JP2012041685A - 構造体の設置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構造体の設置方法は、流動性を有する第1のグラウト材を躯体上に打設し、上面が水平面に対して略平行となるように第1のグラウト材を硬化させて支持部を形成する支持部形成工程S1と、躯体における支持部が形成された面上に固定穴を形成する穴形成工程S2と、支持面から突出して配置された接続部材を有する構造体を、支持部の上面に支持面が当接するとともに、固定穴内に接続部材の少なくとも一部を挿入するように配置する組み付け工程S3と、固定穴内に第2のグラウト材を注入して硬化させ、躯体に接続部材を接続する接続工程S4と、を備える。
【選択図】図2
Description
アンカーフレームにアンカーボルトを取り付けた後で、アンカーフレームにコンクリートを打設して支持躯体を形成する。このときの、コンクリートの上面の寸法精度は、たとえば、±20mm以内となる。そして、支持躯体上に寸法精度および傾き精度の高い、略半球状のレベルモルタルを設置する。レベルモルタルの頂部における寸法精度は、たとえば、±5mm以内であり、傾き精度を表す勾配率は、たとえば、1/500以下となっている。
続いて、構造体の支持面に形成された締結用の貫通孔にアンカーボルトを挿通し、レベルモルタルの頂部に構造体の支持面を載置する仮配置を行う。貫通孔を挿通したアンカーボルトをナットなどで固定することで、支持躯体上に構造体が固定される。このとき、必要に応じて、レベルモルタル上での構造体の位置を微調整して、構造体の傾きが設計範囲内となるように調節する。
次に、支持躯体と構造体の支持面との間に、流動性の高いモルタルなどの充填材を注入し、構造体を支持躯体に固定する。
支持躯体上に複数のレベリングブロックを配置し、このレベリングブロック上にさらにベースプレートを配置する。そして、レベリングブロックの高さを調節することで、ベースプレートの水平レベルを調節する。ベースプレートに形成された貫通孔に挿通されたアンカーボルトに締め付けネジを螺合させることで、ベースプレートが支持躯体に対して固定される。
この方法によるベースプレートの寸法精度は、たとえば、±5mm以内となる。
そして、ベースプレートの平面での位置、高さおよび傾きを正確に調節し、たとえば、ベースプレートの寸法精度を±5mm以内に、勾配率を1/500以下に設定する。
続いて、コンクリートをベースプレートの下面近傍まで打設し概ね硬化させた後、コンクリートの上面とベースプレートの下面との間にグラウト材を注入・充填し、ベースプレートおよびアンカーフレームを支持躯体に固定する。このとき、充填されたグラウト材内に空隙が形成されないように注意して注入する。
構造体に形成された貫通孔にアンカーボルトを挿入し、ベースプレート上に構造体を仮配置する。そして、アンカーボルトをベースプレートのアンカーナットに螺合させ、ベースプレート上に構造体を固定する。
本発明の構造体の設置方法は、流動性を有する第1のグラウト材を躯体上に打設し、上面が水平面に対して略平行となるように前記第1のグラウト材を硬化させて支持部を形成する支持部形成工程と、前記躯体における前記支持部が形成された面上であって、前記支持部が形成されない部分に固定穴を形成する穴形成工程と、支持面から突出して配置された接続部材を有する構造体を、前記支持部の上面に前記支持面が当接するとともに、前記固定穴内に前記接続部材の少なくとも一部を挿入するように配置する組み付け工程と、前記固定穴内に第2のグラウト材を注入して硬化させ、前記躯体に前記接続部材を接続する接続工程と、を備えることを特徴としている。
この発明によれば、構造体の支持面を支持部の上面に当接させるとともに固定穴内に接続部材を挿入したときに、躯体の固定穴と支持部の通し孔、そして、支持部の通し孔と構造体の注入孔がそれぞれ連通する。
この発明によれば、支持面と延出部との間に第2のグラウト材が注入され硬化する。
また、請求項2に記載の構造体の設置方法によれば、第1のグラウト材のフロー値が220mm以上であるため、支持部の上面の形状が水平面に平行な形状により近づくので、構造体を上下方向により正確に位置決めすることができる。
請求項3に記載の構造体の設置方法によれば、躯体に形成された固定穴が前記支持面の下方に位置する場合であっても、通し孔および注入孔を通して固定穴内に第2のグラウト材を注入することができる。
そして、請求項4に記載の構造体の設置方法によれば、硬化した第2のグラウト材から接続部材を抜けにくくすることができる。
以下、本発明に係る構造体の設置方法の第1実施形態を、図1から図5を参照しながら説明する。本実施形態では、本発明の構造体の設置方法において、図1に示すように、躯体が鉄筋コンクリート11であり、構造体が鉄骨柱などの柱体12である場合を例にとって説明する。なお、以下の図においては、柱体は下部のみを模式的に示す。
図2に示すように、本実施形態の構造体の設置方法は、後述する支持部15を形成する支持部形成工程S1と、鉄筋コンクリート11に後述する固定穴16を形成する穴形成工程S2と、柱体12を鉄筋コンクリート11に組み付ける組み付け工程S3と、鉄筋コンクリート11に柱体12を接続する接続工程S4とを備えている。
また、アンカーボルト19は、棒状に形成され支持面12aから延びるように配置された本体19aと、本体19aにおいて支持面12aから離間した位置に、本体19aの径方向に延びる延出部19bとを有している。本実施形態では、延出部19bは本体19aより大径の円板状に形成されている。
そして、所定の流動性を有する第1のグラウト材14を、鉄筋コンクリート11の上面11a上であって型枠13内に打設する。ここで、「所定の流動性」とは、フロー試験(JASS−15 M103)におけるフロー値が220mm以上である流動性のことを意味する。
なお、第1のグラウト材14としては、セメントやモルタルなどを適宜選択して用いることができる。
その概要は、以下のようである。厚さ5mmのみがき板ガラスあるいは塩化ビニル製平板の上に、内径50mm、高さ51mmの塩化ビニル製パイプを置く。練り混ぜたセルフレベリング材をパイプに充填した後、パイプを引きあげる。セルフレベリング材の広がりが静止した後、平板上の直角2方向のセルフレベリング材の直径を測定し、その直径の平均値をフロー値とする。
この状態で所定の時間放置すると、第1のグラウト材14は、ほぼこの形状を保ったままセメントと水との反応により硬化、収縮し、鉄筋コンクリート11の上面11a上に支持部15が形成される。支持部15の上面15aは、上面14aとほぼ同形状の、水平面に対して略平行な形状となる。
支持部15が完全に硬化してから、鉄筋コンクリート11から型枠13を取り外す。
続いて、組み付け工程S3において、図5に示すように、柱体12を、鉄筋コンクリート11および支持部15に組み付ける。このとき、支持部15の上面15aに柱体12の支持面12aが当接するとともに、固定穴16内にアンカーボルト19の先端側が挿入されるように配置することで、柱体12が上下方向に位置決めされる。
この後で、柱体12を支持部15の上面15a上で移動させ、水平方向の位置決めを行う。これにより従来は、水平方向の位置決めを、アンカーボルト19と柱体12の各々の配置時に必要としたものを、一回で完了することができる。なお、柱体12の水平方向位置は、他に制限がなければ、固定穴16内にアンカーボルトが挿入できる程度の、粗い精度を許容することができる。
そして、型枠20内に第2のグラウト材21を注入して打設すると、固定穴16内にも第2のグラウト材21が注入される。
第2のグラウト材21としては、セメントやモルタルなどを適宜選択して用いることができる。第2のグラウト材21は、第1のグラウト材14とは異なりフロー値による制限は無く、一般的な充填モルタル材または、第1のグラウト材14と同じ物性のものを用いてもよい。
所定の時間放置すると、第2のグラウト材21が硬化し、柱体12が支持部15により位置決めされた状態で鉄筋コンクリート11に接続される。
なお、この後で型枠20が取り外される。
また、第2のグラウト材21により固定穴16内でアンカーボルト19が鉄筋コンクリート11に接続されるため、鉄筋コンクリート11に柱体12を固定することができる。
さらに、本実施形態では、上記従来の設置方法とは異なり、充填した第1のグラウト材14の上面14aを目視により確認することができる。したがって、支持部15に空隙が形成されるのを防止することができる。
なお、フロー値を所定の値以下に設定することで、第1のグラウト材14が硬化するときの支持部15の上面15aの変形を抑えることができる。支持部15の上面15aの形状を水平面に平行な形状により近づけるとともに、硬化するときの上面15aの変形を抑えるために、フロー値を220mm以上であって所定の値以下に設定することが好ましい。
アンカーボルト19には延出部19bが形成されているため、支持面12aと延出部19bとの間に第2のグラウト材21が注入され硬化することで、硬化した第2のグラウト材21からアンカーボルト19を抜けにくくすることができる。
また、本実施形態では、固定穴16を、鉄筋コンクリート11用のコンクリートを注入する前に所定の部材を配置することで、箱抜きにより形成してもよい。
次に、本発明の第2実施形態について図6から図10を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の構造体の設置方法には、第1実施形態の柱体12に代えて、図6に示す柱体32が用いられる。柱体32には、支持面12aを支持部15の上面15aに当接させるとともに、固定穴16内にアンカーボルト19を挿入したときに、支持部15に形成される通し孔15bに連通する注入孔32aが形成されている。
支持部形成工程S1に続いて行われる穴形成工程S12では、図8に示すように、穿孔により、支持部15の通し孔15bと、鉄筋コンクリート11の固定穴16とが形成される。通し孔15bおよび固定穴16は、互いに連通するとともに、内部にアンカーボルト19を挿通可能な大きさに設定される。
このとき、固定穴16と通し孔15b、そして、通し孔15bと柱体32の注入孔32aがそれぞれ連通する。
続いて、接続工程S14において、図6に示すように、注入孔32bを通して第2のグラウト材21を注入すると、第2のグラウト材21は通し孔15bおよび固定穴16にも注入される。この状態で所定の時間放置すると、第2のグラウト材21が硬化し、柱体32が支持部15により位置決めされた状態で鉄筋コンクリート11に接続される。
さらに、柱体32の支持面12aを支持部15の上面15aに当接させるとともに固定穴16内にアンカーボルト19を挿入したときに、固定穴16と通し孔15b、そして、通し孔15bと注入孔32aがそれぞれ連通する。したがって、固定穴16が支持部15の下方に位置する場合であっても、通し孔15bおよび注入孔32aを通して固定穴16内に第2のグラウト材21を注入することができる。
型枠20の内側であって型枠35の外側となる部分に第1のグラウト材14を注入して打設することで、固定穴16に連通する通し孔15bが設けられた支持部15を形成することができる。
以上説明したように、本実施形態においては、支持部形成工程および穴形成工程の順序によらず、固定穴16を鉄筋コンクリート11に形成するとともに、固定穴16に連通する通し孔15bを支持部15に形成することができる。
たとえば、構造体を柱体としたが、構造体は、壁部材や、プレハブ住宅などの建築物などまたは、設備機器などでもよい。また、躯体においても鉄筋コンクリートに限ることなく、地面や岩盤などでもよい。
12、32 柱体(構造体)
12a 支持面
14 第1のグラウト材
14a 上面
15 支持部
15a 上面
15b 通し孔
16 固定穴
19 アンカーボルト(接続部材)
19b 延出部
21 第2のグラウト材
32a 注入孔
S1 支持部形成工程
S2、S12 穴形成工程
S3、S13 組み付け工程
S4、S14 接続工程
Claims (4)
- 流動性を有する第1のグラウト材を躯体上に打設し、上面が水平面に対して略平行となるように前記第1のグラウト材を硬化させて支持部を形成する支持部形成工程と、
前記躯体における前記支持部が形成された面上に固定穴を形成する穴形成工程と、
支持面から突出して配置された接続部材を有する構造体を、前記支持部の上面に前記支持面が当接するとともに、前記固定穴内に前記接続部材の少なくとも一部を挿入するように配置する組み付け工程と、
前記固定穴内に第2のグラウト材を注入して硬化させ、前記躯体に前記接続部材を接続する接続工程と、
を備えることを特徴とする構造体の設置方法。 - 前記第1のグラウト材は、フロー試験(JASS−15 M103)におけるフロー値が220mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の構造体の設置方法。
- 前記構造体には、前記構造体の前記支持面を前記支持部の上面に当接させるとともに前記固定穴内に前記接続部材を挿入したときに、前記支持部に形成される通し孔に連通する注入孔が形成され、
前記穴形成工程と前記支持部形成工程とによって、前記固定穴が前記躯体に形成されるとともに、前記固定穴に連通する前記通し孔が前記支持部に形成され、
前記接続工程では、前記注入孔を通して前記第2のグラウト材が注入されることを特徴とする請求項1または2に記載の構造体の設置方法。 - 前記接続部材には、
前記支持面から離間した位置に、前記接続部材が前記支持面から突出する方向に交差する方向に延びる延出部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の構造体の設置方法。
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