JP2012047747A - バイオセンサー装置、及びそれを用いた濃度測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流路を有し、流路中に繊維状物質からなると共に、液体の被測定試料を通液可能な膜状担体13が固定されている測定用セルと、測定用セルを装着可能なセルホルダと、セルホルダに装着された測定用セル中の前記膜状担体13に対し、流路を通して光を照射する光照射部30と、膜状担体13からの透過光を流路を通して受光し、受光した光量を測定する受光部40と、測定用セルに着脱可能に接続され、流路に液体の被測定試料を供給して膜状担体13に均一に通液させる通液手段と、を備えるバイオセンサー装置である。
【選択図】図3
Description
しかしながら、前記ELISA法では、被験物質の検出に特殊な機器を必要としたり、試料の前処理や測定に長時間を要したりする等の問題点がある。このため、操作が簡単なイムノクロマト法が提案されている。
このため、通常ELISA法、及びイムノクロマト法を代表とするイムノアッセイの殆どの場合が、サンドイッチ法ではなく、競合法を採用している。
また、競合法には、前記被験物質を検出する際に、担体上に前記低分子化合物又は前記低分子化合物に対する類似化合物を固定し、被験物質と抗体の結合溶液を担体と接触させる場合もある。しかし、この場合にも、抗体が液中の被験物質と担体上の低分子化合物又は前記低分子化合物に対する類似化合物とに競合的に結合するため、本来の抗体の有する結合能力までの検出感度が得られにくい。
<1> 液体の被測定試料を通液可能な膜状担体を備える測定用セルと、
前記測定用セルを装着可能なセルホルダと、
前記セルホルダに装着された前記測定用セル中の前記膜状担体に対し、光を照射する光照射部と、
前記膜状担体からの反射光及び透過光の少なくともいずれかを受光し、受光した光量を測定する受光部と、
を備えることを特徴とするバイオセンサー装置である。
<2> 測定用セルが、流路を有し、該流路中に膜状担体が固定されてなる前記<1>に記載のバイオセンサー装置である。
<3> 膜状担体が、繊維状物質からなる前記<1>から<2>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<4> 膜状担体が、被験物質、及びそのアナログ、並びに被験物質に対する抗体の少なくともいずれかが固定されてなる前記<1>から<3>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<5> 受光部により受光した光量を、電気信号の信号強度として計測可能な測定手段を備える前記<1>から<4>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<6> 光照射部が、膜状担体に単色光を照射する前記<1>から<5>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<7> 光照射部が、複数の単色光からなる光を発光させる光源と、複数の単色光からなる光から、一の単色光のみを選択可能な単色光選択部とを備え、
前記単色光選択部によって選択された一の単色光を膜状担体に照射する前記<1>から<5>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<8> 光照射部が、膜状担体に複数の単色光からなる光を照射し、
受光部が、複数の単色光からなる光から、一の単色光のみを選択可能な単色光選択部を備え、前記膜状担体からの反射光及び透過光の少なくともいずれかのうち、前記単色光選択部によって選択された一の単色光を受光する前記<1>から<5>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<9> 光照射部が、互いに異なる単色光を発光する二以上の光源と、一の単色光のみを選択可能な単色光選択部とを備え、
前記二以上の光源から発光された二以上の単色光のうち、前記単色光選択部により選択された一の単色光を膜状担体に照射する前記<1>から<5>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<10> 光照射部と受光部との間に反射筒を備え、
前記反射筒が、膜状担体を内包するように光照射部から照射される光の照射方向に貫通し、その内面が前記膜状担体からの反射光を反射する前記<1>から<9>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<11> 被測定試料の測定により得られた光量と、基準試料の測定により得られた光量とから相対吸光度を計算する相対吸光度計算手段を備える前記<1>から<10>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<13> 通液手段が、液体の被測定試料を加圧して膜状担体へ通液する手段である前記<12>に記載のバイオセンサー装置である。
<14> 繊維状物質が、綿、絹、麻、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ナイロン、及びポリオレフィンのいずれかである<3>から<13>のいずれかに記載のバイオセンサー装置である。
<16> 被測定試料を通液した後の測定用セルをセルホルダに装着し、前記セルホルダに装着された前記測定用セル中の膜状担体に対し、光照射部から光を照射し、受光部で前記膜状担体からの反射光及び透過光の少なくともいずれかを受光し、受光した光量を測定する前記<15>に記載の濃度測定方法である。
<17> 被験物質Xに対する抗体Yを固定化した膜状担体に、
前記被験物質Xを標識物質で標識されてなる標識被験物質X’を添加した被測定試料を通液し、
前記膜状担体上の前記抗体Yに対し、前記被測定試料中の被験物質Xと、前記標識被験物質X’とを反応させ、
前記膜状担体上の前記抗体Yに結合した前記標識被験物質X’の量を、前記膜状担体の反射光量及び透過光量のいずれかとして検出し、該反射光量及び透過光量のいずれかから、前記被験物質Xと前記標識被験物質X’との反応の度合いを求め、
該反応の度合いから、前記被測定試料中の被験物質Xの濃度を算出する前記<15>から<16>の濃度測定方法である。
<18> 被験物質X及び該被験物質のアナログZのいずれかを固定化した膜状担体に、
前記被験物質Xに対する抗体であって標識物質で標識されてなる標識抗体Yを添加した被測定試料を通液し、
前記膜状担体上の前記被験物質X及び前記被験物質のアナログZのいずれかに対し、前記被測定試料中の前記被験物質Xと結合していない前記標識抗体Yを結合させ、
前記標識抗体Yの量を、前記膜状担体の反射光量及び透過光量のいずれかとして検出し、該反射光量及び透過光量のいずれかから、前記被測定試料中の前記被験物質Xの濃度を算出する前記<15>から<16>のいずれかに記載の濃度測定方法である。
<19> 被験物質X及び該被験物質のアナログZのいずれかを固定化した膜状担体に、
前記被験物質に対する抗体Yを添加した被測定試料を通液し、
前記膜状担体上の前記被験物質X及び前記被験物質のアナログZのいずれかに対し、前記被測定試料中の前記被験物質Xと結合していない前記抗体Yを結合させ、
前記抗体Yに、該抗体Yに対する二次抗体であって標識物質で標識されてなる標識抗体Y’を結合させ、
前記標識抗体Y’の量を、前記膜状担体の反射光量及び透過光量のいずれかとして検出し、該反射光量及び透過光量のいずれかから、前記被測定試料中の前記被験物質Xの濃度を算出する前記<15>から<16>のいずれかに記載の濃度測定方法である。
<20> 標識物質が酵素、放射性同位元素、蛍光物質、及び着色微粒子、並びにこれらにより標識された抗体のいずれかである前記<15>から<19>のいずれかに記載の免疫反応測定方法である。
<21> 被験物質が、PCB、ダイオキシン、ホルモン、ビタミン類、農薬、及び重金属のいずれかである前記<15>から<20>のいずれかに記載の免疫反応測定方法である。
<22> 被験物質がPCBであり、下記構造式(1)で表される擬似抗原を固定化した膜状担体に、抗PCB抗体を添加した被測定試料を通液し、
前記膜状担体上の前記擬似抗原に対し、前記被測定試料中のPCBと結合していない前記抗PCB抗体を結合させた後、
前記抗PCB抗体に対する二次抗体であって、標識物質で標識されてなる二次抗体を結合させ、
前記二次抗体の標識物質の量を、前記膜状担体の反射光量及び透過光量のいずれかとして検出し、該反射光量及び透過光量のいずれかから、前記被測定試料中のPCBの濃度を算出する前記<15>から<21>のいずれかに記載の濃度測定方法である。
本発明のバイオセンサー装置は、液体の被測定試料を通液可能な膜状担体を備える測定用セルと、前記測定用セルを装着可能なセルホルダと、前記セルホルダに装着された前記測定用セル中の前記膜状担体に対し、光を照射する光照射部と、前記膜状担体からの反射光及び透過光の少なくともいずれかを受光し、受光した光量を測定する受光部と、を備え、必要に応じて適宜選択した測定手段、通液手段、相対吸光度測定手段等のその他の手段を備える。
前記バイオセンサー装置は、例えば、図2に平面図及び断面図を示すような、液体の被測定試料の流路12及び前記被測定試料を通液可能な膜状担体13を備える測定用セル10と、前記測定用セル10を装着可能なセルホルダ21と、前記セルホルダ21に装着された前記測定用セル10中の前記膜状担体13に対し、光を照射する光照射部30と、前記膜状担体からの反射光及び透過光の少なくともいずれかを受光し、受光した光量を測定する受光部14とを備え、光照射部12及び受光部14を遮光状態で収容するハウジング20を備えているものが挙げられる。
前記測定用セルとしては、液体の被測定試料を通液可能な膜状担体を備える限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記流路としては、少なくとも前記液体の被測定試料が通過可能である限り特に制限はなく、いわゆる開口部であってもよい。
前記膜状担体としては、前記測定用セル中に備えられ、前記液体の被測定試料を通液可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、繊維状物質からなることが好ましく、前記被験物質及び前記補足用物質のいずれかが固定化されてなることが好ましい。
前記繊維状物質からなる前記膜状担体としては、例えば、織物、編物、不織布、並びにファイバやフィラメントを一定容積内に充填して膜状としたもの、及び単に絡合させて膜状としたものなどが挙げられる。
前記膜状担体における前記繊維状物質の厚み、及び密度としては、対象となる被測定試料の粘度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、均一な流速および高い固定化効率を得るためには例えば50〜200cm3/cm2/sec程度の通気性を得られる密度に調整することが好ましい。
また、前記被測定試料を前記繊維状物質からなる前記膜状担体に通液させることにより、前記膜状担体に固定化された擬似抗原に対し、抗体を累積的に結合させることができ、測定感度を高めることができる。
前記光照射部としては、少なくとも光源を備え、前記測定セル中の前記膜状担体に光を照射可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、必要に応じて選択する単色光を変更可能な前記単色光選択部を備える。
このようにして、前記膜状担体に照射する光を単色光とし、さらにその単色光を他の単色光に変更することにより、前記被測定試料中の二以上の発色物質の反射光量又は透過光量を測定することができる。
前記受光部としては、前記光照射部から前記膜状担体に照射された光のうち、前記膜状担体からの反射光及び透過光のいずれかを受光し、受光した光量を測定可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、必要に応じて選択する単色光を変更可能な前記単色光選択部を備える。
このようにして、受光する光を単色光とし、さらにその単色光を他の単色光に変更することにより、前記被測定試料中の二以上の発色物質の反射光量又は透過光量を測定することができる。
前記測定手段は、前記受光部と接続され、前記受光部により受光した光量を、電気信号の信号強度として変換し、出力する。
前記反射筒は、前記膜状担体を内包するように光照射部から照射される光の照射方向に貫通し、その内面が前記膜状担体からの反射光を反射するように構成されており、前記膜状担体により反射された光を収束することができるため、該反射筒を備えることにより、測定感度が向上する。
前記測定用セルは、該測定用セルに着脱可能に接続された通液手段により、被測定試料が前記膜状担体に通液されることが好ましい。
前記通液手段により被測定試料が通液された後、前記測定用セルは前記バイオセンサー装置中のセルホルダに設置される。
前記通液手段は、前記バイオセンサーに備えられていることが好ましい。
本発明の濃度測定方法は、本発明のバイオセンサー装置を用い、前記被測定試料中の前記被験物質を定量する方法である。
前記被測定試料は液体であり、被測定試料を通液した後の測定用セルをセルホルダに装着し、前記セルホルダに装着された前記測定用セル中の膜状担体に対し、光照射部から光を照射し、受光部で前記膜状担体からの反射光及び透過光の少なくともいずれかを受光し、受光した光量を測定することにより、前記被測定試料中の前記被験物質を定量することが好ましい。
前記膜状担体は、擬似抗原等を高密度に固定することができ、さらに前記被測定試料中の前記被験物質を累積して結合させる効果が得られるため、前記被検試料が低濃度であっても、濃縮等の処理を行うことなく測定することができる。
前記濃度測定方法の第一の態様は、被験物質Xに対する抗体Yを固定化した膜状担体に、前記被験物質Xを標識物質で標識されてなる標識被験物質X’を添加した被測定試料を通液し、前記膜状担体上の前記抗体Yに対し、前記被測定試料中の被験物質Xと、前記標識被験物質X’とを反応させ、前記膜状担体上の前記抗体Yに結合した前記標識被験物質X’の量を、前記膜状担体の反射光量及び透過光量のいずれかとして検出し、該反射光量及び透過光量のいずれかから、前記被験物質Xと前記標識被験物質X’との反応の度合いを求め、該反応の度合いから、前記被測定試料中の被験物質Xの濃度を算出する方法である。
前記濃度測定方法の第二の態様は、被験物質X及び該被験物質のアナログZのいずれかを固定化した膜状担体に、前記被験物質Xに対する抗体であって標識物質で標識されてなる標識抗体Yを添加した被測定試料を通液し、前記膜状担体上の前記被験物質X及び前記被験物質のアナログZのいずれかに対し、前記被測定試料中の前記被験物質Xと結合していない前記標識抗体Yを結合させ、前記標識抗体Yの量を、前記膜状担体の反射光量及び透過光量のいずれかとして検出し、該反射光量及び透過光量のいずれかから、前記被測定試料中の前記被験物質Xの濃度を算出する方法である。
前記濃度測定方法の第三の態様は、被験物質X及び該被験物質のアナログZのいずれかを固定化した膜状担体に、前記被験物質に対する抗体Yを添加した被測定試料を通液し、前記膜状担体上の前記被験物質X及び前記被験物質のアナログZのいずれかに対し、前記被測定試料中の前記被験物質Xと結合していない前記抗体Yを結合させ、前記抗体Yに、該抗体Yに対する二次抗体であって標識物質で標識されてなる標識抗体Y’を結合させ、前記標識抗体Y’の量を、前記膜状担体の反射光量及び透過光量のいずれかとして検出し、該反射光量及び透過光量のいずれかから、前記被測定試料中の前記被験物質Xの濃度を算出する方法である。
前記標識物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ペルオキシターゼ、アルカリフォスファターゼ、チロシナーゼ、ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、グルコースオキシダーゼ等の酵素、I125、I131、H3等の放射性同位体、テトラメチルローダミン、ユーロピウムキレート、フルオレセインなどのイソシアネ―ト誘導物質等の蛍光物質、アクリジニウムエステル、アクリジニウムスルホン酸、ルシフェリン、NADオキシドレダクターゼ、ルシゲニン、ロシフィン、金コロイド、セレンコロイド、着色ラテックス、磁性微粒子等の着色微粒子、ピペリジン−N−オキシド誘導体、ピロリヂン−N−オキシド誘導体、オキサゾリジン−N−オキシド誘導体のようなフリーラジカルを示す物質などが挙げられ、これらの中でも酵素、放射性同位元素、蛍光物質、及び着色微粒子、並びにこれらにより標識された抗体が好ましく、着色微粒子、及び着色微粒子により標識された抗体がより好ましい。
これらの中でも、着色により変化する前記膜状担体の透過光量を測定する方法が好ましい。
まず、ある濃度の前記標識抗体Y’を前記膜状担体上に結合させた場合の信号強度(ブランク、例えば「F0」とする)を測定しておく。次に、前記ブランク測定時と同じ濃度の前記抗体Yを添加した被測定試料を、前記膜状担体に供給し、未結合の前記標識抗体Y’を前記膜状担体上に結合させた場合の信号強度(例えば、「F1」とする)を測定する。
ここで、前記被測定試料中に被験物質Xが存在するとき、前記標識抗体Y’は前記被測定試料中の被験物質Xと結合するため、前記膜状担体上に結合する未結合の前記標識抗体Y’の量は少なくなる。したがって、信号強度がF1<F0となるとき、前記被測定試料中に被験物質Xが存在すると判断することができ、F1の低下割合が、前記被測定試料中に含まれる前記被験物質Xの量と相関関係を有するため、既知の濃度の被験物質Xを用い、予め検量線を作成しておくことにより、F1の低下割合に応じて前記被験物質Xの定量を行うことができる。
前記濃度測定方法による本発明のPCB濃度測定方法は、下記構造式(1)で表される擬似抗原を固定化した膜状担体に、抗PCB抗体を添加した被測定試料を通液し、前記膜状担体上の前記擬似抗原に対し、前記被測定試料中のPCBと結合していない前記抗PCB抗体を結合させた後、前記抗PCB抗体に対する二次抗体であって、標識物質で標識されてなる二次抗体を結合させ、前記二次抗体の標識物質の量を、前記膜状担体の反射光量及び透過光量のいずれかとして検出し、該反射光量及び透過光量のいずれかから、前記被測定試料中のPCBの濃度を算出する方法である。
−膜状担体の調製−
ポリオレフィン繊維からなる不織布(厚み3.3mm)を、直径5mmの円形に切り出し、前記膜状担体とした。
前記膜状担体10枚を、擬似抗原としてビタミン−牛血清アルブミンの複合体を100μg/mLの濃度で含む生理食塩水30mLに入れ、一昼夜(14時間)振とうした。次いで、牛血清アルブミンを10mg/mLとなるように添加し、2時間振とうした。
擬似抗原(ビタミン−牛血清アルブミン)を固定化した膜状担体フィルターは、生理食塩水で洗浄した後、前記測定用セルに設置した。
前記測定用セルには直径3mmの孔部があり、該孔部に接続した注射器等の通液手段から、前記被測定試料を供給し、通液させることができる。
抗ビタミン抗体(生化学工業社製)を、牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水に0.8nM程度に溶解して抗体溶液を調製した。
粉末状ビタミン(和光純薬工業社製)を、牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水に溶解してビタミン溶液を調製した。
前記抗体溶液を1mL分取し、ここにビタミン溶液(1g/mL)を牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水で希釈して添加し、0.001μM、0.1μM、10μM、100μMの計5種の濃度の被測定試料を調製した。基準液として、ビタミンを含まない被測定試料も調製した。
調製した前記被測定試料1mLを注射器にとり、0.2mL/minで前記測定用セル中に注射器からポンプによって一定流速で供給し、前記測定セル内の前記膜状担体に通液させた。
次いで、0.6mL/minで牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水に1mLを通液した後、牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水に2nMの濃度で溶解した金コロイド標識二次抗体溶液の1mLを0.2mL/minで通液した。最後に、0.6mL/minで牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水に1mLを通液して、前記膜状担体からの透過光量を測定した。
なお、前記膜状担体に対し、発光ダイオードの光を照射した。
受光した透過光量は、電気信号の信号強度として計測され、基準液による透過光量に対する信号強度を100として、各濃度の被測定試料における透過光量に対する信号強度の割合を算出し、前記被測定試料中のビタミン濃度との相関を求めた。捕捉される抗体量が多いほど、標識金コロイドに由来する膜上の赤色が濃くなり、信号値としては小さくなる。結果を図4に示す。
−膜状担体の調製−
ポリオレフィン繊維からなる不織布(厚み3.3mm)を、直径5mmの円形に切り出し、前記膜状担体とした。
前記膜状担体10枚を、擬似抗原として下記構造式で表す化合物を100μg/mLの濃度で含む生理食塩水30mLに入れ、一昼夜(14時間)振とうした。次いで、牛血清アルブミンを10mg/mLとなるように添加し、2時間振とうした。
擬似抗原(ジクロロフェノール誘導体−牛血清アルブミン)を固定化した膜状担体フィルターは、生理食塩水で洗浄した後、前記測定用セルに設置した。
前記測定用セルには直径3mmの孔部があり、該孔部に接続した注射器等の通液手段から、前記被測定試料を供給し、通液させることができる。
−−抗PCB抗体の調製−−
被験物質PCBに対する抗PCBモノクローナル抗体を調製するため、3塩素化物PCB(三塩化ビフェニル)を、リンカーを介してキャリアータンパク質(スカシガイ由来のヘモシアニン(以下、「KLH」と表す))に結合した複合体を合成した。
初回免疫は、前記抗体調製用化合物(タンパク質量として約0.3mg)を完全アジュバントに混合後、皮下注射した。該初回免疫の2週間後と4週間後に、同量の前記抗体調製用化合物を、不完全アジュバントに混合後、皮下注射した。その後、1週間以上経過した後、同量の前記抗体調製用化合物を、腹腔又は尾部静脈に注射し、その4〜5日後に脾臓を摘出した。
融合反応後の融合細胞を培養し、細胞融合から2週間以上経過したハイブリドーマの培養上清を用い、所望の抗PCBモノクローナル抗体の有無をスクリーニングし、抗PCBモノクローナル抗体を産生する安定なハイブリドーマを得た。該ハイブリドーマを培養し、培養上清を精製し、抗PCBモノクローナル抗体を得た。
PCBの異性体混合物であるカネクロール−500(GLサイエンス社製)のジメチルスルホキシド溶液を、牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水に溶解してPCB溶液を調製した。
前記抗体溶液を1mL分取し、ここにPCB溶液(20ppm)を、牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水で希釈して添加し、2ppm、8ppm、20ppm、80ppm、200ppmの計5種の濃度の被測定試料を調製した。基準液として、PCBを含まない被測定試料も調製した。
調製した前記被測定試料1mLを注射器にとり、0.2mL/minで前記測定用セル中に注射器からポンプによって一定流速で供給し、前記測定セル内の前記膜状担体に通液させた。
次いで、0.2mL/minで牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水に1mLを通液した後、牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水に2nMの濃度で溶解した金コロイド標識二次抗体溶液の1mLを0.2mL/minで通液した。最後に、0.6mL/minで牛血清アルブミンを1g/L含む生理食塩水に1mLを通液して、前記膜状担体からの透過光量を測定した。
なお、前記膜状担体に対し、発光ダイオードの光を照射した。
受光した透過光量は、電気信号の信号強度として計測され、基準液による透過光量に対する信号強度を100として、各濃度の被測定試料における透過光量に対する信号強度の割合を算出し、前記被測定試料中のビタミン濃度との相関を求めた。捕捉される抗体量が多いほど、標識金コロイドに由来する膜上の赤色が濃くなり、信号値としては小さくなる。結果を図5に示す。
さらに、本発明の濃度測定方法は、本発明のバイオセンサー装置を用いるため、例えば、環境汚染物質等の低分子量の有害物質や、ビタミン様物質等の低分子量の測定方法として好適である。
12 流路
13 膜状担体
14 受光部
21 セルホルダ
30 光照射部
31 光源
32 スリット
40 受光部
41 フォトダイオード
Claims (14)
- 流路を有し、該流路中に繊維状物質からなると共に、液体の被測定試料を通液可能な膜状担体が固定されている測定用セルと、
前記測定用セルを装着可能なセルホルダと、
前記セルホルダに装着された前記測定用セル中の前記膜状担体に対し、前記流路を通して光を照射する光照射部と、
前記膜状担体からの透過光を前記流路を通して受光し、受光した光量を測定する受光部と、
前記測定用セルに着脱可能に接続され、前記流路に液体の被測定試料を供給して前記膜状担体に均一に通液させる通液手段と、
を備えることを特徴とするバイオセンサー装置。 - 通液手段が、液体の被測定試料を加圧して膜状担体へ一定流速で通液する手段である請求項1に記載のバイオセンサー装置。
- 繊維状物質が、綿、絹、麻、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ナイロン、及びポリオレフィンのいずれかである請求項1から2のいずれかに記載のバイオセンサー装置。
- 膜状担体が、被験物質、及びそのアナログ、並びに被験物質に対する抗体の少なくともいずれかが固定されてなる請求項1から3のいずれかに記載のバイオセンサー装置。
- 受光部により受光した光量を、電気信号の信号強度として計測可能な測定手段を備える請求項1から4のいずれかに記載のバイオセンサー装置。
- 被測定試料の測定により得られた光量と、基準試料の測定により得られた光量とから相対吸光度を計算する相対吸光度計算手段を備える請求項1から5のいずれかに記載のバイオセンサー装置。
- 請求項1から6のいずれかに記載のバイオセンサー装置を用い、被測定試料中の被験物質を定量することを特徴とする濃度測定方法。
- 被測定試料を通液した後の測定用セルをセルホルダに装着し、前記セルホルダに装着された前記測定用セル中の膜状担体に対し、光照射部から光を照射し、受光部で前記膜状担体からの透過光を受光し、受光した光量を測定する請求項7に記載の濃度測定方法。
- 被験物質Xに対する抗体Yを固定化した膜状担体に、
前記被験物質Xを標識物質で標識されてなる標識被験物質X’を添加した被測定試料を通液し、
前記膜状担体上の前記抗体Yに対し、前記被測定試料中の被験物質Xと、前記標識被験物質X’とを反応させ、
前記膜状担体上の前記抗体Yに結合した前記標識被験物質X’の量を、前記膜状担体の透過光量として検出し、該透過光量から、前記被験物質Xと前記標識被験物質X’との反応の度合いを求め、
該反応の度合いから、前記被測定試料中の被験物質Xの濃度を算出する請求項7から8のいずれかに記載の濃度測定方法。 - 被験物質X及び該被験物質のアナログZのいずれかを固定化した膜状担体に、
前記被験物質Xに対する抗体であって標識物質で標識されてなる標識抗体Yを添加した被測定試料を通液し、
前記膜状担体上の前記被験物質X及び前記被験物質のアナログZのいずれかに対し、前記被測定試料中の前記被験物質Xと結合していない前記標識抗体Yを結合させ、
前記標識抗体Yの量を、前記膜状担体の透過光量として検出し、該透過光量かから、前記被測定試料中の前記被験物質Xの濃度を算出する請求項7から8のいずれかに記載の濃度測定方法。 - 被験物質X及び該被験物質のアナログZのいずれかを固定化した膜状担体に、
前記被験物質に対する抗体Yを添加した被測定試料を通液し、
前記膜状担体上の前記被験物質X及び前記被験物質のアナログZのいずれかに対し、前記被測定試料中の前記被験物質Xと結合していない前記抗体Yを結合させ、
前記抗体Yに、該抗体Yに対する二次抗体であって標識物質で標識されてなる標識抗体Y’を結合させ、
前記標識抗体Y’の量を、前記膜状担体の透過光量として検出し、該透過光量から、前記被測定試料中の前記被験物質Xの濃度を算出する請求項7から8のいずれかに記載の濃度測定方法。 - 標識物質が、酵素、放射性同位元素、蛍光物質、及び着色微粒子、並びにこれらにより標識された抗体のいずれかである請求項7から11のいずれかに記載の濃度測定方法。
- 被験物質が、PCB、ダイオキシン、ホルモン、ビタミン類、農薬、及び重金属のいずれかである請求項7から12のいずれかに記載の濃度測定方法。
- 被験物質がPCBであり、下記構造式(1)で表される擬似抗原を固定化した膜状担体に、抗PCB抗体を添加した被測定試料を通液し、
前記膜状担体上の前記擬似抗原に対し、前記被測定試料中のPCBと結合していない前記抗PCB抗体を結合させた後、
前記抗PCB抗体に対する二次抗体であって、標識物質で標識されてなる二次抗体を結合させ、
前記二次抗体の標識物質の量を、前記膜状担体の透過光量として検出し、該透過光量から、前記被測定試料中のPCBの濃度を算出する請求項7から13のいずれかに記載の濃度測定方法。
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