JP2012041644A - 難熱性不織布及びそれを加熱してなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエーテルイミド系繊維を主たる構成成分とする不織布であって、高い難燃性と低吸水性を兼ね備えた難燃性不織布及びそれを加熱してなる成形体を得ること。
【解決手段】 非晶性ポリエーテルイミド系繊維を含有する不織布であって、以下の(1)〜(4)を全て満足する難燃性不織布。
(1)前記ポリエーテルイミド系繊維の一部または全部が3次元交絡していること、
(2)少なくともある一定方向の引張強度が10kg/5cm以上であること、
(3)JIS A1322試験法に準拠して測定した炭化長が5cm以下であること、
(4)前記ポリエーテルイミド系繊維の含有率が50〜100重量%であること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエーテルイミド(以下、PEIと略記する場合がある)系繊維を主たる構成成分とした、優れた難燃性と引張強度を兼備した難燃性不織布及びそれを加熱してなる成形体に関するものであり、一般産業資材分野、電気電子材料分野、医療材料分野、農業資材分野、光学材料分野、航空機・自動車・船舶用材料分野、アパレル分野などにおいて、特に高い温度環境下に曝される機会の多い用途に対して極めて有効に使用することができる。
従来、難燃性を有する不織布の開発が多くの分野で要望されている。例えば、電気・電子材料、フィルター、保温材料、医療材料、産業資材の分野において、不織布は広く利用されており、これらの分野の一部においては難燃性を有する不織布の開発の要求が特に高まっている。
難燃性を有する不織布としては、PEI繊維単独からなる不織布、PEI繊維と無機繊維の複合不織布が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、特許文献1の不織布では、PEI繊維同士を接着させるために、塩化メチレンやトリクロロメタンなどの塩素系脂肪族炭化水素化合物の含浸が必要であるとしているが、溶剤を使用することで、PEI繊維の特性に影響を及ぼす虞がある。また、これら溶剤は近年人体や環境に影響を及ぼす虞があることを考えると、上記発明は環境負荷、溶剤回収の面からコスト負荷の高い製造方法であり、代替技術の開発が望まれていた。
また、PEI繊維からなる耐熱性難燃紙が開示されている(たとえば、特許文献2参照。)。しかし、特許文献2の製造方法を見ると、PEI繊維を抄造し界面活性剤を用いて、繊維同士を膠着させており、繊維同士は3次元交絡されていない。このため、3次元交絡することで得られる不織布特有の通気性、伸縮性、嵩高性、風合い、追従性などの特徴を有していないため、使用分野には制限のかかるものであった。
また、融点が270℃以上であり、かつ複屈折率(△n)が0.22以上であるポリエチレンナフタレート長繊維および△nが0.01以下である低配向ポリエチレンナフタレート長繊維が混繊され、熱圧着されていることを特徴とする耐熱性不織布が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、該発明の不織布は難燃性を有していないばかりか、ここで用いられているポリエチレンナフタレート繊維のガラス転移温度は121℃であり、弾性率などの力学物性はポリマーのガラス転移温度で大きく低下することを考えると、実使用において制限のかかるものであった。
また、耐熱性繊維と未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維とを混繊してウェブを形成し、該未延伸繊維を加圧下で可塑化し融着することで得られる耐熱性不織布が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、ここで用いられているポリフェニレンサルファイド繊維のガラス転移度は85℃であり、先述したように、この温度で大きな物性変化を伴うものであり、実使用において制限がかかるものであった。
特開平3−180588号公報 特開平1−132898号公報 特許第3605231号公報 特公平3−25537号公報
したがって、本発明の目的は、難燃性に優れるだけでなく、低吸水性と引張強度を兼ね備えた不織布及びそれを加熱してなる成形体を、特別な工程を必要とせず、安価に提供することである。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するPEI系繊維を主たる構成成分とし、3次元交絡している不織布が、優れた難燃性と低吸水性、更には引張強度を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、少なくとも主たる繰り返し構造単位が下記式で示される非晶性PEI系繊維を含有する不織布であって、以下の(1)〜(4)を全て満足する難燃性不織布である。
(1)前記PEI系繊維の一部または全部が3次元交絡していること、
(2)少なくともある一定方向の引張強度が10kg/5cm以上であること、
(3)JIS A1322試験法に準拠して測定した炭化長が5cm以下であること、
(4)前記PEI系繊維の含有率が50〜100重量%であること。
Figure 2012041644
そして本発明は、前記非晶性PEI系繊維が、好ましくは室温における繊維強度が2.0cN/dtex以上、200℃における乾熱収縮率が5%以下、平衡水分率が3.0%以下であり、より好ましくは溶融紡糸における繊維製造工程において、延伸を施していない繊維であることを特徴とする上記の難燃性不織布であり、さらに好ましくは他の耐熱性繊維を含有してなる上記の難燃性不織布である。
更に本発明は、前記難燃性不織布を加熱することで、非晶性PEI系繊維の一部または全部を熱融着させたことを特徴とする成形体に関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の難燃性不織布は、少なくとも主たる繰り返し構造単位が後述する構造式で示される非晶性PEI系繊維を含有しており、前記非晶性PEI系繊維の一部または全部が3次元交絡している必要がある。このような構造のPEI系繊維のガラス転移温度は200℃以上となるので、これから構成される不織布の耐熱性も高いものとなる。また、3次元交絡させることで、繊維同士の絡み合いが生じ、実使用に耐えうる強度と風合いを発現させることができる。
本発明の不織布の製造方法に限定はなく、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スチームジェット不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布が挙げられる。なかでも、生産効率、高機能化の面から、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スチームジェット不織布が好ましい。また、適宜目的に応じて、得られた不織布に熱プレス工程を加えてもよい。
そして本発明の不織布は、少なくともある一定方向の引張強度が10kg/5cm以上であることを特徴とする。ここで本発明でいう、ある一定方向とは、繊維ウェブの縦方向、横方向、斜め方向のいずれでもよい。
不織布は、電気・電子材料、フィルター、保温材料、医療材料、産業資材などの用途で用いられる場合、多くは、一定の強度を有していないと、取扱い性が悪く歩留まりの原因になったり、または、耐久性など製品の安全面に問題を引き起こす虞がある。例えば、電解コンデンサ用のセパレータに使用される紙は、機械的強度が弱いと、コンデンサ素子作製時に紙が切れたり、あるいは、亀裂部分が電気ショートを引き起こす原因になるなど、電解コンデンサの総合的な性能向上の阻害要因になってしまうため、少なくともある一定方向の引張強度が10kg/5cm以上が必要である。工程通過性や耐久性の面から、11kg/5cm以上が好ましく、12kg/5cm以上がより好ましい。なお、不織布の引張強度は後述する方法で測定される。
更に、本発明の不織布は、JIS A1322試験法に準拠して測定した炭化長が5cm以下であることを特徴とする。これは、5cmより大きいと、十分な難燃性を有しているとは言えず、製品の安全面に問題を引き起こす虞があるためである。より安全性を高めるためには、4cm以下が好ましく、3cm以下がより好ましい。
また、本発明の難燃性不織布は、PEI系繊維の含有率が50〜100重量%であることを必要とする。PEI系繊維が50重量%未満であると、十分な難燃性が発現しないので好ましくない。55〜100重量%であると好ましく、60〜100重量%であると更に好ましい。
次に、本発明の不織布を構成するPEI系ポリマーについて説明する。本発明で用いるPEI系ポリマーとは、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミドを繰り返し単位として含有するポリマーであり、非晶性、溶融成形性を有すものであれば特に限定されない。また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、PEI系ポリマーの主鎖に環状イミド、エーテル結合以外の構造単位、例えば脂肪族、脂環族または芳香族エステル単位、オキシカルボニル単位などが含有されていてもよい。
具体的なPEI系ポリマーとしては、下記一般式で示されるポリマーが好適に使用される。但し、式中R1は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、R2は、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。
Figure 2012041644
上記R1、R2としては、例えば、下記式群に示される芳香族残基を有するものが好ましく使用される。
Figure 2012041644
本発明の難燃性不織布を構成するPEI系ポリマーは、そのガラス転移温度が200℃以上であることが望ましい。ガラス転移温度が200℃未満の場合は、得られる不織布の耐熱性が劣る場合があるので好ましくない。また、PEI系ポリマーのガラス転移温度が高いほど、耐熱性に優れた不織布が得られるので好ましいが、融着させたりする場合に、その融着温度も高くなってしまい、その際にポリマーの分解を引き起こす可能性があるので好ましくない。PEI系ポリマーのガラス転移温度は、200〜230℃であることが好ましく、205〜220℃であるとより好ましい。
本発明では、非晶性、溶融成形性、コストの観点から、下記式で示される構造単位を主として有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましく使用される。このポリエーテルイミドは、「ウルテム」の商標でサービックイノベイティブプラスチックス社から市販されている。
Figure 2012041644
本発明の難燃性不織布を構成するPEI系ポリマーの分子量は特に限定されるものではないが、得られる繊維や不織布の機械的特性や寸法安定性、工程通過性を考慮すると、重量平均分子量(Mw)が1000〜80000のものが望ましい。高分子量のものを用いると、繊維強度、耐熱性などの点で優れるので好ましいが、樹脂製造コストや繊維化コストなどの観点からMwが2000〜50000であることが好ましく、3000〜40000であるとより好ましい。
本発明の難燃性不織布を構成する非晶性PEI系繊維は200℃における乾熱収縮率が5%以下であることが望ましい。より具体的には、100〜200℃までの全ての温度域において、乾熱収縮率が−1〜5%であることが好ましい。かかる乾熱収縮率が5%を超えると加工時や使用時の製品の寸法変化が大きくなり、耐熱性を有しているとはいえない。また、−1%未満であっても、同様な理由で好ましくない。より好ましくは乾熱収縮率が−1〜4.5%、更に好ましくは0〜4%である。なお、ここでいう乾熱収縮率とは後述する方法により測定した値をいう。
また、本発明の難燃性不織布を構成する非晶性PEI系繊維は、室温における繊維強度が2.0cN/dtex以上であることが好ましい。繊維強度が2.0cN/dtex未満の場合、ウェブのカード通過性が悪化したり、使用用途に制限がかかるので好ましくない。より好ましくは2.3〜4.0cN/dtex、2.5〜4.0cN/dtexであると更に好ましい。
本発明の難燃性不織布は、水分含有量が低いことも特徴であり、湿度吸収による変形や、強度劣化などの少ない不織布を提供することができる。その平衡水分率は、例えば3.0%以下、好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下であってもよい。なお、ここでいう平衡水分率は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
なお、本発明の難燃性不織布を構成する非晶性PEI系繊維には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、帯電防止剤、ラジカル抑制剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機物、などを含んでいてもよい。かかる無機物の具体例としては、カーボンナノチューブ、フラーレン、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、シリカ、ベントナイト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などが用いられる。更には、繊維の耐加水分解性を改良する目的で、モノまたはジエポキシ化合物、モノまたはポリカルボジイミド化合物、モノまたはジオキサゾリン化合物、モノまたはジアジリン化合物などの末端基封鎖剤を含んでいてもよい。
次に、本発明の難燃性不織布を構成する非晶性PEI系繊維の製造方法について説明する。本発明の難燃性不織布を構成する非晶性PEI系繊維の製造においては、公知の溶融紡糸装置を用いることができる。すなわち、最初に、溶融押出し機でPEI系ポリマーのペレットを溶融混練し、溶融ポリマーを紡糸筒に導きギヤポンプで計量し、紡糸ノズルから吐出させた糸条を巻き取ることで得られる。その際の引取り速度は特に限定されるものではないが、紡糸線上で分子配向が起こると好ましくないので、500m/分〜4000m/分の範囲で引き取ることが好ましい。500m/分未満では生産性の点からは好ましくなく、一方、4000m/分を超えるような高速では、高温時の収縮を引き起こすに足る分子配向が進むばかりでなく、繊維の断糸が起こりやすくなるので好ましくない。
本発明の難燃性不織布を構成する非晶性PEI系繊維の製造においては、繊維の耐熱性を確保するために、延伸工程を施さないことが好ましい。なぜならば、本発明のPEI系繊維は完全な非晶性であるので、従来の繊維製造工程で実施されるような延伸を施すと、高温下において、分子運動の増大に起因するエントロピー収縮が起こり、大きな収縮を伴うことになり、成形性や得られる成形体の寸法安定性など、実使用に耐えうる耐熱性を達成することは不可能である。
それ故、本発明では、「非晶性」という特徴に配慮しながら、延伸を施さないことによって、高い耐熱性を有するPEI系繊維とそれからなる難燃性不織布を製造することができる。
本発明の難燃性不織布を構成する非晶性PEI系繊維は、不織布製造工程に供することができる限り、その繊度は特に限定されないが、0.8dtex未満の場合は、ウェブのカード通過性が悪いなどの問題を生じる虞があるため、例えば単繊度が0.8〜15.0dtex程度であってもよく、より好ましくは0.8〜10.0dtex以下であってもよく、更に好ましくは1.0〜8.0dtexであってもよい。
繊維長は特に限定されないが、カード通過性の点から10mm〜102mm程度が好ましく、更に繊維同士の交絡を高め強度を出すためには、20mm〜64mmがより好ましい。
不織布の目付には特に限定はなく、用途によって適切な目付が選択されるが、目付が10g/m2未満の場合、地合斑が大きくなるため好ましくない。生産性の点からは10〜700g/m2が好ましく、より好ましくは、20〜700g/m2である。
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、有機或いは無機の耐熱性繊維を含有することも可能である。本発明の非晶性PEI系繊維と、耐熱性繊維と組み合わせることによって、難燃性および耐熱性、力学物性を兼備した難燃性不織布を作製することができる。
例えば、無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、セラミックファイバー、各種金属繊維(例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、チタン、ステンレスなど)を例示することができる。
また、有機繊維としては、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、パラ系アラミド繊維、ポリスルホンアミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維などの耐熱性高分子からなる繊維などを例示することができる。これらの耐熱性繊維のうち、得られる紙に対する難燃性を向上する観点から、全芳香族ポリエステル系繊維、ガラス繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、パラ系アラミド繊維、ポリスルホンアミド繊維などが好ましい。
更に、本発明の難燃性不織布を加熱し、PEI系繊維の一部または全部を融着処理することで、難燃性に優れた成形体を得ることができる。
成形体を製造する方法としては、例えば、カレンダーロール加工、熱プレス成形、エンボス加工などが挙げられる。得られる成形体としては平板、深絞り成形品、フランジ成形品などが挙げられる。
本発明の難燃性不織布および成形体は、難燃性だけでなく、低吸水性、引張強度を兼ね備えているだけでなく、特別な工程を必要とせず安価に製造できることから、電気・電子材料、フィルター、保温材料、医療材料、産業資材の分野に極めて有用である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何等限定されるものではない。なお、以下の実施例において、ポリマーおよび不織布の物性は下記の方法により測定した。
[繊維強度 cN/dtex]
JIS L1013試験法に準拠して、予め調湿されたヤーンを試長20cm、初荷重0.25cN/dtex及び引張強度50%/分の条件で破断強伸度を測定し、n=10の平均値を採用した。また繊維強度(dtex)は質量法により求めた。
[乾熱収縮率 %]
10cmに切り出した繊維を、末端を固定しない状態で200℃に保たれた空気恒温槽中で10分間保持した後の繊維長(Xcm)から、次式を用いて算出した。
乾熱収縮率(%)=<X/10>×100
[目付 g/m
JIS L1913試験法に準じて測定し、n=3の平均値を採用した。
[厚み mm]
JIS L1913試験法に準じて厚みを測定し、n=3の平均値を採用した。ただし、比較例4のみは、測定時に一定荷重をかけると厚みが潰れ、正確な数値が測れないため、見かけの厚みを測定し、n=3の平均値を採用した。
[引張強力 kg/5cm]
JIS L1913試験法に準じ、幅5cm、長さ15cmの試験片をつかみ間隔10cmで把持し、定速伸長型引張試験機を用いて引張速度20cm/分で伸長し、切断時の荷重値を引張強力とし、n=3の平均値を採用した。
[炭化長 cm]
JIS A1322試験法に準拠して、45℃に配置した試料の下端に対して、試料の下端から50mm離れたメッケルバーナーで10秒間加熱したときの炭化長を測定し、n=3の平均値を採用した。
[平衡水分率]
JIS L1013試験法に準拠し、試料を120℃の雰囲気中で絶乾した後、温度20℃かつ相対湿度65%RHにおいて72時間調整し、絶乾状態での試料の質量に対する試料中に含まれる水分率を算出し、これを百分率(%)にて表した。
<参考例:非晶性PEI系繊維の作製>
(1)サービックイノベイティブプラスチックス社製「ULTEM9001」を、150℃で12時間真空乾燥した。
(2)上記(1)のポリマーを紡糸ヘッド温度390℃、紡糸速度2000m/分、吐出量50g/分の条件で丸孔ノズルより吐出し、単繊維繊度:2.2dtex、強度:2.6cN/dtex、200℃における乾熱収縮率:3.5%のマルチフィラメントを得た。
得られたマルチフィラメントに捲縮を施した後、切断して繊維長51mmの短繊維を作製した。
[実施例1]
参考例で得られた非晶性PEI系短繊維をカードにかけ、目付40g/mの繊維ウェブを作製する。次いで、このウェブを水流交絡機の支持ネットに乗せ、約50m/分の速度で送りながら、上記の積層体に、ノズル口径100μm径1列、穴ピッチ0.6mmピッチで並ぶ水絡ノズルを使用し、水圧力20〜100 kgf/cm の水を両面噴出して、ステープル同士を絡合、一体化させた後、温度110〜160℃で乾燥熱処理を行い、不織布を得た。得られた不織布の物性を表1に示す。
[実施例2〜4]
繊維ウェブの目付を、表1に記載の重量に変更した以外は、実施例1と同様な方法で実施例2〜4の不織布を得た。得られた不織布の物性を表1に示す。
[実施例5〜6]
実施例1で用いた非晶性PEI系短繊維と、ポリアリレート繊維((株)クラレ製「ベクトラン」、短繊維繊度:2.8dtex、繊維長:51mm、融点:370℃、引張強度:20cN/dtex)を、表1に示す割合で用いて、実施例1と同様な方法で目付40g/mの不織布を作製した。得られた不織布の物性を表1に示す。
[実施例7]
実施例1で作製した不織布を、温度240℃、圧力20MPa下で1分間熱圧縮成形し、ボード状の成形体を作製した。得られた成形体の物性を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた非晶性PEI系短繊維40重量部と、ポリエステル繊維(東レ(株)製「T−471」、短繊維繊度:1.6dtex、繊維長:51mm、融点:260℃、引張強度:5.9cN/dtex)60重量部を用いて、実施例1と同様な方法で目付40g/mの不織布を作製した。得られた不織布の物性を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で用いた非晶性PEI系短繊維30重量部と、レーヨン繊維(大和紡績(株)製「コロナ」、短繊維繊度:1.7dtex、繊維長:40mm、融点:260℃、引張強度:2.7cN/dtex)70重量部を用いて、実施例1と同様な方法で目付40g/mの不織布を作製した。得られた不織布の物性を表1に示す。
[比較例3]
比較例2で用いたレーヨン繊維100重量部を用いて、実施例1と同様な方法で目付40g/mの不織布を作製した。得られた不織布の物性を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、水流交絡処理を施さない以外は、実施例1と同様の方法で不織布を作製した。得られた不織布の物性を表1に示す。
[比較例5]
比較例1で作製した不織布を、実施例7と同様の方法で熱圧縮成形し、ボード状の成形体を作製した。得られた成形体の物性を表1に示す。
Figure 2012041644
表1から明らかなように、実施例1〜6で得られた不織布は、特定のPEI系繊維と耐熱性繊維とで構成されているため、炭火長が短く難燃性を有するだけでなく、不織布の平衡水分率も低い水準で保持できた。また、実施例7で得られた成形体については、熱圧着によって繊維同士が十分に接着したボード状をなしており、高い難燃性も有している。
また、比較例4は、PEI繊維を使用していても、3次元交絡を実施していないために、繊維同士が十分絡まっておらす、必要な強度を具備していない。
また、比較例5は、PEI繊維の含有量が本発明の構成要件を満たしていないため、熱圧着による繊維同士の接着が不十分で、良好な成型性を有していないだけでなく、難燃性も発現できなかった。
本発明の難燃性不織布および成形体は、難燃性、低吸水性、引張強度を兼ね備えているだけでなく、特別な工程を必要とせず安価に製造できることから、一般産業資材分野、電気電子材料分野、医療材料分野、農業資材分野、光学材料分野、航空機・自動車・船舶用材料分野、アパレル分野などにおいて、特に高い温度環境下に曝される機会の多い用途に対して極めて有効に使用することができる。

Claims (5)

  1. 少なくとも主たる繰り返し構造単位が下記式で示される非晶性ポリエーテルイミド系繊維を含有する不織布であって、以下の(1)〜(4)を全て満足する難燃性不織布。
    (1)前記ポリエーテルイミド系繊維の一部または全部が3次元交絡していること、
    (2)少なくともある一定方向の引張強度が10kg/5cm以上であること、
    (3)JIS A1322試験法に準拠して測定した炭化長が5cm以下であること、
    (4)前記ポリエーテルイミド系繊維の含有率が50〜100重量%であること。
    Figure 2012041644
  2. 前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維は、室温における繊維強度が2.0cN/dtex以上、200℃における乾熱収縮率が5%以下、平衡水分率が3.0%以下であることを特徴とする、請求項1記載の難燃性不織布。
  3. 前記非晶性ポリエーテルイミド系繊維は溶融紡糸における繊維製造工程において、延伸を施していない繊維であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の難燃性不織布。
  4. さらに耐熱性繊維を含有してなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性不織布。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の不織布を加熱し、非晶性ポリエーテルイミド系繊維の一部または全部を熱融着させたことを特徴とする成形体。
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