JP2012033602A - コンデンサ素子及びその製造方法、並びに固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

コンデンサ素子及びその製造方法、並びに固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】陽極体の外周面の内、互いに略対向する2つの面から陽極リードが引き出されているコンデンサ素子について、その効率的な製造を実現する。
【解決手段】本発明に係るコンデンサ素子の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを有している。第1工程では、コンデンサ素子の陽極リードとなるリード基材50の複数箇所に、陽極体11が、その第1面11aと第2面11bの両面がリード基材50によって貫かれた状態で形成されている陽極構造物5を作製する。第1工程の実行後、第2工程では、誘電体層、電解質層、及び陰極層を順に、陽極構造物5の所定領域上に形成する。第2工程の実行後、第3工程では、リード基材50に対して切断加工を施して陽極体11、11どうしを切り離す。
【選択図】図7

Description

本発明は、リードタイプのコンデンサ素子及びその製造方法、並びに該コンデンサ素子を具えた固体電解コンデンサの製造方法に関する。
図19は、従来のリードタイプのコンデンサ素子を示した断面図である。図19に示す様に、リードタイプのコンデンサ素子(200)は、直方体状の陽極体(211)に陽極リード(212)を植立して構成された陽極焼結体(210)と、該陽極焼結体(210)の外周面上に形成された誘電体層(220)と、該誘電体層(220)上に形成された電解質層(230)と、該電解質層(230)上に形成された陰極層(240)とを具えている(例えば、特許文献1参照)。ここで、陽極体(211)の外周面は、陽極リード(212)が引き出された第1面(211a)と、該第1面(211a)とは反対側の第2面(211b)と、第1面(211a)の外周縁から第2面(211b)の外周縁まで延びる側面(211c)とから構成されている。そして、誘電体層(220)は、陽極焼結体(210)の外周面の内、陽極体(211)の外周面の全領域(第1面(211a)、第2面(211b)、及び側面(211c))と、陽極リード(212)の引出し部(212a)の根元の表面とに形成されている。又、陰極層(240)は、電解質層(230)の内、陽極体(211)の第2面(211b)及び側面(211c)を覆った領域上に形成されており、カーボン層(図示せず)と、該カーボン層上に形成された銀ペースト層(図示せず)とによって構成されている。
従来、陽極リード(212)は、図19に示す如く陽極体(211)の外周面上の1箇所から引き出されているに過ぎなかった。そして、コンデンサ素子(200)の製造工程においては、図20に示す様に、キャリアバー(250)に、複数の陽極焼結体(210)〜(210)が1つずつ取り付けられていた(例えば、特許文献2参照)。ここで、キャリアバー(250)には、各陽極焼結体(210)の陽極リード(212)の先端部が固定され、各陽極焼結体(210)は、陽極リード(212)の延在方向(291)がキャリアバー(250)の延在方向(292)に対して略垂直となる姿勢を有していた。そして、キャリアバー(250)を操作して陽極焼結体(210)を電解溶液に浸漬させることにより、陽極体(211)の外周面と陽極リード(212)の引出し部分(212a)の根元の表面とを電気化学的に酸化(陽極酸化)させ、これによって、陽極焼結体(210)の外周面上に誘電体層(220)が形成されていた。その後、キャリアバー(250)を操作して陽極焼結体(210)を電解重合液に浸漬させ、次にキャリアバー(250)と電解液中に設けられた陰極板との間に電圧を印加することにより、誘電体層(220)上に電解質層(230)が形成されていた。更にその後、キャリアバー(250)を操作して陽極焼結体(210)を、カーボンペーストと銀ペーストとに順に浸漬させることにより、電解質層(230)上に陰極層(240)が形成されていた。
上記コンデンサ素子(200)を具えた固体電解コンデンサにおいては、陽極端子に陽極リード(212)の引出し部(212a)が電気的に接続される一方、陰極端子に陰極層(240)の一部が電気的に接続される(例えば、特許文献1参照)。ここで、陽極端子と陽極リード(212)との接続にはレーザ溶接等の溶接手段が用いられ、陰極端子と陰極層(240)との接続には導電性接着剤が用いられる。尚、上記コンデンサ素子(200)においては、該コンデンサ素子(200)のショートを防止するべく、陽極リード(212)の引出し部(212a)には陰極層(240)が形成されていない。
特開2008−91784号公報 特開2007−250920号公報
近年、固体電解コンデンサの低ESR(等価直列抵抗)化を実現するべく、コンデンサ素子(200)を構成する陽極焼結体(210)において、陽極体(211)の第1面(211a)だけでなく、陽極体(211)の第2面(211b)からも陽極リード(212)を引き出した構成が考えられている。しかしながら、この構成を有した複数の陽極焼結体(210)〜(210)を、従来と同様の姿勢でキャリアバー(250)に取り付け(図20参照)、その後、上述した従来の製造工程と同じ工程を実行してコンデンサ素子(200)を作製した場合、以下の問題が生じることになる。
即ち、陽極リード(212)の内、第2面(211b)から引き出されている引出し部には、その外周面の全領域上に、誘電体層(220)、電解質層(230)、及び陰極層(240)がこの順に形成されることになる。従って、固体電解コンデンサの製造過程において陽極端子と陽極リード(212)とを溶接する前に、引出し部に対してレーザ剥離等の加工を施すことにより、該引出し部の外周面、特に溶接領域から、誘電体層(220)、電解質層(230)、及び陰極層(240)を剥離する必要がある。しかしながら、これらの層を溶接領域から取り除く際、陽極リード(212)と陰極層(240)とが互いに電気的に短絡し、これによってショートが発生し易い。一方で、陽極体(211)の第1面(211a)と第2面(211b)の両面から陽極リード(212)が引き出された上記陽極焼結体(210)を用いてコンデンサ素子を効率的に作製する有効な手段がなかった。
そこで本発明の目的は、陽極体の外周面の内、互いに略対向する2つの面から陽極リードが引き出されているコンデンサ素子について、その効率的な製造を実現することである。
本発明に係るコンデンサ素子の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを有している。ここで、製造されるコンデンサ素子は、陽極構成体と陰極部とを有するコンデンサ素子であって、陽極体と、該陽極体に植立された陽極リードとを具え、前記陽極体の外周面には、互いに略対向する第1面及び第2面が含まれ、該第1面と第2面の両面から前記陽極リードが引き出されており、前記陽極体の外周面の少なくとも一部に誘電体層が形成され、該誘電体層上に電解質層が形成され、該電解質層上に陰極層が形成され、前記陽極体と陽極リードとによって前記陽極構成体が構成される一方、前記陰極層によって前記陰極部が構成されている。
そして、前記第1工程では、前記陽極構成体となる構造物であって、前記陽極リードとなるリード基材の複数箇所に、前記陽極体が、その第1面と第2面の両面が前記リード基材によって貫かれた状態で形成されている陽極構造物を作製する。第1工程の実行後、前記第2工程では、前記誘電体層、電解質層、及び陰極層を順に、前記陽極構造物の所定領域上に形成する。第2工程の実行後、前記第3工程では、前記リード基材に対して切断加工を施して陽極体どうしを切り離す。
上記製造方法においては、第3工程にて陽極体どうしを切り離すことにより複数のコンデンサ素子が形成され、第3工程を実行する迄は、複数の陽極構成体を、一体の構造物である陽極構造物によって取り扱うことが出来る。従って、キャリアバー等の補助具がなくても、複数の陽極構成体を纏めて取り扱うことが出来る。よって、上記製造方法によれば、従来のコンデンサ素子の製造方法、即ち、複数の陽極構成体を纏めて取り扱うためにはキャリアバー等の補助具が必ず必要であった形態に比べて、コンデンサ素子を効率的に製造することが可能である。
上記製造方法の具体的形態において、前記第2工程には、取付け工程と、形成工程とが含まれている。ここで、前記取付け工程では、キャリアバーを用意し、該キャリアバーに前記陽極構造物を、該陽極構造物のリード基材の延在方向がキャリアバーの延在方向に対して略平行となる姿勢で取り付ける。前記形成工程では、キャリアバーに取り付けられた前記陽極構造物に対して、前記誘電体層及び電解質層を形成する。
上記具体的形態においては、リード基材の両端部をキャリアバーに固定するだけで、キャリアバーに陽極構造物を取り付けることが出来る。よって、上記具体的形態によれば、従来のコンデンサ素子の製造方法、即ち、複数の陽極構成体をキャリアバーに1つずつ取り付ける必要があった形態に比べて、コンデンサ素子を効率的に製造することが可能である。
上記製造方法の他の具体的形態において、前記第2工程では、前記陽極構造物の所定領域上に誘電体層及び電解質層を形成した後、前記陽極構造物を、前記陰極層を形成するための処理液の液面に対してリード基材の延在方向が略平行となる姿勢で配置して、リード基材を前記処理液に浸漬させずに該リード基材をその中心軸回りに回転させることによって、各陽極体の両端部を前記処理液に浸漬させる。
上記具体的形態によれば、リード基材の外周面上には陰極層が形成されることがない。従って、作製されるコンデンサ素子において、第1面と第2面の両面から引き出される陽極リードの引出し部の外周面には陰極層が形成されることがない。よって、固体電解コンデンサの製造過程において、コンデンサ素子の陽極リードの各引出し部にレーザ剥離等の加工を施した場合でも、陽極リードと陰極層とが電気的に短絡することがなく、従ってショートの発生が低減されることになる。
又、上記具体的形態によれば、陽極体の第1面及び第2面の両面に陰極層を形成することが可能である。よって、上記具体的形態にて作製されるコンデンサ素子においては、従来のコンデンサ素子、即ち、陽極体の外周面の内、陽極リードが引き出されている面上には陰極層が形成されていない構成に比べて、低ESR化を実現し易い。
上記製造方法の更なる他の具体的形態において、前記第1工程で使用されるリード基材には、陽極体の形成位置が、前記コンデンサ素子において陽極体の第1面と第2面の両面から引き出されることとなる陽極リードの引出し部の長さ寸法に応じて設定されている。
上記具体的形態によれば、第3工程にてリード基材に切断加工を施した際に発生する切り屑を削減することが出来る。従って、リード基材の使用量を削減することが可能となる。
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、上記コンデンサ素子の製造方法と、素子搭載工程とを有している。ここで、製造される固体電解コンデンサは、2つの陽極部と陰極部とを有するコンデンサ素子を具え、該コンデンサ素子の2つの陽極部には陽極端子が電気的に接続され、該コンデンサ素子の陰極部には陰極端子が電気的に接続されている。そして、前記コンデンサ素子の製造方法の第3工程では、リード基材に切断加工を施すことによって、前記陽極体の第1面と第2面の両面から引き出された陽極リードを形成し、該陽極リードの内、陽極体の第1面と第2面の両面から引き出された2つの引出し部によって前記2つの陽極部が構成される。前記素子搭載工程では、作製されたコンデンサ素子を前記陽極端子及び陰極端子上に搭載し、コンデンサ素子の陽極リードの各引出し部を前記陽極端子に電気的に接続する一方、コンデンサ素子の陰極層を前記陰極端子に電気的に接続する。
本発明に係るコンデンサ素子は、陽極体と、該陽極体に植立された陽極リードとを具え、前記陽極体の外周面には、互いに略対向する第1面及び第2面が含まれ、該第1面と第2面の両面から前記陽極リードが引き出されており、前記陽極体の外周面上に誘電体層が形成され、該誘電体層上に電解質層が形成され、該電解質層上に陰極層が形成される一方、陽極体の外周面の内、陽極リードの引出し位置を含んで陽極体を包囲する帯状の所定領域の上方には、前記陰極層が形成されていない。
本発明に係る他のコンデンサ素子は、陽極体と、該陽極体に植立された陽極リードとを具え、前記陽極体の外周面には、互いに略対向する第1面及び第2面が含まれ、該第1面と第2面の両面から前記陽極リードが引き出されており、前記陽極体の外周面上に誘電体層が形成され、該誘電体層上に電解質層が形成され、該電解質層上に陰極層が形成される一方、陽極体の第1面及び第2面の内、陽極リードの中心軸を中心として拡がる略円状の所定領域の上方には、前記陰極層が形成されていない。
本発明に係るコンデンサ素子及びその製造方法によれば、該コンデンサ素子の効率的な製造が実現される。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンデンサ素子を具えた固体電解コンデンサを示した斜視図である。 図2は、図1に示されるA−A線に沿う断面図である。 図3は、図1に示されるB−B線に沿う断面図である。 図4は、上記固体電解コンデンサの上面図である。 図5は、該固体電解コンデンサを、上記コンデンサ素子が具える陽極リードの延在方向から見た側面図である。 図6は、該固体電解コンデンサを、上記コンデンサ素子が具える陽極リードの延在方向に対して垂直な方向から見た側面図である。 図7は、上記固体電解コンデンサの製造方法について、その素子作製工程の第1工程の説明に用いられる斜視図である。 図8は、該素子作製工程の第2工程の内、取付け工程の説明に用いられる側面図である。 図9は、該素子作製工程の第2工程の内、上記コンデンサ素子の誘電体層を形成する工程の説明に用いられる図である。 図10は、該素子作製工程の第2工程の内、上記コンデンサ素子の電解質層を形成する工程の説明に用いられる図である。 図11(a)〜図11(d)は、該素子作製工程の第2工程の内、上記コンデンサ素子の陰極層を形成する工程の説明に用いられる図である。 図12は、陽極構造物を、そのリード基材の延在方向から見た平面図である。 図13(a)及び図13(b)は、該素子作製工程の第3工程の説明に用いられる斜視図である。 図14は、上記固体電解コンデンサの製造方法について、その端子作製工程及び素子搭載工程の説明に用いられる斜視図である。 図15(a)及び図15(b)は、上記素子作製工程の第2工程の内、コンデンサ素子の陰極層を形成する工程について、その変形例の説明に用いられる図である。 図16は、陽極構造物の一例を、そのリード基材の延在方向から見た平面図である。 図17は、陽極構造物の他の例を、そのリード基材の延在方向から見た平面図である。 図18は、リード基材の中心軸からの各種距離を示した平面図である。 図19は、従来のコンデンサ素子を示した断面図である。 図20は、従来のコンデンサ素子について、その製造方法の説明に用いられる側面図である。
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンデンサ素子を具えた固体電解コンデンサを示した斜視図である。図1に示す様に、該固体電解コンデンサは、固体電解型のコンデンサ素子(1)と、該コンデンサ素子(1)を被覆する外装部材(2)と、陽極端子(3)と、陰極端子(4)とを具えている。尚、外装部材(2)は、エポキシ樹脂等の樹脂から形成されている。
図2及び図3はそれぞれ、図1に示されるA−A線及びB−B線に沿う断面図である。図2及び図3に示す様に、コンデンサ素子(1)は、直方体状の陽極体(11)と、該陽極体(11)に植立された円柱状の陽極リード(12)とを具えている。ここで、陽極体(11)の外周面は、互いに略対向する第1面(11a)及び第2面(11b)と、第1面(11a)の外周縁から第2面(11b)の外周縁まで延びる側面(11c)とから構成されており、陽極体(11)の第1面(11a)と第2面(11b)の両面から陽極リード(12)が引き出されている。具体的には、陽極リード(12)は、その中央部(122)が陽極体(11)内に埋設された1本の金属ワイヤであって、陽極体(11)の第1面(11a)と第2面(11b)の両面から陽極体(11)外へ引き出された2つの引出し部(121)(121)を有している。斯くして、陽極リード(12)は、陽極体(11)を貫通することにより、該陽極体(11)の第1面(11a)と第2面(11b)の両面から引き出されている。
又、陽極体(11)は、弁作用金属からなる多孔質焼結体から構成される一方、陽極リード(12)は、陽極体(11)を構成している弁作用金属と同種又は異種の弁作用金属から形成されており、陽極体(11)と陽極リード(12)とは互いに電気的に接続されている。尚、陽極体(11)及び陽極リード(12)を構成する弁作用金属には、例えばタンタル、ニオブ、チタン、アルミニウム等の金属が用いられる。
図2及び図3に示す様に、コンデンサ素子(1)は更に、陽極体(11)の外周面上に形成された誘電体層(13)と、該誘電体層(13)上に形成された電解質層(14)と、該電解質層(14)上に形成された陰極層(15)とを具えている。
誘電体層(13)は、陽極体(11)の外周面に形成された酸化被膜と、陽極リード(12)の2つの引出し部(121)(121)の根元の表面に形成された酸化被膜とから構成されている。従って、陽極リード(12)の各引出し部(121)の先端部は、その表面が、誘電体層(13)に被覆されずに露出している。ここで、誘電体層(13)を構成するこれらの酸化被膜は、陽極体(11)と陽極リード(12)から構成された陽極構成体(10)をリン酸水溶液やアジピン酸水溶液等の電解溶液に浸漬させ、該陽極構成体(10)の外周面を電気化学的に酸化させること(陽極酸化)により形成される。尚、誘電体層(13)の形成方法の詳細については後述する。
電解質層(14)は、誘電体層(13)上で固化させることが可能な電解質材料、例えば、二酸化マンガン等の導電性無機材料、TCNQ(Tetracyano-quinodimethane)錯塩や導電性ポリマー等の導電性有機材料を用いて形成される。尚、電解質層(14)の形成方法の詳細については後述する。
図3に示す様に(図1も参照)、陽極体(11)の外周面には、陽極リード(12)の引出し位置を含んで陽極体(11)を包囲する帯状の所定領域R0が設定されている。具体的には、該所定領域R0は、陽極体(11)の第1面(11a)及び第2面(11b)、更には陽極体(11)の上面及び下面に沿って延びた帯状の領域である。そして、電解質層(14)の外周面には、該所定領域R0の上方に位置する第1領域R1と、該第1領域R1とは異なる第2領域R2とが存在している。
陰極層(15)は、電解質層(14)の第1領域R1上には形成されずに、電解質層(14)の第2領域R2上に形成されている。ここで、陰極層(15)は、電解質層(14)の第2領域R2上に形成されたカーボン層(図示せず)と、該カーボン層上に形成された銀ペースト層(図示せず)とから構成されている。そして、電解質層(14)と陰極層(15)とは互いに電気的に接続されている。尚、陰極層(15)の形成方法の詳細については後述する。
上記コンデンサ素子(1)においては、陽極リード(12)の2つの引出し部(121)(121)によって、コンデンサ素子(1)の2つの陽極部が構成される一方、陰極層(15)によってコンデンサ素子(1)の陰極部が構成されており、該2つの陽極部と陰極部との間に誘電体層(13)及び電解質層(14)が介在している。又、上記コンデンサ素子(1)においては、陽極体(11)と、該陽極体(11)上に形成された誘電体層(13)、電解質層(14)、及び陰極層(15)とによって、該コンデンサ素子(1)の素子本体が構成され、該素子本体の外周面に陰極層(15)が露出する一方、該素子本体の外周面上の2箇所から陽極リード(12)が引き出されている。以下では、該素子本体の外周面の内、陽極リード(12)が引き出されている面をそれぞれ、コンデンサ素子(1)の第1引出し面(1a)及び第2引出し面(1b)と称す。
図3に示す様に、陽極端子(3)及び陰極端子(4)は、外装部材(2)内に埋設されている。そして、陽極端子(3)の表面の一部を外装部材(2)の下面(2a)に露出させることによって、外装部材(2)の下面(2a)に陽極端子面(30)が形成される一方、陰極端子(4)の表面の一部を外装部材(2)の下面(2a)に露出させることによって、外装部材(2)の下面(2a)に陰極端子面(40)が形成されており、陽極端子面(30)は、陰極端子面(40)から所定方向(91)へ離間して配置されている。
図4は、上記固体電解コンデンサの上面図である。又、図5及び図6はそれぞれ、該固体電解コンデンサを陽極リード(12)の延在方向及びこれに対して垂直な方向から見た側面図である。図4に示す様に、陽極端子(3)及び陰極端子(4)上には、コンデンサ素子(1)が、その陽極リード(12)の2つの引出し部(121)(121)をそれぞれ前記所定方向(91)に対して略垂直な方向及びそれとは反対の方向へ向けた姿勢で搭載されている。
ここで、図1及び図5に示す様に、外装部材(2)内には、陽極端子(3)に連設されて該陽極端子(3)から逆L字状に延びた2つの第1電気接続部(31)(31)が設けられている。具体的には、2つの第1電気接続部(31)(31)の内、一方の第1電気接続部(31)は、コンデンサ素子(1)の第1引出し面(1a)側を陽極端子(3)から逆L字状に延び、他方の第1電気接続部(31)は、コンデンサ素子(1)の第2引出し面(1b)側を陽極端子(3)から逆L字状に延びている。そして、各第1電気接続部(31)は、その先端部(310)を前記所定方向(91)とは反対の方向へ向けた姿勢を有している。
本実施形態においては、第1電気接続部(31)(31)は、陽極端子面(30)の外周縁の内、陰極端子面(40)側の2箇所から逆L字状に延びており、各第1電気接続部(31)は、陽極端子(3)の一部を逆L字状に屈曲変形させることにより形成されたものである。
そして、図2及び図6に示す様に、各第1電気接続部(31)の先端部(310)と陽極リード(12)の引出し部(121)とが、これらの接合面に溶接を施すことによって形成された接合部(32)を介して、互いに電気的に接続されている。斯くして、陽極リード(12)の各引出し部(121)と陽極端子(3)とは、該引出し部(121)に対応する第1電気接続部(31)と接合部(32)とを介して互いに電気的に接続されている。
図1及び図5に示す様に、外装部材(2)内には更に、陰極端子(4)に連設されて該陰極端子(4)から逆L字状に延びた第2電気接続部(41)が設けられている。具体的には、第2電気接続部(41)は、コンデンサ素子(1)の素子本体の下面(1c)側を陰極端子(4)から逆L字状に延びると共に、該第2電気接続部(41)の先端部(410)を前記所定方向(91)へ向けた姿勢を有している。
本実施形態においては、第2電気接続部(41)は、陰極端子面(40)の外周縁の内、陽極端子面(30)側の1箇所から逆L字状に延びており、第2電気接続部(41)は、陰極端子(4)の一部を逆L字状に屈曲変形させることにより形成されたものである。
そして、図2及び図3に示す様に、コンデンサ素子(1)の素子本体の下面(1c)と第2電気接続部(41)との間には導電性接着剤(42)が介在しており、これによって、コンデンサ素子(1)の陰極層(15)の一部と第2電気接続部(41)とが、導電性接着剤(42)を介して互いに電気的に接続されている。斯くして、コンデンサ素子(1)の陰極層(15)と陰極端子(4)とは、第2電気接続部(41)と導電性接着剤(42)とを介して互いに電気的に接続されている。
ここで、図3に示す様に、電解質層(14)の外周面上の第1領域R1には、陰極層(15)が形成されていない。従って、コンデンサ素子(1)の素子本体の下面(1c)には、電解質層(14)の第1領域R1が露出している。その一方で、コンデンサ素子(1)の素子本体の下面(1c)と第2電気接続部(41)との間に導電性接着剤(42)が介在することにより、電解質層(14)の第1領域R1と第2電気接続部(41)との間にも導電性接着剤(42)が介在している。よって、導電性接着剤(42)の一部が、電解質層(14)の第1領域R1を被覆してコンデンサ素子(1)の陰極層(15)として機能しており、これにより、コンデンサ素子(1)と陰極端子(4)との電気的な接続面積が増大している。
次に、上記固体電解コンデンサの製造方法について、図面に沿って具体的に説明する。該製造方法においては、素子作製工程、端子作製工程、素子搭載工程、及び外装形成工程が順に実行される。
素子作製工程は、コンデンサ素子(1)を作製する工程であり、素子作製工程においては、第1工程、第2工程、及び第3工程が順に実行される。
図7は、素子作製工程の第1工程の説明に用いられる斜視図である。図7に示す様に、素子作製工程の第1工程では、複数の陽極構成体(10)〜(10)となる陽極構造物(5)を作製する。ここで、陽極構造物(5)は、複数の陽極リード(12)〜(12)となるリード基材(50)と、複数の陽極体(11)〜(11)とから構成されており、リード基材(50)の複数箇所に、陽極体(11)が、その第1面(11a)と第2面(11b)の両面がリード基材(50)によって貫かれた状態で形成されている。
具体的には、上記第1工程では先ず、金型内に金属粉末を充填し、該金属粉末を押し固めることにより、陽極体(11)となる粉末成型体をリード基材(50)の複数箇所に形成する。ここで、各粉末成型体は、リード基材(50)によって貫かれた状態を有している。次に、リード基材(50)と共に、該リード基材(50)に形成された複数の粉末成型体を焼成することにより、各粉末成型体を焼結させて陽極体(11)を形成する。これによって、陽極構造物(5)が完成する。
又、上記第1工程で使用されるリード基材(50)には、陽極体(11)の形成位置が、コンデンサ素子(1)において陽極体(11)の第1面(11a)と第2面(11b)の両面から引き出されることとなる陽極リード(12)の引出し部(121)(121)の長さ寸法に応じて設定されている。そして、第1工程では、リード基材(50)上に設定された各形成位置に陽極体(11)が形成される。
具体的には、図7に示す様に、隣接する2つの陽極体(11)(11)間のリード基材(50)の長さ寸法dが、コンデンサ素子(1)の陽極リード(12)の2つの引出し部(121)(121)の長さ寸法の和より、後述する素子作製工程の第3工程(図13(a)及び図13(b)参照)で必要とされる切断代の分だけ長く設定されている。
素子作製工程の第2工程においては、取付け工程、コンデンサ素子(1)の誘電体層(13)を形成する工程、コンデンサ素子(1)の電解質層(14)を形成する工程、及びコンデンサ素子(1)の陰極層(15)を形成する工程が順に実行される。
図8は、素子作製工程の第2工程の内、取付け工程の説明に用いられる側面図である。図8に示す様に、取付け工程では、導電性を有するキャリアバー(6)を用意し、該キャリアバー(6)に陽極構造物(5)を、該陽極構造物(5)のリード基材(50)の延在方向(92)がキャリアバー(6)の延在方向(93)に対して略平行となる姿勢で取り付ける。このとき、リード基材(50)の両端部がキャリアバー(6)に固定される。
図9及び図10はそれぞれ、素子作製工程の第2工程の内、コンデンサ素子(1)の誘電体層(13)及び電解質層(14)を形成する工程の説明に用いられる図である。図9に示す様に、誘電体層(13)を形成する工程では、リン酸水溶液やアジピン酸水溶液等の電解溶液(701)で充たされた処理槽(71)を用意する。ここで、電解溶液(701)中には、陰極板(710)が設けられている。その後、キャリアバー(6)を操作して、陽極構造物(5)を電解溶液(701)に浸漬させる。そして、キャリアバー(6)と陰極板(710)との間に電圧Vを印加する。これにより、陽極構造物(5)の外周面が電気化学的に酸化(陽極酸化)され、その結果、陽極構造物(5)の外周面上に誘電体層(13)が形成される。
次に、電解質層(14)を形成する工程では、誘電体層(13)上に、導電性を有するプレコート層(図示せず)を形成する。ここで、該プレコート層は、化学重合法を用いて導電性高分子等の導電性材料から構成される。
電解質層(14)を形成する工程では更に、図10に示す様に、導電性ポリマー等の導電性有機材料からなる電解重合液(702)で充たされた処理槽(72)を用意する。ここで、電解重合液(702)中には、陰極板(720)が設けられている。その後、キャリアバー(6)を操作して、陽極構造物(5)を電解重合液(702)に浸漬させる。そして、電解重合液(702)中にて各陽極体(11)上のプレコート層に外部電極(61)を電気的に接触させ、又、外部電極(61)と陰極板(720)との間に電圧Vを印加することによって、プレコート層に定電流を流す。これにより、該プレコート層上に電解重合膜が形成され、その結果、該誘電体層(13)上に、プレコート層と該プレコート層上の電解重合膜とによって構成された電解質層(14)が形成される。そして、電解質層(14)の形成後、陽極構造物(5)をキャリアバー(6)から取り外す。
図11(a)〜図11(d)は、素子作製工程の第2工程の内、コンデンサ素子(1)の陰極層(15)を形成する工程の説明に用いられる図である。図11(a)に示す様に、この工程では先ず、カーボンペースト(703)で充たされた処理槽(73)を用意する。そして、陽極構造物(5)を、カーボンペースト(703)の液面(703a)に対してリード基材(50)の延在方向(92)が略平行となる姿勢で配置する。このとき、陽極構造物(5)は、リード基材(50)をその中心軸回りに回転させることが可能な回転装置(8)に設置される。その後、図11(b)に示す様に、処理槽(73)を上昇させて、リード基材(50)をカーボンペースト(703)に浸漬させずに各陽極体(11)の片側の端部(111)をカーボンペースト(703)に浸漬させる。
次に、図11(c)に示す様に、処理槽(73)を降下させた後、陽極構造物(5)の前記姿勢を維持したまま、回転装置(8)を駆動させて、リード基材(50)をその中心軸回りに約180°回転させる。その後、図11(d)に示す様に、処理槽(73)を上昇させて、リード基材(50)をカーボンペースト(703)に浸漬させずに各陽極体(11)の他方の端部(112)をカーボンペースト(703)に浸漬させる。
これにより、図12に示す様に、陽極構造物(5)の各陽極体(11)には、電解質層(14)の外周面上の所定領域(即ち、図3に示される第2領域R2)にカーボン層(151)が形成される一方、電解質層(14)の外周面にはカーボン層(151)のない帯状の第1領域R1が形成される。ここで、第1領域R1の両縁は、互いに平行であって直線状に延びている。又、リード基材(50)上にはカーボン層(151)が形成されない。
カーボン層(151)の形成後、銀ペースト(704)で充たされた処理槽(74)を用意する(図11(a)参照)。その後、上述したカーボン層(151)の形成と同様の操作を実行する。これにより、陽極構造物(5)のカーボン層(151)上に銀ペースト層(152)が形成され、その結果、電解質層(14)の外周面上の所定領域(即ち、図3に示される第2領域R2)に陰極層(15)が形成される(図12参照)。
図13(a)及び図13(b)は、素子作製工程の第3工程の説明に用いられる斜視図である。図13(a)に示す様に、素子作製工程の第3工程では、リード基材(50)に対して切断加工を施すことにより、リード基材(50)を複数の所定位置P〜Pにて切断する。これにより、図13(b)に示す如く、リード基材(50)から複数の陽極リード(12)〜(12)が形成されると共に、陽極体(11)(11)どうしが切り離され、これによって、2つの引出し部(121)(121)を有する複数のコンデンサ素子体(51)〜(51)が作製される。
尚、各コンデンサ素子体(51)においては、2つ引出し部(121)(121)の外周面(切断面を除く)には、誘電体層(13)と電解質層(14)が形成されたままである。そこで、上記第3工程の実行後、各コンデンサ素子体(51)について、陽極リード(12)の2つの引出し部(121)(121)に対してレーザ剥離を施すことにより、各引出し部(121)の先端部の表面を露出させる。これにより、図1〜図3に示されるコンデンサ素子(1)が完成する。
図14は、端子作製工程及び素子搭載工程の説明に用いられる斜視図である。図14に示す様に、端子作製工程では、陽極端子(3)及び2つの第1電気接続部(31)(31)となる1枚の第1金属板(52)に対して折り曲げ加工を施す。具体的には、第1金属板(52)は、陽極端子(3)となる第1平板部(521)と、第1電気接続部(31)(31)となる2つの第2平板部(522)(522)とを有しており、折り曲げ加工により、各第2平板部(522)を第1平板部(521)に対して逆L字状に屈曲変形させる。これにより、第1金属板(52)の第1平板部(521)からは陽極端子(3)が形成され、第1金属板(52)の各第2平板部(522)からは第1電気接続部(31)が形成される。
端子作製工程では更に、陰極端子(4)及び第2電気接続部(41)となる1枚の第2金属板(53)に対して折り曲げ加工を施す。具体的には、第2金属板(53)は、陰極端子(4)となる第1平板部(531)と、第2電気接続部(41)となる第2平板部(532)とを有しており、折り曲げ加工により、該第2平板部(532)を第1平板部(531)に対して逆L字状に屈曲変形させる。これにより、第2金属板(53)の第1平板部(531)からは陰極端子(4)が形成され、第2金属板(53)の第2平板部(532)からは第2電気接続部(41)が形成される。
次に、素子搭載工程では、図14に示す様に、陽極端子(3)及び陰極端子(4)上にコンデンサ素子を搭載する。ここで、陽極端子(3)は、陰極端子(4)から所定方向(91)へ離間した位置に配置されると共に、第2電気接続部(41)が2つの第1電気接続部(31)(31)の間に位置する様に配置されている。そして、素子搭載工程では、コンデンサ素子(1)を、その陽極リード(12)の2つの引出し部(121)(121)をそれぞれ前記所定方向(91)に対して略垂直な方向及びそれとは反対の方向へ向けた姿勢で搭載する。このとき、コンデンサ素子(1)の素子本体の下面(1c)と第2電気接続部(41)との間には、導電性接着剤(42)を介在させる(図2及び図3参照)。これにより、コンデンサ素子(1)の陰極層(15)と陰極端子(4)とが、第2電気接続部(41)と導電性接着剤(42)とを介して互いに電気的に接続されることになる。又、電解質層(14)の第1領域R1と第2電気接続部(41)との間にも導電性接着剤(42)が介在することになる(図3参照)。よって、導電性接着剤(42)の一部が、電解質層(14)の第1領域R1を被覆してコンデンサ素子(1)の陰極層(15)として機能することになる。
コンデンサ素子(1)の上記姿勢によれば、各第1電気接続部(31)には、これに対応する陽極リード(12)の引出し部(121)が接触することになる(図6参照)。そして、素子搭載工程では更に、陽極リード(12)の各引出し部(121)と第1電気接続部(31)との接触面に溶接を施す。これにより、該接触面に、陽極リード(12)と第1電気接続部(31)とを互いに電気的に接合する接合部(32)が形成され(図2参照)、その結果、陽極リード(12)の各引出し部(121)と陽極端子(3)とが、該引出し部(121)に対応する第1電気接続部(31)と接合部(32)とを介して互いに電気的に接続されることになる。
素子搭載工程の実行後、外装形成工程において、モールド成形技術を用いることにより、図1〜図3に示す如くコンデンサ素子(1)を外装部材(2)によって被覆する。ここで、外装部材の材料には、エポキシ樹脂等の樹脂が用いられる。
上記製造方法の素子作製工程においては、第3工程にて陽極体(11)(11)どうしを切り離すことにより複数のコンデンサ素子(1)〜(1)が形成され、第3工程を実行する迄は、複数の陽極構成体(10)〜(10)を、一体の構造物である陽極構造物(5)によって取り扱うことが出来る。従って、キャリアバー等の補助具がなくても、複数の陽極構成体(10)〜(10)を纏めて取り扱うことが出来る。よって、上記素子作製工程によれば、従来のコンデンサ素子の製造方法(図20参照)、即ち、複数の陽極構成体を纏めて取り扱うためにはキャリアバー等の補助具が必ず必要であった形態に比べて、コンデンサ素子(1)を効率的に製造することが可能である。
又、上記製造方法の素子作製工程においては、第2工程の取付け工程にてリード基材(50)の両端部をキャリアバー(6)に固定するだけで、キャリアバー(6)に陽極構造物(5)を取り付けることが出来る。よって、該素子作製工程によれば、従来のコンデンサ素子の製造方法(図20参照)、即ち、複数の陽極構成体をキャリアバーに1つずつ取り付ける必要があった形態に比べて、コンデンサ素子(1)を効率的に製造することが可能である。
更に、上記製造方法の素子作製工程によれば、陰極層(15)を形成する工程において、リード基材(50)の外周面上に陰極層(15)が形成されることがない。従って、作製されるコンデンサ素子(1)において、陽極リード(12)の2つの引出し部(121)(121)の外周面には陰極層(15)が形成されることがない。よって、固体電解コンデンサの製造過程において、コンデンサ素子(1)の陽極リード(12)の各引出し部(121)にレーザ剥離等の加工を施した場合でも、陽極リード(12)と陰極層(15)とが電気的に短絡することがなく、従ってショートの発生が低減されることになる。
又、陰極層(15)を形成する上記工程によれば、陽極体(11)の第1面(11a)及び第2面(11b)の両面に陰極層(15)を形成することが可能である。よって、作製されるコンデンサ素子(1)においては、従来のコンデンサ素子(図19参照)、即ち、陽極体の外周面の内、陽極リードが引き出されている面上には陰極層が形成されていない構成に比べて、低ESR化を実現し易い。
上記固体電解コンデンサにおいては、電解質層(14)の外周面上の第1領域R1には、陰極層(15)が形成されていない。従って、コンデンサ素子(1)の素子本体の下面(1c)には、電解質層(14)の第1領域R1が露出している。その一方で、上記固体電解コンデンサにおいては、電解質層(14)の第1領域R1と第2電気接続部(41)との間に導電性接着剤(42)が介在し、これによって、導電性接着剤(42)の一部が、電解質層(14)の第1領域R1を被覆してコンデンサ素子(1)の陰極層(15)として機能している。よって、コンデンサ素子(1)と陰極端子(4)との電気的な接続面積が増大し、これにより、上記固体電解コンデンサにおいて更なる低ESR化が実現されている。
更に又、上記製造方法の素子作製工程においては、隣接する2つの陽極体(11)(11)間のリード基材(50)の長さ寸法dが、コンデンサ素子(1)の陽極リード(12)の2つの引出し部(121)(121)の長さ寸法の和より、素子作製工程の第3工程(図13(a)及び図13(b)参照)で必要とされる切断代の分だけ長く設定されているに過ぎない。従って、該第3工程にてリード基材(50)に切断加工を施した際に発生する切り屑を削減することが出来る。従って、リード基材(50)の使用量が削減されることになる。
上記固体電解コンデンサにおいては、陽極端子面(30)の形状を従来の形状から変更しなくても、陽極リード(12)の2つの引出し部(121)(121)と陽極端子面(30)との間の距離L(図4参照)をそれぞれ略同一にすることが出来る。従って、該距離Lが、陽極体の表面の1箇所から陽極リードが引き出されているに過ぎない従来の固体電解コンデンサについての陽極リードの引出し部と陽極端子面との間の距離と同程度となる様に、コンデンサ素子(1)を陽極端子(3)及び陰極端子(4)上に搭載することにより、陽極リード(12)の引出し部(121)の本数が増えた分、陽極体(11)と陽極端子面(30)間に生じる電気抵抗及び/又はインダクタンスが小さくなり、その結果、固体電解コンデンサの低ESR化及び/又は低ESL(等価直列インダクタンス)化が実現されることになる。
又、上記固体電解コンデンサにおいては、陽極端子(3)の上面からの陽極リード(12)の引出し部(121)の高さ位置に応じて、各第1電気接続部(31)の高さ寸法H(図5参照)を変化させることが出来る。従って、陽極端子(3)の上面からの陽極リード(12)の引出し部(121)の高さ位置に応じて各第1電気接続部(31)の高さ寸法Hを調整することによって、該第1電気接続部(31)の先端部(310)を、これに対応する陽極リード(12)の引出し部(121)に確実に接触させることが出来る。よって、上記固体電解コンデンサによれば、陽極端子(3)と陽極リード(12)の各引出し部(121)との電気的な接続状態が良好である。
更に又、上記固体電解コンデンサによれば、陽極端子(3)となる第1金属板(52)に対して折り曲げ加工を施すことにより、2つの第1電気接続部(31)(31)を容易に形成することが出来る。又、第1金属板(52)の折り曲げ位置を変えるだけで、各第1電気接続部(31)の高さ寸法Hを容易に変化させることが出来る。
図15(a)及び図15(b)は、上記素子作製工程の第2工程の内、コンデンサ素子(1)の陰極層(15)を形成する工程について、その変形例の説明に用いられる図である。カーボン層(151)を形成する工程において、図15(a)に示す様に、回転装置(8)を駆動させてリード基材(50)をその中心軸回りに回転させ、その後、図15(b)に示す様に、その回転状態を維持したまま、処理槽(73)を上昇させてもよい。このとき、処理槽(73)は、リード基材(50)がカーボンペースト(703)に浸漬することがなく、且つ、リード基材(50)の回転によって各陽極体(11)の両端部(111)(112)がカーボンペースト(703)内を通過することとなる高さ位置まで上げられる。これにより、各陽極体(11)の両端部(111)(112)がカーボンペースト(703)に浸漬することになる。銀ペースト層(152)を形成する工程においても、カーボン層(151)の形成と同様の操作を実行することが出来る。
上記変形例に係る方法によれば、図16又は図17に示す如く、陽極構造物(5)の各陽極体(11)には、電解質層(14)の外周面上の所定領域に陰極層(15)が形成される一方、電解質層(14)の外周面には陰極層(15)のない領域R3が形成されることになる。そして、この領域R3の形状は、図18に示された距離T1と距離T2との大小関係に応じて決まる。ここで、距離T1は、リード基材(50)の中心軸(501)から、電解質層(14)の外周面の内、陽極体(11)の側面(11c)を覆った領域(図3も参照)までの最小距離である。距離T2は、リード基材(50)の中心軸(501)から処理液(703)の液面(703a)までの距離である。
具体的には、距離T1が距離T2より小さい場合(T1<T2)、前記領域R3は、電解質層(14)の外周面上を帯状に延びた形状を有し、又、図16に示す様に、電解質層(14)の外周面の内、陽極体(11)の第1面(11a)及び第2面(11b)を覆った領域(図2も参照)上において、該領域R3の両縁が、リード基材(50)の中心軸(501)を中心とした円弧形状を描くことになる。
一方、距離T1が距離T2より大きい場合(T1>T2)、前記領域R3は、電解質層(14)の外周面の内、陽極体(11)の側面(11c)を覆った領域(図3も参照)上には現れず、その一方で、図17に示す様に、該領域R3は、電解質層(14)の外周面の内、陽極体(11)の第1面(11a)及び第2面(11b)を覆った領域(図2も参照)上において、陽極リード(50)の中心軸(501)を中心として略円状に拡がった形状を有することになる。この場合、作製されるコンデンサ素子(1)において、電解質層(14)の外周面の内、陰極層(15)によって覆われた領域の面積が大きくなり、その結果、作製される固体電解コンデンサにおいて更なる低ESR化が実現されることになる。
尚、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、固体電解コンデンサの各種構成について、これらの形状及び寸法は、上記実施形態及び図面に示したものに限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
上記固体電解コンデンサにおいて、陽極リード(12)の各引出し部(121)と陽極端子(3)とは、導電性を有する枕部材を介して互いに電気的に接続されていてもよい。
(1) コンデンサ素子
(1a) 第1引出し面
(1b) 第2引出し面
(1c) 下面
(10) 陽極構成体
(11) 陽極体
(11a) 第1面
(11b) 第2面
(111) 端部
(112) 端部
(12) 陽極リード
(121) 引出し部
(13) 誘電体層
(14) 電解質層
(15) 陰極層
(2) 外装部材
(2a) 下面
(3) 陽極端子
(30) 陽極端子面
(31) 第1電気接続部
(310) 先端部
(32) 接合部
(4) 陰極端子
(40) 陰極端子面
(41) 第2電気接続部
(42) 導電性接着剤
(5) 陽極構造物
(50) リード基材
(51) コンデンサ素子体
(52) 第1金属板
(521) 第1平板部
(522) 第2平板部
(53) 第2金属板
(531) 第1平板部
(532) 第2平板部
(6) キャリアバー
(701) 電解溶液
(702) 電解重合液
(703) カーボンペースト(処理液)
(704) 銀ペースト(処理液)
(8) 回転装置
R0 所定領域
R1 第1領域
R2 第2領域

Claims (7)

  1. 陽極構成体と陰極部とを有するコンデンサ素子であって、陽極体と、該陽極体に植立された陽極リードとを具え、前記陽極体の外周面には、互いに略対向する第1面及び第2面が含まれ、該第1面と第2面の両面から前記陽極リードが引き出されており、前記陽極体の外周面の少なくとも一部に誘電体層が形成され、該誘電体層上に電解質層が形成され、該電解質層上に陰極層が形成され、前記陽極体と陽極リードとによって前記陽極構成体が構成される一方、前記陰極層によって前記陰極部が構成されているコンデンサ素子を製造する方法であって、
    前記陽極構成体となる構造物であって、前記陽極リードとなるリード基材の複数箇所に、前記陽極体が、その第1面と第2面の両面が前記リード基材によって貫かれた状態で形成されている陽極構造物を作製する第1工程と、
    前記第1工程の実行後、前記誘電体層、電解質層、及び陰極層を順に、前記陽極構造物の所定領域上に形成する第2工程と、
    前記第2工程の実行後、前記リード基材に対して切断加工を施して陽極体どうしを切り離す第3工程
    とを有する、コンデンサ素子の製造方法。
  2. 前記第2工程には、
    キャリアバーを用意し、該キャリアバーに前記陽極構造物を、該陽極構造物のリード基材の延在方向がキャリアバーの延在方向に対して略平行となる姿勢で取り付ける取付け工程と、
    キャリアバーに取り付けられた前記陽極構造物に対して、前記誘電体層及び電解質層を形成する形成工程
    とが含まれている、請求項1に記載のコンデンサ素子の製造方法。
  3. 前記第2工程では、前記陽極構造物の所定領域上に誘電体層及び電解質層を形成した後、前記陽極構造物を、前記陰極層を形成するための処理液の液面に対してリード基材の延在方向が略平行となる姿勢で配置して、リード基材を前記処理液に浸漬させずに該リード基材をその中心軸回りに回転させることによって、各陽極体の両端部を前記処理液に浸漬させる、請求項1又は請求項2に記載のコンデンサ素子の製造方法。
  4. 前記第1工程で使用されるリード基材には、陽極体の形成位置が、前記コンデンサ素子において陽極体の第1面と第2面の両面から引き出されることとなる陽極リードの引出し部の長さ寸法に応じて設定されている、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のコンデンサ素子の製造方法。
  5. 2つの陽極部と陰極部とを有するコンデンサ素子を具え、該コンデンサ素子の2つの陽極部には陽極端子が電気的に接続され、該コンデンサ素子の陰極部には陰極端子が電気的に接続されている固体電解コンデンサを製造する方法であって、
    請求項1乃至請求項4の何れかに記載のコンデンサ素子の製造方法と、
    該製造方法によって作製されたコンデンサ素子を前記陽極端子及び陰極端子上に搭載する素子搭載工程
    とを有し、
    前記コンデンサ素子の製造方法の第3工程では、リード基材に切断加工を施すことによって、前記陽極体の第1面と第2面の両面から引き出された陽極リードを形成し、該陽極リードの内、陽極体の第1面と第2面の両面から引き出された2つの引出し部によって前記2つの陽極部が構成され、
    前記素子搭載工程では、コンデンサ素子の陽極リードの各引出し部を前記陽極端子に電気的に接続する一方、コンデンサ素子の陰極層を前記陰極端子に電気的に接続する
    固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 陽極体と、該陽極体に植立された陽極リードとを具え、前記陽極体の外周面には、互いに略対向する第1面及び第2面が含まれ、該第1面と第2面の両面から前記陽極リードが引き出されており、前記陽極体の外周面上に誘電体層が形成され、該誘電体層上に電解質層が形成され、該電解質層上に陰極層が形成される一方、陽極体の外周面の内、陽極リードの引出し位置を含んで陽極体を包囲する帯状の所定領域の上方には、前記陰極層が形成されていないコンデンサ素子。
  7. 陽極体と、該陽極体に植立された陽極リードとを具え、前記陽極体の外周面には、互いに略対向する第1面及び第2面が含まれ、該第1面と第2面の両面から前記陽極リードが引き出されており、前記陽極体の外周面上に誘電体層が形成され、該誘電体層上に電解質層が形成され、該電解質層上に陰極層が形成される一方、陽極体の第1面及び第2面の内、陽極リードの中心軸を中心として拡がる略円状の所定領域の上方には、前記陰極層が形成されていないコンデンサ素子。
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