JP2012054261A - 光電変換装置とその製造方法および光電変換モジュール - Google Patents

光電変換装置とその製造方法および光電変換モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】変換効率を高めた光電変換装置および光電変換モジュールを提供すること。
【解決手段】光電変換可能な半導体化合物を含む光吸収層と、該光吸収層の一方側に設けられたZnを含む第1の半導体層と、該第1の半導体層の一方側に設けられた該第1の半導体層よりも多くZnを含む第2の半導体層とを具備しており、前記第2の半導体層は前記第1の半導体層との界面付近において前記Znの組成比率の極小値を有していること。
【選択図】図5

Description

本発明は、光電変換装置とその製造方法および光電変換モジュールに関する。
従来、太陽電池は、カルコパライト系のCIGS等の光吸収層を具備する光電変換装置を構成単位とし、この光電変換装置をガラス等の基板上で複数、直列または並列接続することによって構成されている。この光電変換装置は、その受光面すなわち光吸収層の上部にバッファ層が設けられている。バッファ層としては、環境に対する負荷を低減するため、および、光吸収層と好適なヘテロ接合を得るために、溶液析出法(CBD法)等によって溶液から化学的に成長させた、硫黄を含んだ亜鉛混晶化合物半導体膜が用いられている。また、このバッファ層の上部には透明電極として酸化亜鉛膜が設けられている(特許文献1参照)。
特開平08−330614号公報
しかしながら、特許文献1に示すような光電変換装置およびそれを用いた光電変換モジュールであっても、用途によっては、まだまだ変換効率が低いために使用に耐えないという場合があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、変換効率を高めた光電変換装置および光電変換モジュールを提供することである。
上記に鑑みて本実施形態の光電変換装置は、光電変換可能な半導体化合物を含む光吸収層と、該光吸収層の一方側に設けられたZnを含む第1の半導体層と、該第1の半導体層の一方側に設けられた該第1の半導体層よりも多くZnを含む第2の半導体層とを具備しており、前記第2の半導体層は前記第1の半導体層との界面付近において前記Znの組成比率の極小値を有していることを特徴とする。
さらに本実施形態の光電変換モジュールは、前記光電変換装置を複数有し、隣接する前記光電変換装置を電気的に接続したことを特徴とする。
さらに本実施形態の光電変換装置の製造方法は、III-B族元素およびVI-B族元素を含む溶液中に光吸収層を浸漬し、該光吸収層の表面に前記第1の半導体層を形成する第1工程と、続いてZnおよびカルコゲン元素を含む溶液中に光吸収層を浸漬し、前記Zn濃度を漸次高くしていくことにより、第1の半導体層の表面に前記第2の半導体層を形成する第2工程と、を有することを特徴とする。
また、本実施形態の光電変換装置の製造方法は、III-B族元素およびVI-B族元素を含む溶液を前記光吸収層上に塗布し、加熱乾燥処理して該光吸収層表面に前記第1の半導体層を形成する第1工程と、続いて前記第1の半導体層上にZnおよびカルコゲン元素を含む溶液を塗布後、加熱乾燥処理する工程を前記Zn濃度を毎回高くしながら繰り返すことにより、第1の半導体層表面に前記第2の半導体層を形成する第2工程と、を有すること
を特徴とする。
本発明によれば、光電変換装置を使用していく過程で受ける熱的変化に対して、光吸収層と第1半導体層との良好なpn接合の高い信頼性を有することができる。
さらに、光吸収層と半導体層とのバンド整合を高めること、半導体層のバンドギャップを広げること、光の透過性を上げることにより、光電変換効率を向上することができる。
本発明に係る光電変換装置および光電変換モジュールの実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る光電変換装置および光電変換モジュールの実施の形態の他の例を示す断面図である。 図2の本発明に係る光電変換装置および光電変換モジュールの実施の形態の斜視図である。 本実施形態の一実施例の半導体層および光吸収層におけるアニール処理前のZnの組成分布を示すグラフである。 本実施形態の一実施例の半導体層および光吸収層におけるアニール処理後のZnの組成分布を示すグラフである。
以下に、本発明の光電変換装置とその製造方法および光電変換モジュールの一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
光電変換装置10は、基板1と、第1の電極層2と、光吸収層3と、半導体層4と、第2の電極層5とを含んで構成される。半導体層4は、光吸収層3側の第1の半導体層4aと第2の電極層5側の第2の半導体層4bとから成る。半導体層4は、光吸収層3に対してヘテロ接合を行う層をいう。半導体層4は、光吸収層3上に5nm〜200nm程度の厚みで形成されている。光吸収層3と半導体層4とは異なる導電型であることが好ましく、例えば、光吸収層3がp型半導体である場合、半導体層4はn型半導体である。好ましくはリーク電流を低減するという観点からは、半導体層4は、抵抗率が1Ω・cm以上の層であるのがよい。また、半導体層4は光吸収層3の吸収効率を高めるため、光吸収層3が吸収する光の波長領域に対して光透過性を有するものが好ましい。
図1において、光電変換装置10は複数並べて形成されている。そして、光電変換装置10は、光吸収層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、光吸収層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。この第3の電極層6は、隣接する光電変換装置10の第1の電極層2と一体化されている。この構成により、隣接する光電変換装置10同士が直列接続されている。なお、一つの光電変換装置10内において、接続導体7は光吸収層3および半導体層4を貫通するように設けられており、第1の電極層2と第2の電極層5とで挟まれた光吸収層3と半導体層4とで光電変換が行なわれる。
基板1は、光電変換装置10を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。
第1の電極層2および第3の電極層6は、Mo、Al、TiまたはAu等の導電体が用いられ、基板1上にスパッタリング法または蒸着法等で形成される。
第2の電極層5は、ITO、ZnO等の0.05〜3.0μmの透明導電膜である。第2の電極層5は、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等で形成される。第2の電極層5は、半導体層4よりも抵抗率の低い層であり、光吸収層3で生じた電荷を取り出すためのものである。電荷を良好に取り出すという観点からは、第2の電極層5の抵抗率が1Ω・cm未満でシート抵抗が50Ω/□以下であるのがよい。
第2の電極層5は光吸収層3の吸収効率を高めるため、光吸収層3の吸収光に対して光透過性を有するものが好ましい。光透過性を高めると同時に光反射ロス防止効果および光散乱効果を高め、さらに光電変換によって生じた電流を良好に伝送するという観点から、第2の電極層5は0.05〜0.5μmの厚さとするのが好ましい。また、第2の電極層5と半導体層4との界面での光反射ロスを防止する観点からは、第2の電極層5と半導体層4の屈折率は等しいのが好ましい。
図1とは別に図2、図3は、第2の電極層5上に集電電極8が形成されている点で図1の光電変換装置10と異なっている。図2、図3において、図1と同じ構成のものには、同じ符号を付しており、図1と同様、光電変換装置20が複数接続されて光電変換モジュール21を構成している。
本実施形態の光電変換装置は、光電変換可能な半導体化合物を含む光吸収層と、該光吸収層の一方側に設けられたZnを含む第1の半導体層と、該第1の半導体層の一方側に設けられた該第1の半導体層よりも多くZnを含む第2の半導体層とを具備しており、第2の半導体層は第1の半導体層との界面付近においてZnの組成比率の極小値を有しているものである。
このようなZnの分布は後述するように、半導体層4を湿式成膜法により形成することで得ることができる。さらには、半導体層4をさらに還元雰囲気下において150〜250℃で1時間以上アニール処理して安定化させることが好ましい。
例えば、図4はアニール処理前、図5はアニール処理後の全組成に対するZnの原子%であるが、太線に示すように、第1の半導体層4a(0nmから−30nmの範囲)よりも第2の半導体層4b(−30nmから−80nmの範囲)の方にZnが偏って存在している、すなわちZnの占める割合が多いことがわかる。
第1半導体層4aの光吸収層3側におけるZnが少なくなれば、Znと結合する酸素の影響を受けない、すなわち、第1半導体層4aの光吸収層3側における酸素を減らすことによって、光吸収層3と第1半導体層4aとの良好なpn接合を形成することができる。
また、第2半導体層4b側のZnが多ければ、半導体層4のバンドギャップを広げることができるとともに、光の透過性を上げることができ、電流を向上して光電変換効率を向上することができる。なお半導体層4において、Znの組成の急激な変化は、透過率や屈折率の急激な変化の要因になり、反射が生じてしまうので、本発明においてはZnの組成比率は膜厚方向に漸次変化していることが好ましい。
さらに本実施形態では、第2の半導体層4bにおける第1の半導体層との界面付近(−30nmから−40nmの範囲、すなわち図5の点線部分)でのZnの組成比率の極小値を有していることがわかる(図5の点線の円で囲まれた部分)。
このような極小値があれば、酸素と結びつき再結合の要因となるZnの組成比率が高い部位の影響を光吸収層3と半導体層4との界面が受けることを低減することができるので、光吸収層3と半導体層4との良好なpn接合を形成することができる。例えば、本実施形
態の光電変換装置を使用していく過程で受ける熱的変化において、第2の半導体層4bから第1の半導体層4aへZnが拡散するには、この極小値の領域でZnが所定の組成比率に達して飽和した状態にならなければ、第1の半導体層4aへの拡散が進まない。よって、このような極小値を有することは、Znの第1の半導体層4aへ拡散を適量に制御するための緩衝的な作用効果を奏するものとなっている。
また、第2の半導体層4bは第1の半導体層4aとの界面から第2の電極2側に向けて、Znの組成比率が高くなっているが、これはZnが第2の半導体層4bから第1の半導体層4aへ積極的に適量に拡散していることを示すものであり、光吸収層3と半導体層4とのバンド整合を高めている。
さらに、本実施形態の光電変換装置は、第1の半導体層よりも第2の半導体層の方にZnの組成比率が最大となる部位があることが好ましい。
例えば、図4、図5の太線に示すように、第1の半導体層4aよりも第2の半導体層4bの方に(−70nm付近)にZnの組成比率の最大値があることがわかる。
このように、第1の半導体層4aよりも第2の半導体層4bの方にZnの組成比率が最大となる部位を有するようにすれば、酸素と結びつき再結合の要因となるZnの組成比率が最も高い部位の影響を光吸収層3と半導体層4との界面が受けることを低減することができるので、光吸収層3と半導体層4とのより良好なpn接合を形成することができる。
さらに、本実施形態の光電変換装置は、第1の半導体層はIII族元素のカルコゲン化物を含み、第2の半導体層はZnのカルコゲン化物を含むことが好ましい。
第1の半導体層4aはIII-VI族化合物を含む半導体であり、III-VI族化合物とはIII-B族元素とVI-B族元素との化合物である。III-VI族化合物としては、製造の容易性という観点からはIII-B族元素のカルコゲン化物であることが好ましく、例えば、Ga、GaSe、GaTe、In、InSe、InTeなどが挙げられる。このようなIII-VI族化合物を含む半導体は、高温高湿の環境下における耐久性が高く、劣化しにくい。
また、第2の半導体層4bはZnのカルコゲン化物を含む半導体であり、Znのカルコゲン化物とは、ZnS、ZnSe、ZnTeをいう。Znの水酸化物やZnの酸化物を含んでいてもよい。好ましくは、第2の半導体層4bを構成するZnの全モル数のうち、60%以上がZnのカルコゲン化物であることが好ましい。このようなZnのカルコゲン化物を含む半導体は、光吸収層3とのバンド整合を良好にすることができ、光電変換効率を高めることができる。
そして、光吸収層3上に第1の半導体層4aおよび第2の半導体層4bを順次積層した構成とすることで、高温高湿の環境下での高い耐久性と高い光電変換効率を兼ね備えたものとなるとともに、大面積で光電変換装置を作製した場合にも、このような耐久性および光電変換効率が位置によってばらつくことを抑制できる。よって、耐久性および光電変換特性にすぐれた光電変換装置の大面積化が可能となる。
第1の半導体層4aは5〜100nmであることが好ましい。このような厚みであると、第2の半導体層4bが光吸収層3に接近して形成されるため、光吸収層3とのバンド整合を良好にして光吸収層3と半導体層4とで構成される光電変換部の電荷分離機能を高めることができる。第2の半導体層4aは5〜100nmであることが好ましい。このような厚みであることにより、漏れ電流の低減に寄与し、電圧を向上させ、性能を高めること
ができる。また、取出し電流の抵抗となる成分を抑えることができ、性能を高めることができる。
さらに、本実施形態の光電変換装置の好ましい半導体層4の形態としては、第1の半導体層が硫化インジウムを含み、第2の半導体層が硫化亜鉛を含むものが好ましい。これにより、半導体層4間でのバンド整合がより良好となり電荷移動が良好となる。特に光吸収層3がI-III-VI族化合物半導体から成るカルコパイライト系の化合物半導体である場合、光吸収層3、半導体層4のバンド整合が特に良好となり光電変換効率をより高めることができる。好ましくは、第1の半導体層4aを構成するInの全モル数のうち、60%以上が硫化インジウムであり、第2の半導体層4bを構成するZnの全モル数のうち、60%以上が硫化亜鉛であることが好ましい。これにより、半導体層4全体の高温高湿の環境下における耐久性をより高めることができる。
さらに、本実施形態の光電変換装置の光吸収層3は、カルコパイライト系の材料を含むことが好ましく、光を吸収して電荷を生じる機能を有する。光吸収層3は特に限定されないが、10μm以下の薄層でも高い光電変換効率を得ることができるという観点からは、カルコパイライト系の化合物半導体であることが好ましい。カルコパイライト系の化合物半導体としては、例えばI-III-VI族化合物半導体がある。I-III-VI族化合物半導体とは、I-B族元素(11族元素ともいう)とIII-B族元素(13族元素ともいう)とVI-B族元素(16族元素ともいう)との化合物半導体である(CIS系化合物半導体ともいう)。I-III-VI族化合物半導体としては、例えば、Cu(In,Ga)Se(CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)(CIGSSともいう)、およびCuInS(CISともいう)が挙げられる。なお、Cu(In,Ga)Seとは、CuとInとGaとSeとから主に構成された化合物をいう。また、Cu(In,Ga)(Se,S)とは、CuとInとGaとSeとSとから主に構成された化合物をいう。
また、II-VI族化合物半導体とは、II-B族元素(12族元素ともいう)とVI-B族元素との化合物半導体である。II-VI族化合物半導体としては、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS,CdSe、CdTe等が挙げられる。
このような光吸収層3は以下のような方法により形成できる。まず、原料元素(例えばI-B族元素、II-B族元素、III-B族元素、VI-B族元素など)をスパッタや蒸着により膜状に形成し、または原料溶液の塗布により膜状に形成し、原料元素を含む前駆体を形成する。そしてこの前駆体を加熱することにより半導体から成る光吸収層を形成できる。あるいは、金属元素(例えばI-B族元素、II-B族元素、III-B族元素など)を上記と同様に膜状に形成して前駆体を形成し、この前駆体をVI-B族元素を含むガス雰囲気下で加熱することによっても形成できる。
さらに、本実施形態の光電変換装置は、光電変換装置を複数有し、隣接する光電変換装置を電気的に接続したものである。
すなわち、光電変換装置10は、複数個を並べてこれらを電気的に接続し、光電変換モジュール11とすることができる。隣接する光電変換装置10同士を容易に直列接続するために、図1に示すように、光電変換装置10は、光吸収層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、光吸収層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。
接続導体7は、第2の電極層5を形成する際に同時形成して一体化することが好ましい。これにより、工程を簡略化できるとともに第2の電極層5との電気的な接続信頼性を高めることができる。
接続導体7は、第2の電極層5と第3の電極層6とを接続するとともに、隣接する光電変換装置10の各光吸収層3も分断するように形成されていることにより、隣接する光吸収層3でそれぞれ光電変換を良好に行い、直列接続で電流を取り出すことができる。
次に本実施形態の光電変換装置の製造方法について説明する。
光電変換装置の製造方法には、湿式成膜法が用いられる。この湿式成膜法は、原料溶液を光吸収層3上に塗布しそれを加熱等の処理により化学反応させる方法や、原料を含む溶液中での化学反応により光吸収層3上に析出させる方法である。このような方法とすることで、光吸収層3表面に半導体層4がある程度拡散して形成され、光吸収層3と半導体層4とのヘテロ接合を欠陥の少ない良好なものとすることができる。
さらに、本実施形態の光電変換装置の製造方法は、III-B族元素およびVI-B族元素を含む溶液中に光吸収層を浸漬し、該光吸収層の表面に第1の半導体層を形成する第1工程と、続いてZnおよびカルコゲン元素を含む溶液中に光吸収層を浸漬し、Zn濃度を漸次高くしていくことにより、第1の半導体層の表面に第2の半導体層を形成する第2工程と、を有するものである。Zn濃度を漸次高くするとは、第2の半導体層におけるZnの濃度が、断続的ではなく連続的に高くなるようにしたものである。
さらに、本実施形態の光電変換装置の製造方法は、III-B族元素およびVI-B族元素を含む溶液を光吸収層上に塗布し、加熱乾燥処理して該光吸収層表面に第1の半導体層を形成する第1工程と、続いて第1の半導体層上にZnおよびカルコゲン元素を含む溶液を塗布後、加熱乾燥処理する工程をZn濃度を毎回高くしながら繰り返すことにより、第1の半導体層表面に第2の半導体層を形成する第2工程と、を有するものである。
Zn濃度を毎回高くしながら繰り返すとは、Znの濃度が断続的にならない程度に塗布を細かく複数回に分けて、その後に1〜10時間程度アニール処理をすればZnが拡散してさらに連続的にすることができる。
あるいは、第1の半導体層4aおよび第2の半導体層4bの一方を溶液中で析出する方法で形成し、他方を、原料溶液を塗布する方法で形成してもよい。
上記いずれかの方法において、III-B族元素およびVI-B族元素を含む水溶液としては、III-B族元素含有塩およびVI-B族元素含有塩を水に溶解し、酸あるいはアルカリでpHを調整したものが用いられる。また、Znおよびカルコゲン元素を含む水溶液としては、Zn含有塩およびカルコゲン元素含有塩を水に溶解し、酸あるいはアルカリでpHを調整したものが用いられる。
また有機系の溶液の場合、III-B族元素およびVI-B族元素を含む有機系の溶液としては、III-B族元素およびVI-B族元素を金属塩または単体の状態で有機溶媒に溶解させたものが用いられる。また、Znおよびカルコゲン元素を含む有機系の溶液としては、Znおよびカルコゲン元素を金属塩または単体の状態で有機溶媒に溶解させたものが用いられる。
こうして形成された半導体層4は図4のようなZnの分布となっており、さらに還元雰囲気下において150〜250℃で1〜10時間程度アニール処理して安定化させれば、図4はさらに図5のようなZnの分布となる
1:基板
2:第1の電極層
3:光吸収層
4:半導体層
4a:第1の半導体層
4b:第2の半導体層
5:第2の電極層
6:第3の電極層
7:接続導体
8:集電電極
9:光電変換体
10、20:光電変換装置
11、21:光電変換モジュール

Claims (8)

  1. 光電変換可能な半導体化合物を含む光吸収層と、
    該光吸収層の一方側に設けられたZnを含む第1の半導体層と、
    該第1の半導体層の一方側に設けられた該第1の半導体層よりも多くZnを含む第2の半導体層とを具備しており、
    前記第2の半導体層は前記第1の半導体層との界面付近において前記Znの組成比率の極小値を有している光電変換装置。
  2. 前記第1の半導体層よりも前記第2の半導体層の方にZnの組成比率が最大となる部位がある請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記第1の半導体層はIII族元素のカルコゲン化物を含み、前記第2の半導体層はZnのカルコゲン化物を含む請求項1または2に記載の光電変換装置。
  4. 前記第1の半導体層は硫化インジウムを含み、前記第2の半導体層は硫化Znを含む請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換装置。
  5. 前記光吸収層はカルコパイライト系の材料を含む請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換装置を複数有し、隣接する前記光電変換装置を電気的に接続した光電変換モジュール。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法であって、
    III-B族元素およびVI-B族元素を含む溶液中に光吸収層を浸漬し、該光吸収層の表面に前記第1の半導体層を形成する第1工程と、
    続いてZnおよびカルコゲン元素を含む溶液中に光吸収層を浸漬し、前記Zn濃度を漸次高くしていくことにより、第1の半導体層の表面に前記第2の半導体層を形成する第2工程と、を有する光電変換装置の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法であって、
    III-B族元素およびVI-B族元素を含む溶液を前記光吸収層上に塗布し、加熱乾燥処理して該光吸収層表面に前記第1の半導体層を形成する第1工程と、
    続いて前記第1の半導体層上にZnおよびカルコゲン元素を含む溶液を塗布後、加熱乾燥処理する工程を前記Zn濃度を毎回高くしながら繰り返すことにより、第1の半導体層表面に前記第2の半導体層を形成する第2工程と、を有する光電変換装置の製造方法。
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