JP2012029540A - 単相ブラシレスモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】
単相モータとして起動安定性を保ったまま、コギングトルクを減らすことができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】
軸方向から見て周方向において非対称な構造の突極3と対象な構造の突極4とを交互に配置したステータ10を備えた単相ブラシレスモータの構成とする。突極3の左右非対称な構造に起因して起動安定性が確保され、構造の異なる突極3と4に起因して発生するコギングトルクの波形がずれることで、コギングトルクが相殺され、その値が低減される。
【選択図】図1

Description

本発明は、起動安定性、低コギングトルク特性を有する単相ブラシレスモータに関する。
単相ブラシレスモータに於けるコギングトルクは、振動、騒音の大きな要因のひとつである。一般的な単相ブラシレスモータはコギングトルクを使い起動安定化を行うため、ブラシ付のモータや3相以上のブラシレスモータで行っているコギング低減の手段である、極数対極歯比を2:3や2:5とすることや、補極、あるいは溝を設けるなどの手段は、起動不安定化を起こすことから、安易に採用することができない。このためコギングトルクを低減させるための手段は、Sin波着磁やスキュー着磁など、逆起電力を大きく下げざるを得ない手段が取られている。
起動安定性や低コギングトルク特性に関する単相モータの手段として、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1には、ロータがデットポイントに停止した場合であっても、確実に起動できるとともに、コギングトルクの発生を抑制するために、モータ起動時にロータを、デットポイントを回避する位置まで回転駆動する起動コイルを備えた構成が記載されている。
また特許文献2には、通電方法を工夫することで、構造上の工夫を要することなく高い起動信頼性を得る構成が記載されている。
特開2002−359995号公報 特開平7−227073号公報
特許文献1に記載の技術は、起動を安定化するための起動コイルはトルクへの寄与が小さいので、効率がよくない。特許文献2に記載の技術は、駆動回路が複雑化し、また方向性ケイ素鋼板を使用しているのでコスト増となる。
ところで、コギングトルクの周期は、モータのスロット数と磁石の極数の最小公倍数の次数となり、次数が上がっただけコギングトルクのピーク値も少なくなる。このため、多極化すればするほど単相モータのコギングトルクは低減される。しかしながら、量産を考えて巻線の容易化を考慮した場合、巻線を巻くために用意する突極間のエアギャップには限界があるために、多極化に比例して突極間のエアギャップの占める円周上の寸法が増えていく。このエアギャップはリラクタンスを生み、コギングトルクの原因となる。したがって、多極化のメリットは相殺され、多極化の効果は限定的となり、一般に、通例の4極4スロットと変わらない性能となる。これは小型単相モータが通例4極4スロットである理由のひとつである。
このような背景において、本発明は、単相モータとして起動安定性を保ったまま、コギングトルクを減らすことができる技術を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、6以上の偶数の磁極を備えるロータと、前記ロータと隙間を隔てて配置され、前記ロータの前記磁極と同じ数の複数の突極を有するステータと、前記複数の突極のそれぞれに巻かれた駆動コイルとを備えた単相ブラシレスモータであって、前記複数の突極は、軸方向から見て周方向において対称な構造を有する第1の突極と、軸方向から見て周方向において非対称な構造を有する第2の突極とが交互に配置された構造を有することを特徴とする単相ブラシレスモータである。
請求項1に記載の発明によれば、第1の突極と第2の突極に起因して発生するコギングトルクの波形がずれるので、コギングトルクが部分的に相殺され、低コギングトルク特性を得ることができる。また、周方向における形状のバランスを意図的に崩した第2の突極により、安定した起動特性が得られる。このため、低コギングトルク特性と起動安定性が両立された特性が得られる。ここで軸方向から見て、周方向における対称な構造というのは、180度異なる軸方向から見た場合に同じ形状である構造をいう。また、軸方向から見て周方向において非対称な構造というのは、180度異なる軸方向から見た場合に形状が同じでなく、周方向で形状が反転する構造をいう。
なお、本考案は磁極の数が4以下であると、磁気回路的に不安定性が増大し、安定した回転が得られないので、磁極の数は6極以上とするのが好ましい。磁極の数が6極以上であれば、ロータに加わる力が均一となり、安定した回転を得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第2の突極は、前記ステータに対向する突極面を備え、前記第2の突極は、軸方向から見て、前記突極面と前記ステータとの間の距離が、周方向の一端から他端に向かって漸次大きくなる構造とされていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、突極面とステータとの距離が、周方向で漸次大→小(あるいは小→大)となるので、起動時により回転が起こりやすい状態とすることができ、起動安定性が確保される。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第1の突極は、前記ロータマグネットに対向する極歯面を備え、前記第1の突極は、軸方向から見て、前記突極面と前記ロータマグネットとの間の距離が、周方向の両端で相対的に大きく、中央で相対的に小さい形状を有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第1の突極は、前記ロータマグネットに対向する突極面を備え、前記第1の突極は、軸方向から見て、前記突極面と前記ロータマグネットとの間の距離が、周方向で一定であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記第1の突極に起因するコギングトルクの波形と前記第2の突極に起因するコギングトルクの波形とがずれていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、単相モータとして起動安定性を保ったまま、コギングトルクを減らすことができる技術が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、突極面とロータマグネットとの距離が、周方向で漸次大→小(あるいは小→大)となるので、起動時により回転が起こりやすい状態とすることができる。
請求項3に記載の発明によれば、発生する逆起電力の波形の正弦波への整合性がより高くなり、より高効率で静音、低振動の特性が得られる。
請求項4に記載の発明によれば、よりシンプルな構造で起動安定性と低コギングトルク特性を得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、突極の構造の違いに起因するコギングトルク波形のずれを利用したコギングトルクの低減効果を得ることができる。
実施形態の単相ブラシレスモータの軸方向から見た断面図である。 実施形態の単相ブラシレスモータの軸方向から見た断面図である。 従来品と発明品のコギングトルク特性のグラフである。 従来品と発明品の逆起電力FFT特性のグラフである。 従来品の単相ブラシレスモータの軸方向から見た断面図である。
(1)第1の実施形態
図1には、実施形態の単相ブラシレスモータ1の軸方向から見た断面構造が示されている。単相ブラシレスモータ1は、内側がステータ(固定子)10であり、それに対して外側のロータ20が回転するアウターロータ型の8スロット、8極の単相ブラシレスモータである。
ステータ10は、ステータコア2を備えている。ステータコア2は、ラジアル方向に延在する8個の突極を備えている。この8個の突極は、交互に各4個が配置された第1の突極3と第2の突極4により構成されている。
突極3の径方向外側の部分は、周方向に向かって傘型に開いた構造を有した突極先端部3aとされている。突極先端部3aの外周は、ロータ20の側の内周に隙間を有した状態で対向した突極面3bとされている。突極面3bは、軸方向から見て周方向において非対称な構造とされている。すなわち、突極面3bは、180度異なる軸方向から見た場合(図1をひっくり返して見た場合)に形状が同じでなく、周方向で形状が反転する構造とされている。この構造においては、突極面3bは、突極面3bとロータ20の内周との距離が、図示する視点における時計回りの周方向で考えて、一端(図の左端)から他端(図の右端)に向かって漸次狭くなる構造とされている。
突極4の径方向外側の部分は、周方向に向かって傘型に開いた構造を有した突極先端部4aとされている。突極先端部4aの外周は、ロータ20の側の内周に隙間を有した状態で対向した突極面4bとされている。突極面4bは、軸方向から見て周方向において対称な構造とされている。すなわち、突極面4bは、180度異なる軸方向から見た場合(図1をひっくり返して見た場合)に形状が同じになる構造とされている。ここで、突極面4bと対向するロータ20の内周との距離が、一定な値となるように突極面4bの形状が選択されている。また、突極3および突極4のそれぞれには、駆動コイルとなるステータコイル7が巻かれている。
ステータコア2の突極3の突極面3bおよび突極4の突極面4bに隙間を隔てて対向する位置にロータマグネット6が配置されている。ロータマグネット6は、円周方向に交互にSNSN・・・と着磁されている。ロータマグネット6は、円筒形状のヨーク5の内側に収められている。
図1の構成によれば、軸方向から見て突極の先端部が周方向において非対称な形状を有する突極3が存在することで、安定した起動特性が得られる。すなわち、突極3の構造によれば、右回り方向と左回り方向で見た場合の形状のアンバランスに起因して、起動し易い電気的な特性が得られる。また、形状の違いに起因して、周方向における非対称形状の突極3と対称形状の突極4が存在することで、形状の異なる2種類の突極に起因するコギングトルクの波形がずれる。そのため、位相のずれたコギングトルク波形の打ち消し作用が得られ、全体として見た場合のコギングトルクの低減が可能となる。こうして、起動安定性と低コギングトルク特性が得られる。
(2)第2の実施形態
図2には、実施形態の単相ブラシレスモータ11の軸方向から見た断面構造が示されている。単相ブラシレスモータ11は、内側がステータ(固定子)30であり、それに対して外側のロータ20が回転するアウターロータ型の8スロット、8極の単相ブラシレスモータである。
ステータ30は、ステータコア22を備えている。ステータコア22は、ラジアル方向に延在する8個の突極を備えている。この8個の突極は、交互に各4個が配置された第1の突極33と第2の突極34により構成されている。
突極33は、図1の突極3と同じ構造である。突極44は、図1の突極4と構造が異なっている。すなわち、突極44の径方向外側の部分は、周方向に向かって傘型に開いた構造を有した突極先端部44aとされている。突極先端部44aの外周は、ロータ20の側の内周に隙間を有した状態で対向した突極面44bとされている。突極先端部44aは、軸方向から見て周方向において対称な構造とされている。また、突極面44bと対向するロータ20の内周との距離が、中央で最も短く、左右の端部にゆくに従って徐々に増大する寸法となるように突極面44bの湾曲した構造が決められている。また、突極33および突極44のそれぞれには、駆動コイルとなるステータコイル7が巻かれている。
ステータコア2の突極3の突極面3bおよび突極4の突極面4bに隙間を隔てて対向する位置にロータマグネット6が配置されている。ロータマグネット6は、円周方向に交互にSNSN・・・と着磁されている。ロータマグネット6は、円筒形状のヨーク5の内側に収められている。
図2の構成によれば、軸方向から見て突極の先端部が周方向において非対称な形状を有する突極33が存在することで、安定した起動特性が得られる。すなわち、突極33の構造によれば、右回り方向と左回り方向で見た場合の形状のアンバランスに起因して、起動し易い電気的な特性が得られる。また、形状の違いに起因して、突極33と突極44とのコギングトルクの波形がずれるので、全体として見た場合のコギングトルクの低減が可能となる。
また、軸方向から見て周方向における形状が対称な突極44における突極面44bとロータマグネット6内周との間の距離が、左右で大であり、中央で小となる寸法関係とされている。こうすることで、出力される逆起電力波形の正弦波への整合率が高くなり、電流波形の制御が容易となり、またACモータとしたときの円滑な動作が行われる様になる。このため、高効率で清音、低振動のモータが得られる。
(3)検証
以下、シミュレーションによって得られた本発明の優位性を検証した結果を説明する。ここでは、図2に示す実施形態の単相ブラシレスモータ11と、図5に示す比較例の単相ブラシレスモータ111の特性を比較した結果を説明する。図5の単相ブラシレスモータは、内側がステータ(固定子)200であり、それに対して外側のロータ20が回転するアウターロータ型の8スロット、8極の単相ブラシレスモータである。
単相ブラシレスモータ111において、ステータ200は、ステータコア222を備えている。ステータコア222は、ラジアル方向に延在する8個の突極333を備えている。この8個の突極333は、全て図1の極歯3と同じ構造とされている。すなわち、突極333は、突極先端部333aと突極面333bを備えている。そして、突極面333bは、ロータマグネット6の内周面との距離が、一端から他端に向かって徐々に変化する構造とされている。
図3には、従来品(図5の構造)と本発明品(図2の構造)のコギングトルク特性が示されている。なお、図3の縦軸は相対値であり、横軸はロータの機械角である。図3を見れば明らかなように、本発明品は、従来品に比較して、コギングトルクのピークが抑えられ、コギングトルクが低減されている。特に図3には、ロータの機械角で見た10度、55度の付近におけるコギングトルクのピークを抑える効果が現れている。
図4に図3と同様な仕様での従来品と本発明品の逆起電力のFFTを示す。なお、図4の縦軸は、規格化した逆起電力の規格値であり、横軸は、電気角360度を1倍とした倍数である。一般的に逆起電力の波形はサイン波形状に近いほど、静音、低振動となる。本発明品である周方向で対称形状の突極44として、ロータマグネット6との隙間が径方向で、突極の円周方向中心が最小で両端にいくに従い大きくなる構造とした場合、サイン波整合率が79%から89%と改善しており、より滑らかな磁束変化となっている。これにより、静音、低振動効果が得られる。さらに回路側による励磁磁界も滑らかに入れる工夫により、単相ブラシレスモータでありながら、静音化性能を更に高めることが可能となる。
図5に示す構造は、軸方向から見た突極の構造を左右非対称な形状とすることで、起動安定性を確保することができるが、図3に示されるようにコギングトルクが大きい。コレに対して、本発明を利用した構造では、突極の構造を2群に分けることで、各群の突極に起因して発生するコギングトルクの波形をずらし、それによりコギングトルクのピークを抑えている。こうすることで、図3に示すような低コギングトルク特性と、軸方向から見て周方向で非対称な形状の突極に起因する起動安定性に優れた特性を両立することができる。
また、軸方向から見て周方向で対称な構造の突極において、突極面とロータマグネットとの間の距離を中央で小さく、左右の端部にゆくに従って大きくなるような構造とすることで、図4に示されるように、逆起電力の波形をサイン波形状に近づけ、それにより更に静音、低振動な特性とすることができる。
本発明の実施例、変形実施例は8スロット、8極の単相ブラシレスモータであるがこれに限定されず、6スロット、6極以上であれば発明を適用できる。また本発明の実施例、変形実施はアウターロータ型であるがインナーロータ型でもよい。インナーロータ型とした場合、内側にロータマグネットを配したロータが配置され、その外側に内側(ロータ)に向かって延在した極歯を有したステータが配置される。そして、ステータの構成に本発明が適用された形態となる。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
本発明は、単相ブラシレスモータに利用することができる。
1、11…発明を利用したアウターロータ型の単相ブラシレスモータ
10、30、200…ステータ
20…ロータ
2、22、222…ステータコア
3、33、333…突極
3a、33a、333a…突極先端部
3b、33b、333b…突極面
4、44、333…突極
4a、44a、333a…突極先端部
4b、44b、333b…突極面
5…ヨーク
6…ロータマグネット
7…ステータコイル

Claims (5)

  1. 6以上の偶数の磁極を備えるロータと、
    前記ロータと隙間を隔てて配置され、前記ロータの前記磁極と同じ数の複数の突極を有するステータと、
    前記複数の突極のそれぞれに巻かれた駆動コイルと
    を備えた単相ブラシレスモータであって、
    前記複数の突極は、軸方向から見て周方向において対称な構造を有する第1の突極と、軸方向から見て周方向において非対称な構造を有する第2の突極とが交互に配置された構造を有することを特徴とする単相ブラシレスモータ。
  2. 前記第2の突極は、前記ステータに対向する突極面を備え、
    前記第2の突極は、軸方向から見て、前記突極面と前記ステータとの間の距離が、周方向の一端から他端に向かって漸次大きくなる構造とされていることを特徴とする請求項1に記載の単相ブラシレスモータ。
  3. 前記第1の突極は、前記ステータに対向する突極面を備え、
    前記第1の突極は、軸方向から見て、前記突極面と前記ステータとの間の距離が、周方向の両端で相対的に大きく、中央で相対的に小さい形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の単相ブラシレスモータ。
  4. 前記第1の突極は、前記ステータに対向する突極面を備え、
    前記第1の突極は、軸方向から見て、前記突極面と前記ステータとの間の距離が、周方向で一定であることを特徴とする請求項1または2に記載の単相ブラシレスモータ。
  5. 前記第1の突極に起因するコギングトルクの波形と前記第2の突極に起因するコギングトルクの波形とがずれていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の単相ブラシレスモータ。
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