JP2012028240A - アルカリマンガン乾電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルカリ乾電池を誤って高負荷充電した場合においても、水素ガス発生量を低減することによって電池内圧の上昇を抑制して、電池が漏液に至ることを回避できるアルカリマンガン乾電池を提供する。
【解決手段】亜鉛又は亜鉛合金の粉末と、アルカリ電解液とを含んだ負極を備えたアルカリマンガン乾電池であって、アルカリ電解液は35重量%の水酸化カリウム水溶液において、標準水素電極に対して−2.1V以上−1.5V以下の範囲に酸化還元電位を持つ酸化物を含んでいるものとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、アルカリマンガン乾電池、とりわけ誤って充電がなされた場合における耐漏液特性を向上させたアルカリマンガン乾電池に関する。
負極に亜鉛を用い、電解液にアルカリ水溶液を用いたアルカリマンガン乾電池は、汎用性が高く安価であるため、広く普及している。負極活物質に用いられる亜鉛は、質量当たりの理論放電容量が820mAh/gと大きい、毒性が低い、環境負荷が少ない、及び、安価である等といった特徴を有している。アルカリマンガン乾電池の負極活物質には、ガスアトマイズ法等で得られる不定形の亜鉛粉末を使用する。
アルカリマンガン乾電池では、亜鉛粉がアルカリ電解液中で腐食されると、水素ガスを発生し、電池の内圧が上昇する。電池の内圧が安全弁の作動圧まで上昇すると、安全弁が開いてガスが電池の外へ放出される。このとき、開放された安全弁から、ガスだけでなくアルカリ電解液も放出されてしまい、その結果、電池が漏液に至る場合がある。
この漏液を防止するため、古くは、負極中に水銀を添加して亜鉛粉の表面をアマルガム化することによって水素発生過電圧を高めるという防食法が行われていた。しかし、低公害化の社会的ニーズが高まり、1980〜1990年頃にかけてアルカリ乾電池の無水銀化が進んだ。水銀添加に取って代わる防食技術として、例えば次に挙げるような技術がある。
保存時の水素ガス発生を抑制する目的で、負極あるいは電解液に有機物を添加する方法が提案されている(特許文献1参照)。この提案によれば、負極表面での水素ガスの発生を抑制できるので、アルカリ乾電池の耐漏液性を向上させることができる。
また、高温保存時の貯蔵性を向上させる目的で、アルカリ電解液における水酸化カリウムの濃度を一定以上とする方法が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、単三形アルカリマンガン乾電池の4本のうち1本をプラスマイナス逆に装填した場合の漏液を防止する目的で、電池中の酸化亜鉛量を規定する方法が提案されている(特許文献3参照)。この提案によれば、あらかじめ酸化亜鉛を電池中に所定量配合させることにより、逆装初期の負極において水素ガス発生反応が起こるよりも先に酸化亜鉛の還元反応を起こさせて、水素ガス発生を回避することができる。
特開昭61−80758号公報 特開2007−115701号公報 特開2006−156158号公報
従来から、アルカリマンガン乾電池を複数個直列で使用する場合に、そのうちの一つのアルカリマンガン乾電池を誤ってプラスマイナス逆に装填してしまい、その結果、逆装填されたアルカリマンガン乾電池が充電されることがあった。さらに近年、単三型または単四型のニッケル水素二次電池の急速な普及に伴い、これらの充電器にアルカリマンガン乾電池を誤って装填させたためにその電池が充電され、その結果、漏液に至るケースが顕在化している。
アルカリマンガン乾電池では、通常保存時においても、前述したようなアルカリ電解液による亜鉛粉末の腐食により、多少の水素ガスが発生する。しかしアルカリマンガン乾電池が逆接続される若しくはアルカリマンガン乾電池が充電器で充電される等といったアルカリマンガン乾電池の適正な使用の範囲を超えた状況下では、水素ガスの発生量は極端に多くなり、アルカリマンガン乾電池が漏液に至る可能性が増大する。この漏液を抑制するためには、充電反応で生成する水素ガスの発生量を低減させることによって、電池内圧上昇を抑制することが望ましい。
先に示した特許文献1及び2では、保存時または高温保存時の水素ガス発生の抑制効果は認められるが、充電時での水素ガスの発生を十分に抑制することは難しい。
特許文献3に記載の技術は、アルカリマンガン乾電池を誤ってプラスマイナス逆に装填してしまった場合の漏液防止に関する技術である。従ってこの技術では、軽負荷機器への逆装填における漏液防止という効果は認められる。しかしながら、この技術では、充電器によるアルカリマンガン乾電池の充電等のように負荷が比較的大きな充電(以下ではこの充電を「高負荷充電」と記す)に起因する漏液の防止という効果を得ることは難しい。そのため、この技術を用いても、高負荷充電時における水素ガスの急激な発生を抑制することは難しい。
以上より、これらの従来技術では、高負荷充電時におけるガスの激しい発生を抑制することは困難であり、アルカリマンガン乾電池を充電器で誤って充電させたときの耐漏液対策には改善の余地がある。
上記の課題を解決するため、本発明に係るアルカリマンガン乾電池では、亜鉛又は亜鉛合金の粉末と、アルカリ電解液とを含んだ負極を備えたアルカリマンガン乾電池であって、前記アルカリ電解液は、35重量%の水酸化カリウム水溶液において、標準水素電極に対して−2.1V以上−1.5V以下の範囲に酸化還元電位を持つ酸化物を含んでいる
。ここでアルカリ電解液が酸化物を含むということは、アルカリ電解液に酸化物が溶解している場合と溶解せずに分散している場合の両方が含まれる。もちろん、酸化物の一部が溶解して残りが分散している場合も含まれる。
本発明では、アルカリマンガン乾電池が高負荷充電された場合であっても、電池内でのガス発生を抑制することができるので、電池内圧の上昇に伴う漏液を抑制できる。
未使用アルカリ乾電池を20±2℃環境下で250mAの充電レートで充電したときの、電池電圧挙動、負極電位挙動、正極電位挙動である。 本発明の一実施形態におけるアルカリマンガン乾電池の構成を示した半断面図である。
本発明の実施形態を説明する前に、本願を完成させるに至った経緯を示す。
本願発明者らは、高負荷充電に起因する漏液を防止するための適切な対策を考案するために、未使用アルカリ乾電池の高負荷充電時の電圧挙動を調査し、ガス発生の機構(メカニズム)について考察した。
未使用アルカリ乾電池を充電したところ、図1(a)〜図1(c)に示す結果が得られた。図1(a)には電池電圧の挙動及びガス発生量の累積量の挙動を示しており、図1(b)には負極電位の挙動を示しており、図1(c)には正極電位の挙動を示している。ここで、負極電位及び正極電位の各挙動は、電池の正極ケース(電池ケース)の一部に孔を開け、塩橋を介して電池外の水銀/酸化水銀参照極と液絡を取ることにより測定されたものであり、図1(b)及び図1(c)の各縦軸には、水銀/酸化水銀極に対する電位を表示している。なお、水銀/酸化水銀極に対する電位は、標準水素電極に対する電位に比べて0.098V大きい(+である)。
図1(a)〜(c)に示すように、高負荷充電時における電池の正極及び負極の電位挙動は、領域I〜領域IIIの3つに分類できる。
領域Iでは、負極電位は緩やかに降下し、正極電位は緩やかに上昇する。その後、負極電位が急激に降下して、領域IIへ移行する。
領域IIでは、負極電位はほとんど変化しないで安定し、正極電位は領域Iのときと同様に緩やかに上昇する。そして、正極電位の上昇が停止して、領域IIIへ移行する。
領域IIIでは、負極電位は、領域Iのときと同様の電位にまで上昇し、その後安定する。一方、正極電位は、緩やかに下降する。
ガス発生量の挙動については、領域Iでは、ガスの発生がほとんど確認されない。 領域IIへ移行すると、ガスの発生が確認され、その累積発生量は時間の経過とともに増加する。その後、領域IIIへ移行すると、ガスの累積発生量の増加は、非常に緩やかとなり、最終的にはガスの累積発生量の増加はほとんど確認されない。
以上の3つの領域における負極電位、正極電位及びガス発生量の挙動に基づいて、各領域における負極及び正極での反応を以下のように考察した。
領域Iにおいては、ガスの発生がほとんどないこと及び正極電位・負極電位が緩やかに変化していることから、正極では(1)式に示される二酸化マンガンの酸化反応が起こっていると考えられ、負極では(2)式に示される亜鉛錯イオンの還元反応が起こっていると考えられる。
正極:MnO2−x+2xOH→MnO+xHO+2xe・・・(1)
負極:Zn(OH) 2−+2e→Zn+4OH・・・・・・・・(2)
電解液(アルカリ電解液とゲル状アルカリ電解液との総称,以下同じ)中に存在する亜鉛錯イオン(Zn(OH) 2−)が完全に消費されると、負極電位は、急激に降下して水素発生電位に到達する。すると、(3)式に示す反応が始まり、領域IIに入る。
領域IIにおいては、正極では緩やかに正極電位が上昇していることから、領域Iから引き続いて二酸化マンガンの酸化反応が起こっていると考えられる。一方、ガスが発生していることから負極では(3)式に示される水素ガス発生反応(以下単に「水素ガス発生反応」と記す。)が起こっていると考えられる。このように負極では水素ガスが発生するため、時間の経過とともにガスの累積発生量が増加し、よって、電池内圧が上昇する。
正極:MnO2−x+2xOH→MnO+xHO+2xe・・・(1)
負極:2HO+2e→ H↑+2OH・・・・・・・・・・・(3)
正極での二酸化マンガンの酸化がほぼ終了すると、正極電位が酸素発生電位に到達する。すると、正極では(4)式に示す反応が始まり、領域IIIに入る。
領域IIIにおいては、正極では(4)式に示される酸素ガス発生反応(以下では単に「酸素ガス発生反応」と記す。)が起こる。ところで、領域IIIでは、ガスの発生累積量がほとんど増加していない。このことから、負極では、水素ガス発生反応よりも(5)式に示される酸素ガス消費反応(以下では単に「酸素ガス消費反応」と記す。)が優先して起こると考えられる。つまり、領域IIIでは、負極における水素ガス発生反応が抑制され、また、正極で発生した酸素が負極で還元されて消費されるため、ガス発生量の増加が抑制される。
正極:4OH→O+2HO+4e・・・(4)
負極:2HO+O+4e→4OH・・・(5)
以上の考察に基づいて、本願発明者らは、領域IIにおける水素ガスの発生量を減少すれば、高負荷充電時における電池内圧の上昇を防止でき、よって、高負荷充電時における液漏れを防止できると考えた。
本発明の実施形態を以下に示す。
図2は、本実施形態に係るアルカリ乾電池の半断面図である。図2に示すように、有底円筒状の電池ケース1内に、セパレータ4を介して正極2と負極3とが収納され、また、アルカリ電解液が注入されている。電池ケース1の開口部は、ガスケット5及び負極集電子6のそれぞれに接続された負極端子板7で封口されている。
正極2は二酸化マンガンであり、負極3は亜鉛又は亜鉛合金の粉末をゲル状のアルカリ電解液に分散させたものである。
本実施形態のアルカリ乾電池は、アルカリ電解液が、強アルカリ水溶液である35質量%の水酸化カリウム水溶液において、標準水素電極に対して−2.1V以上−1.5V以下の範囲に酸化還元電位を持つ酸化物を含んでいる。
先に示した充電時の反応メカニズムに照らして、(2)式に示される亜鉛錯イオンの還元が完了した後、(3)式に示される水素発生反応が開始する前に、他の化合物に還元反応を起こさせることによって、領域IIの開始、すなわち、(3)式に示される水素発生反応の開始を遅らせる。具体的には、アルカリ電解液中に、強アルカリ水溶液において、亜鉛の酸化還元電位よりも低く、水素発生電位よりも高い領域、すなわち、標準水素電極に対して−2.1V以上−1.5V以下の範囲に酸化還元電位を持つ酸化物を含ませておく。
本実施形態においてアルカリ電解液に含ませる酸化物は、酸化チタン(III)、酸化ガリウム(III)、二酸化ニオブからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。これらの酸化物は先述の条件を満たしており、また、環境負荷の小さい金属からなる酸化物である。
また、本実施形態においてアルカリ電解液に含ませる酸化物は、亜鉛または亜鉛合金の粉末100質量部に対して、0.00005M質量部以上0.02M質量部以下(Mは酸化物の分子量)含んでいることが望ましい。先に示した効果を発現させるには、亜鉛または亜鉛合金の粉末100質量部に対して、0.00005M質量部以上の酸化物が必要である。しかし、酸化物量が0.02M質量部を超えると、高レートパルス放電を阻害する場合がある。
本実施形態におけるアルカリ電解液は、亜鉛または亜鉛合金の粉末100質量部に対して、亜鉛(II)化合物を0.01m質量部以上0.03m質量部以下含んでいることが望ましい。亜鉛(II)化合物が0.01m質量部以上であれば、水素ガスの発生量を低減し、電池内圧上昇を抑制することができる。これには2つの側面がある。1つ目に、亜鉛(II)化合物を多く添加すると電解液中に存在する亜鉛錯イオンが増加するため、(2)式に示される亜鉛(II)化合物の還元反応が完了するまでに時間がかかる。このため、負極における所定酸化物の還元反応や水素発生反応が開始するのを遅らせることができる。2つ目に、電解液中に亜鉛錯イオンが存在すると、(2)式に示される反応によって、亜鉛(II)化合物を加えていない場合と比較してより多くの亜鉛が析出するため、亜鉛の表面積が増加する。このため、正極で酸素ガス発生反応が開始した際に、負極において、水素ガス発生反応から酸素ガス消費反応へ速やかに移行し、電池内圧上昇を抑制することができる。しかし、亜鉛(II)化合物が0.03m質量部を超えると、放電性能が低下する。
また、本実施形態における亜鉛または亜鉛合金の粉末は、BET比表面積が0.04cm/g以上0.05cm/g以下であることが望ましい。先に示した充電時の反応メカニズムに照らして、亜鉛または亜鉛合金の粉末のBET比表面積は、0.04cm/g以上であれば、正極で(4)式に示される酸素発生反応が開始した際に、負極において、(3)式に示される水素発生反応から(5)式に示される酸素消費反応へ速やかに移行するため、電池内圧上昇を抑制することができる。しかし、BET比表面積が0.05cm/gを超えると、通常保存状態において、亜鉛の腐食に伴う水素発生の場を多く提供することになるため、保存時の水素発生量が増加する。
<実施例1>
まず、正極2を作製した。
電解二酸化マンガン及び黒鉛を重量比94:6の割合で混合して混合粉を得た。この混合粉100質量部に対してアルカリ電解液1質量部を加えた後、ミキサーで攪拌して混合粉と電解液とを均一に混合し、一定粒度に整粒した。このようにして得られた粒状物を、中空円筒型を用いて加圧成形した。これにより、正極合剤ペレットを得た。ここで、電解二酸化マンガンとしては東ソー株式会社製のHH−TFを用い、黒鉛としては日本黒鉛工業株式会社製のSP−20を用いた。
次に、電池ケース1の内部に、正極合剤ペレットを複数個挿入して加圧した。これにより、正極合剤ペレットを電池ケースの内面に密着させた。
この正極合剤ペレットの内側に、円柱状に巻いたセパレータ4を挿入した。その後、セパレータ4と正極合剤ペレットを湿潤させる目的で、本実施例におけるアルカリ電解液を注入した。セパレータ4としては、株式会社クラレ製のビニロン−リヨセル複合不織布を用いた。
ここで、アルカリ電解液としては、35重量%の水酸化カリウム水溶液54質量部に対し、酸化チタン(III)、酸化ガリウム(III)、二酸化ニオブを、それぞれ0.0001M質量部(Mは酸化物の分子量)添加したものと、これらを何れも添加していないものと、計4種類のアルカリ電解液を作製した。
続いて、負極3を作製した。
まず、Al:0.003重量%、Bi:0.010重量%、In:0.020重量%を含有する亜鉛合金の粉末をガスアトマイズ法によって作製した。次に、作製された亜鉛合金の粉末を、篩を用いて分級した。そして、BET比表面積が0.040cm/gとなるように、亜鉛合金の粉末を調整した。
次に、上記の評価用亜鉛合金粉100質量部に対して、分散媒であるゲル状アルカリ電解液として、上記の4種類のアルカリ電解液54質量部のそれぞれと、架橋型ポリアクリル酸0.4質量部、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム0.7質量部を混合し、4種類のゲル状電解液を作製した。
前記亜鉛合金の粉末と前記ゲル状アルカリ電解液とを混合して、4種類のゲル状負極をそれぞれ作製し、単3サイズのアルカリマンガン乾電池を4種類作製した。
次に電池の評価方法を説明する。
充電漏液試験として、作製したアルカリマンガン乾電池を直流電源に接続し、250mAの充電レートにて2時間充電した。1種類につき各々5個の電池を充電し、充電後、目視確認により漏液の発生率(%)を求めた。
Figure 2012028240
結果を表1に示す。充電漏液試験の結果から、アルカリ電解液に酸化物を添加していない電池(No.1−1)では漏液がみられるが、規定の酸化物を添加した電池(No.1−2〜1−4)では、充電漏液発生率が0%であり、充電漏液防止の効果がみられる。これは、(2)式に示される亜鉛錯イオンの還元が完了した後、水素ガス発生反応が開始する前に、添加した酸化物の還元反応が起こることによって、水素ガスの発生開始を遅らせる効果によるものと考えられる。水素ガスの発生開始が遅れることによって、発生する水素ガスの総量を低減させて、電池内圧の上昇を抑制でき、漏液を防止することができる。
<実施例2>
次に、アルカリ電解液へ添加する酸化物の添加量について検討した。添加物として酸化チタン(III)を用い、添加量は、前記亜鉛合金粉末100質量部に対して0M、0.00005M、0.0005M、0.005M、0.01M、0.02M、0.05M(Mは酸化チタン(III)の分子量)である7種類の電池を作製した。
次に電池の評価方法を説明する。
充電漏液試験として、実施例1に示した方法で漏液の発生率(%)を求めた。
また、高レートパルス放電性能試験として、10秒間の1000mA放電後、50秒間休止することを1パルスとし、このパルス放電を1日に1時間(60パルス)行い残りの23時間は休止する、カメラ用途を想定した放電試験を実施した。電池電圧が0.9Vに到達する間に放電したパルス数が470以下である場合、性能が不十分で好ましくないと言える。
Figure 2012028240
結果を表2に示す。充電漏液試験の結果から、酸化チタン(III)を添加していない電池(No.2−1)では漏液がみられるが、酸化チタン(III)を添加した電池(No.2−2〜2−7)では、充電漏液発生率が0%であり、充電漏液防止の効果がみられる。
しかしながら、酸化チタン(III)の添加量が亜鉛粉末100質量部に対して0.02molを超えると(No.2−7)、高レートのパルス数が470を下回り、高レートパルス放電性能が不十分となる。
以上のことから、添加する酸化物の添加量は、亜鉛粉末100質量部に対して0.00005mol以上0.02mol以下であることが望ましい。
<実施例3>
電池が高負荷充電された場合の電池内圧上昇を、さらに抑制する目的で、アルカリ電解液への亜鉛(II)化合物の添加について検討した。
アルカリ電解液として、35重量%の水酸化カリウム水溶液54質量部に対し、酸化チタン(III)を0.0001mol添加した上で、さらに、亜鉛(II)化合物である酸化亜鉛を、水酸化カリウム54質量部に対し、0mol、0.01mol、0.02mol、0.03mol、0.04mol含有する計5種類のアルカリ電解液を作製した。
これらのアルカリ電解液を用いて、実施例1に示したものと同様の手順で、5種類の電池を作製した。
次に電池の評価方法を説明する。
充電漏液試験として、実施例1に示した方法で漏液の発生率(%)を求めた。
さらにここで、漏液していない電池に関しては、この電池を水中で切開し、ガスを捕集し、その体積を測定した。電池内残空間体積および捕集ガス量から電池内圧を計算すると、ガス量が17ml未満のとき、漏液の恐れがないとみなすことができる。さらに、ガス捕集量が13.5ml未満であれば、電池内圧は、安全弁の作動圧の80%以下に止めることができ、さらに好ましいと言える。
また、実施例2に示した方法で、高レートパルス放電性能試験を行った。
Figure 2012028240
結果を表3に示す。充電漏液試験の結果(a)から、全ての電池で充電漏液発生率が0%であり、充電漏液防止の効果がみられていることが分かる。これは酸化チタン(III)添加の効果によるものと考えられる。さらに、亜鉛(II)化合物を0.01mol以上含有する電池(No.3−2〜3−5)では、充電後の電池から捕集したガス量(b)が安全弁の作動圧の80%未満である13.5ml未満であり、さらに電池内圧上昇の抑制効果がみられている。
これは、アルカリ電解液中に亜鉛(II)化合物を含有させておくことによって、水素ガス発生反応の開始を遅らせる効果によるものと考えられる。すなわち、亜鉛錯イオンの物質量が増加するため、酸化チタン(III)等の規定の酸化物の還元反応が始まる前の、(2)式に示される亜鉛錯イオンの還元反応が完了するまでの時間が長くなるため、発生する水素ガスの総量をさらに低減させて、電池内圧の上昇を抑制するものと考えられる。
しかしながら、亜鉛(II)化合物濃度が0.04molを超えると(No.3−5)、高レートパルス放電性能が不十分となる。
以上のことから、亜鉛粉末100質量部に対して、亜鉛(II)化合物を0.01mol以上0.03mol以下含んでいるアルカリ電解液を用いると、放電性能を維持しつつ、高負荷充電時における漏液発生の更なる防止を図ることができる。
<実施例4>
次に、電池が高負荷充電された場合の電池内圧上昇をさらに抑制する目的で、亜鉛合金粉末のBET比表面積について検討した。
ガスアトマイズ法によって作製した亜鉛合金粉末を、篩を用いて分級し、BET比表面積が0.038cm/g、0.04cm/g、0.045cm/g、0.05cm/g、0.052cm/gとなるように調整した亜鉛合金粉末5種類を作製した。
これらの亜鉛合金粉末を用いて、実施例1に示したものと同様の手順で、5種類の電池を作製した。
なお、アルカリ電解液には、亜鉛合金粉末100質量部に対して、酸化チタン(III)0.0001molおよび亜鉛(II)化合物0.01molを添加したものを用いた。
次に電池の評価方法を説明する。
充電漏液試験として、実施例1に示した方法で漏液の発生率(%)を求め、さらに、実施例3に示したガス捕集評価を行った。
また、保存漏液試験として、作製した電池を、種類毎に各々5個ずつ用意し、60℃環境下に30日間保管した後、目視確認により漏液の発生率(保存漏液発生率)(%)を求めた。
Figure 2012028240
結果を表4に示す。充電漏液試験の結果(a)から、全ての電池で充電漏液発生率が0%であり、充電漏液防止の効果がみられていることが分かる。これは酸化チタン(III)添加の効果によるものと考えられる。また、亜鉛粉末のBET比表面積が0.040cm/g以上である電池(No.4−2〜4−5)では、充電後の電池から捕集したガス量(b)が安全弁の作動圧の80%未満である13.5ml未満であり、さらに電池内圧上昇の抑制効果がみられている。
これは、次のような理由であると考えられる。(2)、(3)、(5)式に示される負極反応は、いずれも亜鉛表面で起こっている。したがって、正極電位が酸素発生電位に到達し、正極で(4)式に示される酸素発生反応が開始した時に、亜鉛の表面積が大きいほど、正極で発生した酸素が溶存酸素として電解液中を拡散して負極側の亜鉛表面へ到達し易くなる。すなわち、負極において(3)式の水素発生反応から(5)式の酸素消費反応へ速やかに移行するため、発生する水素ガス量を低減することができる。
しかしながら、亜鉛粉末のBET比表面積が0.050cm/gを超えると(No.4−5)、長期保存において亜鉛の腐食に伴う水素発生の場を多く提供するために保存漏液発生率(c)が上昇する。
これらのことから、BET比表面積が0.040cm/g以上0.050cm/g以下の亜鉛粉末を用いると、保存時における電池内圧の上昇を抑制し、高負荷充電時における漏液発生の更なる防止を図ることができる。
(その他の実施形態)
上記の実施形態及び実施例は本願発明の例示であり、本願発明はこれらの例に限定されない。例えば、負極に用いる亜鉛合金粉末の代わりに亜鉛の粉末を用いても良い。乾電池のサイズは無関係であることはいうまでもない。また、アルカリ電解液は35重量%の水酸化カリウム水溶液に限定されず、アルカリの種類及びアルカリ含有率は変えることができる。
以上説明したように、本発明によれば、アルカリ乾電池を誤って充電した場合においても、水素ガスの発生量の低減を図り且つ電池内圧の上昇を抑制できる。よって、本発明は、漏液し難い信頼性の高いアルカリ乾電池を得るのに有効である。
1 電池ケース
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 ガスケット
6 負極集電子
7 負極端子板
8 外装ラベル

Claims (5)

  1. 亜鉛又は亜鉛合金の粉末と、アルカリ電解液とを含んだ負極を備えたアルカリマンガン乾電池であって、
    前記アルカリ電解液は、35重量%の水酸化カリウム水溶液において、標準水素電極に対して−2.1V以上−1.5V以下の範囲に酸化還元電位を持つ酸化物を含んでいることを特徴とするアルカリマンガン乾電池。
  2. 前記酸化物は、酸化チタン(III)、酸化ガリウム(III)、二酸化ニオブからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のアルカリマンガン乾電池。
  3. 前記アルカリ電解液に含まれる前記酸化物の量は、前記亜鉛又は亜鉛合金の粉末100質量部に対して0.00005M質量部以上0.02M質量部以下(Mは酸化物の分子量)である請求項1または2に記載のアルカリマンガン乾電池。
  4. 前記アルカリ電解液は、亜鉛(II)化合物を、前記亜鉛又は亜鉛合金の粉末100質量部に対して0.01m質量部以上0.03m質量部以下(mは亜鉛(II)化合物の分子量)含んでいる請求項1から3のいずれか1つに記載のアルカリマンガン乾電池。
  5. 前記亜鉛又は亜鉛合金の粉末は、BET比表面積が0.04cm/g以上0.05cm/g以下である請求項1から4のいずれか1つに記載のアルカリマンガン乾電池。
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