JP2012026013A - 成膜装置用部品および該成膜装置用部品に付着した付着膜の除去方法 - Google Patents

成膜装置用部品および該成膜装置用部品に付着した付着膜の除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】形成された付着膜を容易に除去することができる成膜装置用部品を提供する。また、成膜装置用部品に形成された付着膜を効率よく除去することができる付着膜の除去方法を提供する。
【解決手段】本発明の成膜装置用部品は、基材と、前記基材に形成されたプレコート層とを有する成膜装置用部品であって、前記プレコート層が、無機塩類を含有する水性無機コーティング剤から形成されたものであることを特徴とする。
また、本発明の付着膜の除去方法は、付着膜形成後に、水および/または水蒸気によりプレコート層を処理した後、付着膜を除去することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、成膜装置用部品に関するものである。また、本発明は、成膜装置用部品に形成された付着膜を除去する技術に関するものである。
従来、半導体部品などには成膜処理が施されている。ここで、成膜とは、対象物に薄膜を形成させることであり、成膜の一例としてスパッタリングが挙げられる。スパッタリングとは、チャンバー内を真空にした後、アルゴンガスなどの不活性ガスを導入しながら、対象物である母材と薄膜の材料となるターゲット材の間に高電圧を印加し、イオン化した不活性ガスをターゲット材に衝突させ、それにより弾き飛ばされた成膜物質を母材上に付着させ薄膜を形成する方法である。
上記スパッタリングのような成膜を行う成膜装置では、成膜過程において、ターゲット材から弾き飛ばされた成膜物質は対象物のみならず、対象物を保持する部品やチャンバー内の装置各部に付着し、薄膜を形成することとなる。そして、成膜装置を用いて繰返し成膜を行うことにより、対象物を保持する部品やチャンバー内の装置各部には、薄膜が積層されスパッタリング膜などの付着膜が形成される。この付着膜は、繰返しの熱履歴などにより成膜装置の部品から剥落し、母材に付着して膜欠陥の原因となる。そのため、成膜装置用部品は、定期的に付着膜を除去し再生が行われる。
成膜装置用部品に形成された付着膜を除去する方法としては、化学的除去方法や物理的除去方法などが用いられているが、再生作業に係る時間や成膜装置用部品の損耗が問題となっている。そこで、より容易に付着膜を除去できるように改良された成膜装置用部品や、より効率よく成膜装置用部品から付着膜を除去する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、水崩壊性Al複合材料を成膜装置用部材として使用する技術が開示されている。しかし、この水崩壊性Al複合材料は、溶射により低融点金属の皮膜を形成するため手間がかかる。また、付着膜を剥離する際に水素ガスが発生するため、安全性の観点から好ましくない。特許文献2には、構成部品の母材金属よりも電気化学的に卑な金属膜層を、溶射等の方法により母材金属の表面に形成した成膜装置用構成部品が開示されている。しかし、この成膜装置用構成部品では溶射などにより金属膜層を形成するため手間がかかる。また、付着膜が母材金属よりも電位が高い場合には、母材金属に正の電界を印加し、母材金属が付着膜もしくは第2金属膜層よりも貴な金属として振舞うように不動態化させるなどの措置を施す必要があり、付着膜の除去処理が煩雑となる。
特許文献3には、成膜装置の部品表面に、この部品の構成材料より硬度の低い材料からなる軟質膜と称せられる膜を形成した成膜装置用部品が開示されている。特許文献4には、部分安定化ジルコニア溶射膜で被覆された部材を使用後、所定の温湿度環境下に置くことにより該部材から該溶射膜を剥離する剥離方法が開示されている。特許文献5には、アルミニウムを主材質とする薄板を、層間材を介して複数枚積層した積層構造を有し、表層の前記薄板が汚染物によって汚染されたならばこの表層の薄板を剥離して次層を露呈させる真空処理装置用の防着板が開示されている。
特開2005−256063号公報 国際公開第2004/074545号 特開平6−49626号公報 特開2004−346374号公報 特開2005−101435号公報
成膜装置用部品に形成された付着膜の除去を容易にするため、予め基材から剥離しやすいプレコート層を形成した成膜装置用部品が開発されている。ここで、成膜装置では、成膜処理を行う過程において、チャンバー内の圧力が1.0×10-5Pa程度にまで減圧されたり、チャンバー内の温度が350℃程度まで昇温されたりする場合があるが、そのような場合でも、プレコート層が基材から剥離してはならない。そのため、従来の技術では、プレコート層を溶射などによって基材上に形成しており、プレコート層の形成に手間がかかるという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、形成された付着膜を容易に除去することができる成膜装置用部品を提供することを目的とする。また、本発明は、成膜装置用部品に形成された付着膜を効率よく除去することができる付着膜の除去方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明の成膜装置用部品は、基材と、前記基材に形成されたプレコート層とを有する成膜装置用部品であって、前記プレコート層が、無機塩類を含有する水性無機コーティング剤から形成されたものであることを特徴とする。本発明の成膜装置用部品では、基材に水性無機コーティング剤を塗布し、乾燥させるだけでプレコート層を形成できるため、作業が容易であり、成膜装置用部品の生産性が向上する。そして、水性無機コーティング剤から形成されたプレコート層は、水および/または水蒸気で処理することにより基材に対する接着性を低下させることができる。そのため、付着膜が形成された成膜装置用部品を水などで処理することにより、プレコート層を容易に剥離することができ、該プレコート層とともに付着膜を簡単に除去することができる。さらに、本発明では無機塩類を含有する水性無機コーティング剤を用いるため、水などで処理した際のプレコート層の軟化、溶解が促進され、より低温、短時間で付着膜の除去が可能となる。
前記基材の線熱膨張率(α1)と前記プレコート層の線熱膨張率(α2)との差(│α1−α2│)は18×10-6/℃以下であることが好ましい。水性無機コーティング剤から形成されるプレコート層と基材との線熱膨張率差を小さくすることにより、プレコート層の耐熱性が向上する。その結果、スパッタリング装置などに利用した場合に、成膜装置用部品が、例えば、350℃程度の高温に曝されても、プレコート層が基材から剥離することが抑制される。
前記水性無機コーティング剤を塗布乾燥して形成されたプレコート層の基材に対する接着強度は10N/mm2超であることが好ましく、且つ、煮沸処理を施した後のプレコート層の基材に対する接着強度が10N/mm2以下であることが好ましい。前記プレコート層は、450℃の雰囲気に1時間放置した後、25℃まで放冷する熱処理を50回施しても、基材から剥離しないものであることが好ましい。前記プレコート層は、圧力1.0Pa以下の真空下においても基材から剥離しないものであることが好ましい。
本発明には、前記成膜装置用部品に形成された付着膜の除去方法であって、付着膜形成後に、水および/または水蒸気によりプレコート層を処理した後、付着膜を除去することを特徴とする付着膜の除去方法も含まれる。
本発明によれば、形成された付着膜を容易に除去することができる成膜装置用部品が得られる。また、本発明の付着膜の除去方法によれば、成膜装置用部品に形成された付着膜を効率よく除去することができる。
接着強度試験の試験片を示す模式図である。
本発明の成膜装置用部品は、基材と、前記基材に形成されたプレコート層とを有する成膜装置用部品であって、前記プレコート層が、無機塩類を含有する水性無機コーティング剤から形成されたものであることを特徴とする。
本発明の成膜装置用部品を構成する基材としては、通常、成膜装置用部品に用いられるものであれば、特に限定されない。前記基材としては、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス鋼、チタンなどの金属が挙げられる。
なお、近年では、成膜装置の大型化に伴い、成膜装置用部品の基材としてアルミニウムが多用されている。また、成膜物質(例えば、スパッタリングさせる成分)としてもアルミニウムが多用されている。そのため、成膜装置用部品において、アルミニウム基材上にアルミニウムからなる付着膜が形成されるという組合せが多くなっている。ここで、アルミニウムは物理的強度が弱く、酸にも溶けやすいため、従来の技術では、基材を傷めることなく付着膜を除去することが困難であった。本発明の成膜装置用部品では、このようなアルミニウム基材上に、アルミニウムからなる付着膜が形成された場合などにおいて、特に効果を発揮するものである。前記基材の線熱膨張率は、特に限定されるものではないが、通常8×10-6/℃〜24×10-6/℃である。
本発明の成膜装置用部品を構成するプレコート層は、無機塩類を含有する水性無機コーティング剤から形成されるものである。本発明では、プレコート層を形成するのに水性無機コーティング剤を用いるため、基材に水性無機コーティング剤を塗装し乾燥させるだけで、プレコート層を形成できる。そのため、プレコート層を形成する作業が非常に容易であり、生産性がよい。また、本発明では水性無機コーティング剤が無機塩類を含有する。これにより、水によってプレコート層を処理した際に、プレコート層の軟化が促進され、付着膜の除去をより容易に行うことができる。
前記水性無機コーティング剤としては、溶媒の主成分(50質量%以上)として水を含有し、骨材(顔料を含む)および結合剤を含有するものであれば、特に限定されない。
前記骨材としては、例えば、珪藻土、霞石閃長岩、珪石、黒鉛などの鉱物;シリカ(SiO2)、非晶質シリカ(SiO2)、アルミナ(酸化アルミニウム:Al23)、酸化コバルト(Co34)、酸化マグネシウム(MgO)、三酸化二クロム(Cr23)などの金属酸化物;窒化硼素(BN)、窒化珪素(Si34)などの金属窒化物;クロムチタンイエロー((Ti,Sb,Cr)O2)、亜鉛鉄ブラウン((Zn,Fe)Fe24)、ニッケルチタンイエロー((Ti,Sb,Ni)O2)などの複合酸化物系顔料;などが挙げられる。これらの骨材は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明に用いる水性無機コーティング剤は珪石、霞石閃長岩、シリカ、アルミナ、非晶質シリカおよび窒化硼素よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
前記結合剤としては、無機結合剤、有機結合剤のいずれも可能である。前記無機結合剤としては、コロイダルシリカ(SiO2・xH2O)、アルミナゾル、水ガラスなどが挙げられる。前記有機結合剤としては、水溶性アクリル樹脂、アクリル酸系ポリマーなどが挙げられる。これらの結合剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明に用いる水性無機コーティング剤は、コロイダルシリカ、水溶性アクリル樹脂、アクリル酸系ポリマーおよび水ガラスよりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
水性無機コーティング剤中の前記結合剤の含有量は、骨材100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
前記水性無機コーティング剤は、水以外の溶媒を含有していてもよい。水以外の溶媒を添加することにより、水性無機コーティング剤の塗工性を向上させることができる。前記水以外の溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチルジグリコールなどのグリコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が挙げられる。水以外の溶媒を使用する場合、全溶媒中の水の含有量は50質量%以上であり、80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。なお、溶媒の使用量は適宜調節すればよいが、水性無機コーティング剤中、25質量%〜75質量%が好ましい。
本発明で使用する水性無機コーティング剤は無機塩類を含有する。前記無機塩類の水に対する溶解度(水100g(25℃)に溶解し得る質量(g))は、10以上が好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上である。無機塩類の水に対する溶解度が10以上であれば、成膜装置用部品を水などで処理する際のプレコート層の軟化、溶解をさらに促進することができる。なお、無機塩類の水に対する溶解度の上限は特に限定されないが、通常200程度である。
前記無機塩類(軟化促進剤)としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどの塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩;リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸塩;などが挙げられる。これらの無機塩類は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩化物、炭酸塩、硫酸塩が好ましい。
水性無機コーティング剤中の前記無機塩類の含有量は、骨材100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、より好ましくは4質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。無機塩類の含有量が上記範囲内であれば、プレコート層の強度低下を抑制しつつ、水などで処理する際の軟化をより促進させることができる。
また、前記水性無機コーティング剤は、前記骨材、結合剤、溶媒および無機塩類のほかに、本発明の効果を損なわない程度で、硬化促進剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、防錆剤などの添加剤を含有してもよい。
前記水性無機コーティング剤は、上記の骨材、結合剤などを混合して調製してもよいが、市販のものを用いることもできる。
前記水性無機コーティング剤を基材に塗工する方法は特に限定されず、通常の塗料と同様の塗装方法を採用することができる。塗装方法としては、例えば、エアースプレー、エアレススプレー、ディッピング、刷毛塗りなどの方法が挙げられる。そして、基材に塗装された水性無機コーティング剤を、乾燥・焼成することによりプレコート層を形成できる。なお、水性無機コーティング剤の乾燥・焼成は、用いられる結合剤の種類などによって、脱離成分の脱離が終了するように、適宜調整すればよいが、通常100℃〜500℃で、0.1時間〜24時間乾燥・焼成すればよい。
前記プレコート層の厚みは1μm以上が好ましく、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、500μm以下が好ましく、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。プレコート層の厚みが1μm以上であれば、基材を十分にコートすることができ、付着膜の除去がより容易となる。また、プレコート層の厚みが500μm以下であれば、成膜装置用部品が昇降温された際にも、プレコート層がより剥離しにくくなり、水性無機コーティング剤の塗工回数を低減することができ、塗工コストが減少する。
本発明において、前記基材の線熱膨張率(α1)と前記プレコート層の線熱膨張率(α2)との差(│α1−α2│)は18×10-6/℃以下であることが好ましい。前記線熱膨張率の差(│α1−α2│)が上記範囲内であれば、昇降温に対してプレコート層が安定となり、成膜装置用部品が繰返し加熱、冷却されてもプレコート層がより剥離しにくくなる。前記線熱膨張率の差(│α1−α2│)は、15×10-6/℃以下がより好ましく、さらに好ましくは13×10-6/℃以下である。
前記水性無機コーティング剤を塗布乾燥して形成されたプレコート層の基材に対する接着強度、すなわち、プレコート層が形成された後、水および/または水蒸気などによる処理を施す前の接着強度は10N/mm2超であることが好ましく、より好ましくは12N/mm2以上、さらに好ましくは15N/mm2以上である。プレコート層の基材に対する接着強度が10N/mm2超であれば、成膜装置用部品を備えた成膜装置を用いて成膜を行う際に、成膜装置用部品に形成された付着膜が、プレコート層とともに脱離することがより抑制される。
成膜装置用部品に煮沸処理を施した後のプレコート層の基材に対する接着強度は10N/mm2以下であることが好ましく、より好ましくは8N/mm2以下、さらに好ましくは5N/mm2以下である。成膜装置用部品に煮沸処理を施した後のプレコート層の基材に対する接着強度が10N/mm2以下であれば、成膜装置用部品に形成された付着膜を除去する際に、より容易に付着膜を除去できる。なお、水性無機コーティング剤を塗布乾燥して形成されたプレコート層の基材に対する接着強度、および、成膜装置用部品に煮沸処理を施した後のプレコート層の基材に対する接着強度の測定方法については、後述する。
前記プレコート層は、成膜装置用部品に対して、450℃の雰囲気に1時間放置した後、25℃まで放冷するという熱処理を施したとき、当該熱処理を50回繰り返しても、基材から剥離しないことが好ましい。このようにプレコート層が耐熱性に優れていれば、本発明の成膜装置用部品が、成膜過程において高温に曝された場合にプレコート層が剥離することがより抑制される。また、上記熱処理を50回施した後のプレコート層の基材に対する接着強度は10N/mm2超であることが好ましい。
前記プレコート層は、成膜装置用部品を圧力1.0Pa以下の真空下においても基材から剥離しないものであることが好ましい。このようにプレコート層が耐真空性に優れていれば、本発明の成膜装置用部品が、成膜過程において高真空下に曝された場合にプレコート層が剥離することがより抑制される。前記プレコート層は、圧力0.1Pa以下の真空下においても剥離しないことがより好ましく、圧力0.01Pa以下の真空下においても剥離しないことがさらに好ましい。
プレコート層の線熱膨張率、基材に対する接着強度などは、前記骨材、結合剤などの配合量を適宜変更することにより調整できる。
また、本発明の成膜装置用部品では、前記プレコート層上に多孔質溶射層を形成してもよい。プレコート層上に多孔質溶射層を形成すれば、成膜装置用部品表面に付着膜が形成された場合でも、該多孔質溶射層内を水および/または水蒸気が流通することができ、プレコート層へと浸透しやすくなる。そのため、成膜装置用部品を水などで処理する時のプレコート層の軟化、溶解をさらに促進することができる。
多孔質溶射層を形成する溶射材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、クロムなどの金属およびそれらの合金などを用いることができる。これらの中でも、前記基材と同じ材料あるいは基材の材料と線熱膨張率が近いものが好ましい。
前記溶射材料の線熱膨張率(α3)と前記プレコート層の線熱膨張率(α2)との差(│α3−α2│)は18×10-6/℃以下が好ましく、より好ましくは15×10-6/℃以下、さらに好ましくは13×10-6/℃以下である。前記線膨張率の差(│α3−α2│)が、18×10-6/℃以下であれば、昇降温に対してプレコート層が安定となり、成膜装置用部品が繰返し加熱、冷却されてもプレコート層と溶射層との間での剥離が生じにくくなる。
前記多孔質溶射層の厚みは、10μm以上が好ましく、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは100μm以上であり、500μm以下が好ましく、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。多孔質溶射層の厚みが10μm以上であれば、プレコート層表面を十分に被覆することができ、付着膜の除去がより容易となる。また、多孔質溶射層の厚みが500μm以下であれば、成膜装置用部品に定められているクリアランス(例えば、対象物を保持する部品とチャンバー内壁とのクリアランスなど)を確保することができる。
前記多孔質溶射層の空孔率は、3%以上が好ましく、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上であり、70%以下が好ましく、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。多孔質溶射層の空孔率が3%以上であれば、付着膜形成後に水および/または水蒸気によりプレコート層を処理する際に、水、水蒸気がプレコート層全体に速やかに浸透し、付着膜の除去がより容易となる。また、多孔質溶射層の空孔率が70%以下であれば、多孔質溶射層の強度が向上し、成膜装置用部品からの多孔質溶射層の剥離をより抑制することができる。なお、多孔質溶射層の空孔率は、多孔質溶射層の厚み、溶射による質量増加量および溶射材の密度より算出することができる。
前記多孔質溶射層を形成する方法は特に限定されず、例えば、アーク溶射、プラズマ溶射などの電気式溶射;溶棒式フレーム溶射、溶線式フレーム溶射、粉末式フレーム溶射、爆発溶射などのガス式溶射などが挙げられる。なお、溶射条件については、形成する多孔質溶射層の厚みや空孔率などに応じて、電流、電圧、ガス流量、圧力、溶射距離、ノズル径、材料供給量などを適宜調整すればよい。
次に、本発明の付着膜の除去方法について説明する。
本発明の付着膜の除去方法は、前記成膜装置用部品に形成された付着膜の除去方法であって、付着膜形成後に、水および/または水蒸気によりプレコート層を処理した後、付着膜を除去することを特徴とする。
すなわち、本発明の付着膜の除去方法は、プレコート層を水および/または水蒸気で処理することによって、プレコート層の基材に対する接着強度を低下させた後に、プレコート層と共に付着膜を除去する。これにより、プレコート層は基材から容易に剥離できるため、基材を磨耗させることなく、付着膜の除去を短時間で容易に行うことができる。
前記水および/または水蒸気によりプレコート層を処理する方法は、プレコート層の接着強度を低下させることができる方法であれば、特に限定されない。水で処理する方法としては、例えば、水に浸漬して0.1時間〜24時間放置する方法、水に浸漬して1分間〜120分間煮沸する方法などが挙げられる。水蒸気で処理する方法としては、例えば、1分間〜120分間水蒸気に曝す方法などが挙げられる。これらの中でも、水で処理する方法が好ましく、特に、水に浸漬して1分間〜120分間煮沸する方法が好適である。
前記のいずれかの方法によりプレコート層を処理した後、付着膜を除去する方法としては、特に限定されないが、基材の磨耗を抑制できる方法が好ましい。前記付着膜を除去する方法としては、例えば、水や熱水などに浸漬させた状態で超音波を1分間〜120分間照射する方法;圧力70MPa〜150MPaのウォーターガンを用いて除去する方法;圧力0.3MPa〜0.6MPaのスチームガンを用いて除去する方法;木槌などを用いて物理的な衝撃により剥離する方法などが挙げられる。これらの中でも、水や熱水などに浸漬させた状態で超音波を1分間〜120分間照射する方法が好適である。
本発明の付着膜の除去方法によって付着膜を除去された基材は、再度プレコート層を形成することにより、再利用が可能である。
本発明の成膜装置用部品は、例えば、蒸着法、スパッタリング法などの物理的気相成長法(PVD法)や、化学的気相成長法(CVD法)により薄膜を形成する真空成膜装置に用いることができ、特に、真空蒸着装置、スパッタリング装置に好適である。
また、本発明の成膜装置用部品の具体例としては、例えば、FPD(Flat Panel Display)保持用フレーム、自動車部品保持用フレームなどが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[評価方法]
1.線熱膨張率
基材およびプレコート層の線熱膨張率は、熱機械分析装置(Bruker AXS社製、「TMA4000SA」)を用いて測定した。
なお、基材はφ5mm×5mmに切り出して試験片を作製し、プレコート層は、φ5mm×5mmの型枠に水性無機コーティング剤を注入し、乾燥、焼成後、型枠を取り外して試験片を作製した。
2.耐熱性試験
水による処理が施されていない成膜装置用部品に対して、450℃に保持した電気炉内にて1時間放置した後、電気炉から取り出し室温(25℃)環境で25℃まで放冷するという熱処理を、50回施した。50回の熱処理を終えた後、成膜装置用部品を目視にて観察し、プレコート層が基材から剥離しているかを確認した。そして、プレコート層が全く剥離していないものを「○」、一部のプレコート層が剥離しているものを「×」と評価した。
3.耐真空性試験
成膜装置用部品を真空チャンバーに入れて、真空チャンバー内の圧力を1.0×10-5Paまで低下させ、60分間保持した。その後、真空チャンバー内の減圧を解除し、成膜装置用部品を目視にて観察し、プレコート層が基材から剥離しているかを確認した。そして、プレコート層が全く剥離していないものを「○」、一部のプレコート層が剥離しているものを「×」と評価した。
4.水性無機コーティング剤を塗布乾燥して形成されたプレコート層の接着強度
図1に示すように、基材2と水性無機コーティング剤を塗布乾燥して形成されたプレコート層3からなる成膜装置用部品1にSUS薄板4(5mm×70mm×0.2mm)を、接着剤(東亞合成社製、「アロンアルファ(登録商標)」)を用いて、接着面5が5mm×10mmとなるように接着して試験片を作製した。ここで、図1中のX、YおよびZは、それぞれ成膜装置用部品1、SUS薄板4および接着面5の長さを示しており、X=40mm、Y=70mm、Z=10mmである。
得られた試験片について、万能試験機(東京試験機社製、小型卓上試験機「LSC−1/30−2」)を用いて引張せん断試験を行い、SUS薄板4が成膜装置用部品1から剥離する際の応力(破断応力)を測定し、これをプレコート層の基材に対する接着強度とした。なお、測定条件は、図1に矢印Aで示す方向を引張方向とし、試験機の下部チャックに成膜装置用部品1、上部チャックにSUS薄板4を固定し、引張速度を30mm/minとした。
なお、SUS薄板と接着剤との界面で剥離が発生した場合、プレコート層の基材に対する接着強度は10N/mm2超とした。
5.処理後の接着強度
成膜装置用部品およびAl試験片(ブラスト処理を施したもの)に対して、UBMSスパッタ装置(神戸製鋼所製、「UBMS503」)を用いてスパッタリングによりAl層(付着膜)を形成した。Al層は、成膜装置用部品についてはプレコート層の上面に形成し、Al試験片についてはブラスト処理を施した面に形成した。次いで、Al層を形成した成膜装置用部品およびAl試験片を、水に浸漬し約100℃で10分間煮沸処理、または、60℃の温水に10分間浸漬した。この煮沸処理後の成膜装置用部品について、上記「4.接着強度」と同様にして、プレコート層の基材に対する接着強度を測定した。なお、SUS薄板はAl層上に接着した。
製造例1
基材としてのAl試験片(4cm四方、厚さ2mm)に、WA#100による表面ブラスト処理を施した。前記基材のブラスト処理を施した面に、骨材として珪石58質量部、結合剤としてコロイダルシリカ12質量部、溶媒として水27質量部、軟化促進剤として塩化ナトリウム3質量部を含有する水性無機コーティング剤を、ピースガン(明治機械製作所製、「MP−3」)を用いてスプレー塗布した。塗装した水性無機コーティング剤を、150℃で1時間乾燥させプレコート層(厚み20μm)を形成し、成膜装置用部品No.1を得た。得られた成膜装置用部品No.1について、プレコート層の接着強度の測定、耐熱性試験および耐真空性試験を行った。結果を表1に示した。
製造例2
軟化促進剤を塩化カリウム3質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、成膜装置用部品No.2を得た。得られた成膜装置用部品No.2について、プレコート層の接着強度の測定、耐熱性試験および耐真空性試験を行った。結果を表1に示した。
製造例3
軟化促進剤を硫酸アルミニウム3質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、成膜装置用部品No.3を得た。得られた成膜装置用部品No.3について、プレコート層の接着強度の測定、耐熱性試験および耐真空性試験を行った。結果を表1に示した。
製造例4(無機塩類なし)
基材としてのAl試験片(4cm四方、厚さ2mm)に、WA#100による表面ブラスト処理を施した。前記基材のブラスト処理を施した面に、骨材として珪石60質量部、結合剤としてコロイダルシリカ12質量部、溶媒として水28質量部を含有する水性無機コーティング剤を、ピースガン(明治機械製作所製、「MP−3」)を用いてスプレー塗布した。塗装した水性無機コーティング剤を、150℃で1時間乾燥させプレコート層(厚み20μm)を形成し、成膜装置用部品No.4を得た。得られた成膜装置用部品No.4について、プレコート層の接着強度の測定、耐熱性試験および耐真空性試験を行った。結果を表1に示した。
成膜装置用部品No.1〜3は、プレコート層を形成する水性無機コーティング剤が無機塩類を含有する場合であるが、これらは無機塩類を含有しない水性無機コーティング剤を用いた成膜装置用部品No.4に比べて、水で処理した後のプレコート層の接着強度が低下している。また、成膜装置用部品No.1〜3では、60℃の温水に浸漬したのみでも、成膜装置用部品No.4を10分間煮沸処理した場合よりも、プレコート層の接着強度が低下していることがわかる。すなわち、水性無機コーティング剤に無機塩類を含有させることにより、部品に付着した付着膜の除去が、より低温、短時間で可能となることがわかる。
本発明の成膜装置油部品は、スパッタリング装置などの成膜装置に好適に用いられる。
1:成膜装置用部品、2:基材、3:プレコート層、4:SUS薄板、5:接着面、A:引張方向、X:成膜装置用部品の長さ、Y:SUS薄板の長さ、Z:接着面の長さ

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材に形成されたプレコート層とを有する成膜装置用部品であって、
    前記プレコート層が、無機塩類を含有する水性無機コーティング剤から形成されたものであることを特徴とする成膜装置用部品。
  2. 前記基材の線熱膨張率(α1)と前記プレコート層の線熱膨張率(α2)との差(│α1−α2│)が18×10-6/℃以下である請求項1に記載の成膜装置用部品。
  3. 前記水性無機コーティング剤を塗布乾燥して形成されたプレコート層の基材に対する接着強度が10N/mm2超であり、且つ、煮沸処理を施した後のプレコート層の基材に対する接着強度が10N/mm2以下である請求項1又は2に記載の成膜装置用部品。
  4. 前記プレコート層が、450℃の雰囲気に1時間放置した後、25℃まで放冷する熱処理を50回施しても、基材から剥離しないものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の成膜装置用部品。
  5. 前記プレコート層が、圧力1.0Pa以下の真空下においても基材から剥離しないものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の成膜装置用部品。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の成膜装置用部品に形成された付着膜の除去方法であって、
    付着膜形成後に、水および/または水蒸気によりプレコート層を処理した後、付着膜を除去することを特徴とする付着膜の除去方法。
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