JP2012034332A - マッシュルーム構造を有する装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数個のマッシュルーム構造を有する装置が使用される。複数個のマッシュルーム構造の各々は、接地プレートと、接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられたパッチとを有し、あるマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離は、別のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離と異なる。
【選択図】図28
Description
複数個のマッシュルーム構造を有する装置であって、前記複数個のマッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられたパッチと
を有し、あるマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離は、別のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離と異なる、装置である。
2.第1構造
2.1 マッシュルーム構造
2.2 リフレクトアレイ
2.2.1 反射角45度のリフレクトアレイ
2.2.2 反射角70度のリフレクトアレイ
2.3 第1パッチ及び第2パッチの相互関係
2.4 より一般的な多層マッシュルーム構造
3.第2構造
4.第3構造
5.変形例
5.1 パッチ配列
5.2 垂直制御
5.3 第1構造を利用した場合(反射角45度)
5.4 第1構造を利用した場合(反射角70度)
5.5 第2構造を利用した場合(反射角45度)
5.6 改良された第2構造による垂直制御
5.7 ビアなし構造
6.製造方法
7.組み合わせ構造
7.1 組み合わせ方
7.2 第2構造と第3構造の組み合わせ
7.3 水平制御45度(その1)
7.4 水平制御45度(その2)
7.5 垂直制御45度
7.6 改良された第2構造と第3構造の組み合わせ
リフレクトアレイの反射位相は、共振周波数において0になり、共振周波数は等価回路におけるインダクタンスL及びキャパシタンスCにより調整できる。したがって、所与の周波数における反射位相は、インダクタンスL及び/又はキャパシタンスCを調整することで制御できる。後述の実施例による第1構造は、キャパシタンスに着目している。
<<2.1 マッシュルーム構造>>
図2Aは、本実施例において使用可能なマッシュルーム構造を示す。図2Aには2つのマッシュルーム構造が示されている。このようなマッシュルーム構造の素子を多数並べることで、リフレクトアレイを形成することができる。ただし、本発明はリフレクトアレイに限定されず、アンテナやフィルタ等のような他の用途にも使用可能である。
α=sin-1[(λΔφ)/(2πΔx)]
ただし、kは波数であり、2π/λに等しい。λは電波の波長である。波長に比べて十分大きなリフレクトアレイを構成するには、N個のマッシュルーム構造M1〜MNの全体による反射位相差N・Δφが、360度(2πラジアン)になるように、隣接する素子同士の位相差Δφを設定したものを繰り返し並べるとよい。例えば、N=20 の場合、Δφ=360/20=18度 である。したがって、隣接する素子との反射位相差が18度であるように素子を設計し、それらを20個並べたものを繰り返し並べることにより、角度αの方向に電波を反射するリフレクトアレイを実現することができる。
図5を参照しながら説明したように、隣接する素子との反射位相差が所定値であるように素子を設計し、それらを並べることで、角度αの方向に電波を反射するリフレクトアレイを実現することができる。例えば、18度ずつ反射位相差が異なる20個の素子を並べることで、リフレクトアレイが形成されてもよい。このようなリフレクトアレイを形成する場合、図7や図8のようなパッチサイズと反射位相差の相互関係に基づいて、素子のサイズが決定される。
図9は、第1構造を利用したリフレクトアレイの部分断面図を示す。リフレクトアレイは、L1層、L2層及びL3層の3つの導電層と、各導電層間の誘電体層とを有する。一例として、導電層は例えば銅を含む材料で構成されている。また、誘電体層は、比誘電率が4.4であり、tanδが0.018である材料で構成されている。L1層及びL2層間には0.8mmの厚さの誘電体層が介在している。L2層及びL3層間には1.6mmの厚さの誘電体層が介在している。L1層は図2Aにおける第2パッチ24に対応する。L2層は図2Aにおける第1パッチ23に対応する。L3層は接地プレート21に対応する。したがって、L2層及びL3層間の貫通孔はビアホール22に対応する。
α=arcsin[(λΔφ)/(2πΔx)]
=arcsin(λ8.8GHz・18度/(2π・2.4mm))
≒45.21度
となる。このため、グラフAもBも−45度において大きなピークを示している。−45度以外の方向に反射する電波は、不要反射波である。グラフAにより示されているように、従来構造の場合、−45度だけでなく、0度、+45度、60度等の方向にも大きな反射が生じている。さらに、+70度ないし+150度にかけて比較的高いレベルの反射も観測されている。これに対して、グラフBに示されるように、本実施例の第1構造の場合、0度、+45度、+60度、+70度ないし+150度等における不要反射波は、かなり抑制されていることが分かる。
図10〜図16(図13を除く)に示した数値例は、入射方向に対して水平45度の方向に反射させる観点から選ばれていた。本実施例は、45度に限定されず、任意の方向に電波を反射するリフレクトアレイを形成できる。
ところで、図2Aでは説明の簡明化のために第1パッチ23と、無給電素子の第2パッチ24のx方向及びy方向の寸法は同じであることを前提とした。しかしながら、このことは本実施例に必須ではなく、第1パッチ23の寸法と、無給電素子の第2パッチ24の寸法は異なってもよい。
図2Aでは第1パッチ23よりも第2パッチ24の方が、接地プレート21から遠く隔たっていたが、このことも本実施例に必須ではない。第1パッチ23よりも第2パッチ24の方が接地プレート21に近くてもよい。
図2A等に示されているマッシュルーム構造のパッチは、第1及び第2の2つしか備えていないが、上述したように、このことは本発明に必須ではない。接地プレート上に3つ以上のパッチが多層化されていてもよい。
図中、「2−Layer」は、接地プレート上に2層のパッチが存在する図2Aの構造に対するシミュレーション結果を示す。上述したように、この場合、表面インピーダンスZsは、(jωL)/(1−2ω2LC)として、近似的に取り扱うことができる。この表面インピーダンスZsに基づいて、反射位相を計算した場合のグラフが、図中、実線で表現されている。これに対して、そのような数式によらず、接地プレート上に2層のパッチが存在する構造を、有限要素法でシミュレーションした場合の結果が、四角印でプロットされている。
上記の第1構造は、無給電素子のパッチを付加してパッチを多層化することで、キャパシタンスCを増やしていた。本実施例の第2構造は、キャパシタンスCではなくインダクタンスLに着目する。
α=arcsin[(λΔφ)/(2πΔx)]
ただし、kは波数であり、2π/λに等しい。λは電波の波長である。N個のマッシュルーム構造M1〜MNの全体による反射位相差N・Δφが、360度(2πラジアン)になるように、隣接する素子同士の位相差Δφが設定される。例えば、N=20 の場合、Δφ=360/20=18度 である。したがって、隣接する素子との反射位相差が18度であるように素子を設計し、それらを20個並べることで、角度αの方向に電波を反射するリフレクトアレイを実現することができる。
上記の第1構造は、無給電パッチを付加して複数のパッチを互いに並列的に多層化することで、キャパシタンスCを増やしていた。本実施例の第3構造は、ギャップを規定するパッチ同士の位置関係を工夫することで、キャパシタンスCを増やす。第3構造においても図24に示されるようなマッシュルーム構造が使用されてよい。すなわち、接地プレート121に対して、距離tを隔ててパッチ123が設けられ、パッチ123はビアホール122を介して接地プレート121に短絡されている。隣接するマッシュルーム構造におけるビアホール間のx軸方向の間隔及びy軸方向の間隔は、それぞれΔx及びΔyである。パッチ123は、x軸方向にWxの長さを有し、y軸方向にWyの長さを有する。あるいは、第3構造において、図2Aや図2Bに示すようなマッシュルーム構造が使用されてもよい。その場合、パッチ123に加えて、第2パッチ24が設けられる。説明の簡明化のため、第3構造は、図24に示されるようなマッシュルーム構造を使用するものとする。
<<5.1 パッチ配列>>
第1ないし第3構造における上記のパッチは、ビアが並んでいる線(図4のp、q、図33の列)に対して対称的に形成されていた。そして、y軸方向のパッチサイズWyをその線に沿って徐々に変えることで、広狭様々なギャップが形成されていた。しかしながら、このようなパッチの並べ方は本発明に必須ではなく、様々なパッチ配列が考えられる。
ここで、kは波数を表す(k=2π/λ)。
図3、図4、図11、図18及び図33の構造では、電界がy軸方向を向いてZ軸方向から入射する波は、電界の方向に対して横方向、すなわちx軸方向に反射する(水平制御)。これに対して、図34A、B及び図35の構造においては、電界がy軸方向を向いてZ軸方向から入射する波は、電界と同じ方向すなわちy軸方向に反射する(垂直制御)。言い換えれば、電波を反射させたい方向に沿って、素子同士の間の位相差を変化させることで(例えば、キャパシタンスC及び/又はインダクタンスLを変化させることで)、入射する電波を所望の方向に反射させることができる。説明の便宜上、z軸から入射した電波を、x軸方向に反射させる場合が水平制御と言及され、y軸方向に反射させる場合が垂直制御と言及されているが、水平及び垂直は便宜的な相対的な概念である。
図36は、電波を反射するリフレクトアレイを形成する際、第1構造が使用されている様子を示す部分断面図を示す。図示の層構造は、図9において説明したものと同じである。ただし、図34A、B及び図35に示されるようなパッチ及びギャップの形成法が使用されている点が異なる。リフレクトアレイは、L1層、L2層及びL3層の3つの導電層と、各導電層間の誘電体層とを有する。一例として、導電層は例えば銅を含む材料で構成されている。また、誘電体層は、比誘電率が4.4であり、tanδが0.018である材料で構成されている。L1層及びL2層間には0.8mmの厚さの誘電体層が介在している。L2層及びL3層間には1.6mmの厚さの誘電体層が介在している。L1層は図2Aにおける第2パッチ24に対応する。L2層は図2Aにおける第1パッチ23に対応する。L3層は接地プレート21に対応する。したがって、L2層及びL3層間の貫通孔はビアホール22に対応する。
図37〜図39に示した数値例は、電波を入射方向に対して45度の方向に反射させる観点から決定されていた。本実施例は、45度に限定されず、任意の方向に電波を反射するリフレクトアレイを形成できる。
図36ないし図42に示した数値例は、電波を反射するリフレクトアレイが第1構造を用いて形成された場合の例である。以下、第2構造を用いて、電波を反射するリフレクトアレイを形成する例を説明する。
第2構造の等価回路を示す図26を参照しながら説明したように、隣接するマッシュルーム構造同士の間には、近似的にL=μtの大きさのインダクタンスが発生する。Lはインダクタンスを示し、μは材料の透磁率を示し、tはビアの高さを示す。この場合、隣接するマッシュルーム構造のビアの高さはともに等しい。図28にはビアの高さが異なるマッシュルーム構造が並べられている。実線の左回りの矢印で示されているインダクタンスL1、L3、L5については、それぞれμ×t1、μ×t2、μ×t3の大きさの値になることが予想される。しかしながら、破線の左回りの矢印で示されているインダクタンスL2、L4の場合、接地プレートに段差があり、隣接するビアの高さが相違している。このため、この付近で発生するインダクタンスを、透磁率μとビアの高さtの積により近似することは適切でなくなってしまう。同様なことは、図29及び図30におけるL2、L4についても当てはまる。インダクタンスを透磁率とビアの高さの積で近似できないことは、マッシュルーム構造を多数並べてリフレクタ等を作成する際に、設計を困難にしてしまう。ビアの高さが複数種類存在する第2構造により、垂直制御(図34A−D)を行う場合、この不都合は特に顕著になる。
図45Bは、上記の問題に対処するように改良された第2構造を用いて垂直制御を行う場合の平面図及び断面図を示す。図34Aに示されるようなパッチ配列が使用されているが、他の配列法が使用されてもよい。1層目ないし5層目に示されている太い線分は、その部分が導電性の材料であることを示す。1層目における導電性の材料は、パッチを構成する。2層目ないし5層目は接地プレートを構成する。各層を横切るように、5つのビアがパッチ各々に対して存在している。ビアと接地プレートが交わっている部分は、電気的に接続されている。図中、C1、C2、C3、C4はパッチ同士の間に発生するキャパシタンスを示す。図28においては「EX」で示されているように、接地プレートの端(又は縁)は、ビアを超えて延在し、隣接する素子同士の中間に位置している。これに対して、図45Bに示す例の場合、接地プレートの端は、ビアを超えて延在しておらず、ビアの位置において終端されている。これにより、L1、L2、L3、L4のどのインダクタンスについても、隣接するビアの高さは等しく、発生するインダクタンスは、透磁率とビアの高さの積により適切に近似できる。なお、接地プレートの端はビアの位置において実質的に終端されていればよく、製造工程等の都合により接地プレートの端がビアを僅かに超えていてもよい。
<5.6 ビアなし構造>
上記の様々なマッシュルーム構造やパッチ配列において、1つ以上のパッチの内の1つと、接地プレートは、ビアホールを介して電気的に接続又は短絡されていた。しかしながら、このことは、リフレクトアレイを実現する場合には必須ではない。マッシュルーム構造がリフレクタアレイとして使用され、入射波を所望の方向に反射させる際、ビアホールは、直接的には作用していないからである。ただし、ビアホールの高さ(パッチ高さ)tは、インダクタンスL(=μt)に関連し、インダクタンスLはマッシュルーム構造の共振周波数ωに影響するので、ビアホールの有無は、パッチの寸法やギャップ等を設計する際には必ず考慮しなければならない。逆に、ビアホールを設けないこととし、接地プレート及び1つ以上のパッチ同士の容量等に基づいて、パッチ及びリフレクタアレイを設計することも可能である。
ここで、kは波数を表し(k=2π/λ)、Δyiは、場所によって異なるパッチの中心間距離を表す(i=1,2,...)。
ここで、kは波数を表す(k=2π/λ)。
第1ないし第3構造及び変形例の構造は、当該技術分野で既知の適切な如何なる方法で製造されてもよい。何れの構造を製造する場合にも、金属層と誘電体層とが積層された構造が基礎になる。例えば、表裏に銅の導電層が形成されているプリント基板(例えば、誘電率が4.4であるガラスエポキシ基板(FR4))を2枚重ねてプレスすることで、金属層が3層存在する構造が得られる。この場合において、プリプレグのような樹脂基板を複数枚重ねることで、所望の厚みの誘電体層を形成することができる。
<<7.1 組み合わせ方>>
上記の第1ないし第3構造及び変形例の構造は、単独で使用されてもよいし、組み合わせて使用されてもよい。第1構造、第2構造、第3構造及び変形例等の項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。概して、第1構造は、無給電素子を付加して複数のパッチを並列的に多層化することでキャパシタンスを増やしている。第2構造はパッチ高さを複数種類用意することでインダクタンスを調整している。第3構造は隣接するパッチが重なることを許容することでキャパシタンスを増やしている。したがって、第1構造、第2構造及び第3構造のうち2つ以上を組み合わせることで、キャパシタンス及び/又はインダクタンスをさらに変化させ、反射位相のレンジをさらに拡大できるようになる。
第2構造と第3構造の組み合わせについて、説明する。
(B)基板の厚みtが0.2mmのマッシュルーム構造、
(C)基板の厚みtが1.6mmのマッシュルーム構造、
(D)基板の厚みtが2.4mmのマッシュルーム構造、
(E)基板の厚みtが2.3mm及び2.4mmで重なりを許容したマッシュルーム構造及び
(F)基板の厚みtが2.2mm及び2.4mmで重なりを許容したマッシュルーム構造。
図58は、第2構造及び第3構造の組み合わせによるリフレクトアレイの平面図を示す。このリフレクトアレイは、図56に示されるようなパッチサイズWy、反射位相及び基板厚みtの相互関係にしたがって、作成されたものである。構造の詳細については、後述する。概して、x軸方向に沿って左から7つのマッシュルーム構造により第3構造が形成されている。第3構造は、パッチ高さが2.4mmのマッシュルーム構造と、パッチ高さが2.3mmのマッシュルーム構造との重なりを許容することで形成されている。パッチ高さが2.4mmの8つのマッシュルーム構造と、パッチ高さが1.6mmの3つのマッシュルーム構造と、パッチ高さが0.8mmのマッシュルーム構造とで第2構造が形成されている。そして、図中右端の位置に2.4mm幅の金属板が設けられている。この金属板とパッチの隙間は0.05mmである。金属板は、0.1mmの厚みのマッシュルーム構造の代わりに使用されている。図51に示されるように、基板の厚みが0.1mmのマッシュルーム構造は、パッチサイズWyによらず、ほぼ180度の反射位相をもたらすので、金属板で代用できる。また、パッチ間のx方向における隙間は0.1mmである。
図74も、図58と同様に、第2構造及び第3構造の組み合わせを含むリフレクトアレイの構成例を示す。ただし、図中左側の第3構造におけるビアの高さが2.4mmと2.2mmの組み合わせである点、及び右側の第2構造において、金属板ではなく厚みが0.2mmの基板を使用している点が主に異なる。これに応じて、各素子の寸法は、図75に示されるように、図59におけるものと若干異なる。
図58ないし図87では、電界に対して水平方向に反射させる観点から、リフレクトアレイの構造及びシミュレーション例が説明されてきた。しかしながら、第2構造及び第3構造を組み合わせたリフレクトアレイは、電界に対して垂直方向に反射させるように設計することもできる。
<<7.6 改良された第2構造と第3構造の組み合わせ>>
「5.6 改良された第2構造による垂直制御」のセクションにおいて説明したように、第2構造において発生するインダクタンスを正確に規定する観点からは、接地プレートがビアの位置において実質的に終端していることが好ましい。以下の説明において、具体的な寸法の詳細は本発明に本質的ではないので伏せている。
図93は、改良された第2構造の領域と第3構造の領域とを含むリフレクトアレイの層構造を示す。図示されているように、1層目ないし5層目の5つの層が、少なくとも一部に導電層を含む層として使用され、それらの間には誘電体層が介在している。一例として、誘電体層は、比誘電率が4.4であり、tanδが0.018であるFR4基板である。図示の層構造は、概して、図79、図89等の構造と同様であるが、3層目及び4層目において「EX'」として示されているように、接地プレートがビアの位置で実質的に終端している点が大きく異なる。図79、図89等の構造の場合、接地プレートの端がビアの位置で実質的に終端しておらず、隣接する素子同士の間に接地プレートの端が存在し、接地プレートの段差が形成されている。なお、製造工程上の理由により、「EX'」で示されている部分において、接地プレートの端がビアを少しだけ超えて延在しているが、これは、素子同士の間で発生するインダクタンスに実質的な影響を及ぼすものではない。
図94Aは、図93に示すL1層の平面図を示す。図示の構造の場合、図93に示す20個の素子が並んでいる構造(約48mm)が、y軸方向に2回反復され、x軸方向に40回反復されているが、素子(ビア)の数、y軸方向の反復数及びx軸方向の反復数は単なる一例に過ぎず、適切な如何なる数値が使用されてもよい。図94Bは、図94Aに示すL1層の「A部」を詳細に示す。
図95Aは、図93に示すL2層の平面図を示す。図95Bは、図95Aに示すL2層の「B部」を詳細に示す。「B部」は「A部」の下側に位置する。L2層ないしL5層は接地プレートを構成する。図95A、図95Bに示されているように、接地プレートの端又は縁は、ビアの位置において終端されている。
図96Aは、図93に示すL3層の平面図を示す。図96Bは、図96Aに示すL3層の「C部」を詳細に示す。「C部」は「A部」及び「B部」の下側に位置する。図96A、図96Bに示されているように、接地プレートの端又は縁は、ビアの位置において終端されている。
図97Aは、図93に示すL4層の平面図を示す。図97Bは、図97Aに示すL4層の「D部」を詳細に示す。「D部」は「A部」、「B部」及び「C部」の下側に位置する。図97A、図97Bに示されているように、接地プレートの端又は縁は、ビアの位置において終端されている。
図98Aは、図93に示すL5層の平面図を示す。図98Bは、図98Aに示すL5層の「E部」を詳細に示す。「E部」は「A部」、「B部」、「C部」及び「D部」の下側に位置する。
次に、改良された第2構造と第3構造の組み合わせについてのシミュレーション結果を示す。シミュレーションでは、図99A及び図99Bに示されるような垂直制御を行う2つの構造が比較された。何れの構造も、改良された第2構造を使用し、接地プレートはビアの位置において終端している。しかしながら、パッチの設計が異なっている。図99Aの構造は、図34Aに示されるように、隣接するパッチが同じサイズを有する。これに対して、図99Bの構造は、図34Bに示されるように、ビアを中心として対称的なパッチが使用されている。
図99Cは、2つの構造各々の遠方放射界のシミュレーション結果を示す。電場がy軸方向を向いている電波がz軸∞方向から到来し、−45度の方向に反射されるように、図99A、Bの構造は設計されている。ビームの大きさ又は強度は、所望方向(−45度)における値により規格化されている。何れの構造も、所望方向に大きな反射ビームを形成している。+45度付近において、図99Bの構造は、比較的大きな不要反射ビームを形成している。これに対して、図99Aの構造は、そのような不要反射ビームを適切に抑制できている。さらに、0度方向の鏡面反射ビームについても、図99Aの構造は、図99Bの構造よりも不要反射ビームを小さく抑制できる。したがって、垂直制御の場合、図99Bの構造よりも、図99Aの構造の方が好ましい。
次に、接地プレートがビアの位置で終端していることが、ビアの高さが異なる構造を使用して垂直制御及び水平制御を行う場合にどのように影響するかを説明する。
図100Aは、第2構造を含む構造により垂直制御を行う構造を示す。パッチの長さを図100Aに示すように、所望のLC共振の得られるLとCの対をy軸方向に配列することが可能である。上述のように、値の異なるLとCの組み合わせを配列する場合、接地プレートはビアの位置において終端していることが望ましい。図100Aには、概略平面図と、x軸方向の断面図及びy軸方向の断面図が示されている。y軸方向に沿って、パッチの層である1層目と、4つの接地プレート(2層目ないし5層目)とが存在し、「EX」として示されているように、接地プレートの2層目、3層目及び4層目の端は、隣接する素子同士の間にある。このため、y軸方向に並ぶ素子において、適切な値のインダクタンスを発生させることが困難になってしまう。x軸方向に並ぶ素子同士の間にもインダクタンスは発生する。しかしながら、電場がy軸方向を向いている電波を所望方向に反射させる場合、y軸方向に並ぶ素子同士により発生するインダクタンスの方が重要である。このため、上述したように、接地プレートの端がビアの位置において終端するように、改善すべきである。
図100Bは、第2構造を含む構造により水平制御を行う構造を示す。水平制御の場合、図100Bのように、所望のLC共振の得られるLとCの対をx軸方向に配列することが可能である。図100Bにも、概略平面図と、x軸方向の断面図及びy軸方向の断面図が示されている。水平制御の場合、x軸方向の断面に複数の接地プレートが現れる。x軸方向に沿って、パッチの層である1層目と、3つの接地プレート(2層目ないし4層目)とが存在し、「EX」として示されているように、2層目及び3層目の接地プレートの端は、隣接する素子同士の間にある。このため、x軸方向において、適切な値のインダクタンスを発生させることは困難になってしまう。しかしながら、上述したように、電場がy軸方向の電波を反射させる場合、y軸方向に並ぶ素子同士により発生するインダクタンスの方が重要である。y軸方向沿って並ぶ素子の場合、隣接する素子のビアの高さは同じなので、発生するインダクタンスLは、透磁率μとビアの高さtの積(L=μt)により想定される値になる。このため、水平制御の場合は、垂直制御の場合よりも、接地プレートの段差の影響は深刻ではない。すなわち、x軸方向の断面図に示されているように、接地プレートがビアの位置において終端していなくても、y軸方向の断面図に示されているように、ギャップをはさむビアどうしの地板はつながっているため、所望のインダクタンスL1、L2、L3を得ることができる。ただし、当然ではあるが、図100Bの構造においても、x軸方向に延びる接地プレートが、ビアの位置において終端するようにすることで、設計どおりの動作をさらに期待することができる。
複数個のマッシュルーム構造を有する装置であって、前記複数個のマッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられた第1パッチと、
前記接地プレートに対して平行に、前記第1パッチに至る距離とは異なる距離を隔てて設けられた第2パッチと
を有し、前記第2パッチは、少なくとも前記第1パッチと容量結合する無給電素子である、装置。
前記複数個のうち所定数個のマッシュルーム構造が、ある線に沿って並べられ、
前記複数個のうち別の所定数個のマッシュルーム構造が、別の線に沿って並べられ、
前記ある線に沿っているマッシュルーム構造の第1パッチと、前記別の線に沿っているマッシュルーム構造の第1パッチとの間の隙間が、前記ある線及び別の線に沿って徐々に変化している、M1記載の装置。
ある線に沿って並べられている所定数個のマッシュルーム構造のうち、隣接するマッシュルーム構造の第1パッチ同士の間の隙間が、前記ある線に沿って徐々に変化している、M1記載の装置。
前記隙間を決める隣接する第1パッチの内の一方の端から、該一方の第1パッチの基準線までの距離が、隣接する他方の第1パッチの端から、該他方の第1パッチの基準線までの距離に等しく、複数のマッシュルーム構造に対する基準線間の距離が一定に保たれている、M3記載の装置。
前記ある線に沿って順に並んでいる第1、第2及び第3のマッシュルーム構造各々の第1パッチは、互いに等しいサイズであり、前記第1及び第2のマッシュルーム構造の第1パッチ同士の中心間距離は、前記第2及び第3のマッシュルーム構造の第1パッチ同士の中心間距離と異なる、M3記載の装置。
前記ある線に沿って隣接している第1及び第2のマッシュルーム構造の第1パッチ同士の隙間を二分する中心線と、前記ある線に沿って隣接している第2及び第3のマッシュルーム構造の第1パッチ同士の隙間を二分する中心線との間の距離が、前記ある線に沿って並んでいる複数のマッシュルーム構造に対して一定に保たれている、M3記載の装置。
前記ある線に沿って順に並んでいる第1、第2及び第3のマッシュルーム構造のうち、前記第1及び第2のマッシュルーム構造の各々から反射される電波の位相差が、前記第2及び第3のマッシュルーム構造の各々から反射される電波の位相差に等しい、M2ないしM6の何れか1項に記載の装置。
少なくとも前記ある線に沿って並べられた前記所定数個のマッシュルーム構造を含むアレイが、同一平面内に複数個反復的に並べられている、M1ないしM7の何れか1項に記載の装置。
前記接地プレート、前記第1パッチ及び前記第2パッチに対して平行に距離を隔てて設けられ、無給電素子として機能する1つ以上のパッチをさらに有する、M1ないしM8の何れか1項に記載の装置。
複数個のマッシュルーム構造を有する装置であって、前記複数個のマッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられたパッチと
を有し、あるマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離は、別のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離と異なる、装置。
前記あるマッシュルーム構造におけるパッチと、前記別のマッシュルーム構造におけるパッチとが、同一平面内に設けられている、A1記載の装置。
前記あるマッシュルーム構造における接地プレートと、前記別のマッシュルーム構造における接地プレートは、多層構造には形成されていない、A2記載の装置。
(A4)
前記あるマッシュルーム構造における接地プレートと、前記別のマッシュルーム構造における接地プレートとが、同一平面内に設けられている、A1記載の装置。
(A1)の装置において、(M2)〜(M9)の特徴を備えた装置。
複数個のマッシュルーム構造を有する装置であって、前記複数個のマッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられたパッチと
を有し、隣接するマッシュルーム構造双方のパッチは、同一平面内で互いに隙間を形成し、隣接する別のマッシュルーム構造双方のパッチは、少なくとも一部が多層に重なる位置関係でそれぞれ異なる平面に設けられる、装置。
(B1)の装置において、(M2)〜(M9)の特徴を備えた装置。
第1群及び第2群の複数のマッシュルーム構造を有する装置であって、
前記第1群の複数のマッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられた第1パッチと、
前記接地プレートに対して平行に、前記第1パッチに至る距離とは異なる距離を隔てて設けられた第2パッチと
を有し、前記第2パッチは、少なくとも前記第1パッチと容量結合する無給電素子であり、
前記第2群の複数のマッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられたパッチと
を有し、前記第2群に属するあるマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離は、前記第2群に属する別のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離と異なる、装置。
当該装置がさらに第3群の複数のマッシュルーム構造を有し、前記第3群に属する隣接するマッシュルーム構造双方のパッチは、同一平面内で互いに隙間を形成し、隣接する別のマッシュルーム構造双方のパッチは、少なくとも一部が多層に重なる位置関係でそれぞれ異なる平面に設けられる、C1記載の装置。
前記第1群のマッシュルーム構造における接地プレート、第1パッチ及び第2パッチをなす3層の内の1層が、前記第2群のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチをなす2層の内の1層と同一平面に設けられ、
前記3層の内の別の1層が、前記2層の内の別の1層と同一平面に設けられている、C1又はC2に記載の装置。
第1群及び第2群の複数のマッシュルーム構造を有する装置であって、
前記第1群の複数のマッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられた第1パッチと、
前記接地プレートに対して平行に、前記第1パッチに至る距離とは異なる距離を隔てて設けられた第2パッチと
を有し、前記第2パッチは、少なくとも前記第1パッチと容量結合する無給電素子であり、前記第2群の複数のマッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられたパッチと
を有し、前記第2群に属する隣接するマッシュルーム構造双方のパッチは、同一平面内で互いに隙間を形成し、隣接する別のマッシュルーム構造双方のパッチは、少なくとも一部が多層に重なる位置関係でそれぞれ異なる平面に設けられる、装置。
前記第1群のマッシュルーム構造における接地プレート、第1パッチ及び第2パッチをなす3層の内の1層が、前記第2群のマッシュルーム構造における接地プレート及び前記異なる平面に設けられるパッチをなす3層の内の1層と同一平面に設けられ、
前記第1群のマッシュルーム構造における接地プレート、第1パッチ及び第2パッチをなす3層の内の別の1層が、前記第2群のマッシュルーム構造における接地プレート及び前記異なる平面に設けられるパッチをなす3層の内の別の1層と同一平面に設けられている、C4記載の装置。
第1群及び第2群の複数のマッシュルーム構造を有する装置であって、
前記マッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられたパッチと
を有し、前記第1群に属するあるマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離は、前記第1群に属する別のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離と異なり、
前記第2群に属する隣接するマッシュルーム構造双方のパッチは、同一平面内で互いに隙間を形成し、隣接する別のマッシュルーム構造双方のパッチは、少なくとも一部が多層に重なる位置関係でそれぞれ異なる平面に設けられる、装置。
前記第1群のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチをなす2層の内の1層が、前記2群のマッシュルーム構造における接地プレート及び前記異なる平面に設けられるパッチをなす3層の内の1層と同一平面に設けられ、
前記2層の内の別の1層が、前記3層の内の別の1層と同一平面に設けられている、C6記載の装置。
22 ビアホール
23 第1パッチ
24 第2パッチ
121 接地プレート
122 ビアホール
123 パッチ
Claims (14)
- 複数個のマッシュルーム構造を有する装置であって、前記複数個のマッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられたパッチと
を有し、あるマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離は、別のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離と異なる、装置。 - 前記あるマッシュルーム構造におけるパッチと、前記別のマッシュルーム構造におけるパッチとが、同一平面内に設けられている、請求項1記載の装置。
- 前記あるマッシュルーム構造における接地プレートと、前記別のマッシュルーム構造における接地プレートは、多層構造には形成されていない、請求項2記載の装置。
- 前記あるマッシュルーム構造における接地プレートと、前記別のマッシュルーム構造における接地プレートとが、同一平面内に設けられている、請求項1記載の装置。
- 前記複数個のうち所定数個のマッシュルーム構造が、ある線に沿って並べられ、
前記複数個のうち別の所定数個のマッシュルーム構造が、別の線に沿って並べられ、
前記ある線に沿っているマッシュルーム構造のパッチと、前記別の線に沿っているマッシュルーム構造のパッチとの間の隙間が、前記ある線及び別の線に沿って徐々に変化している、請求項1記載の装置。 - ある線に沿って並べられている所定数個のマッシュルーム構造のうち、隣接するマッシュルーム構造のパッチ同士の間の隙間が、前記ある線に沿って徐々に変化している、請求項1記載の装置。
- 前記隙間を決める隣接する第1パッチの内の一方の端から、該一方の第1パッチの基準線までの距離が、隣接する他方の第1パッチの端から、該他方の第1パッチの基準線までの距離に等しく、複数のマッシュルーム構造に対する基準線間の距離が一定に保たれている、請求項6記載の装置。
- 前記ある線に沿って順に並んでいる第1、第2及び第3のマッシュルーム構造各々のパッチは、互いに等しいサイズであり、前記第1及び第2のマッシュルーム構造のパッチ同士の中心間距離は、前記第2及び第3のマッシュルーム構造のパッチ同士の中心間距離と異なる、請求項6記載の装置。
- 前記ある線に沿って隣接している第1及び第2のマッシュルーム構造の第1パッチ同士の隙間を二分する中心線と、前記ある線に沿って隣接している第2及び第3のマッシュルーム構造の第1パッチ同士の隙間を二分する中心線との間の距離が、前記ある線に沿って並んでいる複数のマッシュルーム構造に対して一定に保たれている、請求項6記載の装置。
- 前記ある線に沿って順に並んでいる第1、第2及び第3のマッシュルーム構造のうち、前記第1及び第2のマッシュルーム構造の各々から反射される電波の位相差が、前記第2及び第3のマッシュルーム構造の各々から反射される電波の位相差に等しい、請求項5ないし9の何れか1項に記載の装置。
- 少なくとも前記ある線に沿って並べられた前記所定数個のマッシュルーム構造を含むアレイが、同一平面内に複数個反復的に並べられている、請求項1ないし10の何れか1項に記載の装置。
- 前記接地プレート及び前記パッチに対して平行に距離を隔てて設けられ、無給電素子として機能する1つ以上のパッチをさらに有する、請求項1ないし11の何れか1項に記載の装置。
- 第1群及び第2群の複数のマッシュルーム構造を有する装置であって、
前記マッシュルーム構造の各々は、
接地プレートと、
前記接地プレートに対して平行に距離を隔てて設けられたパッチと
を有し、前記第1群に属するあるマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離は、前記第1群に属する別のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチ間の距離と異なり、
前記第2群に属する隣接するマッシュルーム構造双方のパッチは、同一平面内で互いに隙間を形成し、隣接する別のマッシュルーム構造双方のパッチは、少なくとも一部が多層に重なる位置関係でそれぞれ異なる平面に設けられる、装置。 - 前記第1群のマッシュルーム構造における接地プレート及びパッチをなす2層の内の1層が、前記2群のマッシュルーム構造における接地プレート及び前記異なる平面に設けられるパッチをなす3層の内の1層と同一平面に設けられ、
前記2層の内の別の1層が、前記3層の内の別の1層と同一平面に設けられている、請求項13記載の装置。
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