JP2012035220A - 廃棄物処理方法 - Google Patents

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龍江 菅原
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佳之 佐藤
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博之 齋藤
Yasuharu Namisaki
安治 浪崎
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Abstract

【課題】 酸やアルカリとして高純度の薬品を用いることなく、廃酸や廃アルカリを利用して処理できるようにし、処理コストの低減を図るとともに、廃棄物利用の汎用性の向上を図る。
【解決手段】 少なくともリンを含有するリン含有廃棄物Wに、酸として廃酸Aを加えて溶解若しくは部分溶解して一次溶解液L1を得、次に、一次溶解液L1に、一次溶解液L1中に含まれる1種以上の金属元素と反応して沈殿物を生成することのできるアルカリとして廃アルカリBを加え、その後、固液分離によってリンを含有した二次溶解液L2を得る。また、沈殿物を生成する金属元素は、単独であれば沈殿しにくい不要な他の元素が共沈できる担体元素であり、一次溶解液L中に、共沈剤として担体元素を含有した担体元素含有廃棄物Jを加える構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、下水汚泥,家畜ふん尿をはじめとする少なくともリンを含有するリン含有廃棄物を処理する廃棄物処理方法に係り、特に、リン含有廃棄物に対し酸及び/またはアルカリを用いて処理する廃棄物処理方法に関する。
従来から、下水汚泥の焼却灰や家畜ふん尿の焼却灰等のリン含有廃棄物からリン成分を溶出させて抽出する技術が開発されており、この種の廃棄物処理方法としては、例えば、特許文献1(特開2007−70217号公報)に記載されたものが知られている。
これは、家畜ふん尿の焼却灰からなるリン含有廃棄物の処理方法に係り、このリン含有廃棄物に塩酸等の鉱酸(無機酸)からなる酸を加えて溶解し、濾過あるいは上澄み液の傾斜法によって一次溶解液を得、次に、この一次溶解液にアルカリとして水酸化ナトリウムの水溶液を加え、この水酸化ナトリウムのpH調整により、一次溶解液中に含まれる金属元素である鉄イオンを水酸化鉄の沈殿物とし、その後、固液分離によってリンを含有した二次溶解液を得る。そして、この二次溶解液に、更に水酸化ナトリウムあるいは水酸化カルシウムを混合してリンをヒドロキシアパタイトあるいはリン酸水素カルシウムとして凝集・沈澱させ、分離・回収するようにしている。
特開2007−70217号公報
しかしながら、この従来の廃棄物処理方法においては、リン含有廃棄物を溶解する際に塩酸等の鉱酸(無機酸)からなる酸を用い、鉄イオンを除去する際に水酸化ナトリウム等のアルカリを用いているが、これらの酸やアルカリは何れも精製された高純度の薬品であり、それだけ、費用がかさみコスト高になるという問題がある。
一方、産業廃棄物の中には、化学工業,鉄鋼業,電気機械工業や電子工業系等から排出される廃酸及び廃アルカリがあり、これらの一部は廃棄物処理法により種々の産業廃棄物の中の1つとしても定められており、廃棄処理や再利用などが行われているが、さらなる処理方法が検討されているという実情がある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、酸やアルカリとして高純度の薬品を用いることなく、廃酸や廃アルカリを利用して処理できるようにし、しかも、廃酸や廃アルカリ自らの無害化処理も兼ねるようにし、処理コストの低減を図るとともに、廃棄物利用の汎用性の向上を図った廃棄物処理方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明の廃棄物処理方法は、少なくともリンを含有するリン含有廃棄物に対し、酸及び/またはアルカリを用いて、該リン含有廃棄物からリンを抽出する廃棄物処理方法において、上記酸として廃酸を用い、上記アルカリとして廃アルカリを用いる構成としている。
リン含有廃棄物としては、例えば、下水汚泥の焼却灰、家畜ふん尿の焼却灰、塗装スラッジ、リン酸廃液、ポリリン酸廃液、メッキ廃液、メッキスラッジ、家畜屍骸、電池、マッチ、花火、豆類食品、おから、麹、チーズ、ホエー、乳製品廃棄物、味噌粕、米ぬか、リン含有試薬廃棄物、分析廃液、鉱滓、肥料、飼料、金属表面処理剤、用水処理剤、窯業製品、燃焼防止剤、蛍光塗料、洗剤、インスタント食品、接着剤、ハミガキ基材、樹脂、農薬、潤滑剤、顔料、セラミック、白リン弾(手榴弾、砲弾、爆弾等)などの廃棄物等を挙げることができる。
廃酸とは、少なくとも1つ以上の処理に使用された1種若しくは複数種の酸、または、自然界に存在する酸を言う。廃酸としては、例えば、化学工業で反応に使用された廃酸、鉄鋼業から排出される例えば鋼板の酸洗いに使用された無機酸等の廃酸、電子工業系から排出される例えばプリント基盤や半導体のエッチングなどで銅板の酸洗いに使用された稀硫酸等の廃酸、その他の金属表面処理工業から排出される廃酸、発酵工業からの廃酸、ガラス窯業・タバコ製造・科学技術研究等から排出される廃酸、レントゲンおよび写真現像廃液等が挙げられる。自然界に存在する酸としては、例えば、自然環境負荷の低減のため化学処理を必要とするpHの低い河川水や鉱脈水を言う。
具体的には、無機廃酸(硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸、スルファミン酸、ホウ酸、リン酸等)、有機廃酸(ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸等)、アルコール発酵廃液、アミノ酸発酵廃液、エッチング廃液、染色廃液(漂白浸せき工程、染色工程)、クロメート廃液、写真漂白廃液、炭酸飲料水、ビール、メッキ廃酸等がある。
廃アルカリとは、少なくとも1つ以上の処理に使用された1種若しくは複数種のアルカリ、または、自然界に存在するアルカリを言う。廃アルカリとしては、例えば、化学工業で化学反応に使用されたアンモニアなどの廃アルカリ、電子産業でプリント基板洗浄などに使用された苛性ソーダなどの廃アルカリ、電気機器産業でアルミ製品のエッチングなどに使用された廃アルカリ、精練工程で排出される廃アルカリなどが挙げられる。自然界に存在するアルカリとしては、例えば、自然環境負荷の低減のため化学処理を必要とするpHの高い河川水や鉱脈水を言う。
具体的には、洗びん用廃アルカリ、石炭廃液、廃灰汁、アルカリ性めっき廃液、金属せっけん廃液、廃ソーダ液、ドロマイト廃液、アンモニア廃液、染色廃液(製錬工程、シルケット加工)、黒液(チップ蒸解廃液)、脱脂廃液(金属表面処理)、写真現像廃液、か性ソーダ廃液、硫化ソーダ廃液、けい酸ソーダ廃液、か性カリ廃液、セメント処理廃液、プリント基板洗浄廃液、電池電極処理廃液、ガラス腐食剤廃液等がある。
これにより、酸やアルカリとして高純度の薬品を用いることなく、廃酸や廃アルカリを利用して処理できるようになるので、処理コストの低減が図られるともに、廃棄物利用の汎用性の向上が図られる。また、廃酸や廃アルカリ自らの無害化処理も兼ねることができるようになり、この点でも、処理コストの低減が図られるともに、環境負荷の低減および廃棄物利用の汎用性の向上が図られる。
具体的には、少なくともリンを含有するリン含有廃棄物に酸を加えて溶解若しくは部分溶解して一次溶解液を得、次に、該一次溶解液に該一次溶解液中に含まれる1種以上の金属元素と反応して沈殿物を生成することのできるアルカリを加え、その後、固液分離によってリンを含有した二次溶解液を得る廃棄物処理方法において、上記酸として廃酸を用い、上記アルカリとして廃アルカリを用いる構成としている。
この場合、酸を加える際、あるいは、アルカリを加える際に、必要に応じ、加熱し、あるいは、冷却して反応を促進させることができる。
この場合、用いる廃酸は、リン含有廃棄物の成分や性状等に合わせて適宜選択する。廃酸のpHや量についても適宜調整する。また、用いる廃アルカリは、一次溶解液の成分や性状等に合わせて適宜選択する。廃アルカリのpHや量についても適宜調整する。例として、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属元素が廃棄物に含まれている場合、硫酸を主成分とする廃酸を用い、硫酸塩として沈殿分離することが可能である。廃アルカリは、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属元素を制御することで、二次溶解液中のリン(P)の濃度を調整することが可能である。また、廃酸および廃アルカリの中和の際、pHの違いにより発熱量を制御することが可能である。
これにより、リン含有廃棄物に廃酸を加えて溶解若しくは部分溶解すると、リン含有の一次溶解液が得られる。部分溶解の場合には固液分離を行う。そして、この一次溶解液に廃アルカリを加える。この場合、pH調整により、例えば、pHが7.0になるように中和し、例えば溶解元素として鉄イオンが含まれる場合に、水酸化鉄を生成して沈殿物を生成し、リンを含有した二次溶解液に沈殿していく。その後、固液分離によってリンを含有した二次溶解液を得る。
この場合、廃酸を構成する酸の種類として、塩酸を含む場合は銀イオン(Ag+)、鉛イオン(Pb2+)が沈殿し、硫酸を含む場合はアルカリ土類金属元素イオン(バリウムイオン(Ba2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)等)が沈殿し、残渣として分離回収することができる。そのため、硫酸を主成分とした廃酸の場合、第一溶解液に含まれるアルカリ土類金属元素イオン濃度が低減できる。
更に、アルカリ土類金属元素(マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba))の含有により、中和および共沈(後述)の過程において、ヒドロキシアパタイトやリン酸水素カルシウムが多量に析出しないよう、アルカリ金属元素イオン(リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs))濃度が高いアルカリ、もしくはアルカリ土類金属元素を含まない溶液に調整する。
このようにして得られた二次溶解液は、リンを含有しているので、例えばpH調整し濃縮することにより、液肥として用いることができる。
また、二次溶解液を得る際に生じる残渣は、セメント資源としての利用、コンクリート構成材料として利用することができる。
残渣をこれらに利用する場合は、リン含有廃棄物と溶解酸の調整によって、コンクリートの性質に影響を与える物質の含有量を制御することができる。コンクリートの性質に影響を与える物質としては、例えばセメントの凝結に影響を及ぼす物質(アルミニウム(Al)、リン(P)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)等)、鉄筋腐食の原因となる塩素(Cl)等が挙げられる。
これらの物質の含有量が制御された共沈残渣は、複数の共沈効果のある元素によって有害物質の不溶化が促進されている。この共沈残渣をコンクリート構成材料として用いることで、コンクリート硬化の際に生成するセメント水和物に共沈残渣が取り込まれ、有害物質の溶出が低減もしくは抑制されたコンクリート製品を得ることができる。
また、二次溶解液及びこれを精製処理した三次溶解液に、リン凝集剤を添加してリン化合物を沈殿物として回収し、例えば、肥料として用いることができる。
この場合、上記沈殿物を生成する金属元素は、単独であれば沈殿しにくい不要な他の元素が共沈できる担体元素であることが有効である。担体元素としては、例えば、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)等が挙げられる。
また、単独であれば沈殿しにくい不要な他の元素としては、例えば、ヒ素(As)、セレン(Se)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)他、濃度の低い例えばクロム(Cr)等の金属元素、酸およびアルカリに溶解性を示す両性元素(アルミニウム・亜鉛・スズ・鉛)が挙げられる。
これにより、例えば担体元素が鉄の場合には、廃アルカリとの反応により水酸化鉄を生成して沈殿物を生成し、この沈殿物が生成するときに、例えばヒ素イオンが共沈していく。この場合、廃酸および廃アルカリ中和による熱が発生し加熱状態となり、溶液中で発生した水酸化鉄化合物の対流が生じ、ヒ素イオンの共沈および吸着が促進される。また、必要に応じて、加熱および冷却することができる。
そのため、廃酸を廃アルカリで中和することで、廃酸および廃アルカリの中和処理が行われるとともに、廃酸、廃アルカリおよび希釈調整に用いる水中の不要なイオンを分離し、不要なイオンを含まない、もしくは不要なイオン濃度が低減された二次溶解液を得ることができる。
この共沈の工程においては、共沈される元素としてリン(P)も挙げられるが、一次溶解液中にリン以外の金属元素が存在する場合、リンで構成されたイオンに比べ、共沈元素と金属元素とのクーロン力が強いため、選択的にリン以外の金属元素が共沈する割合が高い。また、周期律表に掲げる窒素およびリンを除く5B族元素(ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi))において、5B族元素下部へ行くほど金属性が強まる傾向にあるため、リンに比べ、ヒ素、アンチモン、ビスマスなどの元素が選択的に共沈する割合が高くなると考えられることから、リンの共沈は抑制される。
そして、必要に応じ、上記一次溶解液中に、上記担体元素を含有した共沈剤を加える構成としている。リン含有廃棄物や廃酸中に含まれる担体元素が少なく、一次溶解液中に担体元素が不足する場合や、複合的な共沈効果を利用する場合等に有効になる。例えば、共沈剤として、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)等の単体もしくはこれらを含む材料を用いる。
共沈剤は、リン含有廃棄物に廃酸を加える際に投入し、及び/または、リン含有廃棄物に廃酸を加えて反応させた後に投入する。
この場合、上記共沈剤として上記担体元素を含有した担体元素含有廃棄物を用いることが有効である。これにより、担体元素含有廃棄物を利用することになるので、処理コストの低減が図られるともに、廃棄物利用の汎用性の向上が図られる。
担体元素含有廃棄物としては、夫々の担体元素に対応したものとして、下記の廃棄物が挙げられる。
・鉄(Fe):鉄くず、鉄鋼精錬に排出される鉄を含む廃酸、鉱脈水、鉱山廃水、釘、電池、金型加工切りくず、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰、河川水、鉱脈水、鉱山廃水、砲弾等
・マンガン(Mn):電池、鉄道線路、ステンレス廃材、過マンガン酸廃液、磁性材料、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰等
・ジルコニウム(Zr):耐火物、研磨材、研削材、電子材料、センサー、触媒、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰等
・イットリウム(Y):レーザー、テレビの蛍光体、光学材料、センサー、蛍光体、超伝導材料、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰等
・セリウム(Ce):ガラス研磨材、触媒、レンズスラッジ、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰等
・ランタン(La):レンズスラッジ、セラミックコンデンサー、水素吸蔵合金、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰等
・アルミニウム(Al):サッシ廃材、切子、アルミ缶、消火器薬剤、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰、河川水、鉱脈水、鉱山廃水等
・銅(Cu):食器廃材、切子、銅線、メッキ液、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰、砲弾等
・ニッケル(Ni):メッキ液、Ni合金廃材、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰等
・マグネシウム(Mg):軽量合金、下水道汚泥、下水道汚泥焼却灰等
が挙げられる。
そしてまた、必要に応じ、上記一次溶解液中に、上記担体元素のイオンの価数を制御する酸化剤若しくは還元剤を添加する構成としている。酸化剤若しくは還元剤は、リン含有廃棄物に廃酸を加える際に投入し、及び/または、リン含有廃棄物に廃酸を加えて反応させた後に投入する。
例えば、酸化剤若しくは還元剤の添加により、Fe2+をFe3+に制御する。これにより、担体元素のイオンの価数を共沈し易い価数に制御することができ、共沈を確実に行わせることができる。
この場合、上記酸化剤若しくは還元剤として、上記担体元素のイオンの価数を制御する機能を有した元素を含有する廃棄物を用いることが有効である。これにより、酸化剤若しくは還元剤として、廃棄物を利用することになるので、処理コストの低減が図られるともに、廃棄物利用の汎用性の向上が図られる。
酸化剤を構成する廃棄物としては、例えば、
・6価クロム、クロム酸類などを含む産業廃棄物
・過マンガン酸、マンガン酸塩類を含む産業廃棄物
・硝酸、硝酸化合物、塩素化合物を含む産業廃棄物
・過酸化物、過酸化水素水を含む廃液およびメッキ液
・酸素およびオゾンを含む産業廃棄物
・酸化マンガン、二酸化マンガン
・塩素、次亜塩素ソーダ、二酸化塩素を含む廃棄物
・ハロゲン化合物を含む廃棄物
・塩化鉄(III)を含む廃棄物
・硫酸銅(II)を含む廃棄物
・硫酸を含む廃棄物
・河川水、鉱脈水、鉱山廃水
・医療品廃棄物、食品保存料廃棄物、防腐剤廃棄物、殺虫剤廃棄物
・マッチ、花火の廃棄物
・分析、メッキ、媒染剤、写真現像液などの廃液
・うわぐすり
・電池正極材料
等が挙げられる。
また、酸化剤として自然界に存在する空気中の酸素(O2)を利用することができる。コストを低減できる。
還元剤を構成する廃棄物としては、例えば、
・鉄粉など金属粉(共沈効果も同時に果たす)
・レモンジュース、オレンジジュースなどアスコルビン酸(ビタミンC)などの還元効果物質を含む食品廃棄物
・果物などの搾りかすおよび搾り汁
・火山灰土壌など腐植酸(フミン酸)を含む物
・河川水、鉱脈水、鉱山廃水
・医薬品廃棄物、食品保存料廃棄物
等が挙げられる。
また、必要に応じ、上記廃酸及び廃アルカリに対し、有価金属若しくは高濃度金属イオンを回収および低減する前処理、不要な元素を除去若しくは低減する前処理、及び、脱油する前処理の少なくともいずれかの前処理を行う構成としている。
有価金属として、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)などが挙げられる。
不要な元素としては、例えば、水銀、カドミウム、鉛、ヒ素、クロム、セレン、アンチモン、テルル、タリウム、ビスマス、スズ、ベリリウム、ニッケル、インジウム、有害放射性物質(ポロニウム、ウラン、トリウムなど)の少なくともいずれか1つが挙げられる。これにより、廃酸及び廃アルカリから、例えばクロム等の重金属が除かれるので、有害性が低減される。また、油分の除去が行われ、ろ過および残渣分離プロセス、酸化剤の効力に与える悪影響が抑止される。
更に、必要に応じ、上記二次溶解液に、有害金属の有毒性を低減するための別の還元剤を添加する構成としている。別の還元剤としては、亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム)、フミン酸などがある。
これにより、6価クロムなどの高酸化状態による有毒性が低減される。例えば、6価クロムの場合、6価のクロムが3価に還元され、有毒性が低減される。
この場合、上記別の還元剤として、有害金属と反応する機能を有した元素を含有する廃棄物を用いることが有効である。この場合、有害金属を含まない廃棄物を用いる。これにより、別の還元剤として、廃棄物を利用することになるので、処理コストの低減が図られるともに、廃棄物利用の汎用性の向上が図られる。
また、必要に応じ、上記二次溶解液に対し、イオン交換樹脂による陽イオンを除去若しくは低減する処理を行う構成としている。有害金属(主に生態有害金属)としては、例えば、水銀、カドミウム、鉛、ヒ素、クロム、セレン、アンチモン、テルル、タリウム、ビスマス、スズ、ベリリウム、ニッケル、インジウム、有害放射性物質(ポロニウム、ウラン、トリウムなど)の少なくともいずれか1つが挙げられる。これによりリンを含む二次溶解液から、クロム等の重金属が除かれるので、有害性が低減され、肥料等の構成成分として安全性の向上が図られる。
本発明によれば、酸やアルカリとして高純度の薬品を用いることなく、廃酸や廃アルカリを利用して処理できるようになるので、処理コストの低減を図ることができるとともに、廃棄物利用の汎用性の向上を図ることができる。また、廃酸や廃アルカリ自らの無害化処理も兼ねることができるようになり、この点でも、処理コストの低減を図ることができるとともに、廃棄物利用の汎用性の向上および環境負荷低減を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る廃棄物処理方法を示す工程図である。 本発明の実施の形態に係る廃棄物処理方法を示し、二次溶解液の精製処理工程を示す工程図である。
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る廃棄物処理方法を説明する。
本発明の実施の形態に係る廃棄物処理方法は、図1に示すように、少なくともリンを含有するリン含有廃棄物Wに対し、酸及びアルカリを用いて、リン含有廃棄物Wからリンを抽出するものである。リン含有廃棄物Wとしては、例えば、下水汚泥の焼却灰,家畜ふん尿の焼却灰,塗装スラッジ等を処理する。そして、酸として廃酸Aを用い、アルカリとして廃アルカリBを用いる構成としている。
リン含有廃棄物Wにおいては、廃棄物そのものを用いることができるが、性状によっては、例えば脱脂や焼成等の前処理を行う(1−1)
廃酸Aとしては、例えば、無機廃酸(硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸、スルファミン酸、ホウ酸等)、有機廃酸(ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸等)、アルコール発酵廃液、アミノ酸発酵廃液、エッチング廃液、染色廃液(漂白浸せき工程、染色工程)、クロメート廃液、写真漂白廃液、炭酸飲料水、ビール、メッキ廃酸等があり、適宜選択される。
また、廃酸Aに対し、有価金属若しくは高濃度金属イオンを回収および低減する前処理、及び、脱油する前処理の少なくともいずれかの前処理を行う(1−2)。
有価金属若しくは高濃度金属イオンを回収および低減する前処理において、処理する有価金属として、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)などが挙げられる。この前処理は、廃酸Aの有価金属もしくは高濃度金属イオンを電解もしくはイオン交換法、キレート樹脂交換法などにより回収または低減させる。これにより、廃酸Aの金属含有率を制御し、共沈させるための溶解酸組成を制御する。
廃酸の主成分として塩酸、硫酸が含まれる場合、塩酸を含む場合は銀イオン(Ag+)、鉛イオン(Pb2+)が沈殿し、硫酸を含む場合はアルカリ土類金属元素イオン(バリウムイオン(Ba2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)等)、鉛イオン(Pb2+)が沈殿し、残渣として分離回収することができ、特に鉛が沈殿するため有害性が低減される。
脱脂は、加熱および焼成除去、二層分離法、油分固化剤による分離除去、吸着除去、フィルターろ過、酸化剤による分解等により除去を行う。酸化剤に油分および有機物が混入すると、酸化効力が低減するため、廃酸、リン含有廃棄物、共沈剤含有廃棄物中の油分および有機物を除去した後に酸化剤を添加する。
更に、前処理においては、ろ過やスクリーンにより、廃酸Aからゴミなどの狭雑物を除去する。
廃アルカリBとしては、例えば、洗びん用廃アルカリ、石炭廃液、廃灰汁、アルカリ性めっき廃液、金属せっけん廃液、廃ソーダ液、ドロマイト廃液、アンモニア廃液、染色廃液(製錬工程、シルケット加工)、黒液(チップ蒸解廃液)、脱脂廃液(金属表面処理)、写真現像廃液、か性ソーダ廃液、硫化ソーダ廃液、けい酸ソーダ廃液、か性カリ廃液、セメント処理廃液、プリント基板洗浄廃液、電池電極処理廃液、ガラス腐食剤廃液等があり、適宜選択される。
また、廃アルカリBに対し、不要な元素を除去若しくは低減する前処理、及び、脱油する前処理の少なくともいずれかの前処理を行う。不要な元素としては、例えば、水銀、カドミウム、鉛、ヒ素、クロム、セレン、アンチモン、テルル、タリウム、ビスマス、スズ、ベリリウム、ニッケル、インジウム、有害放射性物質(ポロニウム、ウラン、トリウムなど)の少なくともいずれか1つが挙げられる。前処理は、廃アルカリBの重金属を電解もしくはイオン交換法、キレート樹脂交換法などにより除去または低減させる。これにより、廃アルカリBから、クロム等の重金属が除かれあるいは低減されるので、有害性が低減される。更に、前処理においては、ろ過やスクリーンにより、廃酸Aからゴミなどの狭雑物を除去する。
詳しくは、実施の形態に係る廃棄物処理方法は、図1に示すように、リン含有廃棄物Wに廃酸Aを加え(1−3)、完全溶解(1−4)若しくは部分溶解(1−5)して一次溶解液L1を得る。部分溶解の場合は、濾過あるいは傾斜法によって固液分離した上澄液を一次溶解液L1とする(1−6)。残渣(1−7)は、洗浄液で洗浄し(1−8)、この洗浄後の洗浄液(1−9)は、その一部もしくは全部を酸溶解における希釈調整水として利用する(1−10)。洗浄後の残渣は廃棄物とする(1−11)。一次溶解液L1は、フィルターを通してゴミなどの狭雑物を除去して(1−14)、生成する(1−15)。残渣(1−16)は、上記と同様に処理される(1−8,1−9,1−10,1−11)。
次に、一次溶解液L1中に含まれる1種以上の金属元素と反応して沈殿物を生成することのできる廃アルカリBを加え(1−17)、その後、濾過あるいは傾斜法によって固液分離し(1−18)、リンを含有した二次溶解液L2を得る(1−19)。
この廃アルカリBを加える工程(1−17)においては、pH調整により、例えば、pHが7.0になるように中和する。
また、固液分離(1−18)により生じた残渣(1−20)は、洗浄液で洗浄し(1−21)、この洗浄後の洗浄液(1−22)は、その一部もしくは全部を酸溶解における希釈調整水として利用し(1−10)、あるいは、廃アルカリBを加える際(1−17)における希釈調整水として利用する(1−23)。洗浄後の残渣は廃棄物とする(1−24)。
リン含有廃棄物Wには各種の金属元素が含まれており、これらの金属元素は一次溶解液L1中に含有してくる。沈殿物を生成する金属元素は、単独であれば沈殿しにくい不要な他の元素が共沈できる担体元素であることが有効である。担体元素としては、例えば、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)等が挙げられる。
また、単独であれば沈殿しにくい不要な他の元素としては、例えば、ヒ素(As)、セレン(Se)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)他、濃度の低い例えばクロム(Cr)等の金属元素、酸およびアルカリに溶解性を示す両性元素(アルミニウム・亜鉛・スズ・鉛)が挙げられる。
これにより、例えば担体元素が鉄の場合には、廃アルカリとの反応により水酸化鉄を生成して沈殿物を生成し、この沈殿物が生成するときに、例えばヒ素イオンが共沈していく。この場合、廃酸および廃アルカリ中和による熱が発生し加熱状態となり、溶液中で発生した水酸化鉄化合物の対流が生じ、ヒ素イオンの共沈および吸着が促進される。また、必要に応じて加熱および冷却を行う。
そのため、廃酸を廃アルカリで中和することで、廃酸および廃アルカリの中和処理が行われるとともに、廃酸、廃アルカリおよび希釈調整に用いる水中の不要なイオンを分離し、不要なイオンを含まない、もしくは不要なイオン濃度が低減された二次溶解液を得ることができる。
ところで、リン含有廃棄物Wや廃酸A中に含まれる担体元素が少なく、一次溶解液L1中に担体元素が不足する場合や、複合的な共沈効果を利用する場合等において、必要に応じ、一次溶解液L1中に、担体元素を含有した共沈剤を加える。例えば、共沈剤として、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)等の単体もしくはこれらを含む材料を用いる。共沈剤として担体元素を含有した担体元素含有廃棄物Jを用いる。
共沈剤としての担体元素含有廃棄物Jは、リン含有廃棄物Wに廃酸Aを加える際に投入し(1−1,1−3)、及び/または、リン含有廃棄物Wに廃酸Aを加えて反応させた後に投入する(1−12)。担体元素含有廃棄物Jにおいては、廃棄物そのものを用いることができるが、性状によっては、例えば脱脂や焼成等の前処理を行う。また、必要に応じ、不要な元素を除去若しくは低減する前処理を行う。更に、前処理においては、ろ過やスクリーンにより、ゴミなどの狭雑物を除去する。
そしてまた、必要に応じ、一次溶解液L1中に、上記担体元素のイオンの価数を制御する酸化剤若しくは還元剤を添加する。酸化剤若しくは還元剤は、リン含有廃棄物に廃酸を加える際に投入し(1−1,1−3)、及び/または、リン含有廃棄物に廃酸を加えて反応させた後に投入する(1−13)。
この場合、酸化剤若しくは還元剤として、担体元素のイオンの価数を制御する機能を有した元素を含有する廃棄物を用いる。酸化剤を構成する廃棄物K1としては、例えば、6価クロム,過マンガン酸塩,硝酸化合物,塩素化合物等を単独もしくは複数を含む産業廃棄物が用いられる。還元剤を構成する廃棄物K2としては、例えば、鉄粉など金属粉(共沈効果も同時に果たす)が用いられる。尚、廃棄物K1,K2においても、廃棄物そのものを用いることができるが、性状によっては、例えば脱脂や焼成等の前処理を行う(1−1)。また、必要に応じ、不要な元素を除去若しくは低減する前処理を行う。更に、前処理においては、ろ過やスクリーンにより、ゴミなどの狭雑物を除去する。
これにより、例えば、酸化剤若しくは還元剤の添加により、Fe2+をFe3+に制御する。これにより、担体元素のイオンの価数を共沈し易い価数に制御することができ、共沈を確実に行わせることができる。
また、廃棄物中にマンガンが含まれ、溶解酸においてMn(VII)およびMn(II)の陽イオンとして存在する場合、酸化還元剤を添加調整することでMnO2が生成し、酸性溶液中であっても不要な元素を共沈することが出来る。不要な元素としては、例えば、水銀、カドミウム、鉛、ヒ素、クロム、セレン、アンチモン、テルル、タリウム、ビスマス、スズ、ベリリウム、ニッケル、インジウム、有害放射性物質(ポロニウム、ウラン、トリウムなど)の少なくともいずれか1つが挙げられる。このことにより、酸性溶液においても共沈を行うことができ、一次溶解液中の不要な元素を除去もしくは低減することができる。
更にまた、一次溶解液の共沈(1−17)が不十分な場合は、二次溶解液L2に廃酸Aを混ぜ(1−25)、酸溶液化を行った後、完全溶解(1−4)から(1−19)までの工程を繰り返し、上記の単独であれば沈殿しにくい不要な他の元素を除去もしくは低減することができる。
次に、得られた二次溶解液L2の後処理について説明する。二次溶解液L2は、そのまま、肥料などに用いても良いが、性状によっては後処理を行う。図2に示すように、後処理としては、例えば、上記と同様に、廃アルカリB等のアルカリを添加し(2−1)、その後、濾過あるいは傾斜法によって固液分離し(2−2)、リンを含有した三次溶解液L3Aを得ることができる(2−3)。固液分離により生じた残渣(2−4)は、洗浄液で洗浄し(2−5)、この洗浄後の洗浄液(2−6)は、その一部もしくは全部を上記と同様に希釈調整水として利用することができる。洗浄後の残渣は廃棄物とする(2−7)。
また、三次溶解液L3Aに対し、イオン交換樹脂による陽イオンを除去若しくは低減する処理を行い(2−8)、三次溶解液L3Bを得ることができる(2−9)。これにより、クロム等の重金属が確実に除かれるので、より一層有害性が低減され、肥料等の構成成分として安全性の向上が図られる。
更に、二次溶解液L2に、有害金属の有毒性を低減するための別の還元剤を添加し(2−10)、三次溶解液L3Cを得ることができる(2−11)。
高酸化状態において強い有害性を示す金属としてクロム酸(6価)、マンガン酸(6価)、過マンガン酸(7価)などが挙げられる。別の還元剤としては、亜硝酸カリウム、フミン酸などがある。
別の方法として、有害金属と反応して沈殿する機能を有した元素を含有する廃棄物Mを用いる。この場合、有害金属を含まない廃棄物Mを用いる。
尚、廃棄物Mに対し、不要な金属を除去若しくは低減する前処理、及び、脱油する前処理の少なくともいずれかの前処理を行う。更に、前処理においては、ろ過やスクリーンにより、ゴミなどの狭雑物を除去する。
これにより、6価クロムなどの高酸化状態による有毒性が低減される。例えば、6価クロムの場合、6価のクロムが3価に還元され、有毒性が低減される。
更にまた、別の還元効果のある材料を添加(2−10)後、イオン交換樹脂による陽イオンの除去若しくは低減する処理を行い(2−12)、三次溶解液L3Dを得ることができる(2−13)。これにより、クロム等の重金属が確実に除かれるので、より一層有害性が低減され、肥料等の構成成分として安全性の向上が図られる。
そしてまた、二次溶解液L2に対し、直接イオン交換樹脂による陽イオンの除去若しくは低減する処理を行い(2−14)、三次溶解液L3Eを得ることができる(2−15)。これによっても、リンを含む二次溶解液L2から、クロム等の重金属が確実に除かれるので、より一層有害性が低減され、肥料等の構成成分として安全性の向上が図られる。
このようにして得られた三次溶解液L3A,L3B,L3C,L3D,L3Eにおいては、リンを含有しているので、例えばpH調整し濃縮することにより、液肥として用いることができる。また、二次溶解液L2,三次溶解液L3A,L3B,L3C,L3D,L3Eに、リン凝集剤を添加してリン化合物を沈殿物として回収し、例えば、肥料として用いることができる。
また、二次溶解液L2や三次溶解液L3Aを抽出する際の残渣は、セメント資源としての利用、コンクリート構成材料としての利用をすることができる。この残渣を利用する場合は、コンクリート形成阻害物質(鉛(Pb)、バリウム(Ba)、塩素(Cl)など)を含有しない、または低濃度になるよう溶解酸を調整することができる。これにより、リン濃度の低い共沈残渣を、リンが凝結遅延を起こすコンクリートなどの建設用混合資材として利用することでコンクリート固化が促進され、かつ複数の共沈効果のある元素により有害物質の不溶化が促進される。
また、廃棄物中に多量の同じ種類の金属および有価金属が含まれている場合、残渣(1−7)、(1−16)、(1−20)、(2−4)および廃棄物(1−11)、(1−24)、(2−7)、さらにイオン交換(2−8)、(2−12)、(2−14)した際の吸着材から、金属および有価金属を回収できる。有価金属として、周期律表8族(ルテニウム(Rh)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt))、周期律表1B族(銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au))などが挙げられる。
W リン含有廃棄物
A 廃酸
B 廃アルカリ
L1 一次溶解液
L2 二次溶解液
L3A,L3B,L3C,L3D,L3E 三次溶解液
J 担体元素含有廃棄物
K1 酸化剤を構成する廃棄物
K2 還元剤を構成する廃棄物
M 有害金属と反応して沈殿する機能を有した元素を含有する廃棄物

Claims (11)

  1. 少なくともリンを含有するリン含有廃棄物に対し、酸及び/またはアルカリを用いて、該リン含有廃棄物からリンを抽出する廃棄物処理方法において、
    上記酸として廃酸を用い、上記アルカリとして廃アルカリを用いることを特徴とする廃棄物処理方法。
  2. 少なくともリンを含有するリン含有廃棄物に酸を加えて溶解若しくは部分溶解して一次溶解液を得、次に、該一次溶解液に該一次溶解液中に含まれる1種以上の金属元素と反応して沈殿物を生成することのできるアルカリを加え、その後、固液分離によってリンを含有した二次溶解液を得る廃棄物処理方法において、
    上記酸として廃酸を用い、上記アルカリとして廃アルカリを用いることを特徴とする廃棄物処理方法。
  3. 上記沈殿物を生成する金属元素は、単独であれば沈殿しにくい不要な他の元素が共沈できる担体元素であることを特徴とする請求項2記載の廃棄物処理方法。
  4. 上記一次溶解液中に、上記担体元素を含有した共沈剤を加えることを特徴とする請求項3記載の廃棄物処理方法。
  5. 上記共沈剤として上記担体元素を含有した担体元素含有廃棄物を用いることを特徴とする請求項4記載の廃棄物処理方法。
  6. 上記一次溶解液中に、上記担体元素のイオンの価数を制御する酸化剤若しくは還元剤を添加することを特徴とする請求項3乃至5何れかに記載の廃棄物処理方法。
  7. 上記酸化剤若しくは還元剤として、上記担体元素のイオンの価数を制御する機能を有した元素を含有する廃棄物を用いることを特徴とする請求項6記載の廃棄物処理方法。
  8. 上記廃酸及び廃アルカリに対し、有価金属若しくは高濃度金属イオンを回収および低減する前処理、不要な元素を除去若しくは低減する前処理、及び、脱油する前処理の少なくともいずれかの前処理を行うことを特徴とする請求項2乃至7何れかに記載の廃棄物処理方法。
  9. 上記二次溶解液に、有害金属の有毒性を低減するための別の還元剤を添加することを特徴とする請求項2乃至8何れかに記載の廃棄物処理方法。
  10. 上記別の還元剤として、有害金属と反応する機能を有した元素を含有する廃棄物を用いることを特徴とする請求項9記載の廃棄物処理方法。
  11. 上記二次溶解液に対し、イオン交換樹脂による陽イオンを除去若しくは低減する処理を行うことを特徴とする請求項2乃至10何れかに記載の廃棄物処理方法。
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