、このhをiに書き換えても成立する単語綴りは、次項に記す6語であった。
Ib、IC、id、Id、ID、ie、it、IU。
これらの単語のなかで、iに始まる単語のitと、hに始まる単語のheだけが通常の単語であるが、itの場合は対応する単語は、ht.、Ht.、h.t.という略号であり、.等により、識別できる。
したがって、この二つの字母をともに一つのキーに属せしめた場合の入力に当たって、困難が生じるのは、hに始まる単語のheだけであるが、heの頻出度は圧倒的に高い。
こうして語頭の場合について言えば、hに始まる単語とiに始まる単語を単語登録の機能により、入力時に使用頻度の高い単語を選択すべき候補として画面に表示し、とくに選択行為を行わない限り、この単語が選択されるように設定することにより、hとiが語頭に来る場合には、hとiを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、hとiにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
単語の語尾の場合について言えば、hが語尾に来る場合は、oh、yah等の数少ないケースであるし、iが語尾に来るのは英語にとっては外来語である諸語に由来する場合以外は、ほとんど皆無である。
次に問題になるのは、単語の語中におけるhとiの間に相補関係が成り立つのか否かという点である。
実際に例に当たると、単語の語中におけるhをiに代えてもよい場合は、theをtieに代える以外にはあまり見られない。
これは、hがいわば子音性が弱く、語中に単独に出現する場合は常にその前後に母音を要求し、この母音に挟まれたhをiに代えた場合は、最低3母音が連続して現れることと、hが例外的に子音と結びつく場合は、ch、gh、ph、sh、th、wh等の定型的な形で出現するからであろう。
実際に、chを含む単語の場合のteacher、achieve、scholar、ghを含む単語の場合のnight、light、thought、phを含む単語の場合のemphasize、graphic、philosophy、shを含む単語の場合のship、shape、thを含む単語の場合のthis、that、rather、other等の語のhをそれぞれiに代えた場合に意味のある単語になることは無いし、そこに出現する綴りは、直覚的に英語と異質である。
また、theとtieではtheの頻出度が圧倒的に高いだけで無く、両単語は品詞を異にしており、以上によって、単語登録と単語引き当ての機能により、入力時に使用頻度の高い単語を選択すべき第一候補として画面に表示すとともに、とくに選択行為を行わない限り、この単語が選択されるように設定することにより、hとiを一つのハードキーに属せしめた鍵盤によって、hとiにそれぞれ一つのハードキーを与えた鍵盤とほとんどの場合に同じ働きを実現することが可能となる。
以上の結果によって、同一のハードキーに、ckq、gj、sxz、uvw、hiyの5組の字母を、それぞれ同一のハードキーに、設定することが可能となる。
「英文中の字母の出現率の問題」
そこで、この二つの鍵盤の中の最初に入る鍵盤に、英文に於いて出現頻度が高い字母を割り振り、この鍵盤では入力できない字母が出現したときにのみ、鍵盤切替キーを押し下げてもう一つの鍵盤に入り、この鍵盤での入力がすめば、直ちに自動的に最初の鍵盤にもどるように設定することによって、効率的な入力が可能となる。
本発明に於いては、この最初に入る出現頻度が高い字母を割り振った英文入力鍵盤を英文入力表鍵盤、鍵盤切替キーを押し下げることによって入る出現頻度が低い字母を割り振った英文入力鍵盤を、英文入力裏鍵盤と称する。
このような英文におけるアルファベット字母の出現頻度を確認するために、ほぼスタンダードな英語と見なしうるものとして、インターネット上のアメリカ合衆国憲法、およびそれに関連する行事の紹介の英文をアトランダムに集成して、そこでのアルファベット字母の出現頻度を検討する。
集成の結果得られた英文は、合計44384字母(コンマ、ピリオド等の符号を含む)となったが、各字母(コンマ、ピリオド等の符号を含む)の出現数は、a(3400)、b(710)、c(1523)、d(1529)、e(5448)、f(1044)、g(707)、h(2216)、i(3093)、j(164)、k(153)、l(1882)、m(1045)、n(3371)、o(3319)、p(813)、q(38)、r(2737)、s(2913)、t(4049)、u(1125)、v(493)、w(530)、x(193)、y(620)、z(36)、,(667)、.(476)、?(5)、!(4)、:(72)、;(59)、合計44384となる。
以上の結果に基づいて、本発明においては、英文入力の際に最初に入る英文入力表鍵盤に属するキーにできるだけ英文において出現率の高い字母を載せることにする。
この場合、この字母の配列の基準としては、いわゆるqwertyボードに見られる配列をとらず、アルファベット順を基準とする配列と、五十音順を基準とする配列の2種の配列を提起する。
これは、いわゆるqwertyボードが機械式のタイプライタのための字母配列として登場したことと関係がある。
この段階では、あまりに早い入力は、機械式のタイプライタのアームの絡み合いを生じるために、できるだけ入力速度を遅くするための字母配列を採用したというのが、通説であるからである。
これに対して、本発明においては英文入力表鍵盤英語型と称する、英語圏の人々にもっともなじみの深いアルファベットによる配列を持った鍵盤と、英文入力表鍵盤和文対応型と称する、日本人のアプローチの便を図った五十音順による配列を持った鍵盤という2種の字母配列を提起する。
まず、アルファベット順を基準とする英文入力表鍵盤英語型に属するキーを、a、e、h(iとyを含む)、n、o、r、s(xとzを含む)、t、u(vとwを含む)の9組計15の字母を載せた9キーとする。
英文入力鍵盤英語型の場合のその表鍵盤、すなわち英文入力表鍵盤英語型の字母配置は、図3(a)に示すように、9キーの第1行第1列にa、第2列にe、第3列にhiy、第2行第1列にn、第2列にo、第3列にr、第3行第1列にsxz、第2列にt、第3列にuvwのキーを配置する。
先に示した英文中の字母出現率の資料によれば、合計44384個の字母と符号のなかで、この9組計15の字母は33493個見出された。
そこで、全体として44384回のキーの押し下げのなかで、この英文入力表鍵盤英語型に属する33493個のキーが押し下げられる率、言い換えれば、1度だけのキーの押し下げで入力される字母の出現率は、75.46%となる。
英文入力の場合に、この英文入力表鍵盤を使っての入力中に鍵盤切替キーを押し下げて入る英文入力裏鍵盤に属する字母は、残りのb、c(kとqを含む)、d、f、g(jを含む)、l、m、pの8組計11字母(符号を含む)となるので、この英文入力裏鍵盤には今一つのキーが余るが、本発明ではこのキーに、本発明では文字大小符キーと称する、小文字を大文字に、大文字を小文字に変換するキーを置く。
実際には、本発明においては、英文入力に入って最初に入力される字母と、英文入力中にピリオドを入力した直後に入力される字母は、自動的に大文字になるように設定するが、そのような自動的設定ではうまく行かない場合に備えて、この文字大小符キーを備えて、既入力の小文字を大文字に、大文字を小文字に変換するのである。
すなわち、英文入力中に、ある字母を入力した直後に、この文字大小符キーを押し下げると、当該字母が小文字であった場合にはそれを大文字に、大文字であった場合にはそれを小文字に変換するのである。
またこの文字大小符は、すでに入力された字母あるいは字母群をカーソルによって指定したのちに押し下げられた場合には、この字母あるいは字母群全体をそれが小文字であった場合にはそれを大文字に、大文字であった場合にはそれを小文字に変換する。
こうして、英文入力鍵盤英語型の場合のその裏鍵盤、すなわち英文入力裏鍵盤英語型の字母配置は、図3(b)に示すように、9キーの第1行第1列にb、第2列にckq、第3列にd、第2行第1列にf、第2列にgj、第3列にl、第3行第1列に文字大小符、第2列にm、第3列にpのキーを配置する。
以下、再び英文入力における英文入力鍵盤和文対応型の場合の表鍵盤と裏鍵盤の問題にもどる。
英文入力鍵盤和文対応型の場合のその表鍵盤、すなわち英文入力表鍵盤和文対応型の字母配置は、五十音順への配慮のために、アルファベット順を基準とする英文入力表鍵盤英語型に属するキー、すなわちa、e、h(iとyを含む)、n、o、r、s(xとzを含む)、t、u(vとwを含む)の9組計15の字母を載せた9キーの中から、rを載せたキーを裏鍵盤にまわし、裏鍵盤からckqを乗せたキーをとする。
より具体的には、図4(a)に示すように五十音図との相関を求めて、12キーの第1行第1列にa、第2列にhiy、第3列にuvw、第2行第1列にe、第2列にo、第3列にckq、第3行第1列にsx、第2列にt、第3列にnのキーを配置する。
先に示した英文中の字母出現率の資料によれば、合計44384個の字母と符号のなかで、この9組計15の字母は32470個見出された。
そこで、全体として44384回のキーの押し下げのなかで、この英文入力表鍵盤和文対応型に属するキーが押し下げられる率、言い換えれば、英文入力表鍵盤和文対応型のキーの1度だけのキーの押し下げで入力される字母の出現率は、73.16%となる。
すなわち、五十音順への配慮から、相対的に頻出度の高いrキーを、相対的に頻出度の低いckqキーに入れ替えた結果、1度だけのキーの押し下げで入力できる率が、75.46%から73.16%へと、約2.3%低下したのである。
英文入力鍵盤和文対応型の場合のその裏鍵盤、すなわち英文入力裏鍵盤和文対応型の字母配置は、図4(b)に示すように、できる限り五十音図との相関を尊重した形で、9キーの第1行第1列にm、第2列にl、第3列にr、第2行第1列にgj、第2列にd、第3列にb、第3行第1列に文字大小符、第2列にp、第3列にfのキーを配置する。
上記の場合には、第1行第1列にm、第2列にl、第3列にrという配置を「ま」「や」「ら」を感性的に連想させる形とし、第2行第1列にgj、第2列にd、第3列にbという配置で、「が」「だ」「ば」という「ざ」以外の濁音の配置に対応し、第3行第2列にp、第3列にfという配置は、濁音「ば」に続けて「ば」と親近性のある半濁音「ぱ」を配置している。
以下、この本発明の英文入力鍵盤英語型と英文入力鍵盤和文対応型によって、先に示したインターネット上のアメリカ合衆国憲法、およびそれに関連する行事の紹介の英文を入力するのに必要なタッチ数を計算することにする。
まず、英文入力鍵盤英語型の場合、その表鍵盤で入力される字母数、すなわちただ1度のキーの押し下げによって入力される字母数は、合計33493個である。
ついで、英文入力鍵盤英語型の場合、その裏鍵盤で入力される字母数、すなわち鍵盤切替キーを押し下げたのちに、再び字母キーを押し下げて、合計2度のキーの押し下げによって入力される字母数は、合計9608個である。
さらに、英文入力鍵盤英語型の場合、その符号鍵盤で入力される字母数、すなわち鍵盤切替キーを2度押し下げたのちに、再び字母キーを押し下げて、合計3度のキーの押し下げによって入力される符号数は、合計1283個である。
そこで、英文入力鍵盤英語型の場合、先に示したインターネット上のアメリカ合衆国憲法、およびそれに関連する行事の紹介の英文を入力するのに必要なタッチ数は、33493×1=33493、9608×2=19216、1283×3=3849の3個の数字を合計した、56558度であると計算される。
これは、一般的なパソコンが、英文字母と符号を総計して、44384個と計算されるこの文章を、そのまま44384度のキーの押し下げで入力するのに対して、本発明の英文入力鍵盤英語型の場合、56558÷44384=1.2743の計算によって、約27%増しの127%強のタッチで入力できることを示している。
さらに、本発明における英文入力鍵盤和文対応型の場合に、同様の計算をする。
この英文入力表鍵盤和文対応型では、英文入力表鍵盤英語型の場合の33493度のキーの押し下げの中から、rキーの2737度のキーの押し下げを差し引いて、ckqの1714キーの押し下げを加えて、差し引き32470度のキーの押し下げが必要となる。
逆に、英文入力裏鍵盤和文対応型では、英文入力裏鍵盤英語型の場合の9608度のキーの押し下げの中から、ckqのキーの1714度のキーの押し下げを差し引いて、2737度のrキーの押し下げを加えて、差し引き10631度のキーの押し下げが必要となる。
以下、この本発明の英文入力鍵盤和文対応型によって、先に示したインターネット上のアメリカ合衆国憲法、およびそれに関連する行事の紹介の英文を入力するのに必要なタッチ数を計算することにする。
まず、英文入力鍵盤和文対応型の場合、その表鍵盤で入力される字母数、すなわちただ1度のキーの押し下げによって入力される字母数は、合計32470個である。
ついで、英文入力鍵盤和文対応型の場合、その裏鍵盤で入力される字母数、すなわち鍵盤切替キーを押し下げたのちに、再び字母キーを押し下げて、合計2度のキーの押し下げによって入力される字母数は、合計10631個である。
さらに、英文入力鍵盤和文対応型の場合もまた、その符号鍵盤で入力される字母数、すなわち鍵盤切替キーを2度押し下げたのちに、再び字母キーを押し下げて、合計3度のキーの押し下げによって入力される符号数は、合計1283個である。
そこで、英文入力鍵盤和文対応型の場合、先に示したインターネット上のアメリカ合衆国憲法、およびそれに関連する行事の紹介の英文を入力するのに必要なタッチ数は、32470×1=32470、10631×2=21262、1283×3=3849の3個の数字を合計した57581度であると計算される。
これは、一般的なパソコンが、英文字母と符号を総計して、44384個と計算されるこの文章を、そのまま44384度のキーの押し下げで入力するのに対して、本発明の英文入力鍵盤英語型の場合、57581÷44384=1.2973の計算によって、約29%強増しの129%のタッチで入力できることを示している。
以上の本発明の場合に対して、一般的な携帯電話の場合にも同様の計算をしたいのであるが、その際の困難は、一般的な携帯電話の場合には符号入力の方式が一般に煩瑣なこと、機種によってこの符号入力の方式が異なることと、1個のキーに設定された複数の字母を、連続して入力する場合には、十字キーによるカーソル移動があって、一律の計算を阻んでいることである。
しかし、これらの要素は本発明に対して、一般的な携帯電話のマイナス要因となるものであり、差し当たってこれらの要素を捨象して、字母入力の場合のみの比較を行うこととする。
一般的な携帯電話で英文の入力を行う場合には、abc、def、ghi、jkl、mno、pqrs、tuv、wxyz、の8個のキーに26個のアルファベットを割り当てる方式が一般的である。
そこで、たとえばaキーの入力は1度のキーの押し下げで、bキーの入力は2度のキーの押し下げで、cキーの入力は3度のキーの押し下げでなされる。
この押し下げ度数を、先のアメリカ合衆国憲法およびそれに関連する行事の紹介の英文のアトランダムな集成におけるそれぞれのアルファベット字母の出現頻度に掛け合わせると、一般的な携帯電話でこの文章を入力する際の各字母の出現数は、a(3400×1=3400)、b(710×2=1420)、c(1523×3=4569)、d(1529×1=1529)、e(5448×2=10896)、f(1044×3=3132)、g(707×1=707)、h(2216×2=4432)、i(3093×3=9279)、j(164×1=164)、k(153×2=306)、l(1882×3=5646)、m(1045×1=1045)、n(3371×2=6742)、o(3319×3=9957)、p(813×1=813)、q(38×2=76)、r(2737×3=8211)、s(2913×4=11652)、t(4049×1=4049)、u(1125×2=2250)、v(493×3=1479)、w(530×1=530)、x(193×2=386)、y(620×3=1860)、z(36×4=144)、の各項の小計を合わせた合計であって、94576という数字が得られる。
これを、一般的なパソコンの場合の、字母キーの押し下げ数(33493+9608=43101)で割ると、2.1943となり、一般的な携帯電話でこの英文の入力を行う場合には、最低限約2.2倍の字母キーの押し下げが必要となることが分かる。
これを、本発明の場合の字母キーの押し下げ数(英文入力鍵盤英語型の場合は56558、英文入力鍵盤和文対応型の場合は57581)で割ると、それぞれ1.672強と1.643弱となり、一般的な携帯電話でこの英文の入力を行う場合には、本発明の場合に比して、最低限約60%強の字母キーの押し下げが余分に必要となることが分かる。
これは、符号入力の問題とカーソルキーの移動を捨象した数字であるから、実際上の隔たりはさらに大きい。
以上によって、本発明の9キーの携帯入力端末の入力操作性は、一般のテンキー(実際には12キー)の携帯入力端末の入力操作性よりは、はるかに一般のパソコンの入力操作性に近いことが分かる。
以上の結果によって、本発明の現在一般的に用いられている方式に対する優位性は明らかであろう。
また英文入力種に入る操作を比較すると、本発明の場合には、最大限3回(和文→絵文字→数字→英文)の入力種切替キーの押し下げが必要であるが、一般的な方式では、最大限5回程度(1→区→漢→ァ→ア→A等)の入力種切替キーの押し下げが必要となる。
なお、本発明のように英文入力を設定した場合の、ひとつの困難は、単語の場合ではなく、単なる符号としてcとkとq、gとj、sとxとz、hとiとy、uとvとwの5組の字母のうちのいずれかを単独に入力せざるを得ない状況が発生することである。
この点については、たとえば、ckqキーを押し下げた場合、c、k、qの3個の字母が現実の鍵盤に対応した形で、ディスプレーの画面に表示されるので、この画面上のキーに対応する現実の鍵盤のキーの中で必要とされるものを、一旦シフトキーを押し下げてから、押し下げることで、入力できる。
「片仮名文字入力の問題」
本発明においては、片仮名文字は各種字母入力の補助的存在として、各種字母入力中にシフトキーを押し下げたあとに続いて入力種キーを押し下げることにより、片仮名文字入力に入り、片仮名入力が終わった時点で再びシフトキーを押し下げ、続いて入力種キーを押し下げることにより、もとの入力種に復帰するように設定する。
「数字入力キーと操作キーの関係の問題」
以下は繰り返しになるが、本発明においては、9個のキーで和文、英文の入力を行うので、3行3列の字母入力キーと1行3列の操作キーを組み合わせているが、数字入力の場合は、10個のキーが必要となるので、数字入力に当たっては、この1行3列の操作キーに設定された鍵盤切替、シフト、入力切替の3個の操作キーのなかで、シフトキーを省略して、その代わりに、0キーを設定する。
これは、数字入力の場合には、入力行為自体が入力確定の行為を含んでおり、和文入力や英文入力の場合のように、入力中に入力候補文字を画面に表示して、これをシフトキーを押し下げることによって入力の位相を変えて、適当な候補を入力確定するという行為が必要ではないからである。
しかし、一旦、数字入力から離れて、符合入力等の位相の異なる場面に入った場合は、シフトキーが必要とされる場面が出現しうる。
そこで、数字入力から離れて、符合入力等の位相の異なる場面に入った場合は、シフトキーが必要とされる場面が出現しうることを想定して、符合入力等の位相の異なるヴァーチャルな鍵盤は、3行3列の字母入力キーに相当する位置にのみ設定し、ここでは1行3列の操作キーがその他の和文や英文の入力の場合と同様に、鍵盤切替、シフト、入力切替の3個の操作キーがそのまま機能するように設定する。