JP2004163161A - 核酸結合担体を装着した化学分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】核酸結合担体の充填率を高め、核酸の抽出率を高めることを目的とする。
【解決手段】検体中の核酸を捕捉する核酸吸着部が、該吸着部底部に円形のシート状核酸結合担体を多層に装着できるように凹部を設けたデバイス下板、該吸着部の周壁が該核酸結合担体を水平にした状態でデバイスに装着できるように該核酸結合担体の直径と同じ円形に加工されており、水平方向に多層に積層された核酸結合担体をデバイスの上板と下板で挟み込んで、該核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮、固定させた核酸結合担体を装着した核酸吸着部を有することを特徴とする化学分析装置、および化学分析方法。
【選択図】 図5
【解決手段】検体中の核酸を捕捉する核酸吸着部が、該吸着部底部に円形のシート状核酸結合担体を多層に装着できるように凹部を設けたデバイス下板、該吸着部の周壁が該核酸結合担体を水平にした状態でデバイスに装着できるように該核酸結合担体の直径と同じ円形に加工されており、水平方向に多層に積層された核酸結合担体をデバイスの上板と下板で挟み込んで、該核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮、固定させた核酸結合担体を装着した核酸吸着部を有することを特徴とする化学分析装置、および化学分析方法。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体試料中に微量に含まれた特定成分を検出するために、検体中の特定成分を捕捉する核酸結合担体を装着した化学分析装置に関する。また、該化学分析装置を用いる化学分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
核酸がガラスフィルタの表面に吸着することを利用して検体中の核酸を捕捉する分析方法が知られている。
下記特許文献1(DEVICES AND METHODS FOR THE PERFORMANCE OF MINIATURARIZED IN VITRO AMPLIFICATION ASSAYS、Gamera社)には、円盤の構造を有し、その盤上に複数のマイクロチャンネル、反応チャンバー、試薬貯蔵器が加工され、遠心力を送液手段として、流体を移動させ、特定成分を抽出するための化学分析装置が記載されている。流路や反応チャンバー、試薬貯蔵器が加工された部材と蓋を張り合わせるため、デバイスの接着に3M製7953MP(アクリル接着用テープ)を用いており、接着面に全体にテープを貼り付けて、円盤同士を張り合わせ完全接着している。図16に示すように、特許文献1のデバイスの下板には特定成分を抽出するフィルタ装着部1がある。図17は、図16のフィルタ装着部1を拡大したものである。図17に示すように、このフィルタ装着部1はデバイスに水平方向に円錐形の溝が加工されている。デバイスに垂直方向に、溝に矩形のガラスフィルタ2を一枚挿入し、多孔質フィルタ(脱落防止フィルタ)3も同様に一枚挿入するものである。
【0003】
Gamera社のデバイスの抽出対象はDNAであり、フィルタの隙間を問題にしない程度の高濃度のDNAを対象としている。しかし、濃度が小さいRNAを抽出対象とした場合、フィルタの装着部およびフィルタに隙間があると、抽出性能が低下する。
【特許文献1】
WO00/78455公報(Figure14)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、核酸を結合させるガラスフィルタ等の核酸結合担体を核酸抽出デバイスに装着させるために、最適な装着構造および装着方法を提案するものである。この核酸抽出デバイスとは、ウィルスを含んだ全血から遠心力を利用して血球とウィルスを含んだ血清と分離し、この血清と結合液との混合液から病原体の核酸をガラスフィルタ等の核酸結合担体に結合させ抽出することを目的とした遺伝子診断前処理装置である。核酸の抽出量を増やすために、核酸結合担体の充填率を上げ、核酸とガラス等の繊維との接触確率を上げることが考えられる。しかし、特許文献1で記載されているようなフィルタ装着構造では、フィルタをデバイスに装着させる際、フィルタ及びフィルタ装着部に隙間が生じる恐れがあり、結合液をフィルタに通過させた場合、結合液中に存在する核酸がフィルタに結合せずに、隙間から抜けてしまう。本発明は、核酸結合担体の充填率を高め、核酸の抽出率を高めることを目的とするデバイスを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を鋭意研究した結果、核酸結合担体量の充填率を高めることで、RNA等の低濃度の核酸であってもその抽出量が増加することを見出し、本発明に到達した。
【0006】
第1に、本発明は、検体中の核酸を捕捉する核酸吸着部が、該吸着部底部に円形のシート状核酸結合担体を多層に装着できるように凹部を設けたデバイス下板、該吸着部の周壁が該核酸結合担体を水平にした状態でデバイスに装着できるように該核酸結合担体の直径と同じ円形に加工されており、水平方向に多層に積層された核酸結合担体をデバイスの上板と下板で挟み込んで、該核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮、固定させた核酸結合担体を装着した核酸吸着部を有することを特徴とする化学分析装置である。
【0007】
ガラスフィルタ等の核酸結合担体は、シート状であるので、核酸結合担体を重ね合わせて装着させることで、核酸結合担体の繊維密度を充填させることができ、核酸とガラス繊維との接触確率を上げ、すなわち、核酸結合担体の繊維表面積を拡大して抽出率を上げることができる。
【0008】
核酸結合担体の装着部は、核酸を含む液や核酸結合担体を洗浄する液を供給する流路に連結し、それらの液が核酸結合担体を通過し、核酸結合担体から排出される口は核酸結合担体側面の他の位置に配置し、流出用の流路に連結する。
【0009】
本発明の核酸吸着部を有する化学分析装置において、核酸を有する検体や、洗浄液、溶離液等の各種試薬を流す送液手段には、本化学分析装置を静置して重力によって流す方法、本化学分析装置を回転可能に支持した円盤状構造体中に組み込んで該円盤状構造体を回転させることにより生ずる遠心力によって流す方法、本化学分析装置の上流部より圧力を加えて流す方法、本化学分析装置の下流より陰圧により流す方法、これらを組み合わせる方法等があり、限定されない。この中で、遠心力を用いる方法が効率的で好ましい。
【0010】
本発明では、核酸結合担体を装着した核酸吸着部と核酸吸着部へ連通する流路上流との接合部、および核酸吸着部と核酸吸着部から他部へ連通する流路下流との接合部に平面的にR部(曲部)を設けることが好ましい。
【0011】
平面的にR部(曲部)を設けることにより、核酸吸着部から流路に連通する部分に流路上流から核酸結合担体へスムーズに液が流れやすく、また、核酸結合担体から流路下流に流れ出やすくなる。これにより、液が核酸結合担体と均一に十分接触して通過することになり、核酸吸着性を高めることができる。
【0012】
本発明における他の形態として、核酸吸着部の上部のデバイス上板に凸型の構造(突起)を設け、該凸型の構造(突起)は平面で核酸結合担体と同じ大きさの円形状を有することができる。
【0013】
この形態では、さらに、核酸結合担体の圧縮率を高めるため、核酸結合担体装着部のデバイスの上板に凸型の構造(突起)を設け、凸面は、円形の核酸結合担体を水平にした状態でデバイスに装着できるように、平面であり、突起の面形状は核酸結合担体と同じ大きさの円であり、これより、デバイスの上板とデバイス下板で水平の状態で平行にはさみ込んだときに、上板に突起構造を持たないよりも、核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮しやすくなり、核酸結合担体装着部の厚さが多層に積層した核酸結合担体のもとの厚さよりも薄くすることで、核酸結合担体の圧縮率を上げることができる。
【0014】
本発明における他の形態として、核酸吸着部の上部のデバイス上板に凹部を設けることができる。
この形態では、さらに、デバイス上板の表面にも、デバイス下板と同様に核酸結合担体の直径と同じ大きさの溝を加工することで、核酸結合担体装着容積を拡大し、その溝に核酸結合担体を多層にしてデバイス上板とデバイス下板で挟んで圧縮することができる。
【0015】
本発明における他の形態として、核酸吸着部の底部のデバイス下板の中央部に円柱状のピンを設けることができる。
この形態では、核酸結合担体の装着部は核酸結合担体(装着部材)の周囲を囲むように配置されており、中央に円柱状のピンが備えつけており、これにより、核酸結合担体を装着させるときに、ピンの軸方向に対して垂直な方向で核酸結合担体を安定して、ピンに核酸結合担体を挿入することができる。円柱状のピンにより、核酸結合担体を装着させるときに、ピンの軸方向に対して垂直な方向で核酸結合担体を横ずれすることなく安定させることができ、デバイス下板表面から核酸結合担体がはみ出すほどの核酸結合担体のボリュームを与えても、位置がずれることなく核酸結合担体を装着することができる。
【0016】
本発明における他の形態として、シート状核酸結合担体が傘状(横から見てテーパ状)であることができる。
傘状(テーパ状)核酸結合担体を用いることで、装着時に核酸結合担体の外径側の端と内径側の端が折れ重なる面積が増加し、核酸結合担体の充填率が高まる。また、この傘状(テーパ状)核酸結合担体を多層にして圧縮すると、繊維の復元力により、隣接している核酸結合担体同士で押し合い、核酸結合担体の隙間がなくなり、かつ核酸結合担体の充填率が高まる。
【0017】
また、本発明においては、上記各種形態を組み合わせることもできる。例えば、核酸吸着部の上部のデバイス上板に凸型の構造(突起)を設け、核酸吸着部の底部のデバイス下板の中央部に円柱状のピンを設けることにより、核酸結合担体の充填率を高めるとともに、核酸結合担体を安定させることができる。
【0018】
第2に、本発明は、検体中の核酸を捕捉する核酸吸着部底部に円形のシート状核酸結合担体を水平方向に多層に積層し、該核酸結合担体をデバイスの上板と下板で挟み込み、該核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮し、固定した核酸結合担体を装着した核酸吸着部に、核酸を有する検体を流し、該核酸結合担体に核酸を結合させる工程を有することを特徴とする化学分析方法である。
【0019】
本発明により、低濃度のRNAであっても効率よく吸着させ、高精度で分析することができる。
本発明において、流体を流す送液手段は限定されないが、回転可能に支持した円盤状構造体中に核酸吸着部を含む化学分析装置が組み込まれ、該円盤状構造体を回転させることにより生じる遠心力により、核酸を有する検体、洗浄液、および溶離液を該核酸吸着部中を送液する送液手段が好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明で使用される化学分析装置の全体図を示す。図1において、本発明の核酸結合担体を装着した円盤状構造体102が回転駆動装置等を内蔵する筐体101に回転可能に載置されている。筐体101には、円盤状構造体102を押圧する固定部材103、操作用パネル104等が備わっている。
【0021】
図2(a)は、円盤状構造体102を拡大した斜視図であり、ディスク状に複数個の核酸抽出デバイスが組み合わされている。図2(b)は、図2(a)のAA断面を拡大した核酸吸着部201の断面図を示す。図2(b)において、ディスクデバイス上板204とディスクデバイス下板205に挟圧されて、核酸吸着部201、多孔質フィルタ装着部202、溶離液回収ポート203が連通している。
【0022】
図3は、円盤状構造体102を上方から見た平面図であり、この場合は、3個の核酸抽出デバイスが組み合わされて円盤状構造体を構成している。4個以上の核酸抽出デバイスが組み合わされても良いことは言うまでもない。
【0023】
図4は、図3の円で示される部分を拡大したものである。図4において、複数の試薬供給部より反応ポート7に試薬が集まり、所定の時間反応が行われる。反応液は反応ポート7より、核酸吸着部6を通過する。結合液、洗浄液等は、核酸吸着部6を通過した後、廃液ポート8に集められる。
【0024】
図3に示すように、核酸抽出デバイスである円盤状構造体は、厚さ約10mm、直径約200mmの樹脂製(アクリル樹脂、ポリカーボネイドなど)の円盤で、検体液や洗浄液を貯蔵するポートと、各ポートから試薬を流す流路が加工された構造を備える。このデバイスは、ウィルスを含んだ全血から遠心力(4000〜7000rpm)を利用して血球とウィルスを含んだ血清とを分離して、血清を定量し、この血清から病原体の核酸を抽出することを目的とした化学分析装置及び遺伝診断前処理装置である。サンプルポートから流れ出て定量された検体液(ウィルスを含んだ血清)と結合液(R1;核酸をガラスに吸着させる役目を果たすグアニジンチアシアネート)を多孔質フィルタで合流させ、そこで、二つに液を混合させ、反応ポートに進入させる。図4の反応ポート7で、血清中のウィルスの膜をR1で分解し、剥き出しになった核酸を含んだ混合液を反応ポートから追い出して、核酸吸着部6のフィルタに通過させて、核酸をフィルタに結合させる。続いて、フィルタにR2ポートから流したR2(フィルタに吸着した混合液中の蛋白を除去する洗浄液)を通過させた後、R3ポートから流したR3(フィルタに残留するグアニジンチアシアネートを洗浄する洗浄液で、エタノールを主成分とする。)を通過させる。最後に、フィルタに残留する洗浄液を振り切った後、フィルタにR5(結合した核酸を水溶液中に溶離させる溶離液)を流し、フィルタに浸透させる。インキュベートして溶離した核酸を含んだ溶離液を約8000rpmで振り切って、核酸を抽出した液を回収する。回収された液をCOBAS AMPLICORE(核酸の増幅と検出が一体となっている装置;ロッシュ社)にかけて、抽出された核酸を含む溶離液に病原体の核酸が存在するかどうかを吸光度で調べる。このデバイスで抽出しようとする核酸(RNA)の量は、人がウィルスに感染した直後に保有する量の100(IU/ml)程度であり、極微量である。
ここで、核酸抽出デバイスに適用した各種試薬を下記表1にまとめる。
【0025】
【表1】
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を参考にして説明する。図5〜図13において、核酸吸着部の流路に沿った垂直断面図を上部に示し、水平断面図を下部に示す。
[実施例1] (フィルタ多層)
本実施例のフィルタ装着部1の構造は、図5に示すように、デバイス下板にフィルタ2を多層に装着できるように凹部を設け、その深さは1.8〜2.2mmであり、円形のフィルタを水平にした状態でデバイスに装着できるように、平面はフィルタの直径と同じ円形に加工されている。フィルタの形状は円形で、その大きさは、直径3〜7mm(例えば、5mm)である。フィルタの種類は、ガラスフィルタ(GF/F,Whatman製)を用いる。このフィルタの厚さは約0.25〜0.4mmである。この装着部にフィルタを1枚ずつ挿入しては、フィルタの直径とほぼ同じ(フィルタの直径5mmに対し、4.9mm)径を持つポンチでデバイス面に垂直方向に押し込み、フィルタを10枚前後挿入し、装着させる。フィルタを装着させる際、溝の側面で、フィルタの位置合わせを行う。フィルタを水平にした状態でデバイスの下板の装着部に多層に敷き、上板と下板で平行に挟み込んで固定して装着させる。フィルタを平行な面で挟み込むことで、フィルタ全体を均一に圧縮することができ、フィルタの繊維密度を充填させることができ、フィルタにパスを生じにくくさせることができる。
【0027】
このデバイスと同タイプの遠心ディスクデバイスを用いて200(IU/ml)のRNAを抽出し、その実験結果より、フィルタの重量と核酸の回収量(%)との関係を図14に示す。なお、溶離1回のみでは、ガラスに結合した核酸が溶離しきれないことを考慮し、溶離を2回行い、核酸の回収量は、溶離を2回行った合計量で表した。図14の結果よりフィルタの重量を増やせば、核酸の回収量が増加することがわかる。これより、本発明の装着構造を用いれば、フィルタの充填率を高めることで、核酸の抽出率を高める効果があることがわかる。
【0028】
図5に示すように、フィルタの装着部1は、核酸を含む液やフィルタ洗浄する液を矢印方向5に供給する流路4に連結する。流路4はフィルタ2の側面に位置し、排出口はフィルタ側面の他の位置に配置する。流路4は、幅0.3〜0.5,深さ0.5〜1.5の断面が矩形の毛細管である。
【0029】
流路およびフィルタには検体液(ウィルスを含んだ血清)と結合液、洗浄液、溶離液が通過する。デバイスを高速で回転させることで、遠心力を送液手段とし、装着したフィルタの軸方向に対して、垂直方向(一方向)へフィルタに液を流す。(遠心方向に液が流れる。)フィルタに液を通過させるとき、液がフィルタに残らないように、フィルタ装着部に10000Gの遠心力を与えてフィルタに残留する液を振り切る。装着溝から流路に連通する部分に流路からフィルタへスムーズに液が流れやすく、また、フィルタから流路に流れ出やすいように、平面的にR部(曲部)を設ける。フィルタを装着する溝の角部に液残りが発生しにくい構造を持たせる。
【0030】
フィルタに検体液と結合液、洗浄液などの残液が多いと、回収した溶離液に残液が混入し、核酸を検出するときに阻害となる。装着部にR部を設けることで、フィルタ及びフィルタ装着部に阻害となりうる量の残液を減らすことができる。
【0031】
[実施例2] (上板凸部構造)
図6に示すように、実施例2は、実施例1よりも、さらに、フィルタ2の圧縮率を高めるため、フィルタ装着部1のデバイスの上板に凸型の構造(突起)9を設ける。突起の厚さは、デバイス上板の表面からフィルタ一枚の厚さに1〜2割ほど増した厚さ(0.4〜0.8mm)まで設定する。凸面は、円形のフィルタを水平にした状態でデバイスに装着できるように、平面であり、突起の面形状はフィルタと同じ大きさの円である。これより、デバイスの上板と下板で水平の状態で平行に挟み込んだときに、上板に突起構造を持たない実施例1よりも、フィルタをデバイス面の垂直方向に圧縮しやすい。フィルタ装着部の厚さが多層フィルタのもとの厚さよりも薄くすることで、フィルタの圧縮率を上げることができる。フィルタの枚数が少なくても、突起で圧縮することで、フィルタの充填率を高めることができる。突起の側面は、デバイスの下板の溝にR部(曲部)が設けてあるのと同様に、液がフィルタに通過しやすいようにR部(曲部)を設ける。
【0032】
[実施例3] (上板、下板凹部構造)
実施例1で挙げたガラスフィルタは、シート状であるので、フィルタを重ね合わせて圧縮して装着させることで、フィルタの細孔容積(ガラス繊維の隙間の容積)を小さくし、フィルタの充填率を高め、核酸とガラス繊維との接触確率を上げることができる。すなわち、フィルタを多層にしてフィルタの繊維表面積を拡大して核酸の抽出率を上げる。図7で示すように、実施例3のフィルタの装着部の構造は、実施例1のデバイスの下板を用い、さらに、上板の表面にも、下板と同様にフィルタ直径と同じ大きさの溝を加工することで、フィルタ装着容積を拡大し、その溝にフィルタを多層にして上板と下板で挟んで圧縮できる構造である。溝の深さは、下板のデバイスは、実施例1と同じで表面から深さは1.8〜2.2mmまで加工されており、上板の場合は、表面から深さは0.2〜2.2mmまで加工されている。実施例1のデバイスの下板の装着部とほぼ同じ構造を備え、液がフィルタに通過しやすいようにR部(曲部)を設ける。
【0033】
[実施例4] (下板にセンターピン構造を設ける)
実施例4では、装着させるフィルタは、実施例1と同じガラスフィルタを用いるが、その形状は円環のシートであり、外径は3〜7mmで円環の幅(外径と内径の差)は1〜3mmである。例えば、外径は5mm、内径は1mmの円環フィルタを使用する。図8に示すように、デバイス下板のフィルタの装着部は円環フィルタ2と同じ形の溝が彫られ、溝の深さは、デバイス下板の表面から深さ1.8〜2.2mmまで彫られており、フィルタ(装着部材)の周囲を囲むように配置されている。その溝の中央にフィルタを位置決めするための円柱状のピンを備えつけている。ピンの直径は円環フィルタの内径と同じである。
【0034】
フィルタを装着させるとき、フィルタの内側の側面をピン側面に接しながら、ピンの軸方向に対して垂直な方向でフィルタを挿入することで、フィルタが安定し、ピンにフィルタを挿入させられる。ピンがフィルタの位置を決めるので、装着する際、フィルタの装着時の横ずれ(約0.5mm以内)が生じにくく、フィルタが傾いたり、装着部分から外れずに装着させられる。ピンの高さは、デバイス下板の表面と同じ高さであるので、ピンの凸面とデバイスの上板の平面との間で、接着することができ、ピンがないときと比べ、フィルタを固定して、封止力を強化することができる。
【0035】
[実施例5] (下板はピン構造、上板はピンを受ける凹部構造)
デバイスの下板は、実施例4とほぼ同じであるが、突起の厚さは、デバイス上板の表面からフィルタ一枚の厚さに1〜2割ほど増した厚さ(0.4〜0.8mm)まで設定する。図9に示すように、デバイスの上板のフィルタ装着部の構造は、デバイスの上板の中央にピン10を受ける凹部を設けている。ピンを受ける凹部の深さは、0.2〜0.4mmである。装着部の下板と上板の間にフィルタ2を挟むときに、装着部の下板のピン10が、上板のピン受けに挿入されるとピンがレールの役割を果たし、フィルタ2の位置がずれないまま、フィルタ全体に均一の荷重をかけられ、フィルタをパッケージすることができる。これにより、フィルタの繊維を均一に圧縮することができ、フィルタとフィルタ装着部にパスが生じにくくなり、液がフィルタを通過しても、均一に流れる。
【0036】
[実施例6] (上板は凸部構造、下板はピン構造)
実施例6は、実施例2と実施例4の特徴を組み合わせた構造である。
図10に示すように、実施例6は、実施例4よりも、さらに、フィルタの圧縮率を高めるため、実施例2と同様にフィルタ装着部のデバイスの上板に凸型の構造(突起)10を設ける。突起の厚さは、実施例2と同様にデバイス上板の表面からフィルタ一枚の厚さに1〜2割程増した厚さ(0.4〜0.8mm)まで設定する。凸面は、円環のフィルタ2を水平にした状態でデバイスに装着できるように、平面であり、突起の面形状はフィルタと同じ大きさの円である。これより、デバイスの上板と下板で水平の状態で平行にはさみ込んだときに、上板に突起構造を持たない実施例4よりも、フィルタをデバイス面の垂直方向に圧縮しやすく、フィルタの枚数が少なくても、突起で圧縮することで、フィルタの充填率を高めることができる。
【0037】
多層に装着させるフィルタは、実施例4と同じ円環フィルタを使用する。図10に示すように、デバイス下板のフィルタの装着部は円環フィルタと同じ形の溝が彫られ、溝の深さは、デバイス下板の表面から深さ1.8〜2.2mmまで加工されており、フィルタ(装着部材)の周囲を囲むように配置されている。その溝の中央にフィルタを位置決めするための円柱状のピン10を備えつけている。ピンの直径は円環フィルタの内径と同じである。ピンがフィルタの位置を決めるので、装着する際、フィルタの装着時の横ずれ(約0.5mm以内)が生じにくく、フィルタが傾いたり、装着部分から外れずに装着させられる。ピンの高さは、デバイス上板と下板を重ね合わせたときにピンがデバイスの上板の凸面に接する高さであるので、ピンの凸面とデバイスの上板の平面との間で、接着することができ、ピンがないときと比べ、フィルタを固定して、封止力を強化することができる。
【0038】
[実施例7] (下板はピン構造、上板は凸部構造かつピンを受ける凹部構造)実施例7は、実施例6に実施例5の特徴を組み合わせた構造で、ピンの高さを実施例6よりも0.2〜0.4mm高くし、図11に示すように、デバイスの上板のフィルタ装着部の構造は、デバイスの上板の中央にピン10を受ける凹部を設けている。
【0039】
ピンを受ける凹部の深さは、0.2〜0.4mmである。ピンを高くして、ピンの高さまでフィルタを積層して装着させることで、装着部の下板と上板の間にフィルタ2を挟むときに、ピンによりフィルタの位置がずれず、実施例6よりもフィルタを充填することができる。
【0040】
[実施例8] (上板、下板は凹部構造で下板はピン構造)
実施例8は、実施例3に実施例4の特徴を組み合わせた構造である。
図12に示すように、実施例8は、実施例4のように下板の装着部の中央にピン構造10を設け、実施例3のフィルタの装着部の構造と同様に、上板の表面にも、フィルタを装着する溝を加工することで、フィルタ装着容積を拡大し、その溝に円環のフィルタ2をピンに挿入して、多層にして上板と下板で挟んで圧縮できる構造である。溝の深さは、下板のデバイスは、実施例3とおなじで、上板の溝の深さ場合は、表面から深さは0.2〜2.2mmまで加工されている。
【0041】
ピンがフィルタの位置を決めるので、装着する際、フィルタの装着時の横ずれ(約0.5mm以内)が生じにくく、フィルタが傾いたり、装着部分から外れずに装着させられる。ピンの高さは、デバイスを重ね合わせたときに、デバイス上板の凹部表面に接する高さであるので、ピンの凸面とデバイスの上板の平面との間で、接着することができ、ピンがないときと比べ、フィルタを固定して、封止力を強化することができる。
【0042】
[実施例9] (上板は凹部構造かつピンを受ける凹部構造、下板は凹部構造かつピン構造)
実施例9は、実施例8に実施例5の特徴を組み合わせた構造で、ピンの高さを実施例8よりも0.2〜0.4mm高くし、図13に示すように、デバイスの上板のフィルタ装着部の構造は、デバイスの上板の中央にピン10を受ける凹部を設けている。
【0043】
ピンを受ける凹部の深さは、0.2〜0.4mmである。ピンを高くして、ピンの高さまでフィルタを積層して装着させることで、装着部の下板と上板の間にフィルタを挟むときに、ピンによりフィルタの位置がずれず、実施例8よりもフィルタを充填することができる。
【0044】
[実施例10] (傘状フィルタ)
実施例10は、実施例9の応用例で装着構造は同じで、装着するフィルタの形状を変えたものである。フィルタを多層で重ね合わせるときに、一番下と一番上に配置されるフィルタを装着部の大きさに合わせたものを使用する。その間に配置されるフィルタは、図15に示すように傘状のフィルタ11を用い、その大きさは円環の外径側に少し大きめにとり、内径側に少し小さめにとる。全体的に大きくする(フィルタのパスが大きくならない程度まで)ことで、装着時にフィルタの外径側の端と内径側の端が折れ重なる面積が増え、フィルタの充填率が高まる。また、この傘状フィルタを多層にして、圧縮すると、繊維の復元力により、隣接しているフィルタ同士で押し合い、フィルタの隙間がなくなり、かつ、フィルタの充填率が高まる。これらより、核酸とフィルタとの接触確率を上げることができ、核酸の抽出量を向上させることができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、フィルタの充填率を高めることができる。また、フィルタとデバイスとの隙間がなくなり、核酸の抽出率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される化学分析装置の全体図。
【図2】(a)図1の核酸吸着部102の拡大斜視図、(b)(a)のAA断面を拡大した核酸吸着部の断面図。
【図3】樹脂製の円盤で、検体液や洗浄液を貯蔵するポートと、各ポートから試薬を流す流路が加工された構造を備えた核酸抽出デバイスの平面図。
【図4】図3の円の部分の拡大図。
【図5】本発明の一実施例のフィルタ装着構造の垂直断面図及び平面断面図。
【図6】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板凸部構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図7】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板、下板凹部構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図8】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(下板にセンターピン構造を設ける)の垂直断面図及び平面断面図。
【図9】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(下板はピン構造、上板はピンを受ける凹部構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図10】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板は凸部構造、下板はピン構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図11】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(下板はピン構造、上板は凸部構造かつピンを受ける凹部構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図12】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板、下板は凹部構造で下板はピン構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図13】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板は凹部構造かつピンを受ける凹部構造、下板は凹部構造かつピン構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図14】遠心ディスクデバイスを用いて200(IU/ml)のRNAを抽出したときのフィルタの重量と核酸の回収量(%)との関係図。
【図15】傘状のフィルタを実施例9の装着構造に応用した装着構造の断面図。
【図16】盤上に複数のマイクロチャンネル、反応チャンバー、試薬貯蔵器が加工された円盤の構造を用いて、遠心力を送液手段として、流体を移動させ、特定成分を抽出するための化学分析装置の平面図。
【図17】図16のデバイスで特定成分を抽出するフィルタの装着部の拡大図。
【符号の説明】
101;筐体、102;円盤状構造体、103;固定部材、104;操作用パネル、201;核酸吸着部、202;多孔質フィルタ装着部、203;溶離液回収ポート、1;フィルタ装着部、2;ガラスフィルタ、3;多孔質フィルタ、4;流路、5;液流れ方向、6;核酸結合担体装着部、7;反応ポート、8;廃液ポート、9;凸部、10;ピン、11;傘状のガラスフィルタ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体試料中に微量に含まれた特定成分を検出するために、検体中の特定成分を捕捉する核酸結合担体を装着した化学分析装置に関する。また、該化学分析装置を用いる化学分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
核酸がガラスフィルタの表面に吸着することを利用して検体中の核酸を捕捉する分析方法が知られている。
下記特許文献1(DEVICES AND METHODS FOR THE PERFORMANCE OF MINIATURARIZED IN VITRO AMPLIFICATION ASSAYS、Gamera社)には、円盤の構造を有し、その盤上に複数のマイクロチャンネル、反応チャンバー、試薬貯蔵器が加工され、遠心力を送液手段として、流体を移動させ、特定成分を抽出するための化学分析装置が記載されている。流路や反応チャンバー、試薬貯蔵器が加工された部材と蓋を張り合わせるため、デバイスの接着に3M製7953MP(アクリル接着用テープ)を用いており、接着面に全体にテープを貼り付けて、円盤同士を張り合わせ完全接着している。図16に示すように、特許文献1のデバイスの下板には特定成分を抽出するフィルタ装着部1がある。図17は、図16のフィルタ装着部1を拡大したものである。図17に示すように、このフィルタ装着部1はデバイスに水平方向に円錐形の溝が加工されている。デバイスに垂直方向に、溝に矩形のガラスフィルタ2を一枚挿入し、多孔質フィルタ(脱落防止フィルタ)3も同様に一枚挿入するものである。
【0003】
Gamera社のデバイスの抽出対象はDNAであり、フィルタの隙間を問題にしない程度の高濃度のDNAを対象としている。しかし、濃度が小さいRNAを抽出対象とした場合、フィルタの装着部およびフィルタに隙間があると、抽出性能が低下する。
【特許文献1】
WO00/78455公報(Figure14)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、核酸を結合させるガラスフィルタ等の核酸結合担体を核酸抽出デバイスに装着させるために、最適な装着構造および装着方法を提案するものである。この核酸抽出デバイスとは、ウィルスを含んだ全血から遠心力を利用して血球とウィルスを含んだ血清と分離し、この血清と結合液との混合液から病原体の核酸をガラスフィルタ等の核酸結合担体に結合させ抽出することを目的とした遺伝子診断前処理装置である。核酸の抽出量を増やすために、核酸結合担体の充填率を上げ、核酸とガラス等の繊維との接触確率を上げることが考えられる。しかし、特許文献1で記載されているようなフィルタ装着構造では、フィルタをデバイスに装着させる際、フィルタ及びフィルタ装着部に隙間が生じる恐れがあり、結合液をフィルタに通過させた場合、結合液中に存在する核酸がフィルタに結合せずに、隙間から抜けてしまう。本発明は、核酸結合担体の充填率を高め、核酸の抽出率を高めることを目的とするデバイスを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を鋭意研究した結果、核酸結合担体量の充填率を高めることで、RNA等の低濃度の核酸であってもその抽出量が増加することを見出し、本発明に到達した。
【0006】
第1に、本発明は、検体中の核酸を捕捉する核酸吸着部が、該吸着部底部に円形のシート状核酸結合担体を多層に装着できるように凹部を設けたデバイス下板、該吸着部の周壁が該核酸結合担体を水平にした状態でデバイスに装着できるように該核酸結合担体の直径と同じ円形に加工されており、水平方向に多層に積層された核酸結合担体をデバイスの上板と下板で挟み込んで、該核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮、固定させた核酸結合担体を装着した核酸吸着部を有することを特徴とする化学分析装置である。
【0007】
ガラスフィルタ等の核酸結合担体は、シート状であるので、核酸結合担体を重ね合わせて装着させることで、核酸結合担体の繊維密度を充填させることができ、核酸とガラス繊維との接触確率を上げ、すなわち、核酸結合担体の繊維表面積を拡大して抽出率を上げることができる。
【0008】
核酸結合担体の装着部は、核酸を含む液や核酸結合担体を洗浄する液を供給する流路に連結し、それらの液が核酸結合担体を通過し、核酸結合担体から排出される口は核酸結合担体側面の他の位置に配置し、流出用の流路に連結する。
【0009】
本発明の核酸吸着部を有する化学分析装置において、核酸を有する検体や、洗浄液、溶離液等の各種試薬を流す送液手段には、本化学分析装置を静置して重力によって流す方法、本化学分析装置を回転可能に支持した円盤状構造体中に組み込んで該円盤状構造体を回転させることにより生ずる遠心力によって流す方法、本化学分析装置の上流部より圧力を加えて流す方法、本化学分析装置の下流より陰圧により流す方法、これらを組み合わせる方法等があり、限定されない。この中で、遠心力を用いる方法が効率的で好ましい。
【0010】
本発明では、核酸結合担体を装着した核酸吸着部と核酸吸着部へ連通する流路上流との接合部、および核酸吸着部と核酸吸着部から他部へ連通する流路下流との接合部に平面的にR部(曲部)を設けることが好ましい。
【0011】
平面的にR部(曲部)を設けることにより、核酸吸着部から流路に連通する部分に流路上流から核酸結合担体へスムーズに液が流れやすく、また、核酸結合担体から流路下流に流れ出やすくなる。これにより、液が核酸結合担体と均一に十分接触して通過することになり、核酸吸着性を高めることができる。
【0012】
本発明における他の形態として、核酸吸着部の上部のデバイス上板に凸型の構造(突起)を設け、該凸型の構造(突起)は平面で核酸結合担体と同じ大きさの円形状を有することができる。
【0013】
この形態では、さらに、核酸結合担体の圧縮率を高めるため、核酸結合担体装着部のデバイスの上板に凸型の構造(突起)を設け、凸面は、円形の核酸結合担体を水平にした状態でデバイスに装着できるように、平面であり、突起の面形状は核酸結合担体と同じ大きさの円であり、これより、デバイスの上板とデバイス下板で水平の状態で平行にはさみ込んだときに、上板に突起構造を持たないよりも、核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮しやすくなり、核酸結合担体装着部の厚さが多層に積層した核酸結合担体のもとの厚さよりも薄くすることで、核酸結合担体の圧縮率を上げることができる。
【0014】
本発明における他の形態として、核酸吸着部の上部のデバイス上板に凹部を設けることができる。
この形態では、さらに、デバイス上板の表面にも、デバイス下板と同様に核酸結合担体の直径と同じ大きさの溝を加工することで、核酸結合担体装着容積を拡大し、その溝に核酸結合担体を多層にしてデバイス上板とデバイス下板で挟んで圧縮することができる。
【0015】
本発明における他の形態として、核酸吸着部の底部のデバイス下板の中央部に円柱状のピンを設けることができる。
この形態では、核酸結合担体の装着部は核酸結合担体(装着部材)の周囲を囲むように配置されており、中央に円柱状のピンが備えつけており、これにより、核酸結合担体を装着させるときに、ピンの軸方向に対して垂直な方向で核酸結合担体を安定して、ピンに核酸結合担体を挿入することができる。円柱状のピンにより、核酸結合担体を装着させるときに、ピンの軸方向に対して垂直な方向で核酸結合担体を横ずれすることなく安定させることができ、デバイス下板表面から核酸結合担体がはみ出すほどの核酸結合担体のボリュームを与えても、位置がずれることなく核酸結合担体を装着することができる。
【0016】
本発明における他の形態として、シート状核酸結合担体が傘状(横から見てテーパ状)であることができる。
傘状(テーパ状)核酸結合担体を用いることで、装着時に核酸結合担体の外径側の端と内径側の端が折れ重なる面積が増加し、核酸結合担体の充填率が高まる。また、この傘状(テーパ状)核酸結合担体を多層にして圧縮すると、繊維の復元力により、隣接している核酸結合担体同士で押し合い、核酸結合担体の隙間がなくなり、かつ核酸結合担体の充填率が高まる。
【0017】
また、本発明においては、上記各種形態を組み合わせることもできる。例えば、核酸吸着部の上部のデバイス上板に凸型の構造(突起)を設け、核酸吸着部の底部のデバイス下板の中央部に円柱状のピンを設けることにより、核酸結合担体の充填率を高めるとともに、核酸結合担体を安定させることができる。
【0018】
第2に、本発明は、検体中の核酸を捕捉する核酸吸着部底部に円形のシート状核酸結合担体を水平方向に多層に積層し、該核酸結合担体をデバイスの上板と下板で挟み込み、該核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮し、固定した核酸結合担体を装着した核酸吸着部に、核酸を有する検体を流し、該核酸結合担体に核酸を結合させる工程を有することを特徴とする化学分析方法である。
【0019】
本発明により、低濃度のRNAであっても効率よく吸着させ、高精度で分析することができる。
本発明において、流体を流す送液手段は限定されないが、回転可能に支持した円盤状構造体中に核酸吸着部を含む化学分析装置が組み込まれ、該円盤状構造体を回転させることにより生じる遠心力により、核酸を有する検体、洗浄液、および溶離液を該核酸吸着部中を送液する送液手段が好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明で使用される化学分析装置の全体図を示す。図1において、本発明の核酸結合担体を装着した円盤状構造体102が回転駆動装置等を内蔵する筐体101に回転可能に載置されている。筐体101には、円盤状構造体102を押圧する固定部材103、操作用パネル104等が備わっている。
【0021】
図2(a)は、円盤状構造体102を拡大した斜視図であり、ディスク状に複数個の核酸抽出デバイスが組み合わされている。図2(b)は、図2(a)のAA断面を拡大した核酸吸着部201の断面図を示す。図2(b)において、ディスクデバイス上板204とディスクデバイス下板205に挟圧されて、核酸吸着部201、多孔質フィルタ装着部202、溶離液回収ポート203が連通している。
【0022】
図3は、円盤状構造体102を上方から見た平面図であり、この場合は、3個の核酸抽出デバイスが組み合わされて円盤状構造体を構成している。4個以上の核酸抽出デバイスが組み合わされても良いことは言うまでもない。
【0023】
図4は、図3の円で示される部分を拡大したものである。図4において、複数の試薬供給部より反応ポート7に試薬が集まり、所定の時間反応が行われる。反応液は反応ポート7より、核酸吸着部6を通過する。結合液、洗浄液等は、核酸吸着部6を通過した後、廃液ポート8に集められる。
【0024】
図3に示すように、核酸抽出デバイスである円盤状構造体は、厚さ約10mm、直径約200mmの樹脂製(アクリル樹脂、ポリカーボネイドなど)の円盤で、検体液や洗浄液を貯蔵するポートと、各ポートから試薬を流す流路が加工された構造を備える。このデバイスは、ウィルスを含んだ全血から遠心力(4000〜7000rpm)を利用して血球とウィルスを含んだ血清とを分離して、血清を定量し、この血清から病原体の核酸を抽出することを目的とした化学分析装置及び遺伝診断前処理装置である。サンプルポートから流れ出て定量された検体液(ウィルスを含んだ血清)と結合液(R1;核酸をガラスに吸着させる役目を果たすグアニジンチアシアネート)を多孔質フィルタで合流させ、そこで、二つに液を混合させ、反応ポートに進入させる。図4の反応ポート7で、血清中のウィルスの膜をR1で分解し、剥き出しになった核酸を含んだ混合液を反応ポートから追い出して、核酸吸着部6のフィルタに通過させて、核酸をフィルタに結合させる。続いて、フィルタにR2ポートから流したR2(フィルタに吸着した混合液中の蛋白を除去する洗浄液)を通過させた後、R3ポートから流したR3(フィルタに残留するグアニジンチアシアネートを洗浄する洗浄液で、エタノールを主成分とする。)を通過させる。最後に、フィルタに残留する洗浄液を振り切った後、フィルタにR5(結合した核酸を水溶液中に溶離させる溶離液)を流し、フィルタに浸透させる。インキュベートして溶離した核酸を含んだ溶離液を約8000rpmで振り切って、核酸を抽出した液を回収する。回収された液をCOBAS AMPLICORE(核酸の増幅と検出が一体となっている装置;ロッシュ社)にかけて、抽出された核酸を含む溶離液に病原体の核酸が存在するかどうかを吸光度で調べる。このデバイスで抽出しようとする核酸(RNA)の量は、人がウィルスに感染した直後に保有する量の100(IU/ml)程度であり、極微量である。
ここで、核酸抽出デバイスに適用した各種試薬を下記表1にまとめる。
【0025】
【表1】
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を参考にして説明する。図5〜図13において、核酸吸着部の流路に沿った垂直断面図を上部に示し、水平断面図を下部に示す。
[実施例1] (フィルタ多層)
本実施例のフィルタ装着部1の構造は、図5に示すように、デバイス下板にフィルタ2を多層に装着できるように凹部を設け、その深さは1.8〜2.2mmであり、円形のフィルタを水平にした状態でデバイスに装着できるように、平面はフィルタの直径と同じ円形に加工されている。フィルタの形状は円形で、その大きさは、直径3〜7mm(例えば、5mm)である。フィルタの種類は、ガラスフィルタ(GF/F,Whatman製)を用いる。このフィルタの厚さは約0.25〜0.4mmである。この装着部にフィルタを1枚ずつ挿入しては、フィルタの直径とほぼ同じ(フィルタの直径5mmに対し、4.9mm)径を持つポンチでデバイス面に垂直方向に押し込み、フィルタを10枚前後挿入し、装着させる。フィルタを装着させる際、溝の側面で、フィルタの位置合わせを行う。フィルタを水平にした状態でデバイスの下板の装着部に多層に敷き、上板と下板で平行に挟み込んで固定して装着させる。フィルタを平行な面で挟み込むことで、フィルタ全体を均一に圧縮することができ、フィルタの繊維密度を充填させることができ、フィルタにパスを生じにくくさせることができる。
【0027】
このデバイスと同タイプの遠心ディスクデバイスを用いて200(IU/ml)のRNAを抽出し、その実験結果より、フィルタの重量と核酸の回収量(%)との関係を図14に示す。なお、溶離1回のみでは、ガラスに結合した核酸が溶離しきれないことを考慮し、溶離を2回行い、核酸の回収量は、溶離を2回行った合計量で表した。図14の結果よりフィルタの重量を増やせば、核酸の回収量が増加することがわかる。これより、本発明の装着構造を用いれば、フィルタの充填率を高めることで、核酸の抽出率を高める効果があることがわかる。
【0028】
図5に示すように、フィルタの装着部1は、核酸を含む液やフィルタ洗浄する液を矢印方向5に供給する流路4に連結する。流路4はフィルタ2の側面に位置し、排出口はフィルタ側面の他の位置に配置する。流路4は、幅0.3〜0.5,深さ0.5〜1.5の断面が矩形の毛細管である。
【0029】
流路およびフィルタには検体液(ウィルスを含んだ血清)と結合液、洗浄液、溶離液が通過する。デバイスを高速で回転させることで、遠心力を送液手段とし、装着したフィルタの軸方向に対して、垂直方向(一方向)へフィルタに液を流す。(遠心方向に液が流れる。)フィルタに液を通過させるとき、液がフィルタに残らないように、フィルタ装着部に10000Gの遠心力を与えてフィルタに残留する液を振り切る。装着溝から流路に連通する部分に流路からフィルタへスムーズに液が流れやすく、また、フィルタから流路に流れ出やすいように、平面的にR部(曲部)を設ける。フィルタを装着する溝の角部に液残りが発生しにくい構造を持たせる。
【0030】
フィルタに検体液と結合液、洗浄液などの残液が多いと、回収した溶離液に残液が混入し、核酸を検出するときに阻害となる。装着部にR部を設けることで、フィルタ及びフィルタ装着部に阻害となりうる量の残液を減らすことができる。
【0031】
[実施例2] (上板凸部構造)
図6に示すように、実施例2は、実施例1よりも、さらに、フィルタ2の圧縮率を高めるため、フィルタ装着部1のデバイスの上板に凸型の構造(突起)9を設ける。突起の厚さは、デバイス上板の表面からフィルタ一枚の厚さに1〜2割ほど増した厚さ(0.4〜0.8mm)まで設定する。凸面は、円形のフィルタを水平にした状態でデバイスに装着できるように、平面であり、突起の面形状はフィルタと同じ大きさの円である。これより、デバイスの上板と下板で水平の状態で平行に挟み込んだときに、上板に突起構造を持たない実施例1よりも、フィルタをデバイス面の垂直方向に圧縮しやすい。フィルタ装着部の厚さが多層フィルタのもとの厚さよりも薄くすることで、フィルタの圧縮率を上げることができる。フィルタの枚数が少なくても、突起で圧縮することで、フィルタの充填率を高めることができる。突起の側面は、デバイスの下板の溝にR部(曲部)が設けてあるのと同様に、液がフィルタに通過しやすいようにR部(曲部)を設ける。
【0032】
[実施例3] (上板、下板凹部構造)
実施例1で挙げたガラスフィルタは、シート状であるので、フィルタを重ね合わせて圧縮して装着させることで、フィルタの細孔容積(ガラス繊維の隙間の容積)を小さくし、フィルタの充填率を高め、核酸とガラス繊維との接触確率を上げることができる。すなわち、フィルタを多層にしてフィルタの繊維表面積を拡大して核酸の抽出率を上げる。図7で示すように、実施例3のフィルタの装着部の構造は、実施例1のデバイスの下板を用い、さらに、上板の表面にも、下板と同様にフィルタ直径と同じ大きさの溝を加工することで、フィルタ装着容積を拡大し、その溝にフィルタを多層にして上板と下板で挟んで圧縮できる構造である。溝の深さは、下板のデバイスは、実施例1と同じで表面から深さは1.8〜2.2mmまで加工されており、上板の場合は、表面から深さは0.2〜2.2mmまで加工されている。実施例1のデバイスの下板の装着部とほぼ同じ構造を備え、液がフィルタに通過しやすいようにR部(曲部)を設ける。
【0033】
[実施例4] (下板にセンターピン構造を設ける)
実施例4では、装着させるフィルタは、実施例1と同じガラスフィルタを用いるが、その形状は円環のシートであり、外径は3〜7mmで円環の幅(外径と内径の差)は1〜3mmである。例えば、外径は5mm、内径は1mmの円環フィルタを使用する。図8に示すように、デバイス下板のフィルタの装着部は円環フィルタ2と同じ形の溝が彫られ、溝の深さは、デバイス下板の表面から深さ1.8〜2.2mmまで彫られており、フィルタ(装着部材)の周囲を囲むように配置されている。その溝の中央にフィルタを位置決めするための円柱状のピンを備えつけている。ピンの直径は円環フィルタの内径と同じである。
【0034】
フィルタを装着させるとき、フィルタの内側の側面をピン側面に接しながら、ピンの軸方向に対して垂直な方向でフィルタを挿入することで、フィルタが安定し、ピンにフィルタを挿入させられる。ピンがフィルタの位置を決めるので、装着する際、フィルタの装着時の横ずれ(約0.5mm以内)が生じにくく、フィルタが傾いたり、装着部分から外れずに装着させられる。ピンの高さは、デバイス下板の表面と同じ高さであるので、ピンの凸面とデバイスの上板の平面との間で、接着することができ、ピンがないときと比べ、フィルタを固定して、封止力を強化することができる。
【0035】
[実施例5] (下板はピン構造、上板はピンを受ける凹部構造)
デバイスの下板は、実施例4とほぼ同じであるが、突起の厚さは、デバイス上板の表面からフィルタ一枚の厚さに1〜2割ほど増した厚さ(0.4〜0.8mm)まで設定する。図9に示すように、デバイスの上板のフィルタ装着部の構造は、デバイスの上板の中央にピン10を受ける凹部を設けている。ピンを受ける凹部の深さは、0.2〜0.4mmである。装着部の下板と上板の間にフィルタ2を挟むときに、装着部の下板のピン10が、上板のピン受けに挿入されるとピンがレールの役割を果たし、フィルタ2の位置がずれないまま、フィルタ全体に均一の荷重をかけられ、フィルタをパッケージすることができる。これにより、フィルタの繊維を均一に圧縮することができ、フィルタとフィルタ装着部にパスが生じにくくなり、液がフィルタを通過しても、均一に流れる。
【0036】
[実施例6] (上板は凸部構造、下板はピン構造)
実施例6は、実施例2と実施例4の特徴を組み合わせた構造である。
図10に示すように、実施例6は、実施例4よりも、さらに、フィルタの圧縮率を高めるため、実施例2と同様にフィルタ装着部のデバイスの上板に凸型の構造(突起)10を設ける。突起の厚さは、実施例2と同様にデバイス上板の表面からフィルタ一枚の厚さに1〜2割程増した厚さ(0.4〜0.8mm)まで設定する。凸面は、円環のフィルタ2を水平にした状態でデバイスに装着できるように、平面であり、突起の面形状はフィルタと同じ大きさの円である。これより、デバイスの上板と下板で水平の状態で平行にはさみ込んだときに、上板に突起構造を持たない実施例4よりも、フィルタをデバイス面の垂直方向に圧縮しやすく、フィルタの枚数が少なくても、突起で圧縮することで、フィルタの充填率を高めることができる。
【0037】
多層に装着させるフィルタは、実施例4と同じ円環フィルタを使用する。図10に示すように、デバイス下板のフィルタの装着部は円環フィルタと同じ形の溝が彫られ、溝の深さは、デバイス下板の表面から深さ1.8〜2.2mmまで加工されており、フィルタ(装着部材)の周囲を囲むように配置されている。その溝の中央にフィルタを位置決めするための円柱状のピン10を備えつけている。ピンの直径は円環フィルタの内径と同じである。ピンがフィルタの位置を決めるので、装着する際、フィルタの装着時の横ずれ(約0.5mm以内)が生じにくく、フィルタが傾いたり、装着部分から外れずに装着させられる。ピンの高さは、デバイス上板と下板を重ね合わせたときにピンがデバイスの上板の凸面に接する高さであるので、ピンの凸面とデバイスの上板の平面との間で、接着することができ、ピンがないときと比べ、フィルタを固定して、封止力を強化することができる。
【0038】
[実施例7] (下板はピン構造、上板は凸部構造かつピンを受ける凹部構造)実施例7は、実施例6に実施例5の特徴を組み合わせた構造で、ピンの高さを実施例6よりも0.2〜0.4mm高くし、図11に示すように、デバイスの上板のフィルタ装着部の構造は、デバイスの上板の中央にピン10を受ける凹部を設けている。
【0039】
ピンを受ける凹部の深さは、0.2〜0.4mmである。ピンを高くして、ピンの高さまでフィルタを積層して装着させることで、装着部の下板と上板の間にフィルタ2を挟むときに、ピンによりフィルタの位置がずれず、実施例6よりもフィルタを充填することができる。
【0040】
[実施例8] (上板、下板は凹部構造で下板はピン構造)
実施例8は、実施例3に実施例4の特徴を組み合わせた構造である。
図12に示すように、実施例8は、実施例4のように下板の装着部の中央にピン構造10を設け、実施例3のフィルタの装着部の構造と同様に、上板の表面にも、フィルタを装着する溝を加工することで、フィルタ装着容積を拡大し、その溝に円環のフィルタ2をピンに挿入して、多層にして上板と下板で挟んで圧縮できる構造である。溝の深さは、下板のデバイスは、実施例3とおなじで、上板の溝の深さ場合は、表面から深さは0.2〜2.2mmまで加工されている。
【0041】
ピンがフィルタの位置を決めるので、装着する際、フィルタの装着時の横ずれ(約0.5mm以内)が生じにくく、フィルタが傾いたり、装着部分から外れずに装着させられる。ピンの高さは、デバイスを重ね合わせたときに、デバイス上板の凹部表面に接する高さであるので、ピンの凸面とデバイスの上板の平面との間で、接着することができ、ピンがないときと比べ、フィルタを固定して、封止力を強化することができる。
【0042】
[実施例9] (上板は凹部構造かつピンを受ける凹部構造、下板は凹部構造かつピン構造)
実施例9は、実施例8に実施例5の特徴を組み合わせた構造で、ピンの高さを実施例8よりも0.2〜0.4mm高くし、図13に示すように、デバイスの上板のフィルタ装着部の構造は、デバイスの上板の中央にピン10を受ける凹部を設けている。
【0043】
ピンを受ける凹部の深さは、0.2〜0.4mmである。ピンを高くして、ピンの高さまでフィルタを積層して装着させることで、装着部の下板と上板の間にフィルタを挟むときに、ピンによりフィルタの位置がずれず、実施例8よりもフィルタを充填することができる。
【0044】
[実施例10] (傘状フィルタ)
実施例10は、実施例9の応用例で装着構造は同じで、装着するフィルタの形状を変えたものである。フィルタを多層で重ね合わせるときに、一番下と一番上に配置されるフィルタを装着部の大きさに合わせたものを使用する。その間に配置されるフィルタは、図15に示すように傘状のフィルタ11を用い、その大きさは円環の外径側に少し大きめにとり、内径側に少し小さめにとる。全体的に大きくする(フィルタのパスが大きくならない程度まで)ことで、装着時にフィルタの外径側の端と内径側の端が折れ重なる面積が増え、フィルタの充填率が高まる。また、この傘状フィルタを多層にして、圧縮すると、繊維の復元力により、隣接しているフィルタ同士で押し合い、フィルタの隙間がなくなり、かつ、フィルタの充填率が高まる。これらより、核酸とフィルタとの接触確率を上げることができ、核酸の抽出量を向上させることができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、フィルタの充填率を高めることができる。また、フィルタとデバイスとの隙間がなくなり、核酸の抽出率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される化学分析装置の全体図。
【図2】(a)図1の核酸吸着部102の拡大斜視図、(b)(a)のAA断面を拡大した核酸吸着部の断面図。
【図3】樹脂製の円盤で、検体液や洗浄液を貯蔵するポートと、各ポートから試薬を流す流路が加工された構造を備えた核酸抽出デバイスの平面図。
【図4】図3の円の部分の拡大図。
【図5】本発明の一実施例のフィルタ装着構造の垂直断面図及び平面断面図。
【図6】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板凸部構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図7】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板、下板凹部構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図8】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(下板にセンターピン構造を設ける)の垂直断面図及び平面断面図。
【図9】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(下板はピン構造、上板はピンを受ける凹部構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図10】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板は凸部構造、下板はピン構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図11】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(下板はピン構造、上板は凸部構造かつピンを受ける凹部構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図12】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板、下板は凹部構造で下板はピン構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図13】本発明の他の実施例のフィルタ装着構造(上板は凹部構造かつピンを受ける凹部構造、下板は凹部構造かつピン構造)の垂直断面図及び平面断面図。
【図14】遠心ディスクデバイスを用いて200(IU/ml)のRNAを抽出したときのフィルタの重量と核酸の回収量(%)との関係図。
【図15】傘状のフィルタを実施例9の装着構造に応用した装着構造の断面図。
【図16】盤上に複数のマイクロチャンネル、反応チャンバー、試薬貯蔵器が加工された円盤の構造を用いて、遠心力を送液手段として、流体を移動させ、特定成分を抽出するための化学分析装置の平面図。
【図17】図16のデバイスで特定成分を抽出するフィルタの装着部の拡大図。
【符号の説明】
101;筐体、102;円盤状構造体、103;固定部材、104;操作用パネル、201;核酸吸着部、202;多孔質フィルタ装着部、203;溶離液回収ポート、1;フィルタ装着部、2;ガラスフィルタ、3;多孔質フィルタ、4;流路、5;液流れ方向、6;核酸結合担体装着部、7;反応ポート、8;廃液ポート、9;凸部、10;ピン、11;傘状のガラスフィルタ。
Claims (9)
- 検体中の核酸を捕捉する核酸吸着部が、該吸着部底部にシート状核酸結合担体を多層に装着できるように凹部を設けたデバイス下板、該吸着部の周壁が該核酸結合担体を水平にした状態でデバイスに装着できるように加工されており、水平方向に多層に積層された核酸結合担体をデバイスの上板と下板で挟み込んで、該核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮、固定させた核酸結合担体を装着した核酸吸着部を有することを特徴とする化学分析装置。
- 核酸結合担体を装着した核酸吸着部と核酸吸着部へ連通する流路上流との接合部、および核酸吸着部と核酸吸着部から他部へ連通する流路下流との接合部に平面的にR部(曲部)を設けることを特徴とする請求項1に記載の化学分析装置。
- 核酸吸着部の上部のデバイス上板に凸型の構造(突起)を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の化学分析装置。
- 核酸吸着部の上部のデバイス上板に凹部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の化学分析装置。
- 核酸吸着部の底部のデバイス下板の中央部に円柱状のピンが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の化学分析装置。
- シート状核酸結合担体が傘状であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の化学分析装置。
- 核酸吸着部が回転可能な円盤状体にあることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の化学分析装置。
- 検体中の核酸を捕捉する核酸吸着部底部に円形のシート状核酸結合担体を水平方向に多層に積層し、該核酸結合担体をデバイスの上板と下板で挟み込み、該核酸結合担体をデバイス面の垂直方向に圧縮し、固定した核酸結合担体を装着した核酸吸着部に、核酸を有する検体を流し、該核酸結合担体に核酸を結合させる工程を有することを特徴とする化学分析方法。
- 回転可能に支持した円盤状構造体中に核酸吸着部を含む化学分析装置が組み込まれ、該円盤状構造体を回転させることにより生じる遠心力により、核酸を有する検体、洗浄液、および溶離液を該核酸吸着部中を送液することを特徴とする請求項8に記載の化学分析方法。
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-
2002
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