JP2012046962A - 鉄骨部材の耐火構造 - Google Patents

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Tsutomu Nagaoka
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Abstract

【課題】隣接するボード部材間の目地から侵入する熱量を低減することを目的とする。
【解決手段】鉄骨柱110の周囲には、複数の下張りボード部材160が配置されている。下張りボード部材160は、コーナースタッド120C及び中間スタッド120Mによって支持されている。また、上下方向に隣接する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uには、薄肉部182,192がそれぞれ設けられている。これらの薄肉部182,192は、下張りボード部材160E,160Fの面外方向に重ねられている。
【選択図】図4

Description

本発明は、鉄骨部材の耐火構造に関する。
鉄骨柱を耐火ボードで被覆する耐火被覆構造としては、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1では、重ねられた2枚の耐火ボードによって鉄骨柱が被覆されている。ところで、隣接する耐火ボードの目地(横目地、縦目地)は、火災時の熱気や炎等による熱が侵入する経路となり易い。この対策として特許文献2には、間仕切り壁において、隣接する壁パネルの目地に断面T型の敷目板(金属板)を配置し、当該敷目板を介して壁パネルを鉄骨躯体に取り付けた壁耐火目地構造が提案されている。しかしながら、この壁耐火目地構造では、隣接する壁パネルの目地から侵入する熱が敷目板によって低減されるものの、目地内に配置された敷目板を介して壁パネルの熱が鉄骨躯体に伝達されてしまう。即ち、敷目板が火災により生じた熱を鉄骨躯体に伝達するいわゆるヒートブリッジとなるため、耐火性能が低下する。
一方、特許文献2には、水平方向に隣接する下張り板の端部に設けられた相欠き部を組み合わせると共に、これらの相欠き部の間に発泡性耐火材を配置した乾式間仕切り壁構造が提案されている。しかしながら、この下張り板は乾式間仕切り壁を構成するものであり、鉄骨柱等の鉄骨部材を被覆するものではない。
特開平11−1976号公報 特開2008−2194号公報
本発明は、上記の事実を考慮し、隣接するボード部材間の目地から侵入する熱量を低減することを目的とする。
請求項1に記載の鉄骨部材の耐火構造は、鉄骨部材の周りを前記鉄骨部材と間隔をあけて囲む複数のボード部材と、前記鉄骨部材と前記ボード部材との間に該鉄骨部材の軸方向を長手方向として配置され、該ボード部材を支持する支持部材と、隣接する前記ボード部材の端部にそれぞれ設けられ、該ボード部材の面外方向に重ねられる薄肉部と、を備えている。
請求項1に係る発明によれば、隣接するボード部材の端部にそれぞれ設けられた薄肉部が、ボード部材の面外方向(板厚方向)に重なっている間は鉄骨部材が露出しない。従って、鉄骨部材の温度上昇が抑制されるため、耐火性能が向上する。
請求項2に記載の鉄骨部材の耐火構造は、請求項1に記載の鉄骨部材の耐火構造において、前記鉄骨部材が、上下方向を軸方向として配置された鉄骨柱である。
請求項2に係る発明によれば、複数のボード部材によって鉄骨柱が囲まれている。従って、鉄骨柱の耐火性能が向上する。
請求項3に記載の鉄骨部材の耐火構造は、請求項1又は請求項2に記載の鉄骨部材の耐火構造において、重ねられた前記薄肉部の隙間に設けられ、該隙間を塞ぐシート部材を備えている。
請求項3に係る発明によれば、シート部材によって、薄肉部の隙間から侵入する熱量が抑制される。従って、鉄骨部材の耐火性能が向上する。
請求項4に記載の鉄骨部材の耐火構造は、請求項1〜3の何れか1項に記載の鉄骨部材の耐火構造において、隣接する前記ボード部材の前記端部の一方には複数の前記薄肉部が該ボード部材の面外方向に対向して設けられ、該薄肉部の間に、隣接する前記ボードの前記端部の他方に設けられた前記薄肉部が挿入される。
請求項4に係る発明によれば、隣接するボード部材の端部のうち、一方の端部にボード部材の面外方向に対向して設けられた薄肉部の間に、他方の端部に設けられた薄肉部を挿入することにより、目地から侵入する熱気や炎等の熱の侵入経路が長くなる。従って、鉄骨部材の耐火性能が向上する。
請求項5に記載の鉄骨部材の耐火構造は、請求項1〜4の何れか1項に記載の鉄骨部材の耐火構造において、重ねられた前記薄肉部をそれぞれ貫通し、該薄肉部を連結する連結手段を備えている。
請求項5に係る発明によれば、重ねられた薄肉部を連結手段で連結することにより、これらの薄肉部の相対移動が規制される。従って、鉄骨部材の露出が更に抑制されるため、鉄骨部材の耐火性能が向上する。
本発明は、上記の構成としたので、隣接するボード部材間の目地から侵入する熱量を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造が適用された柱を部分的に切り欠いて示す、斜視図である。 本発明の一実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造が適用された柱を示す、立面図(側面図)である。 (A)は図2の3A−3A線拡大断面図、(B)は図2の3B−3B線拡大断面図である。 (A)は図2の4−4線拡大断面図、(B)は横目地が開いた状態で示す図4(A)に相当する断面図である。 (A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造の変形例が適用された柱を示す、図4(A)に相当する断面図である。 (A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造の変形例が適用された柱を示す、図4(A)に相当する断面図である。 本発明の一実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造の変形例が適用された柱を示す、図3(A)に相当する断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造について説明する。なお、各図において、適宜示される矢印Xは水平方向を示し、矢印Yは矢印Xで示される方向と直交する水平方向を示し、矢印Zは、矢印X及び矢印Yで示される方向と直交する鉛直方向(上下方向)を示している。
<全体構成>
先ず、本実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造の全体構成について説明する。
図1、図2、図3(A)、及び図3(B)には、構造物10の柱100が示されている。柱100は、鉄骨部材としての鉄骨柱110が複数のボード150で耐火被覆された構成とされている。これらのボード150は、当該ボード150と鉄骨柱110の間に配置された複数のスタッド120によって支持されている。
なお、図3(A)及び図3(B)に示されるように、柱100(柱100の壁面を構成するボード150で囲まれた部位)の水平断面は略正方形状とされ、この柱100の断面における鉄骨柱110に向かう方向を内側方向とし、鉄骨柱110から離れる方向を外側方向として以下説明する。また、後述する柱100の4つの隅部102に配置されたスタッド(支持部材)120をコーナースタッド(コーナー支持部材)120Cとし、隣接するコーナースタッド120Cの間に配置されたスタッド120を中間スタッド(中間支持部材)120Mとして、両者を区別して説明する場合があるが、両者の構成は同じである。
鉄骨柱110は、水平断面が略正方形の角形鋼管とされ、上下方向(矢印Z方向)を軸方向として配置されている。この鉄骨柱110の周囲には、複数のスタッド120が配置されている。各スタッド120は、鉄骨柱110と間隔を空け、鉄骨柱110の軸方向、即ち、上下方向(矢印Z方向)を長手方向として配置されている。隣接するスタッド120は、鉄骨柱110の軸方向と直交する幅方向(矢印X方向又は矢印Y方向)に間隔を空けて複数配置されている。言い換えると、スタッド120は、鉄骨柱110の周囲に、矢印X方向と矢印Y方向とに沿って間隔を空けて複数配置されている。なお、本実施形態では、スタッド120は軽鉄製のC形鋼とされており、その水平断面の形状は略長方形とされている。
各スタッド120の長手方向(上下方向)の下端部は、構造物10の躯体を構成するスラブ12に設けられたランナー130(図1参照)に支持されている。ランナー130は軽鉄製とされ、垂直断面が溝状(断面C形)のレールとされている。ランナー130は、鉄骨柱110の周囲に矢印X方向と矢印Y方向とに沿って配置され、図示しないビスやタップネジ等でスラブ12に固定されている。このランナー130のフランジ132に、スタッド120の下端部が図示しないビスやタップネジ等で固定されている。これと同様に、各スタッド120の長手方向(上下方向)の上端部(図示省略)は、構造物10の躯体を構成する図示しない上階のスラブに設けられたランナーに支持されている。なお、スタッド120の上端部を支持するランナーは、スタッド120の下端部を支持するランナー130と同様の構成であるため、説明を省略する。これらのランナー130等によって、各スタッド120が鉄骨柱110に対して独立して支持されている。また、隣接するスタッド120は、これらのスタッド120の間に幅方向(水平方向)を長手方向として配置された振れ止め用の横棒140によって連結されている。なお、図3(A)及び図3(B)では、ランナー130の図示が省略されている。
このように鉄骨柱110の周囲に独立して立てられたスタッド120に、複数のボード150が支持されている。各ボード150はスタッド120の外側に配置されており、鉄骨柱110を囲んでいる。別の言い方をすると、鉄骨柱110とボード150との間に複数のスタッド120が配置されている。つまり、ボード150は、仕上げ兼用の耐火被覆材とされている。
各ボード150は、内側(鉄骨柱110側)に配置された下張りボード部材(ボード部材)160と、下張りボード部材160の外面(外側)に重ねられた仕上げ兼用の上張りボード部材170を備え、鉄骨柱110の4つの側壁にそれぞれ対向して配置されている。
なお、本実施形態では、下張りボード部材160は強化石膏ボードで構成され、上張りボード部材170は石膏ボードで構成されており、ボード150の面外方向(板厚方向)に重ねられている。ただし、上張りボード部材170は必ずしも石膏ボードである必要はない。上張りボード部材170に強化石膏ボードを用いることで、耐火性能をさらに高めることが可能である。ここで、石膏ボードは、石膏を主成分とした素材を板状にして特殊な用紙で包んで構成された耐火ボードであり、強化石膏ボードは石膏の芯にガラス繊維などを加えて耐火性能を強化した耐火ボードである。この石膏は、一般に多量の結晶水を含んでおり、炎や熱に晒されると、この結晶水が蒸気として空気中に放出される。この結晶水の蒸発により熱が吸収されることによって、断熱効果が発揮される。
図2に示されるように、下張りボード部材160は、鉄骨柱110の各側壁に対し、鉄骨柱110の高さに応じて上下方向に複数(本実施形態では、3枚)並べられて配置されている。上下方向に隣接する下張りボード部材160の端部160T,160Uの間には、水平方向に延びる横目地202が形成されている。なお、これらの端部160T,160Uには、後述する薄肉部182,192(図4(A)参照)がそれぞれ設けられている。また、下張りボード部材160は、隣接するコーナースタッド120Cに渡って(またがって)配置され、その幅方向(矢印Y方向又は矢印X方向)の端部160L,160R(図3(A)参照)がビス164でコーナースタッド120Cにそれぞれ固定されると共に、その幅方向の中央部がビス164で中間スタッド120Mに固定されている。なお、ビス164は、上下方向に間隔を空けて複数設けられており、下張りボード部材160を貫通し、コーナースタッド120C又は中間スタッド120Mに留められている。
図3(A)に示されるように、鉄骨柱110の各側壁に対向して配置された下張りボード部材160は、幅方向の端部160L、160R同士が突き当てられており、鉄骨柱110を囲んでいる。具体的には、隣接する一方の下張りボード部材160の幅方向の端部160Lにおける側面(内面)に、隣接する他方の下張りボード部材160の幅方向の端部160Rにおける端面が突き当てられており、これらの端部160L,160Rによって角部104が形成されている。このように、下張りボード部材160の幅方向の端部160L、160R同士が突き当てられて形成された柱100の4つの隅部102にコーナースタッド120Cが配置されている。
なお、本実施形態では、向きが異なる2つのスタッド120が各隅部102に立てられており、これら2つのスタッド120によって1つのコーナースタッド120Cが構成されている。これにより、コーナースタッド120Cの剛性が増加され、下張りボード部材160及び上張りボード部材170の面外変形に対する拘束力が大きくなっている。
また、隅部102とは、2枚の下張りボード部材160が角度(本実施形態では、略90度)を持って配置され、突き当てられた幅方向(矢印X方向又は矢印Y方向)の端部160L、160R同士によって囲まれた内側(鉄骨柱110側)の領域であり、この領域にスタッド120を立てた場合に、当該スタッド120によって下張りボード部材160の幅方向の端部160L、160Rが支持可能となる領域を意味する。言い換えると、下張りボード部材160の幅方向の端部160L、160R同士が突き当てられて形成された角部104によって囲まれた内側(鉄骨柱110側)の領域を意味する。また、ここで言う下張りボード部材160の幅方向の端部160L、160Rとは、下張りボード部材160の幅方向の端部160L、160Rにおける端面に限らず、当該端面の周辺部(例えば、側面(内面))を含む概念である。
図2に示されるように、下張りボード部材160の外面に重ねられた上張りボード部材170は、鉄骨柱110の各側壁に対し、上下方向に複数(本実施形態では、3枚)並べられて配置されており、上下方向に隣接する上張りボード部材170の端部170T,170U間に水平方向に延びる横目地172が形成されている。また、上張りボード部材170は、隣接するコーナースタッド120Cに渡って(またがって)配置されている。なお、下張りボード部材160及び上張りボード部材170は、各々の横目地202、172(図2参照)が上下方向(鉛直方向)にずれるように配置されている。
ここで、上下方向に隣接する上張りボード部材170の端部170T,170U、即ち、横目地172を形成する端部170T,170Uは、ビス174でコーナースタッド120C及び中間スタッド120Mにそれぞれ固定されている。このビス174は、上張りボード部材170の端部170T(又は端部170U)と、下張りボード部材160を貫通し、コーナースタッド120C又は中間スタッド120Mに留められている。これにより、上下方向に隣接する上張りボード部材170の端部170T,170Uの間に形成された横目地172の開きが抑制されている。なお、上張りボード部材170は、下張りボード部材160の外面には塗布された接着剤等で下張りボード部材160に接着しても良いし、ドリリングタッピンねじ、ステープル等で下張りボード部材160に固定しても良い。
図3(B)に示されるように、鉄骨柱110の各側壁に対向する上張りボード部材170は、その幅方向(矢印Y方向又は矢印X方向)の端部170L、170R同士が突き当てられており、鉄骨柱110を囲んでいる。具体的には、隣接する一方の上張りボード部材170の幅方向の端部170Rにおける側面に、隣接する他方の上張りボード部材170の幅方向の端部170Lおける端面が突き当てられ、角部106が形成されている。
なお、隣接する一方の上張りボード部材170の端部170Rにおける側面には、隣接する他方の上張りボード部材170の端部170Lおける端面だけでなく、下張りボード部材160の幅方向の端部160Lにおける端面も突き当てられている。また、上記した下張りボード部材160の幅方向の端部160L,160R、及び上張りボード部材170の幅方向の端部170L,170R同士の突き当て方は、あくまでも一例であってこれに限定されるものではない。
また、図示を省略するが、下張りボード部材160及び上張りボード部材170と、スラブ12及び上階のスラブ(図示省略)との間には、隙間ができないようにロックウールや耐火シール材等の耐火性能を有する目地材を挟むことで、耐火性や遮音性をさらに高めることが可能である。
<目地構造>
次に、下張りボード部材160の目地構造について説明する。なお、説明の便宜上、上下方向(鉛直方向)に隣接する下張りボード部材160のうち、下側の下張りボード部材160を下張りボード部材160Eとし、上側の下張りボード部材160を下張りボード部材160Fとして説明する場合がある。
図4(A)に示されるように、上下方向に隣接する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uには、薄肉部182,192がそれぞれ設けられている。薄肉部182は平ぼぞ状で、その板厚が下張りボード部材160Eの本体部184の板厚よりも薄くされており、当該下張りボード部材160Eの内面側に設けられている。また、薄肉部182の外面側には、溝状の切欠き部186が形成されている。この切欠き部186には、下張りボード部材160Fの下端部160Uに設けられた薄肉部192が組み合わされている。薄肉部192は平ほぞ状で、その板厚が下張りボード部材160Fの本体部194の板厚よりも薄くされており、当該下張りボード部材160Fの外面側に設けられている。この薄肉部192の内面側には、溝状の切欠き部196が形成されている。この切欠き部196には、前述した下張りボード部材160Eの薄肉部182が組み合わされている。別の言い方をすると、下張りボード部材160Eの薄肉部182と下張りボード部材160Fの薄肉部192とが、下張りボード部材160E,160Fの面外方向(板厚方向)に重ねられている。これにより、薄肉部182の端面と切欠き部196の底壁の間に横目地200が形成されると共に、薄肉部192の端面と切欠き部186の底壁の間に横目地202が形成されている。
なお、本実施形態では、各薄肉部182,192の板厚が、下張りボード部材160E,160Fの本体部184,194の板厚の約半分とされており、これらの薄肉部182,192を重ねたときに、下張りボード部材160Eと下張りボード部材160Fとの間の段差が小さくなるようになっているが、薄肉部182,192の板厚は適宜変更可能である。また、薄肉部182,192には、適宜面取り等を施しても良い。
次に、本実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造の作用について説明する。
構造物10の柱100を構成する鉄骨柱110の周囲をボード150で囲んで耐火被覆を施すことにより、火災時における鉄骨柱110の温度上昇が抑えられる。その結果、火災時における鉄骨柱110の耐力低下や熱膨張の影響が抑えられる。また、下張りボード部材160の外面に仕上げ兼用の上張りボード部材170を重ねたことにより、耐火性能を向上しつつ、柱100の仕上げ材等を省略することができる。
更に、鉄骨柱110の周囲に配置されたスタッド120でボード150を支持したことにより、鉄骨柱110の外面に接着剤等でボード150を直接接合する構成と比較して、ボード150を精度良く施工することができる。従って、ボード150の施工(鉄骨柱110の耐火被覆)と壁等の内装工事とを同一の業者で行うことが可能となる。また、スタッド120は、鉄骨柱110と間隔を空けて配置され、スラブ12等に設けられたランナー130等によって鉄骨柱110から独立して支持されている(図1参照)。従って、鉄骨柱110の外面に沿ってスタッド120を溶接等で接合する構成と比較して、鉄骨柱110の精度に依存することなく、スタッド120を精度良く設置することができる。
また、鉄骨柱110にロックウール等の吹付け材(耐火被覆材)を吹付け、その周りを仕上げ用のボードで囲った構造と比較し、本実施形態のように、吹付け材を省略し、鉄骨柱110の周りを耐火被覆材と仕上げ材とを兼用したボード150で囲む構造とすることで、ボード150で囲まれた軸方向と直交する断面(柱100の水平断面)の仕上げ幅が抑えられ、その結果、居室の有効面積を大きくすることができる。
ここで、強化石膏ボード及び石膏ボードを構成する石膏は多量の結晶水を含んでおり、炎や熱に晒されると、結晶水が蒸気として空気中に放出される。この結晶水の蒸発によって、熱が吸収されて断熱効果を発揮する。これと同様に、強化石膏ボードで構成された下張りボード部材160は、その結晶水が蒸発することによって耐熱効果を発揮するが、この場合、結晶水の蒸発によって下張りボード部材160が収縮し、上下方向に隣接する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uが離れる方向に移動し、若しくは、熱源に近い下張りボード部材160E,160Fの外面側の結晶水が蒸発し、端部160T,160Uが外側に向かって湾曲するように変形(反り)する。そのため、従来のように上下方向に隣接する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uの端面同士を単に突き合わせた構成では、これらの端部160T,160U間に形成される横目地が開いて、弱点となる恐れがある。なお、石膏ボードで構成された上張りボード部材170についても同様である。
この対策として、本実施形態では、上下方向に隣接する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uに、薄肉部182,192をそれぞれ設けている。これにより、例えば、図4(B)に示されるように上下方向に隣接する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uが離れる方向へ移動して横目地202が開いても、薄肉部182,192が重なっている間は、鉄骨柱110(図1参照)が露出することがなく、また、横目地202から柱100の内部に侵入する熱量が抑制される。従って、鉄骨柱110の温度上昇が抑制されるため、耐火性能が向上する。特に、本実施形態では、横目地202を形成する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uに薄肉部182,192を設けたことにより、鉄骨柱110の耐火性能を効率的に向上することができる。詳説すると、鉄骨柱110は、火災によって加熱されると、熱膨張して軸方向(上下方向)に伸張する。この鉄骨柱110の軸方向の伸張に下張りボード部材160E,160Fが追従すると、横目地202等の開きが大きくなる。このように弱点となり易い横目地202を形成する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uに薄肉部182,192を設けることにより、鉄骨柱110の耐火性能を効率的に向上することができる。
このように、本実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造によれば、上下方向に隣接する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uに形成された横目地202から侵入する熱量を低減することができる。
次に、本実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造の変形例について説明する。
図5(A)に示される変形例のように、重ねられた薄肉部182,192の間に、鉄やステンレス製の薄鋼板等のシート部材190を設け、これらの薄肉部182,192の隙間を塞いでも良い。これにより、薄肉部182,192の隙間から侵入する熱量が更に抑制される。なお、シート部材としては、高温時に発泡する発泡シート(熱膨張シート)を用いても良い。この発泡シートを薄肉部182,192の隙間に配置することにより、火災時に発泡シートが発泡して断熱層が形成される。これにより、薄肉部182,192の隙間から侵入する熱量が低減される。
また、薄肉部182,192の数や配置は上記したものに限らない。例えば、図5(B)に示される変形例のように、下張りボード部材160Fの下端部160Uに2つの薄肉部193A,193Bを設けても良い。薄肉部193A,193Bは、下張りボード部材160Fの面外方向(板厚方向)に対向して設けられ、これらの薄肉部193A,193Bの間に切欠き部197が形成されている。この切欠き部197には、下張りボード部材160Eの上端部160Tに設けられた薄肉部183が挿入されて組み合わされている。この薄肉部183は、下張りボード部材160Eの上端部160Tにおける面外方向中央部に設けられ、その面外方向両側に切欠き部187A,187Bがそれぞれ形成されている。これらの切欠き部187A,187Bに、薄肉部193A,193Bがそれぞれ組み合わされている。別の言い方をすると、薄肉部193A,193Bと薄肉部183が、下張りボード部材160E,160Fの面外方向に交互に重ねられている。これにより、切欠き部187A,187Bの底壁と薄肉部193A,193Bの端面との間に横目地206,208がそれぞれ形成されている。
このように薄肉部193A,193Bの間に薄肉部183を挿入することにより、薄肉部183の反り等が形成される。また、上記実施形態のように2つの薄肉部182,192を重ねた構成(図4(A)参照)と比較して、横目地206から侵入する熱気や炎等の熱の侵入経路が長くなる。従って、鉄骨柱110の温度上昇が更に抑制される。なお、薄肉部193A,193B,183の数を更に増やし、下張りボード部材160E,160Fの面外方向に交互に重なるように構成しても良い。
また、図6(A)に示される変形例のように、薄肉部182,192をビス180(連結手段)で連結しても良い。このビス180は、薄肉部182,192を貫通して中間スタッド120Mに留められている。このビス180によって薄肉部182,192の移動や変形が規制されるため、横目地202の開きが抑制される。また、ビス180を中間スタッド120Mに留めたことにより、ビス180を中間スタッド120Mに留めない構成と比較して、横目地202の開きが更に抑制される。更に、下張りボード部材160E,160Fの端部160U,160Tを別々のビスで中間スタッド120M等に固定する構成と比較して、ビス180の数を低減することができる。従って、施工性の向上、コスト削減を図ることができる。
なお、本変形例では、一例としてビス180を中間スタッド120Mに留めたが、コーナースタッド120Cに留めても良い。また、ビス180は薄肉部182,192を連結し、これらの薄肉部182,192の相対移動を規制可能であれば良く、必ずしも中間スタッド120M等に留める必要はない。このような連結手段としては、タップネジ、ドリリングタッピンねじ、ステープル、接着剤等を用いることができる。
また、上記実施形態では、上下方向に隣接する下張りボード部材160E,160Fの端部160T,160Uに薄肉部182,192を設けたがこれに限らない。例えば、横目地172(図2参照)を形成する上張りボード部材170の端部170T,170Uに薄肉部182,192を設けても良い。
また、図6(B)に示される変形例のように、幅方向(矢印X方向又は矢印Y方向)に並べられた2枚の下張りボード部材160A,160Bの間に上下方向に延びる縦目地が形成される構成では、当該縦目地を形成する下張りボード部材160A,160Bの端部160L,160Rに薄肉部212,222を設けても良い。これにより、薄肉部222の端面と切欠き部216の底壁との間に形成された上下方向に延びる縦目地204から侵入する熱量が低減される。なお、薄肉部212,222は、ビス180で中間スタッド120Mに固定されている。また、図示を省略するが、幅方向(矢印X方向又は矢印Y方向)に並べられた2枚の上張りボード部材170A,170Bの間に縦目地が形成される構成においても、当該縦目地を形成する上張りボード部材170A,170Bの端部170L,170R間に薄肉部212,222を設けても良い。
また、上記実施形態では、下張りボード部材160の外面に上張りボード部材170を重ねたがこれに限らない。例えば、上張りボード部材170を省略しても良い。また、上張りボード部材170の外面に更に1枚以上のボード部材を重ねても良いし、スタッド120に支持された1枚以上のボード部材の外面に下張りボード部材160及び上張りボード部材170を重ねて構成しても良い。
更に、上記実施形態では、下張りボード部材160は、石膏ボード(正確には、下張りボード部材160は強化石膏ボード)で構成されていたが、これに限定されない。石膏ボード以外の耐火ボード、例えば、繊維混入けい酸カルシウム板、モルタルボード、ロックウールボード、セラミックファイバーボード、PC板、ALCパネル、押し出し成形セメント板等で構成されていても良い。これらの耐火ボードには、火災時にそれぞれの特性に応じた伸縮、反り、破損等が生じるが、上記実施形態に係る鉄骨部材の耐火構造を適用することで、鉄骨柱110の耐火性能を向上することができる。また、下張りボード部材160等が、耐火ボード以外のボード部材(化粧板など)で構成されていても良い。なお、石膏ボード等と比較して加工性が良いけい酸カルシウム板等で下張りボード部材160を構成することで、薄肉部182,192の加工コストを削減することができる。
また、上記実施形態では、2つのスタッド120でコーナースタッド120Cを構成したが、2つ以上のスタッド120でコーナースタッド120Cを構成しても良いし、図7に示されるように、1つのスタッド120で構成しても良い。更に、中間スタッド120Mは、鉄骨柱110の水平断面積に応じて設ければ良く、その配置や数は適宜変更可能であり、また、省略することも可能である。
更に、上記実施形態では、スタッド120は、鉄骨柱110と間隔を空けて配置されていたが、これに限定されない。スタッド120と鉄骨柱110との間にスペーサが挟まれていても良い。或いは、スタッド120の長手方向の一部又は全部が鉄骨柱110と接触していても良い。ただし、スペーサが挟まれたり接触したりする構造であっても、施工性の観点からスタッド120は鉄骨柱110から独立して支持された構造とすることが望ましい。
また、上記実施形態では、支持部材として断面C字形状のスタッド120を用いたが、これに限定されない。例えば、正方形、円形(楕円を含む)、管状、或いは断面H形状等の支持部材を用いても良い。更に、スタッド120は、スラブ12に設けられたランナー130等で支持されているが、これに限定されない。スタッド120の支持構造は、どのような支持構造でも良く、例えば、断面L字状等のアングルをスラブ12や梁に設け、このアングルにスタッド120を固定しても良い。
また、上記実施形態では、鉄骨柱110の水平断面が略矩形状(略長方形又は略正方形)の鋼管であったが、これに限定されない、例えば、円形の鋼管やH形鋼等であっても良い。また、管状の鉄骨柱(鋼管柱)であれば、その中にコンクリートやモルタル等が充填されていても良い。
更に、鉄骨柱110とボード150との間に、スタッド120以外の他の部材が配置されていても良い。例えば、鉄骨柱110とボード150との間にグラスウールなどの断熱材が配置されていても良い。別の言い方をすると、鉄骨柱110の周りにグラスウールなどの断熱材が巻かれ、この断熱材の外側をボード150で囲んだ(耐火被覆した)構造としても良い。また、柱100の水平断面は、略矩形状(略長方形又は略正方形)であったが、円形や三角形、五角形等の多角形状であっても良い。或いは、一部又は全部の辺が湾曲した形状であっても良い。
また、上記実施形態では、構造物を構成する鉄骨柱の耐火構造に本発明を適用したが、これに限定されない。例えば、構造物を構成する鉄骨コンクリート(SC)柱やコンクリート充填鋼管(CFT)柱の耐火構造にも適用することができる。また、複合耐火構造(例えば、鉄骨柱を壁と耐火ボードで囲む耐火構造)にも適用可能である。更に、鉄骨梁の耐火構造にも適用することができる。なお、鉄骨梁に適用する場合は、上記実施形態で説明した鉄骨柱110の構造を90°傾けた構造と略同様であり、鉄骨梁の軸方向は、水平方向又は略水平方向となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、各実施形態を相互に組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
110 鉄骨柱(鉄骨部材)
120 スタッド(支持部材)
160 下張りボード部材(ボード部材)
180 ビス(連結手段)
182 薄肉部
183 薄肉部
190 シート部材
192 薄肉部
193A 薄肉部
193B 薄肉部
212 薄肉部
222 薄肉部

Claims (5)

  1. 鉄骨部材の周りを前記鉄骨部材と間隔をあけて囲む複数のボード部材と、
    前記鉄骨部材と前記ボード部材との間に該鉄骨部材の軸方向を長手方向として配置され、該ボード部材を支持する支持部材と、
    隣接する前記ボード部材の端部にそれぞれ設けられ、該ボード部材の面外方向に重ねられる薄肉部と、
    を備える鉄骨部材の耐火構造。
  2. 前記鉄骨部材が、上下方向を軸方向として配置された鉄骨柱である請求項1に記載の鉄骨部材の耐火構造。
  3. 重ねられた前記薄肉部の隙間に設けられ、該隙間を塞ぐシート部材を備える請求項1又は請求項2に記載の鉄骨部材の耐火構造。
  4. 隣接する前記ボード部材の前記端部の一方には複数の前記薄肉部が該ボード部材の面外方向に対向して設けられ、該薄肉部の間に、隣接する前記ボードの前記端部の他方に設けられた前記薄肉部が挿入される請求項1〜3の何れか1項に記載の鉄骨部材の耐火構造。
  5. 重ねられた前記薄肉部をそれぞれ貫通し、該薄肉部を連結する連結手段を備える請求項1〜4の何れか1項に記載の鉄骨部材の耐火構造。
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JP2021011816A (ja) * 2020-10-29 2021-02-04 Jfeスチール株式会社 鉄骨柱の乾式耐火構造

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