JP4320644B2 - 研削加工方法 - Google Patents

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本発明は、回転砥石を用いて行う研削加工方法、成形用金型及び光学素子に関し、特に高精度な研削加工を行える研削加工方法、及びそれにより形成された成形用金型、並びにそれにより転写された光学素子に関する。
例えば、シリンダーレンズなどの非軸対称光学素子の成形用金型の作製において、光学素子の光学性能を劣化させている要因として、金型の成形面に研削条痕が残ってしまい、研削面粗さが大きくなることで、それを用いた転写成形時に光学面の鏡面化が損なわれるという問題がある。しかるに、その後に研磨加工を行えば、研削条痕をある程度除去できるものの、これを完全に除去するための研磨加工は非常に高精度な技術が必要であり、また不適切な研磨加工により研削加工で仕上げた成形面の形状が崩れてしまうという新たな問題を生じさせる。かかる場合には、新たな素材を用いて、再度長時間の研削加工を行う必要が生じ、成形用金型の製作時間が長くなる原因となっている。
特許文献1には、非軸対称非球面ミラーの研削加工方法が開示されている。この文献1に開示されている研削加工では、回転砥石を回転砥石の回転軸線の方向に走査し、一走査後は走査方向と垂直な方向への研削送りピッチにて次の走査を行うことを繰り返していくことにより研削している。
特開2001−246539号公報
しかしながら、文献1に開示の研削加工方法や、より一般的な、単に回転砥石の回転軸線と垂直な方向への走査と回転軸線方向への研削送りピッチとによって、研削する研削加工方法では、研削後の被加工物の表面粗さは40nm程度であって、10nm程度の表面粗さを得るには研磨加工が必要となり、前述の問題点を解消するものではない。また、研削面のうねり(被加工物の設計形状からの形状誤差曲線のうねりをいう、以下同じ)の周期が短く、このような高周波成分が光学性能に悪影響を与えることになる。
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、研削面粗さを小さくでき、研削後の研磨加工を必ずしも必要としないようにすることができる、回転砥石を用いた研削加工方法、及びそれにより形成された成形用金型、並びにそれにより転写された光学素子を提供することを目的とある。
請求項1に記載の研削加工方法は、被加工物を回転砥石を用いて研削加工する研削加工方法において、前記回転砥石の回転中心と研削加工点の中心とを結んだ直線と、前記回転砥石の回転軸線と、を含む平面に対して交差する方向であって、且つ、前記回転砥石の回転軸線と直交する平面に対して交差する方向に、前記回転砥石と被加工物との相対位置が変化するよう走査しながら研削することを特徴とする。なお、「回転砥石の回転中心」とは、回転砥石の回転軸線上での回転砥石の厚み中心をいうものとする。又、「研削加工点」とは、実際の研削加工時に、回転砥石が被加工物とまさに接触して被加工物を研削加工している点をいい、この研削加工点は通常、複数の点又は領域となることから、「研削加工点の中心」とは、研削加工点の幾何学的重心位置をいうものとする。
本発明によれば、上述のごとく走査するので、研削条痕を抑制することができ、それにより後工程としての研磨加工を不要にできる。又、前記回転砥石の実効半径を比較的大きくとれるので、研削面のうねりの周期が長くなり、このような被加工物を用いて光学素子の成形用金型を形成すると、それにより転写された光学素子の光学性能に悪影響を与える高周波成分が減少することとなる。
請求項2に記載の研削加工方法は、請求項1に記載の発明において、前記回転中心と前記研削加工点の中心とを結んだ方向をz方向、前記回転軸線と前記z方向とを含む平面内であって前記z方向と直交する方向をy方向、前記y方向と前記z方向とに直交する方向をx方向とし、前記x方向と前記y方向とを含む平面における前記走査方向の前記x方向に対する傾斜角度をθ、被加工物の設計形状の曲率半径をRw、前記回転砥石の前記x方向及び前記y方向の半径をそれぞれRx、Ryとしたとき、以下の式を満足することを特徴とするので、所望の曲率の加工面を容易に得ることができる。
Figure 0004320644
請求項3に記載の研削加工方法は、請求項1又は2に記載の発明において、前記回転中心と前記研削加工点の中心とを結んだ方向をz方向、前記回転軸線と前記z方向とを含む平面内であって前記z方向と直交する方向をy方向、前記y方向と前記z方向とに直交する方向をx方向とし、前記x方向と前記y方向とを含む平面における前記走査方向の前記x方向に対する傾斜角度をθとしたとき、以下の式を満足することを特徴とする。
0°<θ<45° (2)
前記傾斜角度θは0°より大きく90°より小さい範囲で任意に設定することが可能であるが、特に、傾斜角度θが上記式(2)を満足するようにすれば、高速での研削加工が可能となり好ましい。また、傾斜角度θは2°≦θ≦10°であることが、研削面粗さをより小さくできる点で好ましい。
請求項4に記載の研削加工方法は、被加工物を回転砥石を用いて研削加工する研削加工方法において、前記回転砥石の研削による被加工物の切り込み深さ方向と直交する面内で、前記回転砥石の回転軸線と平行な方向及び前記回転砥石の回転軸線と直交する方向に対して交差する方向に、前記回転砥石と被加工物との相対位置が変位するよう走査しながら研削することを特徴とする。
本発明によれば、上述のごとく走査するので、研削条痕を抑制することができ、それにより後工程としての研磨加工を不要にできる。又、前記回転砥石の実効半径を比較的大きくとれるので、研削面のうねりの周期が長くなり、このような被加工物を用いて光学素子の成形用金型を形成すると、それにより転写された光学素子の光学性能に悪影響を与える高周波成分が減少することとなる。なお、「切り込み深さ方向」とは、被加工物を回転砥石で研削加工する際に、回転砥石により被加工物が切り込まれる深さ方向である。従って、例えば被加工物の被研削面を平面とし、回転砥石の回転軸線と平行にその被研削面を対向配置させた際には、回転軸線から当該被研削面におろした垂線の方向と一致する。
請求項5に記載の研削加工方法は、請求項4に記載の発明において、前記切り込み深さ方向をz方向、前記回転軸線と前記z方向とを含む平面内であって前記z方向と直交する方向をy方向、前記y方向と前記z方向とに直交する方向をx方向とし、前記x方向と前記y方向とを含む平面における前記走査方向の前記x方向に対する傾斜角度をθ、被加工物の設計形状の曲率半径をRw、前記回転砥石の前記x方向及び前記y方向の半径をそれぞれRx、Ryとしたとき、以下の式を満足することを特徴とする。本発明の作用効果は、請求項4に記載の発明と同様である。
Figure 0004320644
請求項6に記載の研削加工方法は、請求項4又は5に記載の発明において、前記切り込み深さ方向をz方向、前記回転軸線と前記z方向とを含む平面内であって前記z方向と直交する方向をy方向、前記y方向と前記z方向とに直交する方向をx方向とし、前記x方向と前記y方向とを含む平面における前記走査方向の前記x方向に対する傾斜角度をθとしたとき、以下の式を満足することを特徴とする。本発明の作用効果は、請求項4に記載の発明と同様である。
0°<θ<45° (3)
請求項7に記載の研削加工方法は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、超硬合金、SiC、セラミックス、ステンレス、ガラス状カーボン及びガラスのいずれか少なくとも1種で構成された部材を被加工物として研削加工することを特徴とする。
本発明によれば、研削面粗さを小さくでき、研削後の研磨加工を必ずしも必要としないようにすることが可能な回転砥石を用いた研削加工方法、及びそれにより形成された成形用金型、並びにそれにより転写された光学素子を提供することができる。
まず、本発明の原理を説明しする。図1は、本発明の原理を説明するための図であり、実線で示す回転砥石1は被加工物10より離されて(非加工位置で)示され、点線で示す回転砥石1は被加工物10に接触して(加工位置で)示されている。図1において、円盤状の回転砥石1は、円筒状の軸2の下端に同軸に取り付けられている。軸2は、回転軸線Q回りに回転駆動されるようになっている。ここで、回転軸線Qに平行な方向をy方向とし、y方向に直交し且つ回転軸線Qへと研削加工時における回転砥石1と被加工物10との接触領域(研削加工点ともいう)Rの中心Pから垂線L(かかる垂線Lと回転軸線Qとの交点を回転中心Cとする)をおろしたときに、垂線Lに沿って中心Pと回転砥石の回転中心Cとを結んだ直線Lの方向(この例の場合、かかる直線Lは、中心Pから回転軸線Qにおろした垂線と一致し、この直線Lに沿って中心Pに向かう方向は、切り込み深さ方向でもある)をz方向とし、前記y方向及び前記z方向に直交する方向をx方向とする3次元座標を考える。
図1において、回転軸線Qと被加工物10の研削加工点の中心Pとを結んだ直線と、回転砥石1の回転軸線Qと、を含むように平面Y−Zを規定し、更に回転中心Cを通り回転砥石1の回転軸線Qと直交するように平面X−Zを規定し、平面Y−Zと平面X−Zのそれぞれに直交する面を平面X−Yと規定する。ここで、平面X−Yは、回転砥石1の研削による被加工物10の切り込み深さ方向をz方向としたときに、これと直交する面である。
従来技術では、研削加工時に回転砥石1の回転中心Cが平面X−Zに沿って移動するように走査させていた。このような研削加工では、回転砥石1の回転方向に沿って回転砥石1の走査が行われるため、回転砥石1の表面の砥粒の大きさにより、被加工物10の加工面に研削条痕が生じることとなる。従って、このような被加工物10を用いて光学素子の成形用金型を形成すると、それにより転写された光学素子における光学面の鏡面化が妨げられることとなる。
これに対し、本発明においては、平面Y−Zと平面X−Zとに交差する方向に、回転砥石1と被加工物10との相対位置が変化するよう走査しながら研削している。これを言い換えると、平面X−Y内で、回転砥石1の回転軸線Qと平行な方向及び回転砥石1の回転軸線Qと直交する方向に対して交差する方向に、回転砥石1と被加工物10との相対位置が変位するよう走査しながら研削している。
より具体的には、図1において平面Y−Zに対して傾斜角度αだけ傾き、且つ平面X−Zに対して(即ちx方向とy方向とを含む平面における走査方向(図1,2のA方向)のx方向に対する)傾斜角度θだけ傾いた方向に、回転砥石1と被加工物10とを相対的に走査している。このような研削加工方法を行うことにより、回転砥石1の回転面に対して傾いた方向に回転砥石1の走査が行われるため、研削条痕を抑制することができ、それにより後工程としての研磨加工を不要にできる。また、後述する回転砥石1の実効半径を比較的大きくとれるので、研削面のうねりの周期が長くなり、表面粗さが小さくなるので、このような被加工物10を用いて光学素子の成形用金型を形成すると、それにより転写された光学素子の光学性能に悪影響を与える高周波成分が減少することとなる。
図2は、実効半径Reを説明するための図である。図2(A)は、回転砥石1を図1のz方向に見た図である。ここで、図に示すように、回転砥石1のx方向及びy方向の半径をRx及びRyとし、平面Y−Zに対して傾斜角度αだけ傾き、且つ平面X−Zに対して傾斜角度θだけ傾いた走査方向A(図1参照)に沿って、回転砥石1と被加工物10とを相対的に走査させた場合、回転砥石1で研削される被加工物の表面は、図2(B)に示すような楕円状の輪郭で研削されることとなる(ただし軸2がある部位は除く)。本発明者らの研究結果によれば、実効半径Reは、上記式(1)の右辺で表されることがわかった。こうして、被加工物の設計形状の曲率半径をRwとしたときに、式(1)を満足することにより、所望の曲率になる凹状の加工面を容易に得ることができる。
ここで、半径Rx、Ryの求め方について説明する。半径Rxは、回転砥石1の回転中心Cと、被加工物10の研削加工点の中心Pとを結ぶ距離であり、回転砥石1の回転軸線Qと垂直な面に投影された砥石半径を測定することにより求めることができる。これは、回転している回転砥石1でカーボン等を加工し、転写された砥石形状を測定することで求められる。一方、半径Ryは、回転砥石1の回転軸線と平行な面上に投影された砥石先端の半径のことで、半径Rxと同様に転写形状を測定することによって求められる。
図3は、本発明の実施の形態にかかる研削加工方法を実施できる精密加工機の斜視図である。図3において、定盤41上にX軸方向に駆動するX軸ステージ42とZ軸方向に駆動するZ軸ステージ44が取り付けられている。Z軸ステージ44上には、被加工物10が固定されている。又、X軸テーブル42上には、Y軸方向に駆動するY軸ステージ46が取り付けられ、Y軸ステージ46には研削砥石1を回転させる軸2がアーム45により回転自在に支持されている。
図1を参照して、研削加工時には、軸2を回転させつつ、金型の素材10の所望の加工曲面11に沿うようにして、Z軸ステージ44、X軸ステージ42,及びY軸ステージ46を互いに同期させて移動させ加工を行う。それにより図1に示すように、X軸ステージ42が移動するx方向と、Z軸ステージ44が移動するz方向で形成される平面に対して、所定角度だけ傾いた方向に、回転砥石1と被加工物10とを相対的に走査すようになっている。
本実施の形態においては、被加工物10に対して、回転砥石1をその回転面に対して所定角度だけ傾斜した方向に走査するため、回転砥石1の実効半径Reが大きくなり、研削面粗さが従来の研削方法を用いた場合に比べて格段に小さくなり、後工程としての研磨加工が不要になる。また、研削面のうねりの周期が長くなり、光学性能に悪影響を与える高周波成分が減少する。このような効果については、後述する各実施例において具体的に説明する。最適な研削加工条件は、被加工物10の設計形状の曲率半径Rwが以下の式(1)を満足するように、走査方向の傾斜角度θを決定することにより得ることができる。
Figure 0004320644
図4は、図3を参照して説明した研削加工方法により転写光学面を形成できる光学素子成形用金型の断面図である。例えば、ステンレス鋼材等から金型の素材10を形成する。金型の素材10の材料は、特に限定されるものではないが、超硬合金やステンレス鋼などの一般的に用いられる金型材料であることが好ましく、その場合には供給も安定しており価格も安いという利点がある。金型の素材10は、一端(図で上端)に、成形すべき光学素子の光学面(例えば非球面)に近似した凹部が予め形成される。金型の素材10に対して、図3に示す精密加工機を用いて、軸2により支持された研削砥石1を、図1に示すように回転させつつ走査し、それにより所望の形状の転写光学面11を形成できる。
図5は、光学素子の一例であるレンズを形成するための光学素子成形用金型を含むダイセットの断面図である。上述のようにして転写光学面11,11’を形成した光学素子成形用金型10、10’を、その転写光学面同士を対向させるようにして、ダイセット金型13,14に軸線方向に移動可能に挿入し、プリフォームとなるガラス材料を10,10’の間に設置し、光学素子用成形用金型10、10’を近接する方向に押圧し、更に冷却することで、所望の形状の光学素子を得ることができる。この場合、光学素子の光学面の表面粗さは、光学素子成形用金型10、10’の転写光学面11、11’の表面粗さ(Rt10nm以下)をほぼ100%転写していた。
以下、被加工物10の設計形状の曲率半径Rw、回転砥石1のy方向の半径Ry及びx方向の半径Rxを、種々の値に設定して研削加工方法を実施した実施例1〜5について説明する。
(実施例1)
被加工物の設計形状の曲率半径Rwは2.05mm、回転砥石のy方向の半径Ryは0.53mm、x方向の半径Rxは約27.5mmである。この場合、走査方向の傾斜角度θを9.95°に設定した。式(1)の右辺によれば、回転砥石の実効半径Reは1.351mmになる。
以上の条件で研削加工を行った。図6に研削加工による表面粗さの測定データを示し、図7(A)に研削面のうねりの周期を示す。また、図7(B)に傾斜角度θを0°にした場合(他の条件は実施例1と同じ)の研削加工によるうねりの周期を比較のために示す。なお、図7(A)に示すグラフにおいて、横軸は加工面の基準位置を0とした加工範囲を示し、縦軸は設計形状からの形状誤差を示している。図7(B)に示すグラフにおいて、横軸は評価距離であり、縦軸は表面粗さを示している。
図6から明らかなように、表面粗さは約10nm以下(光学鏡面レベル)であり、研磨加工を省略できる。また、図7(A)に示した実施例1のほうが図7(B)に示した従来例よりもうねりの周期が長く、高周波成分が減少していることがわかる。
(実施例2)
被加工物の設計形状の曲率半径Rwは1.23mm、回転砥石のy方向の半径Ryは0.70mm、x方向の半径Rxは27.5mmである。この場合、走査方向の傾斜角度θを5.0°に設定した。式(1)の右辺によれば、回転砥石の実効半径Reは0.909mmになる。
以上の条件で研削加工を行った。研削加工による表面粗さは図6に示した実施例1と同等であり、また、研削面のうねりの周期も図7(A)に示した実施例1と同等であった。
(実施例3)
被加工物の設計形状の曲率半径Rwは1.412mm、回転砥石のy方向の半径Ryは0.53mm、x方向の半径Rxは27.5mmである。この場合、走査方向の傾斜角度θを7.1°に設定した。式(1)の右辺によれば、回転砥石の実効半径Reは0.950mmになる。
以上の条件で研削加工を行った。研削加工による表面粗さは図6に示した実施例1と同等であり、また、研削面のうねりの周期も図7(A)に示した実施例1と同等であった。
(実施例4)
被加工物の設計形状の曲率半径Rwは0.499mm、回転砥石のy方向の半径Ryは0.32mm、x方向の半径Rxは27.45mmである。この場合、走査方向の傾斜角度θを3.3°に設定した。式(1)の右辺によれば、回転砥石の実効半径Reは0.411mmになる。
以上の条件で研削加工を行った。研削加工による表面粗さは図6に示した実施例1と同等であり、また、研削面のうねりの周期も図7(A)に示した実施例1と同等であった。但し、回転砥石のy方向への送りによる筋状の痕跡が見られた。
(実施例5)
被加工物の設計形状の曲率半径Rwは20.0mm、回転砥石のy方向の半径Ryは0.70mm、x方向の半径Rxは27.5mmである。この場合、走査方向の傾斜角度θを43.0°に設定した。式(1)の右辺によれば、回転砥石の実効半径Reは13.491mmになる。
以上の条件で研削加工を行った。研削加工による表面粗さは図6に示した実施例1と同等であり、また、研削面のうねりの周期も図7(A)に示した実施例1と同等であった。
(実施例6)
被加工物の設計形状の曲率半径Rwは20.0mm、回転砥石のy方向の半径Ryは0.70mm、x方向の半径Rxは27.5mmである。この場合、走査方向の傾斜角度θを45.0°に設定した。式(1)の右辺によれば、回転砥石の実効半径Reは14.450mmになる。
以上の条件で研削加工を行った。研削加工による表面粗さは図6に示した実施例1と同等であり、また、研削面のうねりの周期も図7(A)に示した実施例1と同等であった。但し、回転砥石のy方向ヘの送りによる筋状の痕跡が見られた。
(実施例7)
被加工物の設計形状の曲率半径Rwは35.0mm、回転砥石のy方向の半径Ryは0.70mm、x方向の半径Rxは27.5mmである。この場合、走査方向の傾斜角度θを89.0°に設定した。式(1)の右辺によれば、回転砥石の実効半径Reは28.192mmになる。
以上の条件で研削加工を行った。研削加工による表面粗さは図6に示した実施例1と同等であり、また、研削面のうねりの周期も図7(A)に示した実施例1と同等であった。但し、回転砥石のy方向ヘの送りによる筋状の痕跡が見られた。
(考察)
実施例1〜7の実験結果を表1に示す。
Figure 0004320644
本発明者らによる実験によれば、回転砥石の走査方向に傾斜角度θを設けることにより、傾斜角度θが0°を越えて90°の範囲において研削面の粗さが10nm以下の光学鏡面レベルになり、研磨加工は不要となることがわかった。特に、傾斜角度θが5°以上で良好な表面粗さを得られることがわかった。なお、傾斜角度θに関しては2°〜10°の追加実験が行われ、ここでも良好な表面粗さを得られることがわかった。
ただし、傾斜角度θが3°を下回ると、研削加工による表面粗さは図6に示した実施例1よりも若干大きくなったが、研磨加工が必要なほどではなかった。同時に、研削面のうねりの周期も図7(A)に示した実施例1よりも若干短くなったが、図7(B)に示した従来例よりも長く、高周波成分の減少が十分に見られるものであった。
―方、加工速度に関しては、傾斜角度θが大きくなると研削抵抗が増大することから、低下する傾向にある。特に、傾斜角度θが45°を超えると加工速度が遅くなる。即ち、加工速度の点から傾斜角度θは45°以下であることが好ましい。換言すると、Vr(砥石のy方向の送り速度/x方向の送り速度)が、「0<Vr<1」の関係を満たすことが好ましい。
本実施の形態によれば、非円弧シリンダ面、アナモフィック面、自由曲面、平面など、いずれにおいても、表面粗さRt10nm以下に研削加工できる。なお、上記式(1)は、被加工物の加工面が凹曲面である場合に適用され、それを満足することが望ましく、平面や凸面などを研削加工する場合には適用する必要はない。また、図8に示す凹レンズなどの光学素子成形用金型の場合、平面である転写フランジ面12の中央に凸状の転写光学面11が存在するので、加工上、転写フランジ面12の平面度を向上させにくいということが考えられるが、本実施の形態は、このような金型の研削加工にも有効である。
また、本発明に係る回転砥石による研削加工方法は、前記実施形態及び実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。特に、上述の実施形態では、回転砥石を移動させる形態を示したが、被加工物を移動させてもよく、あるいは、回転砥石及び被加工物の両方を移動させてもよい。また、回転砥石の研削面が曲面でなく平面である場合もある。この場合、y方向の半径Ryは無限大となる。
さらに、回転砥石はいずれの方向に回転させてもよいが、図1に示した配置においては、精密な加工を達成するうえで、研削の走査方向に対して、回転砥石の研削負荷を低減させるために反時計回り方向(矢印B参照)に回転させることが好ましい。
本発明に係る研削加工方法を説明するための図であり、回転砥石の斜視図を示す。 本発明に係る研削加工方法を説明するための図であり、(A)は回転砥石の正面図、(B)はC−C矢示図である。 本発明の実施の形態にかかる研削加工方法を実施できる精密加工機の斜視図である。 研削加工方法により光学面を形成できる光学素子用成形用金型の断面図である。 光学素子の一例であるレンズを形成するための光学素子用成形用金型を含むダイセットの断面図である。 本発明に係る研削加工方法の実施例1における表面粗さの測定データを示すグラフである。 研削面のうねりの周期を示すグラフであり、(A)は本発明に係る研削加工方法によるもの、(B)は従来の研削加工方法によるものである。 研削加工方法により光学面を形成できる別な光学素子用成形用金型の正面図である。
符号の説明
1 砥石
2 軸
10 被加工物(金型の素材)
11 被加工面(転写光学面)

Claims (7)

  1. 被加工物を回転砥石を用いて研削加工する研削加工方法において、前記回転砥石の回転中心と研削加工点の中心とを結んだ直線と、前記回転砥石の回転軸線と、を含む平面に対して交差する方向であって、且つ、前記回転砥石の回転軸線と直交する平面に対して交差する方向に、前記回転砥石と被加工物との相対位置が変化するよう走査しながら研削することを特徴とする研削加工方法。
  2. 前記回転中心と前記研削加工点の中心とを結んだ方向をz方向、前記回転軸線と前記z方向とを含む平面内であって前記z方向と直交する方向をy方向、前記y方向と前記z方向とに直交する方向をx方向とし、前記x方向と前記y方向とを含む平面における前記走査方向の前記x方向に対する傾斜角度をθ、被加工物の設計形状の曲率半径をRw、前記回転砥石の前記x方向及び前記y方向の半径をそれぞれRx、Ryとしたとき、以下の式を満足することを特徴とする請求項1に記載の研削加工方法。
    Figure 0004320644
  3. 前記回転中心と前記研削加工点の中心とを結んだ方向をz方向、前記回転軸線と前記z方向とを含む平面内であって前記z方向と直交する方向をy方向、前記y方向と前記z方向とに直交する方向をx方向とし、前記x方向と前記y方向とを含む平面における前記走査方向の前記x方向に対する傾斜角度をθとしたとき、以下の式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の研削加工方法。
    0°<θ<45° (2)
  4. 被加工物を回転砥石を用いて研削加工する研削加工方法において、前記回転砥石の研削による被加工物の切り込み深さ方向と直交する面内で、前記回転砥石の回転軸線と平行な方向及び前記回転砥石の回転軸線と直交する方向に対して交差する方向に、前記回転砥石と被加工物との相対位置が変位するよう走査しながら研削することを特徴とする研削加工方法。
  5. 前記切り込み深さ方向をz方向、前記回転軸線と前記z方向とを含む平面内であって前記z方向と直交する方向をy方向、前記y方向と前記z方向とに直交する方向をx方向とし、前記x方向と前記y方向とを含む平面における前記走査方向の前記x方向に対する傾斜角度をθ、被加工物の設計形状の曲率半径をRw、前記回転砥石の前記x方向及び前記y方向の半径をそれぞれRx、Ryとしたとき、以下の式を満足することを特徴とする請求項4に記載の研削加工方法。
    Figure 0004320644
  6. 前記切り込み深さ方向をz方向、前記回転軸線と前記z方向とを含む平面内であって前記z方向と直交する方向をy方向、前記y方向と前記z方向とに直交する方向をx方向とし、前記x方向と前記y方向とを含む平面における前記走査方向の前記x方向に対する傾斜角度をθとしたとき、以下の式を満足することを特徴とする請求項4又は5に記載の研削加工方法。
    0°<θ<45° (3)
  7. 超硬合金、SiC、セラミックス、ステンレス、ガラス状カーボン及びガラスのいずれか少なくとも1種で構成された部材を被加工物として研削加工することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の研削加工方法。
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