JP2012048955A - リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、およびリチウムイオン二次電池用負極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン二次電池の製品信頼性を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池の負極2は、負極集電体22と、負極活物質粒子を含み、負極集電体22の表面に設けられた負極活物質層24と、を備える。負極活物質層24は、負極活物質層24を構成する粒子の密度が相対的に低い低密度領域242と、当該低密度領域242と層の延在面方向に隣接し、負極活物質層24を構成する粒子の密度が相対的に高い高密度領域244とを有する。
【選択図】図2
【解決手段】リチウムイオン二次電池の負極2は、負極集電体22と、負極活物質粒子を含み、負極集電体22の表面に設けられた負極活物質層24と、を備える。負極活物質層24は、負極活物質層24を構成する粒子の密度が相対的に低い低密度領域242と、当該低密度領域242と層の延在面方向に隣接し、負極活物質層24を構成する粒子の密度が相対的に高い高密度領域244とを有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池用負極と、当該リチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池、および当該リチウムイオン二次電池用負極の製造方法に関する。
従来、化学電池として充電と放電が可能な二次電池が知られている。この充放電可能な二次電池としてはリチウムイオン二次電池がある。一般にリチウムイオン二次電池の負極には、負極活物質として、黒鉛、コークス等の炭素材料が用いられていた。ところが、電池の高容量化の要求が高まるにつれて、炭素材料では高容量化の要求を満たすことが困難になってきた。
これに対し、リチウムイオン二次電池の高容量化を図るべく、充電時にリチウムと合金化するシリコン(ケイ素)粒子などを負極活物質として用いて負極を形成する試みがなされている。例えば、特許文献1には、負極活物質としてルテニウムで被覆したケイ素粉末を用いることが開示されている。この特許文献1では、ガスデポジション法により、ルテニウムで被覆したケイ素粉末を集電体上に堆積させて電極を形成している。
上述のように、シリコン粒子を負極活物質として用いた場合、炭素材料に比べて高容量化を期待することができる。しかしながら、シリコン粒子はリチウムイオン吸蔵時に膨張して体積が増大する。そのため、シリコン粒子の膨張によって活物質層に応力が発生し、集電体が変形したり、あるいは活物質層が破損してしまうおそれがあった。また、上述のように、特許文献1に開示された方法では、ガスデポジション法により集電体の表面全体に負極活物質を吹き付けて活物質層を形成していた。そのため、形成された活物質層には吹き付けに起因する応力が発生し、集電体が変形したり、あるいは活物質層が破損してしまうおそれがあった。したがって、従来のリチウムイオン二次電池には、製品信頼性の向上を図る上で改善の余地があった。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、リチウムイオン二次電池の充放電の製品信頼性を向上させることができる技術を提供することにある。
本発明のある態様は、リチウムイオン二次電池用負極である。当該リチウムイオン二次電池用負極は、集電体と、負極活物質粒子を含み、集電体の表面に設けられた活物質層と、を備え、活物質層は、活物質層を構成する粒子の密度が相対的に低い低密度領域と、当該低密度領域と層の延在方向に隣接し、活物質層を構成する粒子の密度が相対的に高い高密度領域とを有することを特徴とする。
この態様によれば、リチウムイオン二次電池の製品信頼性を向上させることができる。
本発明の他の態様は、リチウムイオン二次電池である。当該リチウムイオン二次電池は、上述した構成のリチウムイオン二次電池用負極と、リチウムイオン二次電池用正極と、非水電解質と、を備えたことを特徴とする。
本発明のさらに他の態様は、リチウムイオン二次電池用負極の製造方法である。当該リチウムイオン二次電池用負極の製造方法は、集電体の表面上に、開口を有するマスクを設ける工程と、マスクが設けられた側の集電体の表面に負極活物質粒子を吹き付けて、自身を構成する粒子の密度が相対的に高い高密度領域を開口に対応する位置に有し、自身を構成する粒子の密度が相対的に低い低密度領域をマスクに対応する位置に有する活物質層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の製品信頼性を向上させることができる。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るリチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池の構成を示す概略断面図である。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極(以下、適宜「負極」という)と、リチウムイオン二次電池用正極(以下、適宜「正極」という)と、非水電解質とを備える。具体的には図1に示すように、リチウムイオン二次電池1は、主な構成として負極2、正極3、セパレータ4、負極缶5、正極缶6、および絶縁パッキング7を備える。
図1は、実施形態1に係るリチウムイオン二次電池用負極を備えたリチウムイオン二次電池の構成を示す概略断面図である。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池用負極(以下、適宜「負極」という)と、リチウムイオン二次電池用正極(以下、適宜「正極」という)と、非水電解質とを備える。具体的には図1に示すように、リチウムイオン二次電池1は、主な構成として負極2、正極3、セパレータ4、負極缶5、正極缶6、および絶縁パッキング7を備える。
負極2および正極3は、セパレータ4を挟んで対向するように配置され、負極2、正極3、およびセパレータ4により積層体が形成されている。負極2は、後述する負極活物質層(活物質層)24がセパレータ4に接するように配置され、正極3は、後述する正極活物質層34がセパレータ4に接するように配置されている。セパレータ4は、例えば、厚さ約20μmのポリエチレン微多孔膜である。負極2、正極3、およびセパレータ4の積層体は、負極缶5および正極缶6により形成される電池ケース内に収容されている。電池ケース内には、非水電解質が含浸されている。負極2は、後述する負極集電体22が負極缶5に接するようにして負極缶5に接続され、正極3は、後述する正極集電体32が正極缶6に接するようにして正極缶6に接続されている。負極缶5および正極缶6は、負極2、正極3、およびセパレータ4の積層体の外周において、ポリプロピレンなどからなる絶縁パッキング7により互いに固定されている。
図2(A)は、負極の概略平面図であり、図2(B)は、図2(A)のA−A線に沿った概略断面図である。図3(A)は、図2(B)中の破線で囲まれた領域Aの部分拡大概略断面図であり、図3(B)は、図3(A)中の破線で囲まれた領域Bの部分拡大概略断面図である。
図1および図2(B)などに示すように、負極2は、負極集電体22と、負極集電体22の表面に設けられた負極活物質層24とを備える。負極集電体22は、例えば導電性金属箔で構成される。負極集電体22を構成する導電性金属箔としては、例えば銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム等の金属、およびこれらの組み合わせからなる合金を挙げることができる。本実施形態に係るリチウムイオン二次電池1では、負極集電体22が銅箔で構成されている。負極集電体22を構成する上述の導電性金属箔は、延性および/または展性を有する。そのため、後述する負極活物質粒子が負極集電体22に衝突した際に、負極集電体22の表面が衝撃力で塑性変形し得る。これにより、負極活物質粒子を負極集電体22の表面に強固に接着させることができる。負極集電体22の表面への負極活物質粒子の接着方法は、後に詳細に説明する。
負極集電体22の表面は、粗面化されていることが好ましい。負極集電体22の表面が粗面化されていることにより、負極集電体22表面の面積を大きくすることができる。そのため、負極集電体22に接着する負極活物質粒子の数を増やすことができ、また、負極集電体22と負極活物質層24との接続をより確実なものとすることができる。
負極活物質層24は、図3(A)および図3(B)に示すように、負極活物質粒子246を含む。負極活物質粒子246は、リチウムを吸蔵、放出することができる粒子であり、例えばリチウムと合金化する材料からなる。リチウムと合金化する材料としては、シリコン(ケイ素)、ゲルマニウム、スズ、鉛、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびこれらの合金などが挙げられる。充放電容量が大きいという観点からは、シリコン粒子が特に好ましい。ここで、シリコン粒子はシリコンを主成分として含む粒子であり、このような粒子としては、シリコン単体粒子、シリコン合金粒子、シリコン酸化物粒子などが挙げられる。シリコン合金粒子としては、シリコンを50原子%以上含む合金粒子などが好ましく用いられる。シリコン合金としては、Si−Co合金、Si−Fe合金、Si−Zn合金、Si−Zr合金、Si−Ti合金、Si−Ni合金、Si−W合金、Si−Cr合金などが挙げられる。本実施形態では、負極活物質粒子246はシリコン粒子であり、複数の負極活物質粒子246が堆積して負極活物質層24が形成されている。
また、図3(B)に示すように、負極活物質粒子246は、表面の一部が金属248で被覆されている。負極活物質粒子246への金属248の被覆方法としては、無電解めっき法、電解めっき法、化学還元法、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法などを挙げることができる。負極活物質粒子246の表面を被覆する金属248としては、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム等の金属、またはこれらの組み合わせからなる合金または混合物である。これらのうち、銅、ニッケル、鉄、コバルトは、リチウムと合金化しない。本実施形態では、負極活物質粒子246は、表面の一部が銅で被覆されている。
このように、負極活物質粒子246の表面の一部が金属248で被覆されていることで、金属248がいわゆる接着剤として機能し、負極集電体22と負極活物質粒子246、および負極活物質粒子246同士をより確実に結合させることができる。そのため、優れた充放電サイクル特性を得ることができる。また、リチウムと合金化しない金属を負極活物質粒子246に被覆することで、金属248が被覆された箇所において充放電反応時の負極活物質粒子246の体積の膨張収縮が抑制される。そのため、負極集電体22からの負極活物質粒子246の剥離や負極活物質粒子246の微粉化が抑制され、優れた充放電サイクル特性を得ることができる。さらに、隣接する負極活物質粒子246の金属248同士が結合し、また、金属248と負極集電体22とが結合することで、金属248により導電性のネットワークが形成される。これにより、負極2における集電性を確保することができる。なお、負極活物質粒子246は、表面の一部が金属248で被覆されており、したがって残りの部分は露出している。そのため、負極活物質粒子246と非水電解質との接触が確保されている。
図2(A)〜図3(A)に示すように、負極活物質層24は、負極活物質層24を構成する粒子の密度が相対的に低い低密度領域242と、当該低密度領域242と層の延在方向に隣接し、負極活物質層24を構成する粒子の密度が相対的に高い高密度領域244とを有する。上述したように、本実施形態では負極活物質粒子246が堆積して負極活物質層24が形成されているため、負極活物質粒子246が負極活物質層24を構成する粒子に相当する。なお、負極活物質層24を構成する粒子には、負極活物質粒子246以外の他の粒子が含まれていてもよい。
また、高密度領域244は、低密度領域242によって複数に分割されている。本実施形態では、図2(A)、図2(B)に示すように、複数の高密度領域244がマトリクス状に配置され、隣り合う高密度領域244の間に低密度領域242が配置されている。言い換えれば、低密度領域242が格子状に配置され、複数の高密度領域244が低密度領域242に囲まれるように配置されている。また、低密度領域242は、少なくとも一部の層厚が高密度領域244の層厚よりも薄い。本実施形態では、低密度領域242のうち、高密度領域244に接する部分がテーパ状であり、高密度領域244から離れるにつれて徐々に層厚が薄くなっている。したがって、格子状に広がる低密度領域242は、格子を構成する各ラインの内側に、ラインの延びる方向に沿って溝が形成された形状となっている。
負極活物質粒子246がシリコン粒子である場合、リチウムイオン二次電池1の充電時におけるリチウムイオンの吸蔵によってシリコン粒子が膨張する。シリコン粒子が膨張すると負極活物質層24自体に応力が生じ、この応力により負極活物質層24が破損してしまうおそれがある。これに対し、本実施形態では、負極活物質層24が低密度領域242と高密度領域244とを有する。低密度領域242は、高密度領域244よりも構成粒子の充填密度が小さいため、シリコン粒子が膨張した場合に、低密度領域242の膨張量は高密度領域244の膨張量よりも小さい。そのため、高密度領域244の体積増加を低密度領域242で吸収することができ、したがって負極活物質層24全体の体積変化を小さくすることができる。その結果、シリコン粒子の体積膨張によって負極活物質層24に生じる応力が低減されるため、負極活物質層24が破損することを防ぐことができる。高密度領域244の層厚は、例えば10μm〜100μmである。低密度領域242の最薄部の層厚、言い換えれば溝の底部における層厚は、例えば5μm〜30μmである。
また、本実施形態では、高密度領域244が複数に分割されている。そのため、シリコン粒子の膨張による高密度領域244の体積増加を、低密度領域242でより効果的に吸収することができる。そのため、負極活物質層24に生じる応力をより効果的に緩和することができる。さらに、本実施形態では、低密度領域242の層厚が高密度領域244の層厚よりも薄いため、高密度領域244の体積増加をより効果的に吸収することができる。これによっても、負極活物質層24に生じる応力をより効果的に緩和することができる。
なお、低密度領域242は、溝を挟んで向かい合う2つのテーパ部の間が分割されていてもよい。言い換えれば、低密度領域242の各ラインに形成された溝の底部が負極集電体22の表面まで到達していてもよい。低密度領域242における低密度領域242の層厚が厚ければ、すなわち負極活物質粒子246の量が多ければ、リチウムイオン二次電池1の高容量化を図ることができる。一方、低密度領域242における負極活物質粒子246の層厚が薄ければ、すなわち負極活物質粒子246の量が少なければ、負極活物質層24に生じる応力をより効果的に緩和することができる。したがって、低密度領域242の層厚は、リチウムイオン二次電池1に求められる容量の大きさと、負極活物質層24の応力緩和性能とに応じて適宜設定することができる。
また、低密度領域242と高密度領域244との面積比についても同様のことがいえ、低密度領域242の面積が小さければ、リチウムイオン二次電池1の高容量化を図ることができる。一方、低密度領域242の面積が大きければ、負極活物質層24に生じる応力をより効果的に緩和することができる。したがって、低密度領域242と高密度領域244との面積比は、リチウムイオン二次電池1に求められる容量の大きさと、負極活物質層24の応力緩和性能とに応じて適宜設定することができる。低密度領域242と高密度領域244との面積比は、例えば0.1:1〜5:1である。
低密度領域242は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真像、あるいは透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)写真像において、単位面積に占める負極活物質層24を構成する粒子の面積の大きさが所定値未満である領域とすることができる。また、高密度領域244は、当該写真像において、単位面積に占める負極活物質層24を構成する粒子の面積の大きさが所定値以上である領域とすることができる。なお、前記「所定値」は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することができる。あるいは、上述の写真像を目視で観察して、相対的に粒子の充填密度が低い領域を低密度領域242、相対的に粒子の充填密度が高い領域を高密度領域244としてもよい。
負極集電体22の厚さ、および負極活物質層24の厚さ(すなわち、高密度領域244の厚さ)は、特に限定されるものではないが、それぞれ例えば10μm〜20μm、10μm〜100μmである。また、負極集電体22と負極活物質層24とを合わせた負極2の厚さは、例えば20μm〜120μmである。負極活物質粒子246の平均粒径は、例えば1μm〜30μmである。
図1に示すように、正極3は、正極集電体32と、正極集電体32の表面に設けられ、正極活物質粒子を含む正極活物質層34とを備える。正極集電体32としては、特に限定されないが、導電性金属箔が好ましく用いられる。この導電性金属箔としては、充放電時に正極3に加わる電位において、非水電解質に溶解せず安定に存在するものであれば制限なく用いることができ、例えばアルミニウム箔を用いることができる。
正極活物質層34に含まれる正極活物質粒子としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiMnO2、LiCo0.5Ni0.5O2、LiNi0.7Co0.2Mn0.1O2などのリチウム含有遷移金属酸化物が例示される。また、この他にも、リチウムを電気化学的に挿入脱離する物質であれば、制限なく用いることができる。
非水電解質の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、これらの環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒を挙げることができる。また、上記環状カーボネートと、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒や、γ−ブチロラクトン、スルホラン、酢酸メチル等の鎖状エステル等との混合溶媒も例示される。
非水電解質の溶質としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiAsF6、LiClO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12など、およびそれらの混合物を挙げることができる。特に、LiXFy(式中、XはP、As、Sb、B、Bi、Al、Ga、またはInであり、XがP、AsまたはSbのときyは6であり、XがB、Bi、Al、Ga、またはInのときyは4である)、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸イミドLiN(CmF2m+1SO2)(CnF2n+1SO2)(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜4の整数である)、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸メチドLiC(CpF2p+1SO2)(CqF2q+1SO2)(CrF2r+1SO2)(式中、p、q及びrはそれぞれ独立して1〜4の整数である)などの溶質が好ましく用いられる。これらの中でも、LiPF6が特に好ましく用いられる。
さらに非水電解質としては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、LiI、Li3Nなどの無機固体電解質を用いることができる。
〔負極の作製〕
続いて、実施形態1に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法について図4(A)〜図4(C)を参照して説明する。図4(A)〜図4(C)は、実施形態1に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法を示す工程断面図である。
続いて、実施形態1に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法について図4(A)〜図4(C)を参照して説明する。図4(A)〜図4(C)は、実施形態1に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法を示す工程断面図である。
負極2は、負極活物質粒子246を分散させた気流を負極集電体22に吹き付けて、負極活物質粒子246を負極集電体22に衝突させ、これにより負極集電体22の表面に負極活物質層24を形成することで作製される。このような粒子を気流とともに吹き付ける方法としては、いわゆるコールドスプレー法を採用することができる。コールドスプレー法は、粒子を高速気流中に分散させ、この高速気流を基板に吹き付けることで粒子を基板に高速で衝突させ、これにより粒子を基板上に付着させる方法である。コールドスプレー法は、材料を固体状態のまま基板に吹き付けることができる。コールドスプレー法では、例えば、300〜500℃程度に加熱した窒素、ヘリウム、空気などのガスをラバルノズル(超音速ノズル)に導入して超音速流にし、その流れの中に粒子を投入して加速させ、固体状態のままで基板に衝突させる。粒子の衝突速度は、500m/秒以上にすることができる。
具体的には、まず、負極活物質粒子246としてのシリコン粒子の表面に、例えば無電解めっき法により銅を被覆して、表面の一部が銅で被覆されたシリコン粒子が用意される。また、負極集電体22として銅箔が用意される。そして、図4(A)に示すように、コールドスプレー装置40を用いて負極活物質粒子246を負極集電体22に吹き付けることで負極2が作製される。
コールドスプレー装置40は、スプレーガン42と、ガス収容部44と、粒子収容部46とを有する。ガス収容部44は、例えば窒素ガスが充填され、スプレーガン42のガス導入口に連結されている。粒子収容部46は、用意した負極活物質粒子246が充填され、スプレーガン42の粒子導入口に連結されている。用意した負極集電体22は、支持板(図示せず)に載置される。支持板に負極集電体22を載置することで、高速気流により吹き付けられた負極活物質粒子246によって負極集電体22が破れることを防ぐことができる。
支持板に載置された負極集電体22は、スプレーガン42のノズル42aに対向するように配置される。また、負極集電体22の表面上には、開口52を有するマスク50が設けられる。マスク50は、ノズル42aと負極集電体22との間に介在するように配置される。本実施形態では、マスク50は格子状あるいは網目状であり、したがって複数の矩形状の開口52がマトリクス状に配置されている。マスク50としては、例えば40メッシュ(目開きは約500μm)の金網等を用いることができる。負極集電体22とマスク50との間の距離は、形成する低密度領域242の層厚等に応じて適宜設定することができる。
この状態で、スプレーガン42のガス導入口から所定圧力の窒素ガスがスプレーガン42内に導入され、また、スプレーガン42の粒子導入口から、スプレーガン42内に負極活物質粒子246が導入される。負極活物質粒子246は、スプレーガン42内で高速気流となった窒素ガスにより加速され、高速気流とともにノズル42aから噴射されて、マスク50が設けられた側の負極集電体22の表面に吹き付けられる。
ノズル42aから噴射された負極活物質粒子246は、マスク50の開口52を通過して負極集電体22の表面に衝突し、負極集電体22に接着される。また、負極活物質粒子246は、負極集電体22に既に接着されている負極活物質粒子246に衝突し、負極活物質粒子246同士が互いに接着される。スプレーガン42は、ロボットアーム(図示せず)の先端に取り付けられており、負極集電体22の表面上を走査される。これにより、負極集電体22の所定領域に負極活物質粒子246が堆積して負極活物質層24が形成される。
図4(B)に示すように、開口52に噴射された負極活物質粒子246は開口52を通過して負極集電体22の表面に到達するが、マスク50に噴射された負極活物質粒子246、すなわち、マスク50を構成する細線部分に噴射された負極活物質粒子246は、マスク50に遮られて負極集電体22の表面に到達することができない。また、開口52を通過した負極活物質粒子246のうち、開口52の周縁を通過した負極活物質粒子246は、その一部がマスク50を構成する細線の裏側に回り込んで負極集電体22の表面に付着する。
この細線の裏側に回り込んで負極集電体22に付着する負極活物質粒子246は、細線の裏側に回り込む分、運動エネルギーが減少する。そのため、この負極活物質粒子246が堆積して形成された層は、ノズル42aから負極集電体22に直線的に到達した負極活物質粒子246が堆積して形成された層に比べて粒子の充填密度が小さくなる。これにより、図4(C)に示すように、自身を構成する粒子の密度が相対的に高い高密度領域244を開口52に対応する位置に有し、自身を構成する粒子の密度が相対的に低い低密度領域242をマスク50に対応する位置に有する負極活物質層24を形成することができる。
負極活物質層24の形成後、マスク50は除去される。以上の工程により、負極2を製造することができる。
図5は、マスクを用いて形成された負極活物質層のSEM写真像(上面斜視像)である。図5に示すSEM写真像からも、マスク50を用いて負極活物質層24を形成した場合には、開口52に対応する位置に低密度領域242が形成され、マスク50に対応する位置に高密度領域244が形成されることを確認することができた。
図6(A)は、マスクを用いずに形成された負極活物質層の光学顕微鏡写真像であり、図6(B)は、マスクを用いて形成された負極活物質層の光学顕微鏡写真像であり、図6(C)は、図6(A)のB−B線に沿った断面の模式図であり、図6(D)は、図6(B)のC−C線に沿った断面の模式図である。
コールドスプレー法では、負極活物質粒子246を負極集電体22に高速で吹き付けて、負極集電体22の表面に衝突させて成膜している。よって、形成された負極活物質層24の内部において負極活物質粒子246が圧縮された状態となる。そのため、負極活物質層24は、内部に応力が溜まった状態で形成される。そして、負極活物質層24は、この応力によって変形してしまうおそれがある。負極活物質層24が変形する際、負極集電体22の剛性が比較的高いと負極活物質層24が破損してしまう場合があり、負極集電体22の剛性が比較的低いと負極活物質層24とともに負極集電体22が変形してしまう場合がある。図6(A)および図6(C)に示す試験結果では、負極活物質層24の持つ応力によって負極活物質層24および負極集電体22が反り上がってしまっている。
これに対し、マスク50を用いて低密度領域242と高密度領域244とを有する負極活物質層24を形成した場合、低密度領域242は粒子の充填密度が相対的に小さいため、成膜にともなう応力を低密度領域242において小さくすることができる。したがって、低密度領域242を設けることで、成膜にともなう負極活物質層24全体の応力を緩和することができる。その結果、負極活物質層24の変形を防ぐことができる。また、高密度領域244が複数に分割されているため、この応力をより効果的に緩和することができる。さらに、低密度領域242の層厚を高密度領域244の層厚よりも薄いため、この応力をより効果的に緩和することができる。図6(B)および図6(D)に示すように、マスク50を用いた場合、負極活物質層24および負極集電体22の反りが抑制されている。
なお、本実施形態では網目状の低密度領域242を形成しているが、低密度領域242の形状はこれに限定されない。図6(A)の光学顕微鏡写真像は、コールドスプレー装置40のスプレーガン42を写真像における左右方向(図6(A)の矢印Xで示す方向)に走査して形成した負極活物質層24のものである。図6(A)および図6(C)から、負極活物質層24および負極集電体22が、スプレーガン42の走査方向に対して垂直に大きく縮んでいることが分かる。したがって、スプレーガン42の走査方向と略同一の方向、あるいは負極活物質層24および負極集電体22が縮む方向と交わる方向に延びる低密度領域242を形成することで、負極活物質層24の変形を効率的に抑制することができると考えられる。
従来のリチウムイオン二次電池では、シリコン粒子と、シリコン粒子同士を接着するためのバインダと、金属粒子や導電性高分子などの導電助剤をスラリー状にして負極集電体22の表面に塗布することで負極活物質層24を形成していた。この場合、負極集電体22と負極活物質層24との密着性が不十分となるおそれがあった。これに対し、本実施形態では、負極活物質粒子246を負極集電体22あるいは負極活物質粒子246に高速で衝突させることによりこれらを互いに接着させて、負極集電体22の表面に負極活物質層24を形成している。そのため、より強固な負極活物質層24を形成することができ、また、負極集電体22と負極活物質層24との密着性を高めることができる。
さらに、上述のように、負極集電体22が延性および/または展性を有する銅で形成されているため、負極活物質粒子246が負極集電体22の表面に衝突する際の衝撃力で、負極集電体22の表面が塑性変形して負極活物質粒子246を受け止める。また、負極活物質粒子246は、表面が銅で被覆されているため、負極活物質粒子246同士が衝突した際に、負極活物質粒子246の表面の銅が塑性変形して互いを受け止める。したがって、さらにより強固な負極活物質層24を形成することができ、また、負極集電体22と負極活物質層24との密着性をより高めることができる。
また、本実施形態のようにコールドスプレー法を用いて負極活物質層24を形成した場合には、スラリー等を作製することなく負極2を製造することができるため、従来に比べ製造工程を簡略化することができ、負極2の生産性を高めることができる。また、コールドスプレー法によれば、負極集電体22の表面に負極活物質粒子246を直接的に接着させることができるので、電極反応に直接には関与しないバインダ等を負極2に含有させる必要がない。そのため、負極2における集電性を高めることができ、負極活物質粒子246の利用率を向上させることができる。
なお、本実施形態では、無電解めっき法により負極活物質粒子246の表面に金属248を被覆しているため、負極活物質粒子246の表面全体が金属248で覆われる。全体が金属248で覆われた負極活物質粒子246は、スプレーガン42のノズル42aから高速で噴射されると、気流中での他の負極活物質粒子246との衝突や高速で噴射されること自体により金属248の一部が剥離し得る。あるいは、負極活物質粒子246が負極集電体22の表面に到達して負極集電体22や他の負極活物質粒子246と衝突することによっても金属248の一部が剥離し得る。そのため、負極活物質層24において、負極活物質粒子246は、表面の一部が露出した状態で存在し、非水電解質と接触することができる。
〔正極の作製〕
例えば、出発原料としてLi2CO3およびCoCO3を用い、Li:Coの原子比が1:1となるように秤量して乳鉢で混合し、これを金型でプレスして加圧成形した後、空気中において焼成し、LiCoO2の焼成体を作製する。これを乳鉢で粉砕し、得られたLiCoO2の粉末と導電剤としての人口黒鉛粉末を、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを含むN−メチルピロリドン溶液に混合し、正極合剤スラリーとする。この正極合剤スラリーを、正極集電体32としてのアルミニウム箔の上に塗布し、乾燥した後圧延して、正極3とする。
例えば、出発原料としてLi2CO3およびCoCO3を用い、Li:Coの原子比が1:1となるように秤量して乳鉢で混合し、これを金型でプレスして加圧成形した後、空気中において焼成し、LiCoO2の焼成体を作製する。これを乳鉢で粉砕し、得られたLiCoO2の粉末と導電剤としての人口黒鉛粉末を、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを含むN−メチルピロリドン溶液に混合し、正極合剤スラリーとする。この正極合剤スラリーを、正極集電体32としてのアルミニウム箔の上に塗布し、乾燥した後圧延して、正極3とする。
〔非水電解質の作製〕
例えば、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの等体積混合溶媒に、LiPF6を溶解したものを非水電解質とする。
例えば、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの等体積混合溶媒に、LiPF6を溶解したものを非水電解質とする。
〔電池の作製〕
上述のようにして作製された負極2と正極3との間にセパレータ4を配置して、負極2、正極3、およびセパレータ4からなる積層体を形成し、この積層体を負極缶5内に配置する。そして、負極缶5内に非水電解質を注入し、正極缶6が連結された絶縁パッキング7を負極缶5内に圧入して、負極缶5、正極缶6、および絶縁パッキング7により積層体および非水電解質を封止する。以上の工程により、リチウムイオン二次電池1を製造することができる。
上述のようにして作製された負極2と正極3との間にセパレータ4を配置して、負極2、正極3、およびセパレータ4からなる積層体を形成し、この積層体を負極缶5内に配置する。そして、負極缶5内に非水電解質を注入し、正極缶6が連結された絶縁パッキング7を負極缶5内に圧入して、負極缶5、正極缶6、および絶縁パッキング7により積層体および非水電解質を封止する。以上の工程により、リチウムイオン二次電池1を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る負極2は、負極集電体22の表面に設けられた負極活物質層24が、自身を構成する粒子の密度が相対的に低い低密度領域242と、低密度領域242と面方向に隣接し、当該粒子の密度が相対的に高い高密度領域244とを有する。このように、低密度領域242を設けることで、リチウムイオン吸蔵時の負極活物質粒子246の膨張による負極活物質層24の体積増大を低密度領域242で吸収することができるため、負極活物質層24に生じる応力を低減することができる。また、負極活物質粒子246の吹き付けにより形成された負極活物質層24が有する応力を、低密度領域242において緩和することができる。したがって、負極活物質層24の破損を防ぐことができるため、リチウムイオン二次電池1の製品信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る負極2の製造方法では、負極集電体22の表面上にマスク50を配置し、マスク50を介して負極活物質粒子246を負極集電体22に吹き付けている。そして、開口52に対応する位置に高密度領域244を有し、マスク50に対応する位置に低密度領域242を有する負極活物質層24を形成している。そのため、簡単に低密度領域242と高密度領域244とを有する負極活物質層24を備えた負極2を形成することができる。
(実施形態2)
実施形態2に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法は、金属248が被覆された負極活物質粒子246を負極集電体22に吹き付ける前に、負極活物質粒子246を部分的に露出させることを特徴とするものである。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。図7は、実施形態2に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法を示す工程断面図である。
実施形態2に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法は、金属248が被覆された負極活物質粒子246を負極集電体22に吹き付ける前に、負極活物質粒子246を部分的に露出させることを特徴とするものである。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。図7は、実施形態2に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法を示す工程断面図である。
上述した、ケイ素粉末をガスデポジション法により集電体上に堆積させる従来の方法では、充放電サイクル特性の向上を目的として、ケイ素粉末の表面にルテニウムを被覆していた。ケイ素粉末にルテニウムが被覆されると、ルテニウムが被覆された部分はリチウムイオンとの反応が抑制される。そのため、この部分におけるケイ素粉末のリチウムイオン吸蔵放出にともなう体積変化を抑制することができ、これにより充放電サイクル特性を向上させることができる。
しかしながら、従来の方法では、無電解めっき法によってケイ素粉末にルテニウムを被覆していたため、ケイ素粉末の表面全体がルテニウムで被覆されてしまっていた。この場合、ガスデポジション法によりケイ素粉末が集電体表面に吹き付けられる際に、ケイ素粉末同士の衝突などでルテニウムの一部が剥がれるため、ケイ素粉末の表面の一部を露出させて非水電解質とケイ素粉末との接触を確保することができる。しかしながら、この方法ではケイ素粉末表面の露出量を調節することが困難であるため、リチウムイオン二次電池の充放電特性の向上を図る上で改善の余地があった。
これに対し本実施形態では、図7に示すように、負極活物質粒子246を負極集電体22に吹き付ける前に、金属248の一部を除去することにより負極活物質粒子246を部分的に露出させる。または、負極活物質粒子246を分割(粉砕)することにより、負極活物質粒子246を露出させる。もしくは、金属248の一部除去と負極活物質粒子246の分割とを組み合わせて、負極活物質粒子246を露出させてもよい。
金属248の一部除去、あるいは負極活物質粒子246を分割する方法としては、例えばビーズミルやジェットミルなどの乾式粉砕法や、ナノマイザーなどの湿式粉砕法を採用することができる。
そして、このようにして表面の一部が金属248に被覆され、残りの部分が露出した負極活物質粒子246を、コールドスプレー法などにより負極集電体22の表面に吹き付けて負極活物質層24を形成する。これにより、負極活物質粒子246同士の接着、負極活物質粒子246の微粉化の抑制、負極活物質層24における導電性の確保といった金属248の被覆による効果を発揮させる一方で、より確実に負極活物質粒子246と非水電解質とを接触させることができ、また負極活物質粒子246と非水電解質との接触量を増やすことができる。よって、リチウムイオン二次電池の充放電特性を向上させることができる。
なお、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用負極の製造方法の特徴である、吹き付け前の負極活物質粒子246の露出処理は、マスク50を用いて低密度領域242と高密度領域244とを形成する実施形態1に係る方法と組み合わせることができる。この場合には、上述した低密度領域242の形成による効果と、吹き付け前の負極活物質粒子246の露出による効果とを奏することができる。一方で、本実施形態の特徴である吹き付け前の負極活物質粒子246の露出処理は、実施形態1に係る方法と組み合わせることなく単独で実施することもできる。この場合にも、吹き付け前の負極活物質粒子246の露出による効果を奏することができる。
(実施形態3)
実施形態3に係るリチウムイオン二次電池用負極は、負極活物質層24が負極活物質粒子246よりも空孔率の大きい多孔質粒子を含むことを特徴とするものである。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。図8は、実施形態3に係るリチウムイオン二次電池用負極の構成を示す概略断面図である。
実施形態3に係るリチウムイオン二次電池用負極は、負極活物質層24が負極活物質粒子246よりも空孔率の大きい多孔質粒子を含むことを特徴とするものである。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。図8は、実施形態3に係るリチウムイオン二次電池用負極の構成を示す概略断面図である。
負極活物質層24は、複数の負極活物質粒子246が堆積して形成された層である。そのため、層内部の負極活物質粒子246は、非水電解質と接触しにくく、これによりリチウムイオンと反応しにくかった。したがって、リチウムイオン二次電池の充放電特性の向上を図る上で改善の余地があった。
これに対し、本実施形態では、負極活物質層24が負極活物質粒子246よりも空孔率の大きい多孔質粒子60を含んでいる。多孔質粒子60は内部に多数の空孔を有し、この空孔内に非水電解質を浸透させることができる。そのため、負極活物質層24において、多孔質粒子60を非水電解質のパスとして用いることができる。これにより、非水電解質を負極活物質層24の内部にまで浸透させることができるため、負極活物質粒子246の利用率が向上し、負極活物質層24全体における充電時のリチウムイオン吸蔵量が増大する。よって、負極2の充放電特性を向上させることができる。
多孔質粒子60としては、ポーラスシリコン粒子、タンタル(Ta)やニオブ(Nb)などの金属一次粒子が複数結合してなる金属二次粒子、あるいはそれらの組み合わせ等を挙げることができる。多孔質粒子60の空孔率は、例えば40〜70%である。また、多孔質粒子60は、例えば負極活物質粒子246としてのシリコン粒子の約2〜3倍の大きさであり、多孔質粒子60の平均粒径は、例えば10μm〜30μmである。また、多孔質粒子60が金属二次粒子である場合、金属一次粒子の平均粒径は、例えば0.1μm〜1.0μmである。
負極活物質層24は、含まれる多孔質粒子60が多ければ非水電解質の浸透性が向上する。一方、負極活物質粒子246が多ければ、すなわち多孔質粒子60が少なければリチウムイオン吸蔵放出量が増大する。したがって、負極活物質粒子246と多孔質粒子60との含有比は、負極活物質層24の浸透性とリチウムイオン吸蔵放出量とに応じて適宜設定することができる。
多孔質粒子60を含む負極活物質層24の形成は、実施形態1および2と同様にコールドスプレー法を用いて実施することができる。この場合、負極活物質粒子246と多孔質粒子60との混合粒子を粒子収容部46に充填し、あとは実施形態1と同様にして、マスク50を配置した負極集電体22の表面に混合粒子を吹き付けて負極活物質層24を形成することができる。また、実施形態2を組み合わせることも可能であり、多孔質粒子60と混合する負極活物質粒子246は、金属248の一部除去および負極活物質粒子246の分割の少なくとも一方による負極活物質粒子246の露出処理が施されたものであってもよい。
あるいは、本実施形態の特徴である負極活物質層24への多孔質粒子60の充填は、実施形態1あるいは2と組み合わせることなく単独で実施することもできる。この場合も、負極活物質層24に多孔質粒子60を含ませたことによる効果を奏することができる。なお、多孔質粒子60を含む負極活物質層24は、従来公知のスラリー塗布法等を用いて形成することもできる。この場合、負極活物質層24は、負極活物質粒子246と、多孔質粒子60と、バインダと、導電助剤等をスラリー状にして負極集電体22の表面に塗布することで形成される。
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
リチウムイオン二次電池1の形状は、図1に示されたものに限定されず、例えば、負極2、正極3、およびセパレータ4が積層された状態でスパイラル状に巻回されて、外装体に収納された形状であってもよい。
1 リチウムイオン二次電池、 2 負極、 3 正極、 22 負極集電体、 24 負極活物質層、 50 マスク、 52 開口、 60 多孔質粒子、 242 低密度領域、 244 高密度領域、 246 負極活物質粒子、 248 金属。
Claims (7)
- 集電体と、
負極活物質粒子を含み、前記集電体の表面に設けられた活物質層と、を備え、
前記活物質層は、活物質層を構成する粒子の密度が相対的に低い低密度領域と、当該低密度領域と層の延在方向に隣接し、活物質層を構成する粒子の密度が相対的に高い高密度領域とを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。 - 前記高密度領域は、前記低密度領域によって複数に分割されている請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記低密度領域は、少なくとも一部の層厚が前記高密度領域の層厚よりも薄い請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記負極活物質粒子は、表面の一部が金属で被覆されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、
リチウムイオン二次電池用正極と、
非水電解質と、
を備えたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 集電体の表面上に、開口を有するマスクを設ける工程と、
前記マスクが設けられた側の集電体の表面に負極活物質粒子を吹き付けて、自身を構成する粒子の密度が相対的に高い高密度領域を前記開口に対応する位置に有し、自身を構成する粒子の密度が相対的に低い低密度領域を前記マスクに対応する位置に有する活物質層を形成する工程と、
を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。 - 前記負極活物質粒子を前記集電体に吹き付ける前に、前記負極活物質粒子の表面を金属で被覆する工程と、
前記負極活物質粒子を前記集電体に吹き付ける前に、前記金属の一部除去および前記負極活物質粒子の分割の少なくとも一方により、前記負極活物質粒子を露出させる工程と、
を含む請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用負極の製造方法。
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