JP2012040955A - 電気鉄道用電力システム - Google Patents

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芳充 丹羽
Kyo Mitsuyoshi
京 三吉
Satoshi Koizumi
聡志 小泉
Akihiko Yamaguchi
昭彦 山口
Mitsuhiko Matsui
光彦 松井
Yusuke Kono
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Abstract

【課題】 変電所から鉄道車両への電力供給が停止しても、鉄道車両を走行させることのできる電気鉄道用電力システムを提供することにある。
【解決手段】 き電系統システム4の停電区間を判断し、停電区間の駅間に在線する列車90,90bを検出し、蓄電装置97を搭載した列車90bを検出し、検出された列車90bの蓄電装置97を放電し、き電システム4の停電区間に電力を供給し、検出された駅間に在線する列車90,90bに駅まで走行させる制御をする電気鉄道用電力システム10。
【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、電気鉄道の電力系統に適用される電気鉄道用電力システムに関する。
一般に、電気鉄道の電力系統は、商用電源から供給される電力を変電所により鉄道車両に供給するための電力に変換する。鉄道車両は、変電所からき電系統を介して供給される電力を動力源として走行する。
特開2001−260719号公報 特開2004−358984号公報 特開2007−106186号公報 特開2007−236196号公報 特開2007−101698号公報
しかしながら、変電所は、商用電源の停電やき電系統の系統事故などにより鉄道車両に電力供給できなくなることがある。このとき、駅間を走行中の鉄道車両は、駅間で停止することになる。
そこで、本発明の実施形態による目的は、変電所から鉄道車両への電力供給が停止しても、鉄道車両を走行させることのできる電気鉄道用電力システムを提供することにある。
実施形態の観点に従った電気鉄道用電力システムは、電気鉄道用電力系統の停電区間を判断する停電区間判断手段と、前記停電区間判断手段により判断された前記停電区間の駅間に在線する列車を検出する列車検出手段と、蓄電装置を搭載した蓄電装置搭載列車を検出する蓄電装置搭載列車検出手段と、前記蓄電装置搭載列車検出手段により検出された前記蓄電装置搭載列車の前記蓄電装置を放電し、前記停電区間判断手段により判断された前記電気鉄道用電力系統の停電区間に電力を供給する蓄電装置放電手段と、前記列車検出手段により検出された前記停電区間の駅間に在線する前記列車に駅まで走行させる指示をする列車走行指示手段とを備える。
本発明の第1の実施形態に係る電気鉄道用電力システムの構成を示す構成図。 本実施形態に係る蓄電装置搭載型の列車の構成を示す構成図。 本実施形態に係る非蓄電装置搭載型の列車の構成を示す構成図。 本実施形態に係るき電系統システムの構成を示す構成図。 本実施形態に係る列車制御指示部による処理手順を示すフローチャート。 本実施形態に係る変電所の停電直後のき電系統システムの状態を示す状態図。 本実施形態に係る停電時列車運行制御システムによる列車の走行制御中の状態を示す状態図。 本実施形態に係る停電時列車運行制御システムによる列車の走行制御完了後の状態を示す状態図。 本発明の第2の実施形態に係る電気鉄道用電力システムの構成を示す構成図。 本実施形態に係る停電時列車運行制御システムの動作を説明するためのき電系統システムの系統事故時の状態を示す構成図。 本実施形態に係る列車制御指示部による処理手順を示すフローチャート。 本実施形態に係るき電系統システムの系統事故直後の状態を示す状態図。 停電時列車運行制御システムによる列車の走行制御中の状態を示す状態図。 停電時列車運行制御システムによる列車の走行制御完了後の状態を示す状態図。 本発明の第3の実施形態に係る電気鉄道用電力システムの構成を示す構成図。 本実施形態に係る列車制御指示部による処理手順を示すフローチャート。 本発明の第4の実施形態に係る電気鉄道用電力システムの構成を示す構成図。 本実施形態に係る蓄電装置搭載型の列車の構成を示す構成図。 本実施形態に係る非蓄電装置搭載型の列車の構成を示す構成図。 本実施形態に係る列車制御指示部による処理手順を示すフローチャート。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電気鉄道用電力システム10の構成を示す構成図である。なお、以降の図における同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。以降の実施形態も同様にして重複する説明を省略する。
電気鉄道用電力システム10は、停電時列車運行制御システム1と、電力管理システム2と、運行管理システム3と、き電系統システム4とを備えている。電気鉄道用電力システム10は、主にコンピュータ(ネットワークが構成された複数台のコンピュータを含む)により動作するシステムである。
き電系統システム4は、列車90,90bに電力を供給する電力系統である。き電系統システム4は、変電所50と、複数のトロリ線40とを備えている。列車90,90bは、走行している区間のトロリ線40から受電する電力により走行する。変電所50は、トロリ線40に電源51からの電力を供給する。
変電所50は、電源51と、母線52と、変電所開閉器53,54とを備えている。電源51は、商用電源から供給される電力を変換して、母線52に出力する。電源51は、変電所開閉器53を介して、母線52に電力を供給する。母線52は、二次側に接続された各変電所開閉器54を介してそれぞれトロリ線40に電力を供給する。
電力管理システム2は、電力系統の電圧、電流、及び電力などの状態を監視する。また、電力管理システム2は、監視している各種情報に基づいて、変電所50の変電所開閉器53,54などの電力系統の各種設備を制御する。電力管理システム2は、停電区間検知部21と、変電所開閉器制御部22とを備えている。
停電区間検知部21は、変電所50から受信する情報に基づいて、停電区間を検知する。停電区間検知部21は、検知した停電区間に関する情報を停電時列車運行制御システム1に送信する。
変電所開閉器制御部22は、変電所開閉器53,54を制御するための制御部である。変電所開閉器制御部22は、系統事故等による系統保護のために、変電所開閉器53,54をトリップさせる。また、変電所開閉器制御部22は、停電時列車運行制御システム11から受信する投入信号に応じて、任意の変電所開閉器53,54を投入する。
運行管理システム3は、列車90,90bの運行を管理するシステムである。運行管理システム3は、列車位置検知部31と、対列車通信部32とを備えている。
対列車通信部32は、各列車90,90bと情報の送受信を行うための通信処理を行う。対列車通信部32は、各列車90,90bから現在位置を判断するための情報を受信する。対列車通信部32は、各列車90,90bを制御するための制御信号を送信する。各列車90,90bは、この制御信号に応じて、運転などの制御がされる。
列車位置検知部31は、各列車90,90bから対列車通信部32を介して受信した位置を判断するための情報を検知する。列車位置検知部31は、位置を判断するための情報を停電時列車運行制御システム1に送信する。
停電時列車運行制御システム1は、変電所50の停電時に列車90,90bの運行を制御するシステムである。
停電時列車運行制御システム1は、停電区間判断部11と、列車位置判断部12と、変電所開閉器制御指示部13と、列車制御指示部14とを備えている。
停電区間判断部11は、電力管理システム2の停電区間検知部21から停電区間に関する情報を受信する。停電区間判断部11は、停電区間検知部21から受信した停電区間に関する情報に基づいて、停電区間を判断する。停電区間判断部11は、判断した停電区間の情報を変電所開閉器制御指示部13及び列車制御指示部14に送信する。
列車位置判断部12は、運行管理システム3の列車位置検知部31から各列車90,90bの位置を判断するための情報を取得する。列車位置判断部12は、列車位置検知部31から取得した情報に基づいて、各列車90,90bの現在位置を判断する。列車位置判断部12は、各列車90,90bの現在位置を示す位置情報を変電所開閉器制御指示部13及び列車制御指示部14に送信する。
変電所開閉器制御指示部13は、停電区間判断部11から受信した停電区間の情報及び列車位置判断部12から受信した各列車90,90bの位置情報に基づいて、き電系統システム4の管轄内の変電所50の制御する変電所開閉器を決定する。変電所開閉器制御指示部13は、決定した変電所開閉器を制御(投入又は開放)するための制御信号を電力管理システム2の変電所開閉器制御部22に送信する。変電所開閉器制御指示部13は、決定した制御する変電所開閉器の情報を列車制御指示部14に送信する。
列車制御指示部14は、停電区間判断部11から受信した停電区間の情報、列車位置判断部12から受信した各列車90,90bの位置情報、変電所開閉器制御指示部13から受信した制御する変電所開閉器の情報、及び、運行管理システム3の対列車通信部32を介して取得する列車90bに搭載されている蓄電装置97のSOC(蓄電状態: state of charge)情報に基づいて、各列車90,90bの運行計画を決定する。列車制御指示部14は、決定した運行計画に従って、各列車90,90bを制御するための信号を電力管理システム2の対列車通信部32に送信する。
図2は、本実施形態に係る蓄電装置搭載型の列車90bの構成を示す構成図である。
列車90bは、蓄電装置搭載型の鉄道車両(電気車)である。列車90bには、車両数に関係なく単独の鉄道車両による編成も含まれる。列車90bは、集電装置91と、車載遮断器92と、変換器93と、主電動機94と、電圧・電流検出部95と、通信部96と、蓄電装置97と、SOC検出部98とを備えている。
変換器93は、トロリ線40から集電装置91を介して受電した電力を変換して、主電動機94に供給する。変換器93は、通信部96を介して受信する運行管理システム3からの制御信号により、電力変換動作の制御がされる。これにより、主電動機94は、駆動を制御される。
主電動機94は、列車90bを走行させるための動力源である。
車載遮断器92は、集電装置91と変換器93との間に設けられている。車載遮断器92が開放されると、トロリ線40と変換器93との電気的な接続が切断される。
電圧・電流検出部95は、トロリ線40から供給される電流及び電圧を検出する。列車90bは、電圧・電流検出部95により検出される電圧及び電流により、トロリ線40の停電及び事故などを検出する。電圧・電流検出部95は、検出した電流及び電圧を通信部96に送信する。
蓄電装置97は、電力を蓄える装置である。蓄電装置97は、トロリ線40から受電する電力又は主電動機94の回生電力を蓄える。蓄電装置97は、必要に応じて、蓄電した電力を蓄電装置97又はトロリ線40に供給する。
SOC検出部98は、蓄電装置97のSOCを検出する。SOC検出部98は、検出したSOCを通信部96に送信する。
通信部96は、運行管理システム3と列車90bとの情報の送受信を行うための処理部である。通信部96は、電圧・電流検出部95により検出された電圧及び電流及びSOC検出部98により検出されたSOCなどの情報を運行管理システム3に送信する。通信部96は、運行管理システム3から主電動機94を駆動制御するための制御信号を受信する。通信部96が受信した制御信号を変換器93に入力することにより、運行管理システム3は、列車90bの運転を制御する。
図3は、本実施形態に係る非蓄電装置搭載型の列車90の構成を示す構成図である。
列車90は、蓄電装置が搭載されていない(非蓄電装置搭載型の)電気車である。列車90は、図2に示す列車90bにおいて、蓄電装置97及びSOC検出部98を取り除いた構成である。その他の点は、列車90は、列車90bと同様である。
図4は、本実施形態に係るき電系統システム4の構成を示す構成図である。
図4を参照して、停電時列車運行制御システム1の変電所開閉器制御指示部13による変電所開閉器53,54の制御について説明する。
き電系統システム4は、変電所50と、4つのトロリ線40a,40b,40c,40dとを備えている。変電所50は、電源51と、母線52と、変電所開閉器(遮断器)53と、4つの変電所開閉器(遮断器)54a,54b,54c,54dとを備えている。各トロリ線40a〜40dは、それぞれ遮断器54a〜54dを介して母線52と接続されている。
ここで、変電所開閉器53よりも電源51側の短絡又は地絡などの系統事故により、変電所50の全ての変電所開閉器53,54a〜54dが開放されたとする。
全ての変電所開閉器53,54a〜54dが開放された状態では、各トロリ線40a〜40dは、それぞれ相互に電気的に接続されていない。
変電所開閉器制御指示部13は、母線52と各トロリ線40a〜40dとを接続する全ての遮断器54a〜54dを投入する。これにより、全てのトロリ線40a〜40dは、母線52を介して、全て電気的に接続される。この状態で、トロリ線40aに蓄電装置搭載型の列車90bが停車しているとする。この場合、列車90bが蓄電装置97からトロリ線40aに電力を供給することにより、トロリ線40aと電気的に接続されている他のトロリ線40b〜40dも充電される。これにより、トロリ線40b〜40dに在線する非蓄電装置搭載型の列車90又は蓄電電力がない蓄電装置搭載型の列車90bでも、列車90bからトロリ線40aに供給された電力を受電して、走行可能な状態になる。
ここでは、全てのトロリ線40a〜40dにそれぞれ列車90,90bが在線しており、かつ、全ての遮断器54a〜54dを投入する場合について説明したが、列車90,90bが在線していないトロリ線又は運転させない列車90,90bしか在線していない場合は、投入しない。また、列車90,90bが在線していないトロリ線と在線しているトロリ線が遮断器を介して接続されている場合、在線していないトロリ線を充電させないように、この遮断器を開放してもよい。
図5は、本実施形態に係る列車制御指示部14による処理手順を示すフローチャートである。
列車制御指示部14は、変電所開閉器制御指示部13による変電所開閉器53,54a〜54dの開閉操作後、全ての蓄電装置搭載型の列車90bに搭載されている蓄電装置97のSOC情報を取得する(ステップS110)。
列車制御指示部14は、駅間に在線する列車90,90bについて、取得したSOC情報に基づいて、駅まで走行させる列車90,90bの優先順位を決定する(ステップS120)。
例えば、優先順位は、次のように決定される。列車制御指示部14は、駅まで走行する消費電力(蓄電電力の消費電力)が少ない列車90,90bを優先的に走行させるように優先順位を決定する。この場合において、放電する蓄電装置搭載型の列車90bと受電する列車の距離(インピーダンス)を考慮してもよい。または、列車制御指示部14は、駅に近い列車90,90bを優先的に駅まで走行させるように優先順位を決定する。これらの優先順位の決定方法は、駅まで走行させられる列車90,90bの本数を多く(ほぼ最大に)するような優先順位に決定されることが多い。
または、優先順位は、次のように決定される。列車制御指示部14は、優先順位を決定する前に、取得したSOC情報に基づいて、トロリ線40に供給できる合計の電力量などを演算する。列車制御指示部14は、演算した電力量などに基づいて、駅まで走行させることのできる列車90,90bの数を決定する。列車制御指示部14は、決定した列車90,90bの数に基づいて、駅まで走行させる列車90,90bを重要度に応じて決定する。
列車制御指示部14は、全ての蓄電装置搭載型の列車90bに搭載されている蓄電装置97を放電し、トロリ線40に電力を供給する(ステップS130)。ここで、高い優先順位の(確実に駅まで走行させることになる優先順位の)列車90bは、自己の蓄電装置97で駅まで走行した後に、残りの蓄電電力をトロリ線40に供給させてもよい。
列車制御指示部14は、決定した優先順位に従って、駅間に在線する列車90,90bを駅まで走行させる(ステップS140)。
列車制御指示部14は、蓄電量が駅間に在線する列車90,90bを1本も駅まで走行させることができない量にまで減少したら、駅間に在線する列車90,90bの補機に残りの蓄電電力を供給する(ステップS150)。これにより、駅間に在線する列車90,90bの空調などのサービス機器を作動させる。
図6から図8を参照して、停電時列車運行制御システム1による制御について説明する。図6は、変電所50の停電直後のき電系統システム4の状態を示す状態図である。図7は、停電時列車運行制御システム1による列車90,90bの走行制御中の状態を示す状態図である。図8は、停電時列車運行制御システム1による列車90,90bの走行制御完了後の状態を示す状態図である。
図6に示すように、蓄電装置搭載型の列車90bと非蓄電装置搭載型の列車90の2本が駅間に在線している状態で、全ての変電所50が停電になったとする。
停電時列車運行制御システム1は、より多くのトロリ線40が電気的に接続されるように、変電所50の変電所開閉器を投入する。
停電時列車運行制御システム1は、列車90bと列車90とのどちらを優先して駅41まで走行させるかを決定する。ここでは、列車90bを優先的に駅41まで走行させる決定をしたとする。
停電時列車運行制御システム1は、列車90bに搭載されている蓄電装置97を放電し、トロリ線40に電力を供給する。これにより、蓄電装置97が搭載されていない列車90もトロリ線40を介して、列車90bの蓄電装置97から電力を受電することができる。
停電時列車運行制御システム1は、図7に示すように、優先順位の高い列車90bを先に駅41まで走行させる。ここで、停電時列車運行制御システム1は、列車90bを駅41まで走行させた後に、列車90bの蓄電装置97を放電させてもよい。
停電時列車運行制御システム1は、図8に示すように、列車90bが駅41に到着した後に、列車90を駅41まで走行させる。
このようにして、停電時列車運行制御システム1は、駅間に在線する全ての列車90,90bを駅41まで走行させる。
本実施形態によれば、変電所50が停電し、き電系統システム4に電力供給できなくなっても、蓄電装置搭載型の列車90bの蓄電装置97からき電系統システム4を電力供給することができる。これにより、自力で走行できない非蓄電装置搭載型の列車90や蓄電電力のない蓄電装置搭載型の列車90bが駅間に停車又は駅間を走行している時に変電所50が停電した場合であっても、より多くの列車90,90bを駅41まで走行させることができる。
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る電気鉄道用電力システム10Aの構成を示す構成図である。
電気鉄道用電力システム10Aは、図1に示す第1の実施形態に係る電気鉄道用電力システム10において、停電時列車運行制御システム1を停電時列車運行制御システム1Aに代え、電力管理システム2を電力管理システム2Aに代えたものである。停電時列車運行制御システム1Aは、停電区間判断部11を系統事故発生区間判断部15に代えたものである。電力管理システム2Aは、停電区間検知部21を系統事故発生区間検知部23に代えたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
系統事故発生区間検知部23は、変電所50から受信する情報に基づいて、事故発生区間に関する情報を検知する。系統事故発生区間検知部23は、検知した事故発生区間に関する情報を停電時列車運行制御システム1の系統事故発生区間判断部15に送信する。
系統事故発生区間判断部15は、電力管理システム2の系統事故発生区間検知部23から事故発生区間に関する情報を受信する。系統事故発生区間判断部15は、系統事故発生区間検知部23から受信した事故発生区間に関する情報に基づいて、事故発生区間及び事故発生による停電区間を判断する。系統事故発生区間判断部15は、判断した事故発生区間及び停電区間の情報を変電所開閉器制御指示部13及び列車制御指示部14に送信する。
図10は、本実施形態に係る停電時列車運行制御システム1の動作を説明するためのき電系統システム4fの系統事故時の状態を示す構成図である。
き電系統システム4fは、トロリ線40e,40f,40gと、変電所50a,50bとを備えている。
変電所50a,50bは、図1に示す変電所50と同様の構成である。変電所50aを構成する部分の符号には、「a」を付している。変電所50bを構成する部分の符号には、「b」を付している。
トロリ線40fは、変電所50aを介して、トロリ線40eと接続されている。トロリ線40gは、変電所50bを介して、トロリ線40fと接続されている。
トロリ線40fは、短絡又は地絡などの系統事故が発生した電線である。
2つの変電所50a,50bの全ての変電所開閉器53a,53b,54a1,54a2,54b1,54b2は、トロリ線40fの事故発生後に、保護動作としてトリップしている。このため、トロリ線40e及びトロリ線40gは、停電している。
変電所50aの変電所開閉器54a2は、母線52aとトロリ線40fとを接続する。変電所50bの変電所開閉器54b2は、母線52bとトロリ線40fとを接続する。従って、変電所開閉器制御指示部13は、トロリ線40fの事故が継続している間は、変電所開閉器54a2,54b2を投入することはできない。
列車90bは、事故が継続しているトロリ線40fと車両内の主回路を電気的に接続することはできない。従って、列車制御指示部14は、トロリ線40fの区間内に在線している列車90bに対しては、充放電の制御指示をすることはできない。
図11は、本実施形態に係る列車制御指示部14Aによる処理手順を示すフローチャートである。
列車制御指示部14Aによる処理手順は、図5に示す第1の実施形態に係る列車制御指示部14による処理手順のステップS110の前にステップS105の処理を加えたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
列車制御指示部14Aは、系統事故発生区間判断部15から受信した事故発生区間の情報及び列車位置判断部12から受信した各列車90,90bの位置情報に基づいて、事故区間に在線している蓄電装置搭載型の列車90bを検索する。列車制御指示部14Aは、事故区間に在線している全ての蓄電装置搭載型の列車90bを事故区間外の駅41まで走行させる(ステップS105)。
列車制御指示部14Aは、事故区間に在線している蓄電装置搭載型の列車90bを事故区間外の駅41まで走行させた後、図5に示す処理手順のステップS110〜ステップS150の処理を同様に行う。
図12から図14を参照して、停電時列車運行制御システム1Aによる制御について説明する。図12は、き電系統システム4fの系統事故直後の状態を示す状態図である。図13は、停電時列車運行制御システム1Aによる列車90,90bの走行制御中の状態を示す状態図である。図14は、停電時列車運行制御システム1Aによる列車90,90bの走行制御完了後の状態を示す状態図である。
図12に示すように、事故区間で蓄電装置搭載型の列車90bが駅間に在線している状態で、トロリ線40fで系統事故が発生し、変電所50a,50bが停電になったとする。また、このとき、健全区間で非蓄電装置搭載型の列車90が駅間に在線していたとする。変電所50bは停電しているため、このままでは、非蓄電装置搭載型の列車90は、駅41まで走行することはできない。
停電時列車運行制御システム1Aは、事故が発生したトロリ線40と他のトロリ線40とが接続される変電所遮断器を除き、必要な変電所開閉器を投入する。
停電時列車運行制御システム1Aは、図12に示すような事故区間の駅間に在線する蓄電装置搭載型の列車90bを探索する。
停電時列車運行制御システム1Aは、図13に示すように、事故区間の駅間に在線する列車90bを事故区間外の近くの駅41まで自己の蓄電装置97により走行させる。停電時列車運行制御システム1Aは、列車90bが事故区間外の駅41に到着したと判断すると、列車90bに蓄電装置97の充電電力をトロリ線40gに供給させる指示をする。これにより、停電していたトロリ線40gは、列車90bの蓄電装置97からの放電電力により充電される。
停電時列車運行制御システム1Aは、図14に示すように、列車90bに蓄電装置97の充電電力をトロリ線40gに供給させた後、列車90を駅41まで走行させる。列車90は、列車90bの蓄電装置97から放電された電力を、トロリ線40gを介して受電することで、駅41まで走行する。
本実施形態によれば、き電系統システム4の系統事故により変電所50a,50bが停電した場合でも、事故が発生したトロリ線40fをき電系統から切り離した状態で、停電時列車運行制御システム1Aは、列車90,90b等を制御することができる。これにより、き電系統に事故が発生した場合でも、停電時列車運行制御システム1Aを適用することで、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
図15は、本発明の第3の実施形態に係る電気鉄道用電力システム10Bの構成を示す構成図である。
電気鉄道用電力システム10Bは、図1に示す第1の実施形態に係る電気鉄道用電力システム10において、停電時列車運行制御システム1を停電時列車運行制御システム1Bに代えたものである。停電時列車運行制御システム1Bは、列車情報データベース16を追加し、列車制御指示部14を列車制御指示部14Bに代えたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
列車情報データベース16は、運行している列車90,90bに関する列車情報が蓄積されている。列車情報データベース16には、運転種別、営業種別、編成種別、車種別、又は乗車率などの列車情報が含まれている。運転種別は、緩行電車又は優等列車などを示す情報である。営業種別は、営業運転又は非営業運転などを示す情報である。編成種別は、編成されている車両の構成を示す情報である。車種別は、車両の種類を示す情報である。乗車率は、過去の情報に基づいて、月日、曜日、時間帯、季節、又は天候などで区分けされている。列車情報データベース16は、列車制御指示部14からの要求に応じて、列車情報を送信する。
図16は、本実施形態に係る列車制御指示部14Bによる処理手順を示すフローチャートである。
列車制御指示部14Bによる処理手順は、図5に示す第1の実施形態に係る列車制御指示部14による処理手順において、ステップS115を追加し、ステップS120をステップS120Bに代えたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
列車制御指示部14Bは、駅間に在線する全ての列車90,90bについて、列車情報データベース16から列車情報を取得する(ステップS115)。
列車制御指示部14Bは、列車情報データベース16から取得した駅間に在線する列車90,90bの列車情報及び列車90bから取得したSOC情報に基づいて、駅まで走行させる列車90,90bの優先順位を決定する(ステップS120B)。
列車制御指示部14Bは、次のように優先順位を決定する。回送電車又は貨物列車などの乗客のいない列車90,90bの優先順位は低くする。列車制御指示部14Bは、乗客のいる列車90,90bについて、過去の列車情報に基づいて乗客率を推測する。列車制御指示部14Bは、推測した乗車率の高い順に列車90,90bの優先順位を高くする。
その他に、次のような要素を優先順位の決定に加えてもよい。優等列車の優先順位は、緩行電車の優先順位よりも高くする。又は、駅41まで蓄電装置97の蓄電電力で自力走行できる列車90bの優先順位は高くする。
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
電気鉄道用電力システム10Bに、運行している列車90,90bに関する様々な情報が蓄積された列車情報データベース16を設けることにより、電気鉄道用電力システム10Bは、列車90,90bの様々な情報に基づいて、駅41まで走行させる列車90,90bの優先順位を決定することができる。例えば、列車90,90bの乗客率などに基づいて優先順位を決定することで、より多くの乗客を駅41に運ぶことができる。
また、列車情報データベース16に蓄積する列車情報を追加することで、鉄道会社の運用に適した優先順位を決定することができる。
(第4の実施形態)
図17は、本発明の第4の実施形態に係る電気鉄道用電力システム10Cの構成を示す構成図である。
電気鉄道用電力システム10Cは、図1に示す第1の実施形態に係る電気鉄道用電力システム10において、停電時列車運行制御システム1を停電時列車運行制御システム1Cに代えたものである。停電時列車運行制御システム1Cは、第1の実施形態に係る停電時列車運行制御システム1において、列車制御指示部14を列車制御指示部14Bに代えたものである。また、図2及び図3に示す第1の実施形態に係る列車90,90bの代わりに、列車90C,90Cbを走行させている。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
図18は、本実施形態に係る蓄電装置搭載型の列車90Cbの構成を示す構成図である。図19は、本実施形態に係る非蓄電装置搭載型の列車90Cの構成を示す構成図である。
図18に示す列車90Cbは、図2に示す第1の実施形態に係る列車90bにおいて、応荷重装置99を追加した構成である。同様に、図19に示す列車90Cは、図3に示す第1の実施形態に係る列車90において、応荷重装置99を追加した構成である。その他の点は、第1の実施形態に係る列車90,90bと同様である。
応荷重装置99は、列車90,90bに掛かる荷重を計測する装置である。応荷重装置99は、計測した荷重を、通信部96及び運行管理システム3の対列車通信部32を介して、停電時列車運行制御システム1Cの列車制御指示部14Cに送信する。
図20は、本実施形態に係る列車制御指示部14Cによる処理手順を示すフローチャートである。
列車制御指示部14Cによる処理手順は、図5に示す第1の実施形態に係る列車制御指示部14による処理手順において、ステップS115Cを追加し、ステップS120をステップS120Cに代えたものである。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
列車制御指示部14Cは、駅間に在線する全ての列車90C,90bCから応荷重装置99により計測された荷重情報を受信する(ステップS115C)。
列車制御指示部14Cは、受信した荷重情報に基づいて、列車90C,90Cbのそれぞれの乗客率を推定する。列車制御指示部14Cは、推定した列車90C,90Cbの乗客率及び列車90Cbから取得したSOC情報に基づいて、駅まで走行させる列車90C,90Cbの優先順位を決定する(ステップS120C)。列車制御指示部14Cは、推定した乗客率が高い順に優先順位が高くなるように優先順位を決定する。
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
電気鉄道用電力システム10Cは、列車90C,90Cbに設けられた応荷重装置99から荷重情報を取得して、駅間に在線する列車90C,90Cbの乗客率を推定することができる。これにより、電気鉄道用電力システム10Cは、駅41まで走行させる列車90C,90Cbの優先順位を乗客率に基づいて決定することで、より多くの乗客を駅41に運ぶことができる。
なお、第1の実施形態では、停電時列車運行制御システム1は、電力管理システム2及び運行管理システム3から独立したシステムとして説明したが、これに限らない。停電時列車運行制御システム1は、電力管理システム2に組み込んでもよいし、運行管理システム3に組み込んでもよい。また、他の実施形態も同様に構成を変更してもよい。
また、各実施形態において、蓄電装置搭載型の列車90bと非蓄電装置搭載型の列車90とを混在させた構成としたが、これに限らない。全ての列車を蓄電装置搭載型の列車90bとしてもよい。また、蓄電電力が残っていない蓄電装置搭載型の列車90bは、非蓄電装置搭載型の列車90と同様に扱うことができる。
さらに、各実施形態において、停電時における制御構成と系統事故時における制御構成のどちら一方の構成について説明したが、両方の構成を組み合わせてもよい。また、第3の実施形態及び第4の実施形態における優先順位の決定方法は、第1の実施形態(停電時における制御構成)を基本構成として説明したが、第2の実施形態(系統事故時における制御構成)を基本構成としてもよい。
また、列車90,90bの乗車率を判断する方法は、第3の実施形態における列車情報データベース16による乗車率の推定方法、又は第4の実施形態に係る列車90C,90Cbに設けられた応荷重装置99による乗車率の推定方法に限らず、列車90,90bの乗車率を判断できるのであれば、他の方法でもよい。例えば、列車90,90bの加速時のトルクに基づいて、乗車率を推定してもよい。また、各列車90,90bの乗車率を実際に測定したものでもよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…停電時列車運行制御システム、2…電力管理システム、3…運行管理システム、4…き電系統システム、10…電気鉄道用電力システム、21…停電区間検知部、22…変電所開閉器制御部、31…列車位置検知部、32…対列車通信部、40…トロリ線、50…変電所、51…電源、52…母線、53,54…変電所開閉器、90,90b…列車。

Claims (10)

  1. 電気鉄道用電力系統の停電区間を判断する停電区間判断手段と、
    前記停電区間判断手段により判断された前記停電区間の駅間に在線する列車を検出する列車検出手段と、
    蓄電装置を搭載した蓄電装置搭載列車を検出する蓄電装置搭載列車検出手段と、
    前記蓄電装置搭載列車検出手段により検出された前記蓄電装置搭載列車の前記蓄電装置を放電し、前記停電区間判断手段により判断された前記電気鉄道用電力系統の停電区間に電力を供給させる蓄電装置放電手段と、
    前記列車検出手段により検出された前記停電区間の駅間に在線する前記列車に駅まで走行させる指示をする列車走行指示手段と
    を備えたことを特徴とする電気鉄道用電力システム。
  2. 前記電気鉄道用電力系統の系統事故による事故区間を判断する事故区間判断手段を備え、
    前記停電区間判断手段は、前記電気鉄道用電力系統の系統事故による停電区間を判断し、
    前記蓄電装置放電手段は、前記蓄電装置搭載列車が前記事故区間判断手段により判断された前記事故区間に在線している場合、前記事故区間に在線している前記蓄電装置搭載列車を前記事故区間外に走行させた後、前記電気鉄道用電力系統の停電区間に前記蓄電装置搭載列車より電力を供給すること
    を特徴とする請求項1に記載の電気鉄道用電力システム。
  3. 前記蓄電装置放電手段により前記電気鉄道用電力系統の停電区間に放電される電力を、前記列車検出手段により検出された前記停電区間の駅間に在線する前記列車に供給するために、前記停電区間に設けられた開閉器を制御する開閉器制御手段
    を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気鉄道用電力システム。
  4. 前記列車走行指示手段は、
    前記停電区間の駅間に在線する前記列車の駅まで走行させる優先順位を決定する優先順位決定手段と、
    前記優先順位決定手段により決定された前記優先順位に従って、前記列車を駅まで走行させる指示をすること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気鉄道用電力システム。
  5. 前記優先順位決定手段は、駅まで走行させる前記列車の数を多くするように前記優先順位を決定すること
    を特徴とする請求項4に記載の電気鉄道用電力システム。
  6. 前記優先順位決定手段は、前記停電区間の駅間に在線する前記列車の乗車率に基づいて、前記優先順位を決定すること
    を特徴とする請求項4に記載の電気鉄道用電力システム。
  7. 前記列車に関する列車情報が記憶された列車情報記憶手段を備え、
    前記優先順位決定手段は、前記列車情報記憶手段に記憶された前記列車情報に基づいて、前記優先順位を決定すること
    を特徴とする請求項4に記載の電気鉄道用電力システム。
  8. 前記列車のそれぞれに設けられた応荷重装置により測定された荷重情報を受信する荷重情報受信手段を備え、
    前記優先順位決定手段は、前記荷重情報受信手段により受信された前記荷重情報に基づいて、前記優先順位を決定すること
    を特徴とする請求項4に記載の電気鉄道用電力システム。
  9. コンピュータが、電気鉄道用電力系統の停電区間を判断することと、
    前記コンピュータが、判断した前記停電区間の駅間に在線する列車を検出することと
    前記コンピュータが、蓄電装置を搭載した蓄電装置搭載列車を検出することと
    前記コンピュータが、検出した前記蓄電装置搭載列車の前記蓄電装置を放電し、前記電気鉄道用電力系統の停電区間に電力を供給することと、
    前記コンピュータが、検出した前記停電区間の駅間に在線する前記列車に駅まで走行させる指示をすることと
    を含むことを特徴とする電気鉄道用電力システムの制御方法。
  10. コンピュータを、
    電気鉄道用電力系統の停電区間を判断する停電区間判断手段と、
    前記停電区間判断手段により判断された前記停電区間の駅間に在線する列車を検出する列車検出手段と、
    蓄電装置を搭載した蓄電装置搭載列車を検出する蓄電装置搭載列車検出手段と、
    前記蓄電装置搭載列車検出手段により検出された前記蓄電装置搭載列車の前記蓄電装置を放電し、前記停電区間判断手段により判断された前記電気鉄道用電力系統の停電区間に電力を供給する蓄電装置放電手段と、
    前記列車検出手段により検出された前記停電区間の駅間に在線する前記列車に駅まで走行させる指示をする列車走行指示手段
    として機能させるための電気鉄道用電力システムの制御プログラム。
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