一例として示す変動データ演算装置の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる変動データ演算装置の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、一例として示す空気調和エレメントを組み合わせた空調施設の系統図であり、図3は、図2の系統図の各種エレメントを電気抵抗に置換した場合の等価電気回路図である。図4は、一例として示す扉23〜25の斜視図である。図1では、ディスプレイ53に空調施設の系統図が表示されている。図2では、変動データ演算装置50が実行するアルゴリズムの一例を示す。図2,3では、ディスプレイ53の図示を省略している。
変動データ演算装置50は、図示はしていないが、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリ(記憶部)とを有するコンピュータであり、大容量ハードディスクを内蔵している。変動データ演算装置には、通信ポートが内蔵され、キーボード51やマウス52、スキャナ(図示せず)等の入力装置、ディスプレイ53やプリンタ(図示せず)等の出力装置がインターフェイスを介して接続されている。変動データ演算装置50は、給気系に設置された空気調和エレメント(空気調和設備)と排気系に設置された空気調和エレメント(空気調和設備)とそれら給排気系が接続された空調室と空調室に設置された空気調和エレメント(空気調和設備)との時間的に変動する電圧(圧力データ)および電流(風量データ)を演算する。
変動データ演算装置50のメモリには、空調が施された空調施設の各エレメントにおける圧力データと風量データとを演算するアプリケーションが格納され、空調設計に使用される空調器具(各種空気調和エレメント)や空調装置(各種空気調和エレメント)、空調用制御機器(各種空気調和エレメント)等のひな型(模型)が格納されている。変動データ演算装置50の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、そのアプリケーションに従って以下の各手段を実行する。
変動データ演算装置50の中央処理部は、給気系の各種の空気調和エレメントと排気系の各種の空気調和エレメントと空調室と空調室の各種の空気調和エレメントとを組み合わせた各種複数の空調施設の系統図を生成する(系統図生成手段)。変動データ演算装置50では、空調施設の系統図に使用される空調器具や空調装置、空調用制御機器等のひな型を利用し、変動データ算出対象の空調施設を空調設計に応じて空調施設の系統図を自由に表現することができる。具体的には、図示はしていないが、ディスプレイ53のひな型表示エリアに表示されたひな型をマウス52を利用して系統図表示エリアにドラッグアンドドロップし、または、キーボード51を利用してひな型を系統図表示エリアに入力することで系統図を作ることができる。
給排気系の空調器具には給気ガラリや排気ガラリ、給気口、排気口、給気用フィルタ、排気用フィルタがあるが、空調器具に特に限定はなく、空調設計に利用されるあらゆる種類の空調器具が含まれる。給排気系の空調装置には給気ダクトや排気ダクト、給気用分岐ダクト、排気用分岐ダクト、給気ファン(給気機構)、排気ファン(排気機構)があるが、空調装置に特に限定はなく、空調設計に利用されるあらゆる種類の空調装置が含まれる。
給排気系の空調用制御機器には、ダクトを通る空気量を一定に保持する定風量ユニット、ダクトを通る空気量を調節可能な圧力制御ダンパ、風量調整ダンパがあるが、空調用制御機器に特に限定はなく、空調に使用されるあらゆる空調用制御機器が含まれる。それら空調用制御機器は、給排気ダクトのうちの少なくとも一方に設置される。
空調室の空調器具や空調装置、空調用制御機器には、空調室自体、室に設置された扉、室に設置された局所排気装置や局所給気装置、ルームエアコンがあるが、空調室の空調器具や空調装置、空調用制御機器に特に限定はなく、空調設計に利用されるあらゆる種類の空調器具や空調装置、空調用制御機器が含まれる。
系統図生成手段によって生成された空調施設の系統図の一例は、図2に示すように、隣り合う2つの第1空調室9および第2空調室13と、それら室9,13に空気を給気する給気系26と、それら室9,13から空気を排気する排気系27とから形成されている。なお、空調室を図示の2つに限定するものではなく、3つ以上の室を備えた空調施設を模型化した系統図を生成することもできる。空調室9,13の種類に特に限定はなく、クリーンルームやバイオハザード室、培養室、施術室等のきわめて高い気密性を有する特殊な空調環境を必要とする室のみならず、冷暖房機や換気装置等によって通常の空調を行う建造物の室も含まれる。また、空調施設の系統図は図2のそれに限定されず、空調を施した他のあらゆる態様の空調施設の系統図を生成することができる。
それら空調室9,13には、目標室内気圧が設定されている。各空調室9,13の目標室内気圧に特に限定はなく、室9,13の用途や室の容積等によって目標室内気圧を自由に設定することができる。それら空調室9,13の用途や容積についても特に限定はない。第1空調室9と第2空調室13とは、側壁28によって仕切られ、さらに、それら室9,13の四方を囲む天井、床、周壁29によって室外(外部)と仕切られている。
周壁29には、第1空調室9と室外とをつなぐ第1扉23が設置され、第2空調室13と室外とをつなぐ第2扉24が設置されている。側壁28には、第1空調室9と第2空調室13とをつなぐ第3扉25が設置されている。第1および第2扉23,24は、一方の縦方向側部が蝶番(図示せず)を介して周壁29に取り付けられている。第3扉25は、一方の縦方向側部が蝶番(図示せず)を介して側壁28に取り付けられている。第1〜第3扉23〜25は、図4に示すように、縦方向側部を軸として旋回するスイング式片開き自在戸である。それら扉23〜25は、側壁28や周壁29に対して0〜180度の範囲で旋回する。
第1および第2扉23,24を開けると、扉23,24の開放空間30(空気流通面積)を介して第1および第2空調室9,13と室外とがつながり、開放空間30を通ってそれら室23,24と室外とを行き来することができる。また、第3扉25を開けると、扉25の開放空間30(空気流通面積)を介して空調室9,13どうしがつながり、開放空間30を通って第1空調室9と第2空調室13とを行き来することができる。
それら扉23〜25には、空調室9,13の気密性を保持するためにエアタイトのそれが使用されている。ドアノブは、グレモンハンドルであり、扉23〜25の閉扉後にグレモンハンドルをロック(回転)することで扉23〜25の気密性を高めている。なお、それら扉23〜25をスイング式片開き自在戸に限定するものではなく、他のあらゆる態様の扉23〜25を使用することができる。
給気系26は、それら空調室9,13の室内に空気を運ぶ第1給気ダクト3および第2給気ダクト5、給気用第1分岐ダクト6、給気用第2分岐ダクト10、給気用ガラリ2、給気ファン4、第1定風量ユニット7、第2定風量ユニット11、ダクト3,5,6,10を通る空気(外気)を浄化する第1および第2フィルタ8,12(HEPAフィルタ)から構築されている。第1給気ダクト3は、ガラリ2とファン3との間に延びている。第2給気ダクト5は、ファン3と分岐ダクトと6,11の間に延びている。
給気用第1分岐ダクト6と給気用第2分岐ダクト10とは、給気ダクト5から分岐して各空調室9,13に接続されている。それら分岐ダクト6,10は、空調室9,13の天井に施設された給気口(図示せず)につながり、それら室9,13に個別に連結されている。なお、給気用分岐ダクト6,10を図示の2本に限定するものではなく、3本以上の分岐ダクトが空調室9,13に接続されていてもよい。
給気用ガラリ2は、第1給気ダクト3の一端部(建物の外壁)に取り付けられている。給気ファン4は、第1および第2給気ダクト3,5に取り付けられ、空調室9,13に所定量の空気を給気する。第1定風量ユニット7は、第1分岐ダクト6に取り付けられ、第2定風量ユニット11は、第2分岐ダクト10に取り付けられている。第1フィルタ8は、第1分岐ダクト6の一端部(空調室9の天井)に取り付けられ、第2フィルタ12は、第2分岐ダクト10の一端部(空調室13の天井)に取り付けられている。
給気系26では、給気ファン4によって外気が吸気され、外気がガラリ2を通って給気ダクト3,5に流入した後、給気ダクト5から分岐ダクト6,10に流入し、定風量ユニット7,11からフィルタ8,12を通って各空調室9,13の室内に流入する。
給気ファン4は、空気を送気する送風機(インバータ制御部31(INV)を含む)と、それを収容する筐体とから形成されている(図示せず)。給気ファン4のインバータ制御部31(INV)は、インターフェイスを介して制御装置(図示せず)に接続されている。第2給気ダクト5には、圧力センサ(図示せず)が設置されている。圧力センサは、インターフェイスを介して制御装置に接続され、給気ダクト5内の圧力を計測し、計測した圧力を制御装置に出力する。制御装置は、給気ファン4のインバータ制御部31(INV)に制御信号を出力し、送風機の回転数をコントロールする。制御装置には、給気ファン4の送風機の目標回転数が格納されている。制御装置は、圧力センサが計測した圧力を監視しつつ、送風機の回転数が目標回転数になるように、インバータ制御部31をコントロールし、各空調室9,13に給気する空気量(風量)を一定に保持する。
第1および第2定風量ユニット7,11は、モータダンパおよびコントローラと、それらを収容する筐体とから形成されている(図示せず)。モータダンパは、モジュトロールモータ(回転機)と、モータの駆動力を介して旋回する旋回羽根と、旋回羽根の旋回によって開閉される空気流路とから形成されている。ダンパには、平行翼ダンパまたは対向翼ダンパを使用することができる。定風量ユニット7,11では、コントローラからの制御信号によってモジュトロールモータが回転するとともに旋回羽根が所定角度に旋回する。それら定風量ユニット7,11は、給気ダクト3,5や分岐ダクト6,10の内部気圧の変動に対して空気流路を通る空気通過量を調節し、空調室9,13へ供給する空気量を一定に保持する。
それら定風量ユニット7,11のコントローラは、モータダンパの空気流路を通過する空気通過量があらかじめ設定された値となるように、空気流路に対する旋回羽根の開度を調整する。定風量ユニット7,11のコントローラには、給気ダクト3,5や分岐ダクト6,10を通る空気の許容ダクト内気圧と、空気流路を通過する空気通過量との相関関係が格納され、許容ダクト内気圧に対応する空気通過量と、その空気通過量に対応するモータダンパの旋回羽根の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。
排気系27は、それら空調室9,13の室外に空気を運ぶ第1排気ダクト18および第2排気ダクト20、排気用第1分岐ダクト15、排気用第2分岐ダクト17、第1圧力制御ダンパ14、第2圧力制御ダンパ16、排気ファン19、排気用ガラリ21から構築されている。第1排気ダクト18は、分岐ダクト15,17とファン19との間に延びている。第2排気ダクト20は、ファン19とガラリ21との間に延びている。排気用第1分岐ダクト15と排気用第2分岐ダクト17とは、排気ダクト18から分岐して各空調室9,13に接続されている。それら分岐ダクト15,17は、空調室9,13の周壁29に施設された排気口(図示せず)につながり、それら室9,13に個別に連結されている。なお、排気用分岐ダクト15,17を図示の2本に限定するものではなく、3本以上の分岐ダクトが空調室9,13に接続されていてもよい。
第1圧力制御ダンパ14は、第1分岐ダクト15に取り付けられ、第2圧力制御ダンパ16は、第2分岐ダクト17に取り付けられている。排気ファン19は、排気ダクト18,20に取り付けられ、空調室9,13から所定量の空気を排気する。排気用ガラリ21は、排気ダクト20の一端部(建物の外壁)に取り付けられている。
排気系27では、排気ファン19によって空調室9,13の室内の空気が分岐ダクト15,17に吸気され、空気が圧力制御ダンパ14,16を通った後、分岐ダクト15,17から排気ダクト18,20に流入し、排気用ガラリ21を通って外部(室外)に排気される。なお、圧力制御ダンパ14,16の下流側に延びる分岐ダクト15,17に風量調整ダンパが取り付けられていてもよい。
第1および第2圧力制御ダンパ14,16は、モジュトロールモータと、モータの回転をコントロールするコントローラと、モータの駆動力によって旋回する旋回羽根と、それらを収容する筐体と、旋回羽根の旋回によって開閉される空気流路とから形成されている(図示せず)。それら圧力制御ダンパ14,16のコントローラには、室圧センサ32がインターフェイスを介して接続されている。室圧センサ32は、各空調室9,13の室内に設置され、計測した空調室9,13の室内気圧をダンパ14,16のコントローラに出力する。圧力制御ダンパ14,16では、コントローラからの制御信号によってモジュトロールモータが回転するとともに旋回羽根が所定角度に旋回する。圧力制御ダンパ14,16は、空調室9,13の室内気圧の変動に対して空気流路を通る空気通過量を調節し、室9,13を目標室内気圧に保持する。
圧力制御ダンパ14,16のコントローラは、室圧センサ32が計測した室内気圧を監視しつつ、ダンパ14,16の空気流路を通過する空気通過量があらかじめ設定された値となるように、空気流路に対する羽根の開度を調整する。圧力制御ダンパ14,16のコントローラには、空調室9,13の目標室内気圧と、空気流路を通過する空気通過量との相関関係が格納され、目標室内気圧に対応する空気通過量と、その空気通過量に対応するダンパ14,16の旋回羽根の開度(旋回角度)との相関関係が格納されている。
排気ファン19は、空気を送気する送風機(インバータ制御部31(INV)を含む)と、それを収容する筐体とから形成されている(図示せず)。排気ファン19のインバータ制御部31(INV)は、インターフェイスを介して制御装置(図示せず)に接続されている。第2排気ダクト20には、圧力センサ(図示せず)が設置されている。圧力センサは、インターフェイスを介して制御装置に接続され、排気ダクト20内の圧力を計測し、計測した圧力を制御装置に出力する。制御装置は、排気ファン19のインバータ制御部31(INV)に制御信号を出力し、送風機構の回転数をコントロールする。制御装置には、排気ファン19の送風機の目標回転数が格納されている。制御装置は、圧力センサが計測した圧力を監視しつつ、送風機の回転数が目標回転数になるように、インバータ制御部31をコントロールし、各空調室9,13から排気する空気量(風量)を一定に保持する。
変動データ演算装置50の中央処理部は、系統図生成手段によって各種複数の空調施設の系統図を生成した後、各種入力データに基づいて、給排気系26,27における給排気ファン4,19の揚圧を起電力とし、給排気系26,27と空調室9,13とに流れる空気の風量を電流とするとともに、給排気系26,27の各種エレメントと空調室9,13と空調室9,13の各種エレメントとにおける各空気抵抗を電気抵抗とし、起電力(電圧)と電気抵抗とを使用して等価電気回路(直流回路)を生成する(等価電気回路生成手段)。
等価電気回路生成手段によって生成された等価電気回路において給気系26では、外気1、給気ガラリ2、ガラリ2と給気ファン4との間に延びる第1給気ダクト3、給気ファン4と分岐ダクト6,10との間に延びる第2給気ダクト5、給気用第1分岐ダクト6、給気用第2分岐ダクト10、第1定風量ユニット7、第2定風量ユニット11、第1フィルタ8、第2フィルタ12による空気抵抗が電気抵抗に置換され、給気ファン4の揚圧が起電力(電圧)に置換されている。給気用ガラリ2の外側に吹く外気1を電気抵抗に含むのは、建物の外に強い外気1(風)が吹いていると、給気系26に空気を取り入れるときに、その外気1が給気の際の空気抵抗になるからである。
空調室9,13およびそのエレメントでは、第1空調室9や第2空調室13、第1扉23、第2扉24、第3扉25の空気漏れ(漏気風量)による空気抵抗が電気抵抗に置換されている。空調室9,13およびそのエレメントでは、扉23〜25の開閉による室内空気の漏出(漏気風量)が漏れ電流に置換され、回路の一部をグラウンドに落とすことで漏れ電流が表されている。
排気系27では、排気用第1分岐ダクト15、排気用第2分岐ダクト17、第1圧力制御ダンパ14、第2圧力制御ダンパ16、それら分岐ダクト14,16と排気ファン19との間に延びる第1排気ダクト18、排気ファン19と排気用ガラリ21との間に延びる第2排気ダクト20、排気用ガラリ21、外気22による空気抵抗が電気抵抗に置換され、排気ファン19の揚圧が起電力(電圧)に置換されている。排気用ガラリ21の外側に吹く外気22を電気抵抗に含むのは、建物の外に強い外気22(風)が吹いていると、排気系27から空気を排気するときに、その外気22が排気の際の空気抵抗になるからである。
給気ファン4や排気ファン19における起電力(電圧)の値(V)は、ファン4,19の種類や機器特性データ、特性曲線、ファン4,19をコントロールする制御装置の制御時間、制御動作、論理関数、入出力値、目標値、積分時間、微分時間、時定数、PID係数、不感帯等の性能データによってあらかじめ決定されている。なお、給排気ファン4,19の起電力の値を決定する性能データはそれらに限定されず、ファン4,19の性能に影響する他のあらゆるデータに基づいて、ファン4,19の起電力の値を決定することができる。
変動データ演算装置50のハードディスクには、ファン4,19の起電力の値を決定する性能データとファン4,19の起電力の値との相関関係が格納されている。なお、機器特性データの一例としては、風量や送風機全圧、吸い込み全圧、吐き出し全圧、送風機静圧、吸い込み静圧、吐き出し静圧、吸い込み動圧、吐き出し動圧等がある。入力装置を介してファン4,19の種類や機器特性データ、特性曲線、ファン4,19をコントロールする制御装置の制御時間、制御動作、論理関数、入出力値、目標値、積分時間、微分時間、時定数、PID係数、不感帯等を入力すると、変動データ演算装置50は、前記相関関係からファン4,19の起電力の値を決定し、その起電力を等価電気回路におけるファン4,19の起電力として採用する。
給排気系26,17における外気1,22の電気抵抗の値(Ω)は、外気1,22の風速や風量、外気1,22の方向、ガラリ2,21の大きさ(縦横寸法、幅寸法)等の性能データによってあらかじめ決定されている。なお、外気1,22の電気抵抗の値を決定する性能データはそれらに限定されず、外気1,22に影響する他のあらゆるデータに基づいて、外気1,22の電気抵抗の値を決定することができる。
変動データ演算装置50のハードディスクには、給排気系26,27における外気1,22の電気抵抗の値を決定する性能データと外気1,22の電気抵抗の値との相関関係が格納されている。入力装置を介して外気1,22の風速や風量、方向、ガラリ2,21の大きさ等を入力すると、変動データ演算装置50は、前記相関関係から外気1,22による電気抵抗の値を決定し、その電気抵抗値を等価電気回路における外気1,22の電気抵抗値として採用する。
給排気系26,27におけるガラリ2,21の電気抵抗の値(Ω)は、ガラリ2,21の種類や配置、大きさ(縦横寸法、幅寸法)、ガラリ2,21を通る空気の流速、空気密度(ρ)、空気の粘度係数(ν)、絶対祖度(ε)等の性能データによってあらかじめ決定されている。なお、ガラリ2,21の電気抵抗の値を決定する性能データはそれらに限定されず、ガラリ2,21に影響する他のあらゆるデータに基づいて、ガラリ2,21の電気抵抗の値を決定することができる。
変動データ演算装置50のハードディスクには、給排気系26,27におけるガラリ2,21の電気抵抗の値を決定する性能データとガラリ2,21の電気抵抗の値との相関関係が格納されている。入力装置を介してガラリ2,21の種類や配置、大きさ、空気の流速、空気密度、空気の粘度係数、絶対祖度等を入力すると、変動データ演算装置50は、前記相関関係からガラリ2,21における電気抵抗の値を決定し、その電気抵抗値を等価電気回路におけるガラリ2,21の電気抵抗値として採用する。
給排気系26,27におけるダクト3,5,6,10,15,17,18,20の電気抵抗の値(Ω)は、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20の口径や長さ、ガラリ2,21の大きさ(縦横寸法、幅寸法)、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20を通る空気の流速、空気密度(ρ)、空気の粘度係数(ν)、絶対祖度(ε)等の性能データによってあらかじめ決定されている。なお、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20の電気抵抗の値を決定する性能データはそれらに限定されず、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20に影響する他のあらゆるデータに基づいて、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20の電気抵抗の値を決定することができる。
変動データ演算装置50のハードディスクには、給排気系26,27におけるダクト3,5,6,10,15,17,18,20の電気抵抗の値を決定する性能データとダクト3,5,6,10,15,17,18,20の電気抵抗の値との相関関係が格納されている。入力装置を介してダクト3,5,6,10,15,17,18,20の口径や長さ、ガラリ2,21の大きさ、空気の流速、空気密度、空気の粘度係数、絶対祖度等を入力すると、変動データ演算装置50は、前記相関関係からダクト3,5,6,10,15,17,18,20における電気抵抗の値を決定し、その電気抵抗値を等価電気回路におけるダクト3,5,6,10,15,17,18,20の電気抵抗値として採用する。
給気系26におけるフィルタ8,12の電気抵抗の値(Ω)は、フィルタ8,12の種類や配置、大きさ(縦横寸法、幅寸法)、フィルタ8,12を通る空気の流速、空気密度(ρ)、空気の粘度係数(ν)、絶対祖度(ε)等の性能データによってあらかじめ決定されている。なお、フィルタ8,12の電気抵抗の値を決定する性能データはそれらに限定されず、フィルタ8,12に影響する他のあらゆるデータに基づいて、フィルタ8,12の電気抵抗の値を決定することができる。
変動データ演算装置50のハードディスクには、給気系26におけるフィルタ8,12の電気抵抗の値を決定する性能データとフィルタ8,12の電気抵抗の値との相関関係が格納されている。入力装置を介してフィルタ8,12の種類や配置、大きさ、空気の流速、空気密度、空気の粘度係数、絶対祖度等を入力すると、変動データ演算装置50は、前記相関関係からフィルタ8,12における電気抵抗の値を決定し、その電気抵抗値を等価電気回路におけるフィルタ8,12の電気抵抗値として採用する。
給気系26における定風量ユニット7,11の電気抵抗の値(Ω)は、そのモータダンパの空気流路の開口径やモータダンパの空気流路を通る空気の流速、特性曲線、軸動力、羽根開度、羽根旋回速度、空気量、抵抗係数、ダンパ開度と抵抗係数との相関関係データ、モータダンパをコントロールするコントローラの制御時間、制御動作、論理関数、入出力値、目標値、積分時間、微分時間、時定数、PID係数、不感帯等の性能データによってあらかじめ決定されている。なお、定風量ユニット7,11の電気抵抗の値を決定する性能データはそれらに限定されず、ユニット7,11の性能に影響する他のあらゆるデータに基づいて、ユニット7,11の電気抵抗の値を決定することができる。
変動データ演算装置50のハードディスクには、給気系26における定風量ユニット7,11の電気抵抗の値を決定する性能データと定風量ユニット7,11の電気抵抗の値との相関関係が格納されている。入力装置を介して空気流路の開口径や空気流路を通る空気の流速、特性曲線、軸動力、羽根開度、羽根旋回速度、空気量、抵抗係数、ダンパ開度と抵抗係数との相関関係データ、コントローラの制御時間、制御動作、論理関数、入出力値、目標値、積分時間、微分時間、時定数、PID係数、不感帯等を入力すると、変動データ演算装置50は、前記相関関係から定風量ユニット7,11における電気抵抗の値を決定し、その電気抵抗値を等価電気回路におけるユニット7,11の電気抵抗値として採用する。
排気系27における圧力制御ダンパ14,16(風量調整ダンパを設置する場合は、風量調整ダンパを含む)の電気抵抗の値(Ω)は、それらダンパ14,16の空気流路の開口径やダンパ14,16の空気流路を通る空気の流速、特性曲線、軸動力、羽根開度、羽根旋回速度、空気量、抵抗係数、ダンパ開度と抵抗係数との相関関係データ、ダンパ14,16をコントロールするコントローラの制御時間、制御動作、論理関数、入出力値、目標値、積分時間、微分時間、時定数、PID係数、不感帯等の性能データによってあらかじめ決定されている。なお、圧力制御ダンパ14,16の電気抵抗の値を決定する性能データはそれらに限定されず、ダンパ14,16の性能に影響する他のあらゆるデータに基づいて、ダンパ14,16の電気抵抗の値を決定することができる。
変動データ演算装置50のハードディスクには、排気系27におけるダンパ14,16の電気抵抗の値を決定する性能データとダンパ14,16の電気抵抗の値との相関関係が格納されている。入力装置を介して開口径や流速、特性曲線、軸動力、羽根開度、羽根旋回速度、空気量、抵抗係数、ダンパ開度と抵抗係数との相関関係データ、コントローラの制御時間、制御動作、論理関数、入出力値、目標値、積分時間、微分時間、時定数、PID係数、不感帯等を入力すると、変動データ演算装置50は、前記相関関係からダンパ14,16における電気抵抗の値を決定し、その電気抵抗値を等価電気回路におけるダンパ14,16の電気抵抗値として採用する。
空調室9,13や扉23〜25の空気漏れ(漏気風量)による電気抵抗の値(Ω)は、室9,13の種類や室9,13の隙間面積、扉23〜25の隙間面積、室9,13の目標室内気圧、隙間を通る空気の流速、空気密度(ρ)、空気の粘度係数(ν)、絶対祖度(ε)等の性能データによってあらかじめ決定されている。なお、空調室9,13や扉23〜25の空気漏れ(漏気風量)による電気抵抗の値を決定する性能データはそれらに限定されず、室9,13や扉23〜25の空気漏れに影響する他のあらゆるデータに基づいて、室9,13や扉23〜25の電気抵抗の値を決定することができる。
変動データ演算装置50のハードディスクには、空調室9,13や扉23〜25の空気漏れによる電気抵抗の値を決定する性能データと空調室9,13や扉23〜25の電気抵抗の値との相関関係が格納されている。入力装置を介して室9,13の種類や室9,13の隙間面積、扉23〜25の隙間面積、室9,13の目標室内気圧、隙間を通る空気の流速、空気密度、空気の粘度係数、絶対祖度等を入力すると、変動データ演算装置50は、前記相関関係から空調室9,13や扉23〜25における電気抵抗の値を決定し、その電気抵抗値を等価電気回路における空調室9,13や扉23〜25の電気抵抗値として採用する。
扉23〜25の開閉による漏れ電流の値(A)は、扉23〜25の種類やその配置、扉23〜25の開閉による開口30の面積、空調室9,13の目標室内気圧、開口30を通る空気の流速、空気密度(ρ)、空気の粘度係数(ν)、絶対祖度(ε)等の性能データによってあらかじめ決定されている。なお、扉23〜25の開閉による漏れ電流の値を決定する性能データはそれらに限定されず、扉23〜25の開閉による空気漏れに影響する他のあらゆるデータに基づいて、扉23〜25の開閉による漏れ電流の値を決定することができる。
変動データ演算装置50のハードディスクには、扉23〜25の開閉による漏れ電流の値を決定する性能データと扉23〜25の開閉による漏れ電流の値との相関関係が格納されている。なお、扉23〜25の種類には、高気密スイング扉や高気密スライド扉、低気密スイング扉、低気密スライド扉等がある。入力装置を介して扉23〜25の種類やその配置、扉23〜25の開閉による開口30の面積、空調室9,13の目標室内気圧、開口30を通る空気の流速、空気密度、空気の粘度係数、絶対祖度等を入力すると、変動データ演算装置50は、前記相関関係から扉23〜25の開閉による漏れ電流の値を決定し、その漏れ電流値を等価電気回路における扉23〜25の開閉の漏れ電流値として採用する。
図5は、図3の等価電気回路図において直列部の抵抗を合成した場合の等価電気回路図であり、図6は、図3の等価電気回路図において直列部の抵抗を合成し、回路途中の圧力を消去した等価電気回路図である。図5,6では、ディスプレイ53の図示を省略している。変動データ演算装置50は、図3の等価電気回路を生成した後、直列部の各抵抗を合成して合成抵抗を算出し(合成抵抗算出手段)、算出した合成抵抗と起電力(電圧)とを使用して図5の等価電気回路(直流回路)を生成する(等価電気回路生成手段)。
変動データ演算装置50は、合成抵抗算出手段において、給気系26に設置されたエレメントの電気抵抗を少なくとも1つに合成する(合成抵抗第1算出手段)。その一例としては、図5に示すように、給気用ガラリ2、第1および第2給気ダクト3,5における電気抵抗が合成された合成抵抗が表示され、第1分岐ダクト6、第1定風量ユニット7、第1フィルタ8における電気抵抗が合成された合成抵抗(可変抵抗)が表示されている。さらに、第2分岐ダクト10、第2定風量ユニット11、第2フィルタ12における電気抵抗が合成された合成抵抗(可変抵抗)が表示されている。なお、外気1は、外乱(給気用ガラリ2の外に吹く風)によって変化する空気抵抗であるから、合成する電気抵抗から除かれている。
変動データ演算装置50は、合成抵抗算出手段において、空調室9,13と空調室9,13に設置されたエレメントとの空気抵抗を少なくとも1つに合成する(合成抵抗第2算出手段)。その一例として、図5に示すように、各空調室9,13の空気漏れ(漏気風量)、扉23〜25の空気漏れ(漏気風量)による電気抵抗が合成された合成抵抗が表示されている。なお、各空調室9,13の電気抵抗を合成しないのは、各空調室9,13の空気抵抗が外乱(扉23〜25の開閉)によって変化する空気抵抗だからである。
変動データ演算装置50は、合成抵抗算出手段において、排気系27に設置されたエレメントの電気抵抗を少なくとも1つに合成する(合成抵抗第3算出手段)。その一例としては、図5に示すように、第1圧力制御ダンパ14、第1分岐ダクト15における電気抵抗が合成された合成抵抗(可変抵抗)が表示され、第2圧力制御ダンパ16、第2分岐ダクト17における電気抵抗が合成された合成抵抗(可変抵抗)が表示されている。さらに、第1および第2排気ダクト18,20、排気用ガラリ21における電気抵抗が合成された合成抵抗が表示されている。なお、外気22は、外乱(排気用ガラリ21の外に吹く風)によって変化する空気抵抗であるから、合成する電気抵抗から除かれている。
なお、給排気系26,27や空調室9,13の圧力の変化は、圧力Pおよび風量qを変数とした連立方程式として表すことができる。変動データ演算装置50は、各エレメントを流動する空気の空気量(風量)を電流とし、給排気ファン4,19の揚圧を起電力とするとともに、各エレメントの空気抵抗(圧力損失)を電気抵抗とした等価電気回路を生成した後、等価電気回路にキルヒホッフの第1および第2法則(所定の電気理論公式定理法則)を適用して各エレメントにおける電圧(圧力データ)と電流(風量データ)とを算出する(変動データ算出手段)。
給排気系26,27の各エレメントや空調室9,13、空調室9,13の各エレメントの接続点では、質量保存側(連続式)が成立する。これは、キルヒホッフの第1法則(任意点に流れ込む電流(風量)の総和はゼロ)に該当する。接続点における圧力損失ΔP(Pa)は、電流に相当する風量q(m3/h)の関数であり、摩擦損失抵抗係数K(Pa/m)を用いて次式で表される。式(1)・・・ΔP=Kqn、ここで、nは、風量に対する次数であり、定数である。この次数nが等しい給排気系26,27の各エレメントや空調室9,13、空調室9,13の各エレメントにおける電気抵抗は合成することができる。さらに、キルヒホッフの第2法則(任意の閉回路に沿う電圧変化(圧力損失)の総和はゼロ)に従って、図6に示すように、回路途中の圧力の一部は消去することができる。このようにすることで、連立させて解くべき変数を大幅に減らすことができ、連立方程式を簡素化することができる。
給気用ガラリ2、第1および第2給気ダクト3,5、給気用第1および第2分岐ダクト6,10、第1および第2定風量ユニット7,11、第1および第2フィルタ8,12、排気用第1および第2分岐ダクト15,17、第1および第2圧力制御ダンパ14,16、第1および第2排気ダクト18,20、排気用ガラリ21は、n=2(空衛学会)であるから、それらの電気抵抗を合成することができる。なお、室9,13間の漏気抵抗は、n=1.3であり、漏気風量が異なるため、合成することはできない。また、外気1,22(ガラリ2,21の外に吹く外気)は、屋外の気圧や建物に風が衝突して変化する外乱の一種であるから、n=0であり、合成することはできない。
たとえば、直列部の電気抵抗を合成した図5の等価電気回路において、解くべき式は以下の風量qに対する連立方程式となる。この場合、以下に示す式(3)、(4)、(9)、(10)は、空調室の数に等しい数になる。式(7)、(8)はダクトの分岐に等しい。よって、解くべき連立方程式の数NEQは、式(2)・・・NEQ=NRoom×4+NBranch×2−1となる。前記式(2)のうち、NRoomは空調室の数、NBranchは分岐の数を示す。分岐の数を(空調室−1)とすると、空調室の数が2の場合は、式の数が9となり、室の数が5の場合は、式の数が27となるとともに、室の数が20の場合は、式の数が117となる。
式(3)・・・P1+Pf4(q4)+K2,3,4q4 2+K6,7,8q6 2+K14,15q14 2+K18,1920,21q19 2+Pf19(q19)+P22=0
式(4)・・・K6,7,8q6 2−K10,11,12q10 3+K9−13q9−13 1.3=0
式(5)・・・K14,15q14 2−K16,17q16 3+K9−13q9−13 1.3=0
式(6)・・・K14,15q14 2+K18,19,20,21q19 2+Pf19(q19)+P22−K9q9 1.3=0
式(7)・・・K14,15q14 2+K18,19,20,21q19 2+Pf19(q19)+P22−K13q13 1.3=0
式(8)・・・q4=q6+q7
式(9)・・・q19=q14+q16
式(10)・・・q6−q14=q9−13+q9
式(11)・・・q10−q16=q9−13+q13
電気抵抗の合成を行わない場合は、風量qと各エレメントの接続点における圧力Pとに2つの変数を置き、それら接続点での質量保存則と、式(1)等の圧力損失および風量との関係式が必要となるから、式の数は、各エレメントの2倍になる。電気抵抗を合成する以前の図3の等価電気回路では、式(12)・・・NEQ=11+NRoom×8となる。したがって、空調室の数が2の場合は、式の数が27となり、室の数が5の場合は、式の数が51となるとともに、室の数が20の場合は、式の数が171となる。
さらに、図6の等価電気回路では、以下に示す式(13)、(14)が得られる。
式(13)・・・P1+Pf4(q4)+K′ 5q4 2+P9=0
式(14)・・・P22+Pf19(q19)+K′ 18q19 2+P9=0、ただし、
K′ 5=K2,3,5+(As/Σηsj)2、
K′ 18=K18,19,20,21+(A18/Σηrj)2
P9=K9q9 1.3
P13=K13q13 1.3
空調室9,13の室内気圧を既知とみなすと、式(13)、(14)は変数q4、q13に対する一変数の高次式である(後記する式(27)に相当)。前記式(13)、(14)を解くことで得られる給気風量q4および排気風量q19と、流量比例計数ηから以下に示す式(15)、(16)、(17)、(18)のように、各空調室9,13への給気量q6,q10および排気量q14,q16を求めることができる。
式(15)・・・q6=ηs1/Σηsi×q4
式(16)・・・q14=ηr1/Σηri×q14
式(17)・・・q10=ηs2/Σηsi×q10
式(18)・・・q16=ηr2/Σηri×q16
空調室9,13における連続式に式(15)、(16)、(17)、(18)を代入し、室9,13間の漏気風量q9,q13,q9−13を変数とする式(19)、(20)、(21)を得ることができる。
式(19)・・・ηs1/Σηsi×q4−q14=ηr1/Σηri×q19=q9−13+q9
式(20)・・・ηs2/Σηsi×q4−ηr2/Σηri×q19=−q9−13+q13
式(21)・・・q9−13={(p13−p9)/K9−13}1/1.3
なお、方程式(13)、(14)、(19)、(20)、(21)を解くことによって全体を解くことができる。変動データ算出手段では、室数が多い場合であっても連立方程式の数を少なくすることができる。図5の場合、連立させる式の数は、NEQ=2+NRoom+NDoorとなる。扉の数NDoorは、通常、室数−1である。室数が2,5,20の場合、連立させる式の数は5,11,41となる。
ただし、給気風量や排気風量、室9,13間の漏気風量が相互に関係し、空気抵抗(電気抵抗)がレイノルズ数(流量)の弱い関数であるとともに、給排気ファン4,19によって発生する圧力が流量に依存し、空気抵抗を可変可能なエレメントの空気抵抗が変わる毎に給排気ファン4,19の特性曲線を用いた繰り返し計算が必要となる。そこで、変動データ算出手段50では、ニュートン・ラプソン法による繰り返し計算を行う。ニュートン・ラプソン法による繰り返し計算を行うことによって正確な圧力データと正確な風量データとを算出することができ、給排気系26,27や空調室9,13における空調の設備設計や制御動作設定の妥当性を正確に判断することができる。
図7は、電気回路における抵抗の合成を説明する図であり、図8は、給気系26における抵抗の合成を説明する図である。給排気系26,26の直列部における電気抵抗の合成は、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20の径が均一であれば、合成抵抗の係数kは、各エレメントの抵抗係数kiの単純な合計となる。
式(22)・・・k=Σki
給排気系26,27のダクト3,5,6,10,15,17,18,20の径が変わる場合、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20が基準面積A0であった場合に相当するk′iを求め、式(6)にkiを代入して適用する。
式(23)・・・k′i=(A0/Ai)2・ki
実際の空調施設では、複数の空調室への給排気を同時に行うことが多いため、ダクトの分岐が発生する場合が一般的であり、樹状構造となる。端部(開放端)に圧力差がある給排気系26,27の並列部(各室9,13への分岐部)での電気抵抗の合成を行うことで、給排気系26,27の計算を簡素化している。電気抵抗の合成は、電流Iが電圧Eの1/2乗に比例する場合、図7に示すように、並列回路の抵抗Rは次のように合成される。
式(24)・・・I=E1/2/R
変数の添え字を各分岐に対してiを与え、合成後の変数の添え字を0とすると、
式(25)・・・I0=ΣIi=E1/2・Σ1/Ri
式(26)・・・1/R0=Σ1/Ri
ここで、1/Riをηiとおくと、式(13)、(14)、(15)が成立する。
式(27)・・・1/R0=Σηi
ηを求めることで、各分岐部の流量(電流)の比率を計算することができる。給気系26の電気抵抗の合成を図8に基づいて説明すると、以下のとおりである。分岐前の圧力P0と開放端の圧力Piとは、抵抗係数kiによって式(30)のように表される。ここで、開放端の圧力Piはたとえば室圧である。また風速viと風量qとの関係は式(31)で表される。
式(30)・・・1/2ρkivi 2=P0−Pi
式(31)・・・qi=Aivi、よって
qiについて解くと、
ここで、風量qiを電流と読み替え、圧力P0を電圧と読み替えると、式(27)および式(31)によって合成抵抗k0は以下の式(34)となる。
式(34)・・・k0=(A0/Σηj)2、ただし
ηiを流量比率係数と定義すると、枝部の風量は以下の式(36)となる。
なお、流量比率係数ηiは開放端の圧力Piと枝部の風速viとの関数であるから、空調室の室圧変動が隣の室の風量に影響することを式(35)、(36)は示唆している。
この変動データ演算装置50の中央処理部は、系統図生成手段によって空調施設を生成した後、その空調施設における給排気ダクト3,5,6,10,15,17,18,20のダクト経路データ、空調室9,13の空気漏出データ、給排気ファン4,19の機器特性データに基づいて、それらデータのうちのあるデータの値が時間的に変化した場合のそれらデータのうちの他のデータの値の時間的な変化をシミュレーションすることができる(シミュレーション手段)。
シミュレーション手段の一例では、図1の系統図において、ダクト系、室圧変動系、制御機器系の3つの要素を関連付け、それら要素の時間的な変化によって室9,13やダクト3,5,6,10,15,17,18,20の圧力変動を計算する。変動データ演算装置50の中央処理部は、シミュレーション手段を実行した後、シミュレーションの対象となった値の時間的な変化をディスプレイ53にグラフで表示する(グラフ表示手段)。そのグラフは、プリンタを介して出力することができる。
シミュレーションの一例において変動データ演算装置50は、給排気ダクト3,5,6,10,15,17,18,20のダクト経路データとしてダクト抵抗係数(K)を採用し、空調室9,13の空気漏出データとして室9,13の空気漏出面積(A)(扉の開閉時の開口30における空気漏出面積Aと室9,13自体の隙間(空気漏出面積A)とを含む)を採用するとともに、給排気ファン4,19の機器特性データとして給排気ファン4,19の静圧(Pf)を採用する。変動データ演算装置50は、以下に示す式(37)、(38)、(39)を満たすように、それら式のうちのある値が時間的に変化した場合のそれら式のうちの他の値(ΔP、v、Pr)の時間的な変化をシミュレーションする。なお、Prは、隣接する室どうしの圧力差である。式(37)、(38)、(39)は、変動データ演算装置50のハードディスクに格納されている。
式(37)・・・(ダクト系):ΔP=1/2・K・ρ・v2(ΔPはダクト摩擦抵抗(Pa)、ρは空気密度(kg/m3)、vは風速(m/s))
式(38)・・・(室圧変動系):dPr9,13=1/2・ζ・ρ・(Qleak/A)n(dPr9,13は隣接する室9と室13との圧力差:Pr9−Pr13(Pa)、ζは係数(1)、Qleakは室9,13間の漏れ空気量=給気風量−排気風量、Aは室9,13間の空気流通面積、nは定数(1.3))
式(39)・・・(ダクト系):dPopen+ΔP=Pf(dPopenはダクトの入口と出口との圧力差:Pr−Po(Pa)、Poは基準となる圧力)
図9は、ファン4,19の静圧(ダクト摩擦抵抗)と風量との相関関係の一例を表す図であり、式(39):dPopen+ΔP=Pfの関係を示す。図9では、ディスプレイ53の図示を省力している。図9のうち、線分L1はdPopenを示し、線分L2はΔPを示すとともに、線分L3はPfを示す。A点は、室のある箇所のある時点における適度な運転状態を示している。この変動データ演算装置50によって行われるシミュレーションの一例を具体的に説明すると、以下のとおりである。なお、式(37)、(38)、(39)の解法に図5,6に示す電気回路を利用している。
図5,6に示す電気回路を利用することで、連立させる式を少なくすることができ、前記式(37)、(38)、(39)の解を短い時間で求めることができる。A点では、室9のある箇所のある時点の室圧に対するファン4,19の静圧(出力)(Pf)、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20の摩擦抵抗(Pa)、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20の風量(m3/h)を表示している。ファン4,19の静圧は、ファン4,19の種類によって決定されることから、線分L3の変化はない。
時間の経過によってたとえば定風量ユニット7,11のモータダンパや圧力制御ダンパ14,16の旋回羽根の開度が変化した場合、それによってダクトの入口と出口との圧力差dPopenが変化し、ΔP(v:風速や風量、室圧)が変化する。dPopenとΔPとのうちの少なくとも一方が変化すると、ファン4,19の静圧(Pf)が変わり、ダクト3,5,6,10,15,17,18,20の風量が変わる。変動データ演算装置50は、時間の経過とともにダクト3,5,6,10,15,17,18,20の風量が変わり、定風量ユニット7,11のダンパやダンパ14,16の旋回羽根の開度が変化した場合、式(37)、(38)、(39)を満たすように、値(ΔP、v、Pr)の時間的な変化をシミュレーションし、その結果をディスプレイ53に表示する。
シミュレーションの結果、定風量ユニット7,11のモータダンパや圧力制御ダンパ14,16の旋回羽根の開度が変化したとしても、図9の相関関係によって室9のある箇所のある時点における適度な運転状態(ファン4,19の静圧)が分かる。したがって、変動データ演算装置50によるシミュレーションを利用することで、系統図として表された空調施設において使用する最適な給排気ファン4,19を選択することができる。
図10は、経過時間による室内気圧の変化の一例を示す図である。図10では、経過時間による室9,13の室圧の変化がグラフ表示されている。図10では、ディスプレイ53の図示を省略している。この変動データ演算装置50によって行われるシミュレーションの他の一例は、以下のとおりである。外部から室9,13に入るために扉23,24を開閉し、室9から室13に移動するために扉25を開閉すると、扉23,24を通って所定量(A:空気漏出面積から漏出する空気量)の空気が室9,13から外部へ流出し、扉25を通って所定量(A:空気漏出面積から漏出する空気量)の空気が室9から室13へ流入する。
空調室9,13の内部の空気が室9,13間において移動し、または、室9,13と外部との間で移動することで、室内気圧が変化すると、室内気圧が目標室内気圧から外れる。なお、室内気圧はセンサ32によって計測され、圧力制御ダンパ14,16のコントローラに出力されている。室内気圧が目標室内気圧から外れると、ダンパ14,16のコントローラは、空調室9,13の室内気圧を目標室内気圧に戻すように、旋回羽根の開度を調節(変化)する。時間の経過によってダンパ14,16の旋回羽根の開度が変化した場合、それによってダクトの入口と出口との圧力差dPopenが変化し、ΔP(v:風速や風量、室圧)が変化する。dPopenとΔPとのうちの少なくとも一方が変化しつつ、室9,13の室圧が目標室内気圧に復帰するまでに所定のタイムラグが発生する。
変動データ演算装置50は、時間の経過とともに空調室9,13の室内気圧が変わり、ダンパ14,16の旋回羽根の開度が変化した場合、式(37)、(38)、(39)を満たすように、値(ΔP、v、Pr)の時間的な変化をシミュレーションし、その結果をディスプレイ53に表示する。なお、式(37)、(38)、(39)の解法に図5,6に示す電気回路を利用している。図5,6に示す電気回路を利用することで、連立させる式を少なくすることができ、前記式(37)、(38)、(39)の解を短い時間で求めることができる。
図10に示す経過時間による室内気圧の変化のグラフによって、空調室9,13の室内気圧が目標室内気圧に復帰するまでの状態を把握することができ、室内気圧が目標室内気圧に復帰する時間が短く、その復帰動作が緩やかな場合、選択した空調器具や空調装置が最適であることが分かる。逆に、室内気圧が目標室内気圧に復帰する時間が長く、その復帰動作が緩やかではない場合、選択した空調器具や空調装置が不適であることが分かる。
変動データ演算装置50は、図10に示すように、シミュレーションの対象となる値(ΔP、v、Pr)の時間的な変化がグラフで表示されるから、シミュレーションの対象となる値(ΔP、v、Pr)の時間的な変化を視覚を通じてビジュアルに把握することができ、値(ΔP、v、Pr)の時間的な変化を正確に捉えることで、系統図として表された空調施設における空調設計や制御動作設定の妥当性を正確に判断することができる。
変動データ演算装置50は、シミュレーションの対象となる空調施設の系統図を生成し、図5,6の等価電気回路を利用しつつ、その空調施設における給排気ダクト3,5,6,10,15,17,18,20のダクト経路データと空調室9,13の空気漏出データと給排気ファン4,19の機器特性データとに基づいて、それらデータのうちのある値が時間的に変化した場合のそれらデータのうちの他の値(ΔP、v、Pr)の時間的な変化をシミュレーションするから、ディスプレイ53に表示された空調施設において空調に影響するデータのある値が時間的に変化した場合のΔPやv、Prの時間的な変化を把握することができ、空調施設における空調設計や制御動作設定が正しいか、空調設計や制御動作設定の改良の必要があるか、空調設計や制御動作設定の変更が必要か等の空調施設における空調設計や制御動作設定の妥当性を判断することができる。
なお、この変動データ演算装置50は、図9や図10に示すシミュレーションの他に、図5,6の等価電気回路を利用して系統図に表された空調施設における空調室9,13や各エレメントのデータのうちのある値が時間的に変化した場合のそれらデータのうちの他の値の時間的な変化をシミュレーションすることができる。
変動データ演算装置50は、等価電気回路生成手段によって生成した等価電気回路から導出される連立方程式を解くことにより、給排気系26,27の空気調和エレメントと空調室9,13と空調室9,13の空気調和エレメントとにおける時間的に変動する電圧(圧力データ)と電流(風量データ)とを算出するから、空調に利用する空気調和エレメントの時間的に変動する正確な圧力データと正確な風量データとを算出することができ、それらデータを利用して給排気系26,27および空調室9,13における設備設計や制御動作設定が正しいか、設備設計や制御動作設定の改良の必要があるか、設備設計や制御動作設定の変更が必要か等の設備設計や制御動作設定の妥当性を判断することができる。
変動データ演算装置50は、給排気系26,27のエレメントと空調室9,13と空調室9,13のエレメントとにおける各空気抵抗を電気抵抗としつつ、それら電気抵抗を合成して合成抵抗を算出するから、合成抵抗を算出しない場合と比較し、連立させて解くべき変数を大幅に減らすことができ、連立方程式を簡素化することができるとともに、収束性が向上し、短い時間で電圧(圧力データ)と電流(風量データ)とを算出することができる。
変動データ演算装置50は、特にクリーンルームやバイオハザード室における空気調和エレメントの時間的に変動する正確な圧力データと正確な風量データとを算出することができ、クリーンルームやバイオハザード室のようなきわめて気密性が高い空調室9,13における空調の設備設計や制御動作設定の妥当性を判断することができる。