JP2012049301A - 微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物、及び該組成物を用いた微細構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルキレン基、アリーレン基、−COO−などと、放射線硬化性官能基と、環状エーテル基などから成る単位を有する感放射線硬化性ポリマー(P)と、放射線硬化性モノマー(M)と、放射線重合開始剤(I)とを有し、組成物中の放射線硬化性成分全量に対して、感放射線硬化性ポリマー(P)の割合が55〜95重量%、放射線硬化性モノマー(M)の割合が5〜45重量%である。
【選択図】なし
Description
また、本発明の他の目的は、上記放射線硬化性樹脂組成物を硬化してなる、干渉縞の発生しない均一な硬化物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、所望のパターンが形成された上記硬化性樹脂組成物からなり、干渉縞の発生しない均一な薄膜を有する微細構造体を提供することにある。
さらにまた、本発明の他の目的は、放射線照射による微細パターン形成方法において、大型サイズの基材に微細パターンを一括で形成する簡便、且つ高スループット、且つ、干渉縞の発生しない均一な薄膜を有する微細構造体の製造方法を提供することにある。
で表される単位を有する感放射線硬化性ポリマー(P)と、放射線硬化性モノマー(M)と、放射線重合開始剤(I)とを有し、組成物中の放射線硬化性成分全量に対して、感放射線硬化性ポリマー(P)の割合が55〜95重量%、放射線硬化性モノマー(M)の割合が5〜45重量%であることを特徴とする、微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物を提供する。
また、好ましくは前記アクリル化合物および/またはビニル化合物(p1)が3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくは、前記アクリル化合物および/またはビニル化合物(p2)が、スチレンおよび/または2−ビニルナフタレンを含んでいる。
また、本発明は、基材と、該基材上に形成され、所望のパターンが形成された上記硬化性樹脂組成物からなる薄膜とを有することを特徴とする微細構造体を提供する。前記薄膜は放射線により硬化されていることが好ましい。
本発明の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物は、下記式(1)
で表される単位を有する感放射線硬化性ポリマー(P)と、放射線硬化性モノマー(M)と、放射線重合開始剤(I)とを有し、組成物中の放射線硬化性成分全量に対して、感放射線硬化性ポリマー(P)の割合が55〜95重量%、放射線硬化性モノマー(M)の割合が5〜45重量%であることを特徴とする。
本発明の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物に含まれる感放射線硬化性ポリマー(P)は、上記式(1)で表される単位を有する。上記式(1)中のAにおけるヒドロキシル基を有していてもよいアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、t−ブチレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基ならびにそれらの基に1以上のヒドロキシル基が置換している基が挙げられる。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
本発明の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物に含まれる放射線硬化性モノマー(M)としては、放射線硬化性の官能基を有する化合物であれば、特に限定されないが、上記感放射線硬化性ポリマー(P)として、ラジカル重合性不飽和基を含有する感放射線硬化性ポリマーを選択するときは、ラジカル重合性の官能基を有する放射線硬化性モノマーを組み合わせて使用し、上記感放射線硬化性ポリマー(P)として、カチオン重合性官能基を含有する感放射線硬化性ポリマーを選択するときは、カチオン重合性の官能基を有する放射線硬化性モノマーを組み合わせて使用する。
本発明の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物において、カチオン重合性官能基を含有する感放射線硬化性ポリマー、カチオン重合性の放射線硬化性モノマー、カチオン重合開始剤の組み合わせを選択した場合、微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物はカチオン硬化性樹脂組成物である。
カチオン硬化性樹脂組成物における感放射線硬化性ポリマーは、ラジカル重合性不飽和基とカチオン硬化性官能基を有するモノマーと、必要に応じて他の1種類以上のラジカル重合性不飽和基を有する化合物とを(共)重合(ラジカル重合)することにより得る事ができる。
上記アクリル化合物および/またはビニル化合物(p1)としては、具体的には、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジルアクリレート、オキセタニル(メタ)アクリレートなどの環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート;β−(メタ)アクロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクロイルオキシ−δ−バレロラクトン、β−(メタ)アクロイルオキシ−ε−カプロラクトンなどの環状エステル基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクロイルオキシエチルカーボネートなどの環状カーボネート基を有する(メタ)アクリレート;及び、2−ビニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどのビニルエーテル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でも複合しても使用することができる。これらの中で、環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリレートがさらに好ましい。特に3、4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートは脂環式エポキシ基を有し、グリシジルタイプのエポキシ基を有する化合物に比べてカチオン硬化性に優れており最も好都合である。上記アクリル化合物および/またはビニル化合物(p1)としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
上記アクリル化合物および/またはビニル化合物(p2)は、単官能のラジカル重合可能な化合物が好ましい。例えば、アクリル化合物として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロカクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソオクチルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレングリコール(メタ)アクリレート類等が挙げられる。また、ビニル化合物としてはスチレンが代表的であり、さらに2−ビニルナフタレンが挙げられる。これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの化合物の中では、特にスチレンおよび2−ビニルナフタレンが、基板上に形成された薄膜の流動性がなく、しかも低圧力でパターン形成ができ、さらにモールドの剥離性にも優れる硬化膜を得ることができるので特に好ましい。さらに、2−ビニルナフタレンは屈折率が高いという特徴を有しており、光学用途において、高屈折率の薄膜パターンが得られるという特徴を有する。上記アクリル化合物および/またはビニル化合物(p2)としては、スチレンおよび/または2−ビニルナフタレンを含むことが好ましい。
カチオン硬化性樹脂組成物における放射線硬化性モノマーとしては、環状エーテル化合物、環状エステル化合物、環状カーボネート化合物、およびビニルエーテル化合物などが挙げられる。
本発明の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物は、感放射線硬化性ポリマー(P)として上記式(1)においてZがラジカル重合性不飽和基を有する基であるポリマーを使用し、併用する放射線硬化性モノマー(M)としてラジカル硬化性モノマーを使用し、放射線重合開始剤(I)としてラジカル重合開始剤を使用して、ラジカル硬化性樹脂組成物とすることができる。
ラジカル硬化性樹脂組成物に使用する感放射線硬化性ポリマーとしては、反応性官能基を有するアクリル系モノマーに、この反応性官能基に対して反応性を有する官能基とラジカル重合性不飽和基とを有する化合物を1種類以上反応させて共重合することにより得ることができる。反応性官能基としては、カルボキシル基などの酸基、ヒドロキシル基などが挙げられる。反応性官能基に対して反応性を有する官能基としては、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられる。なかでも、カルボキシル基とエポキシ基との組み合わせ、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組み合わせが好ましく使用できる。反応性官能基を有するアクリル系ポリマーとしては、酸基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記ラジカル硬化性樹脂組成物に使用する感放射線硬化性ポリマーと同時に使う放射線硬化性モノマーとしては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記アクリレートに対応する各メタクリレート類、多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステルなどがあり、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物に含まれる放射線重合開始剤(I)としては、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤がある。放射線硬化性樹脂組成物がアクリロイル基およびビニル基を主体として構成される場合には、ラジカル重合開始剤を使用し、組成物がエポキシ等のカチオン硬化性化合物を主体に構成される場合には、酸発生剤(PAG)などのカチオン重合開始剤を使用するのが好ましいが、両者のタイプを併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の具体的な例としては、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類、エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン、アントラキノン−2−スルホン酸塩、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸塩等のアントラキノン類、アセトフェノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,2−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体類、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等、アクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、およびこれらの混合物等が挙げられる。ラジカル重合開始剤の市販品としては、Irg.907(チバスペシャルティケミカルズ社製)などが入手可能である。
カチオン重合開始剤はカチオン部位とアニオン部位で構成される。アニオン部位の具体例としてはPF6 -、SbF6 -および/又は下記式(I)で表されるボレート類が挙げられる。さらに、ボレートの具体例としてはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
また、放射線重合開始剤(I)に加えて、開始剤の効果を促進する光増感剤を添加することも出来る。これらの具体的な例としては、アントラセン、フェノチアゼン、ぺリレン、チオキサントン、ベンゾフェノンチオキサントン等が挙げられる。更に、増感色素としては、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素等が例示される。
本発明の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物は、溶剤を含んでいても良い。溶剤としては、樹脂組成物が溶解する溶剤であれば何でもよいが、具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物には、他の成分として、フッ素化合物またはシリコン化合物からなる界面活性剤、無機および/または有機充填剤、可塑剤、顔料、染料、カップリング剤等、従来公知のものを必要に応じて配合できる。
本発明の硬化物は、微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物を硬化してなる。硬化は、上記微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物を放射線により架橋・硬化させる事によりすることができる。照射する放射線としては特に制約はなく、上記放射線硬化性樹脂組成物を硬化できる光源であれば使用可能である。光源としては、メタルハライド、水銀灯等のランプ、UV−LED等を使用することもできる。本発明の硬化物は、特に薄膜とした場合に、干渉縞の発生しない均一な塗膜となる。放射線で硬化・架橋した後に加熱(ポストベーク)してもよい。
本発明の微細構造体は、基材と、該基材上に形成され、所望のパターンが形成された上記硬化性樹脂組成物からなる薄膜とを有する。前記薄膜は放射線により硬化されていることが好ましい。照射する放射線としては、上記と同様とすることができる。本発明の微細構造体は、干渉縞の発生しない均一な塗膜を有している。
本発明の微細構造体の製造方法は、基材上に、上記の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物を用いて薄膜を形成する薄膜形成工程(1)と、微細パターンが形成されたモールドを該薄膜に押し付けて、該薄膜に微細パターンを転写するパターン転写工程(2)と、該モールドを該パターンが形成された薄膜から剥離する前又は剥離した後に、該パターンが形成された薄膜を放射線により架橋・硬化させる事により微細構造体を得る微細パターン形成工程(3)とを有することを特徴とする。
薄膜形成工程(1)は、基材上に、上記微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物を用いて薄膜を形成する工程である。薄膜形成工程(1)は、好ましくは、前記硬化性樹脂組成物を、溶剤に溶解して基材上に塗布した後、加熱および/または減圧により溶剤を除去・乾燥して薄膜を形成するか、又は、前記放射線硬化性樹脂組成物を加熱して基材上に塗布した後冷却して薄膜を形成することができる。
パターン転写工程(2)では、微細パターンが形成されたモールドを該薄膜に押し付けて、該薄膜に微細パターンを転写する。モールドとしては、表面に微細パターン加工を施したモールドを使用する。モールドの材質としては、Ni電鋳スタンパー、Siスタンパー等、光を透過しない材質を使用することが可能である。また、樹脂製スタンパーを用いる事が出来る。具体的にはポリスチレン樹脂(PS)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、フッ素樹脂、シリコン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
微細パターン形成工程(3)では、モールドをパターンが形成された薄膜から剥離する前又は剥離した後に、該パターンが形成された薄膜を放射線により架橋・硬化させる事により微細構造体を得る。微細パターン形成工程(3)は、モールドをパターンが形成された薄膜から剥離した後に、パターンが形成された薄膜を放射線により架橋・硬化させて行うことが好ましい。本発明の放射線硬化性樹脂組成物は、基材上に形成された薄膜は流動性が無いという特徴により、モールドを薄膜から剥離した後も、転写された微細パターンはその形状を保つことが出来るので、その後の工程で放射線を照射し、樹脂を硬化することができる。
本発明では、連続したシート状の基材を用いて、前記の(1)〜(3)の微細パターンを形成する工程を、ロールを介して連続的に行うことができる。好ましくは、基材及び薄膜が連続したシート状であり、前記パターン転写工程(2)が、微細パターンが形成されたモールドをロールを介して該薄膜に押し付けて、該薄膜に微細パターンを連続的に転写することができる。
合成例1
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2Lセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(MMPG−AC、ダイセル化学工業社製)222gを導入し、90℃に昇温後、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(製品名:サイクロマーM−100、ダイセル化学工業社製)26gとスチレン124gの混合溶液、および2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABN−E、日本ヒドラジン工業社製)28gのMMPG−AC 100g溶液を共に4時間かけて滴下した後、滴下後3時間熟成した。これをヘプタン溶媒中に攪拌しながら滴下し、沈殿物を洗浄、濾過、乾燥して、分子量約20000の白色固体の樹脂P−1を120g得た。
サイクロマーM−100を98g、スチレンを52g、ABN−E28gのMMPG−AC100g溶液を使用した以外は合成例1と同様の方法で、分子量約4000の白色固体の樹脂P−2を118g得た。
サイクロマーM−100を150g、ABN−E5.5gのMMPG−AC100g溶液を使用し、スチレンを使用しなかった以外は合成例1と同様の方法で、分子量約20000の白色固体の樹脂P−3を119g得た。
サイクロマーA−200を84g、スチレンの代わりに2−ビニルナフタレンを66g、ABN−E5.5gのMMPG−AC100g溶液を使用した以外は合成例1と同様の方法で、分子量約10000の白色固体の樹脂P−4を115g得た。
側鎖にアクリロイル基とカルボキシル基を含有するアクリル共重合樹脂[Cyclomer-P(ACA)250]の合成
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2Lのセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(ダイセル化学工業社製、「MMPG」)300gを導入し、110℃に昇温後、メタクリル酸151g、メチルメタクリレート110g、MMPG200g及びt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、「パーブチルO」)28.7gを共に3時間かけて滴下した。滴下後4時間熟成してカルボキシル基を有する幹ポリマーを合成した。次に、上記幹ポリマー溶液に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル化学工業社製、「サイクロマーA−200」)239g、トリフェニルホスフィン2.4g、メチルハイドロキノン1.0gを加えて、100℃で10時間反応させた。反応は、空気/窒素の混合雰囲気下で行った。これにより、分子量約15000のポリマー(P−5)を得た。得られたポリマーのTgは105℃、酸価は50KOH−mg/g、二重結合当量(不飽和基1mol当りの樹脂重量)は381であった。
サイクロマーM−100を111g、スチレンを39g、ABN−E5.5gのMMPG−AC100g溶液を使用した以外は合成例1と同様の方法で、分子量約20000の白色固体の樹脂P−6を120g得た。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートの代わりに3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート(製品名:サイクロマーA−200、ダイセル化学工業社製)を96g、スチレンを56g、ABN−E9gのMMPG−AC100g溶液を使用した以外は合成例1と同様の方法で、分子量約20000の白色固体の樹脂P−7を121g得た。
サイクロマーM−100を67g、スチレンを83g、ABN−E2.2gのMMPG−AC100g溶液を使用した以外は合成例1と同様の方法で、分子量約50000の白色固体の樹脂P−8を120g得た。
初期導入のMMPG−ACを191g、サイクロマーM−100を98g、スチレンを52g、ABN−E55gのMMPG−AC150g溶液を使用した以外は合成例1と同様の方法で、分子量約2000の白色固体の樹脂P−9を115g得た。
サイクロマーM−100を98g、スチレンを52g、ABN−E1.9gのMMPG−AC100g溶液を使用した以外は合成例1と同様の方法で、分子量約60000の白色固体の樹脂P−10を123g得た。
サイクロマーM−100を122g、スチレンを28g、ABN−E 1.9gのMMPG−AC 100g溶液を使用した以外は合成例1と同様の方法で、分子量約20000の白色固体の樹脂P−11を131g得た。
スチレンを150g、ABN−E5.5gのMMPG−AC100g溶液を使用した以外は合成例1と同様の方法で、分子量約20000の白色固体の樹脂P−12を119g得た。
合成例1〜11および比較合成例1より得られた樹脂[放射線硬化性官能基を有するオリゴマーまたは高分子化合物{P−1〜P−11は、本発明の感放射線硬化性ポリマー(P)を示す}]は表―3に纏めた。
実施例1〜15、18〜25、及び比較例1〜9
表―1及び表−2に示す割合で材料を調合し、溶剤MMPG−ACを加え、十分に攪拌・混合して溶解し、均一な放射線硬化性樹脂組成物溶液を作成した。なお、使用した放射線硬化性モノマー(M)、放射線重合開始剤(I)、増感剤、及び溶剤は表−4に纏めた。
表―1及び表−2に示す割合で材料を調合し、90℃に加熱しながら十分に攪拌・混合した後、冷却して均一な溶剤を含まない放射線硬化性樹脂組成物を得た。なお、使用した放射線硬化性モノマー(M)、放射線重合開始剤(I)、及び増感剤は表−4に纏めた。
上記の方法にて作成した薄膜の表面を指触し、薄膜の流動の有無を調べ、以下の3段階で評価をした。
○:指に樹脂が付着せず、薄膜に指紋も着かず・・・流動性およびタック無し
△:薄膜表面に指紋が着く・・・流動性無し、僅かにタック有り
×:指に樹脂が付着・・・流動性有り
実施例1〜17,20〜25、及び比較例1〜9
ナノインプリント装置の下側金属プレートに薄膜を形成したシリコンウエハーを固定し、石英ガラスで構成された上側プレートに固定された幅500nmのライン&スペース(L/S)、ライン深さ300nmの微細パターンを設けた石英ガラスモールドに下側プレートを上昇させて押し付けて、表−1又は表−2に示すように1MPaの圧力で1分間保持した後、モールドを押し付けた状態で石英ガラス製の上側プレートとモールドを通して、インプリント装置に内蔵された超高圧水銀ランプにより、1〜3JのUV光を照射した。その後、下側プレートを下降させ、モールドを剥離することにより微細パターンが形成された試料を作成した(インプリント工程3−A)。
ナノインプリント装置の下側金属プレートに薄膜を形成したシリコンウエハーを固定し、ステンレス板で構成された上側プレートに固定された幅500nmのライン&スペース(L/S)、ライン深さ300nmの微細パターンを設けたニッケル電鋳モールドに下側プレートを上昇させて押し付けて、1MPaの圧力で1分間保持した後、下側プレートを下降させ、モールドを剥離し、微細パターンを転写した試料を取り出し、別の超高圧水銀ランプにより、1〜3JのUV光を照射し微細パターンが形成された試料を作成した(インプリント工程3−B)。
ナノインプリント装置の上側プレートには圧力センサーが設けられており、押し付け圧力の制御および剥離時の剥離力の記録が可能であり、剥離力の大きさにより剥離性の評価を行った。評価結果を表−1及び表−2に示す。
剥離力:
0〜5N未満:○ 剥離性良
5〜10N未満:△ 剥離性やや不良
10N〜または基板上の薄膜の一部がモールド側に付着:× 剥離性不良
微細パターンが形成された試料は、AFM(マイクロプローブ顕微鏡)により微細パターンの形状を測定し、1MPaの押し付け圧力で転写した際のモールドのライン部深さ300nmに対する形成された微細パターンのライン高さの割合で転写性を評価した。評価結果を表−1及び表−2に示す。
ライン部高さ(モールドのライン深さに対する割合):
270nm〜(90%以上):○ 転写性良
240nm超〜270nm未満(80%超〜90%未満):△ 転写性やや不良
〜240nm(80%以下):× 転写性不良
微細パターンが形成された試料を目視観察し、干渉縞の有無により評価した。評価結果を表−1及び表−2に示す。
干渉縞無し:○ 塗膜均一
斑点有り:△ 若干塗膜不均一
干渉縞有り:× 塗膜不均一
パターン形成された基材を溶媒THF(テトラヒドロフラン)に浸漬し、2〜3度振って引き上げ、エアーガンにより表面の溶媒を除去・乾燥し、薄膜表面の状態をAFM(マイクロプローブ顕微鏡)により観察した。
○: パターン形成された薄膜が完全に残っている
△: パターンは消失しているが、薄膜は50%以上残っている
×: 薄膜が50%以上溶解し消失している
Claims (14)
- 下記式(1)
で表される単位を有する感放射線硬化性ポリマー(P)と、放射線硬化性モノマー(M)と、放射線重合開始剤(I)とを有し、組成物中の放射線硬化性成分全量に対して、感放射線硬化性ポリマー(P)の割合が55〜95重量%、放射線硬化性モノマー(M)の割合が5〜45重量%であることを特徴とする、微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物。 - 感放射線硬化性ポリマー(P)のうち、カチオン重合性の感放射線硬化性ポリマーが、上記式(1)中の−A−Zで表される基(式中、Zは環状エーテル基、環状エステル基、環状カーボネート基、及びビニルエーテル基から選択されたカチオン重合性基)を有するアクリル化合物および/またはビニル化合物(p1)と放射線によりカチオン重合性を有する官能基を含まないアクリル化合物および/またはビニル化合物(p2)との(p1)/(p2)のモル比が5/95〜60/40の共重合体である、請求項1記載の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物。
- 前記放射線重合開始剤(I)の含有量が、前記感放射線硬化性ポリマー(P)と前記放射線硬化性モノマー(M)との合計100重量部に対して0.1〜10重量部である、請求項1又は2記載の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物。
- 前記感放射線硬化性ポリマー(P)の重量平均分子量が3000〜50000、融点又は軟化温度が25℃以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物。
- 上記式(1)中のZが脂環式エポキシ基であり、前記放射線硬化性モノマー(M)がカチオン硬化性モノマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物。
- 前記アクリル化合物および/またはビニル化合物(p1)が3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートである、請求項2〜5のいずれか1項に記載の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物。
- 前記アクリル化合物および/またはビニル化合物(p2)が、スチレンおよび/または2−ビニルナフタレンを含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 基材と、該基材上に形成され、所望のパターンが形成された請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる薄膜とを有することを特徴とする微細構造体。
- 前記薄膜が放射線により硬化されている、請求項9記載の微細構造体。
- 基材上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の微細パターン形成用放射線硬化性樹脂組成物を用いて薄膜を形成する薄膜形成工程(1)と、微細パターンが形成されたモールドを該薄膜に押し付けて、該薄膜に微細パターンを転写するパターン転写工程(2)と、該モールドを該パターンが形成された薄膜から剥離する前又は剥離した後に、該パターンが形成された薄膜を放射線により架橋・硬化させる事により微細構造体を得る微細パターン形成工程(3)とを有することを特徴とする微細構造体の製造方法。
- 前記微細パターン形成工程(3)が、前記モールドを前記パターンが形成された薄膜から剥離した後に、該パターンが形成された薄膜を放射線により架橋・硬化させる事により微細構造体を得る工程である、請求項11記載の微細構造体の製造方法。
- 前記薄膜形成工程(1)が、前記硬化性樹脂組成物を、溶剤に溶解して基材上に塗布した後、加熱および/または減圧により溶剤を除去・乾燥して薄膜を形成する工程、又は、前記放射線硬化性樹脂組成物を50〜110℃にて加熱して基材上に塗布した後冷却して薄膜を形成する工程を含む、請求項11又は12記載の微細構造体の製造方法。
- 前記基材及び薄膜が連続したシート状であり、前記パターン転写工程(2)が、微細パターンが形成されたモールドをロールを介して該薄膜に押し付けて、該薄膜に微細パターンを連続的に転写する工程である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の微細構造体の製造方法。
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