JP2012037024A - 配管用モジュール向け仮設部材の施工方法及び配管モジュールの搬送方法 - Google Patents
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Abstract
輸送時の配管モジュールの配管が仮設部材に衝突した場合にも必要な接着性を確保し、さらに簡易な解体を実現する配管モジュール向け仮設部材の施工方法及びそれを用いた配管モジュールの搬送方法を提供する
【解決手段】
支持架に配置した配管モジュールが搬送時に大きく位置ずれするのを防止するために仮設部材を支持架に固定し、配管モジュールを搬送後に仮設部材を支持架から取り外す配管モジュール向け仮設部材の施工方法において、仮設部材を支持架に固定する工程において、配管モジュールを組み込んだ支持架に仮設部材を接着剤を用いて接着し、配管モジュールを搬送後に仮設部材を支持架から取り外す工程において、支持架に接着剤で接着された仮設部材を加熱した状態で支持架からはく離するようにした。
【選択図】図1
Description
本モジュール100を車両もしくは船舶で搬送する場合、配管1が大きくずれて仮設部材3に衝突することがある。その衝突は支持架2に接着固定された仮設部材3に対して主にせん断方向への負荷となるが、ずれのモード次第ではく離の負荷も加わることが懸念される。そのため、接着強度としては、配管1が仮設部材3に衝突する方向(図3AのY方向)に対して、せん断強度とはく離強度が高いことが必要となる。また、支持架2に接着固定された仮設部材3を支持架2から解体(はく離)するときには、可能な限り接着強度を小さくできる方法で接着部をはく離することが必要となる。
次に、接着長さa,bと引張りせん断強度の関係を図6、図7に示す。図6に示したグラフから、せん断強度はa,b何れの方向にも接着長さに比例することがわかる。また、その結果、図7のグラフから、接着面積が大きくなれば、せん断強度も比例して大きくなることがわる。即ち、せん断強度は負荷を与える方向には依存しないことがわかる。このように、せん断強度と接着面積の比例関係が成り立つのは弾性率が1.5GPa以下であり、凝集破壊を起こす接着剤の場合に起こることが実験的に確認された。特に、弾性率が大きく、界面破壊を起こす接着剤は、接着端への応力集中が起こり、接着面積には比例しないことが実験的に確認された。
次に、接着長さa,bとはく離強度の関係を図8、図9に示す。図8のグラフから、はく離強度は接着長さbが12.5mm以上では飽和しており、接着長さaに比例するが接着長さbには比例していない。すなわち、図6に示したせん断強度の傾向とは異なり、接着長さaに依存することがわかる。はく離強度の場合でも、凝集破壊をする接着剤(アクリルや一部のエポキシ)では、その他の接着剤5でもこの傾向になり、高温例えば100℃でも同じ傾向を示すことが実験的に確認された。
解体(はく離)のしやすさは、解体時に加熱する温度と接着剤5のガラス転移温度との差に依存するが、発電プラントを設置する現場で実際に接着部を数百℃にして解体することは困難である。そこで、輸送時に仮設部材が50℃程度まで上がることを考慮すると、接着剤5のとしてはガラス転移温度が60〜80℃程度の範囲であって、解体時にガラス転移温度に対して20℃高温とした100℃以上で解体できるような材料が望ましい。
以上より、仮設部材3に対して配管1が配置されている方向(図3AのY方向)の接着長さに比べて、配管1が配置されている方向の垂直方向(図3BのX方向)の長さを大きくし、解体には、接着部を高温にした上で、配管1が配置されている方向と垂直方向(図3BのX方向)からはく離応力を作用させることにより、必要な接着強度の確保と解体が可能となる。
接着剤としては、凝集破壊が起こるように、室温での弾性率が100MPa以上で1.5GPa以下、より好ましくは、400MPa以上で1.5GPa以下となるよう配合されていることが望ましい。
実際に、接着剤を塗る作業を鑑みると、接着面積を大きくすることは困難である場合があるため、例えば、仮設部材3を取り付けたときに配管1の断面の接線に平行な方向(図3AのX方向)の接着長さを100mmとし、配管1の断面の接線に対して垂直な方向(図3AのY方向)の長さを12.5mmとすると良い。このようにすることで、仮設部材3に対して配管1が配置されている方向(図3AのZ方向)の室温のせん断強度に対して、配管1が配置されている方向の垂直方向(図3AのX方向)からの100℃のはく離強度は1/400とすることができ、接着強度の確保と容易な解体を両立することが可能となる。
図12は、本発明の配管用モジュール向け仮設部材の施工方法における接着構造の変形例を示す図3Cに対応するA−A断面矢視図である。仮設部材312の接着面512の表面粗さを、支持架2の接着面の表面粗さより大きくすることで、選択的にはく離面を制御することが可能となる。その接着粗さの差は、Ra差 3μm以上とすることが望ましく、この場合、接着剤5は、比較的界面の影響を受けやすい室温の弾性率が1.5GPa以上5GPa以下のエポキシ系接着剤を用いると良い。
図13は、本発明の配管用モジュール向け仮設部材の施工方法における接着構造の更に別の変形例を示す正面図である。このように、作業性の観点を考慮して、仮設部材313の接着箇所513を2箇所に分けても良く、その場合についても配管1の断面の接線に平行な方向(図3AのX方向)の2箇所のトータルの接着長さが、配管1の断面の接線に垂直方向(図3AのY方向)の接着長さに比べ大きくすれば良い。
図14は、本発明の配管用モジュール向け仮設部材の施工方法における接着構造の更に別の変形例を示す側面図である。このように、仮設部材3と支持架2の間にフィレット5−2を形成することで接着強度が向上し、配管1の衝撃に対する安全性の向上に寄与できる。なお、解体時にはフィレット5−2面を削った後に高温にしてはく離応力を加えればよい。この時、解体の作業工数を考慮すると、フィレット5−2は配管1が配置される方向のみに形成した方が良いが、全周にフィレット5−2を形成しても良い。
図16は、本発明の配管用モジュール向け仮設部材の施工方法における接着構造の更に別の変形例を示す正面図である。このように仮設部材3と配管1が輸送時に接触する箇所に、ゴム系の材料(エラストマー)もしくは接着剤8を挟むことで、衝撃耐性を大きくすることが可能となる。ゴム系の材料もしくは接着剤8は、弾性率50MPa以下のものを用いることが望ましいが、接着剤8の場合は、仮設部材3と支持架2を接着している接着剤5を併用しても良い。また、ゴム系の材料8を用いる場合は、ゴム系の材料8と仮設部材3の接着性の良い接着剤を選ぶと良い。
31・・・段差部 5・・・接着剤 5−2・・・接着剤のフィレット 6・・・解体冶具 7・・・接着剤 8・・・ゴム系樹脂もしくは接着剤 9・・・試験片 100・・・原子力配管モジュール。
Claims (16)
- 支持架に配置した配管を含む配管モジュールが搬送時に大きく位置ずれするのを防止するために仮設部材を前記支持架に固定し、前記配管モジュールを搬送後に前記仮設部材を前記支持架から取り外す配管モジュール向け仮設部材の施工方法であって、
前記仮設部材を前記支持架に固定する工程において、配管モジュールを組み込んだ支持架に仮設部材を接着剤を用いて接着し、
前記配管モジュールを搬送後に前記仮設部材を前記支持架から取り外す工程において、 前記支持架に接着剤で接着された前記仮設部材を加熱した状態で該支持架からはく離する
ことを特徴とする配管モジュール向け仮設部材の施工方法。 - 前記接着剤は、前記仮設部材を過熱した状態で前記支持架からはく離するときに凝集破壊をおこす接着剤であることを特徴とする請求項1記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記接着剤は、ガラス転移温度が60℃〜80℃の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記接着剤は、弾性率が100MPaから1.5GPaの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記仮設部材を前記支持架からはく離するときに、前記仮設部材を前記接着剤のガラス転移温度よりも高い温度に加熱した状態で前記支持架からはく離することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記接着剤は、2液を混合して用いるタイプの接着剤であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 支持架に配置した配管モジュールが搬送時に大きく位置ずれするのを防止するために仮設部材を前記支持架に固定し、前記配管モジュールを搬送後に前記仮設部材を前記支持架から取り外す配管モジュール向け仮設部材の施工方法であって、
前記仮設部材を前記支持架に固定する工程において、前記配管モジュールを組み込んだ支持架に接着面の表面を荒らした仮設部材をエポキシ系の接着剤を用いて接着し、
前記配管モジュールを搬送後に前記仮設部材を前記支持架から取り外す工程において、前記支持架に接着剤で接着された前記仮設部材を加熱してはく離強度を室温の状態よりも低下させた状態で該支持架からはく離する
ことを特徴とする配管モジュール向け仮設部材の施工方法。 - 前記仮設部材を前記支持架からはく離するときに、前記仮設部材を前記エポキシ系の接着剤のガラス転移温度よりも高い温度に加熱した状態で前記支持架からはく離することを特徴とする請求項7記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記エポキシ系の接着剤は、ガラス転移温度が60℃〜80℃の範囲であることを特徴とする請求項7または8に記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記仮設部材を前記支持架からはく離するときに、前記仮設部材を前記エポキシ系の接着剤のガラス転移温度よりも高い温度に加熱した状態で前記支持架からはく離することを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記エポキシ系の接着剤は、弾性率が1.5GPaから5GPaの範囲であることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記仮設部材を100℃程度に加熱した状態で前記支持架からはく離することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記仮設部材は、前記配管の接線方向に対して直角な方向の接着長さを前記接線方向の接着長さに対して短く接着することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 前記仮設部材をはく離するときに、前記接線方向からはく離することを特徴とする請求項13記載の配管モジュール向け仮設部材の施工方法。
- 支持架に配置した配管モジュールの大きな位置ずれを該支持架に固定した仮設部材で防止しながら前記配管モジュールを設置場所へ搬送する配管モジュールの搬送方法であって、
配管モジュールを組み込んだ支持架に仮設部材を接着剤を用いて接着し、
該仮設部材を接着した支持架で支持された配管モジュールを該配管モジュールの設置場所へ搬送し、
該搬送した配管モジュールを前記設置場所で他の配管モジュールと接続し、
該他の配管モジュールと接続した配管モジュールを支持する前記支持架に接着剤で接着された前記仮設部材を加熱した状態で該支持架からはく離する
ことを特徴とする配管モジュールの搬送方法。 - 前記仮設部材を前記支持架からはく離するときに、前記仮設部材を前記接着剤のガラス転移温度よりも高い温度に加熱した状態で前記接着剤を凝集破壊させて前記支持架からはく離することを特徴とする請求項14記載の配管モジュールの搬送方法。
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