JP4485849B2 - 光学素子成形用金型研磨方法 - Google Patents
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Description
特許文献1は、被加工物テーブル上に、被加工物をその周辺をダミー材でとり囲んだ状態で固定することを開示している。この開示によれば小径研磨工具の研磨面を被加工物の被加工面に当接させ、カンザシにより所定の加工圧を加えた状態で研磨液を供給する。
それとともに、被加工物を被加工物直線移動機構により所定のストロークで母線方向へ低速走査させるとともに、研磨工具直線移動機構により所定のストロークで小径研磨工具を子線方向へ高速揺動させて研磨する。
特許文献2は、曲面形状、非球面形状あるいは自由曲面形状等の光学部品あるいは金型を研磨するとき、被加工物周縁にフチダレを発生させることなく、被加工物の形状精度かつ外観精度を大幅に向上させることが可能な研磨用ヤトイとそれを用いた研磨方法を開示している。
この開示によれば、被加工物の周縁外側に被加工面周縁の接線と同一あるいはその接線と近似の傾きの傾斜面形状を有する研磨用ヤトイを取り付けて共に研磨を行うことで、フチダレのない高い形状精度かつ外観精度の光学部品あるいは成形用金型等を得ることができる。
図11は特許文献3に記載の案内部材と金型および研磨工具とそのツールパスを示す概略斜視図である。前記案内部材をガイドとして加工工具を所定の自由曲面を創製するように移動させて前記基の曲面の加工を行うようにしている。図11に案内部材26(24)と金型2および研磨工具28とそのツールパスP1を示す。
特許文献4は、複合曲面を有する金型や光学素子を分割せずに研磨加工する技術を開示している。この開示では、2つの単一曲面からなる複合曲面である被研磨面を有するワークを、単一曲面ごとに分割することなく、単一曲面ごとに抜けシロ面を創成しながら順次研磨する。
すなわち、樹脂や低融点金属等の抜けシロ材を一つの単一曲面の外周に充填し、逆形状型によって抜けシロ面を創成し、研磨工具による研磨を行う。研磨終了後に、抜けシロ部材を除去し、次の単一曲面について同様の工程を繰り返す。
なかでも研磨は単位除去量が小さく、前加工面を基準とする圧力転写の加工であるために、高精度な加工が実現できることから光学素子成形用金型の最終仕上げとして採用されている。
図12は研磨欠陥を説明する概略図である。ただし、圧力転写による研磨の場合には、研磨領域の外周に欠陥領域が発生する。例えば、図12に示すように、研磨領域の断面を見たときに完全研磨領域、すなわち所望の精度で研磨できる領域と、その両端に欠陥領域が存在する。
図12のように単位加工痕の重ね合わせによって研磨領域が形成されるので、その重ね合わせが不完全になる両端に単位加工痕の幅に概略相当する幅を持つ欠陥領域が形成される。光学素子成形用金型において、この欠陥幅以上の有効域外の幅を設定する必要がある。
このような光学素子成形用金型の有効域外の幅と成形される光学素子の有効域外の幅はほぼ同等である。ここで、光学素子を形成する材料を削減してコストダウンするために、光学素子成形用金型の有効域外の幅を小さくすることが望まれる。
とくに複写機やプリンタなどの画像形成装置に搭載される走査レンズを成形するための金型においては副走査方向の有効域外の幅を小さくすることが望まれる。
このために光学素子成形用金型の成形転写面を研磨するときに、研磨工具は被研磨面から落ちない範囲でぎりぎりの幅まで走査することになる。このような研磨においては、光学素子成形用金型の被研磨面周囲のエッジの影響で研磨精度が低下するという問題が発生してしまう。
また、エッジを研磨することによってバリ等の大きな切粉が工具表面に付着する可能性が高い。このようにダメージを受けた工具や大きな切粉が付着した工具で金型を研磨すると、加工面に傷やスクラッチが発生することや、所望の形状精度が得られないという不具合が生じる。
また、エッジによって工具表面に存在する砥粒や潤滑油がそぎ落とされ、その砥粒や潤滑油が被研磨面からエッジの外に脱落して、その量が不足することによって、所望の形状精度が得られないという不具合が生じる。
前述したように、特許文献1においては、被加工物と同じ材料からなるダミー材、つまりヤトイを周囲に固定して、ヤトイ上まで研磨工具を走査させて研磨を行っている。特許文献2においては、研磨用ヤトイを取り付けて、ヤトイ上まで研磨工具を走査させて研磨を行っている
また、特許文献3においては、金型の曲面の延長面上に凝固材で案内部材を形成し、案内部材をガイドとして加工工具を所定の自由曲面を創製するように移動させて曲面の加工を行うようにして、金型面内に欠陥領域を発生させない方法が開示されている。
これら従来技術においては、必ず研磨工具は金型の成形転写面とヤトイ上を走査して両者を研磨することになる。金型の曲面の延長面上に精度良く合うようにヤトイを形成するには粗加工の時点から金型と案内部材とを一体として加工する必要があり大きなコストアップになる。
それから研磨時の加工面積も増加し、それによって加工時間が長くなり、工具の損耗が激しくなる。ヤトイの面が金型の曲面の延長面上に精度良く合っていないとそこに段差が生じてエッジとなってしまう。また、ヤトイが金型と異なる材料のときには、発生する切粉が異なる材料からなる物であり、研磨精度の劣化が生じてしまう。
とくに自由曲面や非球面形状などの複雑な形状となるとヤトイの製作は非常に困難となってしまう。また、ヤトイは研磨によって加工されてしまうので、次に研磨する光学素子成形用金型には使用することができない。
本発明の目的は、上述した実情を考慮して、有効域外の幅の低減によって成形材料の使用量を削減した、低コストでかつ高精度の光学素子を得るための、光学素子成形用金型を高精度に仕上げる光学素子成形用金型研磨方法を提供することにある。
また、請求項2に記載の発明は、研磨に先だって前記被研磨面上に砥粒を含有するペースト状物質を塗布する請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、研磨に先だって前記被研磨面上および前記軟質材料部材上に砥粒を含有するペースト状物質を塗布する請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記被研磨面上を走査する前記研磨工具が通過後に、前記軟質材料部材上の砥粒を含有するペースト状物質が残る程度の広い範囲に、前記ペースト状物質を塗布する請求項3記載の光学素子成形用金型の研磨方法を特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記被研磨面上または前記研磨工具に対して砥粒を含有するスラリを供給する請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記光学素子成形用金型の短辺方向の断面において、前記被研磨面の前記エッジで前記被研磨面に接して、かつ前記研磨工具の半径より大きい半径を有する形状である軟質材料部材、およびこの軟質材料部材を使用する請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、研磨に先だって前記被研磨面上および前記軟質材料部材上に、砥粒を含有するペースト状物質を前記被研磨面の高さより高くなる程度に厚く塗布する請求項6および7記載の光学素子成形用金型研磨方法を特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記研磨工具よりも軟質である前記軟質材料部材、およびこの軟質材料部材を使用する請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、前記光学素子成形用金型の成形転写面周囲の長辺側エッジに対して、前記研磨工具の回転方向が角度をなす請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法を特徴とする。
更に、請求項11の記載の発明は、前記軟質材料部材の面と前記被研磨面との高低差は、研磨中に前記被研磨面から移動してきた前記遊離砥粒を前記研磨工具が巻き込んで前記被研磨面に戻れる高低差としたことを特徴とする。
また、被研磨面から、軟質材料からなる部材上へ移動した遊離砥粒を再び研磨工具が巻き込むことができるため、砥粒供給量が不足することがなく研磨除去能率が安定する。そして、研磨中に研磨工具本体が光学素子成形用金型の被研磨面周囲のエッジに接触せずに被研磨面上を走査するので、研磨工具がエッジに接触したときの影響で研磨精度が低下するという問題が発生しない。
さらに、いわゆるヤトイの場合のように精密にエッジ部で高さを揃える必要がないことと、軟質材料部材は研磨されないので次の光学素子成形用金型を研磨するときにも使用でき、次々と半永久的に使用可能であるため、低コストで光学素子成形用金型を得ることができる。
荷重発生機構部により直動スライド3に所定の荷重を与え、その荷重が研磨工具1に伝達されてこの研磨工具1と工作物7の被研磨面7aとの間に荷重が発生する。発生した荷重を荷重センサ4が検知して、その荷重を所定の荷重になるように図示していない制御部、例えばパソコンから荷重発生機構部5へ指令を出す。
工作物7はX軸、Y軸、Z軸、およびX軸、Y軸と平行な回転軸であるA軸、B軸の動きによって被研磨面7aの法線を工具荷重負荷方向と一致させる、いわゆる法線制御が可能となっている。
図2は被研磨面の研磨前の形状と所望の設計形状を示す概略図である。図2に示すように所望の設計形状と被研磨面の研磨前の形状測定結果との誤差が存在し、その誤差から各加工点における除去量または除去深さを決定する。
対象とする被研磨面を研磨する前に、この被研磨面と同じ材料を研磨することによって除去量または除去深さと加工条件との関係を事前に掴んでおく必要がある。この関係については従来から次式で示すようなプレストンの経験則が知られている。
δ=k×P×V×t
ここで、δ:除去量、k:比例定数、P:圧力、V:工具と加工点の相対速度(工具周速)、t:滞留時間である。
これにより各加工点における除去量または除去深さに対して加工条件を決めることができる。ここでは、δは除去深さ、Pは荷重と考えても差し支えない。一般的に比例定数kは工作物の材質や工具により決まる定数である。
図3は光学素子成形用金型の被研磨面を真上から見た状態を示す平面図である。図3において、研磨のときのツールパスは副走査方向に送り、主走査方向にピックするという形をとった。
被研磨面7aには有効域と有効域外が存在し、光学素子の副走査方向の幅を低減するために、工作物である光学素子成形用金型7においては有効域外の副走査方向の幅を低減することが望まれる。
そのために、図12に示したような研磨によって発生する欠陥をできるだけ光学素子成形用金型の副走査方向のエッジ側に存在させることが必要となる。このために光学素子成形用金型7の成形転写面を研磨するときに、研磨工具1は被研磨面7aから落ちない範囲でエッジぎりぎりの幅まで走査することになる。
その研磨工具1本体は被研磨面7a周囲のエッジ12に接触しないようにツールパスを設定する。研磨工具1と被研磨面7aとの間に遊離砥粒を供給しながら、さらに必要に応じて潤滑油を供給しながら研磨を行う。
光学素子成形用金型7の被研磨面7a周囲の少なくとも長辺側を軟質材料部材9で囲うことで、遊離砥粒が光学素子成形用金型の被研磨面から脱落することを防止あるいは低減でき、また、被研磨面から、軟質材料部材9上へ移動した遊離砥粒を再び研磨工具が巻き込むことができるため、砥粒供給量が不足することがなく研磨除去能率が安定する。
そして、研磨中に研磨工具1本体が光学素子成形用金型7の被研磨面7a周囲のエッジ12に接触せずに被研磨面上を走査するので、研磨工具1がエッジ12に接触したときの影響で研磨精度が低下するという問題が発生しない。
研磨に先だって被研磨面7a上に砥粒を含有するペースト状物質10を塗布することによって、粘度の高い物質に砥粒が含有されて加工点に供給されるので、被研磨面7aから砥粒が脱落しにくい。さらに、軟質材料部材9があるために、なお一層、被研磨面7aから砥粒が脱落しにくいので、砥粒供給量が不足することがなく研磨除去能率が安定する。
さらに、いわゆるヤトイのような精密にエッジ12で高さを揃える必要がないことと、軟質材料部材9は研磨されないので次の光学素子成形用金型7を研磨するときにも使用でき、次々と半永久的に使用可能であるため、低コストで光学素子成形用金型7を得ることができる。
さらに、研磨に先だって被研磨面7a上および軟質材料部材9上に砥粒を含有するペースト状物質10を塗布することが好ましい。これにより、軟質材料部材9上に存在する砥粒を研磨工具が巻き込むことで、研磨工具1に砥粒が充分供給されることになり、研磨除去能率が安定する。
このときに被研磨面7a上を走査する研磨工具1が通過した後に、軟質材料部材9上の砥粒を含有するペースト状物質10が残る程度の広い範囲(図5に示すペースト塗布領域)に、前記ペースト状物質10を塗布することがより好ましい。
ここで、砥粒を含有するペースト状の物質を遊離砥粒として使用するときには、潤滑油を供給することが好ましい。また、被研磨面7a上または研磨工具1に対して砥粒を含有するスラリをポンプ等で供給して研磨工具1と被研磨面7aとの間に砥粒を存在させて研磨を行ってもよい。
このように被研磨面7a上または研磨工具1に対して砥粒を含有するスラリを供給するので、砥粒の供給量を安定させることができるとともに、軟質材料部材9があるために、被研磨面7aから砥粒が脱落しにくいので、砥粒供給量が不足することがなく研磨除去能率が安定する。
図6は軟質材料部材の短辺方向の断面形状を示す概略図である。ここで、光学素子成形用金型の被研磨面7a周囲の少なくとも長辺側を囲んだ軟質材料部材9の形状は、光学素子成形用金型7の短辺方向の断面において、被研磨面7aのエッジ12での接線方向に広がる面形状をなすことを特徴とする。
短辺方向の断面形状は図6に示すようになっており、概略この断面を長辺方向に繋いで形成される面形状からなっている。さらに、軟質材料部材9の形状は光学素子成形用金型7の短辺方向の断面において、被研磨面7aのエッジ12でこの被研磨面7aに接して、かつ研磨工具1の半径より大きい半径を有する形状であることを特徴とする。
短辺方向の断面形状は光学素子成形用金型7の短辺方向の断面において、成形転写面11のエッジ12での接線方向に広がる面形状をなすので、研磨中に研磨工具1が軟質材料部材9に接触することがなく、その反力によって研磨誤差が生じることはない。また、軟質材料部材9上に移動した砥粒を再び研磨工具1が巻き込むことが可能となり、研磨除去能率が安定する。
理想的には、軟質材料部材9は光学素子成形用金型7の被研磨面7aに連続的に繋がる、つまり、エッジ12における被研磨面7aと同じ高さになるように段差なく設置する必要がある。
しかし、現実的にはそのように設置するのは困難であるため、エッジ12における被研磨面7aより低い高さになるように、軟質材料部材9の面を配置する。そして研磨に先だって被研磨面7a上および軟質材料部材9上に砥粒を含有するペースト状物質10を被研磨面7aの高さより高くなる程度に厚く塗布する。
図8は軟質材料部材の短辺方向の断面形状において光学素子成形用金型のエッジを示す拡大図である。つまり、図8に示すように、研磨工具1がエッジ12に接触する手前ぎりぎりの位置に来たときに、軟質材料部材9上のペースト状物質10を工具表面が巻き込むようにする。
軟質材料部材9の面を、光学素子成形用金型7の被研磨面7a周囲のエッジ12における被研磨面7aの高さより低い高さになるように面を形成したので、エッジ12における被研磨面7aと軟質材料部材9との高さを厳密に同じにする必要がない。
このため、容易に軟質材料部材9を設置することができ、エッジ12における軟質材料部材9の高さが被研磨面7aより低いため、研磨工具1が軟質材料部材9に接触することがないため、その反力が研磨工具1に加わることがないため反力による研磨誤差を発生しない。
軟質材料部材9は、使用する研磨工具よりも軟質であり、研磨工具1の荷重が伝わったときには変形して逃げるような軟質材料が好ましい。軟質材料としてはゴム、プラスチック、木材、紙などが好ましく、使用する工具材料によっては金属を選択してもよい。材料そのものは硬くても、薄くて弱い構造とすることによって、研磨工具1の荷重が伝わったときには変形して逃げるようにしてもよい。
軟質材料部材9は研磨工具1よりも軟質であることを特徴とするので、研磨工具1がたとえ接触したときやその荷重がペーストなどを介して軟質材料部材9に加わったときでも、軟質材料部材9が逃げるので研磨工具1が受ける反力は小さいものになり、研磨誤差の発生を防ぐことができる。
球体の一部からなる形状の、木からなる微細粉を樹脂、例えばウレタン樹脂で固めた材料からなる研磨工具1を使用して、光学素子成形用金型7を研磨する。光学素子成形用金型7の被研磨面7a周囲の長辺側を研磨工具1よりも軟質であるシリコーンゴムからなる軟質材料部材9で図4に示すように囲う。
金型周囲をプラスチックの枠で囲み、そこにシリコーンゴムを流し込む。そのシリコーンゴムが硬化するときに、光学素子成形用金型7の短辺方向の断面において、被研磨面7aのエッジ12で被研磨面7aに接して、かつ研磨工具1の半径10mmより大きい半径12mmを有する形状となるようにプラスチックの型を押し当てることによって、短辺方向の断面形状を図7のような形状にした。
ここで、半径12mmというのは厳密なものではなく、場所によって異なっていてもよい。おおよそ12mm程度の値で、研磨工具1の半径の10mmよりも大きいことが重要である。
このときに光学素子成形用金型7の被研磨面7aのエッジ12において被研磨面7aより0.5mm程度低い高さになるように、軟質材料部材9を配置した。研磨に先だって被研磨面7a上と軟質材料部材9上に砥粒を含有するペースト状物質10を塗布した。
軟質材料部材9上では光学素子成形用金型7のエッジ12から3mm以上離れた範囲までの領域にペースト状物質10を塗布した。そして、塗布したペースト状物質10の厚さは、エッジ12近傍において被研磨面7aの高さより高くなる程度にした。
研磨条件は荷重300gf、工具回転数は100rpm、砥粒は0.5μm径のダイヤモンドとした。前もってデータとして得ている比例定数におけるプレストンの経験則から各加工点における滞留時間が決まり、研磨装置の制御装置にそのデータを与える。このときの研磨工具の回転方向と光学素子成形用金型7の成形転写面11周囲の長辺側エッジとの角度を30度として研磨を行った。
研磨結果としては、各加工点における狙いの除去量に対する誤差の割合は9%以下とすることができ、高精度な光学素子成形用金型を得ることができた。研磨後の軟質材料からなる部材上には、図5のように塗布したペースト状物質10が残存していた。
<比較例1>
光学素子成形用金型7の被研磨面7a周囲を部材で囲うことなく、実施例1と同じ研磨を実施した。砥粒を含有するペースト状物質を被研磨面のみに塗布した。
その結果、各加工点における狙いの除去量に対する誤差の割合は28%程度となり、実施例1よりも悪い精度となった。
球形状のウレタンゴムからなる研磨工具1を使用して、光学素子成形用金型7を研磨する。光学素子成形用金型7の被研磨面7a周囲の長辺側を研磨工具1よりも軟質であるシリコーンゴムからなる部材で図4に示すように囲う。
光学素子成形用金型7周囲をプラスチックの枠で囲み、そこにシリコーンゴムを流し込む。そのシリコーンゴムが硬化するときに、光学素子成形用金型7の短辺方向の断面において、被研磨面のエッジ12で被研磨面7aに接して、かつ研磨工具1の半径15mmより大きい半径18mmを有する形状となるようにプラスチックの型を押し当てる。
これによって、短辺方向の断面形状を図7のような形状にした。ここで、半径18mmというのは厳密なものではなく、場所によって異なっていてもよい。おおよそ18mm程度の値で、研磨工具1の半径の15mmよりも大きいことが重要である。
このときに光学素子成形用金型7の被研磨面7aのエッジ12において被研磨面7aより0.2mm程度低い高さになるように、軟質材料部材9を配置した。研磨に先だって被研磨面7a上に砥粒を含有するペースト状物質10を塗布した。
研磨条件は荷重200gf、工具回転数は150rpm、砥粒は1μm径のアルミナとした。前もってデータとして得ている比例定数におけるプレストンの経験則から各加工点における滞留時間が決まり、研磨装置の制御装置にそのデータを与える。このときの研磨工具1の回転方向と光学素子成形用金型7の成形転写面11周囲の長辺側エッジとの角度を40度として研磨を行った。
研磨結果としては、各加工点における狙いの除去量に対する誤差の割合は14%以下とすることができ、高精度な光学素子成形用金型を得ることができた。
図10は光学素子成形用金型の被研磨面周囲の長辺側を囲んだ0.5mm程度の厚さのPET樹脂を示す図である。球体の一部からなる形状の、木材からなる微細粉を樹脂、例えばフェノール樹脂で固めた材料からなる研磨工具1を使用して、光学素子成形用金型7を研磨する。
光学素子成形用金型7の被研磨面7a周囲の長辺側を0.5mm程度の厚さのPET樹脂で図10のように囲んだ。研磨工具の荷重が伝わったときには変形して逃げるようにしてある。光学素子成形用金型7の被研磨面7aの長辺側のエッジ12に対して、PET樹脂を複数箇所に分割してエッジ部にて被研磨面とほぼ同じ高さになるように固定した。
研磨条件は荷重300gf、工具回転数は100rpmで、0.5μm径のダイヤモンド砥粒を含有したスラリを研磨工具1上に滴下しながら研磨を行う。前もってデータとして得ている比例定数におけるプレストンの経験則から各加工点における滞留時間が決まり、研磨装置の制御装置にそのデータを与える。
このときの研磨工具1の回転方向と光学素子成形用金型7の成形転写面11周囲の長辺側エッジとの角度を40度とした。研磨結果としては、各加工点における狙いの除去量に対する誤差の割合は15%以下とすることができ、高精度な光学素子成形用金型を得ることができた。
以上により、有効域外の幅の低減によって成形材料の使用量を削減した、低コストでかつ高精度の光学素子を得るための、光学素子成形用金型を高精度に仕上げることが可能となった。
さらに、上記は光学素子用金型に関連して説明されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、光学素子そのものの加工や、その他の金型にも適用できる。
Claims (11)
- 球体または球体の一部からなる形状の研磨工具と被研磨面との間に荷重を発生させ、遊離砥粒を使用して光学素子成形用金型を研磨する光学素子成形用金型研磨方法において、
前記光学素子成形用金型の前記被研磨面周囲のエッジにおける前記被研磨面の高さより低い高さになるような面を有し、かつ当該面と前記被研磨面との高低差を、前記被研磨面から前記エッジの外に前記遊離砥粒が脱落することを防止あるいは低減できる高低差とした軟質材料部材を形成し、前記光学素子成形用金型の被研磨面周囲の少なくとも長辺側を前記軟質材料部材で囲うとともに、研磨中に研磨工具本体が前記光学素子成形用金型の前記被研磨面周囲の前記エッジに接触せずに前記被研磨面上を走査することを特徴とする光学素子成形用金型研磨方法。 - 研磨に先だって前記被研磨面上に砥粒を含有するペースト状物質を塗布することを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法。
- 研磨に先だって前記被研磨面上および前記軟質材料部材上に砥粒を含有するペースト状物質を塗布することを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法。
- 前記被研磨面上を走査する前記研磨工具が通過後に、前記軟質材料部材上の砥粒を含有するペースト状物質が残る程度の広い範囲に、前記ペースト状物質を塗布することを特徴とする請求項3記載の光学素子成形用金型研磨方法。
- 前記被研磨面上または前記研磨工具に対して砥粒を含有するスラリを供給することを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法。
- 前記光学素子成形用金型の短辺方向の断面において、前記被研磨面の前記エッジでの接線方向に広がる面形状をなしており、前記軟質材料部材、およびこの軟質材料部材を使用することを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法。
- 前記光学素子成形用金型の短辺方向の断面において、前記被研磨面の前記エッジで前記被研磨面に接して、かつ前記研磨工具の半径より大きい半径を有する形状である軟質材料部材、およびこの軟質材料部材を使用することを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法。
- 研磨に先だって前記被研磨面上および前記軟質材料部材上に、砥粒を含有するペースト状物質を前記被研磨面の高さより高くなる程度に厚く塗布することを特徴とする請求項6および7記載の光学素子成形用金型研磨方法。
- 前記研磨工具よりも軟質である前記軟質材料部材、およびこの軟質材料部材を使用することを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法。
- 前記光学素子成形用金型の成形転写面周囲の長辺側エッジに対して、前記研磨工具の回転方向が角度をなすことを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法。
- 前記軟質材料部材の面と前記被研磨面との高低差は、研磨中に前記被研磨面から移動してきた前記遊離砥粒を前記研磨工具が巻き込んで前記被研磨面に戻れる高低差としたことを特徴とする請求項1記載の光学素子成形用金型研磨方法。
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