JP2008226762A - 固体酸化物形燃料電池セルおよび固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池セルおよび固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Mitsunobu Shiono
光伸 塩野
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弘展 村上
Minoru Takashio
稔 高塩
Masanori Furuya
正紀 古屋
Megumi Shimazu
めぐみ 島津
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Abstract

【課題】 反りの発生を抑制することができ、作動温度と室温との間で昇降温を繰り返し実施しても、インターコネクターおよび燃料極が剥がれを生じることなく、高出力性能を保持することができる固体酸化物形燃料電池セルを提供する。
【解決手段】 本発明におけるSOFCセルは、インターコネクターが、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物を主成分とし、さらに、Ti元素と、Ni元素が、含まれ、燃料極が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層とを備え、第一の燃料極層は固体電解質と第二の燃料極層との間に介在し、第一の燃料極層および第二の燃料極層は、ニッケルおよび/または酸化ニッケルと、希土類元素を固溶させたジルコニアとを含んでなり、更に第一の燃料極層および第二の燃料極層にはTi元素を含んでおり、Ti元素が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層および第一の燃料極層と固体電解質との界面に存在していることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池セル(以下、SOFCセルと示す。)に関するものであり、特には、反りが小さく、サーマルサイクル性能に優れたSOFCセルに関する。
SOFCセルのインターコネクターには、高い電子導電率を有し、SOFC の作動環境下において化学的安定性が高いという理由から、従来より、CaやSrを固溶させたランタンクロマイト材料が使用されている。しかし、同材料はSOFCの燃料ガス雰囲気下(還元雰囲気下)において、還元に伴う膨張が生じ、昇降温過程で剥離が生じやすいという問題があった。また、同材料は焼結特性が低く、反りの発生を抑制できる1350℃の程度の焼成温度でインターコネクターとして要求される気密性を得ることができなかった。これらの問題を解決するべく、CaとTiを固溶させたランタンクロマイトや、Caを固溶させたランタンクロマイト(以下、LCCと示す)にTiO2を添加したものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
しかし、特許文献1に示す材料からなるインターコネクターは、Tiを入れることでLCCの粒界に存在している(CamCrn)O4で示されるカルシウムクロメイトと呼ばれる焼結助剤がLCCから流出し、反りの発生を抑制できる焼成温度で気密性の高いインターコネクターの作製が困難であることが確認された。一方、同材料は、電子導電率が低く、SOFCセルの出力性能を低下させるという問題もあった。
一方、燃料ガス雰囲気での電子導電率の向上および集電材との接触抵抗を低減させるため、インターコネクターの構成を空気側にLCCからなる層、燃料ガス側にLCCとNiの混合層を備えたものが提案されている。(例えば、特許文献2参照)
しかし、この構成にすると、昇降温過程でインターコネクターに剥離が生じ、サーマルサイクル特性が大きな課題となった。また、LCCとNiの混合層にクラックが発生し、反りの発生を抑制できる焼成温度で気密性の高いインターコネクターの作製が困難であることも確認された。
従来のSOFCセルにおける燃料極は、電子導電性が高いこと、電極触媒活性が高いこと、固体電解質との熱膨張係数が近いこと、還元雰囲気において化学的および熱力学的に安定であることが要求されていた。このため、燃料極としては、ニッケル(Ni)および/または酸化ニッケル(NiO)と、希土類元素を固溶させたジルコニアが使われ、SOFCセルの出力性能を向上させるために、固体電解質に接する側には、Niおよび/またはNiOとスカンジアを固溶させたジルコニア(ScSZ)からなる層が形成され、燃料ガス側にはNiおよび/またはNiOとイットリアを固溶させたジルコニア(YSZ)からなる層を設けることが好ましいとされていた。(例えば、特許文献3参照。)ここで示すNiOは、発電中はNiに還元される。
しかし、特許文献3に示す燃料極の構成では、反りの発生を抑制できる焼成温度から得られたものは、昇降温を繰り返し行うと、固体電解質と燃料極間および燃料極の層間の密着性が低下し、発電性能が低下するという問題があった。

特開2003-217597号公報(第5、7、11頁、第1表、第3図) 特開2006-147334号公報(第1-15頁、第1-6図) 特開2003-331874号公報(第1-5頁、第1-3図)
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、反りの発生を抑制することができるSOFCセルであって、作動温度と室温との間で昇降温を繰り返し実施しても、インターコネクターおよび燃料極が剥がれを生じることなく、高出力性能を保持することができることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明のSOFCセルは、空気極と、固体電解質と、燃料極と、インターコネクターと、を備え、前記空気極と前記インターコネクターの間に緻密質耐酸化セラミックス層を有する固体酸化物形燃料電池セルであって、インターコネクターはランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物を主成分とし、さらに、Ti元素と、Ni元素が、含まれ、燃料極が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層とを備え、第一の燃料極層は固体電解質と第二の燃料極層との間に介在し、第一の燃料極層および第二の燃料極層は、ニッケルおよび/または酸化ニッケルと、希土類元素を固溶させたジルコニアとを含んでなり、更に第一の燃料極層および第二の燃料極層にはTi元素を含んでおり、Ti元素の少なくとも一部が第一の燃料極層と第二の燃料極層の界面に存在していることをを特徴とする。
本発明の好ましい態様においては、インターコネクターにおけるTi元素とNi元素の重量比率は、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量とNi元素の酸化物(NiO)換算量の重量比率で、TiO2/ NiO=65/35〜90/10の範囲である。
本発明の好ましい態様においては、インターコネクターにおけるランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物と、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量およびNi元素の酸化物(NiO)換算量の和、との重量比率は、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物/(TiO2換算量+NiO換算量)=50/50〜70/30である。
本発明の好ましい態様においては、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物は、(La1-xCax)CrO3 (但し、0.1≦x≦0.4)で表されるランタンクロマイトである。
本発明の好ましい態様においては、緻密質耐酸化セラミックス層の空隙率は10%以下である。
本発明の好ましい態様においては、緻密質耐酸化セラミックス層は、(La1-xAx)yMnO3(但し、AはCaおよび/またはSr、0.1≦x≦0.4、0.97≦y≦1)で表されるランタンマンガナイトである。
本発明の好ましい態様においては、第一の燃料極層および第二の燃料極層におけるTi元素の含有量は、Ni元素の酸化物(NiO)換算量と希土類元素を固溶させたジルコニアの酸化物換算量の合計を100重量%とした場合に、0.7〜2重量%の範囲である。
本発明の好ましい態様においては、第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアには、Ti元素が固溶されている。
本発明の好ましい態様においては、第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアには、Ti元素が固溶されている。
本発明の好ましい態様においては、第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、スカンジアを固溶させたジルコニアである。
本発明の好ましい態様においては、第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、イットリアを固溶させたジルコニアである。
本発明の好ましい態様においては、セルは空気極を支持体とする円筒型セルである。
本発明によれば、反りの発生を抑制し、作動温度と室温との間で昇降温を繰り返しても、インターコネクターおよび燃料極が剥がれを生じることなく、高出力性能を保持することができるSOFCセルを提供することができる。
また、本発明におけるSOFCセルは、反りを低減させることができるので、本発明のSOFCセルを用いたモジュールは、体積出力密度が従来のものよりも向上し、小型化させることが可能である。
以下、本発明におけるSOFCセルについて、詳細に説明する。本発明のSOFCセルは、空気極と、固体電解質と、燃料極と、インターコネクターを備え、インターコネクターがランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物を主成分とし、さらに、Ti元素と、Ni元素が、含まれ、燃料極が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層とを備え、第一の燃料極層は固体電解質と第二の燃料極層との間に介在し、第一の燃料極層および第二の燃料極層は、ニッケルおよび/または酸化ニッケルと、希土類元素を固溶させたジルコニアとを含んでなり、更に第一の燃料極層および第二の燃料極層にはTi元素を含んでおり、Ti元素が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層および第一の燃料極層と固体電解質との界面に存在していることを特徴としている。
図1は、円筒タイプのSOFCセル断面の概略を示したものである。円筒状の空気極支持体1上に固体電解質3、さらに固体電解質3の上にインターコネクター2と接触しないように燃料極4が構成されている。空気極支持体1とインターコネクター2の間には緻密質耐酸化セラミックス層5が備えられている。円筒型セルの内側に空気を流し、外側に燃料を流すと、空気中の酸素が空気極と固体電解質の界面で(3)式に示すように電子を受け取って酸素イオンに変わる。また、この酸素イオンが固体電解質を通って燃料極に達し、燃料ガス中の水素や一酸化炭素と酸素イオンが反応して水あるいは二酸化炭素と電子を生成する。これらの反応は(1)、(2)式で示される。
H2+O2-→H2O+2e- …(1)
CO+O2-→CO2+2e- …(2)
O2+4e-→2O2- …(3)
燃料極4とインターコネクター2を接続することによって外部へ電気を取り出すことが出来る。
図2は、インターコネクター2と緻密質耐酸化セラミックス層5が設けられた部分のSOFCセル断面の詳細を示している。空気極1上に緻密質耐酸化セラミックス層5を帯状に設け、さらに緻密質耐酸化セラミックス層5の一部を露出させるように空気側電極反応層6と電解質3を設けている。インターコネクター2は、電解質3の一部と緻密質耐酸化セラミックス層5を覆うように設けられている。第一の燃料極層7と第二の燃料極層4はインターコネクター2と接触しないように電解質3の表面に形成されている。
本発明のSOFCセルは、空気極とインターコネクターとの間に緻密質耐酸化セラミックス層を設けている。それゆえ、インターコネクターには燃料ガス雰囲気下で以下に示すような特性が要求される。
(1) 気密性が高いこと。:空気と燃料ガスが混合されると発電に寄与する燃料が減少し、出力性能が低下する。緻密質耐酸化セラミックス層とインターコネクターの合計のガス透過性としては、ガス透過量Q≦2.8×10-9ms-1Pa-1(より好ましくはQ≦2.8×10-10ms-1Pa-1)が好ましい。また、燃料ガスが緻密質耐酸化セラミックス層に直接触れると緻密質耐酸化セラミックス層が劣化し、出力性能および耐久性能が低下する。それゆえ、インターコネクターは空隙率が低いことが望ましく、この観点から空隙率は10%以下であることが好ましい。
(2) 電子導電性が高いこと。:電子導電性が低いと内部抵抗が大きくなり、出力性能が低下する。インターコネクターの電子導電率としては、1Scm-1以上が好ましい。
(3) 酸素イオン導電性が無いものであること。
(4) SOFC作動温度における燃料ガス雰囲気に対して安定であること。
(5) 緻密質耐酸化セラミックス層や電解質との反応性が低いこと。
(6) 熱膨張係数が緻密質耐酸化セラミックス層材料に近いこと。
これらの要求特性から、インターコネクターとしてはランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物を主成分とし、さらに、Ti元素と、Ni元素とが、含まれている材料が好適である。この理由は、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物は難焼結性であり、気密性の高い膜を形成するのが困難であるが、Ti元素と、Ni元素とが含まれることによって気密性の高いインターコネクターを形成させることができるためである。また、Ti元素が含まれることによって、緻密質耐酸化セラミックス層との熱膨張差を低減でき、昇降温によって生じるインターコネクターの剥がれを抑制することができ、Ti元素が含まれることによる電子導電率の低下については、Ni元素を添加することによって抑制させることができるので、インターコネクター部分での出力ロスが低減され、高性能SOFCセルを提供することができる。
本発明におけるインターコネクターにおいて、Ti元素とNi元素の重量比率は、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量とNi元素の酸化物(NiO)換算量との重量比率(以下、TiO2/NiOと示す。)で、全体を100とした時に65/35≦TiO2/NiO≦90/10の範囲であることが好ましい。TiO2が65%以上であると、インターコネクターと緻密質耐酸化セラミックス層との熱膨張係数が小さくなるため、緻密質耐酸化セラミックス層との間で剥がれを生じにくい。一方、TiO2が90%以下であると、反りの発生を低減できる焼成条件で、インターコネクターの電子導電率の低下や気密性の低下を抑制することができる。TiO2/NiOのより好ましい範囲は70/30〜90/10でである。
本発明のインターコネクターにおいて、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物と、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量およびNi元素の酸化物(NiO)換算量の和との重量比率(以下、LaCrO3/(TiO2+NiO)と示す。)は、全体を100とした時に50/50≦LaCrO3/(TiO2+NiO)≦70/30の範囲が好ましい。LaCrO3が50%以上であると、反りの発生を低減できる焼成条件で緻密質耐酸化セラミックス層および電解質とインターコネクターとの間での反応を抑制することができる。一方、LaCrO3が70%以下であると、反りの発生を低減できる焼成条件で、気密性の高いインターコネクターを形成することができる。LaCrO3/(TiO2+NiO)のより好ましい範囲は50/50〜60/40である。
本発明のインターコネクターにおける厚みは、10〜60μmであることが好ましい。インターコネクターにおける厚みが10μm以上であると、緻密質耐酸化セラミックス層が燃料ガスに曝されにくい。一方、60μm以下であると、緻密質耐酸化セラミックス層との密着性が良好である。
本発明のインターコネクターにおけるランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物としては、(La1-xCax)CrO3(但し、0.1≦x≦0.4)で表されるCaを固溶させたランタンクロマイトが好ましい。この理由は、Caを固溶させたランタンクロマイトが焼結特性が高く、気密性の高いインターコネクターを、他の元素を固溶させた場合よりも容易に形成させることができるためである。
本発明の緻密質耐酸化セラミックス層は、インターコネクターが酸化雰囲気に曝されることによる劣化を抑制すること、気密性に優れるインターコネクターを容易に形成させるために設けられた層である。それゆえ、気密性が高いこと、電子導電性が高いこと、SOFC作動温度における空気雰囲気に対して安定であること、インターコネクターや空気側電極反応層との反応性が低いこと、他材料との熱膨張差が小さいことが要求される。この観点から、緻密質耐酸化セラミックス層は、(La1-xAx)yMnO3 (但し、AはCaおよび/またはSr、0.1≦x≦0.4、0.97≦y≦1)で表されるランタンマンガナイトが好ましい。この理由は、同組成が電子導電率が高く、酸化雰囲気での化学安定性に優れ、気密性の高い層を容易に形成させることができるためである。
本発明の緻密質耐酸化セラミックス層における空隙率は10%以下が好ましい。この理由は、10%以下であると、SOFCセル内側に供給している空気が緻密質耐酸化セラミックス層を通過してインターコネクターまで到達しないので、インターコネクターが酸化雰囲気に曝されることを抑制でき、インターコネクターに含まれるNiがNiOに変わり、電子導電率が低下することを防止できるためである。この観点から、緻密質耐酸化セラミックス層の厚みは、40μm以上であることが好ましく、40〜80μmであることが、より好ましい。
ここで示す空隙率とは、以下の方法で求められたものである。SOFCセルを断面方向に切断し、さらに、研磨を実施後、SEMで緻密質耐酸化セラミックス層部分の断面写真を撮り、透明なフィルム上に断面における空隙部と粒子部とを色分けしてトレースする。色分けされたフィルムを画像処理にかけて空隙部の割合を算出する。
本発明の緻密質耐酸化セラミックス層は、前記ランタンマンガナイト以外として、(La1-x1Ax1)FeO3(但し、Aは、Srおよび/またはCa、0.05≦x1≦0.4)で表されるランタンフェライト系酸化物を用いても良い。
図3は、固体電解質3と第一の燃料極層7と第二の燃料極層8が設けられた部分のSOFCセル断面の詳細を示している。第一の燃料極層7および第二の燃料極層8は、Ni9と希土類元素を固溶させたジルコニア10とTi元素(酸化チタンも含まれる)11とからなり、Ti元素11は、Ni9と希土類元素を固溶させたジルコニア10の空隙に存在する。固体電解質3上に第一の燃料極層7が設けられ、さらに第二の燃料極層8が備えられ、各々の界面にはTi元素11が存在する。
界面に存在するTi元素には、バインダー効果があり、固体電解質3と第一の燃料極層7および第一の燃料極層7と第二の燃料極層8を強固に結着させている。このため、昇降温を繰り返し行っても密着性の低下や層間での剥がれを生じにくい。
また、燃料極が酸化・還元サイクルに曝された場合、Niの酸化・還元に伴う体積変化が生じるが、Ti元素のバインダー効果が作用し、固体電解質3と第一の燃料極層7および第一の燃料極層7と第二の燃料極層8の層間の密着性が保持された状態で変化が起こる。このため、固体電解質3と第一の燃料極層7および第一の燃料極層7と第二の燃料極層8の層間の密着性が低下することなく、耐レドックス性にも優れている。
また、Ti元素は、第一の燃料極層7および第二の燃料極層8におけるニッケルと希土類元素を固溶させたジルコニアの空隙に存在することが好ましい。これは、Ti元素のバインダー効果により、ニッケル粒子のシンタリングを抑制させることができるためである。
本発明におけるSOFCセルにおいては、固体電解質と第一の燃料極層および第一の燃料極層と第二の燃料極層を強固に結着させていること、燃料ガス雰囲気下ではTi元素が電子導電性を示すので、層間の接触抵抗が低減され、出力性能が向上する。出力性能向上の観点からTi元素の含有量は、Ni元素の酸化物(NiO)換算量と希土類元素を固溶させたジルコニアの酸化物換算量の合計を100重量%とした場合に、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量で0.7〜2重量%であることが好ましい。0.7重量%以上であると、固体電解質と第一の燃料極層および第一の燃料極層と第二の燃料極層の界面に十分なTi元素が存在するためで、一方、2重量%以下であると燃料極の電子導電性低下を抑制することができるためである。
本発明においては、Ti元素が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層および第一の燃料極層と固体電解質との界面に存在していれば良く、Ti元素の形成方法については特に限定は無い。NiOと希土類元素を固溶させたジルコニアのサーメット原料とTiO2粉末が含まれたスラリーを用いてディッピングを行い焼成する方法や、固体電解質の表面にTiO2粉末からなるスラリーでディッピングをし、NiOと希土類元素を固溶させたジルコニア原料からなるスラリーで第一の燃料極層を形成し、その上にTiO2粉末からなるスラリーでディッピングし、NiOと希土類元素を固溶させたジルコニア原料からなるスラリーで第二の燃料極層を形成し、焼成する方法などが挙げられる。
本発明のSOFCセルの燃料極におけるTi元素の存在状態については、例えば以下の方法で分析することができる。SOFCセルを固体電解質から燃料極方向に切断し、表面を機械研磨した後、イオンエッチング法でTEM用の試料を作製する。作製したTEM用の試料に対してTEMおよびEDX観察を行う。
本発明における第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアには、Ti元素が固溶されていることが好ましい。この理由は、Ti元素が固溶されると希土類元素を固溶させたジルコニアの焼結性が向上し、反りの発生を低減できる焼成条件で固体電解質との密着性をより向上させることができるためである。
本発明における第一の燃料極層は、(1)または(2)式の反応を促進させるものであることがより好ましい。この観点から、希土類元素を固溶させたジルコニアにおけるTi元素の固溶量は、希土類元素を固溶させたジルコニアの酸化物換算量を100重量%とした場合に、Ti元素の含有量は、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量で2重量%以下が好ましい。この理由は、2重量%以下であると希土類元素を固溶させたジルコニアの酸素イオン導電性の低下を抑制することができるためである。
本発明における第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、ScSZが好ましい。この理由は、ScSZは酸素イオン導電性が高いためである。また、ScSZは、イットリアおよび/またはセリアを含んだものであっても良い。
スカンジアの固溶量としては、4〜12mol%が良く、より好ましくは8〜12mol%である。また、イットリアおよび/またはセリアを3mol%以下固溶させたものであっても良い。
本発明における第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアには、Ti元素が固溶されていることが好ましい。この理由は、Ti元素が固溶されると希土類元素を固溶させたジルコニアの焼結性が向上し、第一の燃料極層との密着性がより強固になるためである。また、従来よりも低温で焼結させることができるので、SOFCセルの反りを抑制させることができ、好ましい。
本発明における第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、YSZが好ましい。この理由は、ScSZと比較して焼結性が高く、第一の燃料極層との密着性をより向上させることができるためである。
本発明における燃料極は、少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層の2層以上であればよく、第一の燃料極層が1層、第二の燃料極層が2層であっても良い。また、第一の燃料極層が2層、第二の燃料極層が2層でも良い。熱膨張係数の観点から、Niの重量比を傾斜させた構造が好ましい。例えば、第一の燃料極層におけるNiとScSZの重量比を電解質側からNi/ScSZ=20/80、40/60とし、第二の燃料極層におけるNiとYSZの重量比をNi/YSZ=50/50、70/30などとしても良い。
本発明における固体電解質は、SOFCの発電温度で空気雰囲気および燃料ガス雰囲気において、酸素イオン導電率が高いこと、気密性が高いこと、電子導電率が低いものであることが好ましい。この観点から、YSZやScSZが好ましい。また、気密性が高く、 (1)、(2)、(3)式の反応を効率良く進めるという観点から、空気極側と燃料極側の固体電解質にScSZ材料を設け、中央にYSZを備えた構成が好ましい。
本発明のSOFCセルは円筒型であることが好ましい。この理由は、円筒型とすることでガスシール性に優れ、温度の昇降温に対する熱応力に強く、また機械的強度に優れているためである。ガスシール構造を簡素化し、発電システムとしての構造を簡略化できるという観点からは、片側を封止形状とした円筒型タイプがより好ましい。
円筒型タイプの支持体としては、カルシア安定化ジルコニア等の支持機能のみを持たせたタイプ、Srを固溶させたランタンマンガナイトなどの空気極と支持機能の2機能を合わせ持つタイプ、および燃料極と支持機能の2機能を合わせ持つタイプがある。Srを固溶させたランタンマンガナイトなどの空気極と支持機能の2機能を合わせ持つタイプでは、燃料極は曲面に形成されるため、成膜が難しく、平面に成膜される場合よりも密着性が低い。本発明の燃料極は、Ti元素のバインダー効果により、剥がれを抑制できるため、本タイプの燃料極として好適である。
Ti元素のバインダー効果に伴い、レドックス性能が向上することから燃料極と支持機能の2機能を合わせ持つタイプの燃料極支持体にも適用可能である。
図1〜3に、本実施例で用いた円筒型SOFCセルの概略を示す。円筒状の空気極支持体1上に帯状の緻密質耐酸化セラミックス層5と該表面に形成されたインターコネクター2、固体電解質3、さらに固体電解質3の上にインターコネクターと接触しないように燃料極4が設けられている。また、図3に示すように空気極支持体1と固体電解質3の間に空気側電極反応層6が構成され、燃料極4は、図2および図3に示すように固体電解質側から第一の燃料極層7と第二の燃料極層8を備えている。
(1)空気極支持体の作製
空気極には、La0.75Sr0.25MnO3組成で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトを用いた。原料粉末は共沈法により作製した。熱処理後の原料粉末の平均粒子径は30μmであった。原料粉末を押し出し成形法によって成形し、円筒状空気極成形体を作製した。
(2)緻密質耐酸化セラミックス層の作製
緻密質耐酸化セラミックス層には、空気極と同じくLa0.75Sr0.25MnO3組成で表されるSrを固溶させたランタンマンガナイトを用いた。原料粉末の平均粒子径は2μmとした。該粉末50重量部、溶媒(α-テルピネオール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)5重量部とを混合した後、十分攪拌してペーストを調整した。前記ペーストをスクリーン印刷法により空気極成形体上に成膜し、空気極成形体と共に1500℃で焼成した。焼成後の空気極支持体の外径は15mm、厚みは2mmであり、緻密質耐酸化セラミックス層の厚みは50μmであった。
(3)空気側電極反応層の作製
空気側電極反応層には、La0.75Sr0.25MnO3と90mol%ZrO2-10mol%Sc2O3とからなる材料を用いた。La0.75Sr0.25MnO3と90mol%ZrO2-10mol%Sc2O3の重量比率は、La0.75Sr0.25MnO3/90mol%ZrO2-10mol%Sc2O3=50/50とした。
La,Sr,Mn,ZrおよびScの各々の硝酸塩水溶液を、前記組成になるように混合した後、シュウ酸水溶液を加え沈殿を生成させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥させ、原料粉末を得た。熱処理後の原料粉末の平均粒子径は2μmであった。該原料粉末40重量部と溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤1重量部、消泡剤1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。前記スラリーを、空気極支持体(外径15mm、肉厚2mm、有効長700mm)上にスラリーコート法で成膜し、1350℃で焼成した。焼成後の空気側電極反応層の厚さは20μmであった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
(4)固体電解質の作製
電解質材料には、89mol%ZrO2-8mol%Sc2O3-3mol%Y2O3を用いた。ZrO2 を100℃で加熱した3N以上の濃硝酸に溶解させ、蒸留水で希釈し、ジルコニウムの硝酸塩水溶液を得た。Sc2O3およびY2O3ついても同様の方法で硝酸塩水溶液を得た。各々の硝酸塩水溶液を前記組成になるように混合し、シュウ酸水溶液を加え、沈殿を生成させた。該沈殿物と上澄み液を200℃程度で乾燥し、500℃で熱分解、さらに800℃で10時間熱処理をして原料粉末を得た。平均粒子径は0.5μmであった。該原料粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤1重量部、消泡剤1重量部とを混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリー粘度は100mPasであった。前記スラリーを、空気側電極反応層上に、スラリーコート法で成膜し、1400℃で焼成した。焼成後の電解質の厚さは30μmであった。なお、後工程でインターコネクターを成膜する部分についてはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしておいた。
(5)インターコネクターの作製
(5-1) Caを固溶させたランタンクロマイト(LCC)原料粉末の作製
LCCの組成はLa0.7Ca0.3CrO3とした。LCC原料粉末は噴霧熱分解法により作製した。熱処理後の原料粉末の平均粒子径は1μmであった。
(5-2) TiO2/NiO原料粉末の作製
TiO2粉末(平均粒径1μm)とNiO粉末(平均粒径1μm)を、TiO2/NiO=80/20(重量比)で混合し、1000℃で熱処理して原料粉末を得た。得られた原料粉末の平均粒子径は2μmであった。また、得られた原料粉末をXRDにて分析した結果、TiO2とNiTiO3のピークが検出された。NiOのピークは検出されなかった。
(5-3)インターコネクターの成膜
LCC原料粉末を30重量部、TiO2/NiO原料粉末を20重量部(LCC/(TiO2+NiO)=60/40)と溶媒(α-テルピネオール)100重量部と、バインダー(エチルセルロース)5重量部と、を混合した後、十分攪拌してペーストを調整した。スクリーン印刷法によりインターコネクターを成膜し、100℃で乾燥させた。
(6)第一の燃料極層の作製
(6-1) NiO/89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3原料粉末の作製
NiOと89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3との重量比率は、NiO/89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3=30/70とした。Ni,Zr,ScおよびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように混合し、シュウ酸水溶液を加え沈殿を生成させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥させ、さらに熱処理を施し、NiO/89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3原料粉末を得た。
(6-2)第一の燃料極層の成膜
NiO/89mol%ZrO2-10mol%Sc2O3-1mol%Y2O3原料粉末100重量部、TiO2粉末(平均粒径0.5μm)1重量部、溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)10重量部、分散剤2重量部、消泡剤2重量部、可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。このスラリーの粘度は70mPasであった。.第一の燃料極層の面積が210cm2になるようにセルへマスキングをし、スラリーコート法により固体電解質上へ成膜した。このとき、インターコネクター部分にはマスキングを施し、膜が塗布されないようにしている。焼成後の燃料側電極反応層の厚さは15μmであった。
(7) 第二の燃料極層の作製
(7-1) NiO/89mol%ZrO2-10mol%Y2O3原料粉末の作製
第二の燃料極層は、NiOと90mol%ZrO2-10mol%Y2O3とからなる材料とした。NiOと90mol%ZrO2-10mol%Y2O3との重量比率は、NiO/90mol%ZrO2-10mol%Y2O3=50/50および65/35とした。Ni,ZrおよびY各々の硝酸塩水溶液を用いて、前記組成になるように混合し、シュウ酸水溶液を加え沈殿を生成させた。該沈殿物と上澄み液を乾燥させ、さらに熱処理を施し、NiO/90mol%ZrO2-10mol%Y2O3原料粉末を得た。
(7-2)第二の燃料極層の成膜
該原料粉末100重量部、TiO2粉末(平均粒径0.5μm)1重量部、溶媒(エタノール)500重量部、バインダー(エチルセルロース)20重量部、分散剤2重量部、消泡剤2重量部、可塑剤(DBP)5重量部を混合した後、十分攪拌してスラリーを調整した。NiO/90mol%ZrO2-10mol%Y2O3=50/50および65/35組成のスラリー粘度は100mPasであった。第一の燃料極層上にNiO/YSZ=50/50層をスラリーコート法で成膜し、さらにNiO/YSZ=65/35層をNiO/YSZ=50/50層の表面にスラリーコート法により成膜し、100℃で乾燥した。
(8)焼成
インターコネクターと、第一の燃料極層と、第二の燃料極層と、を1350℃で共焼成した。焼成後のインターコネクターの厚さは30μm、第一の燃料極層の厚さは15μm、第二の燃料極層におけるNiO/YSZ=50/50層の厚さは20μm、NiO/YSZ=70/30層の厚さは70μmであった。
(比較例1)
インターコネクターの組成をLa0.7Ca0.3CrO3で表されるLCCとし、LCC粉末を50重量部と溶媒(α-テルピネオール)100重量部と、バインダー(エチルセルロース)5重量部とを混合した後、十分攪拌してペーストを調整した。スクリーン印刷法によりインターコネクターを成膜したこと以外は実施例1と同様にした。
(比較例2)
インターコネクターをLa0.7Ca0.3CrO3で表されるLCC とTiO2の混合物とし、LCC粉末を30重量部、TiO2を20重量部と溶媒(αテルピネオール)100重量部と、バインダー(エチルセルロース)5重量部と、を混合した後、十分攪拌してペーストを調整した。スクリーン印刷法によりインターコネクターを成膜したこと以外は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
インターコネクターをLa0.7Ca0.3CrO3で表されるLCC とNiOの混合物とし、LCC粉末を30重量部、NiOを20重量部と溶媒(α-テルピネオール)100重量部と、バインダー(エチルセルロース)5重量部と、を混合した後、十分攪拌してペーストを調整した。比較例1のLCC層を成膜し、乾燥した後、スクリーン印刷法により成膜したこと以外は、実施例1と同様にした。(LCC層:10μm、LCC とNiOの混合物層:20μm)
(比較例4)
第一の燃料極層および第二の燃料極層にTiO2粉末を加えないこと以外は、実施例1と同様とした。
(比較例5)
第一の燃料極層および第二の燃料極層にTiO2粉末を加えず、1380℃で共焼成を行ったこと以外は、実施例1と同様とした。
(比較例6)
第一の燃料極層および第二の燃料極層にTiO2粉末を加えず、1400℃で共焼成を行ったこと以外は、実施例1と同様とした。
(反り測定)
セルを定盤の上に、燃料極が接するように置き、インターコネクターが定盤の水平線に対して180°に来るようにセッティングした。その状態で隙間ゲージを入れて最大の反りを測定した。インターコネクターと第一の燃料極と第二の燃料極との共焼成前後の反り変化を算出した。
(発電評価)
セルの発電評価は以下の方法で行った。室温から900℃まで昇温した後、下記条件で発電試験を実施した。
〔1〕燃料:H2+3%H2O
〔2〕酸化剤:空気
〔3〕発電温度:900℃
〔4〕電流密度:0.2Acm-2
〔5〕燃料利用率:80%
(サーマルサイクル評価)
セルのサーマルサイクル評価は以下の方法で行った。発電試験後に、セルを室温まで下げて外観を確認し、剥がれが認められなかったセルについては、再度900℃まで昇温し、同様の条件で発電試験を実施した。この昇降温を3回くり返し、サーマルサイクル特性を評価した。
Figure 2008226762
表1に実施例1、比較例1〜6の反り、剥がれ、発電特性およびサーマルサイクル後の発電特性を示す。実施例1、比較例1〜4は焼成前後の反り変化は認められなかったが、比較例1〜3においてはインターコネクター膜の剥離が認められ、発電特性を評価できなかった。比較例4については、発電性能が極めて低く、サーマルサイクル試験後は、燃料極が剥離したため発電特性が得られなかった。比較例5、6はセルを作製することができたが反りが大きくなっていることが確認された。さらに、発電特性は、比較例6は実施例1とほぼ同程度であったが、サーマルサイクル後の発電特性は悪くなっていることが確認された。以上の結果から、本発明のSOFCセルは、反りを発生させない条件で、従来と同等以上の発電特性を有し、サーマルサイクル特性に優れていることを確認することができた。
(TiO2/NiOについて)
(実施例2)
TiO2粉末(平均粒径1μm)とNiO粉末(平均粒径1μm)を、TiO2/NiO=90/10(重量比)で混合し、1000℃で熱処理して原料粉末を得たこと以外は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
TiO2粉末(平均粒径1μm)とNiO粉末(平均粒径1μm)を、TiO2/NiO=75/25(重量比)で混合し、1000℃で熱処理して原料粉末を得たこと以外は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
TiO2粉末(平均粒径1μm)とNiO粉末(平均粒径1μm)を、TiO2/NiO=70/30(重量比)で混合し、1000℃で熱処理して原料粉末を得たこと以外は、実施例1と同様にした。
(実施例5)
TiO2粉末(平均粒径1μm)とNiO粉末(平均粒径1μm)を、TiO2/NiO=65/35(重量比)で混合し、1000℃で熱処理して原料粉末を得たこと以外は、実施例1と同様にした。
Figure 2008226762
表2に実施例1〜5における反り、剥がれ、発電特性およびサーマルサイクル後の発電特性を示す。いずれの条件においても反り、剥がれが認められず、発電特性は高く、サーマルサイクルに伴う電位低下も認められなかった。以上の結果から、実施例1〜実施例5の範囲におけるTiO2/NiOの範囲では、反りを発生させない条件で、従来と同等以上の発電特性を有し、サーマルサイクル特性に優れていることを確認することができた。
(LCC/(TiO2/NiO)について)
(実施例6)
LCC原料粉末を35重量部、TiO2/NiO原料粉末を15重量部(LCC/(TiO2+NiO)=70/30)と溶媒(α-テルピネオール)100重量部と、バインダー(エチルセルロース)5重量部と、を混合した後、十分攪拌してペーストを調整したこと以外は、実施例1と同様にした。
(実施例7)
LCC原料粉末を25重量部、TiO2/NiO原料粉末を25重量部(LCC/(TiO2+NiO)=50/50)と溶媒(α-テルピネオール)100重量部と、バインダー(エチルセルロース)5重量部と、を混合した後、十分攪拌してペーストを調整したこと以外は、実施例1と同様にした。
Figure 2008226762
表2に実施例1、6、7における反り、剥がれ、発電特性およびサーマルサイクル後の発電特性を示す。いずれの条件においても反り、剥がれが認められず、発電特性は高く、サーマルサイクルに伴う電位低下も認められなかった。以上の結果から、実施例1、6、7の範囲におけるLCC/(TiO2/NiO)の範囲では、反りを発生させない条件で、従来と同等以上の発電特性を有し、サーマルサイクル特性に優れていることを確認することができた。
(TiO2量について)
(実施例9)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を0.7重量%にした以外は実施例1と同様にした。
(実施例10)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を1.5重量%にした以外は実施例1と同様にした。
(実施例11)
第一の燃料極層および第二の燃料極層において、TiO2粉末を2重量%にした以外は実施例1と同様にした。
Figure 2008226762
表2に実施例1、9、10、11における反り、剥がれ、発電特性およびサーマルサイクル後の発電特性を示す。いずれの条件においても反り、剥がれが認められず、発電特性は高く、サーマルサイクルに伴う電位低下も認められなかった。以上の結果から、実施例1、9、10、11の範囲におけるTiO2量の範囲では、反りを発生させない条件で、従来と同等以上の発電特性を有し、サーマルサイクル特性に優れていることを確認することができた。
なお、本発明は、インターコネクターと、第一の燃料極層と第二の燃料極層とを共焼成して得たが各々を逐次で実施しても同様の結果が得られることが容易に想定される。実用性を考慮すると、共焼成が好ましい。
円筒タイプのSOFCセルの断面を示す図である。 図1に示すSOFCセルの緻密質耐酸化セラミックス層およびインターコネクター構成について詳細を示した断面図である。 図1に示すSOFCセルの固体電解質および燃料極構成について詳細に示した断面図である。
符号の説明
1…空気極支持体
2…インターコネクター
3…固体電解質
4…燃料極
5…緻密質耐酸化セラミックス層
6…空気側電極反応層
7…第一の燃料極層
8…第二の燃料極層
9…Ni
10…希土類元素を固溶させたジルコニア
11…Ti元素(酸化チタンも含まれる)

Claims (13)

  1. 空気極と、固体電解質と、燃料極と、インターコネクターと、を備え、前記空気極と前記インターコネクターの間に緻密質耐酸化セラミックス層を有する固体酸化物形燃料電池セルであって、
    前記インターコネクターはランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物と、Ti元素と、Ni元素とを含んでなり、
    前記燃料極が少なくとも第一の燃料極層と第二の燃料極層とを備え、
    前記第一の燃料極層は前記固体電解質と前記第二の燃料極層との間に介在し、
    前記第一の燃料極層および前記第二の燃料極層は、ニッケルおよび/または酸化ニッケルと、希土類元素を固溶させたジルコニアとを含んでなり、更に、前記第一の燃料極層および前記第二の燃料極層はTi元素を含み、前記Ti元素の少なくとも一部が前記第一の燃料極層と前記第二の燃料極層の界面に存在していることを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル。
  2. 前記インターコネクターにおけるTi元素とNi元素の重量比率は、前記Ti元素の酸化物(TiO2)換算量と前記Ni元素の酸化物(NiO)換算量の重量比率で、TiO2/NiO=65/35〜90/10の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  3. 前記インターコネクターにおけるランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物と、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量およびNi元素の酸化物(NiO)換算量の和、との重量比率は、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物/(TiO2換算量+NiO換算量)=50/50〜70/30であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  4. 前記ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物は、(La1-xCax)CrO3(但し、0.1≦x≦0.4)で表されるランタンクロマイトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  5. 前記緻密質耐酸化セラミックス層の空隙率は10%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  6. 前記緻密質耐酸化セラミックス層は、(La1-xAx)yMnO3(但し、AはCaおよび/またはSr、0.1≦x≦0.4、0.97≦y≦1)で表されるランタンマンガナイトであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  7. 前記第一の燃料極層および前記第二の燃料極層におけるTi元素の含有量は、ニッケルの酸化物(NiO)換算量と希土類元素を固溶させたジルコニアの酸化物換算量の合計を100重量%とした場合に、Ti元素の酸化物(TiO2)換算量で0.7〜2重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  8. 前記第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアには、Ti元素が固溶されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  9. 前記第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアには、Ti元素が固溶されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  10. 前記第一の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、スカンジアを固溶させたジルコニアであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  11. 前記第二の燃料極層における希土類元素を固溶させたジルコニアは、イットリアを固溶させたジルコニアであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  12. 前記固体酸化物形燃料電池が空気極を支持体とする円筒型セルであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池セルを備えてなる、固体酸化物形燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011093328A1 (ja) * 2010-01-26 2011-08-04 京セラ株式会社 燃料電池セル、燃料電池セル装置および燃料電池モジュールならびに燃料電池装置
JP2012028299A (ja) * 2010-07-26 2012-02-09 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 固体酸化物燃料電池及びその製造方法
JP2013084528A (ja) * 2011-10-12 2013-05-09 Japan Fine Ceramics Center 固体酸化物形燃料電池のガスセパレート材及び固体酸化物形燃料電池

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