JP2012047253A - 超高圧の耐圧シール装置 - Google Patents

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【課題】オートフレッジ加工用の増圧シリンダのピストンのシール装置を提供する。
【解決手段】前記ピストンヘッド(12')の外周面か、前記シリンダ(11)の内周面のいずれか一方に設けられた超高圧シール装置であって、該シール装置は、少なくとも、第1シールリング(45−1)、第1ブロック(43)、及び、第2シールリング(45−2)を具備し、前記第1シールリング(45−1)、及び、前記第2シールリング(45−2)は、いずれも、円周方向に亘って所定の軸方向深さを有する円環溝(48)が、ピストンヘッド(12')の加圧方向の対向面に設けられたシールリングであり、前記第1ブロック(43)には、高圧側からの作動油を、第2シールリング(45−2)の前記円環溝(48)に連通させる穴(47)が貫通している超高圧シール装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、超高圧装置のシール装置に関し、特に、オートフレッジ加工用の増圧シリンダのピストンのシール装置に関する。
特許文献1にみられるように、密閉状態で高圧をかけて材料組織に残留応力を残して強度をあげる加工方法(オートフレッテージ加工と称す)が知られている。
すなわち、オートフレッテージ加工では、ワークの内側においては塑性変形させるように、かつ、ワークの外側においては弾性変形させるものの塑性変形させないような高圧力をワーク内部に与えている。これによって、ワークに残留圧縮応力を付与し、ワークの耐圧疲労強度を増強させている。このような加工方法は、ディーゼルコモンレールシステム部品などの耐圧疲労強度が必要とされる部品の、疲労強度増強を目的とした残留圧縮応力付与に利用されている。
これまで、ウォータジェット用高圧シリンダ、高圧プランジャなどの高々300Mpa程度の高圧用のピストン、プランジャに使用するシールは知られている。特許文献2などに見られるように、Vシールリング(Vパッキン)を幾重にも重ねてシールしていたが、800MPaにも達する超高圧においては、耐久性に乏しく、直ぐに破損してしまい交換頻度が高くなり実用上問題となっていた。
特開2004−92551号公報 特開2008−164162号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、超高圧装置のシール装置に関し、特に、オートフレッジ加工用の増圧シリンダのピストンのシール装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ピストンヘッド(12')の外周面とシリンダ(11)の内周面との間で、超高圧の作動油の流出をシールするために、前記ピストンヘッド(12')の外周面か、前記シリンダ(11)の内周面のいずれか一方に設けられた超高圧シール装置であって、該シール装置は、少なくとも、第1シールリング(45−1)、第1ブロック(43)、及び、第2シールリング(45−2)を、ピストンヘッド(12')の加圧方向前方からこの順に具備し、前記第1シールリング(45−1)、及び、前記第2シールリング(45−2)は、いずれも、円周方向に亘って所定の軸方向深さを有する円環溝(48)が、ピストンヘッド(12')の加圧方向の対向面に設けられたシールリングであり、前記第1ブロック(43)には、高圧側からの作動油を、第2シールリング(45−2)の前記円環溝(48)に連通させる穴(47)が貫通している超高圧シール装置である。
これにより、第1、第2シールリングの円環溝48に内圧がかかることによって、シール内部から加圧され、リップ部が径方向に弾性変形することにより、シールすることが可能となった。さらに、第1ブロック(43)の存在により、シールリングを2段以上の多段にして、シールにかかる圧力を順番に下げてシールすることができ、800MPaにも達する超高圧においても、耐久性を有し、長期間に亘って破損することなく、充分なシールを行うことができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1シールリング(45−1)、及び、前記第2シールリング(45−2)の摺接面には、円周方向に微細な複数溝が形成されたラビリンス部が形成されていることを特徴とする。これにより、ラビリンス効果によっても充分なシールを行うことができる。
請求項3の発明は、請求項1、又は、2の発明を、ワーク(1)にオートフレッテージ加工を施す増圧シリンダに使用したものである。この場合に、800MPaにも達する超高圧においても、耐久性を有して、充分なシールを行うことができる。
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
高圧下でオートフレッテージ加工を施すワーク1の一例を模式的に示す説明図である。 本発明の一実施形態が使用された増圧シリンダを示す正面図である。 図2のA部の詳細図である。 本発明の一実施形態のシールの作動を説明する説明図である。 図2のB部の詳細図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施形態のシール装置に使用されるシールリングの円環溝48の断面形状の具体例を示している。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図1は、高圧下でオートフレッテージ加工を施すワーク1の一例を模式的に示す説明図である。高圧下でオートフレッテージ加工を施すワーク1の一例としては、特にディーゼルコモンレールシステム部品などの、耐圧疲労強度が必要とされる部品が挙げられる。その他、疲労強度増強を目的とした残留圧縮付与が必要とされる部品ならいずれもワークとなりうる。以下の説明では、ワーク1として、コモンレール配管、分岐管、高圧燃料噴射管等にオートフレッジ加工を施す場合を一例としてあげて、本発明の一実施形態を説明する。本発明のシール装置は、オートフレッテージ加工の増圧シリンダに限定されること無く、あらゆる超高圧装置のシールに適用できるものである。
本発明の一実施形態の超高圧装置のシール装置を説明する前に、まず、ワーク1に対するオートフレッジ加工を説明する。
図1において、ワーク1の上端部開口は、上端部封止部材10により封止され、ワーク1の下端部開口は、下端部封止管13が連結している。下端部封止管13の先端部13’は、円錐形状になっており、ワーク1の下端部開口をシールすることができるようになっている。下端部封止管13に中心部には、後述する増圧シリンダ11(単にシリンダともいう)から超高圧に昇圧された作動油2を送り込む連通路14が設けられている。ワーク1の配管口3は、シールピン5とキャップ4で密閉される。連通路14を介して、増圧シリンダ11で超高圧に昇圧された作動油2が送り込まれて、ワーク1の内部ICには、超高圧(多くの場合最大圧800MPa程度)の作動油2が充填され、オートフレッテージ加工が施される。
図2は、本発明の一実施形態が使用された増圧シリンダを示す正面図である。図3は、図2のA部の詳細図であり、本発明の一実施形態の高圧装置のシール装置の具体的構成の一例を示している。図5は、図2のB部の詳細図である。
基台28には、支持脚30が四方に4箇所に設けられており、基台28上には下部フランジ27が図示しないボルトで基台28に固定されている。下部フランジ27とヘッドカバー25によって、作動シリンダ23を上下から封止して、内部には作動ピストン26が装入されている。作動ピストン26には、上部と下部にウエアリング61が設けられており、中央に、樹脂性の耐圧シール62が設けられている。作動油圧は出入口32、33から流入・排出される。35は、フローティング構造であり、作動ピストン26とピストンロッド12との芯ずれを防止する。ピストンロッド12は、ヘッドカバー25中心部の穴内に設置されたシールを介して、ヘッドカバー25を貫通している。
ピストンロッド12の先端部は、増圧シリンダ11の下端側の加圧ピストンを構成している。下端側の加圧ピストンにおいては、図3に示すように、本発明の一実施形態を構成する超高圧装置のシール装置が設けられている。増圧シリンダ11の上端側にも、下端部封止管13の下端部に構成された、上端側のピストンヘッドが挿入されている。上端側のピストンヘッドは、可動しない。上端側のピストンヘッドにおいては、図5に示すようなシール装置が設けられている。上端側のピストンヘッドには、増圧シリンダ11から超高圧に昇圧された作動油2を送り込む連通路14が設けられている。
増圧シリンダ11は、強度アップするために多層の焼きバメ構造として、常に圧縮状態にしておくと良い。34は油漏れドレーン穴である。増圧シリンダ11用の作動油の装填は、連通路14を使用する。下端部封止管13は、途中適宜連結して、ワーク1の下端部開口をシールする。
作動シリンダ23、ヘッドカバー25、増圧シリンダ11をそれぞれ組み立てた後、下部フランジ27と上部フランジ24を、複数本のタイロッド20を使用してボルト21、21’で締め付けている。シリンダ動作確認ロッド31は、作動ピストン26の位置を確認するために設けたもので、リミットスイッチなどと連動するものである。
次に、図3を参照して、本発明の一実施形態の高圧装置のシール装置の具体的構成の一例を説明する。図2に示す場合では、ピストンロッド12の先端部は、増圧シリンダ11の下端側の加圧ピストンのピストンヘッド12’を構成し、下端側の加圧ピストンのピストンヘッド12’においては、本発明の一実施形態の超高圧装置のシール装置が設けられている。この場合に限らず、本発明の一実施形態の高圧装置のシール装置としては、丸棒状のピストンロッド(シール装置なし)に対して、増圧シリンダ11側に、図3と同様にして超高圧装置のシール装置が設けられていても良い。すなわち、本発明の実施形態の内には、ピストンヘッド12’の外周面とシリンダ11の内周面との間で、超高圧の作動油の流出をシールするために、前記ピストンヘッド12’の外周面か、前記シリンダ11の内周面のいずれか一方に設けられた超高圧シール装置が含まれる。
以下、図2に示す場合の超高圧装置のシール装置を説明する。
ピストンロッド12の先端部以外の外径は、増圧シリンダ11内径とほぼ等しくなっている。これに対して、ピストンロッド12の先端部であるピストンヘッド12’は、超高圧装置のシール装置を装備するために所定量縮径されている。図3の場合、超高圧装置のシール装置は、止め輪リング41、第1シールリング45−1、第1ブロック43、第2シールリング45−2、第2ブロック46、第3シールリング44から構成されている。本発明の一実施形態のシール装置は、少なくとも、第1シールリング45−1、第1ブロック43、及び、第2シールリング45−2は、ピストンヘッド12’の加圧方向前方からこの順に具備する。
第1シールリング45−1と第2シールリング45−2は同じ構成のものであって、2個に限らず、2個以上の複数個使用してよい。これらのシールリングやブロックは、ピストンヘッド12’側に対して、シールリング等の内径側で密着するように圧入で嵌め合わせされている。第1シールリング45−1、第2シールリング45−2、第3シールリング44は、ベリリウム銅、銅、リン青銅などの銅合金を使用する。止め輪リング41、第1ブロック43、第2ブロック46は、合金鋼が使用される。第1シールリング45−1と第2シールリング45−2とは、必ずしも全く同じでなくてもよく、寸法、材質、後述の円環溝形状等は適宜変更可能である。
止め輪リング41は、シールリングやブロックが抜け落ちないようにするためのもので、例えば、2つ割りにして、止め輪リング41の内径に設けられた突部55を、ピストンヘッド12’の先端に設けられた溝54に挿入される。止め輪リング41には、軸方向に貫通孔42が複数円周方向に亘って設けられている。貫通孔42により超高圧の作動油2が、第1シールリング45−1に流れるようにしている。第1シールリング45−1には、円周方向に円環溝48が設けられている。円環溝48は軸方向の深さを有している。
第1シールリング45−1、及び、第2シールリング45−2は、いずれも、円周方向に亘って所定の軸方向深さを有する円環溝48が、ピストンヘッド12’の加圧方向の対向面に設けられた金属製シールリングである。
図6(a)〜(c)は、本発明の実施形態のシール装置に使用されるシールリングの円環溝48の断面形状の具体例を示している。U字形に限らず、V字や、円形であってもよい。第1シールリング45−1の外周面49、すなわち、摺接面には、円周方向に複数の微細な溝が形成されて、ラビリンス部を形成しても良い。ラビリンス部は、例えば、断面三角や四角の深さ0.1〜0.3mm程度の溝を、1mm以下の間隔で設けると良い。
第1ブロック43は、超高圧の作動油2が、第2シールリング45−2に流れるようにするためのいわばスペーサーである。第1ブロック43の外径は、増圧シリンダ11内径に対して1〜5%程度縮径されており、油溜50を形成できるようになっている。第1ブロック43には、径方向の穴47’と半径方向の穴47’’(両者合わせて、穴47という)があけられており、油溜に流れてきた作動油2を、第2シールリング45−2の円環溝48に連通させる機能を有している。穴47は、第1ブロック43の円周方向に等間隔に数個設けられている。第2ブロック46には、径方向の穴47’と半径方向の穴47’’は無い。
第2ブロック46の下には、第3シールリング44が設けられており、第3シールリング44の下面には、傾斜面49が形成されている。これは、ピストンロッド12とピストンヘッド12’の段差R部との接触を避けるためと、シールリングやブロックを相互に密着させるためのものである。第3シールリング44が、第1シールリング45−1と同じように円環溝48を有する場合ならば、第2ブロック46には、穴47付きの第1ブロック43が使用される。
図4は、本発明の一実施形態のシールの作動を説明する説明図である。
本発明の一実施形態のシール装置は、800MPaにも達する超高圧下における作動油の高圧を直接シールに利用したもので、従来技術のようなエラストマ製では耐摩耗性、耐亀裂破壊性に難点が生じたところ、金属製のシールの超高圧下における弾性領域が、特に好適にシール性能を発揮することが初めてわかったものである。なお、金属以外にはエンジニアリングプラスチックも一応適用可能である。
作動油の超高圧Pにより、第1シールリング45−1の一対の環状リップ57、58は、ピストンヘッド12’、又は、シリンダ11に押し付けられて密着する。これにより、超高圧下における作動油の高圧が直接シールに利用され、超高圧下においてもシールを行うことができるのである。800MPaにも達する超高圧下における作動油の環境では、第1シールリング45−1だけでは、充分といえないことがあり、本発明の実施形態においては、シールリングの装着を少なくとも2段にしたことを特徴とするものである。
このために、第1ブロック43を設置して、超高圧の作動油が、第1ブロック43の穴47を通して、第2シールリング45−2に流れるようにしたものである。作動油の超高圧Pにより、第2シールリング45−2の一対の環状リップも同様に、ピストンヘッド12’、又は、シリンダ11に押し付けられて密着し、超高圧下のシールを完全に行うことができるのである。第1ブロック43の外径が増圧シリンダ11内径に対して縮径されており、油溜50を形成できるようになっていることが、第1ブロック43の穴47を通して、第2シールリング45−2に流れる上で重要である。第1ブロック43の内径側は、はめあいが厳しくなされ、ピストンヘッドが上下動しても、油溜50の形成を阻害しないようになされている。本発明の一実施形態では、第1シールリング45−1、第2シールリング45−2と2段にしたものを説明したが、これに限定されるものではなく、場合により3段、又は、さらに高段にしても良い。
このように、第1、第2シールリングの円環溝48に内圧がかかることによって、シール内部から加圧され、リップ部が径方向に弾性変形することによりシールが行われる。さらに、シールリングを多段にしたことにより、シールにかかる圧力を順番に下げシールしている。さらに、ラビリンス部を外周面49に設けているので、ラビリンス効果によってもシールを行うことができ、超高圧においても実用的に使用可能なシール装置を実用化したものである。
図5は、図2のB部の詳細図であり、参考のために提示したものである。なお、図2のB部は、図2のA部の詳細図(上下逆転)と同じにしても良い。下端部封止管13は、可動せず固定なので、第3シールリング45−3が1個使用されている。止め輪リング41’は、シールリングが抜け落ちないようにするためのもので、図2のA部の止め輪リング41と同様に2つ割りにして、止め輪リング41の内径に設けられた突部を、下端部封止管13の下部先端に設けられた溝に挿入される。止め輪リング41’には、軸方向に貫通孔42’が複数円周方向に亘って設けられている。貫通孔42’により超高圧の作動油2が、第3シールリング45−3に流れるようにしている。51、52は、断面が台形の銅合金などのパッキンである。
1 ワーク
2 作動油
3 配管口
4 キャップ
10 上部封止部材
11 増圧シリンダ(シリンダ)
12 ピストンロッド
12’ ピストンヘッド
13 下部封止管
14 連通路
43 第1ブロック
45−1 第1シールリング
45−2 第2シールリング

Claims (3)

  1. ピストンヘッド(12')の外周面とシリンダ(11)の内周面との間で、超高圧の作動油の流出をシールするために、前記ピストンヘッド(12')の外周面か、前記シリンダ(11)の内周面のいずれか一方に設けられた超高圧シール装置であって、
    該シール装置は、少なくとも、第1シールリング(45−1)、第1ブロック(43)、及び、第2シールリング(45−2)を、ピストンヘッド(12')の加圧方向前方からこの順に具備し、
    前記第1シールリング(45−1)、及び、前記第2シールリング(45−2)は、いずれも、円周方向に亘って所定の軸方向深さを有する円環溝(48)が、ピストンヘッド(12')の加圧方向の対向面に設けられたシールリングであり、
    前記第1ブロック(43)には、高圧側からの作動油を、第2シールリング(45−2)の前記円環溝(48)に連通させる穴(47)が貫通している超高圧シール装置。
  2. 前記第1シールリング(45−1)、及び、前記第2シールリング(45−2)の摺接面には、円周方向に微細な複数溝が形成されたラビリンス部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超高圧シール装置。
  3. ワーク(1)にオートフレッテージ加工を施す増圧シリンダに使用された請求項1又は2に記載の超高圧シール装置。
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