JP2012033764A - 電磁シールドシートとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型化しても磁界シールド特性に優れた電磁シールドシートとその製造方法を提供する。
【解決手段】第1の強磁性体層2と第2の強磁性体層3を複数積層し、前記積層された強磁性体層を導電層1、1により挟んで構成された電磁シールドシートS1であって、第1及び第2の強磁性体層2,3は、導電性を有し、磁気異方性を持つ強磁性体であり、第1の強磁性体層2の容易軸方向と第2の強磁性体層3の容易軸方向が直交するように積層している。
【選択図】図1
【解決手段】第1の強磁性体層2と第2の強磁性体層3を複数積層し、前記積層された強磁性体層を導電層1、1により挟んで構成された電磁シールドシートS1であって、第1及び第2の強磁性体層2,3は、導電性を有し、磁気異方性を持つ強磁性体であり、第1の強磁性体層2の容易軸方向と第2の強磁性体層3の容易軸方向が直交するように積層している。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、電磁ノイズをシールドする電磁シールドシートとその製造方法に関する。
従来、携帯電話やノートブック型パーソナルコンピュータなどのモバイル機器では、高い周波数で動作する電子部品から発生される電磁ノイズをシールドするために、電子部品を覆うように成形された板金シールドを用いてきた。しかし、板金シールドを用いた場合、板金シールドの高さが高くなってしまうので、モバイル機器の薄型化の障害となってきた。そこで、モバイル機器の薄型化に対応するため、電磁シールドシートが用いられるようになってきた。
例えば、従来の電磁シールドシートは、扁平状金属粉末を含む磁性層上に、銅(Cu)やアルミ(Al)、銀(Ag)などの金属を蒸着した金属蒸着層が設けられている。
しかし、従来の電磁シールドシートでは、板金シールドより磁界シールド効果が小さくなるため、導電シートの厚さをある程度厚くする必要がある。その結果、柔軟性に劣り、電子部品を完全に密閉することが困難になるので、大きなシールド効果を得ることができないという問題がある。
本発明の課題は、薄型化しても磁界シールド特性に優れた電磁シールドシートとその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、実施形態の電磁シールドシートは、強磁性体層を複数積層し、導体層により挟んで構成された電磁シールドシートであって、強磁性体層は磁気異方性を有し、容易軸方向が異なるように積層していることを特徴としている。
以下、本発明の実施形態に係る電磁シールドシートを、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の電磁シールドシートS1は、図1に示すように、第1及び第2の強磁性体層2,3を積層し、導体層1により挟んで構成されている。
導体層1は、例えば銀(Ag)や銅(Cu)またはアルミニウム(Al)などといった導電性の金属、又は銀ペーストなどの導電性ペーストから構成されている。このような導体層1を設けることにより、磁界だけではなく電界もシールド可能な電磁シールドシートS1になる。
第1及び第2の強磁性体層2,3は、導電性を有し、磁気異方性を持つ強磁性体であり、第1の強磁性体層2の容易軸方向がY方向、第2の強磁性体層3の容易軸方向がX方向になるように設けられている。すなわち、第1の強磁性体層2の容易軸方向と第2の強磁性体層3の容易軸方向が直交するように設けられている。
そして、第1及び第2の強磁性体層2,3は、同一材料から形成されており、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)またはコバルト(Co)の単体、あるいは、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)またはコバルト(Co)を含む化合物からなる軟磁性体から構成されている。化合物としては、例えば、Co85Nb12Zr3、Ni80Fe20、Co67Zr8O25を例示することができる。
次に、電磁シールドシートS1の製造方法を説明する。まず、導体層1として銀ナノペーストを、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)やエポキシ樹脂などの絶縁体から形成された基材上に、インクジェット法により印刷して形成する。なお、導体層1の成膜方法はこれに限定されることはなく、例えばエアロゾル法、ジェットディスペンス法、転写法などの印刷法、スプレー、スパッタ法、蒸着法、電界めっき法、無電解めっき法などでもよい。
そして、第1の強磁性体層2を成膜するために、Co85Nb12Zr3を磁界中スパッタ法により導体層1上に成膜する。この際、第1の強磁性体層2の磁気異方性の容易軸方向へと磁界を印加しながらスパッタをおこなう必要がある。なお、本実施形態では銀ナノペーストを加熱せずに第1の強磁性体層2を成膜しているが、材質により必要な場合もあるため、適宜必要に応じて加熱すればよい。また、第1の強磁性体層2の成膜方法はこれに限られることはなく、例えば磁界中で蒸着させる方法など、どの様な方法で成膜をおこなってもよい。
その後、第2の強磁性体層3を成膜する。その際には、導体層1と第1の強磁性体層2の積層体を、第1の強磁性体層2を成膜した際に印加した磁界の方向と異なる方向にするために90度回転させてから、再び磁界を印加しながらCo85Nb12Zr3をスパッタにより成膜する。これにより、第1の強磁性体層2と第2の強磁性体層3の磁気異方性の容易軸方向を直交させることができる。なお、第1の強磁性体層2と同様に成膜方法はこれに限られることはなく、例えば磁界中で蒸着させる方法など、どの様な方法で成膜をおこなってもよい。
そして最後に、再び導体層1として銀ナノペーストをインクジェット法により印刷して形成する。なお、導体層1の成膜方法はこれに限定されることはなく、例えばエアロゾル法、ジェットディスペンス法、転写法などの印刷法、スプレー、スパッタ法、蒸着法、電界めっき法、無電解めっき法などでもよい。また、本実施形態では銀ナノペーストを加熱せずに第2の強磁性体層3上に成膜しているが、材質により必要な場合もあるため、適宜必要に応じて加熱すればよい。
次に、上記のように構成される電磁シールドシートS1の電磁ノイズのシールド効果をシミュレーションにより確認したので、その結果を図2乃至図8を参照して説明する。
まず、シミュレーションモデルの構成について説明する。図2は、シミュレーションモデル(モデル1)の構成を示す斜視図であり、電磁シールドシートS1の第1及び第2の強磁性体層2,3の異方性とシールド効果の関係を解析するために使用される。
モデル1の構成は、ノイズ発生部材4と、電磁シールドシートS1と、第1非導電体層5を順次積層し、更に第1非導電体層5上に一定の間隔をあけて測定面6を配置して構成されている。
ノイズ発生部材4は、基材7と、基材7上に設けられノイズの発生源である信号線8と、信号線8を覆うように基材7上に設けられている第2非導電体層9とが順に積層したものであり、電磁シールドシートS1側と第2非導電体層9が接するように設けられている。
基材7は、0.1mmの厚さであり、本実施形態ではエポキシ樹脂から形成されているが、絶縁性物質から形成されていればどのような材質でもよい。
また、信号線8は、Y方向に0.033mm、X方向に1mm、厚さ0.018mmのものを用いており、基材7の略中央に設けられている。材質としては本実施形態では例えば銅(Cu)を用いているが、この他にアルミニウム(Al)や銀(Ag)ペースト等の導電性材料を用いても良い。
そして、第2非導電体層9は、0.5mmの厚さであり、本実施形態ではシリコンから形成されているが、これに限られることはなく、半導体、或いは絶縁性物質であればどのような材質でも良い。
電磁シールドシートS1は、導体層1、磁気異方性の容易軸方向がY方向である第1の強磁性体層2、磁気異方性の容易軸方向がX方向である第2の強磁性体層3および導体層1が順次に積層されたものを用いている。
導体層1は、抵抗率が10μΩcmの銀ペーストからなる導電性ペーストを用いており、0.2μmの厚さである。
第1及び第2の強磁性体層2,3は、Co85Nb12Zr3から形成され、0.2μmの厚さである。また、第1及び第2の強磁性体層2,3の比透磁率の実部μ’と虚部μ”の周波数特性としては図3に示すような特性を与え、比透磁率の実部μ’が0、虚部が最大となる周波数(強磁性共鳴周波数)が、890MHzのものを用いている。
第1非導電体層5は、0.04mmの厚さであり、本実施形態ではポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂から形成されているが、絶縁性物質であればどのような材質でも良い。
また、測定面6は、磁界強度を測定するためのものであり、Y方向の磁界強度を測定している。測定面6の大きさは0.1mm2であり、信号線8から0.6mm離れたところに設けられている。
また、モデル1の電磁シールドシートS1と比較するため、図4に示すように導体層1のみの電磁シールドシートS2を用いたモデル(モデル2)と、図5に示すように容易軸方向がY方向である第1の強磁性体層2を導体層1で挟んだ電磁シールドシートS3を用いたモデル(モデル3)と、図6に示すように容易軸方向がX方向であり、第1の強磁性体層2をXY平面において90度回転させた関係である第2の強磁性体層3を導体層1で挟んだ電磁シールドシートS4を用いたモデル(モデル4)と、図7に示すように導体層1、第2の強磁性体層3、第1の強磁性体層2、導体層1の順に積層した電磁シールドシートS5を用いたモデル(モデル5)の、4種類のモデルを解析に使用している。
4種類のモデルの導体層1は、モデル1と同様の材質のものを用いており、厚みはモデル2では2μmの厚さであり、モデル3,4,5では、0.8μmの厚さである。そして、導体層1の製造法方は電磁シールドシートS1の製造方法と同様の方法で形成されている。
また、第1及び第2の強磁性体層2,3は、モデル1と同様の材質のものを用いており、厚みはモデル3,4ではそれぞれ0.4μmの厚さであり、モデル1,5ではそれぞれ0.2μmの厚さである。そして、第1及び第2の強磁性体層2,3の製造方法は電磁シールドシートS1の製造方法と同様の方法で形成されている。
次に、5種類の電磁シールドシートの磁界シールド効果のシミュレーション結果を説明する。図8は、Y方向の磁界シールド量の周波数特性の解析結果を示したものである。なお、磁界シールド効果は、磁界シールドを設ける前の磁界強度から磁界シールドを設けた磁界強度の差を算出して求めたものである。また、磁界シールド効果の算出に用いた磁界強度は、測定面6の磁界強度を面積分して算出したものである。
第2の強磁性体層3を導体層1で挟んだモデル4では、10〜8000MHzにおいて、導体層1のみのモデル2よりも磁界シールド効果が高いが、第2の強磁性体層3をXY平面において90度回転させた第1の強磁性体層2を導体層1で挟んだモデル3は、400MHz〜10000MHzにおいて、導体層1のみのモデル2よりも磁界シールド効果が低い。
従って、磁気異方性の第1及び第2の強磁性体層2,3のどちらか一方を用いた電磁シールドシートS3,S4では、信号線8の方向により、磁界シールド効果が高い場合と低い場合があることが分かる。
一方、第1の強磁性体層2、第2の強磁性体層3の順で積層したモデル1と、第2の強磁性体層3、第1の強磁性体層2の順で積層したモデル5は、10MHz〜5600MHzで磁界シールド効果が高く、強磁性共鳴周波数の890MHzでは、導体層1のみのモデル2より約20dBほど磁界シールド効果が高かった。
従って、積層する第1及び第2の強磁性体層2,3を用いた電磁シールドシートS1,S5は、信号線8の方向によらず磁界シールド効果が高いことが分かる。
以上、本実施形態によれば、容易軸方向が異なる第1及び第2の強磁性体層2,3を積層し、これを挟むように非磁性体からなる導体層1を積層することで、信号線8の方向によらずに高い磁界シールド効果を得ることが可能となる。これにより、薄型化しても磁界シールド特性に優れた電磁シールドシートを提供することが可能となる。
なお、図1に示す例では、容易軸方向が異なる第1及び第2の強磁性体層2,3を積層し、これを挟むように導体層1を設けて構成しているが、図9(a)に示すように容易軸方向が異なる4層を積層した第1及び第2の強磁性体層2,3を導体層1で挟む構造や、図9(b)に示すように導体層3層に対し、積層する第1及び第2の強磁性体層2,3の組み合わせを交互に2つ設けた構造でも良く、容易軸方向が異なる2層以上の強磁性体層を導体層1により挟んで設けることが可能であれば、どの様な構成でもよい。また、積層する第1及び第2の強磁性体層2,3の層数を増やすことにより磁界シールド効果を高めることができる。
また、本実施形態ではCo85Nb12Zr3のみを成膜しているが、これに限られることはなく、例えばNi80Fe20やCo67Zr8O25などの異なる材質の磁性体を含んだ第1及び第2の強磁性体層2,3を成膜してもよい。その際には、例えば磁界中スパッタ法で行う場合には、2種類以上の強磁性体を同時にスパッタするなどにより製造することが出来る。そして、このような材質にすることにより幅広い電磁ノイズをシールドすることが可能となる。
更に、本実施形態では第1及び第2の強磁性体層2,3は導体層1と直接接触するように挟んで設けられているが、これに限られることはなく、例えば第1及び第2の強磁性体層2,3がシート状の材質であった場合、接着剤などの非導電性部材を介して導体層1を貼り合わせる構造であってもよい。
1…導体層
2…第1の磁性体層
3…第2の磁性体層
4…ノイズ発生部材
5…第1非導電体層
6…測定面
7…基材
8…信号線
9…第2非導電体層
S1,S2,S3,S4,S5…電磁シールドシート
2…第1の磁性体層
3…第2の磁性体層
4…ノイズ発生部材
5…第1非導電体層
6…測定面
7…基材
8…信号線
9…第2非導電体層
S1,S2,S3,S4,S5…電磁シールドシート
Claims (6)
- 強磁性体層を複数積層し、導体層により挟んで構成された電磁シールドシートであって、
前記強磁性体層は磁気異方性を有し、容易軸方向が異なるように積層していることを特徴とする電磁シールドシート。 - 前記強磁性体層は、導電性であることを特徴とする請求項1記載の電磁シールドシート。
- 前記強磁性体層は、前記容易軸方向が直交するように積層していることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の電磁シールドシート。
- 強磁性体層を複数積層し、導体層により挟んで構成された電磁シールドシートであって、
前記導体層を成膜する工程と、
前記導体層上に、磁気異方性の容易軸方向へと磁界を印加しながら第1の強磁性体層を成膜する工程と、
前記第1の強磁性体層上に、前記第1の強磁性体層の容易軸方向と異なる方向に磁界を印加し、第2の強磁性体層を成膜する工程と、
を含むことを特徴とする電磁シールドシートの製造方法。 - 前記強磁性体層は導電性であることを特徴とする請求項4記載の電磁シールドシートの製造方法。
- 前記強磁性体層は、前記容易軸方向が直交するように積層していることを特徴とする請求項4及び請求項5に記載の電磁シールドシートの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010172732A JP2012033764A (ja) | 2010-07-30 | 2010-07-30 | 電磁シールドシートとその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111504858A (zh) * | 2020-04-09 | 2020-08-07 | 中北大学 | 一种金属磨粒磁场防干扰装置 |
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US11049818B2 (en) | 2019-01-28 | 2021-06-29 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Electromagnetic wave attenuator and electronic device |
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2010
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