JP5555474B2 - 固体酸化物形燃料電池用燃料極、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形燃料電池の作動方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池用燃料極、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形燃料電池の作動方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池用燃料極、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形燃料電池の作動方法に関する。
近年、環境問題および資源問題などに起因して、クリーンなエネルギ源が求められている。そのようなエネルギ源としては、たとえば燃料電池が期待されている。燃料電池は、燃料を電気化学的に酸化することによって、燃焼によって生じるはずのエネルギを熱エネルギとしてではなく電気エネルギとして取り出すことに特徴がある。
このような燃料電池の中でも固体酸化物形燃料電池は、約1000℃という極めて高温で作動させるものであるため、たとえば排熱を有効利用できるなどの利点を有している。
図16に、たとえば特許文献1等に示される従来の固体酸化物形燃料電池の一例の模式的な構成図を示す。ここで、固体酸化物形燃料電池11は、酸化物イオン伝導体である電解質12の両側にそれぞれ酸素極13および燃料極14を配置してなる構造を有している。そして、酸素極13側に酸素または空気を導入し、燃料極14側に水素ガスを導入して、約1000℃の雰囲気中で固体酸化物形燃料電池11を作動させる。すると、酸素極13では(1/2)O2+2e-→O2-の反応によって酸化物イオン(O2-)が生じ、酸化物イオン(O2-)は電解質12を伝導して燃料極14に向かって移動する。そして、酸化物イオン(O2-)が燃料極14に到達すると、H2+O2-→H2O+2e-の反応によって電子(e-)が放出されて水(H2O)が生じ、電子(e-)は外部回路を通って酸素極13に流れる。
図17に、図16に示す固体酸化物形燃料電池の作動時における燃料極の挙動を図解する模式的な拡大概念図を示す。図17において、燃料極14はニッケル15とジルコニア16とのサーメットからなっており、電解質12はジルコニアにイットリウムを少量混合して得られるイットリア安定化ジルコニア(YSZ)からなっている。
ここで、水素ガスとニッケル15と電解質12との三相界面17においては、燃料極14側に導入された水素(H2)と、電解質12を伝導してきた酸化物イオン(O2-)と、が反応して電子(e-)を放出して水(H2O)が生じる。
また、水素ガスとニッケル15とジルコニア16の三相界面18においては、燃料極14側に導入された水素(H2)、またはその水素(H2)がニッケル15の表面に接触することによって解離した原子状水素(Had)と、電解質12およびジルコニア16を伝導してきた酸化物イオン(O2-)と、が反応して電子(e-)を放出して水(H2O)が生じる。
このような固体酸化物形燃料電池は、インターコネクタを介して複数接続され、セルスタックが構成される。ここで、インターコネクタは、酸素極側に導入される酸素ガスまたは空気と、燃料極側に導入される水素ガスと、を分離するとともに、個々の固体酸化物形燃料電池を電気的に直列に電気的に接続する機能を有する(たとえば特許文献1等参照。)。
また、最近では、より低温で作動させる固体酸化物形燃料電池用の燃料極として、鉄を含有させた燃料極の研究が進められている(たとえば、非特許文献1〜非特許文献6等参照。)。
特許第3160993号公報
Zhen Xie et al., "FexCo0.5-xNi0.5-SDC anodes for low-temperature solid oxide fuel cells", Electrochimica Acta 51 (2006), 3052-3057 Wang Shi-zhong et al., "High Performance Ni-Fe-Lanthanum Gallate Composite Anodes for Dimethyl Ether Fuel Cells", Electrochemical and Solid-State Letters, 9(9), A395-A398 (2006) R.Tai et al., "Fe-Ni anode in Direct-Dimethylether Fuel Cell Operated at Intermediate-Temperature Using BaCe0.8Y0.2O3-δas a Solid Electrolyte", Abstract of 214th ECS Meeting, A1-No.91 Hyeon Cheol Park et al., "Bimetallic (Ni-Fe) anode-supported solid oxide fuel cells with gadolinia-doped ceria electrolyte", Journal of Power Sources 186 (2009) 133-137 X.C. Lu et al., "Ni-Fe+SDC composite as anode material forintermediate temperature solid oxide fuel cell", Journal of Power Sources 165 (2007) 678-684 Xinge Zhang et al., "Interactions of a La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.2O3-δelectrolyte with Fe2O3, Co2O3 and NiO anode materials", Solid State Ionics 139 (2001) 145-152
従来の固体酸化物形燃料電池は約1000℃という極めて高温で作動させるものであったため、インターコネクタを構成する材料としては、従来から、高温で高い電子伝導性を有するとともに、燃料極側の高温の還元雰囲気と酸素極側の高温の酸化雰囲気の双方に耐えることができるセラミックス材料が使用されてきた。
しかしながら、インターコネクタに使用されるセラミックス材料は非常に高価であるため、固体酸化物形燃料電池の製造コストが高くなるという問題があった。そこで、低温で高性能な固体酸化物形燃料電池の開発が望まれているが、固体酸化物形燃料電池は作動時の温度が低下すると大幅に性能が低下してしまう。
上述したように、低温雰囲気中で作動させたときに優れた性能を有する固体酸化物形燃料電池用の燃料極の研究も進められているが、さらなる改善が望まれている。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、低温雰囲気中で作動させた場合でも優れた性能を有する固体酸化物形燃料電池を実現することが可能な固体酸化物形燃料電池用燃料極、それを含む固体酸化物形燃料電池およびその固体酸化物形燃料電池の作動方法である。
本発明は、900℃以下の雰囲気中で固体酸化物形燃料電池を作動させるための固体酸化物形燃料電池用燃料極であって、下記の組成式(I)で表わされる金属酸化物と、鉄との混合物からなり、
RExCe1-x2-(x/2) …(I)
組成式(I)において、REは、Sm、Gd、Y、LaおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の金属であり、xは0≦x<0.5を満たす実数を示し、窒素と水素との化合物のガスを含む燃料を供給して固体酸化物形燃料電池を作動させるための固体酸化物形燃料電池用燃料極である固体酸化物形燃料電池用燃料極である
また、本発明は、上記の固体酸化物形燃料電池用燃料極と、電解質と、を含む、固体酸化物形燃料電池である。
ここで、本発明の固体酸化物形燃料電池においては、電解質としては、ジルコニア系酸化物、セリア系酸化物、ランタンガレート系酸化物、バリウムセレート系酸化物、バリウムジルコネート系酸化物、ストロンチウムセレート系酸化物、ストロンチウムジルコネート系酸化物、ランタンシリケート系酸化物などの電解質を特に限定なく用いることができるが、好ましくは下記の組成式(II)で表わされる電解質を用いることが好ましい。
La1-sSrsGa1-(u+v)CouMgvw …(II)
組成式(II)において、sは0≦s≦0.25を満たす実数を示し、uは0≦u≦0.1を満たす実数を示し、vは0.05≦v≦0.25を満たす実数を示し、wは2.7≦w≦3.025を満たす実数を示すことが好ましい。
さらに、本発明は、上記の固体酸化物形燃料電池を作動させる方法であって、固体酸化物形燃料電池を900℃以下の雰囲気中に設置する工程と、固体酸化物形燃料電池の固体酸化物形燃料電池用燃料極に窒素と水素との化合物のガスを含む燃料を供給する工程と、を含む、固体酸化物形燃料電池の作動方法である。
本発明によれば、低温雰囲気中で作動させた場合でも優れた性能を有する固体酸化物形燃料電池を実現することが可能な固体酸化物形燃料電池用燃料極、それを含む固体酸化物形燃料電池およびその固体酸化物形燃料電池の作動方法を提供することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池の一例の模式的な断面図である。 実施例1および比較例1〜2の固体酸化物形燃料電池の構成を示す模式的な斜視図である。 SDC20の製造プロセスのフローチャートである。 (a)および(b)は、実施例1の固体酸化物形燃料電池の電圧−電流特性を示す図である。 (a)および(b)は、実施例1の固体酸化物形燃料電池の過電圧−電流特性を示す図である。 実施例1の固体酸化物形燃料電池の燃料極の過電圧が0.1Vであるときの酸素極と燃料極との間の電流密度(mA/cm2)と、実施例1の固体酸化物形燃料電池の作動時の雰囲気の温度(℃)との関係を示す図である。 実施例1の固体酸化物形燃料電池の燃料極における過電圧(V)と、燃料極に水素ガスを供給したときとアンモニアガスを供給したときの電流密度の比率との関係を示す図である。 (a)および(b)は、比較例1の固体酸化物形燃料電池の電圧−電流特性を示す図である。 (a)および(b)は、比較例1の固体酸化物形燃料電池の過電圧−電流特性を示す図である。 比較例1の固体酸化物形燃料電池の燃料極の過電圧が0.1Vであるときの酸素極と燃料極との間の電流密度(mA/cm2)と、比較例1の固体酸化物形燃料電池の作動時の雰囲気の温度(℃)との関係を示す図である。 比較例1の固体酸化物形燃料電池の燃料極における過電圧(V)と、燃料極に水素ガスを供給したときとアンモニアガスを供給したときの電流密度の比率との関係を示す図である。 (a)および(b)は、比較例2の固体酸化物形燃料電池の電圧−電流特性を示す図である。 (a)および(b)は、比較例2の固体酸化物形燃料電池の過電圧−電流特性を示す図である。 比較例2の固体酸化物形燃料電池の燃料極の過電圧が0.1Vであるときの酸素極と燃料極との間の電流密度(mA/cm2)と、比較例2の固体酸化物形燃料電池の作動時の雰囲気の温度(℃)との関係を示す図である。 比較例2の固体酸化物形燃料電池の燃料極における過電圧(V)と、燃料極に水素ガスを供給したときとアンモニアガスを供給したときの電流密度の比率との関係を示す図である。 従来の固体酸化物形燃料電池の一例の模式的な構成図である。 図16に示す固体酸化物形燃料電池の作動時における燃料極の挙動を図解する模式的な拡大概念図である。 (a)は実施例2の固体酸化物形燃料電池の燃料極に水素ガスを供給した場合に燃料極の過電圧が0.15Vであるときの実施例2の固体酸化物形燃料電池に流れる電流の電流密度(mA/cm2)と、実施例2の固体酸化物形燃料電池の燃料極の鉄およびニッケルのそれぞれの含有量(原子%)との関係を示す図であり、(b)は実施例2の固体酸化物形燃料電池の燃料極にアンモニアガスを供給した場合に燃料極の過電圧が0.15Vであるときの実施例2の固体酸化物形燃料電池に流れる電流の電流密度(mA/cm2)と、実施例2の固体酸化物形燃料電池の燃料極の鉄およびニッケルのそれぞれの含有量(原子%)との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
図1に、本発明の固体酸化物形燃料電池の一例の模式的な断面図を示す。図1に示すように、固体酸化物形燃料電池1は、電解質2と、酸素極3と、燃料極4とを有しており、電解質2の一方の表面上には鉄と金属酸化物とを含む燃料極4が形成され、電解質2の他方の表面上には酸素極3が形成されている。
ここで、燃料極4中の金属酸化物の含有量は燃料極4全体の10質量%以上70質量%以下とされることが好ましく、10質量%以上50質量%以下とされることがより好ましい。燃料極4中の金属酸化物の含有量が燃料極4全体の10質量%以上70質量%以下である場合、特に10質量%以上50質量%以下である場合には、さらに優れた性能を有する固体酸化物形燃料電池1を得ることができる傾向にある。
すなわち、燃料極4の電子伝導性を高くすることによって固体酸化物形燃料電池1の性能を優れたものとするためには、燃料極4中の金属酸化物の含有量は70質量%以下、特に50質量%以下とすることが好ましい。一方、燃料極4中の金属酸化物の含有量が少なすぎると燃料極4において鉄の凝集が進行しすぎること、および鉄と金属酸化物との接点が燃料極4における電極反応に寄与するために金属酸化物の存在がある程度必要なことなどを考慮して、固体酸化物形燃料電池1の性能を優れたものとするためには、燃料極4中の金属酸化物の含有量は、燃料極4全体の10質量%以上であることが好ましい。
なお、電子伝導を担う材料としては鉄だけである必要はなく、鉄に、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン等の鉄と合金を形成する金属を添加してもよい。この場合においても、鉄、添加金属および金属酸化物の質量の合計を100質量%としたときの金属酸化物の含有量の好ましい範囲は上記と同様である。
特に、燃料極4は、鉄と、ニッケルとを含み、燃料極4中における鉄とニッケルの総原子数に対する鉄の原子数の割合(100×(鉄の原子数)/{(鉄の原子数)+(ニッケルの原子数)})(%)が30%以上であることが好ましい。この場合には、固体酸化物形燃料電池1の性能が向上する傾向にある。
また、燃料極4に含有される金属酸化物としては、以下の組成式(I)で表される金属酸化物を用いることが好ましい。燃料極4に含有される金属酸化物として以下の組成式(I)で表される金属酸化物を用いた場合には、固体酸化物形燃料電池1の性能をさらに優れたものとすることができる傾向にある。
RExCe1-x2-(x/2) …(I)
なお、組成式(I)において、REは、Sm(サマリウム)、Gd(ガドリニウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)およびNd(ネオジム)からなる群から選択された少なくとも1種の金属であり、xはREに相当する金属の原子比を示し、1−xはCe(セリウム)の原子比を示し、2−(x/2)はO(酸素)の原子比を示す。また、組成式(I)において、xは0≦x<0.5を満たす実数を示す。
ここで、組成式(I)において、xが0≦x<0.5を満たす実数である場合には、燃料極4中の金属酸化物が蛍石型構造の結晶構造を保持しやすくなり、固体酸化物形燃料電池1の性能をさらに優れたものとすることができる傾向にある。
また、電解質2としては、以下の組成式(II)で表される酸化物イオン伝導体を用いることが好ましい。電解質2として以下の組成式(II)で表される酸化物イオン伝導体を用いた場合には、固体酸化物形燃料電池1の性能をさらに優れたものとすることができる傾向にある。
La1-sSrsGa1-(u+v)CouMgvw …(II)
なお、組成式(II)において、1−sはLa(ランタン)の原子比を示し、sはSr(ストロンチウム)の原子比を示し、1−(u+v)はGa(ガリウム)の原子比を示し、uはCo(コバルト)の原子比を示し、vはMg(マグネシウム)の原子比を示し、wはO(酸素)の原子比を示す。
また、組成式(II)において、sは0≦s≦0.25を満たす実数を示し、uは0≦u≦0.1を満たす実数を示し、vは、0.05≦v≦0.25を満たす実数を示し、wは2.7≦w≦3.025を満たす実数を示す。
ここで、組成式(II)において、sが0≦s≦0.25の範囲内の実数を示す場合には、電解質2の酸化物イオン伝導性が優れる傾向にある。また、組成式(II)において、sが0.25を超える実数を示す場合には、電解質2中のSrの含有量が多くなりすぎて、他の相が発現して、電解質2の酸化物イオン伝導性が低下する傾向にある。
また、組成式(II)において、uが0≦u≦0.1の範囲内の実数を示す場合には、電解質2の酸化物イオン伝導性が優れる傾向にある。また、組成式(II)において、uが0.1を超える場合には、電解質2中のCoの含有量が多くなりすぎて、電子伝導により内部短絡を発現し、セル電圧が低下する傾向にある。
また、組成式(II)において、vが0.05≦v≦0.25の範囲内の実数を示す場合には、電解質2の酸化物イオン伝導性が優れる傾向にある。また、組成式(II)において、vが0.25を超える実数を示す場合には、電解質2中のMgの含有量が多くなりすぎて、他の相が発現して、電解質2の酸化物イオン伝導性が低下する傾向にある。
また、組成式(II)において、wの値は、上記のs、uおよびvの値から算出すると2.7≦w≦3.025の範囲内の値となる。
また、酸素極3としては、たとえば従来から公知のPt(白金)などを特に限定なく用いることができる。また、酸素極3は、上記の燃料極4に用いられる材料として説明した材料と同様の材料を用いて形成してもよい。
上記で説明した図1に示す固体酸化物形燃料電池1は、たとえば以下のようにして作動させることができる。
まず、図1に示す固体酸化物形燃料電池1を900℃以下の雰囲気中に設置する。次に、固体酸化物形燃料電池1を900℃以下の雰囲気中に設置した状態で、固体酸化物形燃料電池1の燃料極4に水素と窒素との化合物のガスを含む燃料を供給し、酸素極3に酸素ガスを含む酸化剤を供給する。
これにより、酸素極3においては、酸化剤中に含まれる酸素ガスにより、(1/2)O2+2e-→O2-の反応から酸化物イオン(O2-)が生じる。そして、酸化物イオン(O2-)は電解質2を燃料極4に向かって伝導する。
そして、燃料極4においては、電解質2を伝導してきた酸化物イオン(O2-)と、燃料に含まれる水素と窒素との化合物のガスとにより、H2+O2-→H2O+2e-の反応から水(H2O)と電子(e-)が生じる。そして、水(H2O)は外部に放出され、電子(e-)は外部回路を通って酸素極3に流れ込む。
以上のようにして固体酸化物形燃料電池1を作動させることによって、固体酸化物形燃料電池1による発電が可能となる。
ここで、燃料極4に供給される燃料に含まれる水素と窒素との化合物のガスとしては、たとえば、NH3(アンモニア)ガスおよび/またはN24(ヒドラジン)ガスなどの水素と窒素との化合物からなるガスの少なくとも1種を用いることができる。
また、燃料極4に供給される燃料中の水素と窒素との化合物のガスは、水素と窒素との化合物の状態で燃料極4に供給されてもよく、水素(H2)ガスと窒素(N2)ガスとに分解された状態で燃料極4に供給されてもよい。
また、酸素極3に供給される酸化剤としては、たとえば、空気および/または酸素(O2)ガスなどの酸素を含むガスの少なくとも1種を含む酸化剤を用いることができる。
図1に示す構成の固体酸化物形燃料電池1は、水素と窒素との化合物のガスを含む燃料を燃料極4に供給して、900℃以下の低温雰囲気中において作動させる場合に、優れた性能を有する。
特に、900℃以下の低温雰囲気中において、アンモニアガスを含む燃料を燃料極4に供給したときには、さらに優れた性能を有する固体酸化物形燃料電池1とすることができる。これは、燃料極4中に含まれる鉄は、アンモニアガスを水素ガスと窒素ガスとに分解する活性が高いためと考えられる。
なお、固体酸化物形燃料電池1の燃料極4に供給される燃料としては、水素と窒素との化合物のガスを含む燃料には限定されず、たとえば水素(H2)ガスを含む燃料などの従来から公知の燃料を供給して固体酸化物形燃料電池1を作動させることも可能である。また、固体酸化物形燃料電池1は、900℃よりも高い温度の高温雰囲気中において作動させることも可能である。
しかしながら、上述したように、図1に示す構成の固体酸化物形燃料電池1は、たとえば900℃以下といった低温雰囲気中で、水素と窒素との化合物のガスを含む燃料を燃料極4に供給して固体酸化物形燃料電池1を作動させた場合に優れた性能を有する点で特に有用である。
また、水素を液化するには極低温に冷却する必要がある。また、液体と同量程度の水素を常温で運搬するには超高圧の容器に充填する必要がある。そのため、水素を輸送するのは大変手間とコストがかかる。一方、たとえばアンモニアは液化しやすく、20℃では0.857MPa(8.46気圧)程度の圧力で液化する。また、たとえばヒドラジンは常温では液体である。そのため、アンモニアやヒドラジンなどの水素と窒素との化合物は、水素と比較して、燃料の運搬に優れている。また、水素と窒素との化合物を水素エネルギ源として使用する場合には、通常水素に変換してから装置に導入する必要があるためエネルギ変換効率が低下してしまうが、固体酸化物形燃料電池の場合、装置内部で水素と窒素との化合物を水素分子と窒素分子に改質することができる、あるいは直接反応させることができるため、水素と窒素との化合物は固体酸化物形燃料電池の燃料として適している。
<実施例1>
図2の模式的斜視図に示す構成の実施例1の固体酸化物形燃料電池1を作製して、様々な実験を行なった。固体酸化物形燃料電池1の緻密な円盤状の電解質2の一方の表面には多孔質な円形の酸素極3と円柱状の参照電極5とをそれぞれ形成し、電解質2の他方の表面には多孔質な円形の燃料極4を形成した。
ここで、酸素極3の円形表面の直径D1および燃料極4の円形表面の直径D2をそれぞれ6mmとした。また、電解質2の円形表面D3を15mmとし、電解質2の厚さHを0.5mmとした。
図2に示す固体酸化物形燃料電池1は、以下のようにして作製した。まず、酸化ランタン、炭酸ストロンチウム、酸化ガリウムおよび酸化マグネシウムを所定の比率でエタノール中において湿式混合した後、1150℃で18時間の仮焼と上記の湿式混合とを交互に2回繰り返して作製したLSGM粉末を294MPaの圧力でCIP成形し、その後1500℃で10時間焼成することによって、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23-δ(LSGM)からなる円柱状の電解質2を作製した。
次に、電解質2の一方の円形表面の中心にPtを含むペーストを円柱状に塗布した後にその近傍にそれよりも小さい円柱状にPtを含むペーストを塗布し、その後、これらのPtを含むペーストを1000℃で3時間焼成することによって、酸素極3および参照電極5をそれぞれ形成した。
次に、図3に示すように、Sm(NO33・6H2O(硝酸サマリウム六水和物)粉末とCe(NO33・6H2O(硝酸セリウム六水和物)粉末とをそれぞれSmとCeとのモル比がSm:Ce=2:8となるように、これらの粉末を硝酸濃度が0.2(mol/dm3)であるHNO3(硝酸)水溶液中で混合した。
次に、(COOH)2・2H2O(シュウ酸二水和物)の水溶液とアンモニア水溶液とを混合した混合液(シュウ酸濃度:0.2(mol/dm3)、pH:6.7)を調製して、その混合液を上記の粉末が混合されたHNO3水溶液中に加えて12時間撹拌した。
その後、上記の撹拌後の液を吸着ろ過した後に、その吸着ろ過により得られた粉末を空気中で700℃の温度でか焼することによって、SDC20(Sm0.2Ce0.81.9)粉末を得た。
そして、上記のようにして作製したSDC20と、Fe23(酸化鉄)粉末とを、Feの含有量が全体の70質量%となる割合で混合して混合粉末を得た。その混合粉末を電解質2の酸素極3および参照電極5の形成側とは反対側の円形表面上に円柱状に設置した後に1250℃で3時間焼成することによって燃料極4を形成した。以上により、図2に示す構成の実施例1の固体酸化物形燃料電池1を作製した。
図4(a)および図4(b)にそれぞれ、上記のように作製した実施例1の固体酸化物形燃料電池1の酸素極3と燃料極4との間の電圧(V)と、実施例1の固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)との関係(電圧−電流特性)を示す。図4(a)および図4(b)においては、横軸が電流密度(mA/cm2)を示しており、縦軸が電圧(V)を示している。
また、図4(a)は、実施例1の固体酸化物形燃料電池1を700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気中に設置し、酸素極3に空気を供給し、燃料極4に水素ガスを供給したときの電圧−電流特性である。また、図4(b)は、実施例1の固体酸化物形燃料電池1を700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気中に設置し、酸素極3に空気を供給し、燃料極4にアンモニアガスを供給したときの電流−電圧特性である。
図4(a)および図4(b)に示すように、実施例1の固体酸化物形燃料電池1の電圧−電流特性は、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気においても、燃料極4に水素ガスを供給したときと、アンモニアガスを供給したときとで、電流密度方向への曲線の広がりが同等程度であることを示している。したがって、実施例1の固体酸化物形燃料電池1は、燃料極4にアンモニアガスを供給したときでも、水素ガスを供給したときと同等程度の優れた電圧−電流特性を有することが確認された。
図5(a)および図5(b)にそれぞれ、上記のように作製した実施例1の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4における過電圧(V)と、実施例1の固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)との関係(過電圧−電流特性)を示す。図5(a)および図5(b)においては、横軸が電流密度(mA/cm2)を示しており、縦軸が燃料極4における過電圧(V)を示している。
図5(a)および図5(b)に示すように、実施例1の固体酸化物形燃料電池1の過電圧−電流特性は、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気においても、燃料極4に水素ガスを供給したときと、アンモニアガスを供給したときとで、ほとんど変わらずに過電圧の上昇が抑えられており優れていた。したがって、実施例1の固体酸化物形燃料電池1は、燃料極4にアンモニアガスを供給したときでも、水素ガスを供給したときと同等程度の優れた過電圧−電流特性を有することが確認された。
図6に、実施例1の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4の過電圧が0.1Vであるときの固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)と、実施例1の固体酸化物形燃料電池1が設置された雰囲気の温度(℃)との関係を示す。図6は、図5(a)および図5(b)に示す実験結果から作成されたものである。図6においては、横軸が雰囲気の温度(℃)を示しており、縦軸が電流密度(mA/cm2)を示している。
図6に示すように、雰囲気の温度の低下とともに、固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度も低下する傾向が見られたが、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気の温度においても、固体酸化物形燃料電池1の燃料極4にアンモニアガスを供給したときの電流密度は、水素ガスを供給したときと同等程度の大きな値を示している。
図7に、実施例1の固体酸化物形燃料電池1の作動時の雰囲気の温度が700℃、800℃および900℃のそれぞれの場合における、燃料極4における過電圧(V)と、燃料極4に水素ガスを供給したときの電流密度とアンモニアガスを供給したときの電流密度との電流密度の比率((アンモニアガスを供給したときの電流密度)/(水素ガスを供給したときの電流密度))との関係を示す。図7は、図5(a)および図5(b)に示す実験結果から作成されたものである。図7においては、横軸が過電圧(V)を示しており、縦軸が上記の比率を示している。
図7に示すように、雰囲気の温度の低下とともに、上記の比率も低下する傾向が見られたが、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気の温度においても、上記の比率は相対的に大きな値を示している。
<比較例1>
Fe23粉末の代わりに、NiO粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図2に示す構成の比較例1の固体酸化物形燃料電池1を作製した。
図8(a)および図8(b)にそれぞれ、上記のように作製した比較例1の固体酸化物形燃料電池1の酸素極3と燃料極4との間の電圧(V)と、比較例1の固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)との関係(電圧−電流特性)を示す。図8(a)および図8(b)においては、横軸が電流密度(mA/cm2)を示しており、縦軸が電圧(V)を示している。
また、図8(a)は、比較例1の固体酸化物形燃料電池1を700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気中に設置し、酸素極3に空気を供給し、燃料極4に水素ガスを供給したときの電圧−電流特性である。また、図8(b)は、比較例1の固体酸化物形燃料電池1を700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気中に設置し、酸素極3に空気を供給し、燃料極4にアンモニアガスを供給したときの電圧−電流特性である。
図8(a)および図8(b)に示すように、比較例1の固体酸化物形燃料電池1の電圧−電流特性は、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気においても、燃料極4に水素ガスを供給したときと比較して、アンモニアガスを供給したときの電流密度方向への曲線の広がりが大きく狭まっていた。したがって、比較例1の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4にアンモニアガスを供給したときの電圧−電流特性は、実施例1の固体酸化物形燃料電池と比べて、大きく悪化することが確認された。このことは、図4(a)〜(b)と、図8(a)〜(b)とを対比すれば明らかである。
図9(a)および図9(b)にそれぞれ、上記のように作製した比較例1の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4における過電圧(V)と、比較例1の固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)との関係(過電圧−電流特性)を示す。図9(a)および図9(b)においては、横軸が電流密度(mA/cm2)を示しており、縦軸が燃料極4における過電圧(V)を示している。
図9(a)および図9(b)に示すように、比較例1の固体酸化物形燃料電池1の過電圧−電流特性は、700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気において、燃料極4に水素ガスを供給したとき、アンモニアガスを供給したときのいずれのときにも過電圧が大きく上昇していた。したがって、比較例1の固体酸化物形燃料電池1は、燃料極4に水素ガスを供給した場合およびアンモニアガスを供給した場合のいずれの場合においても、実施例1の固体酸化物形燃料電池と比べて、過電圧−電流特性が良好ではなかった。このことは、図5(a)〜(b)と、図9(a)〜(b)とを対比すれば明らかである。
図10に、比較例1の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4の過電圧が0.1Vであるときの固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)と、比較例1の固体酸化物形燃料電池1が設置された雰囲気の温度(℃)との関係を示す。図10は、図9(a)および図9(b)に示す実験結果から作成されたものである。図10においては、横軸が雰囲気の温度(℃)を示しており、縦軸が電流密度(mA/cm2)を示している。
図10に示すように、比較例1の固体酸化物形燃料電池1は、雰囲気の温度の低下とともに、固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度も低下する傾向が見られ、700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気において、燃料極4に水素ガスを供給したとき、アンモニアガスを供給したときのいずれときにも実施例1の固体酸化物形燃料電池と比べて、電流密度が大きくなかった。このことは、図6と図10とを対比すれば明らかである。
図11に、比較例1の固体酸化物形燃料電池1の作動時の雰囲気の温度が700℃、800℃および900℃のそれぞれの場合における、燃料極4における過電圧(V)と、燃料極4に水素ガスを供給したときの電流密度とアンモニアガスを供給したときの電流密度との電流密度の比率((アンモニアガスを供給したときの電流密度)/(水素ガスを供給したときの電流密度))との関係を示す。図11は、図9(a)および図9(b)に示す実験結果から作成されたものである。図11においては、横軸が過電圧(V)を示しており、縦軸が上記の比率を示している。
図11に示すように、雰囲気の温度の低下とともに、上記の比率が増加する傾向が見られ、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気の温度においても、上記の比率は、実施例1の固体酸化物形燃料電池と比べて、小さい値を示していた。このことは、図7と図11とを対比すれば明らかである。
<比較例2>
Fe23粉末の代わりに、Co23粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図2に示す構成の比較例2の固体酸化物形燃料電池1を作製した。
図12(a)および図12(b)にそれぞれ、上記のように作製した比較例2の固体酸化物形燃料電池1の酸素極3と燃料極4との間の電圧(V)と、比較例2の固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)との関係(電圧−電流特性)を示す。図12(a)および図12(b)においては、横軸が電流密度(mA/cm2)を示しており、縦軸が電圧(V)を示している。
また、図12(a)は、比較例2の固体酸化物形燃料電池1を700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気中に設置し、酸素極3に空気を供給し、燃料極4に水素ガスを供給したときの電圧−電流特性である。また、図12(b)は、比較例2の固体酸化物形燃料電池1を700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気中に設置し、酸素極3に空気を供給し、燃料極4にアンモニアガスを供給したときの電圧−電流特性である。
図12(a)および図12(b)に示すように、比較例2の固体酸化物形燃料電池1の電圧−電流特性は、700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気において、燃料極4に水素ガスを供給したときと比較して、アンモニアガスを供給したときの電流密度方向への曲線の広がりが大きく狭まっている。したがって、比較例2の固体酸化物形燃料電池1においては、燃料極4にアンモニアガスを供給したときの電圧−電流特性は、実施例1の固体酸化物形燃料電池と比べて、大きく悪化することが確認された。このことは、図4(a)〜(b)と、図12(a)〜(b)とを対比すれば明らかである。
図13(a)および図13(b)にそれぞれ、上記のように作製した比較例2の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4における過電圧(V)と、比較例2の固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)との関係(過電圧−電流特性)を示す。図13(a)および図13(b)においては、横軸が電流密度(mA/cm2)を示しており、縦軸が燃料極4における過電圧(V)を示している。
図13(a)および図13(b)に示すように、比較例2の固体酸化物形燃料電池1の過電圧−電流特性は、700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気において、燃料極4に水素ガスを供給したとき、アンモニアガスを供給したときのいずれのときにも過電圧が大きく上昇していた。したがって、比較例2の固体酸化物形燃料電池1は、燃料極4に水素ガスを供給した場合およびアンモニアガスを供給した場合のいずれの場合においても、実施例1の固体酸化物形燃料電池と比べて、過電圧−電流特性が良好ではなかった。このことは、図5(a)〜(b)と、図13(a)〜(b)とを対比すれば明らかである。
図14に、比較例2の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4の過電圧が0.1Vであるときの固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)と、比較例2の固体酸化物形燃料電池1が設置された雰囲気の温度(℃)との関係を示す。図14は、図13(a)および図13(b)に示す実験結果から作成されたものである。図14においては、横軸が雰囲気の温度(℃)を示しており、縦軸が電流密度(mA/cm2)を示している。
図14に示すように、雰囲気の温度の低下とともに、固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度も低下する傾向が見られ、700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気の温度において、比較例2の固体酸化物形燃料電池1は、燃料極4に水素ガスを供給した場合およびアンモニアガスを供給した場合のいずれの場合においても、実施例1の固体酸化物形燃料電池と比べて、電流密度が大きくなかった。このことは、図6と図14とを対比すれば明らかである。
図15に、比較例2の固体酸化物形燃料電池1の作動時の雰囲気の温度が700℃、800℃および900℃のそれぞれの場合における、燃料極4における過電圧(V)と、燃料極4に水素ガスを供給したときの電流密度とアンモニアガスを供給したときの電流密度との電流密度の比率((アンモニアガスを供給したときの電流密度)/(水素ガスを供給したときの電流密度))との関係を示す。図15は、図13(a)および図13(b)に示す実験結果から作成されたものである。図15においては、横軸が過電圧(V)を示しており、縦軸が上記の比率を示している。
図15に示すように、雰囲気の温度の低下とともに、上記の比率が増加する傾向が見られ、700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気の温度においても、上記の比率は、実施例1の固体酸化物形燃料電池と比べて、小さい値を示していた。このことは、図7と図15とを対比すれば明らかである。
<評価>
以上の実験結果から、FeとSDC20との混合物からなる燃料極4を備えた実施例1の固体酸化物形燃料電池1は、燃料極4に水素ガスおよびアンモニアガスのいずれを供給した場合でも、700℃〜900℃の温度の雰囲気で作動させたときに、比較例1〜2の固体酸化物形燃料電池1と比較して優れた性能を有することが確認された。
特に、実施例1の固体酸化物形燃料電池1は、燃料極4にアンモニアガスを供給して、700℃〜900℃の温度の雰囲気で作動させたときの性能が、比較例1〜2の固体酸化物形燃料電池1と比較して優れていた。
<実施例2>
Fe23粉末の代わりに、Fe23粉末とNiO粉末との配合比率をそれぞれ変更して作製した混合粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図2に示す構成の実施例2の固体酸化物形燃料電池1を作製した。
ここで、Fe23粉末とNiO粉末との混合粉末としては、実施例2の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4におけるFe(鉄)とNi(ニッケル)の総原子数に対するFe(鉄)の原子数の比(%)がそれぞれ、0、10、20、30、40、50、60、70、80、90および100(%)となるようにFe23粉末とNiO粉末とを配合した混合粉末を用いた。
図18(a)および図18(b)にそれぞれ、上記のように作製した実施例2の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4における過電圧(V)が0.15Vのときに実施例2の固体酸化物形燃料電池1に流れる電流の電流密度(mA/cm2)と、実施例2の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4における鉄およびニッケルのそれぞれの含有量(原子%)との関係を示す。
なお、図18(a)の電流密度(mA/cm2)は、実施例2の固体酸化物形燃料電池1を700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気中に設置し、酸素極3に空気を供給し、燃料極4に水素ガスを供給したときの電流密度(mA/cm2)である。また、図18(b)の電流密度(mA/cm2)は、実施例2の固体酸化物形燃料電池1を700℃、800℃および900℃のそれぞれの雰囲気中に設置し、酸素極3に空気を供給し、燃料極4にアンモニアガスを供給したときの電流密度(mA/cm2)である。
図18(a)および図18(b)に示すように、700℃、800℃および900℃のいずれの雰囲気中においても、鉄の含有量が30(原子%)以上のとき(すなわち、鉄とニッケルの総原子数に対する鉄の原子数の割合(100×(鉄の原子数)/{(鉄の原子数)+(ニッケルの原子数)})(%)が30%以上のとき)に、実施例2の固体酸化物形燃料電池1の電流密度(mA/cm2)が高くなって性能が優れる傾向にあることが確認された。
なかでも、図18(a)および図18(b)に示すように、700℃および800℃の低温の雰囲気中において鉄の含有量が30(原子%)以上のときに実施例2の固体酸化物形燃料電池1の電流密度(mA/cm2)が特に高くなり、特に性能が優れる傾向にあることが確認された。
なお、実施例2の固体酸化物形燃料電池1の酸素極3に空気を供給し、燃料極4にアンモニアガスを供給したときに実施例2の固体酸化物形燃料電池1が優れた性能を有する理由としては、アンモニアガスの合成触媒としては一般に鉄を含む合金が用いられており、このような鉄を含む合金はアンモニアガスの解離触媒としても優れていることから、実施例2の固体酸化物形燃料電池1の燃料極4に鉄を含む合金(鉄−ニッケル合金)を用いた場合に優れた性能を有するものと考えられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、固体酸化物形燃料電池用燃料極、固体酸化物形燃料電池および固体酸化物形燃料電池の作動方法に好適に利用することができる。
1 固体酸化物形燃料電池、2 電解質、3 酸素極、4 燃料極、5 参照電極。

Claims (4)

  1. 900℃以下の雰囲気中で固体酸化物形燃料電池を作動させるための固体酸化物形燃料電池用燃料極であって、
    下記の組成式(I)で表わされる金属酸化物と、鉄との混合物からなり、
    RExCe1-x2-(x/2) …(I)
    前記組成式(I)において、REは、Sm、Gd、Y、LaおよびNdからなる群から選択された少なくとも1種の金属であり、xは0≦x<0.5を満たす実数を示し、
    窒素と水素との化合物のガスを含む燃料を供給して固体酸化物形燃料電池を作動させるための固体酸化物形燃料電池用燃料極である、固体酸化物形燃料電池用燃料極。
  2. 請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用燃料極と、電解質と、を含む、固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記電解質は、下記の組成式(II)で表わされ、
    La1-sSrsGa1-(u+v)CouMgvw …(II)
    前記組成式(II)において、sは0≦s≦0.25を満たす実数を示し、uは0≦u≦0.1を満たす実数を示し、vは0.05≦v≦0.25を満たす実数を示し、wは2.7≦w≦3.025を満たす実数を示すことを特徴とする、請求項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 請求項に記載の固体酸化物形燃料電池を作動させる方法であって、
    前記固体酸化物形燃料電池を900℃以下の雰囲気中に設置する工程と、
    前記固体酸化物形燃料電池の前記固体酸化物形燃料電池用燃料極に窒素と水素との化合物のガスを含む燃料を供給する工程と、を含む、固体酸化物形燃料電池の作動方法。
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