JP2012047506A - 波面収差測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 被検光学系を精度良く測定できる波面収差測定装置を提供する。
【解決手段】 被検光学系(20)の収差を測定する波面収差測定装置(100)は、第1波長とこの第1波長と異なる第2波長との光束を被検光学系に照射する光源(11)と、X軸及びY軸方向に二次元に配列された複数の画素を有し、これら複数の画素で第1波長及び第2波長の光束をそれぞれ受光する検出手段(34)と、被検光学系と検出手段との間に配置され、被検光学系から照射された光束を検出手段上に二次元に所定間隔で分布する複数の光束に形成する光束形成部(33)と、光束形成部の近傍に複数の光束に対応するように配置され、第1波長及び第2波長が通過する第1領域と第2波長を遮光する第2領域とをそれぞれ複数有する波長フィルター(32)と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学素子又は複数の光学素子からなる光学系の収差を測定するための装置に関する。特に収差特性を高精度に測定できるハルトマン方式又はシャックハルトマン方式の波面収差測定装置に関するものである。
光学素子等の結像性能等の光学特性を評価するための測定装置として、ハルトマン方式又はシャックハルトマン方式などの測定装置が使われている。シャックハルトマン方式の測定装置は被検光学系で集光された光束をコリメータレンズで平行光とし、その平行光をマイクロレンズアレイに入射させる。そしてマイクロレンズアレイと被検面とがほぼ共役に配置されると、マイクロレンズアレイの一つのレンズレットは被検面の一領域に対応する。マイクロレンズアレイを通して瞳分割された複数のスポット像は二次元の検出手段上で結像する。二次元の検出手段で検出した各々のスポット像の位置のズレから、被検光学系の収差量が算出される。
波面を高精度で測定するためには、マイクロレンズアレイのレンズレットを密に配置させ、測定点を多くすることと、レンズレット焦点距離を長くし、波面傾斜に対する位置ずれ量を大きくすることが好ましい。この時に、測定装置内の光学系の収差等の影響により被検面の一領域が他の被検面の一領域までずれてしまい、レンズレットと測定点の一対一対応がとれなくなることがある。
このような問題を解決するために、特許文献1は、マイクロレンズアレイの各レンズレットを通過する光強度に明暗を付けることで、どのレンズレットを通過したスポット像であるかを区別するようにしている。
特開2004−317375号公報
しかし、レンズレットを通過する光強度が弱くなったスポット像ではS/N比が悪くなり、被検光学系を高精度に評価することが困難になる。また測定装置の光学系の一部に埃などが付着したりすると、その埃が付着した領域が光強度が弱くなったスポット像と判断してしまうおそれがある。
そこで、本発明の目的は、被検光学系を精度良く測定できる波面収差測定装置を提供することにある。
本観点の波面収差測定装置は、被検光学系の収差を測定する波面収差測定装置において、第1波長とこの第1波長と異なる第2波長との光束を被検光学系に照射する光源と、X軸及びY軸方向に二次元に配列された複数の画素を有し、これら複数の画素で第1波長及び第2波長の光束をそれぞれ受光する検出手段と、被検光学系と検出手段との間に配置され、被検光学系から照射された光束を検出手段上に二次元に所定間隔で分布する複数の光束に形成する光束形成部と、光束形成部の近傍に複数の光束に対応するように配置され、第1波長及び第2波長が通過する第1領域と第2波長を遮光する第2領域とをそれぞれ複数有する波長フィルターと、を備える。
本発明は、精度良い波面収差測定ができる波面収差測定装置を提供することができる。
波面収差測定装置100の概略構成図である。 (a)は、波長フィルター32、光束形成部33、検出手段34、フレーム37及びXYステージ35の概略断面図である。 (b)は、検出手段34の領域34aの概略平面図である。 (c)は、図2(b)の領域34bの拡大図である。 (a)は、ダイナミックレンジを重視した波長フィルター32の概略平面図である。 (b)は、図3(a)の波長フィルター32を透過した青の波長のSHスポット33bが示されている検出手段34の概略平面図である。 (c)は、図3(a)の波長フィルター32を透過した緑の波長のSHスポット33bが示されている検出手段34の概略平面図である。 (a)は、高精度に検出する場合の波長フィルター32の概略平面図である。 (b)は、図4(a)の波長フィルター32を透過した青の波長のSHスポット33bが示されている検出手段34の概略平面図である。 被検光学系20の波面収差測定の手順を示したフローチャートである。 (a)は、青の波長を検出する場合の波長フィルター32、光束形成部33、検出手段34、フレーム37及びXYステージ35の概略断面図である。 (b)は、緑の波長を検出する場合の波長フィルター32、光束形成部33、検出手段34、フレーム37及びXYステージ35の概略断面図である。 波長フィルター32、光束形成部33及び検出手段134の概略図である。 波面収差測定装置200の概略構成図である。
(第1実施例)
第1実施例として、シャックハルトマン方式の波面収差測定装置100について説明する。
<波面収差測定装置100>
図1は、波面収差測定装置100の概略構成図である。波面収差測定装置100は、主に、照明光学系10と、被検光学系20と、検出光学系30とにより構成される。照明光学系10は光を発してこの光を被検光学系20に導き、被検光学系20には検査される被検レンズ等が配置され、検出光学系30は被検光学系20を通った光束を検出して被検光学系20の波面収差を測定する。以下、波面収差測定装置100に関して、照明光学系10、被検光学系20及び検出光学系30の光軸方向をZ軸方向とし、Z軸に垂直で互いに直交する軸をX軸及びY軸として説明する。
照明光学系10は、照明11、光源用コンデンサーレンズ12、ピンホール板13及びコリメータレンズ14を含んでいる。照明11は複数の波長を含んだ光、例えば白色光を発する。照明11を発した光は光源用コンデンサーレンズ12を透過してピンホール板13に形成されているピンホールを通過する。その後、光束はコリメータレンズ14を透過して被検光学系20に照射される。
被検光学系20には、被検レンズ等の波面収差が測定される光学部品が配置される。
検出光学系30は、コリメータ光学素子31、波長フィルター32、光束形成部33、検出手段34、フレーム37、XYステージ35及び移動手段36を含んでいる。被検光学系20を通った光束は、コリメータ光学素子31及び波長フィルター32を透過する。波長フィルター32はコリメータ光学素子31と光束形成部33との間に配置されている。波長フィルター32は光束形成部33の近傍又は接するような位置に配置されることが好ましい。波長フィルター32は第1波長及び第1波長とは異なる第2波長が通過する第1領域32a(図3及び図4を参照)と第1波長を透過し第2波長を遮光する第2領域32b(図3及び図4を参照)とをそれぞれ複数有している。
そのため波長フィルター32を通過する光束は、第1波長及び第2波長を含んだ光束と第1波長を含み第2波長を含まない光束とに分けられる。波長フィルター32を通過した光束は、光束形成部33に入射する。光束形成部33はマイクロレンズであるレンズレット33a(図2(a)参照)を複数有しているマイクロレンズアレイを含む。レンズレット33aの大きさ及び配置は、波長フィルター32に形成されている第1領域32a及び第2領域32bを通過する光束に対応している。光束形成部33の各レンズレット33aを透過した光束は、検出手段34に入射する。
検出手段34は検出した光束の位置及び光量の情報を計算部40に送る。計算部40では検出手段34で検出されたデータが解析される。また計算部40は、検出光学系30及びXYステージ35の移動量を算出する移動量算出手段であり、XYステージ35及び検出光学系30の位置を制御することができる。また、光束形成部33と検出手段34とはフレーム37により互いに固定されており、フレーム37に接続されたXYステージ35を移動させることにより光束形成部33及び検出手段34とコリメータ光学素子31との相対位置の調整を行うことができる。さらに、検出光学系30は移動手段36によってX、Y及びZ軸方向に移動させることができ、被検光学系20との相対位置を変えることができる。
図2(a)は、波長フィルター32、光束形成部33、検出手段34、フレーム37及びXYステージ35の概略断面図である。光束形成部33は複数のレンズレット33aからなる。各レンズレット33aは、直径W1の大きさで形成されている。直径W1は例えば100μmである。
波長フィルター32には、第1領域32a及び第2領域32bの2つの領域が形成されている。第1領域32aは緑の波長である第1波長と赤のみ、青のみ又は赤及び青の両方の波長のいずれかである第2波長とを透過する領域である。第2領域32bは第1波長を透過して第2波長を遮光する領域である。本実施例では、第1領域32aは緑の波長、赤の波長及び青の波長の3色を透過させる領域として説明する。また、第2領域32bは緑の波長及び赤の波長の2色を透過させ、青の波長は遮光させる領域として説明する。
第1領域32a及び第2領域32b(XY方向)は、例えばレンズレット33aの大きさ(XY方向)とほぼ同じであり、第1領域32a及び第2領域32bの1辺が長さW1の正方形に形成される。また、第1領域32a及び第2領域32bとレンズレット33aとは互いの中心軸が一致するように配置されている。
検出手段34は光束形成部33のレンズレット33aの焦点面に配置されている。検出手段34は、例えばカラーCCD又はカラーCMOSセンサーにより構成される。検出手段34は例えば100万画素からなり、波長フィルター32の各領域又は各レンズレット33aに対応する領域34a(図2(b)参照)が規定される。
図2(b)は、検出手段34の領域34aの概略平面図である。図2(b)では、波長フィルター32の一領域又は一つのレンズレット33aに対応した検出手段34の領域34aが示されている。領域34aは一辺の長さがW1の正方形で示されている。一つのレンズレット33aの像であるシャック・ハルトマンスポット(以下SHスポットと呼ぶ。)33bがこの領域34aの中に結像する場合には、レンズレット33aと領域34aとの対応を一致させることができる。しかし、領域34aにSHスポット33bが検出されない場合又は一つの領域34aの中に複数のSHスポット33bが検出される場合がある。
上記の場合には、被検光学系20と検出光学系30との相対位置関係(X,Y,Z軸方向)のずれてしまっていることがある。被検光学系20と検出光学系30との相対位置関係のずれを小さくすると、コリメータ光学素子31及び波長フィルター32で発生する収差の影響を小さく抑えることができる。そのため、被検光学系20の収差を精度良く算出することができる。また、被検光学系20と検出光学系30の間に校正開口ピンホールを置き校正データを予め取得している場合は、校正データ取得時の相対位置関係に近付けることで、高精度の校正が行える。そのため、被検光学系20の収差を精度良く算出することができる。
図2(c)は、図2(b)の領域34bの拡大図である。領域34bには、多数のフォトダイオード(受光素子)50が敷き詰められている。各フォトダイオード50の寸法W2は、例えば2μmである。この場合は、領域34aには一辺に50個のフォトダイオード50が形成されることになり、領域34a内には2500個のフォトダイオード50が形成されることになる。
また各フォトダイオード50は、緑、赤又は青のいずれかの波長の光のみを検出するフィルターと共に形成されている。例えば図2(c)では、各フォトダイオード50が受光する光束の波長を「G」、「R」、「B」で示している。「G」は緑、「R」は赤、「B」は青の波長の光束を透過し、各フォトダイオード50は記載された波長の光束を検出することを示している。一般に、緑、赤又は青の配列は、図2(c)に示されるように、緑「G」はX軸及びY軸方向に一つ置きに、赤「R」及び青「B」はX軸、Y軸及びX軸とY軸との中間の斜め方向に一つ置きに形成されている。このような配列はベイヤ配列と呼ばれる。図2(c)では1つの画素領域34Cを斜線の領域で示している。2つの「G」と1つの「R」及び「B」とで1つの画素領域34Cを構成する。すなわち1つの画素領域34Cは、第1波長及び第2波長のいずれをも検出することができる。検出手段34は、その領域34aにおいて、第1波長及び第2波長のいずれのSHスポット33bであっても、どの位置(XY平面)で集光しているか検出できる。
<波長フィルター32>
図3に示された波長フィルター32A及び図4に示された波長フィルター32Bを使って被検光学系20と検出光学系30との相対位置関係を所定範囲内に収束させる方法について説明する。理解を助けるため、光束形成部33のレンズレット33aが5×5に配置され、波長フィルター32A及び波長フィルター32Bのそれぞれの第1領域32a及び第2領域32bも5×5に配置されていると仮定として説明する。
図3(a)は、ダイナミックレンジを重視した波長フィルター32Aの概略平面図である。本明細書では、SHスポット33bが本来の位置から大きくずれてしまっても、どのレンズレット33aのSHスポット33bであるかを確認できることをダイナミックレンジが広いという。波長フィルター32Aはダイナミックレンジが後述する波長フィルター32Bと比べて広いフィルターである。
図3(a)中の点線の円は1つのレンズレット33aを示しており、各レンズレット33aは波長フィルター32の第1領域32a又は図3(a)に斜線で示される第2領域32bと対応している。第1領域32aは、緑の波長、赤の波長及び青の波長の3色を透過させる。第2領域32bは緑の波長及び赤の波長の2色を透過させ、青の波長を遮光する。波長フィルター32Aでは、第2領域32bはX軸、Y軸及びX軸とY軸との中間の斜め方向に一つ置きに配置されており、第1領域32aは第2領域32b以外の領域に配置されている。
図3(b)は、図3(a)の波長フィルター32Aを透過した青の波長のSHスポット33bが示されている検出手段34の概略平面図である。図3(b)に示されている検出手段34は、図3(a)に示されている波長フィルター32AとX軸方向及びY軸方向の位置が一致している。また、図3(b)に実線の小さな正方形で示された領域34aは一つのレンズレット33aと対応している。図3(b)の中に示されている黒点は、第1領域32a及びレンズレット33aを透過した青の波長の光束のSHスポット33bを示している。
青の波長の光束は第1領域32aのみを透過する。従って、図3(a)の第1領域32aを透過した青の波長のSHスポット33bは、検出手段34の25個の領域34aにX軸、Y軸及びX軸からY軸に45度傾いた斜め方向に一つ置きに形成される。つまり、検出手段34には9つの青の波長のSHスポット33bが隣り合わない状態で形成される。図3(b)の中に示されている9つのSHスポット33bのうち数個のSHスポット33bは、隣の領域34aに形成されている。このように青の波長のSHスポット33bが本来の位置から大きくずれてしまっても、どのレンズレット33aからの光束が形成されていたか特定できる。
つまり、図3(b)の点線で囲まれる範囲で1つの青の波長のSHスポット33bが検出されれば、あるレンズレット33aに対応する青の波長のSHスポット33bが特定される。そのため、図3(b)に示した1つのSHスポット33bは、領域34aの4倍の面積の中に存在すれば良いことになる。波面の一次微分である波面傾斜を考えると、図3(a)に示した波長フィルター32は、波長フィルター32Aを用いない場合に比べてSHスポット33bのダイナミックレンジは波面傾斜換算で2倍になる。
検出手段34が9つの青の波長のSHスポット33bの位置を検出し、計算部40がこの検出結果から波面収差を計算する。波面収差からデフォーカス成分とチルト成分とが求められる。このデフォーカス成分とチルト成分とに基づいて、移動手段36は検出光学系30の位置を調整する。この波面収差、デフォーカス成分及びチルト成分は計算部40により計算される。
図3(c)は、図3(a)の波長フィルター32Aを透過した緑の波長のSHスポット33bが示されている検出手段34の概略平面図である。赤の波長のSHスポット33bも同様に検出されるが、緑の波長のSHスポット33bを使って以下説明する。また、図3(c)は検出光学系30の位置を調整した後の状態である。このため、緑の波長の25個のSHスポット33bは、それぞれ対応する検出手段34の25個の領域34aに形成されている。
図3(c)と図3(b)とは示されている緑の波長のSHスポット33bと青の波長のSHスポット33bとが異なるだけで、検出手段34は同じである。緑の波長は波長フィルター32の第1領域32a及び第2領域32bを透過し、検出手段34上に緑の波長のSHスポット33bを形成する。図3(b)に示された青の波長のSHスポット33bよりも図3(c)に示された緑の波長のSHスポット33bの数の方が多い。このため、緑の波長のSHスポット33bを用いることにより、計算部40は波面収差、デフォーカス成分及びチルト成分をより詳細に計算することができる。
図3(a)に示された波長フィルター32Aは、青の波長の透過領域を少なくし、一つの青の波長のSHスポット33bの検出領域を広くする、つまりダイナミックレンジを広くした。他方、青の波長のSHスポット33bに大きなずれが無い可能性が高い時には、青の波長の透過領域を多くして青の波長のSHスポット33bを多くして、より高精度に被検光学系20と検出光学系30との相対位置関係を検出することができる。
以下、図4を参照して、高精度に被検光学系20と検出光学系30との相対位置関係検出する波長フィルター32Bについて説明する。
図4(a)は、高精度に被検光学系20と検出光学系30とを調整する場合の波長フィルター32Bの概略平面図である。図4(a)中の点線の円は1つのレンズレット33aを示しており、各レンズレット33aは波長フィルター32Bの第1領域32aまたは第2領域32bと対応している。図3(a)の波長フィルター32Aと同様に、第1領域32aは、緑の波長、赤の波長及び青の波長の3色を透過させる。第2領域32bは緑の波長及び赤の波長の2色を透過させ、青の波長を遮光する。図4(a)に示された波長フィルター32Bは、第1領域32a及び第2領域32bがX軸方向及びY軸方向に交互に配置されている。
図4(b)は、図4(a)の波長フィルター32Bを透過した青の波長のSHスポット33bが示されている検出手段34の概略平面図である。図4(b)に示されている検出手段34は、図4(a)に示されている波長フィルター32BのX軸方向及びY軸方向の位置が一致している。また、図4(b)に実線の正方形で示された領域34aは一つのレンズレット33aに対応している。図4(b)の中に示されている黒点は、レンズレット33aを透過した青の波長のSHスポット33bを示している。
青の波長は第1領域32aのみを透過する。従って、図4(a)の第1領域32aを透過した青の波長のSHスポット33bは、検出手段34上のX軸及びY軸方向に一つ置きに配置される。図4(b)の中に示されている13個のSHスポット33bのうち数個のSHスポット33bは、隣の領域34aに形成されている。このように青の波長のSHスポット33bが本来の位置から大きくずれてしまっても、どのレンズレット33aからの光束が形成されていたか特定できる。
つまり、図4(b)の点線で囲まれる範囲で1つの青の波長のSHスポット33bが検出されれば、あるレンズレット33aに対応する青の波長のSHスポット33bが特定される。そのため、図4(b)に示した1つのSHスポット33bは、領域34aの2倍の面積の中に存在すれば良いことになる。また、青の波長のSHスポット33bの数は図3(a)の波長フィルター32Aに比べて約1.4倍である。つまり、図4(a)に示した波長フィルター32は、波長フィルター32Bを用いない場合に比べてSHスポット33bのダイナミックレンジは波面傾斜換算で1.4倍になる。また、図4(a)の波長フィルター32Bは、図3(a)の波長フィルター32Aに比べて、ダイナミックレンジが約0.7倍である。
検出手段34は、13個の青の波長のSHスポット33bの位置を検出し、計算部40がこの検出結果から波面収差を計算する。このため、波長フィルター32Bを使った精度は、図3(a)の波長フィルター32Aに比べて、約1.2倍向上させることができる。
緑の波長に関しては、図3(c)に示した場合と同様であるため詳細な説明は省略する。
<波面収差測定手順>
図5は、被検光学系20の波面収差測定の手順を示したフローチャートである。
まず、ステップS101で、被検光学系20に被検レンズが配置される。
更に、ステップS102で、照明11が点灯される。
ステップS103からステップS105では、青の波長を用いて検出光学系30の位置の粗調整を行う。
ステップS103で、基準位置(x1,y1)が取得される。さらに、XYステージ35をX軸及びY軸方向に移動させ、計測位置(x2,y2)における青の波長のSHスポット33bの光量分布が求められる。基準位置(x1,y1)は、コリメータ光学素子31及び被検光学系20の焦点面FP(図1参照)に校正開口を設けて光量分布を測定することにより取得される。
図6(a)は、青の波長を検出する場合の波長フィルター32、光束形成部33、検出手段34、フレーム37及びXYステージ35の概略断面図である。被検レンズ及びコリメータ光学素子31を透過した波面60を有する光束は波長フィルター32に向かう。波長フィルター32では第2領域32bで青の波長が遮光され、第1領域32aを青の波長が透過する。
波長フィルター32を透過した青の波長は光束形成部33に入射し、各レンズレット33bは検出手段34にSHスポット33bを形成する。XYステージ35の右側の図は検出手段34で検出される青の波長のSHスポット33bのY軸方向への光量分布を示している。図中のV方向には光量の強度が示されている。光束が理想的な被検レンズを通過した場合は、波長フィルター32に入射する光の波面60は平行にそろっており、検出手段34では等間隔に並んだSHスポット33bが検出される。しかし、実際の波面60は平行ではないため、検出手段34で検出されるSHスポット33bは等間隔に並んでいない。
ステップS104では、波面収差が計算され、デフォーカス成分とチルト成分とが求められる。波面収差は、基準位置(x1,y1)及び計測位置(x2,y2)の光量分布を元にして求められる。ステップS104で求められるデフォーカス成分とチルト成分とにより修正された新たな基準座標を第2計測位置(x3,y3)とする。この時、基準位置から第2計測位置への移動量である第1移動量は、移動量算出手段の機能を有する計算部40で計算される。
ステップS105で、検出光学系30がデフォーカス成分とチルト成分とに基づいてZ軸方向及びXY軸方向に移動させられ、第2計測位置(x3,y3)に合わせられる。
ステップS105では、より適切な第2計測位置を求めるために、ステップS103に戻り、ステップS103からステップS105を繰り返し行っても良い。例えば、SHスポット33bの平均移動量が、長さW1の10分の1以上の時はステップS103に戻り、長さW1の10分の1未満になった時にステップS106に進むように設定することができる。
ステップS106からステップS108では、緑の波長を用いて検出光学系30の位置の微調整を行う。
ステップS106で、第2計測位置(x3,y3)に配置された検出光学系30で緑の波長のSHスポット33bの光量分布が計測される。
図6(b)は、緑の波長を検出する場合の波長フィルター32、光束形成部33、検出手段34、フレーム37及びXYステージ35の概略断面図である。波長フィルター32では全ての領域で緑の波長の光束は透過される。また、ステップS103からステップS105により検出手段34上の全ての領域34aはそれぞれ1つずつのSHスポット33bを検出する。
ステップS107では、波面収差が計算され、デフォーカス成分とチルト成分とが求められる。波面収差は、検出光学系30の基準位置(x1,y1)及び第2計測位置(x3,y3)の光量分布を元にして求められる。ステップS107で求められるデフォーカス成分とチルト成分とにより修正された計測位置を第3計測位置(x5,y5)とする。この時、第2計測位置から第3計測位置への移動量である第2移動量は、移動量算出手段の機能を有する計算部40で計算される。ステップS103からステップS105では検出光学系30の粗調整が行われ、ステップS106からステップS108では検出光学系30の微調整が行われるため、第2移動量は第1移動量よりも小さい値となっている。
ステップS108で、検出光学系30がデフォーカス成分とチルト成分とに基づいてZ軸方向及びXY軸方向に移動させられ、第3計測位置(x5,y5)に合わせられる。ステップ108でもステップS105と同様に、より適切な第3計測位置を求めるために、ステップS106に戻り、ステップS106からステップS108を繰り返し行っても良い。
ステップS109及びステップS110では、緑の波長を用いて被検光学系20の波面収差が求められる。
ステップS109で、第3計測位置(x5,y5)に配置された検出光学系30で緑の波長のSHスポット33bの光量分布が計測される。
ステップS110で、計算部40は被検光学系20の波面収差を計算する。波面収差は、検出光学系30の第3計測位置(x5,y5)の光量分布を元にして計算される。
<3CCD>
波面収差測定装置100では、様々な構成の変更も可能である。例えば、検出手段34には1つのカラーCCDセンサ又はカラーCMOSセンサが使用されたが、3CCDが使用されても良い。以下に3CCDを用いた検出手段134について説明する。
図7は、波長フィルター32、光束形成部33及び検出手段134の概略構成図である。検出手段134は3CCDにより構成されている。検出手段134の3CCDは3つのCCDセンサ及び3枚のダイクロイックミラーを有している。3CCDは、まず3CCDに入射する光束を3枚のダイクロイックミラーにより赤、青及び緑の波長の光束に分離し、各CCDセンサがそれぞれ異なる波長の光束を受光する。
波長フィルター32及び光束形成部33を通過した光束は、3CCDの第1ダイクロイックミラー134Aに入射する。第1ダイクロイックミラー134Aは−Z軸側の面では赤、青及び緑の波長の光束が透過される。これらの光束は、次に第2ダイクロイックミラー134Bに入射する。第2ダイクロイックミラー134Bの−Z軸側の面では、青の波長の光束LW11が反射され、赤及び緑の波長の光束が透過される。青の波長の光束LW11はさらに第1ダイクロイックミラー134Aの+Z軸側の面で反射され、CCDセンサ134bに入射する。第2ダイクロイックミラー134Bを透過した赤及び緑の波長の光束は、第3ダイクロイックミラー134Cに入射する。第3ダイクロイックミラー134Cの−Z軸側の面では、赤の波長の光束LW12が反射され、緑の波長の光束LW13が透過される。赤の波長の光束LW12はさらに第2ダイクロイックミラー134Bの+Z軸側の面で反射され、CCDセンサ134cに入射する。第3ダイクロイックミラー134Cを透過した緑の波長の光束LW13はCCDセンサ134aに入射する。
以上のように、3CCDでは、3つのCCDにより赤、青及び緑の波長の光束をそれぞれ受光することにより、図2で説明したCCDよりも高精度に光束の出力と検出位置とを求めることができる。
(第2実施例)
波面収差測定装置100では、光学系がダブルパス計測を行うことができるように配置されても良い。ダブルパス計測では、照明光学系と被検光学系とのカップリングに左右されず、被検物に依存せずに同一光量(S/N)のSHスポットを得ることができる。また、発生する収差が理想的には2倍になるため、微小な収差を計測しやすくなる。以下に、ダブルパス計測を行うことができるように光学系が配置された波面収差測定装置200について説明する。
<波面収差測定装置200>
図8は、波面収差測定装置200の概略構成図である。波面収差測定装置200は、主に、照明光学系210と、被検光学系220と、検出光学系230と、により構成される。照明光学系210は光を発して被検光学系220に導き、被検光学系220には検査されるレンズ等が配置され、検出光学系230は被検光学系220を通った光束を検出して被検光学系220の波面収差を測定する。以下説明のために、被検光学系210の光軸方向をZ軸方向とし、検出光学系230の光軸方向をY軸方向とし、Z軸方向とY軸方向とに垂直な方向をX軸方向とする。しかし、各光学系の配置はこの配置に限定されない。
照明光学系210は、照明211、光源用コンデンサーレンズ212、ピンホール板213、コリメータレンズ214、ビームスプリッタ215、コンデンサーレンズ216a及び216bを含んでいる。照明211は複数の波長を含んだ光、例えば白色光を発する。照明211を発した光は光源用コンデンサーレンズ212を透過してピンホール板213に形成されているピンホールを通過する。その後、光束はコリメータレンズ214を透過してビームスプリッタ215に入射する。ビームスプリッタ215では、光束を+Z軸方向に向かう光束と、−Y軸方向に向かう光束とに分ける。+Z軸方向に向かう光束はさらにコンデンサーレンズ216aを透過して被検光学系220に向かう。−Y軸方向に向かう光束はコンデンサーレンズ216bを透過して検出光学系230に向かう。
被検光学系220には、レンズ及びミラー等の波面収差が測定される光学部品が配置される。被検光学系220は、被検レンズ221及び被検レンズ221を透過した光束を再び被検レンズ221に反射する反射ミラー222を備え、被検レンズ221の波面収差を計測することができる。また、被検光学系220には被検レンズ221及び反射ミラー222の代わりに被検ミラー223を配置して、被検ミラー223の波面収差を測定しても良い。
検出光学系230は、コリメータ光学素子231、波長フィルター232、光束形成部233、検出手段234、フレーム237、XYステージ235及び移動手段236を含んでいる。また、検出手段234、XYステージ235及び移動手段236は計算部240に接続される。計算部240は移動手段236による検出光学系230の移動量を算出する移動量算出手段である。また、検出手段234で検出されたデータは計算部240で解析され、XYステージ235及び検出光学系230は計算部240を通してその位置を制御することができる。検出光学系230の構成は検出光学系30の構成と同様であるため詳細な説明は省略する。
波面収差測定装置200においても、図5で説明した手順に従うことで、検出光学系230の波面収差を計算することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、第1実施例又は第2実施例の波面収差測定装置100及び200は、光束形成部33及び233にレンズレット33aの集合体であるマイクロレンズアレイを使用したシャックハルトマン方式を説明した。しかし、レンズレット33aの集合体の代わりに二次元に配列した複数の開口を有するマスクを使用したハルトマン方式の収差測定装置にも適用できる。さらに二次元に配列した複数の開口を有するマスクに位相シフターを取り付けた位相シフトマスクを使用したハルトマン方式の収差測定装置にも適用できる。
また、波面収差測定装置100では、コリメータ光学素子31及び被検光学系20の焦点面FPにピンホール板を配置して点光源を検出光学系30に照射することにより、点光源以前の光学系の収差をキャンセルできるため、コリメータ光学素子31及び光束形成部33の収差を求めることができる。同様に波面収差測定装置200においてもコリメータ光学素子231及び照明光学系210の間にある焦点面FPにピンホール板を配置して点光源を検出光学系30に照射することにより、コリメータ光学素子231及び光束形成部233の収差を求めることができる。
また、波面収差測定装置100は、XYステージ35を有していたが必ずしも有している必要はない。XYステージ35を有しない場合には、図5のステップS103で、基準位置(x1,y1)に基づいて青の波長のSHスポット33bの光量分布を求めればよい。
10、210 … 照明光学系
11、211 … 照明
12、212 … 光源用コンデンサーレンズ
13、213 … ピンホール板
14、214 … コリメータレンズ
20、220 … 被検光学系
30、230 … 検出光学系
31、231 … コリメータ光学素子
32、232 … 波長フィルター
32a … 第1領域
32b … 第2領域
33、233 … 光束形成部
33a … レンズレット
33b … シャック・ハルトマンスポット像
34、134a、134b、134c、234 … 検出手段
34a … レンズレット33aに対応した検出手段34の領域
34c … 画素
35、235 … XYステージ
36、236 … 移動手段
37、237 … フレーム
40、240 … 計算部
50 … CCD
60 … 波面
100、200 … 波面収差測定装置
FP … 焦点面

Claims (9)

  1. 被検光学系の収差を測定する波面収差測定装置において、
    第1波長とこの第1波長と異なる第2波長との光束を前記被検光学系に照射する光源と、
    X軸及びY軸方向に二次元に配列された複数の画素を有し、これら複数の画素で前記第1波長及び前記第2波長の光束をそれぞれ受光する検出手段と、
    前記被検光学系と前記検出手段との間に配置され、前記被検光学系から照射された光束を前記検出手段上に二次元に所定間隔で分布する複数の光束に形成する光束形成部と、
    前記光束形成部の近傍に前記複数の光束に対応するように配置され、前記第1波長及び前記第2波長が通過する第1領域と前記第2波長を遮光する第2領域とをそれぞれ複数有する波長フィルターと、
    を備える波面収差測定装置。
  2. 前記波長フィルターは前記X軸又はY軸方向に前記第2領域が隣り合わないように配置している請求項1に記載の波面収差測定装置。
  3. 前記X軸方向、前記Y軸方向、前記X軸及びY軸方向に交差するZ軸方向及び前記Z軸から傾けるチルト方向に、前記光束形成部及び前記検出手段と前記被検光学系とを相対的に移動させる移動手段を備える請求項1又は請求項2に記載の波面収差測定装置。
  4. 前記第1領域を通過した前記第2波長の光束の分布によって前記移動手段による第1移動量を算出する移動量算出手段を備える請求項3に記載の波面収差測定装置。
  5. 前記被検光学系と前記光束形成部との間に配置され、前記被検光学系からの光束をコリメートするコリメータ光学素子を有し、
    前記移動手段によって前記コリメータ光学素子、前記光束形成部及び前記検出手段と前記被検光学系とを相対的に前記第1移動量だけ移動させた後、前記第1領域及び前記第2領域を通過した前記第1波長の光束の分布によって前記移動量算出手段は前記第1移動量より小さい第2移動量を算出する請求項4に記載の波面収差測定装置。
  6. 前記被検光学系と前記光束形成部との間に配置され、前記被検光学系からの光束をコリメートするコリメータ光学素子を有し、
    前記移動手段によって前記コリメータ光学素子、前記光束形成部及び前記検出手段と前記被検光学系とを相対的に前記第1移動量だけ移動させた後、前記第1領域及び前記第2領域を通過した前記第1波長の光束の分布によって前記被検光学系の収差を算出する請求項4に記載の波面収差測定装置。
  7. 前記移動手段によって前記コリメータ光学素子、前記光束形成部及び前記検出手段と前記被検光学系とを相対的に前記第2移動量だけ移動させた後、前記第1領域及び前記第2領域を通過した前記第1波長の光束の分布によって前記被検光学系の収差を算出する請求項5に記載の波面収差測定装置。
  8. 前記第1領域を通過した1つ光束に対して、前記検出手段の複数の画素が前記第1波長及び前記第2波長の光束を検出する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の波面収差測定装置。
  9. 前記光束形成部は、開口部を有するマスク、マイクロレンズアレイ、又は開口部を有する位相シフトマスクを含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の波面収差測定装置。
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