JP2012042300A - 放射能拡散防止用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射性薬液の拡散による放射能汚染を防ぐためには、薬液の移動を最小限に食い止める必要があり、薬液の移動を最小限に留め、固形化して液流れを防止するために、薬液を吸収する放射能拡散防止用組成物を提供する。
【解決手段】硬化型樹脂(A)、吸収性樹脂粉末(B)及び放射線遮蔽材粉末(C)を含有する放射能拡散防止用組成物であり、硬化型樹脂(A)としては、一液湿気硬化型ウレタン樹脂が好ましく、吸収性樹脂粉末(B)としては、(メタ)アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体からなる吸収性樹脂粉末が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、放射線漏洩の恐れのある原子力施設や、放射性薬液の飛散する恐れのある研究機関等の施設において、放射能飛散からの保護および汚染防止に用いられる放射能拡散防止用組成物に関する。
原子力発電所、核燃料再処理工場等の原子力施設や、大学や研究機関等の放射性薬液を使用する施設から放出された放射線、特に中性子線、ガンマー線を人間が被爆しないようにする安全対策は非常に重大な問題となっている。そこで、従来より、例えば原子炉については、格納容器内に収納して運転し、かつ原子力施設については周辺に非居住区域を設定し、また人口密集地から十分に離隔することが行われている。しかしながら、原子力施設内に故障が生じ、放射能が周辺へ放出される、または放射性薬液を使用する施設で、放射性薬液の飛散や流出等の事故が万が一にも発生した場合には、人間を含む生物全体に対する安全が損なわれ、かつ社会的に大きな問題となる。
放射線を発生する設備、機器は種々の分野で使用されているが、これらの設備、機器に用いる放射線遮蔽体もいくつか提案されている。例えば、中性子吸収物質を高温加圧下に溶解してなる遮蔽体(特許文献1)、流動性の中性子遮蔽材(特許文献2)、中性子吸収剤を透明ゲルで固定化した遮蔽材(特許文献3)等が公知である。酸化鉄系鉱石を含む重量コンクリートと内部の空隙部に水又は吸水膨潤した高吸水性樹脂を充填した構造の外周壁を備えた原子力発電所及び放射性廃棄物処理施設(特許文献4)等、放射性物質を取り扱う施設の外周壁に関するものもある。
成形及び加工が容易で、可動部位にも使用可能な放射線遮蔽体(特許文献5)、塑性変形可能な放射線遮蔽材料(特許文献6)など、ベースとなる樹脂に金属粉末とを混合した放射線遮蔽材料の開発も進んでおり、より安全性が求められている。
また、放射性物質を取り扱う場所、例えば、原子力発電所や放射性物質を取り扱う研究機関においては、床面、壁面、天井或いは機器類などに放射性物質が付着しないように、合成樹脂フィルムまたはシートで被覆したり、あるいは間仕切り用に合成樹脂フィルムまたはシートが使用されている。
放射性薬液の輸送中や保存中に放射性薬液封入容器が破損することを防ぐと共に、放射性薬液が放射線遮蔽容器外へ漏出し、放射性汚染物を増加させる危険性の無い放射性薬液封入容器用輸送容器(特許文献7)もある。
放射性薬液を使用する研究機関等の施設では、薬液飛散防止の為に、被覆用フイルムやシートを用いて放射線遮蔽の工夫がなされてはいる。しかしながら、万が一誤って作業中に薬液をこぼす、薬液を含有した容器を破損するなどの事故を起こしてしまった場合、シート上を薬液が伝い、拡散による汚染が懸念される。
特開昭51−48099号公報 特公昭37−18450号公報 特公昭52−49556号公報 特開平10−300880号公報 特開平10−153687号公報 特開2003−321614号公報 特開平8ー98869号公報
放射性薬液の拡散による放射能汚染を防ぐためには、薬液の移動を最小限に食い止める必要がある。本発明の目的は、薬液の移動を最小限に留め、固形化して液流れを防止するために、薬液を吸収する放射能拡散防止用組成物を提供することにある。
本発明者は鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、硬化型樹脂(A)、吸収性樹脂粉末(B)及び放射線遮蔽材粉末(C)を含有する放射能拡散防止用組成物である。
本発明は、下記の効果を奏する。
(1)本発明の放射能拡散防止用組成物は、硬化速度が速く、放射性薬液を硬化する。
(2)本発明の放射能拡散防止用組成物は、流れ出た放射性薬液を吸収することができ、吸収速度も速いため、薬液の拡散を抑えることができる。
(3)本発明の放射能拡散防止用組成物は、放射性薬液を吸収して硬化し、固化した部分を取り除いて廃棄することができる。
本発明における硬化型樹脂(A)は、使用時に液状であり、硬化したものがゲル状もしくは固形状になり、流動性のないものであれば使用できる。
硬化型樹脂(A)としては、湿気硬化型樹脂(A1)、熱硬化型樹脂(A2)及び紫外線硬化型樹脂(A3)が挙げられる。
湿気硬化型樹脂(A1)としては、例えば、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ変性シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、シリル化ウレタン樹脂、ポリサルファイド系樹脂など、公知のものを使用できる。
熱硬化型樹脂(A2)としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂など、公知のものを使用できる。
紫外線硬化型樹脂(A3)としては、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ビニルエステル樹脂等の二重結合を持った公知のものを使用できる。
硬化型樹脂(A)のうち、好ましくは湿気硬化型樹脂(A1)であり、ウレタン系湿気硬化型樹脂は、作業性が簡便であり、且つ、硬化後は優れた接着力や弾力性等のバランスの良い性能を発現するので、好ましい。
ウレタン系湿気硬化型樹脂は、1液型と2液型に分けられる。1液型は、一般的に、イソシアネート基を有する変性ウレタンポリマーが空気中の水分と反応して硬化するものであり、2液型は主剤にポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールを使用し、硬化剤にポリイソシアネート等を使用し、混合することにより、反応硬化させる。いずれも常温で硬化するので、本発明の用途には適しているが、使用時に混合する手間がなく、かつ速やかに空気中の水分と反応して硬化するため、硬化時間も短い等の点から、1液湿気硬化型ウレタン樹脂が特に好ましい。
本発明において、一液湿気硬化型ウレタン樹脂としては、有機ポリイソシアネート化合物と活性水素含有化合物とから誘導されるウレタンプレポリマーからなるもの挙げられる。
有機イソシアネート化合物としては、例えば、(a)脂肪族ポリイソシアネート、(b)脂環式ポリイソシアネート、(c)芳香脂肪族ポリイソシアネート、(d)芳香族ポリイソシアネート、(e)これらのポリイソシアネートの変性物、(f)珪素含有ポリイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート(a)の具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネート(b)の具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、1,4−ビス(2−イソシアネートエチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネ−ト(c)の具体例としては、p−キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネート(d)の具体例としては、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−または−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、粗製TDI、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(粗製MDI)などが挙げられる。
ポリイソシアネートの変性物(e)の具体例としては、上記(a)〜(d)にカーボジイミド基、ウレチジオン基、ウレトイミン基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、ウレタン基などを導入した変性物などが挙げられる。
珪素含有ポリイソシアネート(f)の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。以上有機ポリイソシアネート化合物として例示したものは、2種以上の混合物でも良い。
(a)〜(f)のうち好ましいものは、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)である。
活性水素含有化合物としては、多価アルコール類(イ)、ポリオキシアルキレンポリオール(ロ)、ポリエステルポリオール(ハ)、ポリオレフィンポリオール(ニ)、アクリルポリオール(ホ)、ヒマシ油系ポリオール(ヘ)、重合体ポリオール(ト)などが挙げられる。
多価アルコール類(イ)の具体例としては、脂肪族2価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオールなど)、環状基を有する低分子ジオール類[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−およびp−キシリレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなど]、3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなど)、四官能以上の多価アルコール類(ソルビトール、シュ−クローズなど)、アルカノールアミン類(トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなど)などが挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリオール(ロ)としては、活性水素含有化合物[多価アルコール類(前記に例示したもの)、フェノール類(ハイドロキノン、ビスフェノールAなど)など]に、アルキレンオキサイド(炭素数2〜4のアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドおよびこれらの併用)を付加(併用の場合、ブロックでもランダム付加でもよい)したものなどが挙げられる。ポリオキシアルキレンポリオール(ロ)の具体例としては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンテトラオール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオール(ハ)としては、前記に例示した多価アルコール類(イ)とジカルボン酸類とを反応させて得られる縮合ポリエステルポリオール、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンポリオール、エチレンカーボネートと1,6−ヘキサンジオールの反応により得られるポリカーボネートポリオールなどが含まれる。
縮合ポリエステルポリオールを構成するジカルボン酸類としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)、これらジカルボン酸の無水物、低級アルキル(C1〜C4)エステルもしくはハライド(クロライドなど)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトンが挙げられる。
これらのポリエステルポリオール(ハ)の具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレンプロピレンアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘキサメチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼレート、ポリブチレンセバケート、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
ポリオレフィンポリオール(ニ)の具体例としては、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどが挙げられる。
アクリルポリオール(ホ)としては、ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど]とそれ以外の特開平4−292683号公報に記載のエチレン性不飽和単量体の共重合物などが挙げられる。アクリルポリオール(ホ)の具体例としては、ヒドロキシエチルアクリレートとエチルアクリレートの共重合物、ヒドロキシエチルアクリレートとエチルアクリレートとスチレンの共重合物などが挙げられる。
ヒマシ油系ポリオール(ヘ)としては、例えば、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸と多価アルコール(イ)やポリオキシアルキレンポリオールとのポリエステルポリオール(ヒマシ油脂肪酸のモノまたはジグリセライド、ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールプロパンとのモノ、ジまたはトリエステル、ヒマシ油脂肪酸とポリオキシプロピレングリコールとのモノまたはジエステルなど)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
重合体ポリオール(ト)としては、(ロ)〜(ヘ)の項で例示した各ポリオール[I]中で特開平4−292683号公報に記載のエチレン性不飽和単量体[II]を重合して得られる重合体ポリオールなどが挙げられる。重合体ポリオール(ト)を構成するエチレン性不飽和単量体[II]の含量は、通常0.1〜90重量%で、好ましくは、5.0〜80重量%である。重合体ポリオール(ト)の製造法としては、例えば、ポリオール[I]中でエチレン性不飽和単量体[II]を重合開始剤(ラジカル発生剤など)の存在下に重合させる方法(米国特許第3383351号明細書、特公昭39−24737号、特公昭47−47999号、特開昭50−15894号公報など)が挙げられる。
活性水素化合物の活性水素当量は、通常31〜10、000である。好ましくは、31〜5、000である。官能基数は、通常2〜8である。好ましくは、2〜5である。
硬化速度は、目的に応じて、例えばウレタンプレポリマーに触媒を配合して設定すれば良い。触媒としては、ジブチルチンジラウレート、アルキルチタン酸塩、有機珪素チタン酸塩、スタナスオクトエート、オクチル酸鉛、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス、ジブチル錫ジオルソフェニルフェノキサイト、錫オキサイドとエステル化合物(ジオクチルフタレートなど)の反応生成物などの金属系触媒、モノアミン類[トリエチルアミンなど]、ジアミン類[N,N,N’ ,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど]、トリアミン類[N,N,N’ ,N”
,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンなど]、環状アミン類[トリエチレンジアミンなど]などのアミン系触媒などが挙げられる。触媒は、金属系およびアミン系単独または金属系およびアミン系を併用して使用しても良い。通常、拡散防止を目的とするので、触媒量を多くしタックフリータイムを短くすることが好ましい。また同時にチクソトロピー性を上げても良い。触媒の配合量は、通常、一液湿気硬化型ウレタンエラストマー100部に対して0.001〜30部である。タックフリータイムは、通常、1〜120分である。好ましくは、1〜30分である。この範囲のタックフリータイムに調整した材料を用いて使用すれば作業性が良好であり、放射能漏れなどの恐れから短時間での硬化を求められる危険な作業の際に、手早く硬化して廃棄できるので有効である。
本発明の一液湿気硬化型ウレタン樹脂には、その他の成分として、充填剤、可塑剤、老化防止剤、溶媒、顔料などを含有させても良い。
充填剤としては、フィラー類(重質炭酸カルシウム、タルク、雲母など)、樹脂類(塩化ビニル、ポリエチレンなど)などが挙げられる。
可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、塩素化パラフィン、石油樹脂などが挙げられる。
老化防止剤としては、ヒンダードアミン系[4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(三共製サノールLS−744)など]、ヒンダードフェノール系[オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(日本チバガイギー製イルガノックス1076)など]、ベンゾフェノン系(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど)、ベンゾトリアゾール系[2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル) ベンゾトリアゾールなど]などが挙げられる。
溶媒としては、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタンなどが挙げられる。
顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラなどが挙げられる。
難燃性を付与するには、難燃剤を分子内に導入する方法や配合する方法などが挙げられる。難燃性を付与することにより、パンタグラフのスパーク火花からの、火災の危険を予防できる。難燃剤としては、非ハロゲン燐酸エステル(トリフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、アンモニュウムポリフォスフェートなど)、ハロゲン含有燐酸エステル[トリスクロロエチルフォスフォネート、トリスジクロロプロピルフォスフェート、トリス(トリブロモフェニル)フォスフェートなど]、活性水素含有難燃剤[ジ(イソプロピル)N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルフォスフェート、臭素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物など]、尿素、尿素誘導体(尿素とホルマリンの反応物など)、チオ尿素、メラミン、メラミン誘導体(メラミンとホルマリンの反応物など)、三酸化アンチモン、五酸化アンイモン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ジンクボレートなどが挙げられる。以上例示したものは、1種または2種以上でも良い。難燃剤の使用量は、通常、一液湿気硬化型ウレタンエラストマー100部に対して0.1〜40部である。難燃性は、JIS−D1201などで判定され、自消性あるいは遅燃1級〜遅燃3級にランク分けされている。難燃性は、遅燃2級以上のランクのものが好ましい。
チクソトロピー性を付与するには、チクソトロピー付与剤と必要に応じてチクソトロピー付与助剤を配合すれば良い。チクソトロピー性を付与すれば、硬化時間を調整することもできる。チクソトロピー付与剤としては、超微粉末シリカ、硬化ヒマシ油、ベントナイト、カーボンブラック、沈降性炭酸カルシウムなどが挙げられる。チクソトロピー付与助剤としては、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール、ジメチルスルフォキシドなどが挙げられる。
一液湿気硬化型ウレタンプレポリマーの製法を例示すると、たとえば反応缶に有機ポリイソシアネートとポリオールを仕込み、反応温度50〜120℃で反応すれば製造できる。
硬化型樹脂(A)の放射能拡散防止用組成物中の含有量は、硬化性や作業性の観点から、15〜85重量%が好ましく、30〜50重量%が特に好ましい。
本発明における吸収性樹脂粉末(B)は、水性液体を吸収する事によって水膨潤ゲルを形成しうる高分子化合物である。この様な吸収性樹脂としては、例えばポリアクリル酸塩架橋体、ポリアルキレンオキサイド系、イソブチレン−マレイン酸塩共重合体、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、酢酸ビニル−アクリル酸塩共重合架橋体、酢酸ビニル−マレイン酸モノメチル共重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等、一般的に公知の吸水性樹脂を挙げることができる。これら合成の高分子化合物以外に、例えば寒天、アルギン酸、カラギ−ナン、マンナン、ゼラチン、グルテン等の如き天然系多糖類及び蛋白等の天然高分子化合物も有効である。
吸水性樹脂粉末(B)は、吸水速度、吸水量及び取り扱い性の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(P)からなる吸収性樹脂粉末が好ましい。
水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく公知{特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報等}のビニルモノマー等が使用できる。
例えば、(メタ)アクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)、フマル酸(塩)及びイタコン酸(塩)等のカルボン酸(塩)単量体;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、スルホアルキル(メタ)アクリレート及び4-ビニルベンゼンスルホン酸(塩)等のスルホン酸(塩)単量体;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(炭素数1〜3)置換(メタ)アクリルアミド[N−メチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド等]及びN−ビニルアセトアミド等のアミド単量体;モノヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)モノ(メタ)アクリレート等のアルコール単量体;ポリエチレングリコール(重合度:2〜100)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度:2〜100)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(重合度:2〜100)モノ(メタ)アクリレート等のエーテル単量体;アルキル(炭素数1〜5)(メタ)アクリレート及び酢酸ビニル等のエステル単量体等が挙げられる。
加水分解性ビニルモノマー(a2)は、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマーを意味し、特に限定はなく公知{特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報等}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。また、加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシル基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩及びアンモニウム(NH4)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
塩は、例えば、(メタ)アクリル酸(塩)の場合、アクリル酸又はメタクリル酸を中和することで得られる。
架橋重合体(P)に含まれる(メタ)アクリル酸(塩)単位は未中和体{(メタ)アクリル酸単位}であっても、中和体{(メタ)アクリル酸塩単位}であっても差し支えないが、架橋重合体(P)の粘着性低減や分散性改良、架橋重合体(P)を製造する上での作業性の改良等の観点から、(メタ)アクリル酸単位の一部あるいは全てを中和して(メタ)アクリル酸塩単位とするのが好ましい。
必要により(メタ)アクリル酸単位の中和を行う場合は、通常、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属又はその水溶液を重合前のモノマー段階、あるいは重合後の含水ゲルに添加すれば良い。
本発明における架橋重合体(P)の(メタ)アクリル酸(塩)単位の最終的な中和度{(メタ)アクリル酸単位及び(メタ)アクリル酸塩単位の合計モル数に基づく、アクリル酸塩単位の含有量(モル%)}は、30〜100が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは50〜90がより好ましい。
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
架橋重合体(P)の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく公知{特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報等}の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
その他のビニルモノマー(a3)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、吸収特性の観点等から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
架橋剤(b)としては特に限定はなく公知{特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報及び特開2005−95759号公報等}の架橋剤等が使用できる。
例えば、架橋剤(b)としては、少なくとも2個の重合性二重結合を有しカルボキシル基との反応性を有する官能基を有さない架橋剤(b1)、少なくとも1個の重合性二重結合と少なくとも1個のカルボキシル基との反応性を有する官能基とを有する架橋剤(b2)及び重合性二重結合を有さず少なくとも2個のカルボキシル基と反応性を有する官能基を有する架橋剤(b3)が挙げられる。
重合性二重結合としては、アクリロイル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。カルボキシル基との反応性を有する官能基とは、カルボキシル基と反応してエステル結合やアミド結合を形成する官能基のことであり、水酸基、エポキシ基及びアミノ基等が挙げられる。
(b1)としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤(b11)、2個以上のビニルエーテル基を有する架橋剤(b12)および2個以上のアリルエーテル基を有する架橋剤(b13)等が挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
(b11)としては、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びポリグリセリン(重合度3〜13)ポリアクリレート等の分子内に2〜10のアクリロイル基を有する共重合性の架橋剤が挙げられる。
(b11)のうち、吸収性樹脂の吸収能の観点から、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましく、さらに好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、特に好ましくはN,N'−メチレンビスアクリルアミド及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートである。
(b12)としては、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル(重合度2〜5)、ビスフェノールAジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ソルビトールトリビニルエーテル及びポリグリセリン(重合度3〜13)ポリビニルエーテル等が挙げられる。
(b13)としては、分子内にアリルエーテル基を2個有しかつ水酸基を有さない架橋剤(b131)、分子内にアリルエーテル基を3〜10個有しかつ水酸基を有さない架橋剤(b132)等が挙げられる。
(b131)としては、ジアリルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、アルキレン(炭素数2〜5)グリコールジアリルエーテル、及びポリエチレングリコール(重量平均分子量:100〜4000)ジアリルエーテル等が挙げられる。
(b132)としては、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル及びテトラアリルオキシエタン等が挙げられる。
(b2)としては、特開平1−103615号公報及び特開2000−26510号公報等に記載されているものが使用でき、非イオン性基を有する架橋剤(b21)並びにカチオン性基を有する架橋剤(b22)が挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
(b21)としては、分子内にアリル基を2個有しかつ水酸基を1〜5個有する架橋剤(b211)、分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有する架橋剤(b212)、分子内にアリル基を有さずかつ水酸基を有する架橋剤(b213)及び分子内にアリル基を有さずかつエポキシ基を有する架橋剤(b214)等が挙げられる。
(b211)としては、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及びペンタエリスリトールジアリルエーテル、ポリグリセリン(重合度2〜5)ジアリルエーテル等が挙げられる。
(b212)としては、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びジグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールトリアリルエーテル、ポリグリセリン(重合度3〜13)ポリアリルエーテル等が挙げられる。
(b213)としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(b214)としては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(b22)としては、第4級アンモニウム塩を有する架橋剤{N,N,N−トリメチル−N−(メタ)アクリロイロキシエチルアンモニウム塩(炭酸塩、カルボン酸塩等)及びN,N,N−トリエチル−N−(メタ)アクリロイロキシエチルアンモニウム塩(炭酸塩、カルボン酸塩等)等}及び第3級アミノ基を有する架橋剤{(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等}が挙げられる。
(b2)としては、吸収性樹脂の吸収能の観点から、(b21)が好ましく、より好ましくは(b211)及び(b212)、さらに好ましくは(b212)、特に好ましくはアリル基が3〜5個で且つ水酸基を1〜3個有する架橋剤、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ソルビトールトリアリルエーテルである。
(b3)としては、特開平1−103615号公報及び特開2000−26510号公報等に記載されているものが使用できる。例えば、多価グリシジル化合物(b31)、多価イソシアネート化合物(b32)、多価アミン化合物(b33)及び多価アルコール化合物(b34)が挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
(b31)としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル及びソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
(b32)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
(b33)としては、エチレンジアミン等が挙げられる。
(b34)としては、(ポリ)アルキレングリコール、グリセリン及びソルビトール等が挙げられる。
(b3)のうち、好ましくは多価グリシジル化合物(b31)であり、さらに好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
(b3)を使用した場合は、架橋剤添加後、任意の段階で、好ましくは100〜230℃、より好ましくは120〜160℃に加熱し架橋反応を進行させるのが一般的である。また、架橋剤(b3)は、所定量の範囲で2種以上、更には(b1)及び(b2)と併用しても良い。
(b)としては、吸収性樹脂の吸収能の観点から、(b1)および(b2)が好ましく、さらに好ましくは(b11)、(b13)および(b2)である。これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
架橋重合体(P)を構成する架橋剤(b)の割合は、吸収性樹脂粒子の吸収能の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)と(b)との合計重量に対して、0.05〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.8重量%、特に好ましくは0.1〜0.6重量%である。
架橋重合体(P)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
次に本発明の架橋重合体(P)を得る方法について説明する。
架橋重合体(P)を得るための重合方法としては公知の重合方法が適用でき、たとえば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合又は乳化重合のいずれでもよい。
これらの重合方法のうち、溶液重合、懸濁重合、逆相懸濁重合及び乳化重合が好ましく、さらに好ましくは溶液重合、逆相懸濁重合及び乳化重合、特に好ましくは溶液重合及び逆相懸濁重合である。これらの重合には、公知の重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は溶媒等が使用できる。
これらの重合方法のうち、好ましくは、モノマー水溶液に架橋剤を添加溶解し重合する水溶液重合法、及び分散剤の存在下、疎水性有機溶媒(例えばヘキサン、トルエン、キシレン等)中に、モノマー水溶液を分散・懸濁して重合するいわゆる逆相懸濁重合法である。特に好ましくは、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、水溶液重合法である。
水溶液重合法又は逆相懸濁重合法で重合する方法は、通常の方法で良く、例えばラジカル重合開始剤を用いて重合する方法、放射線、紫外線、電子線等を照射する方法が挙げられる。
ラジカル重合開始剤を用いる場合、この開始剤としては、アゾ化合物[アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物[過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等]、有機過酸化物[ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等]、レドックス開始剤[アルカリ金属塩の亜硫酸塩もしくは重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、L−アスコルビン酸等の還元剤と、アルカリ金属塩の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の過酸化物の組み合わせ]等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
重合温度は使用する開始剤の種類等によっても異なるが、好ましくは−10〜100℃、より好ましくはポリマーの重合度をアップする観点から−10〜80℃である。
開始剤の量に関しても、特に限定はないが、ビニルモノマー(a1)及び/又は(a2)の合計重量に対して、ポリマーの重合度をアップする観点から、0.000001〜3.0重量%が好ましく、更に好ましくは0.000001〜0.5重量%である。
水溶液重合の場合、モノマーの重合濃度(重量%)は、他の重合条件によっても種々異なるが、(メタ)アクリル酸(塩)は、重合濃度を高くすると重合反応と並行してモノマー自体の疑似架橋(自己架橋)が起こり易く、吸収量の低下やポリマーの平均重合度の低下を招くこと、また重合時の温度コントロールも行いづらくポリマーの平均重合度の低下やオリゴマー成分の増加を招きやすいので、重合濃度は、10〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。また、重合温度に関しては−10〜100℃が好ましく、より好ましくは−10〜80℃である。重合時の溶存酸素量に関しては、ラジカル開始剤の添加量等にもよるが、0〜2ppm(2×10−4重量%以下)が好ましく、より好ましくは0〜0.5ppm(0.5×10−4重量%以下)である。これらの範囲であると、高重合度の重合体(A)を製造することができる。
重合時の(メタ)アクリル酸の中和度は、所定量の架橋剤がモノマー水溶液に溶解できるのであれば特に限定はないが、重合時の(メタ)アクリル酸の中和度は、0〜30モル%で重合を行ない必要により重合後に更に中和するのが好ましく、未中和の状態で重合した後必要により重合後に中和するのがより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸は、同一条件で重合を行った場合、中和度が低い方が重合度が上がりやすいため、ポリマーの重合度を大きくするためにも、中和度が低い状態で重合を行った方が好ましい。
逆相懸濁重合法に関しては、ヘキサン、トルエン、キシレン等に代表される疎水性有機溶媒中でモノマー水溶液を、分散剤の存在下、懸濁・分散して重合する重合法であるが、この重合法においても、上記同様モノマー水溶液中のモノマー濃度は10〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。この範囲であると、高重合度の重合体(A)を製造することができる。
尚、この逆相懸濁重合法に関しては、重合時に分散剤を使用してもよい。分散剤としては、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)が3〜8のソルビタンモノステアリン酸エステル等のソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリンモノステアリン酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステル類及びショ糖ジステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル類等の界面活性剤;エチレン/アクリル酸共重合体のマレイン化物、エチレン/酢酸ビニル共重合体のマレイン化物、スチレンスルホン酸(塩)/スチレン共重合体等の分子内に親水性基を有しかつ、モノマー水溶液を分散させる溶媒に可溶な高分子分散剤(親水性基;0.1〜20重量%、重量平均分子量;1、000〜1、000、000)等を例示できるが、分散剤としては高分子分散剤を使用した方が、溶媒中でのモノマー水溶液の懸濁粒子の大きさを調整しやすいので好ましい。
分散剤の添加量は、疎水性有機溶媒の重量に対して、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%である。
逆相懸濁重合におけるモノマー水溶液と疎水性有機溶媒との重量比(W/O比)は、0 .1〜2.0が好ましく、0.3〜1.0がより好ましい。
架橋重合体(P)の製造において、架橋剤を使用しないで重合体を製造した場合のポリマーの平均重合度が、好ましくは5、000〜1、000、000であり、より好ましくは10、000〜1、000、000となる条件で重合するとさらに好ましい。
上記平均重合度の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)にて行った。
本発明において、水溶液重合又は逆相懸濁重合等により得た重合体は、水を含むゲル(含水ゲル)として得られる。含水ゲルは、通常乾燥した後に様々な用途へ吸収性樹脂として使用する。
含水ゲルの乾燥方法に関しては、水溶液重合の場合、含水ゲルをミートチョッパーやカッター式の粗砕機でゲルをある程度細分化(細分化のレベルは0.5〜20mm角程度)あるいはヌードル化し、必要により水酸化アルカリ金属等を添加して含水ゲルの中和を行った後、透気乾燥(パンチングメタルやスクリーン上に含水ゲルを積層し、強制的に50〜150℃の熱風を通気させて乾燥する等)や通気乾燥(含水ゲルを容器中に入れ、熱風を通気・循環させ乾燥、ロータリーキルンの様な機械で更にゲルを細分化しながら乾燥する)等の方法を例示できる。これらの中で、透気乾燥が短時間で効率的な乾燥が行えるため好ましい。
一方、逆相懸濁重合の場合の含水ゲルの乾燥方法は、重合した含水ゲルと有機溶媒をデカンテーション等の方法で固液分離した後、減圧乾燥(減圧度;100〜50、000Pa程度)又は通気乾燥を行うのが一般的である。
細断は、公知の方法で行うことができ、通常の細断装置{ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等}等を使用して細断できる。
重合に有機溶媒を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0〜1である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能がさらに良好となる。
本発明において、含水ゲル乾燥時の乾燥温度は、使用する乾燥機や乾燥時間等により種々異なるが、好ましくは、50〜150℃、より好ましくは80〜130℃である。乾燥温度が、150℃以下であると乾燥時の熱によりポリマーが架橋しにくく、熱架橋により架橋度が上がりすぎることがなく、吸収量が低下しない。50℃以上であると乾燥に長時間を要さず効率的である。
乾燥時間に関しても、使用する乾燥機の機種及び乾燥温度等により異なるが、好ましくは5〜300分、より好ましくは、5〜120分である。
このようにして得られた架橋重合体(P)の乾燥物は、必要により粉砕して粉末化する。粉砕方法は、通常の方法でよく、例えば衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレ
ルミル、ACMパルペライザー等)や空気粉砕機(ジェット粉砕機等)で行うことができる。
粉末化した架橋重合体(P)[吸収性樹脂粉末(B)]は、必要により所望のスクリーンを備えたフルイ機(振動フルイ機、遠心フルイ機等)を用いて、所望の粒子径の乾燥粉末を採取することができる。
吸収性樹脂粉末(B)のJIS Z8815−1994(6.1乾式ふるい分け試験)に準拠して測定される乾燥時の重量平均粒子径に関しては、1〜1000μmが好ましく、さらに好ましくは10〜700μm、特に好ましくは30〜500μm、最も好ましくは50〜200μmである。この範囲であると、硬化型樹脂への拡散性が優れるので、作業効率がよい。
吸収性樹脂粉末(B)の放射能拡散防止用組成物中の含有量は、硬化性樹脂における、吸水速度、吸水量の観点から、0.1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。
硬化型樹脂(A)と吸収性樹脂粉末(B)の重量比[(A)/(B)]は、吸水量と硬化速度、均一混合しやすさの兼ね合いの観点から、3/1〜30/1が好ましく、10/1〜15/1が特に好ましい。
本発明における放射線遮蔽材粉末(C)は、当業者に周知の、放射線を遮蔽する為に使用される材料のことであり、その特性は、例えば物理学辞典(昭和61年10月20日 培風館発行)に記載されている。この様な放射線遮蔽材としては、例えばホウ素、鉄、鉛、カドミウム、リチウム、タングステン、アンチモン、タンタル、レニウム、オスミウム、錫、ビスマス、バリウム等の単体、化合物、合金を挙げる事ができる。ボロンカ−バイド、ランタンボロン等のホウ素化合物は中性子線に対する遮蔽効果が大きい。ここでの化合物とは、それぞれの金属によって種類は異なるが、一般に酸化物、水酸化物、炭化物、硫酸化物等を指す。中でも、特に鉛はX線に対する遮蔽効果が大きいが、毒性が強く環境への悪影響が懸念されており、環境面では好ましくない。
放射線遮蔽材粉末(C)として、鉄、鉄化合物、鉛、鉛化合物、錫、錫化合物、ビスマス、ビスマス化合物、タングステン、タングステン化合物及びこれらの合金が好ましい。
放射線遮蔽材粉末(C)の放射能拡散防止用組成物中の含有量は、放射線遮蔽能力及び均一に分散の観点から、50〜90重量%が好ましく、60〜75重量%が特に好ましい。
放射線遮蔽材粉末(C)の重量平均粒径は、分散性の観点から0.1〜100μmとすることが好ましい。
本発明における放射能拡散防止用組成物は、前記硬化性樹脂(A)、吸収性樹脂粉末(B)、水及び放射線遮蔽材(C)とからなるものであるが、作業性の簡易さ及び、硬化性の観点から吸収性樹脂粉末(B)及び放射線遮蔽材粉末(C)を硬化型樹脂(A)に分散させてなるのが好ましい。
吸収性樹脂と放射線遮蔽材の配合方法は何等制限されるものではなく、種々の方法が採用される。例えば、吸収性樹脂に水を添加して水膨潤ゲルとした後、放射線遮蔽材を添加し混合する方法、吸収性樹脂と放射線遮蔽材を混合した後、水を添加する方法、放射線遮蔽材を水に分散したスラリ−液を吸収性樹脂に添加する方法等が挙げられる。ただし、いずれの場合も、遮蔽効果を上げるためには、樹脂中に均一に分散させる必要がある。
本発明の放射能拡散防止用組成物の固結施工法としては、[a]エアレススプレー機またはエアースプレー機を用いてスプレー施工する方法、[b]魚尾状ノズルを付けたシーラントハンドガンで散布する方法、[c]如露などで散布する方法などが挙げられる。
放射能拡散防止のためには、施工操作が容易で、手早く作業が出来ることが好ましく、中でも[a]の方法が好ましい。
以下実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。なお実施例中での略記号の意味および評価試験方法を下記に示す。
(略記号)
GP−400;グリセリンのプロピレンオキシド付加物、分子量=400、[三洋化成工業(株)製、商品名:サンニックスGP−400]
BP−23P;分子量=356、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、[三洋化成工業(株)製、商品名:ニューポールBP−23P]
C−O;分子量=1060、低酸価ヒマシ油、[豊国製油(株)製、商品名:ELA−DR]
TMP;トリメチロールプロパン
A−70;難燃剤、[日本油脂(株)製、商品名:アンフラーム70]
A−200;微粉末シリカ、[日本アエロジール(株)製、商品名:アエロジール200]
U−41;触媒[サンアプロ(株)製、商品名:U−CAT 2041]
DTD;ジブチルチンジラウレート
MDI;ジフェニルメタンジイソシアネート
G−1;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール[三洋化成工業(株)製、商品名:サンニックスGL−3000]とMDIのウレタンプレポリマー
C−MDI;粗製MDI[日本ポリウレタン(株)製、商品名:ミリオネートMR−100]
MEK;メチルエチルケトン
製造例1[湿気硬化樹脂(A1)の製造方法]
A1−1(ウレタン)
4ッ口セパラブルコルベンにTMP11g、BP−23P147g、MDI 392g、MEK 350gを仕込み、80℃で5時間反応した。続いて、A−70 100g、DTD1gを仕込んで30分間攪拌して一液湿気硬化型ウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマーのNCO含量は、8.7%であった。
A1−2(ウレタン)
4ッ口セパラブルコルベンに、TMP 12g、BP−23P 154g、C−O91g、MDI 324g、MEK350gを仕込み、80℃で5時間反応した。続いて、A−70 70g、U−41 3gを仕込んで30分間攪拌して一液湿気硬化型ウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマーのNCO含量は、5.0%であった。
A1−3(エポキシ)
1)潜在性硬化剤(H1)の製造
水分離器及び攪拌機を備えている1Lの四つ口フラスコにノルボルナンジアミン100g、メチルイソプロピルケトン400g及びトルエン200gを投入し、80〜110℃で加熱環流し、生成した水分を除去した。理論量の水分が生成したことを確認後、室温まで冷却し、モレキュラシーブ3A(ユニオン昭和社製:合成ゼオライト)50gを入れ一晩静置した。次に濾過で合成ゼオライトを除き、減圧加熱下で過剰のメチルイソプロピルケトンを除去し、潜在性硬化剤(H1)を得た。得られた(H1)は、潜在性アミノ基当量(ケチミン基1個当たりの分子量)145、粘度(20℃;B型粘度計)10mPa・sの淡黄色液体であった。
2)ヘテロ環含有化合物(C−2EH)の製造
攪拌機を備えたガラス製反応容器に二硫化炭素76gと臭化リチウム5g、THF120gを仕込んで攪拌溶解した後、2−エチルヘキシル190gを20℃以下に保ちながら滴下し、その後40℃で5時間熟成した。減圧下で、THF及び過剰の二硫化炭素を留去した後、ろ過した。得られたヘテロ環含有化合物(C−2EH)は、粘度43mPa・s、ヘテロ環基当量262の黄色液体であった。
3)湿気硬化型エポキシ樹脂組成物の製造
予め80℃、20mmHgで脱水処理したデナコールEX−201(ナガセ化成工業社製;レゾルシンジグリシジルエーテル)70g、エピコ−ト807(ジャパンエポキシレジン社製;ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂)30g及びヘテロ環含有化合物(C−2EH)15gを配合し、室温まで冷却後、非イオン界面活性剤としてノニポール100(三洋化成工業社製、ノニルフェノールエチレンオキシド10モル付加物)0.5g、脱水剤としてSZ−6300(東レ・ダウコーニングシリコーン社製:ビニルトリメトキシシラン)0.5g、潜在性硬化剤(H1)51gをそれぞれ加えて再度減圧攪拌し、一液型の湿気硬化型エポキシ樹脂組成物を製造した。
製造例2[熱硬化型樹脂(A2)の製造方法]
攪拌装置、温度計、コンデンサー、モノマー供給ポンプ、窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、窒素ガス気流下、キシレン100gを仕込み、90℃に昇温した後、メタクリル酸メチル54g、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン2g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル15g、メタクリル酸2g、メタクリル酸n−ブチル27gおよびα,α´−アゾビスイソブチロニトリル1.2gからなる溶液を3時間で等速滴下し、さらに90℃で1時間保持した後、α,α´−アゾビスイソブチロニトリルを0.2gずつ30分間隔で3回添加し、さらに90℃で1時間保持した後、酢酸ブチル50gを添加し重合を終了させ、数平均分子量11,000のアクリルポリオール組成物を得た。なお、分子量は東ソー(株)製の高速GPC装置(HLC−8020)を用いて測定した。
さらに、得られたアクリルポリオール組成物に、スミジュールN−75(イソシアネート樹脂;住友バイエルン(株)製)29.3gを配合し、熱硬化型樹脂組成物を得た。
製造例3[紫外線硬化型樹脂(A3)の製造方法]
1)(ポリカーボネート変性ポリウレタンアクリレートの調製例)
温度計、攪拌器およびコンデンサーを備えたフラスコに、「バーノック
DN−901S」〔大日本インキ化学工業(株)製品〕を110g、イソボロニルアクリレートを50g、カルビトールアクリレートを50gおよびヘキサメチレンジアクリレートを30g仕込んで均一に攪拌したところへ、「カルボジオールC−700〔東亜合成化学工業(株)製のカーボネートジオール〕を70g加え、80℃で2時間反応を行った。
次いで、「TONE M−100」(ユニオンカーバイド社製のカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート)を135g添加して、同温度で、さらに2時間の反応を行い、目的とするポリカーボネート変性ポリウレタンアクリレートを得た。
2)(変性光開始剤の調製例)
フラスコに、「バーノック DN−901S」の55gと、水酸基価が112mg−KOH/gである「ビス(2−ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン50gとを仕込んで、攪拌しながら、80℃で4時間反応を行い、次いで、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(2−ヒドロキシ)プロピルケトンをメチルエチルケトンで50%に希釈した溶液を45gと、2−ヒドロキシプロピルアクリレート13gを添加して、攪拌しながら、80℃で4時間の反応を行った。
反応後、赤外スペクトルによりイソシアネート基の特性吸収が無くなったことを確認して、目的とするシロキサン結合含有の光重合開始剤として、アクリロイル基含有の変性光開始剤を得た。
前記のポリカーボネート変性ポリウレタンアクリレートを100g、前記のアクリロイル基含有の変性光開始剤を15g秤りとり、均一になるまで混合攪拌し、紫外線硬化型樹脂を作成した。
製造例4[吸水性樹脂粉末(B)の製造方法]
(1)吸水性樹脂粉末(B−1)
2リットルのビーカーに、アクリル酸200g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル(ダイソー株式会社製)1.0g(0.5重量%/アクリル酸)、及びイオン交換水800gを入れて撹拌混合してアクリル酸水溶液を調整し、8℃に冷却した。
アクリル酸水溶液を1.5リットルの断熱重合槽に入れ、水溶液に窒素を通じてアクリル酸水溶液中の溶存酸素量を0.1ppm以下とした。この断熱重合層に、0.1%過酸化水素水4.0g、0.1%L−アスコルビン酸水溶液4.0g及び10%2、2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−50)水溶液1.0gを添加し、重合が開始するまで水溶液中への窒素パージを継続した。重合が開始し、アクリル酸水溶液の粘度が上昇し始めたのを確認後、窒素のパージを停止して6時間重合した。打点温度計でアクリル酸水溶液の温度を測定したところ、最高到達温度は、63℃であった。 尚、上記重合を上記架橋剤を除いた以外は同じ条件で重合したポリマーの平均重合度(GPCを用いて測定)は、ポリマーの平均重合度は約28、000であった。
ブロック状の架橋された含水ゲルを断熱重合槽から取り出し、小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いてゲルを3〜10mmの太さのヌードル状になるように細分化した後、40%水酸化ナトリウム(試薬特級)水溶液222g(中和度80モル%)を加え含水ゲルを中和した。中和後の細断ゲルを通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、重量平均粒子径が450μmの吸水性樹脂粉末(B−1)を得た。この(B−1)の見掛け密度は0.64g/mlであった。
(2)吸水性樹脂粉末(B−2)
上記製造例2(1)と同様にして得られた吸収性樹脂粒子100部を、高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の10部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、乾燥樹脂粒子を得た。乾燥樹脂粒子をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕し、目開き300μmのふるいを用いて300μm以下の粒度に調整することにより、重量平均粒子径が170μmの吸水性樹脂粉末(B−2)を得た。この(B−2)の見掛け密度は0.66g/mlであった。
(3)吸水性樹脂粉末(B−3)
1リットルのビーカーにアクリル酸100g、イオン交換水272.2g及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.5g(0.5重量%/アクリル酸)を入れ混合し架橋剤を溶解させた。ビーカーを氷浴で冷却しながら、40%水酸化ナトリウム水溶液100gを添加し、アクリル酸の一部(72モル%)を中和した。中和したモノマー溶液を5℃に冷却した後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.2gを添加してモノマー水溶液とした。
攪拌機とコンデンサー(冷却器)を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、シクロヘキサン1000ml及び分散剤としてスチレンスルホン酸ナトリウム/スチレンブロック共重合体10gを、湯浴を用いて内容物を60℃に加熱し攪拌して、シクロヘキサンに分散剤を溶解させた。
セパラブルフラスコ中のシクロヘキサン液中に窒素を通じてシクロヘキサンの溶存酸素を0.1ppm以下とした後、攪拌機を用いてシクロヘキサンを攪拌しながら、滴下ロートを用いて該モノマー水溶液400gを滴下し、重合温度60℃で逆相懸濁重合を行い、更にモノマー水溶液の滴下終了後、更に2時間加熱し、懸濁重合を完結させ、シクロヘキサン中で球状の含水ゲルを得た。
攪拌機の回転を停止し、生成した含水ゲルを沈降させた後、デカンテーションによりシクロヘキサンを除去し、残った含水ゲルを数回シクロヘキサンで洗浄し、含水ゲルに付着した分散剤を除去した。得られた球状の含水ゲルを、離型紙の上に広げ、80℃の減圧乾燥機(減圧度:10、000〜20、000Pa)で2時間乾燥させ重量平均粒子径が350μmの吸水性樹脂粉末(B−3)を得た。この(B−3)の見掛け密度は0.65g/mlであった。
実施例1
製造例1で得られた一液湿気硬化型ウレタンプレポリマー(A1−1)300gに、製造例4で得られた吸収性樹脂(B−1)を30g加え、均一になるまで室温で攪拌した。なお、湿気があると硬化が始まるので、吸収性樹脂は含水率を5%以下に乾燥させた状態で混合した。その後、放射線遮蔽材粉末であるタングステンを700g加え、30分混合攪拌させ均一にして、本発明の放射能拡散防止用組成物を得た。
実施例2
製造例1で得られた一液湿気硬化型ウレタンプレポリマー(A1−2)300gに、製造例4で得られた吸収性樹脂(B−1)を30g加え、均一になるまで室温で攪拌した。なお、湿気があると硬化が始まるので、吸収性樹脂は含水率を5%以下に乾燥させた状態で混合した。その後、放射線遮蔽材粉末であるタングステンを700g加え、30分混合攪拌させ均一にして、本発明の放射能拡散防止用組成物を得た。
実施例3
製造例1で得られた湿気硬化型エポキシ樹脂組成物(A1−3)300gに、製造例4で得られた吸収性樹脂(B−1)を30g加え、均一になるまで室温で攪拌した。なお、湿気があると硬化が始まるので、吸収性樹脂は含水率を5%以下に乾燥させた状態で混合した。その後、放射線遮蔽材粉末であるビスマスを600g加え、30分混合攪拌させ均一にして、本発明の放射能拡散防止用組成物を得た。
実施例4
製造例2で得られた熱硬化型樹脂(A2)350gに、製造例4で得られた吸収性樹脂(B−2)を25g加え、均一になるまで室温で攪拌した。なお、高温下では硬化が始まるので、混合作業は20℃以下の温調下で行った。その後、放射線遮蔽材粉末であるビスマスを600g加え、30分混合攪拌させ均一にして、本発明の放射能拡散防止用組成物を得た。
実施例5
製造例3で得られた紫外線硬化型樹脂(A3)350gに、製造例4で得られた吸収性樹脂(B−3)を25g加え、均一になるまで室温で攪拌した。なお、強い紫外線が存在する屋外やガラス張りの室内などでは、紫外線により樹脂の硬化が始まるので、紫外線の弱い蛍光灯下での室内で作業を行った。その後、放射線遮蔽材粉末であるビスマスを600g加え、30分混合攪拌させ均一にして、本発明の放射能拡散防止用組成物を得た。
評価
放射性薬液が飛散された部屋の放射能は実効線量100mSvであった。放射性薬液部分にエアスプレー機を用いて、本発明の実施例1〜5の放射能拡散防止用組成物を噴霧させ、液部分を覆った。1時間後の部屋の実効線量は、実施例1〜3の放射能拡散防止用組成物については、各々40mSv以下であり、実施例4〜5の放射能拡散防止用組成物については、各々60mSv以下であった。
比較として、単に放射性薬液液を拭き取った場合の、1時間後の部屋の実効線量は、95mSv以下であった。実効線量はガイガーミュラー計数管を用いて測定した。
本発明の放射能拡散防止用組成物は、使用時の操作が簡便であり、放射性薬液が流出した場合すぐに対処することが可能であるので、薬液の拡散を最小限に食い止めることが出来る。また、本組成物は、薬液吸収後、速やかに固化して放射能を遮蔽するので、固形化後の処理も簡単であり、放射能汚染の可能性を低減出来るため、使用者だけでなく、周りの生物、環境にとっても好ましく、安全性が高い。原子力発電所、核燃料再処理工場等の原子力施設や、大学や研究機関等、放射能薬液や廃液を使用する施設において、放射能薬液や放射性物質を含んだ廃液を処理する用途に適用できる。

Claims (12)

  1. 硬化型樹脂(A)、吸収性樹脂粉末(B)及び放射線遮蔽材粉末(C)を含有する放射能拡散防止用組成物。
  2. 吸収性樹脂粉末(B)及び放射線遮蔽材粉末(C)を硬化型樹脂(A)に分散させてなる請求項1に記載の放射能拡散防止用組成物。
  3. 硬化型樹脂(A)が湿気硬化型樹脂である請求項1又は2に記載の放射能拡散防止用組成物。
  4. 硬化型樹脂(A)が一液湿気硬化型樹脂である請求項3に記載の放射能拡散防止用組成物。
  5. 硬化型樹脂(A)が一液湿気硬化型ウレタン樹脂である請求項4に記載の放射能拡散防止用組成物。
  6. 吸収性樹脂粉末(B)が、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(P)からなる吸収性樹脂粉末である請求項1〜5のいずれかに記載の放射能拡散防止用組成物。
  7. 吸収性樹脂粉末(B)が、(メタ)アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体からなる吸収性樹脂粉末である請求項1〜6のいずれかに記載の放射能拡散防止用組成物。
  8. 放射線遮蔽材粉末(C)が鉄、鉄化合物、鉛、鉛化合物、錫、錫化合物、ビスマス、ビスマス化合物、タングステン、タングステン化合物及びこれらの合金の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の放射能拡散防止用組成物。
  9. 硬化型樹脂(A)の含有量が放射能拡散防止用組成物の重量を基準として15〜85%である請求項1〜8のいずれかに記載の放射能拡散防止用組成物。
  10. 硬化型樹脂(A)と吸収性樹脂粉末(B)の重量比[(A)/(B)]が3/1〜30/1である請求項1〜9のいずれかに記載の放射能拡散防止用組成物。
  11. 吸収性樹脂粉末(B)の重量平均粒子径が10〜1000μmである請求項1〜10のいずれかに記載の放射能拡散防止用組成物。
  12. 放射線遮蔽粉末(C)の重量平均粒径が0.1〜100μmである請求項1〜11のいずれかに記載の放射能拡散防止用組成物。
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