JP2012044821A - 自励式フライバックコンバータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電圧共振動作を行うことによりゼロ電圧スイッチングを実現する自励式フライバックコンバータ100であって、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に共振用コンデンサCrを接続すると共に、ドレイン電流が流れるルートにカレントトランスLaの一次巻線を挿入することにより、マイナス方向に流れているドレイン電流のみを整流ダイオードDaを介してカレントトランスの二次巻線より電圧として取り出す構成とし、さらに、取り出した当該電圧をスイッチング素子のゲートへ印加することで強制的にスイッチング素子をターンオンさせる構成からなるものとする。
【選択図】図1
Description
その中でも、自励式フライバックコンバータは絶縁型コンバータであると共に自励式でその基本動作がシンプルであることから、様々な電化製品の電源部に採用されている。
以降の動作は自励特有のものではなく、スイッチング素子Q1がターンオン状態にあるとき、二次側主巻線Sに誘導される電圧によって二次側整流ダイオードD2に逆バイアスが印加され、二次側主巻線Sには電流が流れない。スイッチング素子Q1がターンオン状態にある間、一次側主巻線Pは入力電圧E1で励磁され、エネルギーはリアクトルに蓄積される。
一方、スイッチング素子Q1がターンオフ状態にあるとき、二次側主巻線Sは出力電圧E2でリセットされ、蓄積されたエネルギーは二次側の出力端に接続された負荷に放出される。
図6(a)に示される電圧共振フライバックコンバータ100’は、スイッチング素子3がターンオフしている期間に、トランス4の漏れインダクタンスとスイッチング素子3のドレイン−ソース間に接続された共振用コンデンサ2とで電圧共振させ、スイッチング素子3のドレイン−ソース間電圧がゼロになったことを図6(b)に例示されるゲート方向電流開閉回路13で検出し、そのタイミングでスイッチング素子3をターンオンさせる制御を行うことでゼロ電圧スイッチングを実現させ、スイッチング素子3のスイッチング損失を低減し、全体的な高効率化を図っている。
i) スイッチング素子のドレイン側とソース側との間に共振用コンデンサを接続すると共に、
ii) ドレイン電流が流れるルートにカレントトランスの一次側両端子を挿入することにより、マイナス方向に流れているドレイン電流のみを整流ダイオードを介してカレントトランスの二次側両端子より電圧として取り出す構成とし、さらに、
iii) 取り出した当該電圧をスイッチング素子のゲートへ印加することで強制的にスイッチング素子をターンオンさせる、
構成とすることにより上記課題を解決可能なことを見い出し、本発明を完成した。
前記トランスの一次側主巻線に直列接続され、前記ゲート駆動巻線により駆動されるスイッチング素子と、
前記トランスの二次側主巻線に直列接続された二次側整流ダイオードと、
を備え、前記スイッチング素子が電圧共振動作を行うことによりゼロ電圧スイッチングを実現する自励式フライバックコンバータであって、
前記スイッチング素子のドレイン側とソース側との間に接続された共振用コンデンサと、
一次巻線をドレイン電流が流れる経路中に挿入したカレントトランスと、
前記カレントトランスの二次巻線よりソースからドレインに向かう方向に流れている前記ドレイン電流を電圧変換する整流ダイオードと、
をさらに備え、
前記整流ダイオードによって変換された電圧を前記スイッチング素子のゲートへ印加することで強制的に前記スイッチング素子をターンオンさせることを特徴とするものである。
前記二次側整流ダイオードのアノードは前記トランスの二次側主巻線の他端側に接続され、
前記ゲート駆動巻線の一端側は前記スイッチング素子のゲートに接続されると共に、
前記カレントトランスの一次巻線は、他端側が前記トランスの一次側主巻線の一端側に、一端側が前記一次側平滑コンデンサの一端側に接続され、
他方、前記カレントトランスの二次巻線は、一端側が前記ゲート駆動巻線の他端側に接続されており、さらに、
前記整流ダイオードのアノードは前記カレントトランスの二次巻線の他端側に、カソードが前記スイッチング素子のゲート側に接続される構成からなる。
下記の実施例では、カレントトランスLa、その二次巻線に直列接続された整流ダイオードDa、そしてカレントトランスの二次巻線と整流ダイオードDaにさらに直列接続された電流制限抵抗Raとの組み合わせが、補助回路50に該当する。
さらに本発明によれば、基本動作はそのままに、シンプルな回路構成が実現されることによって全体的な信頼性のアップを図ることができる。
図1に、本実施例に係る電圧共振フライバックコンバータ100の回路図を示す。これは、図5に示す従来知られた自励式フライバックコンバータ110に、以下に説明するカレントトランスLaと整流ダイオードDaと電流制限抵抗Raとを適宜組み合わせてなる本発明の補助回路50と、共振用コンデンサCrとを適用して構成されたものである。
なお、これより説明する通り、上記構成によって本実施例はゼロ電圧スイッチングが実現される電圧共振回路となることから、図5に示す従来知られた自励式フライバックコンバータ110で設けられていたスナバ回路60は撤去されている。
以下、図1の構成の説明に関し、図5の説明で使用した箇所と同一箇所については同一の参照符を用いるものとする。
本実施例においては、カレントトランスLa、その二次巻線に直列接続された整流ダイオードDa、そしてカレントトランスの二次巻線と整流ダイオードDaとの間にさらに直列接続された電流制限抵抗Raとの組み合わせが補助回路50に該当する。
本実施例によれば、i)スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に共振用コンデンサCrを接続すると共に、ii)ドレイン電流IDが流れるルートにカレントトランスLaの一次巻線を挿入することにより、マイナス方向に流れているドレイン電流IDのみを整流ダイオードDaを介してカレントトランスLaの二次巻線より電圧として取り出す構成とし、さらに、iii)取り出した当該電圧をスイッチング素子Q1のゲートへ印加することで強制的にスイッチング素子をターンオンさせる、といったシンプルな回路構成でありながら、スイッチング素子Q1のゼロ電圧検出およびゼロ電圧スイッチングを実現させることが可能となる。
一方、二次側整流ダイオードD2のアノードはトランスTの二次側主巻線Sの他端側に、カソードが二次側平滑コンデンサC2の一端側に接続されている。トランスTの二次側主巻線Sの一端側は二次側平滑コンデンサC2の他端側に接続されている。
次に、上で回路構成の説明を一通り行った図1に示す本実施例の電圧共振フライバックコンバータ100の動作につき説明する。
以下ではまず、次に説明する図2に示す電圧共振回路の基本回路を参照しつつ、本実施例の電圧共振フライバックコンバータ100の基本動作につき説明する。そののち、基本動作の説明を踏まえつつ、補助回路50の動作説明を行う。
図2は、電圧共振回路の基本回路について示す図である。
電圧共振回路の基本回路120は、自励式フライバックコンバータであって、一次側主巻線Pおよび二次側主巻線SからなるトランスTと、トランスTの一次側主巻線Pに直列接続されたスイッチング素子Q1と、トランスTの二次側主巻線Sに直列接続された二次側整流ダイオードD2と、を含んでなり、さらに、トランスの漏れインダクタンスLrおよびトランス一次側オープンインダクタンスLと、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に接続された共振用コンデンサCrおよび寄生ダイオードD1と、一次側平滑コンデンサC1および二次側平滑コンデンサC2とを備え、電圧共振動作を行うことによりゼロ電圧スイッチングを実現させる構成からなっている。
一方、図1では、あくまで等価回路として回路図上に現れるものに過ぎないトランス一次側オープンインダクタンスLおよびトランス二次側の漏れインダクタンスLrについては記載を省略している。
次に、本実施例の電圧共振フライバックコンバータ100の基本動作を、図3に示す各部動作波形に基づき状態毎に分けて説明する。
なお、図3に示す電圧共振回路の基本動作に関する各部動作波形図において、
(a)はスイッチング素子Q1或いはその寄生ダイオードD1を流れるドレイン電流ID(実線)、およびトランスTの一次側巻線電流IN1(破線)を示すものである。なお、以下に示す状態1、4および5の各状態においては、上記IDを示す実線とIN1を示す破線とが重複している。
(b)に示す実線は、共振用コンデンサCrの電圧VCrを表している。なお、破線部分に関しては、状態4の項で説明する通り、実際には状態4以降においては共振用コンデンサCrの電圧VCrはスイッチング素子Q1の寄生ダイオードD1の順方向ドロップ電圧にクランプされることを表している。
(c)に示す実線は、共振用コンデンサCrの電流ICrを表している。なお、破線部分に関しては、状態4の項で説明する通り、実際にはこれら状態4以降はスイッチング素子Q1の寄生ダイオードD1がターンオンするので、共振用コンデンサCrの電流ICrは引き続き、ターンオンした寄生ダイオードD1を通って流れることを表している。
(d)はトランスTの二次側巻線電流IN2を示すものである。
なお、状態1がスイッチング素子Q1のターンオン期間TON、残る状態2−5がターンオフ期間TOFFに相当する。
以下では、電圧共振回路の基本回路について示す図2およびその基本動作に関する各部動作波形図である図3に基づき、各動作状態ごとに説明する。
Q1ターンオン (D1ターンオフ、D2ターンオフ);
はじめに、図2において、共振用コンデンサCrの電流ICr、電圧VCrをゼロとし、二次側平滑コンデンサC2の電圧VC2は出力電圧E2に充電されているとする。図1の場合も同様である。
なお、図1および図2には、以下に説明する主要素子の電圧、電流の正負を示す符号が併記されている。
IN1=(E1/L)×t (1)
ただし、LはトランスTの一次側オープンインダクタンスである。
でtと共に直線的に上昇する。
Q1ターンオフ (D1ターンオフ、D2ターンオフ);
t=τ1においてスイッチング素子Q1をターンオフさせると、共振用コンデンサCrの電圧VCrは、入力電圧E1およびトランス一次側オープンインダクタンスLのエネルギーにより、徐々に上昇する。
図3(c)に示す通り、VCr=E1となるt=τ2’の時点で、共振用コンデンサCrの電流ICrはピークに達する。その後もトランスTの一次側オープンインダクタンスLと共振用コンデンサCrの共振により、共振用コンデンサCrの電圧VCrは上昇し続ける。
D2ターンオン (Q1ターンオフ、D1ターンオフ);
VCr=E1+(N1/N2)×E2 (2)
となる時点τ2で、二次側整流ダイオードD2が導通する。
これにより、トランスTの二次側主巻線Sは二次側平滑コンデンサC2を介して短絡された形となり、共振用コンデンサCrの電圧VCrはt=τ3’の時点をピークとした、トランスTの漏れインダクタンスLrと共振用コンデンサCrとによる共振波形となる。
トランスTの二次側巻線電流IN2は、共振用コンデンサCrの電圧VCrが再び、
VCr=E1+(N1/N2)×E2 (2)
となるt=τ3’’の時点まで上昇する。さらに二次側巻線電流IN2は、トランスTの漏れインダクタンスLrにより流れ続け、二次側主巻線Sの短絡状態が続く。
共振用コンデンサCrの電圧VCrは、t=τ3’’’の時点で入力電圧E1に達しても、トランスTの漏れインダクタンスLrとの共振によりさらに降下を続け、t=τ3の時点でゼロとなる。
D1ターンオン (Q1ターンオフ、D2ターンオン);
t=τ3の時点でスイッチング素子Q1の寄生ダイオードD1がターンオンする。これにより、t=τ3以降は、共振用コンデンサCrの電流ICrは、ターンオンした寄生ダイオードD1を通って引き続き流れることとなる。すなわち、t=τ3以降、スイッチング素子Q1の寄生ダイオードD1が導通するようになった後は、共振用コンデンサCrの電流ICrは寄生ダイオードD1を通って引き続き流れることとなる(=引き継がれる)。このとき、共振用コンデンサCrの電圧VCrは寄生ダイオードD1の順方向ドロップ電圧にクランプされる。
D2ターンオフ (Q1ターンオフ、D1ターンオン);
t=τ4の時点でトランスTの二次側巻線電流IN2はゼロとなり、この時点で二次側整流ダイオードD2がターンオフする。
したがってこれ以降は、トランスTの一次側巻線電流IN1は、
IN1=(E1/L)×t−IN1(τ4) (3)
でtと共に直線的に上昇する。そして、一次側巻線電流IN1は、t=τ5すなわちt=Tでゼロに戻る。時刻τ5においてスイッチング素子Q1が再びターンオンし、一スイッチング周期Tが終了する。時刻τ5より先は、これまで説明した時刻t0以降と同様の動作である。
本実施例に係る電圧共振フライバックコンバータ100につき、以上に説明した電圧共振回路の基本動作を基に説明する。
図3に示す電圧共振回路の基本動作に関する各部動作波形図からも明らかな通り、上記状態4、5そして再び状態1に戻る一連の流れにおいては、スイッチング素子Q1がターンオフ状態からターンオン状態へ遷移するときのドレイン電流IDは、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧に相当する共振用コンデンサCrの電圧VCrについてサイン波状の電圧共振が終了した直後であるt=τ3の時点では、共振電流が存在することからマイナス方向の電流からスタートしている。
ここで、マイナス方向とは、スイッチング素子Q1のドレイン電流がソースからドレインに向かって流れている状態を示す(通常は、プラス方向であるドレインからソースに向かって流れる)。このマイナス方向はまた、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間にダイオードが並列に接続されているときに(図2のD1に相当)、ダイオードD1に電流が流れている状態を示す。なお、ダイオードD1を接続したときのドレイン電流とは、スイッチング素子Q1のドレインに流れる電流と、ダイオードD1に流れる電流との合計を意味する。
したがって本発明によれば、スイッチング素子の両端電圧がゼロになったことを検出するのに複雑な構成を必要とせず、シンプルな補助回路によりスイッチング素子のゼロ電圧検出およびゼロ電圧スイッチングをなし得る新規な電圧共振フライバックコンバータを提供することができる。
以上、一実施例に基づき本発明の電圧共振フライバックコンバータに付き説明してきたが、本発明は上記実施例記載の構成に限定されず、種々変形実施することが可能である。
その際、マイナス方向に流れているドレイン電流IDのみを整流ダイオードDaを介してカレントトランスLaの二次巻線より電圧として取り出せる様、カレントトランスLaの一次側および二次側のそれぞれの極性について、図4に示す様に十分注意が払われるべきである。
この場合、整流ダイオードDaのカソードがカレントトランスLaの二次巻線の一端側に接続され、アノードがゲート駆動巻線Gの他端側に接続される。
この場合、二次側整流ダイオードD2のカソードがトランスTの二次側主巻線Sの一端側に接続され、アノードが二次側平滑コンデンサC2の他端側に接続される。
110 自励式フライバックコンバータ
120 基本回路
50 補助回路
60 スナバ回路
70 オン幅決定回路
80 フィードバック回路
C1 一次側平滑コンデンサ
C2 二次側平滑コンデンサ
Cr 共振用コンデンサ
D1 スイッチング素子の寄生ダイオード
D2 二次側整流ダイオード
Da 整流ダイオード
G ゲート駆動巻線
L トランス一次側オープンインダクタンス
La カレントトランス
Lr トランスの漏れインダクタンス
P 一次側主巻線
Q1 スイッチング素子
Ra 電流制限抵抗
Rs 電流制限抵抗
Rw 起動抵抗
S 二次側主巻線
T トランス
Claims (3)
- 一次側主巻線および二次側主巻線、並びにゲート駆動巻線からなるトランスと、
前記トランスの一次側主巻線に直列接続され、前記ゲート駆動巻線により駆動されるスイッチング素子と、
前記トランスの二次側主巻線に直列接続された二次側整流ダイオードと、
を備え、前記スイッチング素子が電圧共振動作を行うことによりゼロ電圧スイッチングを実現する自励式フライバックコンバータであって、
前記スイッチング素子のドレイン側とソース側との間に接続された共振用コンデンサと、
一次巻線をドレイン電流が流れる経路中に挿入したカレントトランスと、
前記カレントトランスの二次巻線よりソースからドレインに向かう方向に流れている前記ドレイン電流を電圧変換する整流ダイオードと、
をさらに備え、
前記整流ダイオードによって変換された電圧を前記スイッチング素子のゲートへ印加することで強制的に前記スイッチング素子をターンオンさせることを特徴とする自励式フライバックコンバータ。 - 前記スイッチング素子のドレイン側は前記トランスの一次側主巻線の他端側に、ソース側は前記一次側平滑コンデンサの他端側に接続され、
前記二次側整流ダイオードのアノードは前記トランスの二次側主巻線の他端側に接続され、
前記ゲート駆動巻線の一端側は前記スイッチング素子のゲートに接続されると共に、
前記カレントトランスの一次巻線は、他端側が前記トランスの一次側主巻線の一端側に、一端側が前記一次側平滑コンデンサの一端側に接続され、
他方、前記カレントトランスの二次巻線は、一端側が前記ゲート駆動巻線の他端側に接続されており、さらに、
前記整流ダイオードのアノードは前記カレントトランスの二次巻線の他端側に、カソードが前記スイッチング素子のゲート側に接続されることを特徴とする請求項1に記載の自励式フライバックコンバータ。 - 前記スイッチング素子のゲート側と入力電圧の正極側との間に接続された起動抵抗をさらに備え、起動時に当該起動抵抗を通じて前記スイッチング素子をターンオンさせ得ることを特徴とする請求項1または2に記載の自励式フライバックコンバータ。
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