JP2012031571A - 車両用ドアラッチ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品数を増加させることなく、パニック状態を回避する。
【解決手段】ロックレバー17とオープンリンク18との連結部分にあって、オープンリンク18がロック位置からオープン方向へ移動した状態でロックレバー17にアンロック操作が入力された際、オープンリンク18がオープンレバー11にオープンレバー11を回動不能な方向から当接しオープンリンク18のアンロック方向への移動が阻止された状態で、ロックレバー17をロック位置から切換位置を通過し得るアンロック方向への移動を許容する許容部181bを設ける。オープンリンク18のアンロック方向への移動が阻止された際、操作力入力レバー23がオープン方向移動前の初期位置に戻ることにより、オープンリンク18は、ロックレバー17を介して弾性部材26の付勢力によりアンロック位置に移動する。
【選択図】 図10

Description

本発明は、パニック状態を回避可能な車両用ドアラッチ装置に関する。
車両用ドアラッチ装置において、ロック状態のとき、開扉操作とほぼ同時または開扉操作の直後にアンロック操作が行われたときに発生するパニック状態を回避可能としたものとして特許文献1、2に開示されたものがある。
特許文献1に開示された車両用ドアラッチ装置は、アンロック位置とロック位置とに移動可能なロックレバーを、施解錠部材側に連結されるメインレバーと、当該メインレバーと同軸上で軸支されメインレバーに対して相対移動可能なサブレバーとに分割することによって、ロック状態のとき、開扉操作の直後にアンロック操作が行われて、オープンリンク(特許文献1においては、オープン部材)がオープンレバー(同じく、リフトレバー)を作動不可能な他方向に係合したパニック状態が発生した場合、メインレバーとサブレバー間に作用するスプリングの付勢力に抗して、メインレバーをアンロック位置に移動可能にするとともに、サブレバーをスプリングの付勢力によりメインレバーとの相対移動前の初期位置方向へ付勢するように構成される。
特許文献2に開示された車両用ドアラッチ装置は、アンロック位置とロック位置とに移動可能なロックレバー(特許文献2においては、アクティブレバー)に、オープンリンクに設けられたガイドピンが遊動可能に嵌入しオープンリンクをロック位置の方向にのみ駆動可能なガイド孔を設けるとともに、オープンリンクをアンロック位置の方向へ押圧する押圧手段を設けることによって、パニック状態が発生した場合でも、ロックレバーのアンロック位置への移動を可能にしている。
特許第4196617号公報 特開2009−127278号公報
しかし、上記特許文献1に開示された車両用ドアラッチ装置においては、ロックレバーを2分割する構成に加えて、2分割のレバー間に付勢力を作用させるスプリングを設ける構成であるため、また、上記特許文献2に開示された車両用ドアラッチ装置は、オープンリンクをアンロック位置の方向へ押圧する押圧手段を設ける構成であるため、いずれも部品点数が多く装置が複雑化するとともに製造コストがアップする問題点を有している。
本発明は、上記課題に鑑み、部品数を増加させることなく、パニック状態を回避可能にした車両用ドアラッチ装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の車両用ドアラッチ装置は、車体側のストライカと係脱可能な噛合部と、前記噛合部と前記ストライカとの係合を解除可能なオープン方向へ回動可能なオープンレバーと、ドアに設けられる操作ハンドルの開操作に基づいて回動可能な操作力入力レバーと、前記操作力入力レバーの回動に基づいてオープン方向へ移動することにより前記オープンレバーをオープン方向へ回動可能なアンロック位置及び回動不能なロック位置に移動可能なオープンリンクと、施解錠部材のアンロック操作により前記オープンリンクをアンロック位置とするアンロック位置及びロック操作により前記オープンリンクをロック位置とするロック位置に移動可能なロックレバーと、前記ロックレバーをロック方向及びアンロック方向へ付勢可能であって、前記ロックレバーのロック位置とアンロック位置間の切換位置を境に付勢方向が転換可能な弾性部材と、前記ロックレバーと前記オープンリンクとの連結部分にあって、前記オープンリンクがロック位置からオープン方向へ移動した状態で前記ロックレバーにアンロック操作が入力された際、前記オープンリンクが前記オープンレバーに前記オープンレバーを回動不能な方向から当接し前記オープンリンクのアンロック方向への移動が阻止された状態で、前記ロックレバーをロック位置から前記切換位置を通過し得るアンロック方向への移動を許容する許容部とを備え、前記オープンリンクのアンロック方向への移動が阻止された際、前記操作力入力レバーがオープン方向移動前の初期位置に戻ることにより、前記オープンリンクは、前記ロックレバーを介して前記弾性部材の付勢力によりアンロック位置に移動するようにしている。
さらに、本発明の車両用ドアラッチ装置では、前記許容部は、前記ロックレバーと前記オープンリンクとの連結部分の前記ロックレバーまたは前記オープンリンクのいずれか一方に設けられ、かつ前記いずれか他方に設けられる係合突部が遊動可能に係合する孔または溝とする。
さらに、本発明の車両用ドアラッチ装置では、前記ロックレバーまたは前記オープンリンクのいずれか一方は、前記いずれか他方に設けられる前記係合突部が、前記オープンリンクのオープン方向に沿って移動可能に係合するガイド孔またはガイド溝により形成されるガイド部を有し、前記許容部は、前記ガイド部に連続して設けられ、かつ前記ガイド部よりも幅広とする。
さらに、本発明の車両用ドアラッチ装置では、前記ロックレバーは、アンロック位置にあるとき、前記オープンリンクのロック方向への移動を阻止する規制部を有する。
本発明によると、ロックレバーまたはオープンリンクのいずれか一方に、パニック状態が発生しても、ロックレバーのアンロック方向への移動を許容する許容部を設けるとともに、操作力入力レバーが初期位置に戻ることによって、ロックレバー及びオープンリンクが弾性部材の付勢力によりアンロック位置に移動するようにしたので、部品数を増加させることなく、パニック状態を回避することができる。
本発明に係わるドアラッチ装置の斜視図である。 同じくドアラッチ装置の分解斜視図である。 アンロック状態における操作ユニット及び噛合ユニットの車内側側面図である。 ロック状態における操作ユニット及び噛合ユニットの車内側側面図である。 ロックレバー及びオープンリンクの斜視図である。 ロック状態における操作ユニットの要部の車内側面図である。 ロック状態における操作ユニットの要部の車外側面図である。 空振り状態における操作ユニットの要部の車内側面図である。 空振り状態における操作ユニットの要部の車外側面図である。 パニック状態における操作ユニットの要部の車内側面図である。 パニック状態における操作ユニットの要部の車外側面図である。 パニック状態発生後、操作力入力レバーが初期位置へ戻る過程における操作ユニットの要部の車内側面図である。 パニック状態発生後、操作力入力レバーが初期位置へ戻る過程における操作ユニットの要部の車外側面図である。 アンロック状態における操作ユニットの要部の車内側面図である。 アンロック状態における操作ユニットの要部の車外側面図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1、2に示すように、ドアラッチ装置1は、自動車のフロントドア(以下、ドアと記す)内の後端部に取り付けられると共に、ドアを閉鎖状態に保持するための噛合ユニット2と、噛合ユニット2に組み付けられる操作ユニット3とを備える。
噛合ユニット2は、ドア内にボルト(図示略)により固定される合成樹脂製のボディ4と、ボディ4の後側の開口を閉塞する金属製のカバープレート5と、ボディ4とカバープレート5間に前後方向を向くラッチ軸6により枢支されドアの閉鎖時に車体側に固着されたストライカ(図示略)と係合可能な噛合部をなすラッチ7と、ボディ4とカバープレート5間に前後方向を向くラチェット軸8により枢支されラッチ7に係脱可能な噛合部をなすラチェット9と、ボディ4の前面側に固定される金属製のバックプレート10と、ボディ4とバックプレート10間にラチェット9と同軸上に枢支されラチェット9と一体的に回動可能なオープンレバー11とを含む。
オープンレバー11は、ラチェット9と同軸上でかつラチェット9と一体的に回動可能であって、回動端部には、前方へ折曲されたキャンセル部111が設けられ、キャンセル部111の下方には、車外側へ折曲された被解除部112が設けられている。
ドアが閉じられると、ストライカは、ボディ4及びカバープレート5に設けられたストライカ進入溝41及び51内に車内側から進入してラッチ7に係合する。ラッチ7は、ラッチ軸6に巻装されたスプリング71の付勢力に抗してラッチ軸6を中心に回動するとともに、ラチェット9は、ラチェット9の下方に支持されたスプリング12の付勢力によりラッチ7に係合し、ラッチ7の回動を阻止してドアを閉鎖状態に保持する。
また、ドアが閉鎖状態に保持されている場合には、ドアの車外側に設けられる操作ハンドルをなすアウトサイドハンドル(図示略)またはドアの車内側に設けられる操作ハンドルをなすインサイドハンドル(図示略)が開操作され、後述のようにオープンレバー11がオープン方向へ回動するとラチェット9がラッチ7から離脱してドアの開放を可能にする。
図2〜4に示すように、操作ユニット3は、ボディ4の前面に取り付けられる平面視ほぼL字状の合成樹脂製のケーシング13と、ケーシング13の車内側を向く開口を閉塞する合成樹脂製のカバー14と、ケーシング13とカバー14間に配置される正逆回転可能な施解錠部材をなすモータ15、ウォームホイール16、ロックレバー17、オープンリンク18、操作力入力レバーをなすインサイドレバー19、キャンセルレバー20、内部キーレバー21及びプリント基板22と、ケーシング13とバックプレート10間に配置される操作力入力レバーをなすアウトサイドレバー23と、ケーシング13外に配置される外部キーレバー24とを備える。なお、図3、4は、操作ユニット3及び噛合ユニット2の内部構造を明示するため、カバー14及びボディ4を省略している。
アウトサイドレバー23は、ケーシング13の下部に後方へ突出する軸部133に枢支されるとともに、車外側端部に設けられる車外連結部231に上下方向を向く操作力伝達部材(図示略)を介してアウトサイドハンドルに連結されるとともに、車内側端部232にオープンリンク18の下部が連結されることによって、アウトサイドハンドルの開操作に基づいて、軸部133の周りに配設されたスプリング27の付勢力に抗して、初期位置(車内側端部232が図3、4に示す位置にあるときの位置)からオープン方向(車内側端部232が上方へ移動する方向)へ所定角度回動する。さらに、アウトサイドレバー23における車内側端部232の下方には、インサイドレバー19に設けられる後述のオープン作用部191が当接可能な被オープン作用部233が設けられる。
インサイドレバー19は、ケーシング13とカバー14間に車内外方向を向く軸部134に枢支され、下部の連結部192には、インサイドハンドルの操作力を伝達可能なケーブル等の操作力伝達部材28が連結され、インサイドハンドルの開操作に基づいて、初期位置(図3、4参照)からオープン方向(図3、4において時計方向)へ所定角度回動する。
インサイドレバー19には、アウトサイドレバー23の被オープン作用部233に当接可能なオープン作用部191が設けられる。これにより、インサイドレバー19が初期位置からオープン方向へ回動すると、オープン作用部191が被オープン作用部233に下側から当接し、アウトサイドレバー23を初期位置からオープン方向へ回動させる。
外部キーレバー24は、車内外方向を向く軸部241がケーシング13の最下部に設けられた円筒部131内に枢支されるとともに、レバー部242がドアの車外側に設けられるキーシリンダ(図示略)に上下方向のロッド(図示略)を介して連結されることにより、キーシリンダのロック操作に基づいて、中立位置(図示略)からロック方向(図3、4において時計方向へ)へ所定角度回動し、また同じくアンロック操作に基づいて、中立位置からアンロック方向(図3、4において反時計方向)へ所定角度回動する。
内部キーレバー21は、車外側を向く軸部211がケーシング13の円筒部131内で外部キーレバー24の軸部241に連結されることによって外部キーレバー24と一体回動する。内部キーレバー21には、軸部211を中心とする円弧状の長孔212が穿設される。
ロックレバー17は、キーシリンダの操作、ドアの車内側に設けられる施解錠部材をなすロックノブ(図示略)の操作及びモータ15の動力に基づいて、アンロック位置(図3参照)とアンロック位置から反時計方向へ所定角度回動したロック位置(図4参照)間を回動し得るように、ケーシング13とカバー14間に車内外方向を向く軸部132により枢支されるとともに、ケーシング13に支持された弾性部材をなすスプリング26の付勢力によってアンロック位置及びロック位置に弾性保持される。なお、ケーシング13には、ロックレバー17をアンロック位置及びロック位置にそれぞれ停止させるためのストッパ(図示略)が設けられる。
ロックレバー17の前方斜め下方へ延出する部分に設けられた連結部171には、ロックノブの操作力を入力するため、ロックノブに連結されたケーブル等により形成される操作力伝達部材25の端部が連結され、後方斜め下方に延出する部分の先端に設けられた突部172は、内部キーレバー21の長孔212に摺動可能に係合される。
さらに、ロックレバー17には、上方へ延出する作動アーム部173と、当該作動アーム173の側面にあって、オープンリンク18の車外側を向く面に設けられた第1ガイド部181に摺動可能に係合する係合突部174と、ロックレバー17の回転中心から遠心方向へ延出する第1、2係合アーム部175、176と、オープンリンク18の前縁に当接可能な凸状の規制部177が設けられる。
図3に示すように、ロックレバー17がアンロック位置にあるとき、キーシリンダがロック操作され内部キーレバー21が外部キーレバー24とともに中立位置からロック方向(図3において時計方向)へ回動すると、内部キーレバー21の長孔212の下端がロックレバー17の突部172の下面に当接することによって、ロックレバー17は、スプリング26の付勢力に抗してロック位置に移動する。また、図4に示すように、ロックレバー17がロック位置にあるとき、キーシリンダがロック操作されて内部キーレバー21が外部キーレバー24とともに中立位置からアンロック方向(図4において反時計方向)へ回動すると、長孔212の上端が突部172の上面に当接することによって、ロックレバー17は、スプリング26の付勢力に抗してアンロック位置に移動する。
スプリング26は、ケーシング13の突起部136に支持されるコイル部261と、コイル部261から外方へ延出しケーシング13に係止される直線状の第1脚部262と、図6〜図15に明示されるように、コイル部261から外方へ延出しロックレバー17の回転面に設けられた突起部178が摺動可能なほぼへ字状の第2脚部263とを有する。図3、14、15に示すようにロックレバー17がアンロック位置にあるときには、ロックレバー17の突起部178が第2脚部263における頂部263aよりもコイル部161寄り側の部分に当接することによって、第2脚部263は、ロックレバー17に対してアンロック方向(図3において時計方向)への付勢力を付与し、また、図4、6、7に示すようにロックレバー17がロック位置にあるときには、ロックレバー17の突起部178が第2脚部263における頂部263aよりも先端側の部分に当接することによって、第2脚部263は、ロックレバー17に対してロック方向(図4において反時計方向)への付勢力を付与する。さらに、ロックレバー17がアンロック位置からロック位置またはその逆へ移動する際、ロックレバー17がロック位置とアンロック位置間の切換位置(突起部178が第2脚部263の頂部263aに当接する位置)に達し突起部178が第2脚部263の頂部263aを乗り越えることによって、ロックレバー17に作用する付勢方向が、前記切換位置を境にロック方向からアンロック方向またはその逆へ転換する。
ウォームホイール16は、ケーシング13とカバー14間に車内外方向を向く軸部135により枢支されるとともに、モータ15の回転軸に止着されたウォーム151に噛合することにより、モータ15の動力により正逆転する。
ウォームホイール16の一方の回転面(カバー14に対向する面)には、ロックレバー17の第1係合アーム部175に当接可能な第1係合突部161、161が設けられ、また、同じく一方の面と反対側の他方の回転面(ケーシング13に対向する面)には、第2係合アーム部176に当接可能な第2係合突部162、162が設けられる。なお、第1、2係合突部161、162は、互いに同一形状で、かつ対称位置に設けられる。
図3に示すように、ロックレバー17がアンロック位置にあるとき、車内に設けられた操作スイッチまたは携帯用の操作スイッチがロック操作されると、モータ15の回転によって、ウォームホイール16がロック方向(図3において時計方向)へ回動し、上側に位置している第1係合突部161が第1係合アーム部175に対してその回動方向に当接する。これにより、ロックレバー17は、ロック方向(図3において反時計方向)へ回動しロック位置に移動する。そして、第1係合突部161が第1係合アーム部175から外れ、第2係合突部162が第2係合アーム部176の先端、すなわち第2係合アーム部176の回動方向ではない方向に当接し、ウォームホイール16は回転を停止する。
また、図4に示すように、ロックレバー17がロック位置にあるとき、操作スイッチがアンロック操作されると、モータ15の回転によって、ウォームホイール16がアンロック方向(図4において反時計方向)へ回動し、下側に位置している第2係合突部162が第2係合アーム部176に対してその回動方向に当接する。これにより、ロックレバー17は、アンロック方向(図4において時計方向)へ回動しアンロック位置に移動する。そして、第2係合突部162が第2係合アーム部176から外れ、第1係合突部161が第1係合アーム部175の先端、すなわち第1係合アーム部175の回動方向ではない方向に当接し、ウォームホイール16は回転を停止する。
プリント基板22は、ケーシング13におけるモータ15の上方に固定されるとともに、その後端部には、ロックレバー17の作動アーム部173の先端が接触したり離れたりすることによって、ロックレバー17のアンロック位置及びロック位置を検知可能な検知スイッチ221が設けられる。
オープンリンク18は、下部に設けた鼓状の支持孔182がアウトサイドレバー23の車内側端部232に前後方向へ揺動可能に係合されるとともに、車内側を向く面(図3、4において紙面奥側)に形成された第1ガイド部181にロックレバー17の係合突部174が摺動可能に係合されることにより、ロックレバー17のアンロック位置及びロック位置への移動に従動し車内側端部232を中心にアンロック位置(図3参照)及びロック位置(図4参照)に移動するとともに、アウトサイドレバー23のオープン方向への回動に基づいてオープン方向(上方)へ移動する。
オープンリンク18の車外側を向く面(図3、4において図面手前側)には、キャンセルレバー20の下端部に設けられた係合突部201が摺動可能に係合するほぼく字状の第2ガイド部183が設けられ、同じく上下方向のほぼ中央後部には、オープンリンク18がアンロック位置からオープン方向へ移動したとき、オープンレバー11の被解除部112に下方(オープンレバー11の回動方向)から当接可能な解除部184が設けられる。
オープンリンク18の解除部184は、オープンリンク18がアンロック位置にあるときには被解除部112の真下に位置にし、また、ロック位置にあるときには被解除部112の前方斜め下方に位置する。
図3に示すように、ロックレバー17及びオープンリンク18がアンロック位置にあり、かつアウトサイドレバー23が初期位置にある状態において、アウトサイドレバー23がオープン方向へ回動しオープンリンク18がアンロック位置からオープン方向へ移動すると、解除部184がオープンレバー11の被解除部112に下方から当接する。これにより、オープンレバー11は、オープン方向へ回動し、ラチェット9がラッチ7から離脱してドアの開きを可能にする。
また、図4に示すように、ロックレバー17及びオープンリンク18がロック位置にある状態においては、アウトサイドレバー23のオープン方向への回動に基づいて、オープンリンク18がロック位置からオープン方向へ移動しても、解除部184はオープンレバー11の被解除部112の前方を横切るように移動して被解除部112に対して空振りするため、オープンレバー11をオープン方向へ回動させることができず、ドアを開けることはできない。
図5〜15に示すように、第1ガイド部181は、ロックレバー17の係合突部174がオープンリンク18のオープン方向(上下方向の)に沿って相対的に摺動可能に係合する直線状のガイド部181aと、ガイド部181aの下部に連続しガイド部181aの前後幅よりも幅広になるように後方へ向けて膨らんで、係合突部174が上下及び前後方向に遊動可能に係合する許容部181bとを有する。許容部181bの上部後縁には、許容部181bの前後幅が下方に行くに従って漸増するように傾斜する傾斜部181cが設けられる。
なお、本実施形態においては、ガイド部181aを長孔により形成し、また許容部181bを溝により形成したものを示すが、本発明は、本実施形態に限定されるものでなく、ガイド部181aを長溝とし、許容部181bを孔としても良いし、またガイド部181a及び許容部181bの両方を孔または溝により形成しても良い。
ロックレバー17の係合突部174は、図3、14、15に示すように、ロックレバー17及びオープンリンク18がアンロック位置にある場合には、許容部181b内の上部に位置し、また図4、6、7に示すようにロックレバー17及びオープンリンク18がロック位置にある場合には、ガイド部181aの上端に位置し、さらに、図8、9に示すように、ロックレバー17がロック位置にあって、オープンリンク18がロック位置からオープン方向へ移動した空振り状態においては、ガイド部181aから許容部181b内に移動し、さらに空振り状態においてロックレバー17にアンロック操作力が入力されると、すなわちパニック状態が発生すると、図10、11に示すように、オープンリンク18をロック位置付近に停止させたまま、ロックレバー17のアンロック方向への移動に伴って許容部181b内を後方へ遊動する。
キャンセルレバー20は、ケーシング13とカバー14間に車内外方向を向くシャフト29により枢支され、下端部に設けられた係合突部201がオープンリンク18の第2ガイド部183に摺動可能に係合し、また同じく上端部には、オープンリンク18がロック位置あるとき、オープンレバー11がオープン方向へ回動した際、オープンレバー11のキャンセル部111に当接可能な被キャンセル部202が設けられる。
キャンセルレバー20の被キャンセル部202は、図4、6、7に示すように、オープンリンク18がロック位置にあるときには、オープンレバー11のキャンセル部111に近接対向して当接可能な位置に移動し、また、図3、14、15に示すように、オープンリンク18がアンロック位置にあるときには、キャンセル部111から離れてキャンセル部111に当接不能な位置に移動する。
これにより、ロックレバー17及びオープンリンク18をロック位置にしてドアを閉じると、ドアが閉じられるときのラチェット9及びオープンレバー11のオープン方向への回動に伴って、オープンレバー11のキャンセル部111がキャンセルレバー20の被キャンセル部202に下方から当接し、キャンセルレバー20は、図4、6、7に示す待機位置から反時計方向へ回動する。この結果、キャンセルレバー20の係合突部201がオープンリンク18の第2ガイド部183に係合することによって、オープンリンク18は、ロック位置からアンロック位置へ移動し、これに追従してロックレバー17もアンロック位置へ移動する。
また、ロックレバー17及びオープンリンク18をロック位置にして、アウトサイドハンドルを開操作しながら、すなわち図8、9に示す状態にしてドアを閉じると、キャンセルレバー20が反時計方向へ回動しても、キャンセルレバー20の係合突部201は、第2ガイド183の下部の屈曲部内を遊動するだけで、係合突部201の移動は、オープンリンク18に伝達されない。よって、ロックレバー17及びオープンリンク18は、ロック位置に保持されたままとなる。
次に、本発明に係わる実施形態におけるパニック状態の回避動作を、図6〜図15に基づいて説明する。図6、8、10、12及び図14は、車内側から見た操作ユニット3における要部の側面図であり、図7、9、11、13及び図15は、車外側から見た操作ユニット3における要部の側面図である。
なお、以下の説明において、アンロック状態は、ロックレバー17及びオープンリンク18が共にアンロック位置にある状態とし、ロック状態は、ロックレバー17及びオープンリンク18が共にロック位置にある状態とする。
図6、7に示すロック状態において、アウトサイドハンドルまたはインサイドハンドルの開操作に基づいて、アウトサイドレバー23が初期位置からオープン方向へ回動し車内側端部232が上方へ移動すると、図8、9に示すように、オープンリンク18は、ロック位置からオープン方向へ移動し、解除部184がオープンレバー11の被解除部112に当接することなく空振り状態のまま被解除部112の前方に移動する。この空振り状態においては、オープンリンク18における解除部184の後縁の干渉部185とオープンレバー11における被解除部112の前端である被干渉部113間には、若干の隙間gが生じる。
図8、9に示す空振り状態のとき、操作スイッチまたはロックノブがアンロック操作され、モータ15の動力により回動するウォームホイール16または操作力伝達部材25からロックレバー17にアンロック操作力が入力されると、ロックレバー17は、スプリング26の付勢力に抗してロック位置からアンロック方向へ回動し、係合突部174は、第1ガイド部181の許容部181b内を後方へ向けて遊動する。
そして、ロックレバー17の突起部178がスプリング26における第2脚部263の頂部263aを通過し、ロックレバー17に作用するスプリング26の付勢方向がロック方向からアンロック方向へ転換してロックレバー17がアンロック方向へ移動すると、ロックレバー17の係合突部174が許容部181bの後縁に当接してオープンリンク18を後方へ押動する。
図10、11に示すように、ロックレバー17が、スプリング26のアンロック方向への付勢力によりアンロック位置に移動すると、オープンリンク18は、ロック位置から前記隙間gに相当する角度だけアンロック方向へ回動した位置で干渉部185がオープンレバー11の被干渉部113に当接することによりアンロック位置に移動できないパニック状態が発生する。このことを換言すると、オープンリンク18の干渉部185がオープンレバー11の被干渉部113に当接しオープンリンク18のアンロック方向への移動が阻止されたパニック状態が発生しても、ロックレバー17の係合突部174は、許容部181b内を遊動可能であるため、ロックレバー17は、オープンリンク18を停止させたままアンロック位置に移動することができる。なお、オープンリンク18の干渉部185がオープンレバー11の被干渉部113に当接した状態においては、スプリング26のアンロック方向への付勢力は、ロックレバー17を介してオープンリンク18に対して作用している。なお、図10、11に示す状態になると、ロックレバー17の規制部177は、オープンリンク18の前縁に当接する。
なお、本実施形態においては、図10、11に示す状態において、ロックレバー17は、アンロック位置まで移動可能としているが、本発明は、これに限定されるものでなく、ロックレバー17に作用するスプリング26の付勢方向がアンロック方向へ転換した以降の位置であれば、ロックレバー17をいずれの位置で停止させても良い。
そして、図10、11に示す状態でアウトサイドハンドル(またはインサイドハンドル)の開操作を中断すると、図12、13に示すように、アウトサイドレバー23が初期位置に戻る過程において、オープンリンク18の干渉部185は、オープンレバー11の被干渉部113に当接しつつ下方へ移動する。その際、オープンリンク18の下方への移動に伴って、ロックレバー17の係合突部174が第1ガイド部181の傾斜部181cを摺動することにより、ロックレバー17は、スプリング26の付勢力に抗して、アンロック位置から転換位置を超えることがない程度にロック方向へ若干移動する。
そして、アウトサイドレバー23が初期位置に戻って、オープンリンク18の干渉部185がオープンレバー11の被干渉部113から外れオープンリンク18のアンロック方向への移動が自由になると、ロックレバー17の係合突部174がオープンリンク18の傾斜部181cに当接してオープンリンク18をアンロック方向へ押圧しているため、図14、15に示すように、オープンリンク18は、スプリング26のアンロック方向への付勢力により、アンロック位置からロック方向へ若干回動したロックレバー17とともにアンロック位置へ移動する。これにより、アンロック状態となる。なお、アンロック状態においては、ロックレバー17の規制部177は、オープンリンク18の前縁に近接または当接し、オープンリンク18のロック方向への移動を阻止する。
上述により、パニック状態が発生しても、アウトサイドハンドル(またはインサイドハンドル)の開操作を中断して、アウトサイドレバー23を初期位置に戻すことによって、ロックレバー17及びオープンリンク18をスプリング26の付勢力によりアンロック位置に移動させてアンロック状態とすることができる。そして、再び、アウトサイドハンドル(またはインサイドハンドル)を開操作することによってドアを開けることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(a)ロックレバー17にロック方向、アンロック方向への付勢力を付与するための弾性部材を、本実施形態のスプリング26に代えて、周知の技術であるターンオーバースプリング(捩りスプリングにより形成され、一端がケーシング13、他端がロックレバー17にそれぞれ係止されるもの)またはその他のスプリングとする。または、ケーシング13に弾性変形可能な舌片部を設け、この舌片部を弾性部材とする。
(b)第1ガイド部181をロックレバー17に設け、第1ガイド部181に摺動可能に係合する係合突部174をオープンリンク18に設ける。
1 ドアラッチ装置
2 噛合ユニット
3 操作ユニット
4 ボディ
5 カバープレート
6 ラッチ軸
7 ラッチ(噛合部)
8 ラチェット軸
9 ラチェット(噛合部)
10 バックプレート
11 オープンレバー
12 スプリング
13 ケーシング
14 カバー
15 モータ(施解錠部材)
16 ウォームホイール
17 ロックレバー
18 オープンリンク
19 インサイドレバー(操作力入力レバー)
20 キャンセルレバー
21 内部キーレバー
22 プリント基板
23 アウトサイドレバー(操作力入力レバー)
24 外部キーレバー
25 操作力伝達部材
26 スプリング(弾性部材)
27 スプリング
28 操作力伝達部材
29 シャフト
41 ストライカ進入溝
51 ストライカ進入溝
71 スプリング
111 キャンセル部
112 被解除部
113 被干渉部
131 円筒部
132 軸部
133 軸部
134 軸部
135 軸部
136 突起部
151 ウォーム
161 第1係合突部
162 第2係合突部
171 連結部
172 突部
173 作動アーム部
174 係合突部
175 第1係合アーム部
176 第2係合アーム部
177 規制部
178 突起部
181 第1ガイド部
181a ガイド部
181b 許容部
181c 傾斜部
182 支持孔
183 第2ガイド部
184 解除部
185 干渉部
191 オープン作用部
192 連結部
201 係合突部
202 被キャンセル部
211 軸部
212 長孔
221 検知スイッチ
231 車外連結部
232 車内側端部
233 被オープン作用部
241 軸部
242 レバー部
261 コイル部
262 第1脚部
263 第2脚部
263a 頂部

Claims (4)

  1. 車体側のストライカと係脱可能な噛合部と、
    前記噛合部と前記ストライカとの係合を解除可能なオープン方向へ回動可能なオープンレバーと、
    ドアに設けられる操作ハンドルの開操作に基づいて回動可能な操作力入力レバーと、
    前記操作力入力レバーの回動に基づいてオープン方向へ移動することにより前記オープンレバーをオープン方向へ回動可能なアンロック位置及び回動不能なロック位置に移動可能なオープンリンクと、
    施解錠部材のアンロック操作により前記オープンリンクをアンロック位置とするアンロック位置及びロック操作により前記オープンリンクをロック位置とするロック位置に移動可能なロックレバーと、
    前記ロックレバーをロック方向及びアンロック方向へ付勢可能であって、前記ロックレバーのロック位置とアンロック位置間の切換位置を境に付勢方向が転換可能な弾性部材と、
    前記ロックレバーと前記オープンリンクとの連結部分にあって、前記オープンリンクがロック位置からオープン方向へ移動した状態で前記ロックレバーにアンロック操作が入力された際、前記オープンリンクが前記オープンレバーに前記オープンレバーを回動不能な方向から当接し前記オープンリンクのアンロック方向への移動が阻止された状態で、前記ロックレバーをロック位置から前記切換位置を通過し得るアンロック方向への移動を許容する許容部とを備え、
    前記オープンリンクのアンロック方向への移動が阻止された際、前記操作力入力レバーがオープン方向移動前の初期位置に戻ることにより、前記オープンリンクは、前記ロックレバーを介して前記弾性部材の付勢力によりアンロック位置に移動することを特徴とする車両用ドアラッチ装置。
  2. 前記許容部は、前記ロックレバーと前記オープンリンクとの連結部分の前記ロックレバーまたは前記オープンリンクのいずれか一方に設けられ、かつ前記いずれか他方に設けられる係合突部が遊動可能に係合する孔または溝であることを特徴とする請求項1記載の車両用ドアラッチ装置。
  3. 前記ロックレバーまたは前記オープンリンクのいずれか一方は、前記いずれか他方に設けられる前記係合突部が、前記オープンリンクのオープン方向に沿って移動可能に係合するガイド孔またはガイド溝により形成されるガイド部を有し、
    前記許容部は、前記ガイド部に連続して設けられ、かつ前記ガイド部よりも幅広であることを特徴とする請求項2記載の車両用ドアラッチ装置。
  4. 前記ロックレバーは、アンロック位置にあるとき、前記オープンリンクのロック方向への移動を阻止する規制部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ドアラッチ装置。
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