JP2012032343A - 電解液の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電解液の耐酸化性を安定して精度良く評価することができる電解液の評価方法を提供する。
【解決手段】 作用極20と対極30との間にリチウムイオンを含む電解液1を介在させて、この電解液の耐酸化性を評価する電解液の評価方法は、作用極が、リチウムイオンを挿入脱離可能で、耐酸化性を評価する評価電位範囲REにおいて、リチウムイオンが完全に脱離しており、かつ、この評価電位範囲で、結晶構造が安定である正極活物質22を備え、正極活物質を予めリチウムイオンが完全に脱離した状態とした作用極と、対極との間に電解液を介在させた状態で、作用極の電位E1を評価電位範囲内の一定の値としたときに、作用極と対極との間に流れた電流の大きさSCを測定する電流測定段階を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、作用極と対極との間にリチウムイオンを含む電解液を介在させて、この電解液の耐酸化性を評価する電解液の評価方法に関する。
近年、ハイブリッド自動車、電気自動車などの車両や、ノート型パソコン、ビデオカムコーダなどのポータブル電子機器の駆動用電源に、充放電可能なリチウムイオン電池(以下、単に電池もいう)が利用されている。
このような電池に用いる電解液の良否を判別する手法としては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。即ち、この特許文献1には、リチウムイオン電池用の電解液に、アロキシルラジカル等のラジカルを加え、そのラジカルの有する固有波長の可視光吸収強度の減衰量を計測することで、電解液中のフッ酸の含有量及び溶媒の分解生成物の含有量を定量し、電解液の良否を判別するリチウムイオン電池用電解液の検査方法が挙げられている。
特開2001−250587号公報
ところで、リチウムイオン電池において、用いている電解液が酸化されると、この電解液が分解し、リチウムイオン電池の電池性能も低下してしまう。そこで、リチウムイオン電池の電解液の酸化を防止するため、この電解液の耐酸化性にもとづいて、リチウムイオン電池の充放電(特に充電)を制御する必要がある。
しかしながら、特許文献1には、電解液の耐酸化性の評価方法については開示がない。
そこで、二電極法や三電極法を用いて作用極の電位を変化させて、これに接するリチウムイオン電池用の電解液の耐酸化性を評価することが考えられる。
しかし、例えば、作用極に金属のプラチナを用いた場合には、リチウムイオン電池における電解液の耐酸化性を精度良く評価し難いことが判ってきた。その原因は、実際のリチウムイオン電池に用いる正極活物質とは異なり、プラチナは、自身にリチウムイオンを挿入脱離させることができないので、正極活物質とは、電解液との反応状況が異なるためと考えられる。
そこで、リチウムイオン電池で一般に正極活物質として用いられるLiNiO2やLiCoO2を作用極に用いることも考えられる。しかしながら、これらLiNiO2,LiCoO2は、例えば、4.0V(vs.Li/Li+)以上の電位としても、リチウムイオンが完全に脱離せずに残留しており、電位の上昇と共に徐々にリチウムイオンを放出する。このため、作用極の電位を4.0V以上としても、作用極で電極反応(正極活物質からのリチウムイオンの脱離反応)が生じて電流が流れる。つまり、電解液の耐酸化性を評価する際、作用極及び対極の間には、電解液の酸化分解による電流のほか、作用極における電極反応に伴う電流が流れるため、電解液の酸化分解電位を正確には把握できない。かくして、正極活物質としてLiNiO2やLiCoO2を作用極に用いた場合も、電解液の耐酸化性を精度良く評価し難い。
また、LiNiO2やLiCoO2は、リチウムイオンの多くを脱離させると、結晶構造が不安定となり、結晶が崩壊することがあるため、評価結果にばらつきが生じやすく、この点からも作用極の材料として適切とは言えない。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、電解液の耐酸化性を安定して精度良く評価することができる電解液の評価方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、作用極と対極との間にリチウムイオンを含む電解液を介在させて、この電解液の耐酸化性を評価する電解液の評価方法であって、上記作用極は、上記リチウムイオンを挿入脱離可能な正極活物質であって、上記耐酸化性を評価する評価電位範囲において、上記リチウムイオンが完全に脱離しており、かつ、この評価電位範囲で、結晶構造が安定である正極活物質を備え、上記正極活物質を予め上記リチウムイオンが完全に脱離した状態とした上記作用極と、上記対極との間に上記電解液を介在させた状態で、上記作用極の電位を上記評価電位範囲内の一定の値としたときに、上記作用極と上記対極との間に流れた電流の大きさを測定する電流測定段階を備える電解液の評価方法である。
上述の電解液の評価方法では、正極活物質を備える作用極を用いている。このため、作用極として、正極活物質とは電解液との反応状況が異なるプラチナを用いるよりも、リチウムイオン電池における電解液の耐酸化性を精度良く評価できる。
しかも、正極活物質として電解液の耐酸化性を評価する評価電位範囲において、リチウムイオンが完全に脱離しており、かつ、この評価電位範囲で、結晶構造が安定である正極活物質を用いている。このため、電流測定段階において、正極活物質からのリチウムイオンの脱離に伴う電流が流れない。従って、電解液の酸化分解によって流れる電流を適切に測定することができる。さらに、作用極に用いた正極活物質の結晶構造が安定であるので、この作用極も安定であり、適切に電流測定を行うことができる。
かくして、電解液の耐酸化性を安定して精度良く評価することができる。
なお、本評価方法において正極活物質とは、リチウムイオン電池において正極用の活物質として用いうる物質をいう。作用極に用いる正極活物質には、リチウムイオンを挿入脱離可能な正極活物質であって、耐酸化性を評価する評価電位範囲において、リチウムイオンが完全に脱離しており、かつ、この評価電位範囲で、結晶構造が安定な物質を用いている。具体的には、例えば、LiFePO4,LiMnPO4等のオリビン型の結晶構造を有するリチウム金属酸化物や、LiMn24等のスピネル型の結晶構造を有するリチウム金属酸化物が挙げられる。
また、対極としては、例えば、リチウム金属や、リチウムイオンを挿入離脱可能なグラファイト等の炭素系材料が挙げられる。
また、作用極の電位や、作用極と対極との間を流れる電流を測定する手法としては、例えば、作用極及び対極の2つの電極を用いる二電極法や、作用極、対極のほか参照極を用いる三電極法が挙げられる。
なお、二電極法を用いるにあたっては、上述の電流測定段階では、直流電源装置を用いて、作用極と対極との間に電圧を印加して、これら作用極と対極との間に流れた電流の大きさを測定する。
一方、三電極法を用いるにあたっては、作用極と対極との間に、参照極を別途設ける。そして、上述の電流測定段階では、ポテンショスタットを用い、参照極に対する作用極の電位が評価電位範囲内の一定の値となるように、作用極と対極との間に印加する電圧を制御するとともに、このときに作用極と対極との間に流れた電流の大きさを測定する。
なお、二電極法を用いる場合には、例えば、二極式セル(正極が作用極で、負極が対極にそれぞれ相当する電池等)を用いることができる。また、三電極法を用いる場合には、例えば、三極式セル(三極式ビーカーセル等)を用いることができる。
さらに、上述の電解液の評価方法であって、リチウム/リチウムイオン電極を参照極とする三電極法により、前記作用極の電位と、上記作用極と前記対極との間に流れる電流を測定する電解液の評価方法とすると良い。
上述の電解液の評価方法では、リチウム/リチウムイオン電極を参照極とする三電極法により作用極の電位と、作用極と対極との間に流れる電流を測定する。このため、二電極法に比べて作用極の電位と、作用極と対極との間を流れる電流との関係を精度良く定めることができる。従って、二電極法に比べて、より正確に電解液の耐酸化性の評価を行うことができる。
さらに、上述のいずれかの電解液の評価方法であって、前記電流測定段階は、前記作用極の電位を、前記評価電位範囲内で、低電位側から階段状に上昇させ、上記作用極の各電位について、上記作用極と前記対極との間に流れた電流の大きさを測定する電解液の評価方法とすると良い。
電解液を接する作用極の電位を徐々に高くしていくと、電解液の酸化分解が生じた段階で、作用極と対極との間に電流(酸化分解電流)が流れる。
この知見に基づき、上述の電解液の評価方法では、作用極の電位を、評価電位範囲内で、低電位側から階段状に上昇させ、作用極の各電位について、作用極と対極との間に流れる電流の大きさを測定する。これにより、例えば、リニアスイープボルタンメトリーやサイクリックボルタンメトリーによって、作用極の電位を連続的に変化させる場合に比して、電解液の酸化により、酸化分解電流が流れる作用極の電位、あるいは、流れない電位の値を正確に検知できる。これにより、電解液の酸化分解電位を適切に検知でき、電解液の耐酸化性を確実に精度良く評価することができる。
さらに、上述の電解液の評価方法であって、前記電流測定段階は、前記作用極の各電位について、上記作用極と前記対極との間に流れた電流の収束値を測定する電解液の評価方法とすると良い。
電流測定段階において、作用極の電位を階段状に上昇させるべく、作用極と対極との間に印加する電圧を階段状に上昇させると、電解液の酸化分解とは関係なく、上昇直後の短時間だけ、時間と共に急激に減少する電流が電極間に流れる。これは、作用極及び対極間に形成された静電容量(コンデンサ)等の充電電流が流れるためと推測される。従って、この充電電流は、電解液の評価とは関係がない。
これに対し、上述の電解液の評価方法では、作用極の各電位について、作用極と対極との間に流れる電流の収束値を測定するので、上述のような電位の階段状の上昇に伴って流れる電流の影響を排除することができ、電解液の酸化分解による電流(酸化分解電流)を確実に測定することができる。
なお、電流の収束値とは、作用極の電位を階段状に上昇させた直後に生じる、急速に減少するスパイク状の電流分が無くなった状態など、電流の大きさが安定した状態での電流の値をいう。
実施形態1の電解液評価システムの概略図である。 実施形態1の電解液収容体の斜視図である。 実施形態1にかかる電解液の評価方法における、作用極電位の時間変化、及び、作用極及び対極の間に流れる電流値の時間変化についてのグラフである。
(実施形態1)
次に、本発明の実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態1にかかる、電解液1の評価方法について説明する。図1に電解液1の耐酸化性を評価可能な電解液評価システムMSの概略図を示す。なお、本実施形態1の電解液1の評価方法では、電解液1の耐酸化性の評価に、電解液1が酸化したときに流れる電流(酸化分解電流)を用いる。つまり、互いに離間しつつ電解液1に浸漬された、次述の三極式ビーカーセル10をなす作用極20と参照極40との間の電位差(次述する作用極電位E1)の大きさを変えて、作用極20と対極30との間に電解液1の酸化分解電流による電流が流れるかどうかで評価する。即ち、作用極20と対極30との間に電流が流れなければ、その作用極電位E1では、電解液1は酸化しない(酸化分解電位はさらに高い)ことが判る。逆に、作用極20と対極30との間に電流が流れれば、その作用極電位E1で、電解液1が酸化分解している(酸化分解電位は、現在の作用極電位E1よりも低い)ことが判る。
電解液評価システムMSは、作用極20、対極30及び参照極40と、これらと共に電解液1を自身の内部に収容する電解液収容体11と、導線91,92,93を通じて、各電極20,30,40に各々接続したポテンショスタット50と、第2導線92(作用極20と対極30との間)に流れる電流を測定する電流計60と、作用極20と参照極40との間の電位差(作用極電位E1)を測定する電圧計70とを備える。なお、上述の作用極20、対極30、参照極40及び電解液収容体11は、いわゆる三極式ビーカーセル10をなしている。
このうち、ポテンショスタット50は、作用極端子51、対極端子52及び参照極端子53を有する。このポテンショスタット50の作用極端子51は、第1導線91を通じて作用極20に、対極端子52は、第2導線92を通じて対極30に、参照極端子53は、第3導線93を通じて参照極40にそれぞれ接続している。なお、このポテンショスタット50は、後述するように、作用極20と参照極40との間の電位差(作用極電位E1)が設定した値になるように作用極20と対極30との間に流れる電流を制御する装置である。
但し、前述したように、本実施形態1では、電解液1が作用極20において酸化分解が生じた場合には、作用極20と対極30との間に電流が流れる。しかし、電解液1に酸化分解が生じていない場合には、作用極20と対極30との間に電流は流れない。これは、作用極20の正極活物質22(後述)中にリチウムイオンが含まれないから、リチウムイオンに起因する電流が流れない一方、電解液1が酸化分解すると、その分解によるイオンが生じて作用極20と対極30との間に電流が流れるためである。
また、三極式ビーカーセル10の電解液収容体11は、有底円筒形状の本体部材12、及び、この本体部材12の開口を塞ぐ円板形状の蓋部材13からなる(図2参照)。この蓋部材13には、後述するように作用極20、対極30及び参照極40がそれぞれ貫通しており、この蓋部材13は、これらを保持している。
また、本体部材12は、この内部に電解液1を収容している。なお、本実施形態1では、電解液1に、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、体積比でEC:EMC=3:7に調整した混合有機溶媒に、溶質としてLiPF6を添加して1mol/lの濃度とした有機電解液を用いる。また、この本体部材12には、作用極20、対極30及び参照極40の、後述の活物質層21や金属リチウム層31,41が没する程度に電解液1を注液してある(図2参照)。
作用極20は、棒状の作用極集電棒25、アルミニウム箔からなる作用極集電箔23、及び、この作用極集電箔23の片側の主面上に形成された活物質層21からなる。
このうち、作用極集電棒25は、蓋部材13を貫通しており、電解液収容体11の内側に位置し、作用極集電箔23と電気的に接続しつつ、これを保持する保持部25S、及び、電解液収容体11(蓋部材13)から外部に延出する延出部25Tを含む。この延出部25Tは、第1導線91と電気的に接続されている。
また、活物質層21は、LiFePO4からなる正極活物質22、アセチレンブラックからなる導電助剤(図示しない)及びポリフッ化ビニリデンからなる結着剤(図示しない)を含む。なお、活物質層21におけるこれらの重量比は、正極活物質22が85wt%、導電助剤が5wt%、結着剤が10wt%である。
対極30は、棒状の対極集電棒35、銅箔(又はニッケル箔)からなる対極集電箔33、及び、この対極集電箔33の片側の主面に形成された金属リチウム層31からなる。
このうち、対極集電棒35は、蓋部材13を貫通しており、電解液収容体11の内側に位置し、対極集電箔33と電気的に接続しつつ、これを保持する保持部35S、及び、電解液収容体11(蓋部材13)から外部に延出する延出部35Tを含む。この延出部35Tは、第2導線92と電気的に接続されている。
参照極40は、棒状の参照極集電棒45、銅箔(又はニッケル箔)からなる参照極集電箔43、及び、この参照極集電箔43の片側の主面上に形成された金属リチウム層41からなる。
このうち、参照極集電棒45は、蓋部材13を貫通しており、電解液収容体11の内側に位置し、参照極集電箔43と電気的に接続しつつ、これを保持する保持部45S、及び、電解液収容体11(蓋部材13)から外部に延出する延出部45Tを含む。この延出部45Tは、第3導線93と電気的に接続している。
なお、参照極40は、参照極集電箔43の主面上に形成した金属リチウム層41を有しているので、リチウム/リチウムイオン電極をなす。また、この参照極40と作用極20との間の電位差(電圧)は、参照極40の金属リチウム層41を基準とした、作用極20の電位に一致する。
また、上述した三極式ビーカーセル10では、電解液収容体11の内部で、図2に示すように、作用極20の活物質層21、対極30の金属リチウム層31、及び、参照極40の金属リチウム層41がそれぞれ離間しつつ、電解液1中に没している。このため、上述したポテンショスタット50を用いて、これら作用極20、対極30及び参照極40により、電解液1の耐酸化性を評価することができる。
次に、上述した電解液評価システムMSを用いた、電解液1の評価方法について説明する。
なお、本実施形態1では、電解液1として例えば、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、体積比でEC:EMC=3:7に調整した混合有機溶媒に、溶質としてLiPF6を添加して1mol/lの濃度とした有機電解液を用いた。
まず、電解液収容体11の内部に収容した作用極20の正極活物質22からリチウムイオンを予め完全に脱離させる。本実施形態1で用いた正極活物質22は、LiFePO4からなるオリビン型のリチウム金属酸化物であるので、作用極20と対極30との間に電圧を印加して、作用極20の電位(作用極電位E1)を4.2V(vs.Li/Li+)とすることで、正極活物質22からリチウムイオンを完全に脱離させることができる。
具体的には、ポテンショスタット50を用いて、電解液収容体11を25℃の環境下で、1/5C(作用極20に用いる正極活物質22の質量から求める理論容量を「1C」とする)の電流値で、作用極電位E1が4.2Vに到達するまで定電流充電を行い、その後、作用極電位E1をこの電位に保ちながら電流値が1/250Cとなるまで保持した。
次に、電解液1の評価方法における電流測定段階を行う。
まず、正極活物質22からリチウムイオンを完全に脱離させた作用極20と、対極30と参照極40との間に電解液1を介在させた三極式ビーカーセル10において、ポテンショスタット50を用いて、作用極20と対極30との間に電圧を印加して、作用極20の電位(作用極電位E1)を所定値に制御する。具体的には、作用極20の作用極電位E1を、評価電位範囲RE(本実施形態1では4.2〜5.0V(vs.Li/Li+))内のうち、低電位側の4.2Vから0.2Vずつ階段状に上昇させる。このように、電解液1を接する作用極20の作用極電位E1を段階的に高くすると、電解液1の酸化分解が生じた場合には、作用極20と対極30との間に電流(酸化分解電流)が流れるので、酸化分解電位の検知がしやすい。
所定の保持期間(本実施形態1では10時間)にわたり、作用極電位E1を4.2Vに保持する。そして、この間、作用極20と対極30との間に流れる電流の値を、電流計60を用いて測定した。なお、本実施形態1で保持時間を10時間としているのは、酸化分解電流が収束したのを判断するのに十分長い時間であると考えられるためである。
所定の保持期間(10時間)が過ぎたら、作用極電位E1を0.2V分、階段状に上昇させる(例えば、4.4Vとする)。そして、再度所定の保持期間(10時間)にわたり、作用極電位E1をその電位に保持し、その間に作用極20と対極30との間に流れる電流の大きさを測定する。このようにして、評価電位範囲RE内の最高電位である5.0Vまで順次行った。
図3のグラフは、横軸(試験時間)に対する、作用極電位E1の時間変化、及び、作用極20及び対極30の間に流れる電流値の時間変化を示すグラフである。
図3から、作用極電位E1を階段状に上昇させると、この上昇直後の短時間だけ、時間と共に急激に減少するスパイク状の電流(図3中、B部)が作用極20及び対極30の間に流れているのが判る。これは、電位変化に伴って、作用極20と対極30との間に形成された静電容量(コンデンサ)の充電電流が流れたためと考えられる。
このような電流変化は、電解液1の耐酸化性の評価とは関係がない。そこで、本評価方法では、このような電流変化が無くなり、電流の大きさが安定した状態での電流収束値SCに基づいて、電解液1の耐酸化性の評価を行う。
図3のグラフによれば、作用極電位E1を4.2〜4.6V(vs.Li/Li+)としたときは、電流収束値SCがいずれも0である。このことから、作用極電位E1が4.2〜4.6Vでは、電解液1は酸化分解しない、つまり、電解液1の酸化分解電位は4.6Vよりも高いことが判る。
一方、作用極電位E1を4.8Vとしたときは、電流収束値SCが−0.2mAとなった(なお、作用極電位E1を5.0Vとした場合には、電流収束値SCは測定不能である)。このことから、作用極電位E1が4.8V以下で電解液1が酸化分解する、即ち、電解液1の酸化分解電位は4.8V以下であることが判る。
これらから、リチウムイオン電池における、電解液1の酸化分解電位は4.6Vよりも高く、かつ、4.8V以下であることが判る。
以上で説明したように、上述の電解液1の評価方法では、正極活物質22を備える作用極20を用いている。このため、作用極20として、正極活物質22とは電解液1との反応状況が異なるプラチナを用いるよりも、リチウムイオン電池における電解液1の耐酸化性を精度良く評価できる。
しかも、正極活物質22として、電解液1の耐酸化性を評価する評価電位範囲REにおいて、リチウムイオンが完全に脱離しており、かつ、この評価電位範囲REで、結晶構造が安定であるLiFePO4を用いている。このため、電流測定段階において、正極活物質22からのリチウムイオンの脱離に伴う電流が流れない。従って、電解液1の酸化分解によって流れる電流(電流収束値SC)を適切に測定することができる。さらに、作用極20に用いた正極活物質22の結晶構造が安定であるので、この作用極20も安定であり、適切に電流測定を行うことができる。
かくして、電解液1の耐酸化性を安定して精度良く評価することができる。
また、金属リチウム層41を用いたリチウム/リチウムイオン電極を参照極40とする三電極法により作用極電位E1と、作用極20と対極30との間に流れる電流を測定した。このため、二電極法に比べて作用極電位E1を精度良く定めることができる。従って、二電極法に比べて、より正確に電解液1の耐酸化性の評価を行うことができる。
また、作用極20の作用極電位E1を、評価電位範囲RE内で、低電位(4.2V)側から階段状に上昇させ、作用極20の各電位について、作用極20と対極30との間に流れる電流の大きさ(電流収束値SC)を測定する。これにより、作用極20の作用極電位E1を連続的に上昇させる場合に比して、電解液1の酸化により、酸化分解電流が流れる作用極電位E1、あるいは、流れない作用極電位E1の値を正確に検知できる。これにより、電解液1の酸化分解電位を適切に検知でき、電解液1の耐酸化性を確実に精度良く評価することができる。
また、上述の電解液1の評価方法では、作用極20の各電位について、作用極20と対極30との間に流れる電流収束値SCを測定するので、上述の充電電流(図3中、B部)の影響を排除することができ、電解液1の酸化分解による電流(酸化分解電流)を確実に測定することができる。
以上において、本発明を実施形態1に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態1の正極活物質22をLiFePO4としたが、評価電位範囲REにおいて、リチウムイオンが完全に脱離しており、かつ、この評価電位範囲REで、結晶構造が安定な物質であれば良く、LiFePO4のほかに、LiMnPO4等のオリビン型の結晶構造を有するリチウム金属酸化物や、LiMn24等のスピネル型の結晶構造を有するリチウム金属酸化物としても良い。また、電流測定段階において、作用極電位E1を、0.2Vずつ階段状に上昇させたが、この値に限定されず、例えば、0.1V,0.3Vとしても良い。
また、実施形態1では、作用極の電位や、作用極と対極との間を流れる電流を測定する手法として、いわゆる三極式ビーカーセルを用いた三電極法を示したが、作用極及び対極の2つの電極を用いる、いわゆる二電極法を用いても良い。二電極法を用いるにあたっては、上述の電流測定段階では、直流電源装置を用いて、作用極と対極との間に電圧を印加して、これら作用極と対極との間に流れた電流の大きさを測定すれば良い。
1 電解液
20 作用極
22 正極活物質
30 対極
40 参照極
E1 作用極電位(作用極の電位)
RE 評価電位範囲
SC 電流収束値(電流の大きさ,収束値)

Claims (4)

  1. 作用極と対極との間にリチウムイオンを含む電解液を介在させて、この電解液の耐酸化性を評価する
    電解液の評価方法であって、
    上記作用極は、上記リチウムイオンを挿入脱離可能な正極活物質であって、上記耐酸化性を評価する評価電位範囲において、上記リチウムイオンが完全に脱離しており、かつ、この評価電位範囲で、結晶構造が安定である正極活物質を備え、
    上記正極活物質を予め上記リチウムイオンが完全に脱離した状態とした上記作用極と、上記対極との間に上記電解液を介在させた状態で、上記作用極の電位を上記評価電位範囲内の一定の値としたときに、上記作用極と上記対極との間に流れた電流の大きさを測定する電流測定段階を備える
    電解液の評価方法。
  2. 請求項1に記載の電解液の評価方法であって、
    リチウム/リチウムイオン電極を参照極とする三電極法により、前記作用極の電位と、上記作用極と前記対極との間に流れる電流を測定する
    電解液の評価方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電解液の評価方法であって、
    前記電流測定段階は、
    前記作用極の電位を、前記評価電位範囲内で、低電位側から階段状に上昇させ、上記作用極の各電位について、上記作用極と前記対極との間に流れた電流の大きさを測定する
    電解液の評価方法。
  4. 請求項3に記載の電解液の評価方法であって、
    前記電流測定段階は、
    前記作用極の各電位について、上記作用極と前記対極との間に流れた電流の収束値を測定する
    電解液の評価方法。
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