JP2012046662A - 固体燃料の製造方法及び竪型ローラミル - Google Patents

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Abstract

【課題】固体バイオマスとしてパームカーネルシェルを用い、これと石炭とを石炭粉砕機で効率的に混合粉砕する固体燃料の製造方法を提供する。
【解決手段】石炭と、パームカーネルシェルとを竪型ローラミル4に供給して混合粉砕することにより固体燃料を製造する方法であって、前記竪型ローラミル4のローラの面圧を5.8〜10.5kg/cmの範囲で前記石炭とパームカーネルシェルとを混合粉砕することを特徴とする固体燃料の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体バイオマスを石炭と共に粉砕機により混合粉砕して固体燃料を製造する方法に関する。詳しくは、固体バイオマスとして硬度の高いパームカーネルシェルを用い、これを竪型ローラミルにて特定のローラ面圧にて石炭と混合粉砕する固体燃料の製造方法に関する。
化石燃料の枯渇懸念や地球温暖化防止の対策の一つとして、再生可能エネルギーでありカーボンニュートラルである生物由来(バイオマス)の燃料が近年広く使用されるようになってきている。日本ではバイオマス燃料として、間伐材や木材の廃材・樹皮や端材等の木くずが木質バイオマスとして多く使用されている。
バイオマスを燃料として使用する場合、供給量や熱量の点から石炭の代替燃料として産業用ボイラ等で混合燃焼(混焼)されているのが殆どである。ボイラで燃焼させるにはバイオマスを細かく粉砕する必要があるが、引用文献1では、木質バイオマスを石炭とともに混合粉砕することが記載されている。
また、特許文献2には、固体バイオマスを石炭と共に石炭粉砕機で粉砕し、粉砕された微粉炭と固体バイオマスとを混焼することが記載されている。
さらに、特許文献3には、固体バイオマスを、微粉粒と既存の石炭粉砕機では粉砕できない粉粒片とに分離し、粉粒片のみを微粉粒に粉砕した上で使用することが記載されている。
また、上記特許文献2及び3では、バイオマス燃料・固体バイオマスとして、植物油脂パームオイルの原料として栽培されているアブラヤシの果実の種子の殻であるパームカーネルシェル(PKS)が使用されている。
特開2003−334460号公報 特開2007−255772号公報 特開2008−215710号公報
特許文献1には、木質バイオマスの混合率が5質量%以上の混合破砕は困難であるとされている。また、特許文献2においては、固体バイオマスが石炭の粉砕粒度まで細かく粉砕されず、混焼において燃え残りが発生することがある。更に、特許文献3においては、操作が煩雑となり、新たに分離装置の導入が必要であった。
また、特許文献2及び3で記述されているように、パームカーネルシェルは石炭に比べると硬質であるため、既存の竪型ローラミル等の石炭粉砕機で石炭と混合粉砕してもパームカーネルシェルを石炭の粉砕粒度まで細かく粉砕することが困難で、複数回の粉砕が必要となり石炭のみを単独粉砕した場合に比べ電力原単位を悪化させ、かつ時間と動力とを要するため、石炭粉砕機の動力のモータ負荷制限により結果的にその粉砕処理能力が低下する課題があった。
そこで、硬質のパームカーネルシェルを既存の竪型ローラミルの石炭粉砕機であっても電力原単位が良好で、効率良く石炭と混合粉砕できる方法が求められていた。
本発明の目的は、上記のような課題を解決することであり、固体バイオマスとしてパームカーネルシェルを用い、これと石炭とを石炭粉砕機で効率的に混合粉砕する固体燃料の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、パームカーネルシェルの粉砕において竪型ローラミルにおける粉砕ローラの押付け圧力(面圧)を適切な範囲とすることで粉砕処理能力が向上することを見出した。
本発明に従って、石炭とパームカーネルシェルとを竪型ローラミルに供給して混合粉砕することにより固体燃料を製造する方法であって、前記竪型ローラミルのローラの面圧を5.8〜10.5kg/cmの範囲で前記石炭とパームカーネルシェルとを混合粉砕することを特徴とする固体燃料の製造方法が提供される。
また、本発明に従って、セパレータ付の竪型粉砕機の粉砕テーブル中央に供給管を通して石炭とパームカーネルシェルとを供給し、前記石炭と前記パームカーネルシェルとを前記粉砕テーブルの回転に従動する複数のローラで粉砕して粉砕テーブルの外周より排出し、粉砕物を粉砕テーブル外周下方より噴出するガスにより乾燥・搬送し、粉砕テーブル上方に配設したセパレータに導入して微粉成分と粗粉成分とに分級し、前記粗粉成分を前記粉砕テーブル上に戻すようにした竪型ローラミルであって、前記ローラの面圧を5.8〜10.5kg/cmの範囲に制御するための制御手段を備えることを特徴とする竪型ローラミルが提供される。
本発明の固形燃料の製造方法を用いることにより、
(1)パームカーネルシェルを効率的に粉砕し、固体燃料を得ることができ、
(2)石炭とパームカーネルシェルの混焼において、パームカーネルシェルの混焼率を飛躍的に高めることができ、
(3)パームカーネルシェルと石炭をそれぞれ単独粉砕した場合に比べ、パームカーネルシェルと石炭の混合粉砕により電力原単位を減少することができる。
本発明における固体燃料の製造方法の概略図である。 本発明におけるパームカーネルシェルの未粉砕品の粒度分布を示す図である。 実施例における電力原単位の実測値と計算値の比較である。 実施例におけるミル差圧とローラ面圧の関係を示す図である。 本発明における排石量割合とローラ面圧の関係を示す図である。 PKSと石炭の混合粉砕と、木くずと石炭の混合粉砕の電力原単位の比較を示す図である。 本発明における竪型ローラミルの構造を示す図である。 ローラ面圧を示す図である。
以下に、本発明の固形燃料の製造方法の実施形態を説明する。
本発明者らが鋭意検討した結果、今まで困難と思われたパームカーネルシェル(PKS)と石炭の混合粉砕が適切なローラ面圧を設定することにより可能であることが判明した。
本発明の製造方法において、石炭粉砕機の竪型ローラミルにおける粉砕ローラの押付け圧力のローラの面圧が5.8〜10.5kg/cmである。これにより、石炭とパームカーネルシェルを効率良く混合粉砕させることができる。ローラの面圧が5.8kg/cm未満となると、硬質のパームカーネルシェルを微粉砕するのに圧力不足となり複数回の粉砕が必要となり粉砕効率が低下し電力原単位を悪化させる。一方、ローラの面圧が10.5kg/cmを超えると、竪型ローラミルの構成部材が大きくなり経済的ではない。
前記混合粉砕する前のパームカーネルシェルは、分級されていないことが好ましい。すなわち、本発明に用いられるパームカーネルシェルは、分級することなく石炭と混合粉砕されることが好ましい。ここで、分級とはパームカーネルシェルを、ふるいなどの分級装置を用いて粗粒と微粒に分離することをいう。これにより、分級装置が不要となり、装置全体が簡素化できる。
また、本発明で用いられるパームカーネルシェルの粒径は、1〜30mmであることが、石炭との混合粉砕においてより効率的に粉砕することができるため好ましい。パームカーネルシェル(PKS)とは、アブラヤシの果実の種子の殻をいう。
石炭とパームカーネルシェルを混合粉砕時にローラ面圧を5.8〜10.5kg/cmとすることにより、効率的に粉砕できるメカニズムは解明できていないが、本発明者らは、PKSの単独粉砕時にはPKSが硬質であるゆえローラへの噛み込みが悪く、ローラとPKS、PKS同士でスリップが生じロスが大きいが、石炭との混合粉砕時には、PKSより軟質の石炭が介在することよりPKSのローラへの噛み込みが良くなり粉砕効率が向上するものと推測している。
これにより、PKSと石炭の混合粉砕における電力原単位は、PKSと石炭をそれぞれ単独粉砕した場合の電力原単位から混合割合で算出した電力原単位の計算値よりも大きく下回る。従って、より効率的に粉砕することができる。
本発明の実施形態にかかる固体燃料の製造方法で使用する装置について図1にて説明する。1は原料ホッパー、2は原料ベルトフィーダ、3はミル入口エアーロックフィーダ、4は竪型ローラミル、5は外部循環装置、6はダストコレクター(バッグフィルター)、7は製品計量機、8はミルファン(エキゾーストファン)、9は熱風発生装置である。
固体燃料である石炭とパームカーネルシェルは、原料ホッパー1に格納されており、この原料ホッパー1から原料ベルトフィーダ2、ミル入口エアーロックフィーダ3を経て、竪型ローラミル4に被破砕物となる石炭とパームカーネルシェルが供給される。竪型ローラミル4内部には回転駆動する粉砕テーブルと、粉砕テーブル上で被破砕物を加圧して粉砕する粉砕ローラが配設されている。粉砕ローラはアームを介して油圧シリンダにより押付圧力を5.8〜10.5kg/cmに調整できるように構成されている。被粉砕物である石炭とパームカーネルシェルは、粉砕テーブルのほぼ中央部に供給され、粉砕テーブルを回転させれば、粉砕テーブルの上面と、粉砕ローラとの間で石炭とパームカーネルシェルが挟圧されて粉砕される。粉砕出来ない等の異物は外部循環設備5にて除去される。そして粉砕された粉体は、粉砕テーブルの外周面より噴出する熱風発生装置9から発生した熱風により旋回しながら吹き上げられる。
このように粉砕された粉体を含む混合流には未だ粗粒成分も含まれているので、竪型ローラミル4内部上部のセパレータにより混合流を二次分級し、粗粉成分と微粉成分とに分級する。粗粉成分は再び粉砕テーブル上に落下して粉砕され、微粉成分は竪型ローラミル4の外部に排出され、ダストコレクター6により微粉末となった固形燃料は捕集され、製品計量機7により固形燃料の製品量が計測されたのち、固形燃料としてボイラ等に供給される。なお、竪型ローラミルより外部に排出した微粉について、ダストコレクター6で捕集せずに、そのまま直接ボイラに燃料として送給する方式もある。
本発明に使用する回転セパレータ付の竪型粉砕機の構造を図7に示す。10は粉砕機のケーシング、11は粉砕テーブル、12は粉砕ローラ、13は回転セパレータ、15の供給管は、図示したサイドフィード方式と図示しない回転セパレータ軸内を供給管としたセンターフィード方式がある。粉砕テーブル11は電動機16により回転駆動され、上記ケーシング10と粉砕テーブル11の上面で囲まれた空間が粉砕室14であり、上記粉砕テーブル11上の粉砕物を加圧して粉砕する2〜4個の粉砕ローラ12が粉砕テーブル11上に配設されている。これら粉砕ローラ12はリンク機構(アーム)を介して架台側に支持されており、また、前記リンク機構を介して油圧シリンダまたはスプリングにより押付圧力、すなわちローラ面圧を調整できるように構成されている。また、前述の粉砕テーブル11の外周面とケーシング10の下部内周面との間にはノズルが形成されており、このノヅルからケーシング10内上方に向かってガス(熱風の場合が多い)が噴出して旋回流となるようにノズルが形成されている。
ローラ面圧は、図8に示したとおり次式で計算される。
ローラ面圧=F/(D×W)
F:加圧力(ローラを鉛直下方に押し付ける力)
D:ローラ直径(ローラ幅方向でローラ直径が変化する場合は、ローラ幅の中央部におけるローラ直径)
W:ローラ幅
上記の竪型ローラミルを使用して石炭及びパームカーネルシェルの混合粉砕試験を行った。
(1)試験に使用した石炭及びパームカーネルシェル(PKS)は下記の通りである。
・石炭 ハンタバレー炭 粉砕性(HGI)=51、粒度30mm以下
・PKS インドネシア産、未粉砕品
PKS未粉砕品の粒度分布を図2に示す。
(2)目標製品粒度
石炭粉末度75μmパス70%以上を指標とした。
(3)設備
形式 宇部竪型ローラミル(UM3.6)
デーブル回転数 98rpm
ローラ面圧 3.9〜7.9kg/cm
(6度面圧に換算すると、75〜150kg/cm
ダム高さ 8mm
回転セパレータ 230rpm
風量 26.7Nm/min
(4)混合方法
石炭供給量は380kg/Hにて固定し、PKSの添加割合を変化させて試験を行った。PKSサンプルは小袋サンプルを作製しておき、設定した時間に石炭供給コンベア上に人力にて定量投入した。
[実施例1〜3]
(PKSと石炭の混合粉砕)
ローラ面圧を7.9(6度面圧150)kg/cmとし、PKSの添加率3質量%、6質量%及び9質量%とした石炭との混合粉砕試験を実施した。PKSの添加率については、石炭100に対する数値(外数)である。更に、比較のために同粉砕条件で、石炭単独粉砕試験(参考例1)を実施した。結果を表1に示す。実施例1〜3のいずれの例でも製品粒度は参考例1に示した石炭単独粉砕時と同程度であった。また、電力原単位は石炭単独粉砕時よりも若干増加したが、その割合は小さく、安定して粉砕できることが明らかとなった。
[参考例2]
(PKSの単独粉砕)
次に、PKSの単独粉砕試験を表2に示す条件で実施した。結果を表2に示す。粉砕試験では、粉砕量が減少し電力原単位が97.5kWh/Tと大きくなったものの、十分に粉砕可能であった。
[単独粉砕と混合粉砕における電力原単位の評価]
実施例1〜3で得られたPKS添加割合毎の電力原単位と、参考例1及び参考例2で得られた石炭、PKSのそれぞれ単独粉砕試験の電力原単位を使用して下記の式によって計算した。
Wcp=Wc×c+Wp×p
Wcp:混合粉砕時の電力原単位(kWh/ton)
Wc:石炭単独粉砕時の電力原単位(kWh/ton)
c:石炭の重量割合(質量%)
Wp:PKS単独粉砕時の電力原単位(kWh/ton)
p:PKSの重量割合(質量%)
その結果を図3に示す。いずれの添加量においても実測値が計算値よりも大きく下回っていることがわかる。これは本発明によってPKSは石炭との混合粉砕で、単独粉砕と比べて効率的に粉砕されていることを示す。
[実施例4、比較例1〜3]
(ローラ面圧を変更したPKSと石炭の混合粉砕)
次に、ローラ面圧を3.9、4.7、5.2、5.8(6度面圧に換算すると、それぞれ75、90、100、110)kg/cmとして、PKSの添加率を3質量%とした石炭との混合粉砕試験を実施した。結果を表3に示す。比較例1〜3は、ローラ面圧がそれぞれ3.9、4.7、5.2(6度面圧に換算すると、それぞれ75、90、100)kg/cm時の試験、実施例4はローラ面圧が5.8(6度面圧110)kg/cmの試験を示す。
次に、図4にミル差圧とローラ面圧の関係を示す。ミル内での粉砕が進まない場合は、製品がミル外に排出しない場合、ミル差圧は上昇する。すなわち、粉砕不良となって製品粒度が大きくなるとミル差圧は上昇する。したがって、図4では、ローラ面圧が5.8(6度面圧110)kg/cm未満では、粉砕不良であることを示している。
また、図5に排石量割合とローラ面圧の関係を示す。排石量割合は、製品量に対する排石量の割合を示す。ミル内での粉砕が進まない場合は、ミル内から固体が粉砕不良の状態で排石されるため、排石量割合は増加する。したがって、図5では、排石量割合はローラ面圧が5.8(6度面圧110)kg/cm未満では、5.8(6度面圧110)kg/cm以上に比べて大きく粉砕不良であることを示している。
更に、表3では、電力原単位はローラ面圧が小さくなるに従い低下する傾向が見られたが、これは図4や図5で示したように、ミル内での粉砕が不良となり消費動力が低下したためと考えられる。
[比較例4〜6]
(木くずと石炭の混合粉砕)
次に、比較例として、ローラ面圧を7.9(6度面圧150)kg/cmとして、石炭と木くずの混合粉砕試験を行った。木くずは平均粒子径が約5mmのものを用いた。木くずの添加割合は、3質量%、5質量%及び7質量%とした。結果を図6に示す。図6に示したとおり、PKSと石炭の混合粉砕時の電力原単位は、木くずと石炭の混合粉砕時の電力原単位を大きく下回る結果となった。これは、石炭との混合粉砕においてPKSが木くずよりも、より効率的に所望の粉砕性に優れたバイオマス燃料を得ることができることを示す。
1 原料ホッパー
2 原料ベルトフィーダ
3 ミル入口エアーロックフィーダ
4 竪型ローラミル
5 外部循環装置
6 ダストコレクター
7 製品計量機
8 ミルファン
9 熱風発生装置
10 ケーシング
11 粉砕テーブル
12 粉砕ローラ
13 回転式セパレータ
14 粉砕室
15 供給管
16 電動機

Claims (4)

  1. 石炭と、パームカーネルシェルとを竪型ローラミルに供給して混合粉砕することにより固体燃料を製造する方法であって、
    前記竪型ローラミルのローラの面圧を5.8〜10.5kg/cmの範囲で前記石炭とパームカーネルシェルとを混合粉砕することを特徴とする固体燃料の製造方法。
  2. 前記混合粉砕する前のパームカーネルシェルは、分級されていない請求項1に記載の固体燃料の製造方法。
  3. 前記パームカーネルシェルの粒径が、1〜30mmである請求項1又は2に記載の固体燃料の製造方法。
  4. セパレータ付の竪型粉砕機の粉砕テーブル中央に供給管を通して石炭とパームカーネルシェルとを供給し、前記石炭と前記パームカーネルシェルとを前記粉砕テーブルの回転に従動する複数のローラで粉砕して粉砕テーブルの外周より排出し、粉砕物を粉砕テーブル外周下方より噴出するガスにより乾燥・搬送し、粉砕テーブル上方に配設したセパレータに導入して微粉成分と粗粉成分とに分級し、前記粗粉成分を前記粉砕テーブル上に戻すようにした竪型ローラミルであって、
    前記ローラの面圧を5.8〜10.5kg/cmの範囲に制御するための制御手段を備えることを特徴とする竪型ローラミル。
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