JP2012024911A - 研磨工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法の小さな光学部品などを成型するための金型の成型面などの加工面にダメージを与えることなく当該加工面上のうねりを除去できる研磨工具を提供する。
【解決手段】研磨工具1は軸芯P回りに回転される回転軸2と基端部3aが回転軸2に連なりかつ軸芯Pの周方向に等間隔に複数設けられているとともに軸芯Pに対して直交する方向に直線状に延在した研磨歯3とを備えている。研磨歯3の軸芯Pに対して直交する方向の長さをLとし研磨歯3が被加工物の加工面に押し付けられる力をFとし研磨歯3の縦弾性係数をEとし研磨歯3の断面2次モーメントをIとすると互いに隣り合う研磨歯3間の間隔dがFL3/3EI≦d≦Lを満たしている。
【選択図】図8

Description

本発明は、被加工物に加工面に研磨加工を施すための研磨工具に関し、例えば、PPC(普通紙複写機)、LBP(レーザビームプリンタ)、ファクシミリなどの電子写真方式を採用した画像形成装置の光走査装置を構成する各種の光学部品を成型するための金型の成型面に研磨加工を施すために好適な研磨工具に関する。
電子写真の原理に基づく複写機およびレーザプリンタなどの画像形成装置の感光体上に光ビームを走査するために用いられる光走査装置は、光ビームの感光体上での焦点位置を直線化するfθレンズなどの各種の光学部品を備えている。この種の光学部品は、プラスチックなどの透明な合成樹脂で構成されており、金型内のキャビティに当該合成樹脂が射出されることで得られる。
前述したfθレンズなどの光学部品は、画像形成装置の印刷品質と重要な関係を有するために、その形状の精度に数μmの精度が要求される。また、このfθレンズなどの光学部品は、その表面のうねりの振幅にも厳しい制約があり、通常このうねりの振幅が1μmよりも小さいことが求められている。前述したfθレンズなどの光学部品を成型するための金型の成型面は、ダイヤモンドバイトを用いた超精密切削、あるいはダイヤモンド砥石を用いた長精密研磨技術の進歩により前述した精度が満たされている。
しかしながら、近年の複写機やレーザプリンタなどの画像形成装置は、光ビームの走査密度がより高密度化されるとともに、カラー画像を形成するためにより光ビームの径がますます小さくなっている。このために、前述したfθレンズなどの光学部品や当該光学部品を成型する金型の成型面も前述したカラー画像を形成するために生じる光ビームの小径化に対応するために、より高精度であることが求められている。切削加工では、ダイヤモンドバイドの送り動作により、前述した成型面にうねりが発生してしまうために、切削加工後の研磨工程において、当該うねりを抑制しなければならない。この種のうねりを抑制するために、超精密研磨加工方法による形状修正技術(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)が開発されている。特許文献1及び特許文献2に示された超精密研磨加工方法では、研磨除去量を精密に制御するとともに、球面、非球面及び自由曲面形状の各形状に倣い、これらの形状を崩すことなく、均一の研磨することもできることが求められている。
特許文献1では、研磨工具として、金型の成型面上の除去したいうねりの周期の2倍以上の外径を有するポリッシャを3個以上設けると共に,弾性部材の弾性変形により各ポリシャを独立して傾斜可能にすることによって、前述したうねりを除去している。
特許文献2では、研磨工具として、一対の球状の研磨具とこれら一対の研磨具同士を連結したシャフトとを備えた研磨工具を用い、当該研磨工具を所望の押し付け力で金型などの被加工物の成型面などの加工面に押し付けてシャフトを中心に回転させながら走査して研磨加工を行う。そして、一対の研磨具それぞれの加工面上の2ヶ所の研磨接触点同士を結ぶ直線とシャフトとを研磨加工のトラバース方向に平行とすることにより,振幅が小さく、各研磨具の接触幅よりも長い波長を有するうねりを加工面の形状を崩すことなく除去することができるようにしている。
また、形状精度を崩さずに,振幅の小さいうねりのみの除去を目的として研磨精度を高めるためには,研磨工具の加工面に対する接触面積をなるべく小さくして、当該研磨工具を走査させて研磨痕を互いに重ねることが、現在の技術的なトレンドである。この種の研磨工具の代表的な例としては、球状に形成されかつ回転しながら加工面に研磨加工を施す回転球面工具を挙げることができる。
しかしながら、前述した特許文献1に示され研磨工具では、金型の成型面上などのうねりの波長が、fθレンズなどの光学部品の全長の半分よりも長い場合(即ち、fθレンズなどの光学部品の寸法が小さい場合)には、三つ以上のポリッシャを配置する関係上研磨工具が大型化して、うねりの除去が非常に困難である。さらに、fθレンズなどの光学部品の曲面即ち金型の成型面が、曲率が逆転する自由曲面である場合には、前述したように大型化しかつ3つ以上のポリッシャそ相対的な位置が保たれるために、うねりの除去は、ほぼ不可能である。
また、特許文献2に示された発明は、なるべく小さい研磨接触点で振幅の小さいうねりを除去することができるが,研磨加工のトラバース方向と略平行なうねりのみ除去することができる。
また、前述した回転球面工具では、硬い材料で構成すると、加工面に対する接触面積を小さくすることができるが、材料が硬いために、加工面との間に挟みこむ砥粒及び削りくずにより当該課工面上に傷(スクラッチ)を発生させるなどのダメージを与えてしまう恐れがある。その反面、柔らかい材料で構成すると,加工面に対する押し付け力を強くする必要があり、その結果、加工面に対する接触面積が広がり、うねりを除去するのと同時に,金型の成型面の本来除去されるべきでない部分も研磨してしまい、金型の成型面全体の形状精度が劣化してしまう問題点がある。要するに、回転球面工具では、fθレンズなどの光学部品を成型するための金型の成型面上のうねりを低減させるまでに要求される高精度な加工を行うことが困難であり、さらなる高精度な加工が要求される。
また,前述した研磨工具では、全て砥粒を用いているために、加工面との間に挟みこむ砥粒や削りくずにより、当該加工面上にスクラッチを発生させてしまう。
本発明は上記問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、寸法の小さなfθレンズなどの光学部品などを成型するための金型の成型面などの加工面にダメージを与えることなく当該加工面上のうねりを除去できる研磨工具を提供することを目的とする。
上記問題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された本発明の研磨工具は、砥粒が付着されて回転させられながら被加工物の加工面に押し付けられることで、当該被加工物の加工面を研磨する研磨工具において、軸芯回りに回転される回転軸と、基端部が前記回転軸に連なり、かつ前記軸芯の周方向に等間隔に複数設けられているとともに、前記軸芯に対して直交する方向に直線状に延在して、前記砥粒が付着されて前記被加工物の加工面に押し付けられる研磨歯と、を備えたことを特徴としている。
請求項2に記載された本発明の研磨工具は、請求項1に記載された研磨工具において、研磨歯の前記軸芯方向に対して直交する方向の長さをLとし、前記研磨歯が前記被加工物の加工面に押し付けられる力をFとし、前記研磨歯の縦弾性係数をEとし、前記研磨歯の断面2次モーメントをIとすると、互いに隣り合う前記研磨歯間の間隔dが、FL3/3EI≦d≦Lを満たしていることを特徴としている。
請求項3に記載された本発明の研磨工具は、請求項1または請求項2に記載された研磨工具において、少なくとも前記研磨歯が、ゴム硬度がASKER D 25以上でかつ60以下の材料で構成されていることを特徴としている。
請求項1に記載された本発明によれば、回転軸に基端部が連なりかつ当該回転軸の軸芯の周方向に等間隔に設けられた研磨歯を複数備えているので、当該研磨歯を加工面に押し付けると、これら互いに隣り合う研磨歯間に空間が存在するので、加工面に当接する研磨歯が撓むこととなる。このために、研磨歯を加工面に押し付ける力を強くしても、研磨歯がより撓むこととなるので、当該研磨歯の加工面に対する接触面積が殆ど変化しない。よって、寸法の小さな加工面においても、当該加工面上のうねりのみを除去することができる。
また、研磨歯が互いに間隔をあけて設けられているので、当該研磨歯に付着した砥粒及び加工面からの削りくずが互いに隣り合う研磨歯間に位置して、当該研磨歯と加工面との間で押し潰されることを防止できる。よって、加工面上に必要以上のダメージを与えることを防止できる。よって、寸法の小さなfθレンズなどの光学部品などを成型するための金型の成型面などの加工面にダメージを与えることなく当該加工面上のうねりを除去することができる。
請求項2に記載された本発明によれば、研磨歯の前記軸芯方向に対して直交する方向の長さをLとし、前記研磨歯が前記被加工物の表面に押し付けられる力をFとし、前記研磨歯の縦弾性係数をEとし、前記研磨歯の断面2次モーメントをIとすると、互いに隣り合う前記研磨歯間の間隔dが、FL3/3EI≦d≦Lを満たしている。
即ち、図16に示すように、研磨工具1の矢印K方向に回転する回転軸2に基端部3aが連なった研磨歯3が前述した力Fで加工面32に押し付けられると、加工面32に当接する先端部3bが回転方向Kの後方側に位置するように、当該研磨歯3が撓むこととなる。このとき、先端部3bが回転軸2の軸芯Pを中心とした周方向に押圧される力をF´とすると、研磨歯3が、基端部3aが回転軸2に拘束されかつ先端部3bが自由端の片持ち梁とみることができるので、前記力F´と前記長さLと縦弾性係数Eと断面2次モーメントIと研磨歯3の前記軸芯Pの周方向の撓み量δとの間には、以下の式1で示す関係が成立する。
δ=F´L3/3EI・・・・・・式1
このとき、力F´と力Fとの間には、F´≦Fの関係が成立しているので、互いに隣り合う研磨歯3間の間隔dをFL3/3EI以上とすることで、当該間隔dが撓み量δ以上の値となり、互いに隣り合う研磨歯3が互いに接触することがない。また、互いに隣り合う研磨歯3の撓み量δが、研磨歯3の長さLを超えることがないことは明らかである。よって、互いに隣り合う研磨歯3間の間隔dをFL3/3EI以上でかつL以下とすることで、加工面32上のうねりを除去する際に研磨歯3同士が接触して、当該接触した研磨歯3と加工面32との間に砥粒6や削り屑7が挟まれることを防止でき、加工面32にダメージを確実に与えることなく、当該加工面32上のうねりを除去することができる。なお、本発明の研磨歯3は、弾性材料で構成されている。本発明でいう、この弾性材料とは、弾性を有するのもに限らす、弾性変形させた際にかかる力と変位とが互いに比例関係をなすものをいう。
請求項3に記載された本発明によれば、研磨歯のゴム硬度がASKER Dの25以上であるので、研磨歯を構成する材料自身が伸びることを防止でき、研磨歯同士が接触することなくうねりを除去することができる。また、研磨歯のゴム硬度がASKER Dの60以下であるので、研磨歯が加工面上を滑ることなく、当該加工面に研磨加工を確実に施すことができる。なお、研磨歯のゴム硬度がASKER Dの25を下回ると、研磨歯を加工面に押し付けた際に、研磨歯自身が伸びて、互いに隣り合う研磨歯同士が接触してしまう。また、研磨歯のゴム硬度がASKER Dの60を超えると、研磨歯を加工面に押し付けても、当該研磨歯がほとんど撓まなくなり、この研磨歯が加工面上を滑って、加工面上に研磨加工を施すことができないからである。
本発明の一実施形態に係る研磨工具の側面図である。 図1に示された研磨工具の斜視図である。 図1中のIII−III線に沿う断面図である。 図3中のIV−IV線に沿う断面図である。 (a)は図1に示された研磨工具により研磨加工が施される金型により得られるfθレンズの斜視図であり、(b)は図5(a)に示されたfθレンズの側面図である。 図5に示されたfθレンズを成型する金型の断面図である。 図1に示された研磨工具が研磨加工を施している状態を示す斜視図である。 図7に示された研磨工具の要部の断面図である。 本発明品と比較例に研磨工具を得るための中間生成物を示す説明図である。 比較例の研磨工具が研磨加工を施している状態を模式的に示す説明図である。 本発明品と比較例の研磨工具により研磨痕の深さと幅を示す説明図である。 本発明品の研磨工具により研磨加工が施された平板の表面を拡大して示す説明図である。 比較例の研磨工具により研磨加工が施された平板の表面を拡大して示す説明図である。 本発明品の研磨工具による成型面のうねりの除去量を示す説明図である。 本発明品の研磨工具による成型面のうねりが除去される金型の要部の断面図である。 本発明の研磨工具の研磨歯が撓んでいる状態を模式的に示す説明図である。
図1は、本発明の一実施形態にかかる研磨工具を示す側面図である。図2は、図1に示された研磨工具の斜視図、図3は、図1中のIII−III線に沿う断面図である。
図1に示す研磨工具1は、図5に示す光学部品としてのfθレンズ30を成型する際に用いられる被加工物としての金型31の加工面としての成型面32を研磨して、当該成型面32上のうねりを除去するものである。
fθレンズ30は、画像形成装置の光走査装置を構成する光学部品であり、透明な合成樹脂で構成されている。fθレンズ30は、ミラーを介して入射された光ビームを、当該ミラーの回転により感光体の該表面に直線上に走査させる光学部品である。fθレンズ30は、図5(a)及び図5(b)に示すように、巨視的にみればその形状が端部で薄い偏肉形状となっている。
fθレンズ30は、図6に示す金型31のキャビティ33内に前述した合成樹脂が射出されて得られる。金型31は、図6に示すように、図示例では、互いに接離自在な一対の型34,35を備えて構成されており、これら一対の型34,35間に前述したキャビティ33が形成されている。これらの型34,35は、一般的に硬質な金属で構成されている。型34,35を構成する材料として、例えば、マルテンサイト系のステンレス鋼を用いることができる。型34,35は、マルテンサイト系のステンレス鋼で構成された母材に切削加工が施されて、fθレンズ30の外形と等しいキャビティ33が形成される。このため、キャビティ33の内面である成型面32には、切削加工によりうねりが生じている。また、型34,35は、マルテンサイト系のステンレス鋼で構成された母材の表面(特に、キャビティ33の成型面32)に無電界ニッケル鍍金などの硬質鍍金層が施されてもよい。
研磨工具1は、金型31の型34,35のキャビティ33の硬質鍍金層が施されていない又は施された成型面32に研磨加工を施すものである。研磨工具1は、図1及び図2に示すように、回転軸2と、複数の研磨歯3とを一体に備えている。回転軸2は、円柱軸部4と、この円柱軸部4の一端に連なった球状部5とを備えている。円柱軸部4は、その全長に亘って外径が一定の円柱状に形成されている。球状部5は、外径が円柱軸部4の外径よりも大きな球状に形成されている。円柱軸部4と球状部5とは、互いに同軸に配置されている。回転軸2は、円柱軸部4と球状部5とに亘って設けられるその軸芯P(図2などに一点鎖線で示す)回りに回転される。このため、回転軸2は、前記軸芯Pに関して軸対称(回転対称)形状をなしている。
研磨歯3は、図3に示すように、基端部3aが回転軸2の球状部5の外周面に連なりかつその長手方向が前記球状部5の径方向即ち回転軸2の軸芯Pに対して直交する方向と平行に設けられている。即ち、研磨歯3は、前記軸芯Pに対して直交する方向に直線状に延在している。また、研磨歯3は、図4に示すように、四角柱状に形成されている。研磨歯3は、軸芯Pの周方向に等間隔に設けられているとともに、前述した球状部5の赤道上に設けられている。
前述した構成の研磨工具1は、図8に示すように、研磨歯3の表面に砥粒6が付着されて、軸芯P回りに例えば図8中の矢印Kで示す方向に回転されながら研磨歯3の先端部3bが成型面32に押し付けられることで、当該成型面32上のうねりを除去する。このときの研磨歯3を成型面32に押し付ける力F(図8に示す)は、1N〜5Nの範囲内の力であるのが最も望ましい。なお、研磨量は、前記力Fと滞留時間Tと相対速度Vの積で求められるので、当該力Fを強くすることで研磨量を増加させることができる。しかし、力Fを強くすれば強くする程、成型面32を傷つき易くなる。本実施形態のように、成型面32上のうねりを除去するのに必要な研磨量は、深さがサブミクロン程度である。よって、金型31、砥粒6、研磨工具1の材質にもよるが、前記力Fが5Nを超えると、加工面としての成型面32を傷つけてしまうので、当該力Fは5N以下であるのが望ましい。また、成型面32上のうねりを確実に除去するために、力Fは1N以上であるのが望ましい。
なお、前述した構成の研磨工具1の構成する材料としては、ウレタン樹脂、発泡された加硫硬質ゴム、ウレタン樹脂に木粉を混入したコンパウンド剤、フェノール樹脂のうち一以上の材料を用いることができる。ウレタン樹脂は、基本的に、2種類の主原料(ポリオール/イソシアネート)を混合・反応させることによって生成されるポリマーであり、その配合処方及び成形方法を変えることにより、軟質、半硬質、硬質の合成樹脂として幅広く用いることができる樹脂であり、発泡剤を混入することにより発泡させても用いることができる。勿論、ウレタン樹脂は、発泡剤が混入されることなく無発泡のまま用いてもよい。なお、ウレタン樹脂を発泡させる際には、空孔の大きさや分布などを変更容易な独立発泡ウレタン樹脂を用いるのが望ましい。
また、本発明では、研磨工具1を構成する材料として、ウレタン樹脂に木粉を混入したコンパウンド剤が最も望ましい。このウレタン樹脂に木粉を混入したコンパウンド剤は、圧縮プレス成形により研磨工具1を成型することが可能となるために、多様な形状の研磨工具1を得ることができる。さらに、本発明では、研磨工具1即ち研磨歯3を構成する材料は、ゴム硬度がASKER D Dの25以上でかつ60以下となっている。研磨歯のゴム硬度がASKER Dの25を下回ると、研磨歯3を加工面としての成型面32に押し付けた際に、研磨歯3自身が伸びて、互いに隣り合う研磨歯3同士が接触してしまい、研磨歯3のゴム硬度がASKER Dの60を超えると、研磨歯3を加工面としての成型面32に押し付けても、当該研磨歯3がほとんど撓まなくなり、この研磨歯3が加工面としての成型面32上を滑って、加工面としての成型面32上に研磨加工を施すことができないからである。このように、研磨歯3及び球状部5は、弾性材料で構成されている。本発明でいう、この弾性材料とは、弾性を有するのもに限らず、弾性変形させた際にかかる力と変位とが互いに比例関係をなすものをいう。
前述した砥粒6を構成する材料としては、基本的に金属酸化物を用いることができ、粒径がサブミクロン以下であるのが望ましい。具体的には、ジルコニアFZシリーズ(フジミ社製)、コロイダルシリカ(フジミ社製、製品名COMPOL)、あるはアルミナ砥粒(フジミ社製、製品名POLIPLA)、酸化セリウム(製品名セロックス)も採用可能である。金属参加物以外にダイヤモンド砥粒も適している。特に、ダイヤモンド砥粒の一例として、微細な粒径(数10nm)のもの、例えば、株式会社マブチ・エスアンドティから入手できるダイヤモンドペーストを挙げることができる。
また、前述した研磨工具1では、研磨歯3の前記軸芯Pに対して直交する方向の長さをLとし、研磨歯3の縦弾性係数をEとし、研磨歯3の断面2次モーメントをIとすると、互いに隣り合う前記研磨歯3間の間隔dが、FL3/3EI以上でかつL以下となっている。また、研磨歯3の長さLは、研磨工具1の回転軸2の球状部5の半径以下であるのが望ましい。
前述した構成の研磨工具1は、図8に示すように、成型面32上のうねりを除去する際に、研磨歯3の先端部3bが当該研磨工具1の回転方向Kの後方に向かうように、当該研磨歯3が弾性変形する。そして、研磨歯3の先端部3bが成型面32上のうねりを当該成型面32上から除去する。
本実施形態によれば、回転軸2に基端部3aが連なりかつ当該回転軸2の軸芯Pの周方向に等間隔に設けられた研磨歯3を複数備えているので、当該研磨歯3を成型面32に押し付けると、これら互いに隣り合う研磨歯3間に空間が存在するので、成型面32に当接する研磨歯3が撓むこととなる。このために、研磨歯3を成型面32に押し付ける力Fを強くしても、研磨歯3がより撓むこととなるので、当該研磨歯3の成型面32に対する接触面積が殆ど変化しない。よって、寸法の小さな成型面32においても、当該成型面32上のうねりのみを除去することができる。
また、研磨歯3が互いに間隔をあけて設けられているので、当該研磨歯3に付着した砥粒6及び成型面32からの削り屑7(図8に示す)が互いに隣り合う研磨歯3間に位置して、当該研磨歯3と成型面32との間で押し潰されることを防止できる。よって、成型面32上に必要以上のダメージを与えることを防止できる。よって、寸法の小さなfθレンズ30などの光学部品などを成型するための金型31の成型面32などの加工面にダメージを与えることなく当該成型面32上のうねりを除去することができる。
互いに隣り合う研磨歯3間の間隔dをFL3/3EI以上でかつL以下としているので、成型面32上のうねりを除去する際に研磨歯3同士が接触して、当該接触した研磨歯3と成型面32との間に砥粒6や削り屑7が挟まれることを防止でき、成型面32にダメージを確実に与えることなく、当該成型面32上のうねりを除去することができる。
研磨歯3のゴム硬度がASKER Dの25以上であるので、研磨歯3を構成する材料自身が伸びることを防止でき、研磨歯3同士が接触することなくうねりを除去することができる。また、研磨歯3のゴム硬度がASKER Dの60以下であるので、研磨歯3が加工面上を滑ることなく、当該成型面32に研磨加工を確実に施すことができる。なお、研磨歯3のゴム硬度がASKER Dの25を下回ると、研磨歯3を成型面32に押し付けた際に、研磨歯3自身が伸びて、互いに隣り合う研磨歯3同士が接触してしまう。また、研磨歯3のゴム硬度がASKER Dの60を超えると、研磨歯3を成型面32に押し付けても、当該研磨歯3がほとんど撓まなくなり、この研磨歯3が成型面32上を滑って、成型面32上に研磨加工を施すことができないからである。
次に本発明の発明者らは、本発明の研磨工具1の効果を確認した。以下に示す本発明品及び比較例の研磨工具1を用いて、母材がマルテンサイト系のステンレス鋼で構成されかつ表面に厚みが200μmのニッケル鍍金層が形成された平板に研磨加工を施し、この研磨加工により得られた研磨跡の深さ及び幅を測定した。結果を図11に示す。さらに、研磨加工により得られた平板の表面を拡大した写真を図12及び図13に示す。
図11において、実線で示した本発明品では、木粉(非凝集の状態で平均粒径が1.0μmの切りくず)が55重量%となるように、当該木粉をウレタン樹脂に加え、混練した後、直径12cmの球形金型内に流し込み、加圧成形し、木粉とウレタン樹脂とを固めた球状の集合体10(図9に示す)を形成した。そして、この球状の集合体10の中心に内径が3mmの貫通孔を形成し、炭素工具鋼(図示例では、SK5)で構成された外径が3mmの円柱状の軸部材11を前記貫通孔内に挿入して、シアノアクリート系瞬間接着剤で固定した。そして、図9に示す外形が円錐台状でかつ内面がすり鉢状の凹みが形成された砥石12の前記凹み内に球状の集合体10を挿入して、これら集合体10と砥石12とを互いに直交する軸芯回りに回転させて、当該集合体10の回転振れを除去して、当該集合体10の真球度を高めた。前述した砥石12は、ステンレス鋼(図示例ではSUS304)で構成され、凹みの内面にはダイヤモンドがニッケル鍍金で固定されている。そして、集合体10の外周面の軸部材11の軸芯に対して直交する赤道上に幅が1mm、高さ1.5mmの帯状部が突出するように、ダイヤモンドバイトを用いて、当該集合体10の外周面の略全周に超精密切削加工を施した。そして、帯状部にダイシングソー(株式会社ディスコ製、商品名DAD361)を用いて、研磨歯3の幅が0.5mmでかつ前記間隔dが2mmとなるように溝を形成して、前述した実施形態に記載された研磨工具1を得た。
そして、本発明品では、前述したように得た研磨工具1の研磨歯3に砥粒6として平均粒径が80nmのシリカスラリー(フジミ社製、製品名Compol−80)を塗布し、前述した力Fが2Nとなるように、研磨歯3を前記平板に押し付け、軸芯P回りに回転数30rpmで回転させて、当該平板に研磨加工を施して、10本の研磨痕を得た。そして、各研磨痕の幅と深さを走査型白色干渉計(Zygo社製、製品名NewView5032)で測定し、これらの平均値を得た。
図11において、点線で示した比較例では、前述した本発明と同様に球状の集合体10を構成し、この集合体10に本発明品と同様に軸部材11を固定して、前述した研磨歯3を形成することなく研磨工具100(図10に示す)を得た。そして、比較例では、前述した本発明品と同様に、研磨工具1の集合体10に砥粒6として平均粒径が80nmのシリカスラリー(フジミ社製、製品名Compol−80)を塗布し、前述した力Fが2Nとなるように、前記平板に押し付け、軸芯P回りに回転数30rpmで回転させて、当該平板に研磨加工を施して、10本の研磨痕を得た。そして、各研磨痕の幅と深さを走査型白色干渉計(Zygo社製、製品名NewView5032)で測定し、これらの平均値を得た。
図11によれば、本発明品の研磨痕の幅が0.5mmで深さが46nmであるのに対し、比較例の研磨痕の幅が1.2mmで深さが20nmであった。このように、比較例では、研磨痕の幅が本発明品の2.4倍であることが明らかとなった。このため、比較例では、本発明品のように小さな被加工物に研磨加工を施すことができないことが明らかとなった。
この比較例の研磨痕の幅が本発明品の研磨痕の幅よりも広いのは、以下の式2で示す剛体である球体の接触モデルを示すヘルツの式からも明らかである。
なお、前記式2において、aは、研磨工具100が被加工物としての平板に押し付けられたときの最大接触面の半径であり、Fは研磨工具100が平板に押し付けられる力であり、RAは、研磨工具100の集合体10の曲率半径であり、EAは、研磨工具1の集合体10の縦弾性係数であり、νAは、研磨工具1の集合体10のポアソン比であり、RBは、被加工物としての平板の曲率半径であり、EBは、被加工物としての平板の縦弾性係数であり、νAは、被加工物としての平板のポアソン比である。この式2によれば、最大接触面の直径が0.84mmと得られる。これは、比較例の研磨工具100を移動させながら研磨しているために、当該研磨工具100が移動と共に連続的に集合体10が変形しているためと考えられる。
また、図11によれば、比較例では、研磨痕の深さが本発明品の40%程度であることが明らかとなった。比較例では、同じ押し付け力Fであっても、当該比較例が本発明品よりも接触面積が大きいためであると考えられる。このため、比較例において、本発明品と同じ深さの研磨痕を得るためには、本発明品よりも押し付け力Fを強くする必要があるが、押し付け力Fを強くすると研磨工具100の接触面積がさらに広くなるために、比較例の研磨精度がさらに悪化することとなる。一方、比較例において、研磨精度を確保するために、押し付け力Fを弱くして、研磨工具100の接触面積を狭くすることも考えられるが、研磨工具100の接触圧力が低下しすぎて、研磨加工を施すことができなくなることが考えられる。比較例では、押し付け力Fを2Nから1Nとすると、研磨痕を検出できなくなってしまう。一方、本発明品では、押し付け力Fを2Nから1Nとすると、幅が0.5mmで深さが15nmの研磨痕を得ることができる。
また、前述した本発明品の研磨工具1により研磨加工が施された平板の表面には、図12に示すように、傷(スクラッチ)が生じていないのに対し、比較例の研磨工具100により研磨加工が施された平板の表面には、図13に示すように、傷(スクラッチ)が生じていた。よって、本発明品では、傷を生じさせないのに対し、比較例では傷を生じさせることが明らかとなった。このことは、本発明品では、図8に示すように、研磨工具1が軸芯P回りに回転しながら研磨加工を行うので、研磨歯3が回転に伴い順次加工面としての平板の表面に接する。このとき、平板の表面に対して直交しかつ軸芯Pをとおる線分Q(図8中に一点鎖線で示す)上に位置する研磨歯3cが当該平板の表面を押圧する力が最も強く、当該研磨歯3から離れるのにしたがって他の研磨歯3が平板の表面を押圧する力が弱くなっている。このため、本発明品では、前記研磨歯3cが荒加工を行い、他の研磨歯3が仕上げ加工を行っていることと考えられる。さらに、本発明品では、研磨歯3が間隔をあけて配置されているので、砥粒6や削り屑7が他の研磨歯3により吐き出されて、図8に示すように、研磨歯3間に位置付けられることとなる。このように、本発明品では、荒加工と仕上げ加工とを同時に行うことで、平板の表面に傷を生じさせることなく、研磨加工を施すことができる。一方、比較例では、研磨工具100の平板の表面に対する接触面が連続した平面となるので、砥粒や削り屑が当該研磨工具100と平板の表面との間に挟まれ、研磨加工の進行に伴い、研磨工具100と平板の表面との間に挟まれる削り屑の量が増加するので、平板の表面に傷が生じてしまうからと考えられる。
また、本発明の発明者らは、前述した本発明品の研磨工具1を用いて、図15に断面を示す非球面の金型31の成型面32に研磨加工を施して、当該成型面32上からのうねりを除去できる度合いを測定した。結果を図14に示す。図14において、実線は、研磨加工を施す前の成型面32のうねりを示し、一点鎖線は、研磨加工後の成型面32のうねりを示している。本実験では、研磨加工前の成型面32の形状を測定し、当該成型面32のうねり誤差を算出し、当該うねりにより突出する部分の研磨の除去量が多く、うねりにより凹んだ部分の研磨の除去量が少なくなるように、研磨加工により除去量を設定する。研磨加工における除去量の調整は、研磨工具1に与える押し付け力F、研磨工具1の移動速度、研磨歯3間の間隔d、研磨工具1の回転速度を適宜変更することで行うことができる。即ち、研磨工具1に与える押し付け力Fを調整して、突出した部分上では押し付け力Fを強くし、凹んだ部分上では押し付け力Fを弱くして、研磨加工を行い、成型面32上のうねりを除去する。図14に示す結果では、振幅が400nmのうねりに対して、凹んだ部分上では押し付け力Fを0.3Nとし、突出した部分上では押し付け力Fを1Nとして、研磨加工を施したところ、成型面32上に傷を生じさせることなく、振幅が180nmとなるまでうねりを除去することができた。
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に
限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施する
ことができる。例えば、円柱軸部4及び球状部5即ち回転軸2の形状を、軸対称(回転対称)形状であれば種々変更してもよいことは勿論である。
1 研磨工具
2 回転軸
3 研磨歯
3a 基端部
3b 先端部
6 砥粒
31 金型(被加工物)
32 成型面
特開平9−323249号公報 特開2001−064562号公報

Claims (3)

  1. 砥粒が付着されて回転させられながら被加工物の加工面に押し付けられることで、当該被加工物の加工面を研磨する研磨工具において、
    軸芯回りに回転される回転軸と、
    基端部が前記回転軸に連なり、かつ前記軸芯の周方向に等間隔に複数設けられているとともに、前記軸芯に対して直交する方向に直線状に延在して、前記砥粒が付着されて前記被加工物の加工面に押し付けられる研磨歯と、
    を備えたことを特徴とする研磨工具。
  2. 研磨歯の前記軸芯方向に対して直交する方向の長さをLとし、前記研磨歯が前記被加工物の加工面に押し付けられる力をFとし、前記研磨歯の縦弾性係数をEとし、前記研磨歯の断面2次モーメントをIとすると、互いに隣り合う前記研磨歯間の間隔dが、
    FL3/3EI≦d≦L
    を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の研磨工具。
  3. 少なくとも前記研磨歯が、ゴム硬度がASKER D 25以上でかつ60以下の材料で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の研磨工具。
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