JP2012041687A - 断熱ボード - Google Patents
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Abstract
【課題】防耐火性に優れ、しかも歩行が可能であって断熱性も高く、屋根葺き材として用いるのに適した断熱ボードを提供する。
【解決手段】クロロプレンゴムと繊維を含む材料で作製される伝動ベルトの廃材の粉砕物として得られるゴムチップ1と短繊維2の混合物と、空隙を有する無機粒状体3とを、バインダー5によって接着一体化した断熱ボードに関する。そして防耐火性能を有することを特徴とする。自己消火性を有するクロロプレンゴムからなるものであり、このゴムチップ1と不燃性の無機粒状体3によって、防耐火性を有する断熱ボードを得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】クロロプレンゴムと繊維を含む材料で作製される伝動ベルトの廃材の粉砕物として得られるゴムチップ1と短繊維2の混合物と、空隙を有する無機粒状体3とを、バインダー5によって接着一体化した断熱ボードに関する。そして防耐火性能を有することを特徴とする。自己消火性を有するクロロプレンゴムからなるものであり、このゴムチップ1と不燃性の無機粒状体3によって、防耐火性を有する断熱ボードを得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、リサイクルのゴムチップを有効利用した断熱ボードに関するものである。
断熱ボードとしては、樹脂発泡体ボードや無機繊維ボードなどが従来から一般的であるが、リサイクルのゴムチップを有効利用したボードが提案されている。
例えば特許文献1のゴムチップ床材は、ゴムチップを木材のノコクズ、粉砕した木材の皮、モミガラ、ワラなどと混合し、これに樹脂接着剤を混合撹拌して板状に成型したものである。
また特許文献2の遮熱ゴムマットは、ゴム原料を粉砕して得られたゴムチップに赤外線反射顔料とバインダーを混合し、これをマット状に成型したものである。
上記のようなリサイクルのゴムチップは、廃タイヤ由来のものであることが多いため(例えば特許文献2の請求項7参照)、天然ゴムやスチレンブタジエンゴムなどがゴムチップの主成分であり、また添加物として配合されるものには有機成分が多い。このため、このようなゴムチップを用いて作製したボードは燃焼され易く、防耐火性に乏しいという問題があった。
例えば、既存の屋根の防水構造の上にゴムチップを用いて作製した断熱ボードを屋根葺き材として施工する場合、上記のような防耐火性に乏しい断熱ボードの場合、火災時に延焼等の危険が大きくなり、建築基準法第63条に規定される屋根としての技術的基準に適合することができない。
一方、上記した樹脂発泡体ボードは可燃物であって防耐火性がないと同時に、耐候性にも乏しい。またグラスウールなどの無機繊維ボードは不燃物であって防耐火性を有するが、ボード状に固化成型しても十分な耐荷重性を持たせることは困難であり、その上を歩行するのに耐えることができない。このため、これらも屋根葺き材には適していない。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、防耐火性に優れ、しかも歩行が容易であって断熱性も高く、屋根葺き材として用いるのに適した断熱ボードを提供することを目的とするものである。
本発明に係る断熱ボードは、クロロプレンゴムと繊維を含む材料で作製される伝動ベルトの廃材の粉砕物として得られるゴムチップ1と短繊維2の混合物と、空隙を有する無機粒状体3とを、バインダー5によって接着一体化したボードであって、防耐火性能を有することを特徴とするものである。
伝動ベルトを粉砕して得られるゴムチップ1は、自己消火性を有するクロロプレンゴムからなるものであり、このゴムチップ1と不燃性の無機粒状体3によって、防耐火性を有する断熱ボードを得ることができるものである。また空隙を有する無機粒状体3によって断熱ボードの断熱性を高めることができると共に、ボード中に含有される短繊維2でボード内に空隙を形成することができ、断熱性をさらに高めることができるものである。さらに、ゴムチップ1によって断熱ボードに十分な耐荷重性を持たせつつ断熱ボードを柔軟に形成することができ、軽快に歩行することができる断熱ボードを得ることができるものである。
また本発明において、上記の防耐火性能は、建築基準法第63条の規定に基づく屋根に必要とされる性能が、建築基準法施行令第136条の2の2第1号及び第2号で定める技術的基準に適合するものであることを特徴とするものである。
このような防耐火性能を有することによって、屋根葺き材として安全に使用することができるものである。
また本発明の断熱ボードは、熱伝導率が200mW/mK以下であることを特徴とするものである。
熱伝導率がこのように200mW/mK以下と低いことによって、断熱ボードを屋根葺き材として使用するにあたって、断熱性に優れた屋根構造を形成することができるものである。
また本発明は、6体積%以下の発泡ポリスチレンを含有することを特徴とするものである。
このように発泡ポリスチレンを含有することによって、断熱性をより高めることができると共に軽量化することができるものである。
また本発明の断熱ボードは、ゴムチップと短繊維の混合物を10〜40体積%、空隙を有する無機粒状体を50〜80体積%、バインダーを3〜20体積%含有することを特徴とするものである。
このようにゴムチップ1と短繊維2の混合物が10〜40体積%含有されることによって、また空隙を有する無機粒状体3が50〜80体積%含有されることによって、上記のような高い防耐火性能と高い断熱性を有する断熱ボードを得ることができるものであり、さらにバインダー5が3〜20体積%含有されることによって、強度の高い断熱ボードを得ることができるものである。
本発明によれば、ゴムチップ1はクロロプレンゴムと繊維を含む伝動ベルトを粉砕して得られるものであるので、自己消火性を有するクロロプレンゴムからなるものであり、このゴムチップ1と不燃性の無機粒状体3によって、防耐火性を有する断熱ボードを得ることができるものである。また空隙を有する無機粒状体3によって断熱ボードの断熱性を高めることができると共に、ボード中に含有される短繊維2でボード内に空隙を形成することができ、断熱性をさらに高めることができるものである。さらに、ゴムチップ1によって断熱ボードに十分な耐荷重性を持たせつつ断熱ボードを柔軟に形成することができ、軽快に歩行することができる断熱ボードを得ることができるものであり、屋根葺き材として用いるのに適した断熱ボードを提供することができるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
Vベルト、Vリブドベルト、ローエッジベルトなどの伝動ベルトは、ゴムを主材料とし、これに補強用の繊維を含有したゴム組成物を成型して作製されている。そして伝動ベルトを製造する工程でベルト屑が生じる。特にVベルト、Vリブドベルト、ローエッジベルトはゴムシートを円筒形に成型した加硫スリーブに研磨ホイールでV溝を切削することによって製造されるため、粉末状の切削屑が多量に生じる。
そして伝動ベルトの廃材であるベルト屑を粉砕することによって、ゴムが細かい粒状になったゴムチップ1と、繊維が短く切断された短繊維2との混合物を得ることができる。また粉末状の切削屑は粉砕物であるので、そのままでゴムチップ1と短繊維2との混合物として得ることができるものであり、あるいはこの切削屑をさらに粉砕してゴムチップ1と短繊維2との混合物として得ることもできる。勿論、このゴムチップ1には、短繊維2を一体に含むものもあり、短繊維2にはゴムチップ1の小片を一体に含むものもあり、本発明においてゴムチップ1や短繊維2はこれらのものも含むものである。
ここで、伝動ベルトを形成するゴムとしては、耐熱性、耐摩耗性、耐オゾン性、耐候性、耐油性、耐薬品性などの面で一様に優れた性質を有するクロロプレンゴムが多く用いられている。特に伝動ベルトの圧縮ゴム層をゴム組成物として、クロロプレンゴムにセルロース繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維などの補強繊維を配合したものが多く用いられており、伝動ベルトの廃材の粉砕物として、クロロプレンゴムを含有するゴムチップ1と、これらの繊維の短繊維2との混合物を得ることができるものである。
本発明では、ゴムとしてクロロプレンゴムを含有するゴムチップ1を用いるが、ゴムチップ1にはクロロプレンゴム以外のゴムを含んでいてもよい。クロロプレンゴムが100%であることが最も好ましいが、クロロプレンゴムを90体積%(他のゴムと密度が同程度であれば90質量%)以上含有していればよい。クロロプレンゴム以外のゴム種としては、特に限定されるものではないが、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴムなどを挙げることができる。
ゴムチップ1と短繊維2の混合物において、ゴムチップ1と短繊維2の比率は、特に限定されるものではないが、ゴムチップ1と短繊維2の質量比で、6:1〜9:1の範囲が好ましい。
またゴムチップ1の粒径は、特に限定されるものではないが、平均一次粒径が6mm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm〜4mmの範囲である。例えばローエッジベルトの製造工程などで発生するベルト屑を冷凍粉砕などにより粉末化すると、通常100〜500μmの粒径のゴムチップ1を得ることができる。またVリブドベルトの製造工程で発生する研削粉(バフ粉)は、そのままで、あるいは篩にかけることによって、通常30μm〜4mmの粒径のゴムチップ1を得ることができる。平均一次粒径が6mmを超えると、ゴムチップ1による補強効果が不十分になり、また断熱ボードの強度や耐摩耗性が低下するおそれがあり、さらにゴムチップ1とバインダー5等の他の構成部材との界面から亀裂が生じやすくなる。
また短繊維2の繊維長や繊維径は、特に限定されるものではないが、分散の均一性や空隙が形成され易くなるなどの面からして、繊維長は1〜30mmの範囲、繊維径は10μm〜1mmの範囲が好ましい。
そして、上記のゴムチップ1と短繊維2の混合物に、空隙を有する無機粒状体3及びバインダー5を混合し、これを型に入れて成型することによって、断熱ボードを得ることができる。またゴムチップ1と短繊維2の混合物や、空隙を有する無機粒状体3と併用して、発泡ポリスチレンの粒子4を混合して用いることもできる。
本発明において空隙を有する無機粒状体3とは、独立気泡あるいは連続気泡を有する発泡体、中空体など、内部や外部に空隙をもつ形態の無機粒子をいうものであり、例えばパーライト、ゼオライト、シラスバルーン等を用いることができる。パーライトは、火山石の一種の真珠岩又は黒耀岩を加熱して発泡させたものであり、多孔質の焼成物であって、密度が小さく、また独立発泡体であるため断熱性が優れているので、空隙を有する無機粒状体3として特に好ましく用いることができる。無機粒状体3の粒径は、特に限定されるものではないが、0.5〜10mm程度の範囲が好ましい。また無機粒状体3の空隙の大きさは、無機粒状体の種類にもよるが、小さいもので0.3nm程度、大きいもので500μm程度である。さらに無機粒状体3の空隙率は、特に限定されるものではないが、85〜99%程度が好ましい。
またバインダー5は、上記のゴムチップ1と短繊維2の混合物や、空隙を有する無機粒状体3、さらに発泡スチレン粒子4を接着して集合させた状態で一体化し、ボードとして成型するためのものである。このバインダー5としては、任意の熱可塑性あるいは熱硬化性の有機バインダーを用いることができるものであり、例えばポリウレタン系バインダー、アクリル系バインダー、ラテックス系バインダー、セルロース系バインダー、ビニルアセテート系バインダー、ビニルアセタール系バインダー、シリコーン系バインダー、ポリエステル系バインダーなどを挙げることができる。
これらの中でも、バインダーとしてはポリウレタンが耐候性に優れているため、後述のように断熱ボードを屋根葺き材として使用するにあたって、特に好ましい。またアクリルなどの水分を含むエマルションをウレタンに併用すると、アクリル自体がバインダーとして機能する他、エマルションの水分が湿気硬化型ポリウレタンの硬化を促進して成型時間を短縮することができるものである。アクリルエマルションを構成する樹脂としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルの単一重合体又は共重合体を用いることができ、具体的にはアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルを主体とし、これとメタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等との共重合体を挙げることができる。
さらに発泡スチレン粒子4としては、ビーズ発泡スチレン(expanded
polystyrene:EPS)を用いることができるものであり、この発泡スチレン粒子4の粒径は、特に限定されるものではないが、2〜10mm程度のものが好ましい。
polystyrene:EPS)を用いることができるものであり、この発泡スチレン粒子4の粒径は、特に限定されるものではないが、2〜10mm程度のものが好ましい。
そしてゴムチップ1と短繊維2の混合物に、空隙を有する無機粒状体3、必要に応じて発泡スチレン粒子4を混合し、さらにこれにバインダー5を加えて混合し、これを型に入れてバインダー5を硬化させることによって、図1のような構成の断熱ボードAを成型することができるものである。
このようにして、リサイクルのゴムチップ1を有効利用して断熱ボードAを得ることができるものである。そして本発明のこの断熱ボードAにあって、ゴムチップ1は伝動ベルトの粉砕物として得られるものであって主としてクロロプレンゴムからなるものであり、クロロプレンゴムは自己消火性を有して難燃性であるので、高い防耐火性を有するものである。特にクロロプレンゴムからなるゴムチップ1は自己消火性を有するために火炎の広がりを抑える働きをし、また燃焼されることによって無機粒状体3の間で炭化して無機粒状体3が離散することを防止し、断熱ボードAにクラック等が発生することを防ぐことができるものである。しかも断熱ボードAには不燃性の無機粒状体3も含有するので、防耐火性がより高い断熱ボードAを得ることができるものである。また無機粒状体3は空隙を有するものであるので熱伝導率が小さく、断熱性の高い断熱ボードAを得ることができるものである。しかも断熱ボードAには短繊維2が含有されているので、嵩高い短繊維2でボード内に空隙が形成されるものであり、断熱性を高めることができるものである。また、発泡スチレン粒子4をボード中に含有させることによって、熱伝導率の低い発泡スチレン粒子4で断熱性をさらに高めることができるものである。加えて、断熱ボードAはゴムチップ1によって柔軟に形成されるものであり、断熱ボードAの上を軽快に歩行することが可能になるものである。上記のような特性を有するため、本発明の断熱ボードAは、既存の屋根の防水構造の上に施工する屋根葺き材として、有用に使用することができるものである。
ここで、伝動ベルトの廃材の粉砕物として得られるゴムチップ1と短繊維2の混合物は、断熱ボードA中に10〜40体積%含有されるように設定するのが好ましい。ゴムチップ1と短繊維2の混合物の含有率が10体積%未満であると、断熱ボードAに火炎が作用して燃焼する際に、断熱ボードAの形態を保持することができず、開孔が生じて火炎が貫通したりするおそれがある。逆にゴムチップ1と短繊維2の混合物の含有率が40体積%を超えると、断熱ボードAの表面を火炎が広がり易くなって防耐火性が不十分になるおそれがある。
また空隙を有する無機粒状体3は、断熱ボードA中に50〜80体積%含有されるように設定するのが好ましい。無機粒状体3の含有率が50体積%未満であると、無機粒状体3が少ない分、可燃物である有機成分の比率が大きくなり、断熱ボードAの表面を火炎が広がり易くなって、防耐火性が不十分になるおそれがある。逆に無機粒状体3の含有率が80体積%を超えると、相対的にゴムチップ1と短繊維2の混合物の量が少なくなり、断熱ボードAに火炎が作用して燃焼する際に、断熱ボードAの形態を保持することができず、開孔が生じて火炎が貫通したりするおそれがある。
またバインダー5は、断熱ボードA中に3〜20体積%含有されるように設定するのが好ましい。バインダー5の含有率が3体積%未満であると、バインダー5による接着結合が不十分になって、断熱ボードAの強度が低下し、ボードの形態を保つことができなくなるおそれがある。逆にバインダー5の含有率が20体積%を超えると、可燃物である有機成分の量が増えることになるため、断熱ボードAの表面を火炎が広がり易くなって防耐火性が不十分になるおそれがある。バインダーとしてポリウレタンとアクリルを用いる場合、ポリウレタンは断熱ボードA中に3〜10体積%含有されるように設定し、アクリルは0〜10質量%の含有率で断熱ボードA中に含まれるように設定するのがよい。
さらに、発泡スチレン粒子4は断熱ボードA中に6体積%以下の含有率で含有されるように設定するのが好ましい。発泡スチレン粒子4の含有率が6体積%を超えると、発泡スチレン粒子の可燃性によって、断熱ボードAの表面を火炎が広がり易くなって防耐火性が不十分になるおそれがある。発泡スチレン粒子4は任意成分であるので、発泡スチレン粒子4の含有率の下限は0%であるが、発泡スチレン粒子4によって断熱性を向上する効果を得るために、0.1体積%以上の含有率で含有させるのが好ましい。
上記のように本発明に係る断熱ボードAは、防耐火性能を有するものであり、また高い断熱性を有するものであるが、本発明において断熱ボードAの防耐火性能は、建築基準法第63条の規定に基づく屋根に必要とされる性能が、建築基準法施行令第136条の2の2第1号及び第2号で定める技術的基準に適合するものであることが必要である。
すなわち建築基準法施行令第136条の2の2は第1号で「屋根が、市街地における通常の火災による火の粉により、防火上有害な発炎をしないものであること。」と規定し、第2号で「屋根が、市街地における通常の火災による火の粉により、屋内に達する防火上有害な溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。」と規定する。そして具体的には、(財)日本建築総合試験所が平成12年6月1日に制定(平成22年6月1日等に変更)した「防耐火性能試験・評価業務方法書」の4.13「屋根葺き材の飛び火性能試験・評価方法」に準拠して行った試験で、(イ)試験体の燃焼による火炎の先端が、試験体の風上側底辺及び風下側端部に達しないこと、(ロ)試験体の裏面で火炎を伴う燃焼が観察されないこと、(ハ)試験中又は試験終了後の測定において、最大部分で10mm×10mmを超える貫通孔が観察されないこと、により建築基準法施行令第136条の2の2第1号及び第2号で定める技術的基準に適合するものである。このような技術的基準に適合する結果、本発明の断熱ボードAを屋根葺き材として適法に使用することができるものである。
また本発明において断熱ボードAの断熱性能は、熱伝導率が200mW/mK以下であることが必要である。熱伝導率が200mW/mK以下であることによって、本発明の断熱ボードAを屋根葺き材として使用するにあたって、断熱性に優れた屋根構造にすることができるものである。断熱ボードAの熱伝導率は低い程好ましいが、実用上の下限は1mW/mK程度である。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
クロロプレンゴムに補強繊維としてセルロース繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維を混合したゴム組成物を用いて製造した伝動ベルトの廃材を粉砕し、1mmのメッシュを通過させたものを、ゴムチップと短繊維の混合物として得た。ここで、伝動ベルトのゴム組成物において、クロロプレンゴムは80質量%、セルロース繊維は10質量%、ナイロン繊維は5質量%、芳香族ポリアミド繊維は5質量%であった。
クロロプレンゴムに補強繊維としてセルロース繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維を混合したゴム組成物を用いて製造した伝動ベルトの廃材を粉砕し、1mmのメッシュを通過させたものを、ゴムチップと短繊維の混合物として得た。ここで、伝動ベルトのゴム組成物において、クロロプレンゴムは80質量%、セルロース繊維は10質量%、ナイロン繊維は5質量%、芳香族ポリアミド繊維は5質量%であった。
次に、このゴムチップと短繊維の混合物を2.5kg、空隙を有する無機粒状体としてパーライトを1.5kg、バインダーとして一液性湿気硬化型ポリウレタンを2.25kg、アクリルエマルションを0.05kg、それぞれ攪拌機に投入して混合した。そしてこれを600mm×600mmの木枠に投入し,厚みが50mmになるように圧縮して成型し、10時間以上静置して硬化させた。硬化後、木枠より脱型することによって,600mm×600mm×50mmの断熱ボードを得た。この断熱ボードにおいて、各組成の体積%は、ゴムチップと短繊維の混合物が24.5体積%,パーライトが67.1体積%、一液性湿気硬化型ポリウレタンが8.2体積%、アクリルエマルションが0.2体積%である。
そしてこの断熱ボードの熱伝導率を平板熱流計法で測定したところ、104mW/mKであった。尚、平板熱流計法による熱伝導率の測定は、JIS A 1412−2「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法)」に準拠し、測定装置として(株)英弘精機製「HC−072」を用い、条件を室温、大気中、加圧力24.5MPa(250kg/m2)に設定して行なった。
また、この断熱ボードを用いて,建築基準法第63条(屋根)の規定に基づく認定に係わる性能評価(既述の(財)日本建築総合試験所が制定した「防耐火性能試験・評価業務方法書」の4.13「屋根葺き材の飛び火性能試験・評価方法」)に準拠した燃焼試験を行ったところ、火炎は試験体端に達せず、また裏面の燃焼、貫通孔の開孔も確認されないものであり、建築基準法第63条の技術的基準を満たす防耐火性能を有していると判定された。
(実施例2)
一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%、アクリルエマルションを8.4体積%とし、ゴムチップと短繊維の混合物を11.3体積%、残りをパーライトとなるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%、アクリルエマルションを8.4体積%とし、ゴムチップと短繊維の混合物を11.3体積%、残りをパーライトとなるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ熱伝導率は83mW/mKであった。また燃焼試験の結果、火炎は試験体端に達せず、裏面の燃焼、貫通孔の開孔も確認されないものであり、建築基準法第63条の技術的基準を満たす防耐火性能を有していると判定された。
(実施例3)
一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%、アクリルエマルションを8.4体積%とし、ゴムチップと短繊維の混合物を22.6体積%、残りをパーライトとなるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%、アクリルエマルションを8.4体積%とし、ゴムチップと短繊維の混合物を22.6体積%、残りをパーライトとなるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ熱伝導率は103mW/mKであった。また燃焼試験の結果、火炎は試験体端に達せず、裏面の燃焼、貫通孔の開孔も確認されないものであり、建築基準法第63条の技術的基準を満たす防耐火性能を有していると判定された。
(実施例4)
一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%、アクリルエマルションを8.4体積%とし、ゴムチップと短繊維の混合物を34.0体積%、残りをパーライトとなるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%、アクリルエマルションを8.4体積%とし、ゴムチップと短繊維の混合物を34.0体積%、残りをパーライトとなるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ熱伝導率は104mW/mKであった。また燃焼試験の結果、火炎は試験体端に達せず、裏面の燃焼、貫通孔の開孔も確認されないものであり、建築基準法第63条の技術的基準を満たす防耐火性能を有していると判定された。
(実施例5)
一液性湿気硬化型ポリウレタンを8.4体積%とし、ゴムチップと短繊維の混合物を24.5体積%、アクリルエマルションを配合せずに、残りをパーライトとなるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
一液性湿気硬化型ポリウレタンを8.4体積%とし、ゴムチップと短繊維の混合物を24.5体積%、アクリルエマルションを配合せずに、残りをパーライトとなるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ熱伝導率は106mW/mKであった。また燃焼試験の結果、火炎は試験体端に達せず、裏面の燃焼、貫通孔の開孔も確認されないものであり、建築基準法第63条の技術的基準を満たす防耐火性能を有していると判定された。
(実施例6)
実施例1と同じ伝動ベルトの廃材を粉砕し、6mmのメッシュを通過させたものを、ゴムチップと短繊維の混合物として得た。その他は実施例1と同様にして断熱ボードを作製した。
実施例1と同じ伝動ベルトの廃材を粉砕し、6mmのメッシュを通過させたものを、ゴムチップと短繊維の混合物として得た。その他は実施例1と同様にして断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ熱伝導率は106mW/mKであった。また燃焼試験の結果、火炎は試験体端に達せず、裏面の燃焼、貫通孔の開孔も確認されないものであり、建築基準法第63条の技術的基準を満たす防耐火性能を有していると判定された。
(実施例7)
ゴムチップと短繊維の混合物を19.0体積%、パーライトを66.8体積%、ビーズ発泡法ポリスチレン(EPS)を6.0体積%、一液性湿気硬化型ポリウレタンを8.0体積%、アクリルエマルションを0.2体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
ゴムチップと短繊維の混合物を19.0体積%、パーライトを66.8体積%、ビーズ発泡法ポリスチレン(EPS)を6.0体積%、一液性湿気硬化型ポリウレタンを8.0体積%、アクリルエマルションを0.2体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ熱伝導率は80mW/mKであった。また燃焼試験の結果、火炎は試験体端に達せず、裏面の燃焼、貫通孔の開孔も確認されないものであり、建築基準法第63条の技術的基準を満たす防耐火性能を有していると判定された。
(比較例1)
ゴムチップと短繊維の混合物を44.2体積%、パーライトを44.1体積%、一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%,アクリルエマルションを8.4体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
ゴムチップと短繊維の混合物を44.2体積%、パーライトを44.1体積%、一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%,アクリルエマルションを8.4体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ熱伝導率は122mW/mKであった。一方、燃焼試験の結果は、火炎が試験体端に到達し、防耐火性能は建築基準法第63条の技術的基準を満たすものでなかった。
(比較例2)
ゴムチップと短繊維の混合物を配合せず、パーライトを88.3体積%、一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%,アクリルエマルションを8.4体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
ゴムチップと短繊維の混合物を配合せず、パーライトを88.3体積%、一液性湿気硬化型ポリウレタンを3.3体積%,アクリルエマルションを8.4体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ熱伝導率は66mW/mKであった。一方、燃焼試験の結果は、焼け抜けが発生して貫通孔が開孔し、防耐火性能は建築基準法第63条の技術的基準を満たすものでなかった。
(比較例3)
ゴムチップと短繊維混合物を12.5体積%、パーライトを66.8体積%、ビーズ発泡法ポリスチレン(EPS)を12.5体積%、一液性湿気硬化型ポリウレタンを8.0体積%,アクリルエマルションを0.2体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
ゴムチップと短繊維混合物を12.5体積%、パーライトを66.8体積%、ビーズ発泡法ポリスチレン(EPS)を12.5体積%、一液性湿気硬化型ポリウレタンを8.0体積%,アクリルエマルションを0.2体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ熱伝導率は60mW/mKであった。一方、燃焼試験の結果は、火炎が試験体端に到達し、防耐火性能は建築基準法第63条の技術的基準を満たすものでなかった。
(比較例4)
ゴムチップと短繊維混合物を91.6体積%、パーライトを配合せず、一液性湿気硬化型ポリウレタンを8.2体積%,アクリルエマルションを0.2体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
ゴムチップと短繊維混合物を91.6体積%、パーライトを配合せず、一液性湿気硬化型ポリウレタンを8.2体積%,アクリルエマルションを0.2体積%となるようにした配合で、実施例1と同様に成型して断熱ボードを作製した。
そしてこの断熱ボードについて、実施例1と同様に評価したところ、燃焼試験では防耐火性能は建築基準法第63条の技術的基準を満たすものであったが、熱伝導率は210mW/mKであり、断熱性が低いものであった。
表1にみられるように、各実施例のものは、熱伝導率が200mW/mK以下であって、断熱性に優れるものであり、また建築基準法第63条の技術的基準を満たす防耐火性能を有するものであった。
一方、ゴムチップと短繊維の混合物の含有比率が高い比較例1や、逆にゴムチップと短繊維の混合物の含有比率が低い比較例2(比較例2では含有していない)では、いずれも防耐火性能が建築基準法第63条の技術的基準を満たすことができなかった。また発泡スチレン粒子の含有率が高い比較例3も、防耐火性能が建築基準法第63条の技術的基準を満たすことができなかった。さらにパーライトを配合しない比較例4では、断熱性が低いものであった。
1 ゴムチップ
2 短繊維
3 無機粒状体
4 発泡スチレン粒子
5 バインダー
A 断熱ボード
2 短繊維
3 無機粒状体
4 発泡スチレン粒子
5 バインダー
A 断熱ボード
Claims (5)
- クロロプレンゴムと繊維を含む材料で作製される伝動ベルトの廃材の粉砕物として得られるゴムチップと短繊維の混合物と、空隙を有する無機粒状体とを、バインダーによって接着一体化したボードであって、防耐火性能を有することを特徴とする断熱ボード。
- 請求項1に記載の防耐火性能は、建築基準法第63条の規定に基づく屋根に必要とされる性能が、建築基準法施行令第136条の2の2第1号及び第2号で定める技術的基準に適合するものであることを特徴とする断熱ボード。
- 熱伝導率が200mW/mK以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱ボード。
- 6体積%以下の発泡ポリスチレンを含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の断熱ボード。
- ゴムチップと短繊維の混合物を10〜40体積%、空隙を有する無機粒状体を50〜80体積%、バインダーを3〜20体積%含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の断熱ボード。
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-
2010
- 2010-08-16 JP JP2010181671A patent/JP2012041687A/ja active Pending
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