JP2012026161A - 構造物の仮受け構造及び仮受け方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 仮受け対象の構造物1下方の地盤中に仮受け用の支持部材2を構築し、この支持部材2に対向する構造物1の下面に、凸部3を有する第1のプレート(アンカープレート)4を固定する。そして、支持部材2側に、前記凸部3を水平方向に拘束する凹部5を有する第2のプレート(下くさび)6A、6Bを固定する。そして、支持部材2側のブラケット7と構造物1との間に油圧ジャッキ8を設置して伸長させることにより構造物1の荷重を一時的に仮受けした後、第1のプレート4と第2のプレート6A、6Bとの間にくさび部材(上くさび)9A、9Bを打ち込んで、油圧ジャッキ8を撤去する。
【選択図】 図5
Description
また、油圧ジャッキで一時的に仮受けした後、その状態で構造物と支持杭との間を固定して、油圧ジャッキを撤去することも考えられるが、このようにすると、その後のレベル調整などができなくなる。
本発明は、このような実状に鑑み、油圧ジャッキの撤去が可能でありながら、その後のレベル調整が可能で、仮受け期間中の地震の水平力に対しても抵抗できる、構造物の仮受け構造、及び、仮受け方法を提供することを課題とする。
また、本発明に係る構造物の仮受け方法は、構造物下方の地盤中に仮受け用の支持部材を構築し、前記構造物と前記支持部材との対向面のうちいずれか一方の対向面に凸部を有する第1のプレートを固定し、他方の対向面に前記凸部を水平方向に拘束する凹部を有する第2のプレートを固定する。そして、前記支持部材と前記構造物との間に油圧ジャッキを設置して伸長させることにより構造物の荷重を一時的に仮受けした後、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間にくさび部材を打ち込んで、前記油圧ジャッキを撤去する。
また、凸部(せん断キー)と凹部(拘束部材)との嵌め合いにより、地震時の水平力に対して抵抗でき、仮受け中も構造物の耐震性を保つことができる。
図1〜図7は本発明の一実施形態を示す仮受け方法の説明図であり、それぞれステップ1〜7を示している。また、図8は仮受け構造の斜視分解図である。
図1〜図7中に示される構造物1は、仮受け対象の既存の構造物、又は仮受け対象の既存の構造物に連接して形成した支持用の構造物であり、図示しない既存の支持部材(既存杭)により直接的又は間接的に支持されている。
上記構造物1の荷重を上記支持部材2に仮受けする方法について、図1〜図7の各ステップごとに説明する。
この第2のプレート6A、6Bは、図8に示されているように、前記凸部3を水平方向から挟み込むように、凹部5を通る分割線で2つに分割されており、したがって、各分割体には、合わせ面側に前記凹部5を形成するための切欠きが形成されている。尚、凸部3の径に比べ、凹部5の径をやや大きくして、凸部3と凹部5との嵌め合いに遊びを持たせる。
このブラケット7は、図8に示されているように、支持部材2を構成するH形鋼の各フランジ部の内外にボルト固定した板材7a、7bの端部間にT形鋼をボルト固定して支持台7cを形成したもので、支持台7cは、2本ずつある板材7a、7bの両端部に設けられることで、計4個設けられる。従って、ブラケット7は、4個の油圧ジャッキを支持部材2から張り出して支持部材2を囲む位置(支持台7c上)に設置可能である。尚、図1〜図7と、図8とでは、ブラケット7の取付方向に対する第2のプレート(下くさび)6A、6Bの取付方向(後述するくさび部材9A、9Bの打ち込み方向)が異なるが、図8が正しく、図1〜図7では後述する油圧ジャッキ8とくさび部材9A、9Bとが重ならず良く見えるように90°ずらしてある。
図4のステップ4では、油圧ジャッキ8をジャッキアップし、これによりプレロードを導入する。
図5のステップ5では、第1のプレート(アンカープレート)4と第2のプレート(下くさび)6A、6Bとの間に、くさび部材(上くさび)9A、9Bを、ハンマー等を用いて、打ち込む。
従って、下くさび6Aの上側に上くさび9Aを挿入し、また、下くさび6Bの上側に上くさび9Bを挿入し、両方の外側から中心部に向けて上くさび9A、9Bを打ち込む。
尚、上くさび9A、9Bや下くさび6A、6Bの厚さ調整により、上くさび9A、9Bの打ち込み量を規制して、上くさび9A、9Bの先端が凸部3に当接しないようにしておくが、上くさび9A、9Bの先端に凸部3を逃げるための切欠きを形成しておくようにしてもよい。
図7のステップ7では、油圧ジャッキ設置用のブラケット7を撤去する。これにより、このブラケット7についても他の仮受け箇所への転用が可能となる。
従って、本実施形態での最終的な構造物の仮受け構造は、図7に示されるように、構造物1下方の地盤中に構築された仮受け用の支持部材2と、構造物1側の対向面に固定され、凸部3を有する第1のプレート(アンカープレート)4と、支持部材2側の対向面に固定され、前記凸部3を水平方向に拘束する凹部5を有する第2のプレート(下くさび)6A、6Bと、第1のプレート4と第2のプレート6A、6Bとの間に打ち込まれるくさび部材(上くさび)9A、9Bとを含んで構成される。
このような仮受け完了状態では、既存の支持部材(既存杭)の撤去が可能となる。
仮受け中に構造物の沈下等によりレベル調整が必要になった場合は、支持部材2に再び油圧ジャッキ設置用のブラケット7を取付けて、油圧ジャッキ8を設置し、ジャッキアップして、くさび部材(上くさび)9A、9Bを打ち増しすればよい。沈下量が大きい場合は、より厚い別のくさび部材に交換して打ち込むか、厚さ調整用のシムを介在させるなどすればよい。
また、凸部(せん断キー)3と凹部(拘束部)5との嵌め合いにより、地震時の水平力に対して抵抗でき、仮受け中も構造物1の耐震性を保つことができる。
また、本実施形態によれば、くさび部材9A、9Bは、複数設けられ、第1のプレート4と第2のプレート6A、6Bとの間に外側から中心部に向けて打ち込まれることにより、均等に打ち込むことができる。それゆえ、その数は2つに限らず、それ以上としてもよい。
次に本発明の他の実施形態について図9により説明する。
本実施形態での構造物1の仮受け構造は、構造物1下方の地盤中に構築された仮受け用の支持部材2と、支持部材2側の対向面に固定され、凸部11を有する第1のプレート12と、構造物1側の対向面に固定され、前記凸部11を水平方向に拘束する凹部13を有する第2のプレート14A、14Bと、第1のプレート12と第2のプレート14A、14Bとの間に打ち込まれるくさび部材9A、9Bとを含んで構成される。
ここで、第1のプレート12は、支持部材2のトッププレート2a上に溶接固定され、中央部に上向きに突出する凸部11を有している。そして、この第1のプレート12は、下くさびをなし、中央部が厚く、両端部が薄い、逆くさび状をなしている。
くさび部材(上くさび)9A、9Bは、第1のプレート(下くさび)12と第2のプレート(アンカープレート)14A、14Bとの間に打ち込まれる。
図9の実施形態は、図1〜図8の実施形態に対し、凸部を下側、凹部を上側にしただけであり、図1〜図8の実施形態と同様の効果が得られる。
図10は既存建物の仮受けのための杭打ちの工程を示している。
既存建物101は既存杭102により支持されている。この既存建物101の仮受け工事に先立って、土留壁103を施工した上で、仮受け支柱(仮受け杭)104を打ち込んだ本設杭105と、建物外周の土留杭106(一部は仮受け杭を兼ねる)を施工する。
既存建物101の壁W直下に少しずつ開口を開け、壁Wの延設方向に沿って壁下梁107を構築する。また、壁下梁107から仮受け支柱104(又は土留杭106)まで延びる仮受け杭上部梁108を構築し、仮受け支柱104(又は土留め杭106)と仮受け杭上部梁108との間で仮受けを行う。
ここで、壁下梁107及び仮受け杭上部梁108の形成方法について、図14により詳しく説明する。既存杭102を含む既存基礎に支持されている既存建物101の壁Wに開口をあけ、その開口に壁下梁107を打設し、開口を大きくしながら、打設を繰り返して、壁Wに沿って壁下梁107を構築する。そして、壁下梁107から仮受け支柱104上方まで延びる仮受け杭上部梁108を打設し、仮受け杭上部梁108を仮受け支柱104で仮受けする。これにより既存杭102を含む既存基礎の撤去が可能となる。
仮受け完了後、既存杭102を含む既存基礎を撤去し、掘削でできた地下空間に地下躯体109を構築する。このとき、仮受け支柱104はブレース補強して用いる。また、仮受け期間中は、上部の建物101に重大な変形が生じないように、変形計測と制御管理とを行う。
地下躯体109の構築後、地下躯体109の上部と、既存建物101側の壁下梁107との間に免震用のアイソレータ110を配置し、既存建物101の荷重をアイソレータ110により移行させる。荷重移行後、仮受け支柱104(及び不要な仮受け杭上部梁108)を撤去する。これにより仮受けが終了する。
このように図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
2 仮受け用の支持部材
2a トッププレート
3 凸部(せん断キー)
4 第1のプレート(アンカープレート)
5 凹部
6A、6B 第2のプレート(下くさび)
7 ジャッキ設置用ブラケット
7a、7b 板材
7c 支持台
8 油圧ジャッキ
9A、9B くさび部材(上くさび)
11 凸部
12 第1のプレート(下くさび)
13 凹部
14A、14B 第2のプレート(アンカープレート)
15 支持架台
101 既存建物
102 既存杭
103 土留壁
104 仮受け支柱
105 本設杭
106 土留杭
107 壁下梁
108 仮受け杭上部梁
109 地下躯体
110 アイソレータ
Claims (8)
- 構造物の荷重を仮受けする構造物の仮受け構造であって、
前記構造物下方の地盤中に構築された仮受け用の支持部材と、
前記構造物と前記支持部材との対向面のうちいずれか一方の対向面に固定され、凸部を有する第1のプレートと、
他方の対向面に固定され、前記凸部を水平方向に拘束する凹部を有する第2のプレートと、
前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に打ち込まれるくさび部材と、
を含んで構成されることを特徴とする、構造物の仮受け構造。 - 前記第2のプレートは、前記凸部を水平方向から挟み込むように、前記凹部を通る分割線で複数に分割されていることを特徴とする、請求項1記載の構造物の仮受け構造。
- 前記くさび部材は、複数設けられ、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に外側から中心部に向けて打ち込まれることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の構造物の仮受け構造。
- 前記くさび部材が打ち込まれる空間を形成する前記第1及び第2のプレートのうちいずれか一方を、打ち込み方向入口側が薄く、打ち込み方向奥側が厚い、逆くさび形状としたことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の構造物の仮受け構造。
- 前記支持部材は、前記構造物の荷重を一時的に仮受けする油圧ジャッキを設置可能なジャッキ設置部を有し、
前記くさび部材は、前記ジャッキ設置部に設置された前記油圧ジャッキの伸長状態にて打ち込まれることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の構造物の仮受け構造。 - 前記ジャッキ設置部は、複数の油圧ジャッキを前記支持部材から張り出して前記支持部材を囲む位置に設置可能であることを特徴とする、請求項5記載の構造物の仮受け構造。
- 構造物の荷重を仮受けする際に、
前記構造物下方の地盤中に仮受け用の支持部材を構築し、
前記構造物と前記支持部材との対向面のうちいずれか一方の対向面に凸部を有する第1のプレートを固定し、
他方の対向面に前記凸部を水平方向に拘束する凹部を有する第2のプレートを固定し、
前記支持部材と前記構造物との間に油圧ジャッキを設置して伸長させることにより構造物の荷重を一時的に仮受けした後、
前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間にくさび部材を打ち込んで、前記油圧ジャッキを撤去することを特徴とする、構造物の仮受け方法。 - 前記油圧ジャッキを設置する際は、前記支持部材から張り出して前記支持部材を囲む位置に複数設置することを特徴とする、請求項7記載の構造物の仮受け方法。
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JP2014015811A (ja) * | 2012-07-11 | 2014-01-30 | Ohbayashi Corp | 構造物の支持構造及び方法 |
JP2014206038A (ja) * | 2013-03-18 | 2014-10-30 | 株式会社奥村組 | 既存建築物の免震化工法及びその施工中の仮設構造 |
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