JP2012028299A - 固体酸化物燃料電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高強度、高イオン伝導性を有する固体酸化物燃料電池及びその製造方法を提供し、また、燃料極支持体型の燃料電池で支持体部分を担当する材料に求められる事項を十分に満足させることができる固体酸化物燃料電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、固体酸化物燃料電池及びその製造方法に関するものであり、本発明による固体酸化物燃料電池200は、燃料極層210、空気極層230、燃料極層210と空気極層230の間に介された電解質層220を含んで、燃料極層210は、電気伝導性物質、イットリア安定化ジルコニア、及びイットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物を含む。
【選択図】図2
【解決手段】本発明は、固体酸化物燃料電池及びその製造方法に関するものであり、本発明による固体酸化物燃料電池200は、燃料極層210、空気極層230、燃料極層210と空気極層230の間に介された電解質層220を含んで、燃料極層210は、電気伝導性物質、イットリア安定化ジルコニア、及びイットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物を含む。
【選択図】図2
Description
本発明は、固体酸化物燃料電池及びその製造方法に関する。
固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell)は、酸素または水素イオン伝導性を有する固体酸化物を電解質として用いて、燃料電池のうちもっとも高い温度(700〜1000℃)で作動し、全ての構成要素が固体からなるため他の燃料電池に比べて構造が簡単であり、電解質の損失及び補充と腐食の問題がなく、貴金属触媒が要らず、直接内部改質による燃料供給が容易である。
また、高温のガスを排出するため、廃熱を用いた熱複合発展が可能であるという長所も有している。このような長所のため、固体酸化物燃料電池に関する研究は、21世紀初商業化を目標に、アメリカ、日本など先進国を中心に活発になされている。
一般的な固体酸化物燃料電池は、酸素イオン伝導性が高い電解質層とその両面に位置した多孔性の空気極(cathode)及び燃料極(anode)層からなっている。
作動原理は、酸素が多孔性の空気極を透過して電解質面に至り、酸素の還元反応によって生成された酸素イオンが緻密な電解質を通じて燃料極に移動し、再び多孔性の燃料極に供給された水素と反応することによって水を生成するようになり、この際、燃料極では、電子が生成されて空気極では電子が消耗されるため、二つの電極を互いに連結すると電気が流れるようになるのである。
このような燃料電池は、酸素と水素が透過する多孔性の空気極と燃料極の気孔率を向上させてガス透過率を高め、燃料電池の効率を高めることが重要である。
しかし、燃料極のこのような多孔性電極は、気孔率に比例して電極の強度が減少する問題点を有している。このような燃料極の電極の強度減少は、燃料電池の機械的寿命を減少させ、40000時間以上の長期耐久性を確保しなければならない燃料電池単位セルに解決しなければならない問題点と認識されている。
従来用いられるイットリア安定化ジルコニア(Yttria stabilized zirconia:YSZ)材料は、酸素イオン伝導性に優れた8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(以下、「8YSZ」という)を多く用いるが、これは、酸素イオン伝導性は優れるが3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(以下、「3YSZ」という)に比べて強度が4倍位低いと知られている。
YSZの酸素イオン伝導度は、高い酸素空孔濃度に起因して、強度は、正方晶系相(tetragonal phase)から単斜晶系相(monoclinic phase)にマルテンサイト型(martensitic)変態による体積膨脹(約4.5%増加)に起因する。
一方、固体酸化物燃料電池は、強度及び経済的な側面から燃料極支持体タイプを多く用いる。固体酸化物燃料電池の電気化学反応は、供給されたガス、電解質、電極の三相界面(Triple Phase boundary)で生じて、このような三相界面の面積と電解質と電極の高いイオン伝導性は、燃料電池の特性に大きい影響を与えるようになる。
支持体部分の材料として優れた電気伝導度、イオン伝導度、気孔率、強度が求められて、特に、イオン伝導性が低い3YSZを用いる場合、三相界面でのイオン伝導度が落ちて、これを改善するためにイオン伝導性の向上が必要である。
従って、燃料極支持体型の固体酸化物燃料電池で燃料極の支持的な部分を担当する材料として、既存の機械的強度に優れたYSZ複合体に高イオン伝導性の電気的特性を向上させることができる新しい組成の素材が求められている実情である。
本発明は、上述の従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明の一側面は、燃料電池の燃料極に高強度の3YSZを導入し、Ln2O3型添加物のようなYSZと固溶体を形成することができる酸化物を添加し、3YSZ添加量によって減少したイオン伝導性を向上させて、高強度、高イオン伝導性を有する固体酸化物燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のまた他の側面は、3YSZと選択的に8YSZを含む高強度燃料極支持体に固溶体形成が可能な酸化物を添加して、3YSZ添加量によって減少したイオン伝導性を向上させて、燃料極支持体型の燃料電池で支持体部分を担当する材料に求められる事項を十分に満足させることができる固体酸化物燃料電池及びその製造方法を提供することを他の目的とする。
本発明の好ましい一側面によると、燃料極層、空気極層、前記燃料極層と空気極層の間に介された電解質層を含んで、前記燃料極層は、電気伝導性物質;イットリア安定化ジルコニア;及び前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物;を含む固体酸化物燃料電池が提供される。
前記燃料電池において、前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)を含むことができる。
好ましくは、前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)25から100重量%と、8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)0から75重量%を含むことができる。
前記固溶体形成が可能な酸化物は、Ln2O3、CeO2、CaO及びこれらの組合せからなる群から選択されることができ、ここで、前記Lnは、Yb、Er、Dy、Gd、Sc、Sm、Ga、BiまたはNdであることができる。
好ましくは、前記固溶体形成が可能な酸化物は、前記イットリア安定化ジルコニア100重量部に対して0.1から20重量部の含量で含まれることができる。
前記電気伝導性物質は、Ni、Co、Feまたはこれらの組合せであることができる。
一実施形態によると、前記燃料極層は、燃料極支持層と燃料極機能層を含むことができる。
この際、前記燃料極支持層は、電気伝導性物質;イットリア安定化ジルコニア;及び前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物;を含むことができる。
前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)と、8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)を含むことができる。
好ましくは、前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)25から100重量%と、8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)0から75重量%を含むことができる。
前記固溶体形成が可能な酸化物は、Ln2O3、CeO2、CaO及びこれらの組合せからなる群から選択されることができ、ここで、前記Lnは、Yb、Er、Dy、Gd、Sc、Sm、Ga、BiまたはNdであることができる。
前記固溶体形成が可能な酸化物は、前記イットリア安定化ジルコニア100重量部に対して0.1から20重量部の含量で含まれることができる。
本発明の好ましいまた他の側面によると、燃料極層を形成する段階;前記燃料極層上に電解質層を形成する段階;及び前記電解質層上に空気極層を形成する段階を含んで、前記燃料極層は、電気伝導性物質;イットリア安定化ジルコニア;及び前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物;を含む固体酸化物燃料電池の製造方法が提供される。
一実施形態によると、前記燃料極層を形成する段階は、燃料極支持層を形成する段階;及び前記燃料極支持層上に燃料極機能層を形成する段階;を含むことができる。
この際、前記燃料極支持層は、電気伝導性物質;イットリア安定化ジルコニア;及び前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物;を含むことができる。
前記製造方法において、前記燃料極層の形成段階の後、前記電解質層の形成段階の後、及び前記空気極層の形成段階の後に、夫々焼結する段階をさらに含むことができる。
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになるであろう。
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
本発明の好ましい一側面によると、イオン伝導性は低いが強度が優れた3YSZが添加された燃料極に、YSZと固溶体を形成することができる酸化物を添加することにより、三相界面でのガス、電解質、電極の反応時に3YSZのイオン伝導度を向上させ、電気的特性を大きく改善することができる。
本発明の好ましいまた他の側面によると、通常、8YSZが用いられる燃料電池の燃料極支持体に3YSZを導入して強度を向上させ、3YSZの導入によって相対的に低くなったイオン伝導度を、YSZと固溶体形成が可能な酸化物を添加して補完することにより、高強度及び高イオン伝導度を有する燃料極支持体を含む燃料電池を提供することができる。
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面と以下の詳細な説明および好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の説明において、係わる公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要にぼかす可能性があると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。本明細書において、第1、第2などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
(固体酸化物燃料電池)
図1は、本発明の好ましい一実施形態による固体酸化物燃料電池を説明するために概略的に示した断面図であり、図2は、本発明の好ましいまた他の実施形態による固体酸化物燃料電池を説明するために概略的に示した断面図である。
図1は、本発明の好ましい一実施形態による固体酸化物燃料電池を説明するために概略的に示した断面図であり、図2は、本発明の好ましいまた他の実施形態による固体酸化物燃料電池を説明するために概略的に示した断面図である。
以下、図1を参照して、本発明の好ましい一実施形態による固体酸化物燃料電池を説明する。
本発明の好ましい一実施形態による固体酸化物燃料電池100は、燃料極層110、空気極層130、前記燃料極層110と空気極層130の間に介された電解質層120を含む。
前記燃料極層110は、燃料の供給を受けて電流を発生させ、発生された電流は集電されて外部回路に電気エネルギーを供給する。
前記燃料極層110は、電気伝導性物質、イットリア安定化ジルコニア、前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物を含む。
前記電気伝導性物質は、燃料電池の燃料極の伝導体の役割を担当するものであり、通常、Ni、Co、Feのうちから選択される1種以上の化合物の酸化物であることができるが、特別にこれに限定されるものではない。
前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)を含むことができる。
また、前記イットリア安定化ジルコニアは、3YSZとともに選択的に8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)を含むことができる。
好ましくは、前記イットリア安定化ジルコニアは、25から100重量%の3YSZと、0から75重量%の8YSZを含むことができる。
前記8YSZは、通常、燃料極電極に用いられる物質であり、酸素イオン伝導性は優れるが機械的強度が相対的に低い。
このため、本発明では、燃料極の強度の改善のために、3YSZを用いる。
この際、前記3YSZと8YSZの使用量は、夫々25〜100重量%及び0〜75重量%であることが、目的とする強度改善及びイオン伝導性を具現するのに適する。
一方、前記3YSZは、機械的強度は優れるが、酸素イオン伝導性が相対的に低い。このため、本発明では、YSZと固溶体形成が可能な酸化物を添加し、3YSZの導入によって機械的物性が強化された高強度燃料極のイオン伝導性を改善して電気的特性を向上させることにより、優れた強度とイオン伝導度を同時に備えた燃料極を提供することができる。
前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物は、例えば、Ln2O3、CeO2及びCaOのうち何れか一つまたは2以上を組み合わせて選択することができる。ここで、前記Lnは、Yb、Er、Dy、Gd、Sc、Sm、Ga、BiまたはNdである。但し、上述の固溶体形成が可能な酸化物は、上述の例に限定されず、当業界で公知されたものであれば何でも使用可能である。
前記固溶体形成が可能な酸化物は、前記イットリア安定化ジルコニア100重量部に対して0.1から20重量部の含量で含まれることが、効率性及び目的とする電気的特性の改善の側面から適する。
上述の本発明の燃料極を採用した燃料電池の場合、強度とともに電気的特性が優れて固体酸化物燃料電池を長期間使用しても燃料極層の不良を防止することができ、固体酸化物燃料電池に含まれた単位セルの厚さを減少させることができる。
前記電解質層120は、燃料極層110と空気極層130の間に形成される。
前記電解質層120は、電流を通過させず、例えば、水素を燃料として用いた場合は、水素イオンのみを空気極層130に通過させる。
前記電解質層120は、固体酸化物の電解質層であり、水溶液や溶融塩のような液体電解質に比べてイオン伝導率が低いため、抵抗分極による電圧降下を少なくするため、なるべく薄く形成されることが好ましい。
前記電解質層120は、燃料極層110に用いられるイオン伝導性酸化物と同一の素材が採用されることができる。例えば、8YSZのようなYSZまたはScSZ(Scandium stabilized Zirconia)、GDC、LDC、サマリウム(Sm)がドーピングされたセリア(Ceria)などのセラミック物質で構成されることができるが、特別にこれに限定されるものではない。
前記空気極層130は、電解質層120上に形成され、電解質層120から伝達された水素イオンと外部回路を経て伝達された電子、及び空気中の酸素が結合して水が生成される。空気極層130は、例えば、ペロブスカイト構造(ABO3、A=希土類及びアルカリ土類金属、B=転移金属、O=酸素)を有するストロンチウム(Sr)が添加されたランタン(La)マンガン(Mn)オキサイド(La1−xSrxMnO3:以下LSMと略称)またはLSM/YSZ複合体が採用されることができる。但し、これに限定されるものではない。
一方、前記固体酸化物燃料電池100は、上述の燃料極層110、電解質層120及び空気極層130を含み、平板形、円筒形など多様な形態で製作されることができ、特定の形態の燃料電池に限定されない。
以下、図2を参照して、本発明の好ましいまた他の実施形態による固体酸化物燃料電池を説明する。但し、前記一実施形態と重複される説明は省略する。
本発明の好ましいまた他の実施形態による固体酸化物燃料電池200は、燃料極層210、空気極層230、前記燃料極層210と空気極層230の間に介された電解質層220を含んで、前記燃料極層210は燃料極支持層211と燃料極機能層212を含む。
前記燃料極支持層211は、燃料極機能層212を支持しながら燃料極機能層212に燃料を供給することができるように、気体を透過させる多孔性の性質を有することが典型的である。
前記燃料極支持層211と燃料極機能層212は、同一の母材料で構成されることができる。前記母材料は、前記一実施形態の燃料極層で上述したように構成することができる。
上述のように、本発明は、3YSZと8YSZ成分を適切に混合して、機械的物性が強化された高強度燃料極または燃料極支持体に、YSZと固溶体形成が可能な酸化物を添加し、低いイオン伝導性を改善することにより、高強度、高イオン伝導性を有する燃料極を備えた固体酸化物燃料電池を提供することができる。
(固体酸化物燃料電池の製造方法)
本発明の好ましい一実施形態による固体酸化物燃料電池の製造方法は、燃料極層を形成する段階、前記燃料極層上に電解質層を形成する段階、前記電解質層上に空気極層を形成する段階を含む。
本発明の好ましい一実施形態による固体酸化物燃料電池の製造方法は、燃料極層を形成する段階、前記燃料極層上に電解質層を形成する段階、前記電解質層上に空気極層を形成する段階を含む。
前記燃料極層は、原料混合粉末を、例えば、圧出成形法などによって円筒形または平管形のような求める形状で成形し、焼結して形成されることができるが、特別にこれに限定されるものではない。
前記原料混合粉末には、後述する電気伝導性物質、イットリア安定化ジルコニア及び前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物の前駆体のような機能性の成分の他に、当業界で公知されたように、バインダー、気孔体及びその他の添加剤などがさらに含まれることができる。
上述のように形成される燃料極層は、電気伝導性物質、イットリア安定化ジルコニア、前記イットリア安定化ジルコニア及び固溶体形成が可能な酸化物を含む。
前記電気伝導性物質は、燃料電池燃料極の伝導体の役割を担当するものであり、通常、Ni、Co、Feのうちから選択される1種以上の化合物の酸化物であることができるが、特別にこれに限定されるものではない。
前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)を含むことができる。
また、前記イットリア安定化ジルコニアは、3YSZとともに選択的に8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)を含むことができる。
好ましくは、前記イットリア安定化ジルコニアは、25から100重量%の3YSZと、0から75重量%の8YSZを含むことができる。
前記8YSZは、通常、燃料極電極に用いられる物質であり、酸素イオン伝導性は優れるが、機械的強度が相対的に低い。
このため、本発明では、燃料極の強度の改善のために、3YSZを用いる。
この際、前記3YSZと8YSZの使用量は、夫々25〜100重量%及び0〜75重量%であるものが、目的とする強度の改善及びイオン伝導性を具現するのに適する。
一方、前記3YSZは、機械的強度は優れるが、酸素イオン伝導性が相対的に低い。このため、本発明では、YSZと固溶体形成が可能な酸化物を添加し、3YSZの導入によって、機械的物性が強化された高強度燃料極のイオン伝導性を改善して、電気的特性を向上させることにより、優れた強度とイオン伝導度を同時に備えた燃料極を提供することができる。
前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物は、例えば、Ln2O3、CeO2及びCaOのうち何れか一つまたは2以上を組み合わせて選択することができる。ここで、前記Lnは、Yb、Er、Dy、Gd、Sc、Sm、Ga、BiまたはNdである。但し、上述した固溶体形成が可能な酸化物は、上述の例に限定されず、当業界で公知されたものであれば何でも使用可能である。
前記固溶体形成が可能な酸化物は、前記イットリア安定化ジルコニア100重量部に対して0.1から20重量部の含量で含まれることが、効率性及び目的とする電気的特性の改善の側面から適する。
前記電解質層は、例えば、YSZまたはScSZ、GDC、LDCなどをスリップコーティングやプラズマスプレーコーティング法などを用いてコーティングした後、焼結して形成することができるが、特別にこれに限定されるものではない。
前記空気極層は、例えば、LSM、LSCF((La、Sr)(Co、Fe)O3)などの組成をスリップコーティングやプラズマスプレーコーティング法などを用いてコーティングした後、焼結して形成することができるが、特別にこれに限定されるものではない。
一方、前記燃料極層の形成段階の後、前記電解質層の形成段階の後、及び前記空気極層の形成段階の後に、夫々焼結する段階がさらに含まれることもでき、場合によって燃料極層と電解質層を形成した後、焼結工程を経て、続いて空気極層を形成することもできる。
本発明の好ましいまた他の一実施形態による固体酸化物燃料電池の製造方法は、燃料極支持層を形成する段階、前記燃料極支持層上に燃料極機能層を形成する段階、前記燃料極機能層上に電解質層を形成する段階、前記電解質層上に空気極層を形成する段階を含む。
前記燃料極支持層は、例えば、所定の原料混合粉末を圧出成形して求める形態で形成し、続いて燃料極機能層として、所定の原料混合粉末をスリップコーティングやプラズマスプレーコーティング法などを用いてコーティングして形成した後、焼結して形成することができるが、特別にこれに限定されるものではない。
前記燃料極支持層は、燃料極機能層を支持しながら燃料極機能層に燃料を供給することができるように、気体を透過させる多孔性の性質を有することが典型的である。
前記燃料極支持層と燃料極機能層は、同一の母材料で構成された原料混合粉末から形成されることができる。前記母材料は、前記一実施形態の燃料極層で上述したように構成することができる。
前記電解質層は、例えば、YSZまたはScSZ、GDC、LDCなどをスリップコーティングやプラズマスプレーコーティング法などを用いてコーティングした後、焼結して形成することができるが、特別にこれに限定されるものではない。
前記空気極層は、例えば、LSM、LSCF((La、Sr)(Co、Fe)O3)などの組成をスリップコーティングやプラズマスプレーコーティング法などを用いてコーティングした後、焼結して形成することができるが、特別にこれに限定されるものではない。
一方、前記燃料極層の形成段階の後、前記電解質層の形成段階の後、及び前記空気極層の形成段階の後に、夫々焼結する段階がさらに含まれることもでき、場合によって燃料極層と電解質層を形成した後、焼結工程を経て、続いて空気極層を形成することもできる。
上述のように、本発明によると、燃料電池の燃料極層または燃料極支持層にYSZ複合体と、前記YSZと固溶体形成が可能な酸化物を採用することにより、酸素空孔の濃度を高め、機械的物性とともにイオン伝導性が優れた燃料極を備えた固体酸化物燃料電池の製造方法を提供することができる。
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による固体酸化物燃料電池及びその製造方法は、これに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
本発明の単純な変形乃至変更は、いずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
本発明は、固体酸化物燃料電池及びその製造方法に適用可能である。
100、200 固体酸化物燃料電池
110、210 燃料極層
120、220 電解質層
130、230 空気極層
211 燃料極支持層
212 燃料極機能層
110、210 燃料極層
120、220 電解質層
130、230 空気極層
211 燃料極支持層
212 燃料極機能層
Claims (20)
- 燃料極層、空気極層、前記燃料極層と空気極層の間に介された電解質層を含んで、
前記燃料極層は、
電気伝導性物質;
イットリア安定化ジルコニア(YSZ);及び
前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物;
を含む固体酸化物燃料電池。 - 前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)を含む請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
- 前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)25から100重量%と、8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)0から75重量%を含む請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
- 前記固溶体形成が可能な酸化物は、Ln2O3、CeO2、CaO及びこれらの組合せからなる群から選択され、前記LnはYb、Er、Dy、Gd、Sc、Sm、Ga、BiまたはNdである請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
- 前記固溶体形成が可能な酸化物は、前記イットリア安定化ジルコニア100重量部に対して0.1から20重量部の含量で含まれる請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
- 前記燃料極層は、燃料極支持層と燃料極機能層を含む請求項1に記載の固体酸化物燃料電池。
- 前記燃料極支持層は、
電気伝導性物質;
イットリア安定化ジルコニア;及び
前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物;
を含む請求項6に記載の固体酸化物燃料電池。 - 前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)25から100重量%と、8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)0から75重量%を含む請求項7に記載の固体酸化物燃料電池。
- 前記固溶体形成が可能な酸化物は、Ln2O3、CeO2、CaO及びこれらの組合せからなる群から選択され、前記LnはYb、Er、Dy、Gd、Sc、Sm、Ga、BiまたはNdである請求項7に記載の固体酸化物燃料電池。
- 前記固溶体形成が可能な酸化物は、前記イットリア安定化ジルコニア100重量部に対して0.1から20重量部の含量で含まれる請求項7に記載の固体酸化物燃料電池。
- 燃料極層を形成する段階;
前記燃料極層上に電解質層を形成する段階;及び
前記電解質層上に空気極層を形成する段階を含んで、
前記燃料極層は、
電気伝導性物質;
イットリア安定化ジルコニア;及び
前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物;
を含む固体酸化物燃料電池の製造方法。 - 前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)25から100重量%と、8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)0から75重量%を含む請求項11に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。
- 前記固溶体形成が可能な酸化物は、Ln2O3、CeO2、CaO及びこれらの組合せからなる群から選択され、前記LnはYb、Er、Dy、Gd、Sc、Sm、Ga、BiまたはNdである請求項11に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。
- 前記固溶体形成が可能な酸化物は、前記イットリア安定化ジルコニア100重量部に対して0.1から20重量部の含量で含まれる請求項11に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。
- 前記燃料極層を形成する段階は、
燃料極支持層を形成する段階;及び
前記燃料極支持層上に燃料極機能層を形成する段階;
を含む請求項11に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。 - 前記燃料極支持層は、
電気伝導性物質;
イットリア安定化ジルコニア;及び
前記イットリア安定化ジルコニアと固溶体形成が可能な酸化物;
を含む請求項15に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。 - 前記イットリア安定化ジルコニアは、3モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(3YSZ)25から100重量%と、8モル%のイットリアで安定化されたジルコニア(8YSZ)0から75重量%を含む請求項16に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。
- 前記固溶体形成が可能な酸化物は、Ln2O3、CeO2、CaO及びこれらの組合せからなる群から選択され、前記LnはYb、Er、Dy、Gd、Sc、Sm、Ga、BiまたはNdである請求項16に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。
- 前記固溶体形成が可能な酸化物は、前記イットリア安定化ジルコニア100重量部に対して0.1から20重量部の含量で含まれる請求項16に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。
- 前記燃料極層の形成段階の後、前記電解質層の形成段階の後、及び前記空気極層の形成段階の後に、夫々焼結する段階をさらに含む請求項11に記載の固体酸化物燃料電池の製造方法。
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