JP2012038543A - 燃料電池用PtRu系合金触媒、その製造方法、燃料電池用膜電極接合体および燃料電池 - Google Patents

燃料電池用PtRu系合金触媒、その製造方法、燃料電池用膜電極接合体および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 燃料電池における長期的な負荷変動においても高い耐久性を示し、かつ高活性な燃料電池用PtRu系合金触媒、その製造方法、並びに、前記PtRu系合金触媒を用いた燃料電池用膜電極接合体および燃料電池を提供する。
【解決手段】 少なくともPt、RuおよびPを含有するPtRu系合金触媒粒子が担体に担持されてなる燃料電池用PtRu系合金触媒であって、前記PtRu系合金触媒粒子は、担体に担持された状態で、非酸化雰囲気下で熱処理されて得られたものであり、前記PtRu系合金触媒粒子の平均粒子径は、10nmより大きく、20nm未満であり、前記PtRu系合金触媒粒子の比表面積は、30〜100m/gであり、触媒全体におけるPtとRuとの比率が、原子比で、30:70〜70:30である燃料電池用PtRu系合金触媒と、前記熱処理工程を有する燃料電池用PtRu系合金触媒の製造方法により、前記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池における長期的な負荷変動においても高い耐久性を示し、かつ高活性な燃料電池用PtRu系合金触媒、その製造方法、並びに、前記PtRu系合金触媒を用いた燃料電池用膜電極接合体および燃料電池に関するものである。
昨今の原油高に加え、中国、インドなどの急速な経済発展により、化石燃料の枯渇と二酸化炭素の排出が世界的な問題となっている。このため、現在、脱石油化に向け、燃料電池を始め、リチウムイオン電池、バイオ燃料、太陽電池などの研究開発が活発に行われている。ナフィオン(登録商標)を代表とするプロトン導電膜を使用し、常温常圧の雰囲気で発電可能な燃料電池には、メタノールをアノード極燃料とする直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)と、水素ガスをアノード極燃料とする固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)とがある。
メタノールをアノード極燃料とするDMFCは、理論的体積エネルギー密度がリチウムイオン電池の約10倍と高く、発電システムも簡便で小型化が可能なことから、施設の非常用電源や、軍事、業務用の携帯機器の非常電源、ノートパソコンや携帯音楽プレーヤー、携帯電話などの充電器として期待が持たれている。
DMFCは、燃料にメタノールを使用し、アノード触媒層/プロトン導電膜/カソード触媒層から構成される膜電極接合体を導電性のガス拡散層で挟み、アノード極およびカソード極に設けた集電板により外部回路と繋いだ電池システムである。DMFCのアノード触媒層側に液体燃料であるメタノールを供給すると、下記式(1)に示す化学反応により、メタノールが酸化されて二酸化炭素(CO)に変化し、プロトン(H)と電子(e)とが発生する。
CHOH + HO = CO + 6H + 6e (1)
この反応によって発生したプロトンと電子とは、カソード触媒層に供給される酸素ガスと下記式(2)の反応により、水(HO)を生成する。
+ 4H + 4e = 2H (2)
従って、電池全体として下記式(3)の反応が進行し、この際に発生する電子を外部回路で取り出して、電気エネルギーを得ることができる。
CHOH + 3/2O = CO + 2HO (3)
初期のDMFCのアノード触媒にはPt(白金)が使用されていたが、Pt単体をアノード触媒に用いると、下記式(4)に示すように、メタノール酸化反応の中間物である一酸化炭素(CO)がPt触媒表面に化学吸着し、Pt触媒が被毒して失活する問題があった。
Pt + CHOH = Pt−CO + 4H + 4e (4)
この問題を解決するため、現在では、DMFCおよび微量のCOが含まれる改質水素ガスを使用するPEFCのアノード触媒には、PtRu(白金−ルテニウム)からなる触媒が一般的に使用されている(例えば、特許文献1)。Ru(ルテニウム)は親水性が高く、下記式(5)に示されるように水と反応して、Ru−OHを生成する。
Ru + HO = Ru−OH + H + e (5)
生成したRu−OHは下記式(6)に従い、Pt表面に吸着したCOを速やかにCOに酸化する。
Pt−CO + Ru−OH
= CO + H + e+ Pt + Ru (6)
しかしながら、PtRu合金触媒の反応機構については未だ不明な点が多く、このような合金系の触媒を大量に使用しても、メタノールの酸化反応は遅く、高い出力を得ることは困難である。DMFCの理論電圧は1.21Vであるが、前記のPtRu合金触媒を使用した場合でもメタノール酸化反応の活性化エネルギーは大きく、その酸化反応の過電圧が大きいために、実効電圧は理論電圧を大きく下回っている。
また、現在、実用触媒としてDMFCおよびPEFCに使用されているPtおよびPtRu系合金触媒はレアメタルであり、かつ非常に高価であることから、触媒使用量の削減が必須の課題となっている。
こうした問題を解決する手段として、例えば、触媒粒子の径を小さくし、触媒の比表面積を大きくすることで、触媒の単位質量あたりの活性(以下、「質量活性」という)を高め、これによって触媒使用量の削減を図る試みがなされている(特許文献2、3)。
特開2003−308849号公報 特開2006−277992号公報 特開2007−190454号公報
特許文献2や特許文献3に記載の技術によって、触媒粒子の質量活性向上には一定の効果が認められる一方で、触媒粒子の粒子径を小さくすると、その表面エネルギーが増大して触媒粒子同士の凝集および粗大化が生じやすくなり、また、触媒粒子が溶出しやすくなる。そのため、粒子径の小さな触媒粒子を有する触媒では、初期性能が高い一方で、使用時間の経過に伴って活性が低下しやすく、耐久性の面で未だ改善の余地がある。
こうしたことから、燃料電池用のPtRu系合金触媒においては、触媒粒子の使用量を削減し得るように活性を高めつつ、所望の電池性能を長期にわたって維持し得るように耐久性を高める技術の開発が求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料電池における長期的な負荷変動においても高い耐久性を示し、かつ高活性な燃料電池用PtRu系合金触媒、その製造方法、並びに、前記PtRu系合金触媒を用いた燃料電池用膜電極接合体および燃料電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の燃料電池用PtRu系合金触媒は、少なくともPt、RuおよびPを含有するPtRu系合金触媒粒子が担体に担持されてなるものであって、前記PtRu系合金触媒粒子は、担体に担持された状態で、非酸化雰囲気下で熱処理されて得られたものであり、前記PtRu系合金触媒粒子の平均粒子径は、10nmより大きく、20nm未満であり、前記PtRu系合金触媒粒子の比表面積は、30〜100m/gであり、触媒全体におけるPtとRuとの比率が、原子比で、30:70〜70:30であることを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池用PtRu系合金触媒の製造方法は、少なくともPt、RuおよびPを担体表面に還元析出させて、少なくともPt、RuおよびPを含有するPtRu系合金触媒粒子を担体に担持させる工程と、担体に担持されたPtRu系合金触媒粒子を、非酸化雰囲気下で熱処理する工程とを有することを特徴とする。
更に、本発明の燃料電池用膜電極接合体は、アノード触媒層、カソード触媒層、および前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に配されたプロトン導電膜を有する燃料電池用膜電極接合体であって、前記アノード触媒層用の触媒に、本発明の燃料電池用PtRu系合金触媒を用いたことを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池は、本発明の燃料電池用膜電極接合体を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、燃料電池における長期的な負荷変動においても高い耐久性を示し、かつ高活性な燃料電池用PtRu系合金触媒と、その製造方法とを提供することができる。また、本発明の燃料電池用膜電極接合体によれば、優れた電池特性を有し、その電池特性を長期にわたって維持し得る燃料電池を構成できる。更に、本発明の燃料電池は、優れた電池特性を有し、かつその電池特性を長期にわたって維持し得るものである。
実施例1、2および比較例1のPtRu系合金触媒の、耐久性試験におけるメタノール酸化活性の変化を表すグラフである。 実施例1、2および比較例1のPtRu系合金触媒に係るPtRu系合金触媒粒子の、耐久性試験前後での電気化学的表面積の変化を表すグラフである。 実施例1、2および比較例1のPtRu系合金触媒のメタノール酸化反応に対する質量活性を評価したグラフである。 実施例1、2および比較例1のPtRu系合金触媒に係るPtRu系合金触媒粒子の、担体表面での分散状態を観察した透過型電子顕微鏡写真である。
前記の通り、PtRu系合金触媒粒子を担体に担持させた構成のPtRu系合金触媒においては、触媒粒子の径を小さくすることで、触媒比表面積を向上させて触媒の質量活性および電池性能を向上させることができる。しかし、触媒粒子径を小さくすると、触媒粒子の表面エネルギーが増大して、凝集、粗大化しやすくなり、触媒活性が劣化しやすくなるというように、触媒の耐久性が低下する。一方、触媒の単位面積あたりの活性(以下、「面積活性」という)を向上させつつ触媒粒子を大きくすることができれば、実質的な触媒の質量活性を維持し、かつ触媒粒子の凝集および粗大化を抑制することが可能となり、触媒の耐久性を向上させることができる。
しかしながら、従来の触媒およびその製造方法では、触媒粒子の径を大きくしても触媒の面積活性を向上させることはできず、実効的な触媒の比表面積のみが減少し、結果的に触媒の質量活性の低下が生じていた。従って、所望の触媒活性を備え、良好な電池特性と耐久性とを有する燃料電池を構成可能にするPtRu系合金触媒を得ることは困難であった。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、少なくともPt、RuおよびPを含有する微細な形状のPtRu系合金触媒粒子を、担体に担持した状態で、非酸化雰囲気下で熱処理することで、触媒粒子の形態を、燃料電池の発電のための反応を継続しても凝集および粗大化を抑え得るような平均粒子径および比表面積に調整できるとともに、触媒の面積活性を高め得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の燃料電池用PtRu系合金触媒(以下、単に「触媒」という場合がある。)は、少なくともPt、RuおよびPを含有するPtRu系合金触媒粒子が担体に担持されて構成されている。本発明の触媒において、活性中心はPtであり、Ruは、前記のBi−faunctional mechanismによって触媒の耐CO被毒性を高める役割を担っている。また、Pは、PtRu系合金触媒を微粒子化する作用を有しており、担体表面に還元析出させた段階でのPtRu系合金触媒粒子が微細な形態となる(H.Daimon and Y.Kurobe、Catal.Today、2006年、第111巻、p.182)。本発明では、こうした微細な形態のPtRu系合金触媒粒子を非酸化雰囲気下で熱処理することで、PtRu系合金触媒粒子の形態の制御を可能としている。
本発明の触媒に係るPtRu系合金触媒粒子は、少なくともPt、RuおよびPを含有する合金により構成される粒子であり、Pt原子近傍にRu原子が配置しているため、RuによるPtのCO被毒を抑制する作用が効果的に機能することから、高い活性を有している。
本発明の触媒に係るPtRu系合金触媒粒子においては、反応による粒子の凝集および粗大化を抑制し、触媒の耐久性を高める観点から、その平均粒子径を10nmより大きくする。ただし、PtRu系合金触媒粒子の粒子径が大きすぎると、その反応表面積が減少し、触媒活性の低下を引き起こして所望の性能が得られない虞がある。よって、PtRu系合金触媒粒子の平均粒子径は、20nm未満であり、15nm以下であることが好ましい。
本明細書でいうPtRu系合金触媒粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて100万倍の倍率で観察できるPtRu系合金微粒子100個の粒子径の平均値である。
また、本発明の触媒に係るPtRu系合金触媒粒子は、触媒の質量活性を高める観点から、その比表面積が、30m/g以上である。ただし、PtRu系合金触媒粒子の比表面積が大きすぎると、通常、粒子径が小さくなって、触媒の面積活性向上効果が確保できず、また、触媒の耐久性も高めることができなくなる。よって、PtRu系合金触媒粒子の比表面積は、100m/g以下である。
本明細書でいうPtRu系合金触媒粒子の比表面積は、COパルス吸着法により測定した値である。
本発明の触媒に係るPtRu系合金触媒粒子では、前述のようにPt表面のCO被毒抑制の観点から、触媒全体におけるPtとRuとの比率が、原子比で、30:70〜70:30であり、40:60〜60:40であることが好ましい。
また、本発明の触媒に係るPtRu系合金触媒粒子におけるPの量は、Pによる触媒粒子の微粒子化効果をより良好に確保する観点から、1原子%以上であることが好ましい。ただし、前記PtRu系合金触媒粒子中のPの量が多すぎても効果が飽和してしまうため、前記PtRu系合金触媒粒子におけるPの量は20原子%以下であることが好ましい。
なお、本発明の触媒に係るPtRu系合金触媒粒子は、例えば、Pを除く残部がPtおよびRuであればよい(ただし、不可避不純物を含有していてもよい)。
本発明の触媒は、少なくともPt、RuおよびPを担体表面に還元析出させて、少なくともPt、RuおよびPを含有するPtRu系合金触媒粒子を担体に担持させる工程と、担体に担持されたPtRu系合金触媒粒子を、非酸化雰囲気下で熱処理する工程とを有する本発明法により製造することができる。
少なくともPt、RuおよびPを担体表面に還元析出させて、PtRu系合金触媒粒子を担体に担持させる工程は、例えば、次の(1)〜(3)のステップを有していることが好ましい。
(1)のステップでは、担体材料、Pt供給源、Ru供給源、錯化剤および次亜燐酸または次亜燐酸塩を水中に添加して溶液を調製する(なお、前記溶液において、一部の原材料は溶解せずに分散している)。
Pt供給源(以下、「Pt前駆体」という。)には、特に安価であることから、六塩化白金酸(HPtCl)が好ましく用いられる。また、六塩化白金酸カリウム(KPtCl)、四塩化白金酸(HPtCl)、四塩化白金酸カリウム(KPtCl)などもPt前駆体として用いることができる。これらのPt前駆体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Ru供給源(以下、「Ru前駆体」という。)には、特に安価であることから、塩化ルテニウム(RuCl)が好ましく用いられる。また、硝酸ルテニウム[Ru(NO]などもRu前駆体として用いることができる。これらのRu前駆体は、1種のみを用いてもよく、複数種を併用してもよい。
前記の通り、PtRu系合金触媒粒子では、Pt原子とRu原子とが十分に混合し、Pt原子とRu原子とが隣接した原子配列が望まれる。水系の化学還元合成法において、この原子混合の障害となるのが、PtイオンとRuイオンとの間に存在する還元電位差である。よって、(1)のステップで調製する溶液には錯化剤を添加して、前記の還元電位差を減少させることが好ましい。
なお、錯化剤としては、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、ニトリロ三酢酸、およびこれらの塩などが好ましい。錯化剤には、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶液に添加した錯化剤は、溶液中のPtイオンとRuイオンに塩素イオンなどが配位した錯体と配位子置換し、新たな錯体に変化する。なお、前記錯化剤は二個以上のカルボキシル基を含有する多座配位子であり、キレート錯体を形成する。このキレート錯体形成により、錯体の安定度が増加してPtイオンとRuイオンとの還元電位が低下する。このとき、Ruキレート錯体よりもPtキレート錯体の方が、安定化の度合い(還元電位の減少の絶対値)が大きい。その結果、両キレート錯体間の還元電位差が、元の塩素イオンなどが配位した錯体に比べて減少する。この還元電位差の減少により、Ptの優先的還元が抑制され、Pt原子とRu原子とが十分に混合近接した触媒構造を得ることができる。従って、Pt原子近傍にRu原子を配置させることが可能となって、RuによるPtのCO被毒を抑制する作用が効果的に機能し、高い活性を有するPtRu系合金触媒粒子を得ることができる。
溶液に添加する錯化剤の量は、より安定なPtキレート錯体およびRuキレート錯体を形成する観点から、溶液中の貴金属イオン(PtイオンおよびRuイオン)の合計モル数に対して、0.01倍以上とすることが好ましい。ただし、溶液に添加する錯化剤の量が多すぎると、キレート効果による錯体の安定度が高まりすぎて、PtイオンおよびRuイオンの還元効率が低下する虞がある。よって、溶液に添加する錯化剤の量は、溶液中の貴金属イオンの合計モル数に対して、4.0倍以下とすることが好ましい。
(1)のステップで使用する担体材料としては、例えば、比表面積が20〜1000m/g程度のカーボンが好ましく、具体的には、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブなどが好適である。また、担体の酸化を考慮して、非酸化雰囲気下で熱処理され、グラファイト成分が増加したカーボンも好ましく用いることができる。
なお、触媒の担持率(PtRu系合金触媒粒子と担体との合計100質量%中のPtRu系合金触媒粒子の量)は、50〜80質量%であることが好ましく、また、膜電極接合体に係る電極を薄膜化して反応物質の拡散を促進するためには、担持率がより高いと有利であることから、60〜80質量%であることがより好ましい。よって、前記の担体材料は、触媒が前記の担持率となる量で使用することが好ましい。
溶液に添加する次亜燐酸または次亜燐酸塩は、合金触媒粒子におけるPの供給源となるものであり、前記の通り、触媒粒子を微粒子化する作用を有している。よって、担体表面に析出するPtRu系合金触媒粒子が粒径の小さな微粒子になり、これを非酸化雰囲気下で熱処理することで、PtRu系合金触媒粒子の平均粒子径および比表面積を前記の値に調整できる。また、次亜燐酸または次亜燐酸塩は、後述する(2)のステップにおいて、少なくともPt、RuおよびPを含有するPtRu系合金触媒粒子を担体表面に還元析出させる際の還元析出反応における還元剤としても作用する。
なお、(1)のステップで調製する溶液には、次亜燐酸または次亜燐酸塩に加えて他の還元剤を添加してもよい。このような還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ホルマリン、ヒドラジンなどが挙げられる。
還元剤の使用量は、PtおよびRuを還元できる最小量論比を満たしていればよいが、多すぎると、溶液中で析出還元が起こり、浴が分解することで還元できなくなる虞があることから、PtとRuとの合計モル数に対して10倍以下とすることが好ましい。ただし、還元剤のうち、(1)のステップで調製する溶液における次亜燐酸または次亜燐酸塩の量は、製造される触媒において、PtRu系合金触媒粒子中のP量が前記の量となるように調整することがより好ましい。
なお、(1)のステップにおいては、Pt前駆体とRu前駆体とを含む溶液中に錯化剤を添加した後、一定時間以上経過させることが好ましい。Pt前駆体に例えば六塩化白金酸を使用する場合、このPt前駆体は塩素イオンが配位した錯体であるが、これを含有する溶液中に錯化剤を添加しても、塩素イオン配位子との配位子置換反応が遅いことが分かっている(T.Onodera、S.Suzuki、Y.Takamori and H.Daimon、Appl.Cata.A、gen、2010年、第379巻、p.69)。前記の通り、Pt原子とRu原子とが十分に混合した高活性のPtRu系合金触媒粒子を得るためには、前記錯化剤の添加によって安定なキレート錯体を形成させ、PtイオンとRuイオンとの間に存在する還元電位差を減少させる必要がある。よって、Pt前駆体が六塩化白金酸のような塩化物の場合、溶液中に錯化剤を添加した後、塩素イオンとこれら錯化剤とを十分に置換させるため、一定時間以上経過させることが推奨される。これにより、置換反応速度が遅い場合でも、配位子置換反応を十分に進行させて、安定な錯体を形成することができる。その結果、PtイオンとRuイオンとの間に存在する還元電位差を減少させ、Pt原子とRu原子とが十分に混合し隣接したPtRu系合金触媒粒子を合成することができる。
Pt前駆体とRu前駆体とを含む溶液中に錯化剤を添加した後に経過させる時間は、1時間以上が好ましく、12時間以上がより好ましく、24時間以上が更に好ましい。
(2)のステップでは、(1)のステップで調製した溶液を加熱して、Pt、RuおよびPを担体表面に還元析出させ、PtRu系合金触媒粒子を担体に担持させる。なお、前記溶液の加熱温度は、還元剤の能力を十分に発揮させるために、60℃以上とすることが好ましく、80℃以上とすることがより好ましく、また、90℃以下とすることが好ましい。
(2)のステップにおいて、前記溶液のpHは適当な値に調整される。Ru3+イオンと水酸化物イオンの溶解度積は1×10−38〔mol/l〕と極めて小さく、溶液のpHをアルカリ側に設定した場合、Ru(OH)の沈殿が生成する。しかし、前記溶液にキレートを形成する錯化剤を添加した場合には、錯体が安定化するため、前記溶液のpHがアルカリ側の領域であっても、水酸化物の生成を抑え、安定した合成系を構築できる。勿論、本発明法では、前記溶液のpHが、水酸化物の沈殿が生成しない酸性側の領域であっても、PtRu系合金触媒粒子の合成を行うことができる。
なお、(2)のステップで溶液を加熱する時間は、例えば、1時間以上とすることが好ましく、また、生産性向上の観点から10時間以下とすることが好ましい。
(3)のステップでは、(2)のステップで合成したPtRu系合金触媒を洗浄し、乾燥する。まず、(2)のステップを経て得られた溶液から、PtRu系合金触媒を濾過などによって取り出し、例えば、水(イオン交換水など)を用いて洗浄し、洗浄後のPtRu系合金触媒を乾燥する。乾燥は、例えば、オーブンなどを用いればよく、また、乾燥条件は、好ましくは100℃以下(より好ましくは70〜80℃程度)で、乾燥するまで(具体的は、12〜24時間程度)とすればよい。
続いて、(3)のステップを経て得られたPtRu系合金触媒、すなわち担体に担持された状態のPtRu系合金触媒粒子を、非酸化雰囲気下で熱処理する。この熱処理によって、PtRu系合金触媒粒子の平均粒子径および比表面積を前記の値に調整して、触媒の耐久性を高めると共に、触媒の面積活性も高めることができる。
非酸化雰囲気下での熱処理によって触媒の面積活性が向上する理由は、現在、以下のように考えられる。熱力学的なPtとRuとの混合熱(Pt原子とRu原子との混ざりやすさ)は、−1kJ/molである。ここでは、PtとPtとの混合熱およびRuとRuとの混合熱を0kJ/molと決めている。一方、PtとPとの混合熱は−26kJ/molであり、RuとPとの混合熱は−22kJ/molである。これらの混合熱の値は、Pが共存する本発明のPtRu系合金触媒では、Pt−Pt、Ru−RuおよびPt−Ruの金属結合間にPが介入できることを示している。このことから、触媒表面近傍では、Pの共存によってPt原子団(クラスター)とRu原子団との分離が促進されて、前記式(4)から式(6)に示したBi−faunctional mechanismが一層高効率に機能し得る状態となり、通常のPtRu系合金触媒に比べてメタノール酸化の面積活性が高まったと考えられる。
熱処理する系内を非酸化雰囲気とするための非酸化性ガスとしては、例えば、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。熱処理を行う系内は、これらの非酸化性ガスのうちの1種のみ(純水素ガス、純窒素ガス、純アルゴンガス)を含んでいてもよく、2種以上(水素を含有する窒素ガス、水素を含有するアルゴンガスなど)を含んでいてもよいが、純水素ガスを含む系内で熱処理することが特に好ましい。
熱処理温度は、触媒の面積活性を高め、かつPtRu系合金触媒粒子の形態を制御して良好な耐久性を確保する観点から、650℃以上とすることが好ましく、700℃以上とすることがより好ましい。すなわち、熱処理温度が低すぎると、例えばPtRu系合金触媒粒子の平均粒子径が前記の値より小さくなりやすく、良好な耐久性を確保し得ない虞がある。
ただし、熱処理温度が高すぎると、PtRu系合金触媒粒子が凝集、粗大化しやすく、実効的な触媒比表面積が減少して、所望の特性を得られない虞がある。よって、熱処理温度は1000℃以下であることが好ましく、950℃以下であることがより好ましい。
熱処理の時間は、例えば、10分〜1時間とすることが好ましい。
本発明法により製造されたPtRu系合金触媒(本発明の触媒)は、燃料電池(DMFCおよびPEFC)用膜電極接合体のアノード触媒層用の触媒として使用される。
すなわち、本発明の燃料電池用膜電極接合体は、アノード触媒層用の触媒に、本発明の燃料電池用PtRu系合金触媒を用いたものであり、その他の構成および構造については、特に制限はなく、従来から知られている燃料電池(DMFCおよびPEFC)の膜電極接合体に採用されている構成および構造を適用することができる。
また、本発明の燃料電池は、本発明の燃料電池用膜電極接合体を有していればよく、その他の構成および構造については、特に制限はなく、従来から知られている燃料電池(DMFCおよびPEFC)に採用されている構成および構造を適用することができる。
本発明の燃料電池用膜電極接合体は、従来の触媒よりも比表面積が小さく、比較的大きな粒子を有する触媒を使用しているにもかかわらず、高い質量活性と耐久性を有する本発明の触媒を用いていることから、高耐久性を有するアノード層の製造が可能となる。よって、このような膜電極接合体を有する本発明の燃料電池は、高い耐久性と良好な電池特性を有するものである。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
六塩化白金酸六水和物:1.69mmolと、塩化ルテニウム(III)水和物:1.69mmolとの混合水溶液に、錯化剤としてDL−酒石酸:0.1mmolを添加し、イオン交換水を加えて全体を300mlに調整して、水溶液を調製した。前記の水溶液を室温で30分攪拌した後、カーボンブラック担体であるケッチェンブラックEC粉末を0.5g加えて分散させた。その後、担体を分散させた前記の溶液に、還元剤でありかつP供給源である次亜燐酸を6.8mmol加え、全溶液量を1000mlにし、更に、2規定の水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを2に調整した後、浴温度90℃で溶液を攪拌し、PtRu系合金触媒粒子をカーボンブラック担体表面に還元析出させた。これにより得られたPtRu系合金触媒全体におけるPtとRuとの比率は、50:50(原子比)であった。
反応終了後の前記溶液からPtRu系合金触媒を濾過により取り出し、洗浄および乾燥した後、純水素中で、900℃で10分熱処理を行って、実施例1のPtRu系合金触媒を得た。
実施例2
純水素中での熱処理温度を700℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてPtRu系合金触媒を作製した。
比較例1
純水素中での熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてPtRu系合金触媒を作製した。
実施例1、2および比較例1のPtRu系合金触媒について、蛍光X線分析(XRF)による組成分析、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によるPtRu系合金触媒粒子の平均粒子径測定、およびCOパルス吸着測定によるPtRu系合金触媒粒子の比表面積測定を行った。これらの結果を表1に示す。
また、実施例1、2および比較例1のPtRu系合金触媒を用いて標準的な3電極セルを組み、それらの耐久性試験前後での触媒特性を評価した。これらの評価結果を図1および図2に示す。
まず、純水中に2mg/mlで分散させたPtRu系合金触媒をマイクロピペットで20μl取り、これをグラッシーカーボン電極上に塗布し、乾燥した後、この上にイオン伝導性ポリマー分散液[Aldrich社製「Nafion(登録商標)」]を5μl塗布し乾燥したものを作用極とした。また、対極にはPt線を、参照極にはAg/AgCl電極を用意した。そして、これらの作用極、対極および参照極を、0.5mol/l濃度の硫酸水溶液中に浸漬して3電極セルとし、5mVの電位走査速度で0.03Vから0.6Vの電位走査範囲でサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行い、耐久性試験前におけるPtRu系合金触媒の電気化学的表面積を評価した。
更に、CV測定後の3電極セルに20vol.%のメタノールを添加して、35℃、窒素雰囲気中、5mV/sの電位走査速度でLinear sweep voltammetry(LSV)測定を行って、耐久性試験前におけるPtRu系合金触媒のメタノール酸化活性を測定した。
次に、耐久性試験前におけるPtRu系合金触媒のメタノール酸化活性測定に用いた作用極、対極および参照極を、0.5mol/l濃度の硫酸水溶液中に浸漬して3電極セルとし、0.1Vから0.7Vの範囲で1000mV/sの速度で電圧を掃引する電位付加サイクルを1000サイクル行う耐久性試験を実施した。
そして、耐久性試験後の3電極セルについて、5mVの電位走査速度で0.03Vから0.6Vの電位走査範囲でCV測定を行い、耐久性試験後におけるPtRu系合金触媒の電気化学的表面積を評価した。
更に、CV測定後の3電極セルに20vol.%のメタノールを添加し、35℃、窒素雰囲気中、5mV/sの電位走査速度でLSV測定を行って、耐久性試験後におけるPtRu系合金触媒のメタノール酸化活性を測定した。
図1は、耐久性試験における各PtRu系合金触媒のメタノール酸化活性を表すグラフであり、横軸に電位付加サイクル数を、縦軸には、「メタノール酸化活性の変化」として、耐久性試験前のメタノール酸化活性を100%とした場合の相対値を示している。また、図2は、耐久性試験前後での各PtRu系合金触媒の電気化学的表面積を表すグラフであり、縦軸には、「表面積変化」として、CV測定により評価した耐久性試験前後での各触媒の電気化学的表面積を、耐久性試験前の値を100%とした場合の相対値で示している。
図1および表1に示すように、非酸化雰囲気下での熱処理を行っておらず、平均粒子径が小さく比表面積が大きなPtRu系合金触媒粒子を有する比較例1のPtRu系合金触媒は、耐久性試験前でのメタノール酸化活性を100とした場合、耐久性試験後(電位付加サイクル数1000回目)でのメタノール酸化活性が70であり、30%の低下が認められる。
これに対し、純水素ガス中で熱処理を行い、平均粒子径および比表面積が適正なPtRu系合金触媒粒子を有する実施例1、2のPtRu系合金触媒は、耐久性試験前でのメタノール酸化活性を100とした場合、耐久性試験後でのメタノール酸化活性が、それぞれ90、85であり、比較例1の触媒と比較して、高い耐久性を有していることが分かる。
また、図2に示すように、非酸化雰囲気下での熱処理を行っていない比較例1のPtRu系合金触媒は、耐久性試験前の電気化学的表面積100に対して、耐久性試験後の電気化学的表面積が50で、半分に減少している。
これに対し、純水素ガス中で熱処理を行った実施例1、2のPtRu系合金触媒は、耐久性試験前の電気化学的表面積100に対して、耐久性試験後の電気化学的表面積が、それぞれ95、90である。従って、前記の熱処理による触媒粒子の粒径増大効果によって、触媒粒子が安定化し、耐久性試験後においても触媒の電気化学的表面積が殆ど減少せず、反応表面積が維持されることが分かる。
また、図3には、実施例1および比較例1のPtRu系合金触媒について、前記の耐久性試験前におけるメタノール酸化活性の評価と同様にして評価したメタノール酸化反応に対する質量活性を表すグラフを示している。図3のグラフでは、横軸に電位を、縦軸にメタノール酸化反応による電流密度(PtRu系合金触媒粒子1mg当たりのメタノール酸化電流)を示しており、一定の電位で電流密度が大きいほど、その触媒のメタノール酸化活性が高いことを意味している。
純水素ガス中で900℃熱処理を行った実施例1の触媒では、0.5Vにおける質量活性は、電流密度(すなわち、質量活性)が50mA/mgである。実施例1の触媒は、熱処理によって触媒粒子径が増大し、比表面積が減少しているにも関わらず、非酸化雰囲気下で熱処理を行っておらず、比表面積が大きな触媒粒子を有する比較例1の触媒における電流密度48mA/mgと比べて、同等以上のメタノール酸化活性を有していることが分かる。
触媒に係るPtRu系合金触媒粒子の平均粒子径は、比較例1が2.5nmで、実施例1は14.9nmであり、触媒粒子の幾何学的比表面積が、実施例1の触媒では比較例1の触媒の約1/6に減少している。従って、実施例1の触媒と比較例1の触媒とが同等のメタノール酸化活性を示すということは、実施例1の触媒の面積活性が、比較例1の触媒の約6倍に高まっていることを表している。
また、図4には、実施例1、2および比較例1のPtRu系合金触媒の、担体表面でのPtRu系合金触媒粒子の分散状態をTEMにより観察した結果を示している。なお、図4における写真中のスケール(白線)は、10nmを表している。
純水素ガス中で熱処理を行った実施例1、2のPtRu系合金触媒では、比較例1の触媒に比べてPtRu系合金触媒粒子の粒径の増大が認められる一方で、これらの触媒粒子の分散状態は、比較例1の触媒と同等の状態に保たれていることが分かる。

Claims (8)

  1. 少なくともPt、RuおよびPを含有するPtRu系合金触媒粒子が担体に担持されてなる燃料電池用PtRu系合金触媒であって、
    前記PtRu系合金触媒粒子は、担体に担持された状態で、非酸化雰囲気下で熱処理されて得られたものであり、
    前記PtRu系合金触媒粒子の平均粒子径は、10nmより大きく、20nm未満であり、
    前記PtRu系合金触媒粒子の比表面積は、30〜100m/gであり、
    触媒全体におけるPtとRuとの比率が、原子比で、30:70〜70:30であることを特徴とする燃料電池用PtRu系合金触媒。
  2. 担体が、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブおよび非酸化雰囲気下で熱処理され、グラファイト成分が増加したカーボンよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の燃料電池用PtRu系合金触媒。
  3. PtRu系合金触媒粒子におけるPの量が、1〜20原子%である請求項1または2に記載の燃料電池用PtRu系合金触媒。
  4. 少なくともPt、RuおよびPを担体表面に還元析出させて、少なくともPt、RuおよびPを含有するPtRu系合金触媒粒子を担体に担持させる工程と、
    担体に担持されたPtRu系合金触媒粒子を、非酸化雰囲気下で熱処理する工程とを有することを特徴とする燃料電池用PtRu系合金触媒の製造方法。
  5. 非酸化雰囲気下での熱処理が、水素ガス、窒素ガス、水素を含有する窒素ガス、アルゴンガスまたは水素を含有するアルゴンガスを含む雰囲気下で行われる請求項4に記載の燃料電池用PtRu系合金触媒の製造方法。
  6. 非酸化雰囲気下での熱処理温度が650〜1000℃である請求項4または5に記載の燃料電池用PtRu系合金触媒の製造方法。
  7. アノード触媒層、カソード触媒層、および前記アノード触媒層と前記カソード触媒層との間に配されたプロトン導電膜を有する燃料電池用膜電極接合体であって、
    前記アノード触媒層用の触媒に、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用PtRu系合金触媒を用いたことを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の燃料電池用膜電極接合体を有することを特徴とする燃料電池。
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