図1は、本発明の実施例に係る射出成形機における制御装置の構成例を示すブロック図であり、制御装置1は、データ取得装置2、操作入力装置3、データ記憶装置4、及び表示装置5に接続される。
本実施例において、制御装置1は、一台の射出成形機に組み込まれ、その一台の射出成形機に関する成形情報を管理するが、一台の射出成形機に組み込まれた状態で、或いは、その射出成形機の外部に独立して設置された状態で(例えば、PC(Personal Computer)に組み込まれた状態で)、一台又は複数台の射出成形機に接続され、それら一台又は複数台の射出成形機のそれぞれに関する成形情報を一括して管理するようにしてもよい。
「成形情報」は、各ショットの成形動作に関する情報であり、例えば、サイクル時間[秒]、充填時間[秒]、計量時間[秒]、射出スクリュの充填前位置[mm]、VP切替位置[mm]、最小クッション位置[mm]、保圧完了位置[mm]、充填ピーク圧[kgf/cm2]、全域保圧ピーク圧[kgf/cm2]、型締力[tf]等がある。
制御装置1は、所定の成形条件における各ショットの成形情報を成形情報ログに記録して管理するための装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、表示制御部10、ログ記録部11、成形条件更新検出部12、区切り設定部13、成形情報保存部14、成形情報クリア部15、確認画面表示部16、及び記録管理部17のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各部に対応する処理をCPUに実行させる。
データ取得装置2は、成形動作に関するデータを取得するための装置であり、例えば、成形機本体に取り付けられた各種センサからの信号線が接続されるコネクタを備えた入力インターフェースである。
「成形動作に関するデータ」は、「成形情報」を導き出すために必要なデータであり、例えば、射出スクリュの位置を計測する位置センサが出力する信号、樹脂圧力を測定する圧力センサが出力する信号、型締力を測定する歪センサが出力する信号等がある。
操作入力装置3は、操作者が制御装置1に対して各種情報を入力するための装置であり、例えば、タッチパネル、キーボード、ジョイスティック、マウス、音声入力用マイク等がある。
データ記憶装置4は、各種情報を記憶するための装置であり、例えば、成形情報を外部機器が読み取り可能な状態(例えば、汎用のプリンタが読み取り可能なファイル形式である。)で記憶するハードディスクである。
表示装置5は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、成形機本体に一体的に取り付けられたディスプレイである。但し、表示装置5は、成形機本体から離れた場所に設置されるディスプレイであってもよい。
次に、制御装置1が有する各種機能について説明する。
表示制御部10は、射出成形機における各種表示画面の切り替えを制御するための機能要素であり、例えば、操作入力装置3の出力に応じて表示装置5に表示される画面を切り替える。
図2〜図4は、表示装置5に表示される画面の表示例を示す図であり、それぞれ、メイン画面D1、成形条件保存画面D2、及び品質管理画面D3を示す。
具体的には、表示制御部10は、システム起動時に表示される画面であるメイン画面D1(図2参照。)が表示された状態において、その下部領域にある「記憶」ボタンB1が押下されたことを検出すると、メイン画面D1(図2参照。)を成形条件保存画面D2(図3参照。)に切り替えるようにする。
同様に、表示制御部10は、メイン画面D1(図2参照。)の下部領域にある「品質管理」ボタンB2が押下されたことを検出すると、メイン画面D1(図2参照。)を品質管理画面D3(図4参照。)に切り替えるようにし、成形条件保存画面D2(図3参照。)の下部領域にある「記憶終了」ボタンB3が押下されたことを検出すると、成形条件保存画面D2(図3参照。)をメイン画面D1(図2参照。)に切り替えるようにし、また、品質管理画面D3(図4参照。)の下部領域にある「品質管理終了」ボタンB4が押下されたことを検出すると、品質管理画面D3(図4参照。)をメイン画面D1(図2参照。)に切り替えるようにする。
メイン画面D1(図2参照。)は、射出成形機の現在の状態を示す画面であり、例えば、射出成形機で採用されている各種設定値を表示しながら、制御装置1がデータ取得装置2から現に受信したデータをリアルタイムに表示する。
また、メイン画面D1(図2参照。)は、成形条件の変更を受け付ける画面でもあり、例えば、操作入力装置3を介した操作者による入力に応じて、画面上に表示されている各種成形条件の値を変更させて表示する。
「成形条件」は、成形機本体の成形動作を決定するための条件であり、例えば、保圧時間[秒]、充填速度[m/秒]、充填圧力[kgf/cm2]、型締力[tf]等がある。
成形条件保存画面D2(図3参照。)は、成形条件セットを保存するための画面である。
「成形条件セット」は、例えば、保圧時間[秒]、充填速度[m/秒]、充填圧力[kgf/cm2]、型締力[tf]等の各種成形条件の値を一組としそれらの値のそれぞれを変更可能としながら任意の名称の下で管理されており、図3は、成形条件セット名「INITIAL」が選択された状態を示す。
なお、「成形条件セット」は、製造される成形品の発注者や納品先を特定するための情報を表すロット番号を含むものであってもよい。
図3で示されるように、操作者は、画面下部に表示された複数の成形条件セット(本実施例では、5つのフォルダ(FOLDER01〜FORLDER05)のそれぞれに10セット(合計50セット)が設定可能となっており、FOLDER02の第4セット「INITIAL」が選択されている。)の中から所望の成形条件セットを選択してその所望の成形条件セットにおける各種設定値を操作者が確認できるように成形条件保存画面D2(図3参照。)に表示させた後(画面中央部参照。)、「条件呼出」ボタンB5を押下して成形条件保存画面D2(図3参照。)をメイン画面D1(図2参照。)に切り替え、その成形条件セットにおける各種設定値をメイン画面D1(図2参照。)に表示させる。
その後、操作者は、その成形条件セットにおける各種設定値をメイン画面D1(図2参照。)で変更した上で、「記憶」ボタンB1を押下してメイン画面D1(図2参照。)を成形条件保存画面D2(図3参照。)に戻し、成形条件保存画面D2(図3参照。)において「条件保存」ボタンB6を押下することによってその変更された設定値を含む成形条件セットを新たな成形条件セットとして保存する。
なお、操作者は、所望の成形条件セットを選択してその所望の成形条件セットにおける各種設定値を成形条件保存画面D2(図3参照。)に表示させ、成形条件保存画面D2(図3参照。)をメイン画面D1(図2参照。)に切り替えることなく、その成形条件セットにおける各種設定値を成形条件保存画面D2(図3参照。)で変更した上で、「条件保存」ボタンB6を押下することによってその変更された設定値を含む成形条件セットを新たな成形条件セットとして保存するようにしてもよい。
或いは、操作者は、「条件コピー」ボタンB7を押下して、選択した成形条件セットをそのまま新たな成形条件セットとして別名で保存してもよく、過去に設定した成形条件セットを呼び出すことなく全ての値を設定することによって新たな成形条件セットを生成するようにしてもよい。なお、操作者は、「条件消去」ボタンB8を押下して、過去に生成した成形条件セットを消去することもできる。
品質管理画面D3(図4参照。)は、過去の所定期間にわたる個々の成形情報及びそれらに基づく統計値を表示するための画面であり、図4では、6ショットの射出成形が完了した時点における状態を示す。
統計値は、例えば、平均値、範囲(最大値と最小値との間の差)、最大値、最小値、標準偏差、中心(中央値)、幅(中央値と最大値又は最小値との間の差)等がある。
また、本実施例において、制御装置1は、現在のショットに対応する成形情報のうちの何れかの値が所定の条件を満たした場合(例えば、サイクル時間が所定値を超えた場合)にそのショットによって製造された成形品を不良品と判定し、このようにして判定した不良品の数をカウントし、且つそのカウントした値を表示装置5に表示させるようにする。
ログ記録部11は、各ショットの成形情報を成形情報ログに記録するための機能要素であり、例えば、制御装置1におけるRAMの所定領域(以下、「ログ記録領域」とする。)に用意された成形情報ログに各ショットの成形情報を記録する。
なお、ログ記録部11は、各ショットに関する成形情報を品質管理画面D3(図4参照。)に表示可能であれば何れの形式で成形情報ログを構築するようにしてもよく、射出成形機が出力するデータ(成形情報を導き出すための生データである。)をそのまま記録するようにしてもよい。
また、ログ記録部11は、ログ記録領域の空き容量が不足した場合には、例えば、新たに取得した成形情報を最も古い成形情報の上に上書きするようにして、成形情報ログの更新を継続させるようにする。この場合、ログ記録部11は、その上書きされる古い成形情報を任意のファイル形式(例えば、CSVファイル形式である。)のファイルに書き出すようにしてもよい。
成形条件更新検出部12は、成形条件が更新されたことを検出するための機能要素であり、例えば、成形条件保存画面D2(図3参照。)において現在の成形条件セットとは別の成形条件セットが選択された場合に、成形条件が更新されたことを検出する。
具体的には、成形条件更新検出部12は、成形条件保存画面D2(図3参照。)における「記憶終了」ボタンB3が押下されたときの成形条件セットが、メイン画面D1(図2参照。)における「記憶」ボタンB1が押下されたときの成形条件セットと異なる場合に、成形条件が更新されたことを検出する。
また、成形条件更新検出部12は、「記憶終了」ボタンB3が押下されたときの成形条件セットと「記憶」ボタンB1が押下されたときの成形条件セットとが同じであっても、その構成要素である各種成形条件の値が一つでも異なる場合には、成形条件が更新されたものとして成形条件の更新を検出する。
なお、成形条件更新検出部12は、成形条件保存画面D2(図3参照。)における「条件呼出」ボタンB5、「条件保存」ボタンB6、又は「条件コピー」ボタンB7が押下されたときに、成形条件セット又はその構成要素が変更されるものとして、成形条件の更新を検出するようにしてもよい。
また、成形条件更新検出部12は、メイン画面D1において、操作入力装置3を介した操作者による入力に応じて各種成形条件が変更された場合に、成形条件が更新されたことを検出するようにしてもよい。
区切り設定部13は、成形情報ログに区切りを設定するための機能要素であり、例えば、品質管理画面D3(図4参照。)における「データ保存」ボタンB9(図4参照。)が押下された場合に、その時点におけるショットの成形情報に区切り情報を付すようにする。
「区切り情報」は、成形情報ログにおいて区切りとなる成形情報を特定するための情報であり、例えば、区切りとなるショットに対応する成形情報に含まれるフラグを利用して管理されてもよく、区切りとなるショットに対応する成形情報に含まれるショットID(例えば、ショット毎に自動的に付されるシリアル番号である。)を制御装置1のRAMに別途記憶することによって管理されてもよい。
また、区切り設定部13は、区切りとなるショットに対応する成形情報のショットIDを変更したり、区切りとなるショットに対応する成形情報に区切りID(区切りを表す特別なID)を付与したり、或いは、区切りデータ(独立した一つの成形情報であり、例えば、全ての値をゼロとするダミーの成形情報である。)を成形情報ログに記録したりして、区切り情報を付すようにしてもよい。
また、区切り設定部13は、例えば、成形条件更新検出部12により成形条件の更新が検出された場合に、直近のショットの成形情報に区切り情報を付すようにしてもよい。
成形情報保存部14は、区切り設定部13により区切り情報が付された成形情報群を一纏まり(以下、「成形情報ファイル」とする。)として保存するための機能要素であり、例えば、その成形情報ファイルを、汎用コンピュータや汎用プリンタ等の外部機器が読み取り可能なファイル形式で、データ記憶装置4に保存する。
具体的には、成形情報保存部14は、区切り設定部13により区切り情報が付された場合に、その区切り情報が付された成形情報以前に記録された成形情報群(その区切り情報が付された成形情報を含む。)を一纏めにし、その区切り情報が付された日時をファイル名として、データ記憶装置4に保存する。
また、成形情報保存部14は、区切り設定部13により区切り情報が付された場合に、その直近の区切り情報が付された成形情報と前回の区切り情報が付された成形情報との間にある成形情報群(その直近の区切り情報が付された成形情報を含む。)を一纏めにし、その区切り情報が付された日時をファイル名として、データ記憶装置4に保存するようにしてもよい。
成形情報クリア部15は、成形情報ログの一部又は全部をクリアするための機能要素であり、例えば、品質管理画面D3(図4参照。)における「データ保存」ボタンB9が押下され、区切り設定部13により区切り情報が付され、成形情報保存部14により成形情報ログの一部又は全部がデータ記憶装置4に保存された場合に、その保存された成形情報ログの一部又は全部をクリアする。
具体的には、成形情報クリア部15は、区切り設定部13により区切りが設定された場合に、その区切り情報が付された成形情報以前の成形情報群が品質管理画面D3上に表示されないように(統計値の算出に影響を与えないように)、それら成形情報群を成形情報ログから消去する。
或いは、成形情報クリア部15は、区切り設定部13により区切りが設定された場合に、その区切り情報が付された成形情報以前の成形情報群が品質管理画面D3上に表示されないように(統計値の算出に影響を与えないように)、それら成形情報群に変更を加えるようにしてもよい(例えば、それら成形情報群のそれぞれにおける所定のフラグをオフに設定する。)。この場合、成形情報クリア部15は、それらクリアされた成形情報群が再び品質管理画面D3上に表示されるように(統計値の算出に組み入れられるように)、それらクリアされた成形情報群を(その所定のフラグをオンに設定し直すことによって)復元することができる。
なお、成形情報クリア部15は、成形情報保存部14により成形情報ログの一部又は全部をデータ記憶装置4に保存することなくクリアするようにしてもよい。
このようにして、成形情報クリア部15は、例えば、成形条件が変更された後の所定数の成形情報群が統計値の算出に影響を与えることがないよう、それら所定数の成形情報群をクリアし、或いはそれら所定数の成形情報群に上述のような変更を加えることができ、不安定な値を有する成形情報群が統計値に影響するのを防止することができる。
確認画面表示部16は、制御装置1が各種機能を実行する前に操作者の確認を得るための確認画面を表示させる機能要素であり、例えば、成形情報保存部14による直近の区切り以前の成形情報群の保存の要否と、成形情報クリア部15による直近の区切り以前の成形情報群のクリアの要否とを同時に操作者に確認させる保存・クリア確認画面を表示する。
具体的には、確認画面表示部16は、品質管理画面D3(図4参照。)における「データ保存」ボタンB9が押下され、その時点におけるショットの成形情報に区切り情報が付された後に、「OK」ボタン(図示せず。)及び「キャンセル」ボタン(図示せず。)を含む保存・クリア確認ウィンドウ(図示せず。)をポップアップ表示させる。
「OK」ボタンは、成形情報保存部14による成形情報ログのデータ記憶装置4への保存、及び、成形情報クリア部15による成形情報ログのクリアを実行するためのボタンである。
また、「キャンセル」ボタンは、成形情報保存部14による成形情報ログのデータ記憶装置4への保存、及び、成形情報クリア部15による成形情報ログのクリアをキャンセルするためのボタンである。
これにより、制御装置1は、区切り設定部13により区切り情報が付された成形情報以前に存在する成形情報群が常に成形情報ファイルとして保存されてしまうのを防止することができ、不要な成形情報ファイルが自動的に生成されるのを防止することができる。
或いは、確認画面表示部16は、成形情報保存部14による直近の区切り以前の成形情報群の保存の要否と、成形情報クリア部15による直近の区切り以前の成形情報群のクリアの要否とを別々に操作者に確認させるための二つの確認画面(保存確認画面及びクリア確認画面)を順番に表示するようにしてもよい。
この場合、確認画面表示部16は、保存確認画面を表示しその成形情報群の保存の要否を操作者に確認させた後でクリア確認画面を表示してその成形情報群のクリアの要否を操作者に確認させるようにしてもよく、保存確認画面を表示することなくその成形情報群を保存しないこととした上で若しくは自動的に保存することとした上でクリア確認画面を表示してその成形情報群のクリアの要否を操作者に確認させるようにしてもよく、或いは、保存確認画面を表示しその成形情報群の保存の要否を操作者に確認させた後でクリア確認画面を表示することなくその成形情報群をクリアしないこととし若しくは自動的にクリアすることとしてもよい。
同様に、確認画面表示部16は、クリア確認画面を表示しその成形情報群のクリアの要否を操作者に確認させた後で保存確認画面を表示してその成形情報群の保存の要否を操作者に確認させるようにしてもよく、クリア確認画面を表示することなくその成形情報群をクリアしないこととした上で若しくは自動的にクリアすることとした上で保存確認画面を表示してその成形情報群の保存の要否を操作者に確認させるようにしてもよく、或いは、クリア確認画面を表示しその成形情報群のクリアの要否を操作者に確認させた後で保存確認画面を表示することなくその成形情報群を保存しないこととし若しくは自動的に保存することとしてもよい。
図5は、モード選択画面の一例を示す図であり、品質管理画面D3(図4参照。)における「ロギング」ボタンB14が押下され、「切」ボタンB10、「ロギング」ボタンB11、及び「実績クリア」ボタンB12を含むモードウィンドウW1がポップアップ表示された状態を示す。
図5において、「切」ボタンB10は、ログ記録部11による各ショットに対応する成形情報の成形情報ログへの記録を中断するためのボタン、又は、成形情報ログに記録された各ショットに対応する成形情報のうちの一部のショットに対応する成形情報の統計値への反映を中断するためのボタン(この場合、「切」ボタンB10が押下された後に成形情報ログに記録された成形情報は、統計値の算出には利用されないこととなる。)である。
また、「ロギング」ボタンB11は、「切」ボタンB10によって中断された、各ショットに対応する成形情報の成形情報ログへの記録、又は、統計値への反映を再開させるためのボタンである。
また、「実績クリア」ボタンB12は、成形情報ログの内容をクリアするためのボタン、又は、成形情報ログに記録された成形情報の統計値への反映をクリアするためのボタン(この場合、「実績クリア」ボタンB12が押下される前に成形情報ログに記録された成形情報の一部又は全部は、統計値の算出には利用されないこととなる。)である。
「実績クリア」ボタンB12が押下された場合、制御装置1は、確認画面表示部16により、クリア確認ウィンドウ(図示せず。)をポップアップ表示させるようにしてもよい。
なお、図5は、反転表示された「ロギング」ボタンB11によって、ログ記録部11による各ショットに対応する成形情報の成形情報ログへの記録が継続中であることを示す。
記録管理部17は、成形情報保存部14によってデータ記憶装置4に保存された成形情報ファイルを管理するための機能要素であり、例えば、データ記憶装置4に保存された成形情報ファイルの内容を解析画面D4(図7参照。)に表示させたり、データ記憶装置4に保存された成形情報ファイルの一部又は全部を消去したり、或いは、データ記憶装置4に保存された成形情報ファイルを外部記憶領域にコピーしたりする。
図6は、解析画面の一例を示す図であり、表示制御部10は、品質管理画面D3(図4参照。)が表示された状態において、その下部領域にある「解析」ボタンB13が押下されたことを検出すると、品質管理画面D3(図4参照。)をこの解析画面D4に切り替え、ファイル選択ウィンドウW2をポップアップ表示させる。
ファイル選択ウィンドウW2において、表示制御部10は、成形情報保存部14によって過去にデータ記憶装置4に保存された複数の成形情報ファイルをリスト形式で表示する。
成形情報ファイルのそれぞれは、例えば、保存が行われた日時をファイル名として日時の旧い順に表示され、図6は、「LOGF@003.CSV 2010/04/16 22:42:26」の成形情報ファイルが選択されている状態を示す。
ファイル選択ウィンドウW2において「全ファイル消去」ボタンB15が押下されると、記録管理部17は、データ記憶装置4に保存された成形情報ファイルの全てを消去する。
また、ファイル選択ウィンドウW2において特定の成形情報ファイルが選択された状態で「選択ファイル消去」ボタンB16が押下されると、記録管理部17は、その選択された成形情報ファイルをデータ記憶装置4から消去する。
また、ファイル選択ウィンドウW2において特定の成形情報ファイルが選択された状態で「外部記憶にコピー」ボタンB17が押下されると、記録管理部17は、その選択された成形情報ファイルをデータ記憶装置4から外部記憶にコピーする。
また、ファイル選択ウィンドウW2において特定の成形情報ファイルが選択された状態で「OK」ボタンB18が押下されると、記録管理部17は、その選択された成形情報ファイルの内容を解析画面D4(図7参照。)に表示させるようにする。
図7は、その選択された成形情報ファイルの内容を表示する解析画面D4を示す図であり、500ショット分の成形情報群、及びそれら成形情報群に基づく統計値が表示された状態を示す。
次に、図8を参照しながら、制御装置1が各ショットの成形情報を一定の纏まり毎に保存する処理(以下、「成形情報保存処理」とする。)について説明する。なお、図8は、成形情報保存処理の流れを示すフローチャートであり、制御装置1は、成形情報ログの記録を行っている場合に、その成形情報保存処理を所定周期で繰り返し実行するものとする。
最初に、制御装置1は、成形条件更新検出部12により、成形条件保存画面D2(図3参照。)において現在の成形条件セットとは別の成形条件セットが選択されたか否か、或いは、現在の成形条件セットにおける一又は複数の構成要素が変更されたか否かに基づいて、成形条件が更新されたか否かを判定する(ステップS1)。
また、制御装置1は、成形条件更新検出部12により、メイン画面D1(図2参照。)において、各種成形条件の値が変更されたか否かに基づいて、成形条件が更新されたか否かを判定するようにしてもよい。
成形条件が更新されていないと判定した場合(ステップS1のNO)、制御装置1は、今回の成形情報保存処理を終了させるようにする。
一方、成形条件が更新されたと判定した場合(ステップS1のYES)、制御装置1は、区切り設定部13により、直近のショットに対応する成形情報に区切り情報を付すことによって、成形情報ログに区切りを設定する(ステップS2)。
その後、制御装置1は、確認画面表示部16により、区切り設定部13が設定した区切り以前に存在する成形情報群の保存及びクリアの要否を操作者に確認させるための保存・クリア確認画面(図示せず。)を表示させる(ステップS3)。
その後、制御装置1は、保存・クリア確認画面における操作者の操作入力を監視しながら(例えば、保存・クリア確認ウィンドウにおける「OK」ボタン又は「キャンセル」ボタンの押下の有無を監視しながら)、それら成形情報群の保存及びクリアの要否を判定する(ステップS4)。
「キャンセル」ボタンが押下されたことを検出し、それら成形情報群の保存及びクリアが不要であると判定した場合(ステップS4のNO)、制御装置1は、今回の成形情報保存処理を終了させるようにする。
一方、「OK」ボタンが押下されたことを検出し、それら成形情報群の保存及びクリアが必要であると判定した場合(ステップS4のYES)、制御装置1は、成形情報保存部14により、今回の成形情報保存処理において新たに設定された区切り以前に存在する成形情報群を一纏めにし、成形情報ファイルとしてデータ記憶装置4に保存する(ステップS5)。
その後、制御装置1は、成形情報クリア部15により、成形情報ファイルとしてデータ記憶装置4に保存された成形情報群を成形情報ログからクリアする(ステップS6)。
なお、制御装置1は、保存・クリア確認画面(図示せず。)を表示させることなく(区切り以前に存在する成形情報群の保存及びクリアの要否を操作者に確認させることなく)、それら成形情報群を保存し且つクリアするようにしてもよい。
また、制御装置1は、保存確認画面とクリア確認画面とを別々に表示させるようにしてもよく、保存確認画面のみを表示させるようにしてもよく、或いは、クリア確認画面のみを表示させるようにしてもよい。
或いは、制御装置1は、所定の成形条件に関する成形情報ファイル(例えば、型締力[tf]の設定値が所定値以上となる成形条件で製造された成形品に関する成形情報ファイル、又は、特定の発注者を表す記号を含むロット番号を有する成形条件で製造された成形品に関する成形情報ファイル等である。)がデータ記憶装置4に保存された場合に限り、クリア確認画面を表示させるようにしてもよい。
以上の構成により、制御装置1は、金型交換等に際し成形条件が変更される毎に、同じ成形条件で行われた成形動作に関する成形情報群を一纏めにするので、同じ成形条件で行われた成形動作に関する成形情報群を事後的に利用できるようにする。
また、制御装置1は、成形条件が変更される毎に、操作者の確認を得た上で、或いは、操作者の確認を得ることなく、成形情報ファイルを保存するので、未保存の成形情報群が成形情報ログからクリアされるのを防止することができる。
また、制御装置1は、操作者の確認を得た上で、或いは、操作者の確認を得ることなく、成形情報ファイルとしてデータ記憶装置4に保存された成形情報群を成形情報ログからクリアするので、別の成形条件の下での成形情報群に関する統計値に、これまでの成形条件の下での成形情報群が影響を与えてしまうのを防止することができる。
また、制御装置1は、成形情報ファイルが保存された後で、クリア確認画面を別途表示できるので、保存済みの成形情報群の全てが否応なしに成形情報ログからクリアされてしまうのを防止することができる。
また、制御装置1は、所定の成形条件に関する成形情報ファイルがデータ記憶装置4に保存された場合に限りクリア確認画面を表示させることができるので、例えば、成形情報ファイルとしてデータ記憶装置4に保存された成形情報群を成形情報ログから自動的にクリアすることを原則としながら、特定の発注者に関する成形情報群については、クリアの要否を操作者に確認させるようにし、特定の発注者に関する成形情報群が成形情報ログから自動的にクリアされるのを例外的に防止することができる。なお、クリア要否の確認を原則としながら特定の発注者に関する成形情報群を例外的に自動クリアするようにしてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例において、成形条件更新検出部12は、成形条件保存画面D2(図3参照。)において現在の成形条件セットとは別の成形条件セットが選択された場合に成形条件が更新されたことを検出するが、成形条件保存画面D2における各種成形条件が何れも変更されてない場合であっても、成形機本体に取り付けられた各種センサの出力に基づいて成形条件が更新されたことを検出するようにしてもよい(例えば、同じ形状の色違いの成形品が製造される際に、パージ動作の検出に基づいて樹脂材料が変更されたことを検出し、その検出結果に基づいて成形条件が更新されたことを検出してもよい。)。
また、成形条件更新検出部12は、成形機本体が異常停止したことを検出した場合、成形動作が意図的に中断されたことを検出した場合、型締力が調整されたことを検出した場合、型厚が調整されたことを検出した場合、或いは、成形サイクルの開始から所定時間が経過したことを検出した場合といった、様々なイベントが発生したことを検出した場合に成形条件が更新されたことを検出するようにしてもよい。
また、上述の実施例において、区切り設定部13は、品質管理画面D3(図4参照。)における「データ保存」ボタンB9(図4参照。)が押下された場合、或いは、成形条件更新検出部12により成形条件の更新が検出された場合に、その時点におけるショットの成形情報に区切り情報を付すようにするが、何れのイベントが発生した場合に区切り情報を付すかを操作者が選択できるようにしてもよい。
具体的には、制御装置1は、操作者による所定の操作が行われたことを検出した場合に、区切り設定イベント選択画面(図示せず。)を表示装置5に表示させる。なお、区切り設定イベント選択画面は、何れのイベントが発生した場合に区切り情報を付すかを予め選択しておくための画面である。
区切り設定イベント選択画面において、操作者は、例えば、チェックボックス(図示せず。)等を用いて一又は複数のイベントを選択し、選択したイベントが発生した場合に区切りが設定されるようにする。
具体的には、制御装置1は、区切り設定イベント選択画面において型締力調整イベントのチェックボックスが選択されている場合(有効にされている場合)には、型締力の調整が行われたことを検出したときに区切り設定手段13により区切りを設定し、一方で、区切り設定イベント選択画面において型締力調整イベントのチェックボックスが選択されていない場合(有効にされていない場合)には、型締力の調整が行われたことを検出したとしても区切りを設定しないようにする。
また、上述の実施例において、区切り設定部13は、所定のイベントが発生した場合に成形情報ログに区切りを設定するように構成されるが、事後的に区切りを削除したり、移動させたり、或いは、新たな区切りを追加したりできるよう構成されてもよい。
具体的には、操作者は、データ記憶装置4に保存された成形情報ファイルの内容を解析画面D4(図7参照。)に表示させ、既に設定されている区切りの位置(特定のショットに関する成形情報を意味する。)を表示させながら、操作入力装置3を介して特定の区切りを選択し、その選択した特定の区切りを削除したり、移動させたりすることができる。なお、区切りの移動は、特定のショットに関する成形情報に設定されていた区切りを別のショットに関する成形情報に設定し直すことを意味する。
また、操作者は、表示された成形情報ファイルにおける(区切りが設定されていない)特定のショットに関する成形情報を選択し、その選択した特定のショットに関する成形情報に新たな区切りを追加することができる。
これにより、操作者は、表示された成形情報ファイルにおける任意の区間(纏まり)に対応する統計値を得ることができ、また、任意の区間(纏まり)を別の成形情報ファイルとして抽出し保存することができる。
また、操作者は、表示された成形情報ファイルにおける、一又は複数の区切りで定められる任意の区間(纏まり)を選択することによって、その任意の区間(纏まり)に対応する成形条件セットを読み出し、その読み出した成形条件セットを次に使用する成形条件セットとして設定することができる。
なお、操作者は、表示された成形情報ファイルにおける特定のショットに関する成形情報に対応する成形条件セットを読み出し、その読み出した成形条件セットを次に使用する成形条件セットとして設定することもできる。
これにより、操作者は、例えば、メイン画面D1(図2参照。)において連続的に成形条件を変更しながら(連続的に区切りを設定しながら)各ショットの成形情報を成形情報ログに記録した上で成形情報ファイルとして保存しておき、事後的に、その成形情報ファイルにおける任意の区間又は特定のショットに関する成形情報に対応する成形条件セットを、次に使用する成形条件セットとして選択することができる。
また、上述の実施例において、制御装置1における各種機能は、ソフトウェアプログラムとして実装されているが、ハードウェアを用いて実現されてもよい。
また、制御装置1における各種機能は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて配布可能に提供され得るものとする。